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エンペラーフェスティバル − 旧・小説投稿所A

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エンペラーフェスティバル
− 歓声は悲鳴へと −
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NICE BGM:『Pokemon anime sinnou wild』
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「シャンデラ、Are you Ready?」
「任せたぞゲンガー!!」

広場の中央に置かれたバトル場。ロンギヌスはそこで対戦者と火花を散らしていた。大好物のリンゴ飴を片手に、シャンデラに指示を出す。

「シャドーボール!!」
「シャンデラ、守る!」

飛来した黒いカゲの塊を、透明なシールドで跳ね返すシャンデラ。対戦者はチャンピオン相手に緊張しているのか、腕と肩がプルプル震えていた。ロンギヌス自身が放つプレッシャーに、冷静な作戦ができなくなる。

「ならゲンガー…悪の波動だ!!」
「避けてトリックルーム!」

「まもる」は普通二回も使えない。迫ってきた黒い波動を横にかわし、シャンデラは時空に大きな歪みを作った。透明なバリアのような空間が、ロンギヌスも対戦相手も包み込む。素早さを反転させてしまう、世にも不思議な空間だ。

「シャドーボール!!」

素早さの高いゲンガーは、この状況では先手を取られてしまう。真正面からシャドーボールを撃たれ、あっという間に戦闘不能に陥った。


「ありがとうございました。」
「あ…ありがとう…ございました…」

悔しそうにゲンガーに駆け寄る対戦者を最後に、ロンギヌスはバトル場を出た。もうかれこれ12人連続で相手をしている。流石にポケモン達も休ませなければ、せっかくの祭りが無駄になってしまう。疲労したシャンデラを先に帰らせ、木の下に備えられたベンチに腰掛けた。



「あ、マフター。」

「口の中の物飲み込んでから話せよ…いったいいくら使ったんだ?」

「今月のお小遣いの半分の2倍♪」

カイオーガはポテトを頬張りながら、ズッシリした巨体をベンチに預けた。300kg以上を耐えているそれが悲鳴を上げるのも無理ないが、二人は気にもしない。






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NICE MUSIC:『BGM team plasma』




「あれ…? みんなどうしたんだろ…」

「zzz…ん? 事故でもあったのか…?」

カイオーガのお腹を枕代わりに寝ていたロンギヌスだが、祭りの参加者達がやけに騒がしい。まるで暴動のような悲鳴が聞こえてくる。ほんのさっきまで歓声や、ダンスを披露する者の声で満ちていたのに・・






「逃げろ…!! 会場から早く出るんだ!!」
「何で奴らが…と、とにかく離れろ!!」

目の前を通り過ぎていく人々の波。ロンギヌスは事態を把握できないまま、参加者が逃げていく逆の方向を見た。


「あ、あれは・・」

ざっと数千のポケモンを従えた集団が、屋台を焼き払いながら人々を追っている。しかし彼らの着ている服に、ロンギヌスは見覚えがあった。数年前…ジョウトやカントーで大事件を起こした…



「ロケット団だ…何でここに…」

印象的な『R』と描かれた服で、テントを踏み倒している。
しかもそれだけではない。『M』や『A』を象った服に身を包んでいるのは、マグマ団、アクア団。
さらにはシンオウで暗躍していた組織…ギンガ団までもいる。壮々たるメンツが揃っている事実に、ロンギヌスは開いた口が閉じなかった。


「あそこに一人いるぞ! ドクロッグ、ヘドロ爆弾!!」

彼らの存在に気付いたギンガ団員が、早速ドクロッグに指示を出した。矢のように飛んでくる毒の塊に、ロンギヌスは肘で顔を隠す。


「マスター危ないっ…アクアウォール!!」

カイオーガが海水で壁を張り、ヘドロ爆弾を防いだ。ロンギヌスは他の仲間達と連絡を取るために、津波のように押し寄せる悪党から離れた。急いでリーグ内に戻り、バイオリック社の時のように立て篭もるつもりだった。



「…どこへ行く。チャンピオン。」

「・・!」

四方八方が、既に四地方の悪党達によって囲まれている。逃げ道を探そうにも、アリの這い出る隙間もなかった。どうやら狙いは参加者ではなく、またしても彼らのようだ。

「いったい何の用だよ…会場メチャクチャにしやがって!!」

「僕たちの懸賞金は先週に解除されてるから・・お金じゃないんだね。」

密集した団員の中から、ロケット団らしき男が進み出た。手を腰に当て、地位の高そうな雰囲気を放っている。カイオーガの質問を鼻で笑い、落ちつき払った口調でこう言った。


「金? そんなもの掃いて捨てる程あるね。でなければアクア団もギンガ団も…買収できるはずがないだろう?
まあプラズマ団はもう…そこのカイオーガ君が潰してくれたようだが。」

「…あったねそんなことw」

カイオーガは甘く苦い思い出を掘り起こされ、軽蔑するような目つきで睨み返した。男は怯む様子もなく、堂々と目的を口にした。


「…別に隠す必要もない。はっきり言って、我々は全ての団を併合するだけでは物足りない。ポケモンリーグ…そこも味方につけてやる。」

「言ってくれるね…僕達に勝ったらその夢、叶えてあげるよ!」

バビロンより譲り受けた毒液を、ぬるぬると分泌するカイオーガ。巨大な毒流をあっという間に創り上げ、なみのりに似た技を繰り出した。


ズザァァァアアアア…!!!!!

「溺れちゃえ……紫海!!」

触れるもの全て溶かす毒液が、大波となって放射状に広がる。しかし男はやれやれと首を振り、手下のポケモン全員に命令した。


「ミラーコートだ…やれ。」

アスファルトや芝生をポコポコと蒸発させながら、毒の波は鏡のような壁に当たって逆流した。自分に跳ね返ってくる毒液。カイオーガ自身は大丈夫だろうが、隣にいるロンギヌスは・・


「俺には警護なんていらない…自分の身なんて、自分で守ればいい!!」

キチッ…『GHOST(幽霊)』

非常用のメモリを心臓に突き刺すと、ロンギヌスは空気に飲み込まれるように消えた。襲い掛かってくる毒流は、さっきまで彼が立っていた場所を跡形もなく溶かす。

「マスt…」

カイオーガは毒流の直撃を受けたものの、本人が作った毒素なのでダメージはない。ヒレから滴り落ちる毒液を振りはらい、目をゴシゴシとこする。






「…危ない危ない…」

ロンギヌスは毒で液状化してしまった地面の上で、何ら影響なく立ち尽くしていた。『幽霊』のすり抜け効果が、彼を毒流から救ったのだ。


「…ガイアメモリか…人類最悪の兵器だね。」

「この時代…それも使わなけりゃ生き伸びられないだろ?」

「フッ…まあいい。今ごろ、君の仲間達にも迎えが行っている。私と同じ…各軍団のボス達がな。」


その発言に、ロンギヌスは背筋が凍るかと思った。軍団のボスといえば・・アオギリ、マツブサ、アカギ・・そして・・



「ま、まさかお前は…」

「…自己紹介しておこうか。ロケット団ボスと言えば…君なら分かるだろう?」




<2011/07/01 19:11 ロンギヌス>消しゴム
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