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Wolves Heart 真実の心 − 旧・小説投稿所A

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Wolves Heart 真実の心

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俺は今夜も眠れなかった。
眠ればフェンリルがいなくなる。
目が醒めれば、冷たくなったフェンリルがいる。
そんなのは嫌だった。勝手に独りにされたくなかった。
覚悟をきめて独りになりたかった。
「なぁ・・お前を拾ったときのこと覚えてるか?」
俺はいつも過去の話をした。
今を過去と照らし合わせながらこの ー今ー を噛み締めていたいた。
フェンリルが眠りたいと言うまで過去を話を持ってきた。
逆にその言葉が恐かった。
眠りたい=死ぬ。
その輪廻が嫌でも頭から離れなかった。
だから、彼女が目を閉じると俺は泣いた。
泣きながら、子守歌を歌った。
頭を優しく撫でた。
いついなくなっても悲しくないように。
「なぁ・・フェンリル・・」
いつもある返事がいつの間にか消えていた。
俺は微笑を小さく漏らし、フェンリルの躯を看る。
美しかった銀毛は光沢を失い、大半が抜け落ち地肌が見えるまで。爪はすべて抜け、牙も残すところ僅か。
生きているのも不思議なくらいだった。
「・・・逝ったのか・・」
目元の毛を湿らせ、彼女は安らかな表情をしていた。
幸せそうな、愛おしそうな・・そんな表情だ。
覚悟はできていなかった。
だが、悲しくはなかった。悔しくはなかった。
そう想うことはできなかった。
彼女のそんな表情を見てしまったから。
彼女は幸せだったんだ。なら、それでよかったんだ。
それで・・・それで・・
「・・今日はクリスマス・イヴだ。お前に最後のプレゼントをやるよ。いらないなんて・・言わないよな?」
優しく目を瞑って、耳元に唇をそっと近づける。

おやおや、どうしたのかな。
迷子かな。迷子かな。
おやおや、どうしたのかな。
眠いのかな。眠いのかな。
だったら、そこで眠りなさい。
貴方は独りじゃない。
みんないる。みんないる。
だから、安心して眠りなさい。
明日は知らないうちにくるから。
眩しい明日はね・・

「お前はどうしてそんなに綺麗なんだ?」
小さな、小さな人間の子守歌を銀狼に捧げ、俺は呟く。
俺には大きすぎる唇にキスを交わす。
     ーフェンリルー


<2011/05/13 23:53 セイル>消しゴム
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