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幼さ故に − 旧・小説投稿所A

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幼さ故に

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「ギャアァァアアァーッ!!痛い痛い痛いッ!ヤメロォオオォー!!」

分厚いドアで隔てられているはずの研究室からハッキリと悲鳴が聞こえてきた。

「オイ!メチャクチャ凶暴じゃねぇか!」

男の一人が研究者の胸倉を掴む。

「俺だって知らなかったんだよ!あんなヤバいのを警察に納めるだなんて誰も思わねぇだろ!」

研究者も負けじと言い返す。

「仲間割れしてる場合か、馬鹿野郎!」

言い争いに加わっていなかった男が声を荒げた。
どうやらこの男がリーダーらしく、言い争いをしていた二人は押し黙る。

「俺が今からアイツを連れ出してくる。お前等は先に車のところに行け。オイ、カードキー貸せ」

リーダーの男はカードキーを研究者から受け取ると、研究室の前へ向かった。
何故リーダーの男はわざわざ助けに向かったのか?
それは捕まった男はリーダーの男の古くからの相棒であったからだ。

「よし」

銃のセーフティーを解除し、カードキーを差し込もうとする。
ところが、差し込む前に扉が開いた。
研究室の扉は外からだとカードキーを使わなければならないのだが、内からならボタンを押すだけで開くのだ。

「う、わ……」

目の前にはコタロウが立っていた。
そしてその傍らには、相棒であった男の肉塊が打ち捨てられていた。
いや、あくまでも状況からして相棒の男と判断出来たのであって、原型を留めていない文字通りの肉塊だけでは判断出来なかっただろう。

「二人目、見ツケタ」

2.5メートルほどの大きさになったいたコタロウはリーダーの男を見下ろす。
リーダーの男の頭に生暖かい何かが降り注いだ。
それはコタロウの涎、そしてそれに混じる相棒の血と肉片であった。

「クソ!」

腰こそは抜けなかったが、足が言うことを聞かない。
コタロウはリーダーの男を片腕で軽々と引き寄せる。
その圧倒的な力に、リーダーの男は自分の運命を悟った。
自分はもはや、この目の前に化け物に命を握りつぶされる以外に道はないのだと……。


<2011/07/18 15:13 とんこつ>消しゴム
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