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友達以上、それ未満。
− 約束 −
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「カッ…カイオーガ!!!!」

「ひゃあっ!! な、なにさ…驚かさないでよぉ…」

ラティオスとUNOを楽しんでいる最中、突然名前を呼ばれる
カイオーガ。ふと入り口を振り返ると、ギラティナが今にも
死にそうな顔で突っ立っていた。自分のカードを山札に戻し、
カイオーガは席を立つ。


「ちょ…兄さん逃げるんですか!?」

「有利だったの僕じゃんw あとよろしくね〜♪」

「・・・(一人でUNOをやれと?)」


カイオーガは唖然とするラティオスに背を向けて、ギラティナの
いる廊下へ出る。そこで見たギラティナの姿は、なぜか結婚式
のスピーチを任されたような緊張に包まれていた。


「どぅしたの? ガチガチしちゃって」

「い、いや….ちょっと用事が…」

カイオーガの透き通った目に映る自分の顔。ギラティナは心拍数
が急上昇する中で、彼の目を見て話そうと必死になっていた。
意を決して話を持ち出そうとした途端、カイオーガがストップをかける。


「ギラティナ? はい息吸って〜・・」

「スーーーッ・・・」

「吐いてぇ〜・・」

「ハァーーーーッ・・・」

「….少しは落ち着いた?」

「あ、ああ…ありがとう…」


自分を「何やってんだ」と侮辱する。
そして今度こそと言わんばかりに、口を開いてこう言った。


「お前は…モンスターアリーナを知ってるか?」

「…CMでやってたよ。確か…一週間前にできたポケモン専用のテーマパーク…だっけ?」

「じ、実はロン…いやマスターが、コネで入手した招待券があるんだ…」

ギラティナは何処からともなく、
黄色いチケットを取り出して見せた。それも…二枚。


「へぇ〜…良かったじゃん。楽しんできてねっ♪」

「あ、いやそうじゃなくて…だから…」

気恥ずかしさで失神しそうだが、何とか噛まないよう呼吸を整え
る。キョトンとしたカイオーガの前で噛むぐらいなら、地獄の業火
に焼かれた方がマシだ。




「今度、時間あるなら….一緒に行かないか? ここに…」

「・・・・・」

「べ、別に無理は言わない! 暇だったらの話であって…」

「・・・・・」

「そもそも私が人前苦手だからな…迷惑になるかもしれない…」

「・・・・あっ、ゴメン考え事してた。なんの話だっけ?」


六本足にも関わらず、ギラティナは床に倒れ込みそうだった。
三十秒の苦労が水の泡となり、ガクッと肩を落とす。


「だってギラティナ喋るの遅いんだも〜んw なんの話?」

「だ、だから….今度、私と一緒に出かけないか?」

案外、二回目はスッと言えた。それを聞いたカイオーガは歓喜し、
玩具を買ってもらった子供のように彼に飛びついた。蒼く柔らかい
肌が密着し、思わず天井付近まで飛び上がる。


「やったぁ〜♪ ギラティナ大好きw」

「えっ….!!」

「大好き」の一言で、世界の半分を手に入れた気になるのは
自然現象だ。ギラティナは顔に血を上らせながら、恥ずかしさ
故に無理やり引き離してしまった。


「や、やめろやめろ…!! 奴が見てるぞ…!?」

ふとリビングの方に目をやると、珍しい物でも見るかの
ような視線がこちらを凝視していた。夏みかん片手に呆然
とする、ロンギヌスだ。


「お〜お〜、お熱いねぇお二人さん…別にリーグ内恋愛は禁止じゃな…」

「シャ…“シャドークロー!!!!”」


「恋愛」なんて禁句を出されたくなかった。わずか0.5秒で翼を
広げ、強烈な一撃を見舞う。ロンギヌスはソファに吹き飛ば
されてひっくり返り、カーペットの上に突っ伏した。


「で…アリーナにはいつ行こっか?」

「お、お前の空いている時間でいい!! 本当、いつでも….」

「......変なのw」



何はともあれ、ギラティナの作戦内容。
その第一段階は、何とか切り抜けられたようだ。




<2011/07/31 10:12 ロンギヌス>消しゴム
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