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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第78話☆

1 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/19(土) 17:52:55 ID:j3+3lXs2
魔法少女、続いてます。

 ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレです。


『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
  あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をしたほうが無難です。
  ・オリキャラ
  ・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
  ・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)

『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
  投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
  SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
   「1/10」「2/10」…「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。

【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
  読み手側には読む自由・読まない自由があります。
  読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶことが出来ます。
  書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけてください。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
  頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントすることが多発しています。
  読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。

『注意情報・臨時』(暫定)
 書き込みが反映されないトラブルが発生しています。
 特に、1行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えることがあるそうです。
 投下時はなるべく1レスごとにリロードし、ちゃんと書き込めているかどうか確認をしましょう。

リンクは>>2


2 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/19(土) 17:53:39 ID:j3+3lXs2
【前スレ】
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第77話☆
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1215487997/l50


【クロスものはこちらに】
 リリカルなのはクロスSS倉庫
 http://www38.atwiki.jp/nanohass/
 (ここからクロススレの現行スレッドに飛べます)

【書き手さん向け:マナー】
 読みやすいSSを書くために
 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5301/1126975768/

【参考資料】
 ・Nanoha Wiki
  ttp://nanoha.julynet.jp/
  (用語集・人物・魔法・時系列考察などさまざまな情報有)
 ・R&R
  ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/data_strikers.html
  (キャラの一人称・他人への呼び方がまとめられてます)

☆魔法少女リリカルなのはエロ小説☆スレの保管庫
 ttp://red.ribbon.to/~lyrical/nanoha/index.html  (旧)
 ttp://wiki.livedoor.jp/raisingheartexcelion/d/  (wiki)



3 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/19(土) 21:17:55 ID:iKf/Vu8v
乙です!

4 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/19(土) 22:18:24 ID:5ChVnYOA
>>1乙!
ところで前スレ>>695こええww(主になのはさんが)

5 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/19(土) 22:30:44 ID:PGNwlLit
>>1

前スレ最後のデカ文字がまったく読めない件

6 名前:ザ・シガー:2008/07/19(土) 23:02:45 ID:OYzcEoCH
投下しま〜す。

非エロでオリキャラの話、前に投下した「風の癒し手 恋をする 彼の場合」の後編です。
「風の癒し手 恋をする」の番外編となっております、そして今回もリリなのキャラはほとんど出ませんのであしからず。

そういうの駄目な方は全力でスルーしてくださいね?

7 名前:風の癒し手 恋をする:2008/07/19(土) 23:04:22 ID:OYzcEoCH
風の癒し手 恋をする 番外編 彼の場合(後編)


自分は面白みや色気のない人間だと思う。
トレーニングで身体を鍛え、訓練で技を磨く以外にこれといってなにか面白みのある趣味なんてそうない、本当に色気の無い男だ。
それでも女に興味が無い訳じゃない、溜まるものが堪れば風俗(ソープとか)にも行くし、一年近く前になるが恋人がいた。
高官付きの秘書官だった。まあ、色々と互いの時間が取れない関係もあって別れてしまったが。

少なくとも色恋や愛というものを理解しているつもりだった。
でもそれは大きな間違いだった、あの日あの人に出会って全てが変わった。
愛というものの概念が変わった、恋という言葉の意味を真に理解した。

あの晴れた日、白衣に身を包んだ天使に出会ってから…





「失礼します」


ケビンは仲間に肩を貸しながら医務室のドアを潜った。
部屋の中には当たり前だが医務室特有の消毒液の匂いが充満しており、鼻につんとくる。
だがその日はその匂いの中になんとも言えない甘いものを感じた。
まるで花のような甘く芳しい芳香が彼の鼻腔を刺激する。


「はぁ〜い、今診ますね」


声をかけられた医務官がそう答えながら部屋を仕切っていたカーテンを開けながら答えた。
開かれた純白のカーテンの間から顔を覗かせたのは、カーテンと同じく純白の白衣に身を包んだ美女だった。
肩口で切り揃えられたショートボブの金髪を揺らしながら、その女性は温かく優しい微笑と共にケビン達を迎えた。
彼女の姿を見て、ケビンに肩を貸されていた同僚は聞こえない程度の小さな音で口笛を吹いて感嘆する。
女に餓えている若く屈強な武装局員には願っても無い見目麗しい美女なのだから仕方あるまい。

だが隣の同僚のそんな仕草はケビンにはまるで聞こえていなかった。
彼はまるで時がその瞬間に止まってしまったような錯覚に襲われていた。
それこそ世界の全てが静止したような感覚、そして同時に背筋を形容し難いむず痒いような電撃が駆け抜ける。
胸には甘くてそれでいて苦いような切なさが満ち、恋という名の病が彼の心を瞬く間に侵し尽くしていった。


「それじゃあ、こっちに来てください」


白衣の医務官はそう言って彼らを近くのベッドに誘った。
彼女の言葉に一瞬空白となっていた意識を取り戻したケビンはその言葉に従い、言われるままにそのベッドの上に腰掛ける。
女性は腰掛けた二人に近づくと手早く傷に手を当てて診察し始めた。
彼女はまずケビンに手をかざして、治癒魔法を行使。淡い緑色の魔力光がどこか心を落ち着かせるような気さえするとケビンは思った。

傷を負った足に細い指が添えられ、柔らかな温もりと共に傷を癒していく。
祈るように瞼が閉じられどこか神秘的な美しさをかもし出している。
そして間近に迫った事でその輝く金髪から漂う甘い香りが、たまらなく鼻腔を溶かしていく。
治療を受けながら、ケビンは彼女の姿に心を奪われた。


「痛くない?」


8 名前:風の癒し手 恋をする:2008/07/19(土) 23:05:30 ID:OYzcEoCH
「へ? ええ……大丈夫です」


彼女の言葉にケビンは思わず顔を僅かに朱に染めて返事をする。
激しい訓練後の煤けた顔の為に彼が頬を紅潮させた事が悟られる事は無かったが、彼の心臓はリズムのテンポを上げて鼓動を早めた。
胸の内に芽生えた淡いざわめきに気分が甘くなっていくが、それは永く続かなかった。
元よりそれほど大した傷で無かっただけに、治療は速やかに終了して彼女はケビンの身体から離れた。


「これでよし、もう大丈夫ね」


傷がすっかり治癒したのを確認して、彼女はまたニッコリと輝くような微笑を浮かべる。
彼女は次いで、ケビンと一緒に医務室へ来た同僚の治療を始める。
同僚への治療もまた速やかに終わりを告げ、二人の軽傷は瞬く間に癒えきった。
傷が癒えればもう用は無い、ケビンは同僚と共に医務室を後にしようとする。
だがその帰り際、彼は足を止めて振り返った、どうしても彼女から聞きたい事があったから。


「その…どうもありがとうございました」
「どういたしまして、これからは気をつけてね?」
「はい……それで…その、一つ聞いてもよろしいですか?」
「なにかしら?」


首を傾げて尋ねるその仕草をひどく愛くるしいと感じたのが、恋に落ちた者の贔屓目だったのかは分からない。
でもケビンは胸の内にまた甘い思いが湧くのを感じた。


「その…よければ名前を…」
「そうそう、俺も聞きたかったなぁ〜。是非とも教えてくくださいよ〜」


隣の同僚が下心丸出しで口を挟んでくる。
ケビンはふと心中に沸いた鉄拳を食らわしたくなる気持ちをグッと堪えた。
だが同僚のそんな言葉にも彼女は嫌な顔一つせず笑顔で彼らに答える。


「ああ、自己紹介がまだでしたね。機動六課から来ました医務官のシャマルです、しばらくお世話になりますね♪」


軽く頭を下げて、シャマルは今までで最高の笑顔で彼らに微笑む。
あまりの眩さにケビンは眩暈すら覚えた。





「はぁ…」


時空管理局地上本部所属第87部隊の隊舎内部の食堂、昼時で賑やかなそんな場所で、なんとも不景気な溜息を吐く男が一人。
ケビン・D・スミス、最近風の癒し手に恋をした武装局員の青年である。
シャマルに会ってからというもの、ケビンはまるで熱に浮かされたように彼女の事ばかり考えていた。
完全な恋の深みに陥ってからというもの、彼はまるで空気の抜けた風船のようで。
どんな時でもシャマルの顔が脳裏に浮かび、訓練やトレーニングもままならない状態が続いていた。

