楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル
交錯する証 − 旧・小説投稿所A

RSS | 感想 | TOP
交錯する証

|<< < 5 / 9 >>|

「落ちるなよ、凛」

凛と妖虎の体躯はとてつもなくかけ離れていた。
妖虎には容易に崖上に届くも、凛には天にも等しい。
崖上には緑が広がっており、その光景に驚愕の意を示した凛が
そこで遊びたいと零した。
妖にあるまじき優しき感情を抱く妖虎は凛を頭部で救い上げ
崖上に運んでやった。
身軽な体が崖上にふわり、と着地する。
そこで妖虎は再三、注意を促した。
妖虎には何ともない崖でも、凛が落下でもすれば命は無い。

「ふふ、可愛いな……」

崖下でお座りの状態で崖上を見つめる妖虎。
見つめると言っても、体躯が届いておらず凛の姿は見えない。
彼は密かに……子供好きであった。
もし、凛が成獣であったならばあの時妖虎は容赦なく爪を振るっていたであろう。
妖らしからぬ感情。
通常妖は陰湿で多種族を好まず、同類であっても利害で争う事も屡々。
その中でも大妖にもなるとその色はより濃くなる。
にも、関わらず妖虎は凛を可愛がっていた。
愛おしい我が子を世話する様に優しく、厳しく。

「虎さん〜、見て見て♪」

調子の良い凛の声。
僅かに口元を弛ませていた妖虎が釣られる様に上を向く。
崖端から何やらを手にした凛が身を乗り出していた。
その可愛らしい手に握られたのは身の丈を優に超える蒲公英だった。
妖虎の住まうこの領域には妖気に当てられ、異常成長を示す植物も少なくない。
彼には見慣れた物でも、凛には全てが新鮮そのものなのだろう。

「こら、危な……ふぁ〜」

凛が崖で様々な発見をしているであろう間、彼は待ち惚けていた。
日差しも柔らかく、そよ風も心地よい。
それらの要素が彼の睡魔を誘ってしまう。
見上げたままの状態で大口を開き、欠伸をしてしまう。
それは……運命の悪戯か。



<2012/05/22 21:54 セイル>消しゴム
|<< < 5 / 9 >>|

TOP | 感想 | RSS
まろやか投稿小説すまーと Ver1.00b