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【保】易すぎる依頼 − 旧・小説投稿所A

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【保】易すぎる依頼

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ということでいきなりだが場面は変わり、俺の家へと移る。
俺が住んでる家は…たいした家でもない普通のアパートだ。
内装もいたってシンプル。キッチン、風呂つきトイレ、あと部屋2つ。それだけだ
しがなく日常生活を送る独り身にとっちゃ、生活スペースがあるだけで十分だ。贅沢なんて言うもんじゃない。
と、与太話はさておき…

「ちょっと汚いけど依頼の話を聞こうか」

「素直に言えば随分汚いよね。服とか畳んでないし、ゴミもちらほら見えるし…」

「話するだけなんだからいいだろ!いちいち文句言うな!」

クライアント(依頼者)だからって少しはマナーって言うかなぁ…いいや。
とりあえず話を聞こう。本腰入れて行かないとな。

「んで、本題だ。依頼の内容を詳しく教えてもらおうか」

「あぁそうだった。依頼の内容は実に簡単で、ある洞窟に生えてる花を採ってきてほしいんだ」

「花?それなら自分で採れると思うが…どういった理由で俺に頼もうと?」

「洞窟に生ってるんだけど、どうも生ってる場所が悪いみたいで…僕みたいな一般人、ましてや子どもが行こうとしたら止められちゃうんだ」

「なるほど…つまり、その代役で行ってきてほしい、というわけか。それなら仕方のない話だな」

「でしょ?じゃあ受けてもらえる?」

んー…内容自体は悪くない。というよりはいつもしてるようなものと似てるからそれを拒否する理由もない。
それに代役なんて多々あるわけだ。町の外には少なからずモンスターがいる。戦いの術を持たない奴が外に用があるけど出れないから、頼むと言うのも結

構多い話だ。
となればこの話を拒否する理由はほとんどない。だが、かといってすぐに受理というわけにもいかない。
依頼を受けるからには重要なものがもう1つある。

「内容は良しとして…報酬は?」

「あ、そうだ報酬があるんだった」

「…普通依頼するなら報酬のことが先に出ると思うが」

「僕は初めてなんだからいいでしょ!」

余計な言い合いはなしにして、依頼を受けるに至って報酬ってのは重要だ。それ相応の対価をもらわないとこっちもやってけない。
特に俺なんかこれで飯食って寝てるわけだから報酬は本当に大事。だから依頼を見る時も報酬の部分は第一に目を通す。
内容が良くても報酬が雀の涙でした―、なんてシャレにもならない。

「つーことで、どれくらい出してくれるんだ?」

「そうだね……ちょっと大きな声で言えないから、紙に書くけど…」

「?…別に構わないが…」

こんな依頼内容のくせに、報酬が大きな声で言えない?…まさか、ろくなもの持ってこないんじゃ…。
流石にそれは依頼を受ける受けない以前に馬鹿にしてるとしか思えないな。わざわざ寝てるとこ起こされて依頼聞いてたってのにそれじゃあな。
と言ってもまだ報酬の中身見てないし、変な期待するだけしてみるか…。

「えっと…合ってるね。これが報酬だよ」

「変なものよこしたりすんなよ?…って、なんだこの額!?」

渡された紙を軽い気持ちで目を通してみたら、文字通りけた違いな数字が飛び込んできた。
依頼内容にもよるが、大抵この手の依頼は最高でも1万程度。そこまで行く依頼は滅多にないが。
それがどうだ、今俺が手にしてる紙に書いてある桁は1万どころじゃない。
それこそ大型モンスターを複数討伐する依頼に出されるような金額だぞ。花を採りに行くだけの依頼でこの金額は、普通じゃあり得ない。

「ね?大きな声で言えないでしょ?」

「そ、そりゃ確かに大きな声で言えないが…なんで花なんかにこんな金出して来るんだよ。第一、お前みたいな奴がそんな金持ってるのか?
 見たところこんだけの金額払えるような風には見えないが。金ぴかの装飾品をびっしりと身にまとったオッサンだったらまた別だが」

「出せないものを報酬として出すわけないだろ?」

「んっ、まぁ、そうだな…」

「それで、引き受けてくれるの?」

「…………」

予想外過ぎる…。まさか報酬にこんな金額を提示されるとは…。
ちまちまと依頼こなして金溜めて、毎日家計簿みたいなもん付けてやり繰りしてる俺にとっては、手に余るような大金だ。
こんな簡単な依頼内容で馬鹿でかい大金を手に入れられるのなら、誰でも飛びついてくるだろうな。けど…

「…わりぃ、ちょっと考えさせてくれないか?」

「えー?いい条件だと思ったんだけど」

「条件にケチつける気はない。ただ…いろいろ心の整理がな」

「ふーん。じゃあいいよ、別に急いでるわけじゃないし」

「なら連絡先を教えて欲しい。受けるとなったらまた細かく聞かないといけないだろうから」






その日は向こうの連絡先を教えてもらい、一度引き取ってもらうと言う形で済んだ。
しかし…こんな誰もが飛びつくような大金、いきなり目の前に出されてもどう言っていいものか…。
俺は大金を手に入れたくてしてるわけじゃなから、どうもこれほどの金に対しての意欲ってのは薄くてな。
けど考えてみれば、これだけの大金があれば賞金稼ぎをしなくてもかなりの間楽に過ごせる。遊びだって豪遊出来る。
出来るんだが…その裏で今のままが良いって言う自分もいるし、なぁ…。

「…今日は結論、出せそうにないな…」

数十分と悩んだものの、結果は出ない。やっぱり見たことのないもん見ると、どうしていいかわかんなくなるんだな。
だとしても、いずれは結論を出さないといけないんだよな。依頼として話を聞いたんだし、受けるにしろ辞めるにしろ、ハッキリとさせないと。
とは言え出せないのなら、明日に持ち越すしかない。明日酒場に行ってマスターと相談するのもいいだろ。そうしよう。




<2011/07/06 22:45 ヴェラル>消しゴム
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