9 名前:風の癒し手 恋をする:2008/07/19(土) 23:06:04 ID:OYzcEoCH
そして、彼のそんな状態を心配しないほどこの部隊の同僚は薄情ではない。

少しばかり離れた席に集まった同じ小隊の同僚数人が、ケビンの様子を観察しながら食事と共に言葉を交わしていた。


「なあ、ダニーの奴どうしたんだ? 最近まるでフヌケてんぜ」
「なんかボケっとしてんよなぁ。なんかあったのかねぇ」
「なんか心当たりとかあるか?」
「ああ〜、分かんねぇな」


視線の先には件の同僚、ケビン・D・スミス。彼は相も変わらず気の抜けた顔でボケっとしていた。
ここ最近の彼ときたら、何も無いのにロッカー室ですっころんだり、防御魔法の術式の構築を間違えて黒焦げになったりと散々だった。
今までの彼がそれなりに優秀な武装局員だっただけに同僚一同には気にかかる話である。
そしてそんな風に彼の様子を眺める数人の同僚に声をかける男が一人。


「俺なら心当たりあるぜ〜」
「なんだローランド? お前知ってんのか?」


男の名はローランド・エメリッヒ、ケビンと共にシャマルの治療の世話になった87部隊有数の女好きである。


「ありゃアレだ、恋だよ恋」
「恋〜? マジかよ? 相手誰だ?」
「この前ダニーと一緒に医務室行った時に会った六課の医務官の姉ちゃんさ、ありゃ一目惚れだね」
「六課の医務官さんねぇ、俺まだ見てねえけどどんな女だ?」


その質問にローランドは顎に手を当てて思案顔をして、シャマルの美貌を思い出しながら感慨深げに答えた。


「こう言っちゃなんだがかなりレベル高いな。良い女だったぜ〜♪」
「マジか!? どんなタイプよ?」
「なんつうか、おっとりしたホンワカ系って感じだな」


彼のその言葉、シャマルの説明のくだりを聞いて同僚の一人は不思議そうな顔をした。


「へぇ〜、てっきりクール系な姉ちゃんかと思ったぜ」
「あ? なんでそうなんだ?」
「いや、ダニーの昔の彼女ってそんなタイプだったろ」
「なになに、あいつって彼女なんかいたのか?」
「ああ、メガネかけたきっつい性格で背の高え秘書官の姉ちゃんだったわ」


10 名前:風の癒し手 恋をする:2008/07/19(土) 23:07:51 ID:OYzcEoCH
「へぇ、そりゃ知らんかった。まあ、んな事よりも…」


ローランドはそう言いながら視線をケビンに戻す、彼は相変わらず間の抜けた顔でボケッとしながら昼食のスプーンを進めていた。


「同僚の恋路にアドバイスといきますか」


そう言って彼はケビンの席へと歩み寄り、彼の肩を叩いた。
ケビンは肩に触れた手の感触に僅かな間をおいて反応して振り返る。


「ようダニー、なんだか元気ねえじゃん」
「ああ…ローランドか。別に元気ないって訳じゃ…」
「シャマル先生の事でお悩みか?」


その言葉にケビンは面白いくらい動揺した。
椅子から転がり落ちてしりもちを付き、床を転がる。
顔に至ってはトマトのように真っ赤になっていた。


「な、な、な、な、なんでお前がそんな事を!?」
「俺はなんでも知ってんのさ、それじゃあ恋の先輩から何かアドバイスをしてやろうか?」


ローランドはそう言いながらケビンの肩に腕を回して含みを込めたいやらしい笑みを浮かべた。
どうやら普段真面目なケビンを弄る事が出来て随分嬉しいらしい。


「アドバイス?」
「良いかダニー、女なんてのは素敵なプレゼントに気の利いた愛の言葉でイチコロだ。この恋の伝道師がその辺キッチリ教えてやるよ♪」
「い、いらないよ! そんなうさん臭い」


同僚の明らかに悪ノリした様子にケビンは明確な拒絶で返した。
どうせ彼は自分をおちょくって楽しむに決まっている、その経験から導かれる思考からすれば当たり前のことではある。
そんな彼にローランドは肩に回した腕に力を込めて頬ずりして伸びた無精ヒゲを擦り付けた。


「オイオイ、つれないじゃねえの」
「ああもう! くっ付くな! ってか痛い!!」


同僚の悪ふざけにケビンはそう叫んだ、伸びたオッサンのヒゲの剛毛はなんとも言えない凶器だった。





俺は考えた、何度も何度も考えた、どうやってシャマル先生にこの思いを打ち明けようかと。
しかしどれだけ考えても、彼女に思いを告げるための良いアイディアなんてでてこない。
そんな折にうさんくさい同僚からのアドバイス。
ローランド、あの軟派男はプレゼントが重要だとか貴金属だとかなんだとか言っていた。
先人の知恵に習うのは良いことだ、あいつは少なくともこういう分野では頼りになる男ではある(少なくとも俺よりはという意味で)。
だが何か贈るとなっても良いアイディアなんてもちろん思い浮かばない、だから俺は直接本人に聞く事にした。

11 名前:風の癒し手 恋をする:2008/07/19(土) 23:08:24 ID:OYzcEoCH
そして得られた回答は王道的と思われるアクセサリーという答え、俺は厳選に厳選を重ねて彼女に似合いそうなネックレスを購入した。
俺は、これから医務室に向かいこれを渡して告白する。
なんて言えば良いか分からない、気の利いた愛の言葉なんて思いつきもしない、そのうえ一歩一歩医務室に近づく度に緊張で心臓が爆発しそうだ。
でも今ここで止まる訳にはいかなかった、今更引き返すなんて出来はしない。

医務室のドアを前に一度深呼吸、新鮮な空気を肺胞に送り血液に酸素を巡らせる、少しだけではあるが落ち着きを取り戻した。

内ポケットに仕舞ったシャマル先生へのプレゼントを確認し、俺はドアを開けて彼女の待つ医務室へと足を踏み入れた…



本編へ続く。


12 名前:ザ・シガー:2008/07/19(土) 23:10:58 ID:OYzcEoCH
投下終了です。
この後に本編のエロ編に続くって感じです。
シャマルの恋人だからちゃんとキャラクターや背景を作ってあげたくて七転八倒しました。

しかし、エロなくてすません〜、次投下する時はきっちりエロい奴仕上げますんで。

13 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/19(土) 23:38:03 ID:j3+3lXs2
乙乙。個人的にはこっちのほうが本編序盤でも良かった
レジなのに外道主も待ってるよー

14 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/19(土) 23:44:24 ID:rKpUYli5
>>1乙!
>>4
次辺りなのはさんでヨハネスブルグの改変でもきそうだなw

>>5
多分だけど「次スレッ!」

>>12
GJ!
俺もレジなのを激しく待ってます

15 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 00:14:35 ID:gNipR+HS
つ 「教導隊のガイドライン」

16 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 01:00:13 ID:gWS2V5S6
前スレ697に吹いたw
最近ギャップ萌えに目覚めそうだぜw


ところで、ちょっと聞きたいんだがいいかな。
保管庫に肝だめしネタかお化けネタってない?
エロ、非エロ問わずで。何か急に読みたくなったんだ。

17 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 01:03:01 ID:JsLr5EqR
>>16
ttp://wiki.livedoor.jp/raisingheartexcelion/d/%b4%ce%bb%ee%a4%b7%a4%ce%bb%f6%a4%cb%a4%c4%a4%a4%a4%c6

18 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 01:10:30 ID:RO747lpy
で、アギトがエトナくらいのサイズになってゼストの嫁になる話はまだですか?

