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表裏一体 影の深淵 − 旧・小説投稿所A

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表裏一体 影の深淵

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「お前親はどうしたんだ?我じゃなくとも遊び相手なら他にいるだろう?」
「お母さんはいないし、お父さんは相手にしてくれないしお友達もいないもんっ・・・」
「・・・・」
母を幼くして亡くし、父は仕事で構ってもらえず、友達は上手く作れず・・
恐らくはそうだろう。
ハクッ・・
彼は少女の襟を咥え、背に乗せる。
「最近はこの洞穴に籠もりきりだったからな。ちょうど外に出ようと思っていた。良かったな。」
「うん!」
少女は元気に頷いた。

 * * * 

小さな雪が天から降り落ちる。
細かな雪の結晶が太陽の光に反射し、涙のように煌めく。
外は白銀の世界だった。
「っう!?」
「あはははっ!」
神獣の顔面に雪が舞う。
少女の投げた雪玉が命中したのだ。
「やったな!」
雪を妖力て操り無数の雪玉を生成、通力でそれらを飛翔させた。
「嘘ぉ!?」
もちろん少女は躱す事叶わず全弾食らう事となった。
命中した玉でバランスを崩し真っ白になってしまう。
「神獣さまぁ〜狡いですっ!」
「我の特権だ。卑怯ではないぞ。」
「ぶ〜・・」
両頬を一杯に膨らませ不満を露わにする少女。
「ハハッ・・悪かった。大人げなかったな。」
「も〜!」
「ベタベタに濡れたな。今日はもう帰れ。風邪をひくぞ?」
自分の濡れた服を摘み周りを確認すると少女は舌を出した。
「そうする。神獣さまっ、ありがと〜。バイバイ〜」
「ああ。バイバイ。」
彼に手を振り、笑顔でその場から去っていく。
腰を降ろし、彼もまた笑顔で前脚を振っていた。
「・・・はぁ〜、疲れた・・」
少女が見えなくなると長い溜息を一つ。
「子供は気楽なものだな・・現状を知らずに生きてゆけるのだからな・・・」
それと同時に先ほど笑った事に気づいた。
「笑ったのか・・・久しいな・・」
彼もまた洞穴に去ってゆく。
ただ、いつもと違うのは少し嬉しそうだったからである。

 * * *

「ひいぃ!お、お助けを!」
「黙れ・・」
闇夜の銀世界に命乞い。
表情に恐怖を張り付けた哀れな人間。
神獣の逆鱗に触れたようだ。
「お、恩なら返します!な、何でもしますから・・い、命だけはっ!」
「それなら・・我に大人しく喰われろ。」
「そ、それは出来ません!」
「何故だ?何でもすると言っただろう?いきなり約束を反故にしてもらっては困るな。」
「ほ、反故にしてはいませんっ!命を取らなければ何でもしますと言いました!!」
「黙れ!我は腹が減って今にでも満たしたいのだ!丸呑みにしてやるだけ感謝するがいい!」
ガパッ!ハグッ!
神獣は唾液の飛沫を撒き散らしその巨口を開いた。
そのまま有無を言わせずに人間を咥え込む。
ニチャ・・ヌチュヌチュ・・
ムググッ・・・アグッ・・
口内に収め舐め回し、牙を立て甘噛む。
瞬く間にべったりとした唾液を塗り込まれ、生臭さに包まれ吐き気を催す。
シュルッ・・ギュムゥ・・・
さらに神獣は舌を隙間なく巻き付け絞め上げる。
肉厚の舌が体を絞め付け味を搾り取る。
「っあっ・・んぅっ・・や、やめ・・」
ズルッ・・・ズズッ・・
舌・・口内に次第に傾斜がついていく。
唾液で摩擦のない体は神獣の体内に滑り落ちていく。
胃袋という地獄に続く片側通行の肉道に。
にゅるりと沈む喉肉に足が引き込まれる。
肉厚の舌に顔が埋まる。
体が・・心が神獣に呑み込まれる。
柔らかく、獣臭い肉たちに呑み込まれる。
「い、嫌だ・・死にたくない・・」
ゴクン・・足が呑み込まれる。
ゴクン・・腰が呑み込まれる。
ゴクッ・・胸が喉に取り込まれる。
「だ、誰かっ・・たすけっ・・」

 ゴクン

人間は生々しい膨らみとして神獣の喉を、食道を下ってゆく。
「我の胃袋で泣き喚くがいい・・ククッ・・」
腹を十分に膨らませ彼は涎を啜る。
ペロリと紅い舌が口を舐める。
「ゲフッ・・」
死臭の如きゲップを一つ。



<2011/05/13 23:18 セイル>消しゴム
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