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Wolves Heart 真実の心 − 旧・小説投稿所A

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Wolves Heart 真実の心

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トーゴが私にもたれ掛かって優しい眼を私にくれる。
常に冷える躯に人間の温もりをくれる。
「寒くないか・・?」
「・・暖かいよ・・」
今夜はクリスマス・イブと呼ばれる夜だそうだ。
翌日の聖なる日を祝う前夜なんだと。
外からはなにやらその準備に忙しく、楽しそうな声が聞こえる。
「トーゴ・・あ、貴方は・・い、行かなくてもいいの・・?準備・・しなくても・・いいの?」
ついに声帯にも崩壊が始まって・・
言葉が紡ぎにくい。
ここまで崩壊が始まったら・・私の命はもう・・僅かだ。
あとは・・脳の崩壊・・心臓の崩壊を待つだけ。
「・・お前を置いて何処に行くって?」
「トぉーゴ・・」
本当にこの人間はお人好しだ。
自分だって苦しいのに。楽しみたいのに。自分の事は考えずに・・私の事だけを考えて・・
本当に申し訳なくなってきた。自分が惨めに思えてきた。
「わた・・しね・・と・・ごにはね・・」
「お前・・声が・・」
困惑した表情を浮かべ私をトーゴが覗き込む。
私は目を瞑って、首を静かに横に振る。
心配しないでと。
「自分の・・した・・い事・・して・・欲し・・い。だから・・私の・・こと・・もう・・い・・よ・・」
「フェンリル・・」
「きょ・・は・・ず・・・と・・いっ・・しょ・・いて・・・く・・る・・?」
声帯の崩壊が激しく、言葉が掠れ、言葉自体が発声できない。
あぁ・・もう言葉になっていない。お願い・・伝わって・・私の思い・・最後の想いを・・ねぇ・・トーゴ。
「あぁ・・もう・・どこにも行かない・・ずっとお前のそばにいるよ・・だから・・逝かないでくれ・・」
もうすぐ四年になる・・よく血液摂取なしで三年も持ったものだ。
だけどもう終わり。やっと安心して逝ける。
彼を苦しめなくていいんだな。
彼は幸せになれるんだな。
「フェンリルぅ・・頼む・・逝くな・・もう少しなんだ・・もう少しで・・お前を助けれる・・一緒に暮らせるんだぞっ・・・」
「と・・・・ご・・」
彼が子供みたいに泣きじゃくって私に顔を埋めている。
こんな光景は毎晩毎晩、見て見慣れたものだった。
だけど、今夜は酷く愛おしく感じられた。
感じられて仕方なかった。
嗚呼・・もう少しだけ、もう少しだけトーゴと一緒にいたいよ・・どうして、生き物は自分の最後を悟れるのかな。
嫌だな・・逝きたくない。
だけど・・逝かなくちゃ。もう生きられないから。
ああ・・愛しいトーゴ。
貴方は私をどうして拾ってくれたの・・
私を助けてくれたの・・
私を愛してくれたの・・
全部・・全部・・好きだった。
貴方を苦しめる私を私は嫌いだった。
でも貴方は私を愛してくれた。看てくれた。
せめて貴方と一生を共にしたかった。
先に逝かなければいけない私を赦してください。
そして、最後に私の想いを聞いてください。
私は声帯を一気に崩壊させ、その振動で最後の言葉を紡ぐ。
「と・・ご・あ・・・し・・て・・・・ぅ・・」
私はそのトーゴを優しく抱き返していた。
私は人間を殺しすぎた。
もう転生をする必要はないんだ・・
もうこんな想いはしたくない。
トーゴだけで十分だ。
トーゴだけを思いたい。
これを初恋としたい。
トーゴをこれ以上忘れたくない。
だから、そろそろ・・眠るときなんだ。
狼が人間の世界に出しゃばっちゃいけないんだ・・
「・・・・とーご・・」
生きたい・・生きたい・・生きたい・・
トーゴと一緒にいたい・・いたいよ・・
どうして・・どうして・・どうして・・
  私はー
たった一粒の涙をこぼして・・・
        私は旅立つ。


いや〜
書いている僕ですが
もう号泣して書くのが大変です・・
困った困った。
ですがあともおう少しなので
よろしくお願いします。


<2011/05/13 23:53 セイル>消しゴム
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