19 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 01:31:31 ID:NG9rpZgD
結構前に、
「ヘン! バッテンチビに出来てアタシに出来ない筈が無い! 見てろッ! アウトフレーム!」
「ああっ、こっちはシグナムと同じぐらいのサイズにッ……」
とか言って、アギトもでかくなるのを考えた。そっから先が全然思い浮かばんかった。


20 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 01:34:17 ID:gWS2V5S6
>>17
ありがとう、情報感謝。

いやー、夏はびっくりどっきりイベントが多くていいねえ

21 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 01:43:10 ID:tELnT8ka
サウナ

熱い

もうもう湯気る中3人の男が向かい合わせに座っていた
一方は二人組みで片方はまだ男というには未だ幼かったが
エリオとヴァイスははまじまじとゼストを見た、股間のとこ、タオルがもう…その、すごい感じでマウンテンな感じになってる
…ティムもびっくりするぐらい

(で…でけぇ…何だありゃ…おい…)
同じ男としてヴァイスは言いようのない敗北を感じていた
(…って言うより何で勃ってるんですか!スタンバイ?しっ…しかも何か微妙に動いてるし…)
エリオも威圧されるようなプレッシャーを感じていた、動いてるし
(お…オレが知るかよッ…)
尻たくも…もとい知りたくもなかったし


「…む?」
そんな二人の様子にまったく気がつかず、むっつりとたくましい胸の前腕を組み
考えごとをしていたゼストはひょいとそのタオルを持ち上げあた

「おわぁ!」
「うひゃぁ!」
二人は声を上げた



「…すまんアギト、忘れていた…」
「うひゃらけ〜らぁんなぁ〜〜〜×◇×〜〜」


「「…な〜んだアギト(さん)だったのかぁ〜w       …ってオイ!」」

二人は同時に突っ込みを入れた、何でそんなとこに入れてんだよと
言いたかったのだろうが
暑さで思考能力も限界に来てたし、そこでバッタリと二人は倒れた



















22 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 03:01:05 ID:JJCuuqbs
そんな風によぉ…普通に六課メンバーと交わってよぉ
仏頂面でドタバタに加わってよぉ…なんやかんやで楽しそうにやっててよぉ…そんでレジアスと酒でも飲みながららっせらーらっせらーやってくれりゃよぉ…
なんで死ぬんだよゼストよぉ…
もっとシグナムとアギトの3Pしたりメガーヌの介護したりメガーヌに介護されたりメガーヌがルーに「新しいお父さんよ」って紹介したりチン○とにゃんにゃんしたりよぉ…しろよ旦那よぉ…死ぬなよぉ…

23 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 03:18:27 ID:rsEVUWcD
アギトがwwwwwアギトがwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

24 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 03:24:52 ID:m+bKloud
3Pとかはともかく、レジアスと酒を飲んでるシーンは見てみたいな。
つかアギトはサイズ上無理w

25 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 03:32:59 ID:Vn1svVCG
>>24
何故か生きてたレジアスが居酒屋「中将」を経営
たまに呑みにくる、こちらも何故か生きてたゼストが呑む酒は
アギトがバイトで入ってた酒を使ったアギト酒
常連さんに人気の一品

とか変な電波が

26 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 03:38:50 ID:rsEVUWcD
>>24
がんばれば入るってLOの偉い人が言ってた

27 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 03:43:05 ID:JJCuuqbs
うむ。

ようこそ、居酒屋「中将」へ。

このアギト酒はサービスだ。まず飲んで落ち着いてくれ。



あぁ、「(生き恥さらしながら)まだ(生きてる)」のだ。済まん…

官局の白い悪魔の顔も、と言う…謝って許してもらおうとも思っていない。



しかし、このアインヘリアルを見たとき、お前は、きっと言葉では言い表せない

「平和への志」みたいなものを感じてくれたと思う。

殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい。

そう思って、このアインヘリアルを製造したのだ。



じゃあ、注文を聞こうか。


28 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 04:02:38 ID:45Fik8Tj
居酒屋「中将」・・・・なんか良いな。

昔、リリなのシリーズのラスボスが何故か翠屋で高町兄妹と絡むという電波を受信し、挫折したことあったっけ。
無印ボス プレシア
A'sボス リインフォース
stsボス  スカリエッティ

29 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 07:20:43 ID:W1WG3NPw
アニメのボスは全作なのはではないのかと聞いたことが…

30 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 07:56:10 ID:ov/FRfLz
レジアスはおでん食ったり安酒呷ったりしながら愚痴ってる姿しか想像出来ないなw

31 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 08:47:40 ID:jjexgA58
ソープナンバーズみたいにシリーズ化されたりしてw

32 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 09:44:13 ID:txzR6Jws
 にぎわう居酒屋の見える路地裏にて…

元部下「しかし、中将までなされた方が居酒屋の主人というのは…」

オーリス「…いいのよ。あんなに笑っている父さん、久しぶりに見たわ」

33 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 11:05:15 ID:eXv9O3CL
>32
見える!
若い、ヤクザ映画に出ていた頃の高橋英樹みたいな板前が以下略。

34 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 11:25:52 ID:7sbTbW6b
21禁とはいえ平均年齢高すぎだろこのスレwww

35 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 11:52:26 ID:NBuZsWO+
>>34
今は18禁だがな。

36 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 13:16:46 ID:UbnQO6kr
いまだに21禁とかいうやつは阿呆としか思えん。

37 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 15:11:46 ID:txzR6Jws
しかし実際その辺りの情報って、専プラ使いは見ない場所だと思うんだが。

38 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 15:28:20 ID:Ixirmn2y
肉体的に21歳だったり18歳でも、中身が中学生かそれ以下並ってのが大量発生している昨今だからなあ
ネット上の行動で成年者だと判断されるように振る舞ってくれれば実際に未成年でも良いよもう

39 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 15:30:33 ID:tELnT8ka
※精神年齢18歳以下の方の閲覧はご遠慮願います

こうですか?

40 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 15:33:02 ID:RO747lpy
なのはどころかとらはですらない雑談はやめようよ

41 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 16:38:35 ID:28fgCfba
>>37
もうレギュレーション変って2年近く経つのに知らないってのはどうかしてる。
どこのスレでも今時21禁なんて口に出せば失笑されそうなもんだ。

42 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 16:53:34 ID:gWS2V5S6
リインを育てるゲームが欲しい。

43 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 17:05:36 ID:82UShFpp
>>42

ttp://www.illusion.jp/preview/hako/index.html

足りない部分は勇気で補え

44 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 17:26:44 ID:MGezu6lC
リインって何で出来てるのかよくわからんのよね
原材料は魔力100%なのか?

45 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 17:30:20 ID:Zlxc+8x+
>>44
なにかこうリリカル的なもので

46 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 17:52:28 ID:AnTlLZ4y
なにでできてるって、きっとユーノの趣味だな

47 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 18:08:06 ID:AN63qh0l
>>46
なしてユーノと?

48 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 18:08:31 ID:A0z9g5EK
>>44
体は剣で出来ている

>>46
ごめん意味が全く分からない

49 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 18:08:31 ID:aoLU5j6j
はやてのリンカーコアを株分けしたって話をどっかで聞いたが。

50 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 18:13:01 ID:3eNxW4oJ
体や仕様はユーノが設定・製作したんだよ
んで、魔法の源であるリンカーコアだけをはやてから分けてもらったんだ


まあ、末っ子にしてくれっていう要望ヴィータから出てたからロリインになったわけで、ユーノの趣味ではない…………と信じたい

51 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 18:13:59 ID:NBuZsWO+
>>50
妄想混じりすぎ。

52 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 18:15:51 ID:MGezu6lC
>>49
それは知ってるんだけどさ、さすがにリンカーコアをこねまわして
あの形に形成してるわけでもないと思うわけさ
同じユニゾンデバイスのアギトなんか作られて相当経ってるみたいだし
もしかしてリリカルウム合金みたいなもんがあるのかしらん

あとユーノの趣味ってのは製作途中でユーノも協力してるとかそんな
感じの話があるからでね?

