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ぼくのなつやすみ − 旧・小説投稿所A
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ぼくのなつやすみ
− 運勢 −
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テレビ『え〜それでは今日の血液型占いで〜す。本日の一位は
….A型! きっとあらゆる幸運が降り注ぎ、今日をハッピーで
包んでくれますよ!』

『ゴメンなさいっ、四位はB型の人。願い事をすると逆のコトが
起こったり、大切な物を失くしたりするかも!….そんなアナタの
今日のラッキーアイテムは、揚げたてのフライドポテトでーす!
もりもり食べて、今日を元気に頑張りましょうね!』


・・・・・・・・


レムリア=B型
バビロン=B型



===========================




〜 警視庁 2階 〜




彼らが早速出くわしたのは、昼食を終えて仕事に戻ろうとしてい
た警察官らだった。見通しの悪い十字路で、先頭の男とレムリア
の腕がぶつかったのが原因だ。廊下に、緊迫した空気が張り詰める。



「お前は署長に連絡しろ!! 貴様らは動くな、両手を挙げるんだ!!」

「どうしましょう….侵入がバレたら厄介よ…」

「それなら簡単な話だろう。こいつらを全員、失神させればいい。
お前が持ってるルナメモリなら、そのぐらい余裕だろう?」

「あっ….そうか…」


レムリアは銃を自分に向ける者に気づかれないよう、さり
げなく手を腰に回した。しかし専用のメモリ入れをゴソゴソ
とまさぐった瞬間、彼女の顔はクリーム色を超えて白くなった。


「どうした? 早く使ってくれ」

「あ、いや….あのね….その、メモリ…落としちゃったみたい」

「………はぁ?」

「多分、階段を上っていた時に….はずみで…」

「…へぇ、じゃあ一緒に捕まるとしようか」

「ま、待ってよ怒らないで! ち、ちゃんと解決するわよ…」




・・・・・


「…フン、お前の種族は?」

「え…? ム、ムゲン竜だけど」

「ムゲン竜が得意とするもの、言ってみな」

「え….他人を長時間眠らせること….あっ、そっか」


バビロンの誘導で、見事に解決策を見出したレムリア。両手をキリ
スト信者のように重ね合わせ、ブツブツと長苦しい呪文を唱え始める。


「我、夢見る者に福を与える者なり。貴殿の野獣の如き奮い立つ心に、愛と安らぎの休息を与えよ。今こそ本能の闇に身を委ねて……」










「……おやすみ♪」

ドタドタドタドタ・・・!!!!


蛍光灯の光が映る床の上に、警備員はボウリングのピンのように
折り重なって倒れた。無線機で応援部隊を呼ぼうとしていた者も、
スースーと幼子のような寝息を漏らしている。指揮を執っていた
者のいびきに至っては、ゴォゴォと竜巻が発生しそうだ。


「ありがとうバビロン。私ったら自分の力まで忘れちゃって
たのね….恥ずかしい…」

「……………」

「……どうしたの?」

「見ろ….あれを…」


バビロンがわなわなと振動する手で指差したもの。それは今は
人っ子一人いない、社員食堂のメニュープレートだった。


「…あれがどうかしたの?」

「ポテトが…..ポテトが無いっ!!!」

「ハ…ハイ?」

「分からないのか!!? うどん、カレー、ラーメン、卵かけご飯
まであるというのに、ポテトが何処にもないじゃないか!!」

「あ、ああ….そうね…」


全世界を敵に回すような怒りに苛まれ、結局バビロンは調理室
の鍋やらフライパンやらを蹴散らして帰ってきた。それでも腹
の虫が鳴き止まないので、仕方なく石人形のように倒れている
指揮官に手をかける。


「…悪く思うなよ…品揃え悪すぎだ、ここは」


人間など丸々呑み込める、竜独特の巨大な口が開く。ぶにぶに
と豊満すぎる肉壁に埋もれた喉を背景にして、上顎と下顎の間か
ら、ねちぁっと粘っこい唾液の糸が引いている。


「(…もしかしてこれが目的?)」



バビロンは警備員の脇をつかんで持ち上げた。


ハグッ….んむぅ…ッチュ…

「(………!!!)」


快い眠りの中でも、つま先から呑み込まれる感覚。それは窮屈
ながらも柔らかい喉の温もりに、ズチュッと一気に踵まで覆い
包まれるのだ。きっと足だけお湯に浸かったような、不思議
と心地よい感覚に違いない。



「あの世で後悔するんだな….ここに就職した事を」

……ごっくん…


彼の食道が通っている辺りは、まるでそこに生きた人間がいるの
を啓示するかのように凸凹していた。そのモグモグと揺れながら
胃袋へ向かう塊が、さっきまで銃を握り締めていた男だとは考え
にくい。


ずむぅ…ムチッ….とぷっ…


一階で呑んだ獲物も消化してしまい、空腹でペッタンコだった彼
の胃袋、お腹は、今や見違えるほどに丸々としていた。何せ大の
人間を、一度に七人も丸呑みにしてしまったのだ。物理的に考え
ても、まず膨らまないはずはない。



「フフ….私を憎みたければ好きなだけ憎めばいい。レムリア、次の階行くんだろう?」

「(フグッ…!?)」


レムリアは前触れもなく声を掛けられ、慌てて喉にいた人間を呑み
下す。空腹を隠していたのがバレたためか、彼女は早足に階段へと
向かっていった。


「おいおい….腹が減ってるなら言えばよかったじゃないかw」

「う、うるさいわね….私の勝手でしょ!」




クリーム色と漆黒のペンキで塗りつぶされたような彼らのお腹。
そのどちらも、空気を入れた風船のように膨らんでいる。もち
ろん、リーグでは滅多にない人喰らいのチャンスだ。出す気
など毛頭ない。


運良く食われずに済んだ者を飛び越えて、(数人は誤って踏み
潰してしまったので、レムリアが「ごめんなさい」と口走った)
バビロンとレムリアは階段を駆け上がっていった。



<2011/09/01 21:27 ロンギヌス>消しゴム
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