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【保】敵討ち − 旧・小説投稿所A

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【保】敵討ち

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そろそろ頃合いか。
そう思った黒竜はそっと少女のことを吐き出した。
少女は軽い寝息をたててぐっすりと眠っているようである。

「魔法がしっかり効いたみたいだな」

黒竜は自分がこっそりかけた魔法がしっかり効いているのを確認すると、傍にあった井戸を器用に使って水を汲み上げる。
そして自らの鋭い爪で傷付けないよう細心の注意を払いながら少女に付着した自分の唾液を洗い流した。

「そろそろ帰るか。……まさかあの変り者に頭を下げる日が来るなんてな」

黒竜の頭の中にいつも変な薬ばっかり作る変り者として有名な竜の顔が思い浮かぶ。
しかし今回はその薬が役に立ちそうなのだから、認識を改めなければならない。
黒竜と少女の姿が徐々に薄くなり始めた。
そして数十秒後にはこの世から一人と一匹が消えたのだった。


それから少し経って、幻獣たちが住まう世界で衝撃的なニュースが駆け巡った。
とある竜が連れて帰ってきた人間の少女を薬を使って竜にして、夫婦になったというのだ。
プライドが高いことで有名な竜がそんな真似をするわけないと他の幻獣たちは半信半疑でその竜のことを見に行ったのだが、そこで彼らはそれが事実であるということを思い知らされた。
人間と竜を掛け合わせたような姿をした竜人と、それにいとおしそうに寄り添う黒竜。
その光景だけでその噂が事実であるということを容易に推測出来た。

「そんなにおどおどしなくても大丈夫だ。ひとの伴侶に手を出すような輩はいない。……もうお前を一人にはさせない。だから安心してくれ」

黒竜は竜人となった少女をそっと抱き寄せ、そう囁く。
召喚士と召喚獣の関係から夫婦となった両者の新しい生活はまだ始まったばかりである。

お し ま い



<2011/12/09 22:22 とんこつ>消しゴム
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