53 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 18:15:50 ID:aoLU5j6j
リイン開発の際に、ユーノの協力を得てるからだろ。恐らくはユニゾンデバイスの資料関係で。

だがそれを言うなら、むしろマリーさんの趣味の方が強く出る気もするな。開発のメイン技術者は彼女だったはず。


54 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 18:20:18 ID:E0SZ1fB0
だからその手の議論は他所でやれと何度・・・

55 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 18:23:09 ID:0Xk5KuNU
リインの製造はユーノがユニゾン機の事を調べ、
其れを元にマリエル(マリー)が
開発してはやてのリンカーコアを与えたと言う感じだと思います。

56 名前:44:2008/07/20(日) 18:24:37 ID:MGezu6lC
うむ、確かに考えて答えの出るものでもなかった、すまない。
まあ自分で適当な理由を考えてみる。


57 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 18:26:37 ID:z9/MyB0U
リインフォースUの制作は、はやて・マリエル・ユーノが関わっているようです。
公式ソースはA'sのSS03だそうです。気になる方は聞いてください。


以上終了

58 名前:シロクジラ ◆bsNe6z3qW2 :2008/07/20(日) 19:56:18 ID:FAOs2MNw
「嘆きの中で」2話の投稿をしますー。
注意点は
・STSアフター(4年後)
・設定改変バリバリ
・死亡してるキャラが多い(機動六課など)
・シリアス

では行きます。

59 名前:シロクジラ ◆bsNe6z3qW2 :2008/07/20(日) 19:58:18 ID:FAOs2MNw
今日もまた、クラナガンは戦場だ。次元世界有数の繁栄を誇るミッドチルダの超大型都市は、未だテロリズムの渦巻く魔境である。
本来、管理局にとっての天領のような直轄地であるミッドチルダは、何処よりも治安が保証されていなければならない。
だがしかし、現実問題、死者が少ないとはいえテロは後を絶たず、地上本部は今日もてんてこ舞いであった。
すべてが変わってしまったのは、思えば4年前の<聖王の揺り篭>浮上――悪名高い<JS事件>の最終段階からだろうか。
多くの管理局員が死傷し、管理外世界の住人にまで死者が出た<ジェイル・スカリエッティ事件>は、時空管理局にとっては悪夢そのものの事件だった。
事件の最終段階では、エース級の人材を集めて結成された試験的少数精鋭部隊、機動六課のエースたちも斃れ、死に果てた。
僅かな生き残りの奮戦で、なんとかロストロギアの完全起動と云う事態は避けられたものの、
首謀者である広域次元犯罪者ジェイル・スカリエッティは行方不明となり、彼の生み出した戦闘機人――身体を機械化した人造生命――の多くも捕り逃した。
混乱の最中、当時の地上部隊の司令官レジアス・ゲイズ中将は暗殺され、裏で内通していたとされた時空管理局最高評議会の面子も死亡。
多くの謎と嘆きを残して、事件は終結したとされた。

(納得できるわけ、ねえよな)

男はそう思いながら、機動六課の死者の魂が眠る墓地への階段を登った。
茶髪の髪を短く切り揃えた男は、長身だ。今年で30歳になるというのにその顔は童顔で、実年齢より若く見える。
藍色のコートを羽織った男の手には、大型のボルトアクション式狙撃ライフルに酷似した狙撃銃のデバイス、ストームレイダー。
そのスコープの倍率はストームレイダーのAIの調整により、現在は近距離用の仕様で、何時でも敵を撃てるようになっていた。
構えられる銃口はやがて、雨が降り止み、濡れた石畳の続く開けた墓場へと向けられた。一通り見回したが、敵の影は無く――見覚えのある少女が立っているだけだった。
彼女の斜め後ろには、ばらばらに吹き飛んだ大型陸戦ガジェットドローンの骸である、機械部品の山。
ストームレイダーの銃身を支えていた左手を掲げ、声をあげた。

「スバル! 襲撃されたってのは本当か?」

無言で宙を睨んでいた青い髪の少女、スバル・ナカジマはデバイスをクロスミラージュを残して待機状態に。
バリアジャケットも展開を解除し、局員の制服に戻してヴァイスのほうに顔を向けた。

「ヴァイスさん! どうしてここに」

「匿名で通報があってな。近くにいた非番の俺が呼び出されたわけ。もうすぐ地上本部の部隊が駆けつけると思うぜ……っ?!」

スバルの左腰のガンホルスターに差された、自動拳銃型デバイスを見たヴァイス・グランセニックの顔が、一瞬驚きに染まった。
過去の残滓――胸の痛み――亡くしてしまった人の形見。ついぞ、彼女の死に様すら知らずに戦っていた自分が憎い。
もしも生きていれば、今頃執務官になるという夢を叶えるべく頑張って、20歳になっていたであろう娘。
ティアナ・ランスター。ヴァイスの心に残る、努力家の娘の名であり、最期まで戦い抜いた戦士。
そして――接吻を交わした、愛し合った仲だった少女。
奥歯を噛み締めながら、狙撃手は言った。

「それ……ティアナのか」

「……はい。あたしは、この子とマッハキャリバーで、先日執務官になりました」

「そうか……あいつの分まで、頑張ってくれ、頼む」

そう言うと、ヴァイスはスバルの横を通り抜け、ずらりと並んだ墓標の群れの中からティアナの墓石を探し出した。
ちょうど管理局員だった兄ティーダ・ランスターの墓の隣に造られた墓の献花台には、スバルのものと思しき白い花が添えられていた。

(ああ、あいつはこういう花が好きだったっけ)

雨粒のついた花びらは清く、素直じゃなかったティアナとはかけ離れたもののように思えた。
右手のストームレイダーは、無言。ただ主の悲しみを汲み取り、じっと言葉を発することに耐えていた。
ぽつり、とヴァイスが洩らした言葉が、スバルの鋭敏な耳に入った。

「ほんとはな、あの事件が一段落して、お前が結婚適齢になったら、渡そうと思ってたんだよ。指輪。
古臭い習慣かもしれないけどよ、こういうの、俺の生まれ故郷じゃ大事にしてた。だから――お前に渡せなくて、残念だよ」

ストームレイダーを片手にそう呟くと、決意を秘めてスバルに向き直り、言った。
雨上がりの空は、夕日が沈みかけていた。雲は視界の端に引いていき、鉛色だった空が赤く染まっていく。


60 名前:シロクジラ ◆bsNe6z3qW2 :2008/07/20(日) 19:59:13 ID:FAOs2MNw
「俺にできることがあれば、言ってくれ」

敵討ちなんですか、と云う言葉を腹の底に飲み込んで、スバルは黙って頷いた。
それしか、できそうになかった。

無言の空間に、不意に電子音声が鳴り響いた。
デバイスへの通信――空間モニターが展開され、スバルの眼前に地上本部オペレーターの顔が映り込む。
地上本部勤務の男が、焦ったように言った。発信元は司令室であり、つまりはスバルの今の上官からの指令だ。

《ナカジマ執務官! クラナガン27番街に、ガジェットドローンが出現しました! 4年前に確認されたV型と同型のようです。
今は地上本部付きの陸士部隊で応戦していますが、AMFが強力で、近代ベルカ式の魔導師が必要です》

ついさっき撃破した陸戦型に続き、またもスカリエッティの生み出した戦闘機械の出現。
なのはの「<JS事件>は終わっていない」と云う言葉を思い出しながら、スバルは墓地の門まで向かった。
別のウィンドウに開いた地図で敵の位置を確認し、通信官に向かって叫ぶ。

「わかりました。すぐに向かいます!」

通信を切ると、ヴァイスのほうに向き直り、一礼しながら走り去った。
外にはスバルの足である単車が待ち構えており、その青い外殻を雨粒に濡らして待っていることだろう。
ふと、足音。スバルの聴覚は、その足音がヴァイスのものだと告げていた。

「ヴァイスさん、貴方は今日非番でしょう」

この狙撃手の藍色のコートは、地上本部付き魔導師の制服ではなく、あくまでヴァイスの私物だ。
ようするに本来この場所で死者を悼んでいていい身分なのだが、ヴァイスの答えはあくまでこの男らしいものであった。
陽気な笑みを浮かべ、愛銃ストームレイダーの明滅――待機状態に戻しながら、単車の鍵を取り出す男。
スバルの緑色の瞳を見据え、言う。

「あのな、こんなとこで油売ってる暇あったら、仲間を助ける。それが機動六課の生き残りとしての俺の流儀だし、
あいつが一番望みそうなことなんだ。俺にだって良いとこ見させてくれよ」

「……ありがとうございます」

二人は各々の単車に跨り、エンジンを起動させた。
水素で稼動する先進技術使用の普及型大型バイクが、静音性に優れた特性を発揮して滑らかに車輪を回転させた。
走り出す――過去に残した胸の痛みと共に。


暴力としか云えぬ、圧倒的破壊をその異形はもたらした。
大都市クラナガンでも旧市街と呼ばれる大通り――旧市庁舎や水道局の建物、そして雑貨店が立ち並ぶ街並みは、本来人通りに溢れたものである筈だった。
都市の景観に配慮して高さを抑えて造られた旧市庁舎は、今の基準で見れば機能的には不十分であるとされ新市庁舎に機能が移転されたが、
未だにこのクラシックな、古き良きミッドチルダを感じさせる建造物は市民から愛されており、戦禍とは程遠い存在であった。
そう、今日の夕暮れ前までは。
黎明から続いた雨の降り止んだ頃、昼前から在る不審な無人車両の報告を受けた地上のパトロール班は、この車両への臨検を実施した。
車両は、大型の密閉式コンテナを積んだトラックで、巨大な箱型のコンテナの内部は何か途方もない重量物が詰まれているらしく、
動かすこともままならない。困り果てたパトロール班は、扉を開けずに――爆発物が積まれていた場合の爆発を避けるため――探査魔法を使用。
これがいけなかった。
魔力の使用をセンサーで感じ取ったそれは、もぞりと、蠢き――その赤いセンサーを灯した。
瞬間、発射された光の槍がコンテナの扉を飴のように融かし、扉の前で探査魔法を使っていた陸士の身体を蒸発させた。
極太の熱線は、さらに大気中を突き進みながら進路上の物体を融解させ、アスファルトを沸騰させる。
呆然とするパトロール班の前で、コンテナを突き破って異形の戦闘機械は降り立った。
異形の姿を一言で言い表すならば、数珠繋ぎになった球体。
人間を数人飲みこめそうな程の直径の球体が、連結器によって繋がり、一つの球体から二対ずつ生えた脚部によって大地を引っ掻き回しながら歩行する。
その一つ一つにセンサーと熱線を放つ砲門が備えられた、巨大な機械の芋虫。
ガジェットドローンと呼ばれる、魔導師殺しの兵器。魔力の運用を難しくする広域AMFを展開しながら、その異形は金属の装甲を震わせた。

「ガジェットドローン……? そんな、<ジェイル・スカリエッティ事件>は終わった筈だ……」

声を嘲笑うかのように、レーザー砲が灼熱の地獄を生み出した。

61 名前:嘆きの中で ◆bsNe6z3qW2 :2008/07/20(日) 20:00:35 ID:FAOs2MNw
そして今、夕暮れの街並みに、装甲車と結界が作り出す戦場があった。結界による一種の隔離空間で、
管理局の装甲車が異形の戦闘機械を遠巻きに包囲し、その陰から杖を突き出した武装局員が魔力弾を放つ――重厚な装甲に弾かれる。
辺り一面は火の海で、撃破された装甲車の破片がごろごろ転がっていて、応戦する陸士に無傷の者はいない。
皆、何処かしら傷つきながら杖を掲げ、魔法を放ってガジェットドローンに反攻する。しかし、致命傷は与えられず。
装甲車に向け放たれる熱線――飴色に融ける装甲車が、水素エンジンに引火、大爆発を起こした。
爆発の熱波で多くの陸士が吹き飛ぶ中、炎の海から現れる異形の連結したガジェットV型が、耳障りな騒音を立てて地面を引っ掻き回し、
レーザー砲の冷却の為に外気を取り込む。しゅうううう、と云う排気音がして、ガジェットドローンが唸る。
合計14基の内部ジェネレーターを直結させ、放出する高出力レーザーの威力たるや、従来のガジェットの比ではない。
その威力は、あちこちで螺旋くれた鋼の塊になっている装甲車の残骸が物語っているといえよう。
もはや、軽戦車ほどの火力を持つこの怪物は、多少4年前から改善されたとはいえ、打撃力に乏しい地上本部の魔導師だけで鎮圧できるものではなかった。
鳴り響くのは、怒声、悲鳴。

「くそっ、戦車を呼べ!」

戦車と云うのは、地上本部に配備されている無限軌道で走行する車両のことだ。
砲塔には砲弾型の大型魔力カートリッジが搭載され、砲撃魔法を通常では考えられないほど高威力に放つことが出来た。
搭載された魔力障壁発生装置のお陰で恐るべき防御力も誇る、<陸>の虎の子だった。
4年前の事件で痛手を負った地上本部は、故レジアス・ゲイズ中将の娘オーリス・ゲイズの指揮の元、より大型の車両の配備を進めてきた。
だからこその要請だったが、すぐに望みは潰えた。

「市中でデモ活動を行っている市民団体のせいで、10分後になると!」

「ふざけるな! 俺たちが全滅する前に何とかしろと捻じ込め」

「無茶言わないでく――! スバル・ナカジマ執務官がこちらに向かっています!」

それを聞いた男が、眉を顰めた。4年前に壊滅した部隊の生き残りこそ、ナカジマ家の次女だと知っていたから。
舌打ちしながら考えつつ、部隊に散開命令を出した。
ガジェットに機動六課の生き残り――まるで4年前の再現ではないか――奇妙な符合の一致。
そのとき、ブレーキ音が響き、眩い燐光が煌いた。バリアジャケット装着時の魔法の証だ。
はきはきとした声が耳に入り、顔をそちらに向けると、凛とした顔があった。

「スバル・ナカジマ執務官、ただいま到着しました。これから、ガジェットドローンを破壊します」

「あんたが……頼んだ」

男が頭を下げると、スバルはにこっ、と笑って右腕の黒鉄の篭手を掲げるなり、純白のバリアジャケットを翻して、漆黒のローラーブーツで駆け抜ける。
スケート選手の舞踏のように車輪で滑り、装甲車を垂直に駆け上り宙に躍り出ると、足場を空中に生成する。
青い魔力で編まれた道、ウィングロードが空中に展開され、スバル・ナカジマに限定空戦機動を約束した。
ウィングロードは、幾つもの分岐点を作り出しながらガジェットドローンの上空に差し掛かる。
爆音にも似た車輪の高速回転が鳴り響き、スバルの身体を加速させて、弾丸のように押し出す。空気抵抗をフィールド系魔法でキャンセルし、
相棒のデバイス、マッハキャリバーの力強い走りを実感しながら、ウィングロードを垂直降下させ、ガジェットの真上へ落下するように滑り込む。
雄叫び――魂の鼓動が、かつての仲間達との思い出を喚起した。

「砕けろっっ!」

右腕に魔力を纏い、身体強化と四肢の人工筋肉を稼動させ放つ、砲弾のような威力を持つ拳。
高速移動による加速も加わり、その威力は重装甲を砕くに十分。芋虫型の連結ガジェットの中央部分に拳を叩き込み、装甲を粉砕しながら弾き飛ばす。
だが、浅い。計十四機分のガジェットV型の連結体であるこの異形は、連結部を叩いただけでは駄目なのだ。
装甲車にめり込みながら、破壊された部分を切り離したガジェットは、蛇腹のような連結器を破損箇所の無いもの同士で再接続し、元通りになった。
残りジェネレーター数11、戦闘続行可能。

「――くっ! そういう仕掛けか」

着地したスバル目掛けて熱線が直進するが、彼女の機転による旋回機動で避けつつ、障壁を展開。
紙一重の防御――魔力障壁で軌道を捻じ曲げられたレーザー光線が、スバルの背後でアスファルトを融解させた。

62 名前:嘆きの中で ◆bsNe6z3qW2 :2008/07/20(日) 20:01:39 ID:FAOs2MNw
AMF展開空間では、魔力が減退し半端な威力の射撃魔法では有効な攻撃になり得ない。
ゆえに、クロスミラージュを抜いてもガジェットドローンV型の重装甲は抜けまい。しかし、あの高出力のレーザー砲は潰さなければならなかった。
あんなものを連射されては、街の被害は増えるばかりだ。だから――。

「ティア、力を貸して」

クロスミラージュを抜き、左手で構えた。
拳銃型デバイスの利点は、その照準のし易さにある。
誘導魔力弾が撃てる場合はともかく、咄嗟の射撃などでそれが困難なとき、拳銃型と言うのは思いのほか役に立つのだ。
狙い済まし、何度と無く練習したように、撃った。
快音――レーザー発射口に飛び込んだ魔力の弾丸が、正面のガジェットの装甲内部の機関を粉砕した。
爆煙――新たなガジェットの顔が覗き、熱線が放射されるが、スバルは相手の懐に飛び込みながら身を捻りかわす。
身体を再構築すべくパーツを蠢かせるガジェットを、遠方からの狙撃が撃ちぬいた。正確無比な純粋魔力弾が、ガジェットの外殻を撃ちぬき、爆散させる。
ヴァイスの狙撃である。その腕は衰えを知らず、磨きがかかるばかりだ。
内心感謝しつつ、左手に生み出した魔力スフィアを数珠繋ぎになったガジェットの真正面に固定。ヴァイスの狙撃でほぼ一直線に並んだそれに向け、叫んだ。

「一撃必殺……ディバイン――」

人工筋肉の生み出す、驚異的瞬発力をもって右拳が魔力スフィアをたたき、砲撃魔法が解き放たれた。
膨大な量の、水色の魔力が光の槍になって灼熱を放ちガジェットを飲み込む――零距離砲撃。

「――バスターッッ!!」

それは、憧れの人から受け継いだ技。どんな障害も打ち砕く、光の刃。
水色の破壊に飲み込まれた戦闘機械の連鎖的爆発――凄まじい爆圧――とんでもない衝撃。
発生した衝撃波の壁を半球状の魔力の盾でしのぎ、白いハチマキを揺らしながら、スバルは爆発を見据えた。
火球の中に呟く――宣戦布告を。

「これが、あたしからの挑戦状だ、スカリエッティ」

転送システムの起動音と共に、火球の中で揺らめく人影。
それは、悪夢の再来か――それとも。

「――その言葉、確かに聞いたぜ。タイプゼロセカンド」

爆煙の中から、少女の声が聞こえた。それは、4年前に聞き覚えの在る声。
姉ギンガが連れ去られた地上本部での戦いで、蹴りを交わした敵。驚愕と共に、その声の聞こえた方へ向けて拳を構えた。
ぎりっ、と奥歯を噛み締めながら炎の中に仁王立ちする影を睨みつける。
暗炎の中見えたのは、暗く沈みつつある太陽の下でも見える『金色の双眸』。
からからとした陽気な笑い声がこちらに向け飛んできた。燃えるような赤毛が熱波に揺れる。

「はははっ、連れねえな、4年ぶりの再会だろ?」

「お前は……」

「いいぜ、名乗ってやるよ――ナンバーズの9番、ノーヴェだっ!」

瞬間、激烈な飛び蹴りがスバルの魔力障壁を蹴り砕き、遥か後方にその身体を吹き飛ばした。
吹き飛ばされたスバルは、咄嗟に張ったウィングロードで空中に止まりながら、全身をプロテクターに覆った少女を見つめた。
四肢には一対の黒鉄色の篭手と、ローラーブレード。スバルに酷似した限定空戦機動を持つ戦闘機人。
ティアナを殺した、スカリエッティの娘達の一人だった。ボディスーツによって映える引き締まった身体を、見せ付けるように着地したノーヴェは獰猛に笑った。
憤怒を宿した瞳が、怪しく輝く。

「チンク姉の10倍返しだ、セカンドッッ!」


第2話 了

63 名前:嘆きの中で ◆bsNe6z3qW2 :2008/07/20(日) 20:02:58 ID:FAOs2MNw
投稿終了です。
なのはさんの活躍は少し先になりそうです。

ではー。

64 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 21:12:49 ID:+OD8rHKp
乙。いきなりヴァイスが恋人を失った悲劇の男になってて、正直びっくりした・・。
描写されてるミッド地上の混乱と荒みようは凄いな。でもデモができるだけまだ良いのかしらん。

65 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 21:20:26 ID:RO747lpy

ナンバーズを捕らえ切れなかったからクローンが生まれて、そいつが事件の黒幕?
それはさておき、ヴァイスの相手に、本編やSSや漫画でフラグをそれなりに立ててるらしいアルトが選ばれないのはルキエと区別がつかないから?

66 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 21:20:29 ID:DMcToFtD
全俺が泣いた

67 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 21:29:18 ID:OBqy35ot
>>65 ルキエ
誰てめえ

68 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 21:31:47 ID:+OD8rHKp
だー! >>67見るまで普通に気づかんかった
ルシエさん+ルキノさん=ルキエさん誕生w

69 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 21:32:17 ID:RO747lpy
>>67
あ、ルキノでしたっけ?
素で間違えました。ファンの方々には申し訳ありませんでした

70 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 21:32:22 ID:o+DPth2f
>>65
無性に半年ROMれと言いたくなった

71 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 22:04:49 ID:iVjCC39b
そろそろアルカディア氏の続きが…

72 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 22:08:28 ID:45Fik8Tj
>>63
シリアス通り越して悲愴感すら感じてしまう。
もの凄く引き込まれたぞ、こいつは。
しかし、ノーヴェの言葉的にチンク姉は死亡なのかね? 正史通りなら暴走スバルに。
これは続きが楽しみだ。GJでした。

73 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 23:00:45 ID:RO747lpy
10倍とは言ってるけど仇とは言ってない

74 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 23:59:18 ID:JJCuuqbs
居酒屋「中将」の類が楽しそうすぎて小ネタ…お酒について詳しけば普通に一本作りたいのに…

バー。
そこは日常という戦場を潜り抜けた男たちが辿り着くオアシスである。
酒は乾いた男が掬いあげて喉潤す水となり、灼熱の砂漠じみてただただ熱く激しい一日を終えた体を癒すのだ。
そしてそんなオアシスには溢れる魅力に輝く女性が、がたおやかに笑んでいるのがもっぱらだ。
次元世界の酸いも甘いも嚙み分けた女の中の女たちはまさに光の女神(てんし)。

今日もミッドチルダという謀略渦巻き息詰まるほどの砂漠を渡り終えた男が一人、オアシスへ足を踏み入れるのだった。

スナックバー「アリシア」

「あら、いらっしゃい」

カウンター越し、グラス磨きながら艶やかな微笑たたえて迎えてくれるのはプレシアママである。
夫との離婚や娘との死別は、まぁ、有り得るっちゃ有り得るけどもその後に娘を蘇らせようとして研究に研究を重ねるという、
酸いも甘いも嚙み分け過ぎたママである。
むしろ酸いや苦いや辛いを噛み過ぎたママである。

「いつもの」
「ええ、いつものね」

スナックの事は良く分からないのでとりあえずこんな感じだろうと一言いぶし銀な声色が響く。
客入りは少ない。
ちら、ほらと自分の酒を自分で楽しんでいる者がいるだけだ。それも入れ替わりですぐに消えていく。
静かな空間だった。
そんな雰囲気が、良いのだ。飲んで騒いで笑うなど子供のする事だってばっちゃが言ってた。
男は自分の酒を穏やかに楽しむもんだってじっちゃが言ってた。

以前従業員のリニスちゃんが、なぁネコミミ触らせてぇなぁ、と女の酔客に絡まれていたがあれほど見苦しい物はない。
5秒でプレシアママから迸った電撃で、あえなくその客は炭消しになった。

「おまたせ」

ほどなく、プレシアママから一杯の酒を差しだされる。
落とした視線を上げるとプレシアママの胸元にどうしても眼が行ってしまう。こればっかりは男の性だ。
胸元を開いたドレスは大胆だが決して下品さがない。シックな美貌を有するプレシアママ故の着こなしだ。
とうてい―hrふぢp―歳とは思えない。

グラスを煽る。
なんか良く分からないけど緑色で、シャキっとした味のお酒だ。あと金髪で赤眼の女の子っぽい味もする。
培養液っぽいと言えばなんかシックリくるかもしれないけど自分で言ってて何を言ってるのかよく分からん味だ。

「またお仕事帰りの足でここに?」
「ああ。今日はここに寄ろうと思っていたので、全然仕事に身が入らなかったがな…」
「まぁ、ダメよ、遊びこの事ばっかり考えちゃ」
「遊びでここに来ているわけではないさ。俺は、真剣だ」
「口がお上手」
「お前の前では真実しか喋らん口さ。そして、美味い物しか入れん口だ…もう一杯、お願いしようか」

トン、と空になったグラスを差し向けた。
いくらか無遠慮な仕草になってしまうが、微笑みながらたおやかでゆるやかに酒を注ぐプレシアママの前では、
子供じみてしか見えなかった。
それを自覚しながらも、プレシアママと接する心穏やかな時間を満喫した。

75 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 00:09:30 ID:iihvkPan
どうしても銀魂の刑事が頭に浮かぶw

76 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 00:11:55 ID:VemPuD9z
フェイトとアリシアはどこに?
プレシアママって60歳だっけ?

77 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 01:04:11 ID:VsyVahmR
>>76適当に書いたからフェイトアリシアの事まで考えてなかったわ。プレシアママ間違いなく正確には知らないけどプレシアママ50軽く超えてるとかなんとか。

バー「夜天」
ふと、歩みを止めてその看板に魅入ったのははたして何故だろう?
理由を考えれば、ただなんとなく、としか思いつかなかった。ただ、魅入った。ただただ、魅入った。
もう帰って2ch開けて☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第78話☆で新しい投稿にwktkしなければならない時間である。
しかし、今日は違った。
「夜天」
まるで花に誘われる蝶のような、あるいは海の奥深くに落ちていくような感覚。
気づけばその扉を開いていた。

「AH―――!!」

てっきり銀髪赤眼のボインちゃんがママやってると思ったら人外の咆哮で迎えられた。下半身がうにょうにょしとる。
明るくない照明。派手さはないが丁寧な装飾。時間の流れが違うように落ち着いた空気。そしてピンク色した全裸のママ。

「AH―――!!」
「ええ、この店は初めてです」
「AH―――!!」
「闇の書の闇ママって言うんですか…経営はお一人で?」
「AH―――!!」
「それは大変ですね」

カウンター席に腰掛けると一層うにょうにょしてるのが分かる。何かメタルグレイモンっぽい顔もあった。

「AH―――!!」
「じゃあバーボンをお願いします」
「AH―――!!」
「ええ、仕事帰りです…帰るつもりだったんですがね、ここ、この店の雰囲気…って言うか、なぜか魅かれて…」
「AH―――!!」
「ええ、こんなに美人なママがいるなら常連になっちゃいますよ」
「AH―――――!!」

闇の書の闇ママが照れた。恥じらいある表情は、乙女のようなウブさ。官能的な体つきとのギャップに見惚れてしまう。
バーボンが注がれたグラスを受け取る折り、わざと闇の書の闇ママの触手を握って気障っぽく笑んだ。

「きれいな触手ですね…」
「AH―――――!!」
「からかっていませんよ、素敵なママですから、ちょっとでも僕の事覚えてもらおうと躍起になるのは当たり前でしょう?」
「AH―――――!!」

ぷい、と目をそらしてしまった闇の書の闇ママの横顔を眺めながら飲むお酒は妙に美味しく感じた。

78 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 01:37:29 ID:A3n+xDJ7
畜生、最近シリアス系大作の投下が続いているから、シリアス系の作品書き始めている自分的には、GJ!な反面投下しにくいぜ。

と、自分にプレッシャーかけてみる。

まぁ、色々あってフェイトが元機動6課のあの娘やらオリキャラやらを引き連れて、管理局に宣戦布告する話なんですけどね


79 名前:B・A:2008/07/21(月) 01:57:43 ID:Hlo5z06R
空気を読まずに、シリアスな居酒屋「中将」を投下して良いですか?

80 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 02:04:55 ID:jjC2mdJ9
是非

81 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 02:10:36 ID:VsyVahmR
むしろ空気読んでる
早く早く!

82 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 02:10:43 ID:iihvkPan
来い来い!

83 名前:B・A:2008/07/21(月) 02:13:52 ID:Hlo5z06R
そ、そうなのか。
てっきり居酒屋「中将」はギャグ路線なのかと思っていた。

注意事項
・居酒屋「中将」
・シリアス
・ゼスト視点
・非エロ
・本編の捏造だらけ
・陰でゼスト×チンク
・今回の設定は僕の独断と捏造であり、今後「居酒屋「中将」」を書く職人さんは今回出てきた設定は特に気にせず自由に書いてください。


84 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 02:14:12 ID:lRow7iN/
カマン!

85 名前:俺達の正義@:2008/07/21(月) 02:17:26 ID:Hlo5z06R
宵の口も過ぎ去った深夜、ゼストは混沌とした雑踏をかき分け、クラナガンの歓楽街を彷徨っていた。
10年ぶりに着た管理局の制服はどことなく窮屈で、かつてはこれを毎日着て出勤していたのが疑わしくなるほど不格好に思えてならなかった。
いや、そもそもこれから会う人物との仲を考えれば、別段正装で出向く必要もなく、私服で出向いたところで快く出迎えてくれるだろう。
だが、敢えて自分はこの服を着て会うことを選んだ。
風の噂でその店のことを聞いた時、始めは自分の耳を疑った。
クラナガンの歓楽街で、あいつが居酒屋を経営している。
誰よりも正義に篤く、共に平和への夢を語り合ったあいつが、あれ程固執していた地上本部の重鎮という地位を捨て去り、
行方を眩ませて一介の居酒屋の店主に成り下がった。その真意を問いただすためにも、
自分はかつて、あいつと共に夢を語り合った若き日のゼスト・グランガイツとして会うことを選んだのだ。
そして、幾つかの路地を曲がり、煩い雑踏から少しばかり離れた位置に目当ての店を見つけ出した。

『居酒屋「中将」』

ふざけているのかと怒鳴りたくなるくらい安易なネーミングであった。
灯台下暗しとはよく言ったものだが、まさかこんなにも近くで、しかも堂々と店を構えているにも関わらず、
その所在を見つけ出すことができなかったとは、我ながら不甲斐ない話だ。
自嘲気味に笑みを洩らし、ゼストはやや建てつけの悪い扉を開けて店の中に踏み込んだ。営業中を示す提灯の灯りは消えていたが、構うことはない。

「すまんな、今夜はもう店じま・・・・・!?」

こちらの存在に気づき、応対に出た板前姿の男が驚愕の表情を浮かべた。
それに対して、ゼストは酷く冷め切った固い声で、かつての親友に言葉を投げかけた。

「久しいな、レジアス」





気まずそうに顔をしかめながらも、レジアスはゼストを追い返すような真似はしなかった。
彼を席に着かせて酒を注ぎ、今は余っていた食材で適当につまみを作ろうと板場に立っている。

「良い店だな、ここは」

注がれた酒をあおり、ゼストは言った。
外観のみすぼらしさとは打って変わって、店内はどことなくノスタルジーを感じさせる雰囲気で包まれていた。
カウンターの奥の棚には瓶詰めされた酒が所狭しと並べられており、端っこには活け造りにするための魚が水槽の中を優雅に泳いでいる。
壁には達筆な字で書かれた品書きが飾られていた。何より、店内は隅々まで掃除が行き届いており、居酒屋特有の脂っこさや酒臭さが微塵も感じられない。
テーブルも顔が映るほど綺麗に磨かれており、店主が日夜丹精込めて磨いている様を容易に想像することができた。


86 名前:俺達の正義A:2008/07/21(月) 02:21:23 ID:Hlo5z06R
「お前が武術以外で何か褒めるとは、珍しいこともあるな」

「感じたことを口にしたまでだ。しかし、噂を聞いた時は信じられなかったが、まさか本当に居酒屋を開いていたのだな」

「その言葉はオーリスにも言われた」

「そうか・・・・・彼女は息災か?」

「今は、地方の支部を任されている。体の良い左遷だが、前よりは充実した日々を送っているのだそうだ」

「そうか・・・・・すまないな」

「止せ、お前が気にすることじゃない・・・・・ほら、できたぞ」

トンと小皿に盛られた焙りイカをゼストの前に置き、レジアスも椅子に腰を下して向かい合う形を取った。

「お前が土壇場でスカリエッティ一味を裏切ったおかげで、儂はこうして生き永らえているのだ。感謝こそすれ、お前を責める気は毛頭ない」

2年前、スカリエッティ一味に協力しながら戦闘機人事件の詳細を調べていたゼストは、調査の果てに主犯であるジェイル・スカリエッティと親友であるレジアス・ゲイズ、
そして管理局最高評議会が裏で繋がっていることを知った。そして、スカリエッティが彼らを出し抜き、大がかりなテロを企んでいることも。
故に、ゼストはスカリエッティと最高評議会を裏切り、親友を彼らから救う道を選んだ。もちろん、彼の本意は親友の正義を問い質すことであった。
一度は死んだ身でありながら、みっともなく生き足掻いてきたのは全てそのためであり、その機会を失ってまでそれを選択することは非常に辛い決断であった。
だが、ゼストには守らねばならないものが多かった。
かつての部下の忘れ形見。
旅の果てに出会った融合機。
愛する女性。
そして、親友と共に誓った正義。
それらへの思いが、彼の背中を後押しした。
ゼストはルーテシア達を連れて、当時は地上最強の戦力と謳われていた機動六課に保護を求め、自分達の身の安全と引き換えに、
自分が知っているスカリエッティに関する情報の全てを引き渡した。
それからは迅速に事が進み、ゼストの提供した情報を基にスカリエッティのアジトが突き止められ、一味は全員逮捕された。
また、地上本部に潜入していた戦闘機人も同じく逮捕され、裏で暗躍していた最高評議会も管理局を追放となった。
かくして、聖王教会の予言した最悪の事件は引き起こされず、事件は静かに幕を閉じた。

「まさか、儂の側近に戦闘機人が化けていたとは思わなんだ。奴らはいつでも儂を殺せたわけだ。ゼスト、お前は儂の命の恩人だ」

「そう言ってもらえると、助かる。だが、それならばどうして地上本部を去った? 俺は、お前に関する情報は一切喋らなかった。
お前の不利になるようなことは、何一つ・・・・・なのに、どうしてお前は・・・・・・・」

ゼストの目的は、あくまでレジアスを彼らから解放することであった。確かに、レジアスは悪事に手を染めていた。
最高評議会に命じられていたこととはいえ、情報を操作し、スカリエッティに便宜を図っていた。だが、ゼストは彼を断罪する気はなかった。
レジアスならば、何か訳があって手を貸していたのだと信じていたからだ。だから、彼の正義を弾劾するのは後回しにし、まずは最悪のテロを防ぐことを優先した。
そしてスカリエッティが捕まり、ゼスト自身の裁判も終えて晴れて自由の身になり、改めてかつての親友との面会を希望したが、その時にはもうレジアスは地上本部を去った後であった。


87 名前:俺達の正義B:2008/07/21(月) 02:26:24 ID:Hlo5z06R
「何故だ、レジアス! 何故、俺達の正義を捨てた!? 確かに俺一人の弁護では、お前を守ることはできなかったかもしれない。
だが、その気になれば裁判官を黙らせて、地上本部に残ることもできたはずだ。なのに、何故・・・・・」

「それ以上言うなら、儂はお前をもう友とは思わん」

静かに、だがよく響く声でレジアスは言った。
そこにいたのは、しがない居酒屋の店主などではなかった。衰えてもなお、元地上本部防衛長官の威厳と貫録は健在であった。

「・・・・・・・・すまない、取り乱した」

「ゼスト、お前の気持ちもわからないわけではない。儂は大きな過ちを犯した。非道に手を染め、ミッドチルダに混乱を招く手助けをしてしまった。
その罪は、確かに償わなければならない」

「では、何故・・・・・」

「儂はミッドを愛している。ミッドのために力を振るい、権力を手にし、平和を守ってきた。だが、その愛は儂の心を、正義を曇らせた。
お前や仲間達と共に築いてきた平和を、自分一人の力で成し遂げた偉業だと勘違いしてしまった。だから、あのような悪魔の囁きに耳を傾けてしまったのだ」

ミッドチルダで起きる犯罪に対して、地上本部の人員や武装は余りに不足していた。どれだけ尽力しても、一度事件が起きれば負傷者が相次ぎ、
場合によっては多くの死者も出た。それを何とかしようと、レジアスは権力を求め、地上本部の武装強化を推し進めた。
確かに、それによってミッドチルダの治安は安定し、犯罪率も減少した。その偉業は誰もが褒め称え、誇れるものだった。
だが、レジアスは満足できなかった。どれだけ奮闘しても事件は起き、負傷者が出る。その数を限りなく0にするための力を求め、スカリエッティと手を組んで違法な戦闘機人や人造魔導師を量産する計画を進行させていた。

「最初の内は、あれでミッドを守れると思ったよ。数の問題さえ克服できれば、地上の平和を守ることができる・・・・・・だが、儂はあれらを書類の上の数字でしか知らなかった。
どれだけ言い繕っても、儂が手を貸していたのは重大な犯罪だ。平和のため、ミッドのためと言い聞かせ、多くのものを身勝手なエゴのために犠牲にしてしまった。ゼスト、お前のこともだ」

「俺のことは良い。あれは、事を焦った俺のミスだ。お互い、生き急ぎ過ぎてしまったのかもしれないな」

「ああ」

自嘲するように唇を吊り上げ、お互いに酒をあおる。

「正直、答えを急ぎ過ぎたのかもしれん。平和は1人の力では成しえない。だが、儂はそれを求めてしまった。
儂の力で地上に平和をもたらそう、そのための力を探そうと。実際にミッドを守っているのは、
お前のような現場の連中だということを忘れてしまった。そんな儂に、もう人の上に立つ資格はないさ」

「・・・・・・・・・・・・・」

「ゼスト、お前はどう思っているか知らないが、儂はこの店を気に入っている。ここに来る客はな、みんな笑っているんだ。
酒を飲み、歌を歌い、楽しそうに語らい、馬鹿みたいに大騒ぎしている。日常に対して不安も不満もあるだろうに、明日もまた今日と同じ日が来ると疑わずにいる証拠だ。
恐らく、それこそが“俺達”の求めた平和だったのだろうな」

「レジアス・・・・・・」

「みんなが笑って暮らせる社会、武力のいらない世界。それを求めて我らは武器を取った。何ともジレンマじゃないか。
儂はな、この店でもう一度、自分の正義を見つめ直そうと思うのだ。いったい、儂は何をするべきだったのか、どうすれば自分の罪を償えるのかをな」

そうして静かに語る親友の姿は、ゼストが見たこともないくらい満ち足りた笑顔を浮かべていた。
いつも眉間に皺を寄せ、しかめっ面をしている姿しか見たことのないゼストにとって、それは余りに意外な光景であった。


88 名前:俺達の正義C:2008/07/21(月) 02:29:09 ID:Hlo5z06R
「何だ、その目が覚めたら知らない女と同じベッドで眠っていたことに驚いたような顔は?」

「俺は浮気はしない」

「ほう、堅物の癖に嫁さんがいるのか。今度、何か祝いの品でも送らなければならないな」

「余計な気遣いは無用だ。お節介焼きめ」

「何をぉ!? お前が新人の時、命令違反を犯して首にされかけたところを助けてやった恩を忘れたのか?」

「それとこれとは話が別だ。だいたい、お前だってよく無茶な作戦を立案しては俺の部隊に押し付けていただろう! 
もしも俺達が失敗していたら、お前だって首になっていたぞ!」

「ふん、あの程度で泣き言を言うとは、オーバーSランクも口ほどではないな」

「言わせておけば・・・・・・・・」

互いに睨みあい、火花を散らす。だが、緊迫した空気は長くは続かなかった。
不意にどちらからと言うでなく笑みを漏らすと、2人は気でもおかしくなったのかと疑わしくなるほど豪快に笑い、互いの肩を叩きあった。

「はっはっはっ・・・・・まさか、またこうして言い合える日が来るとはな」

「ああ、懐かしいな。昔はこうして、よく酒を交えながらくだらない言い合いをしたものだ」

「レジアス、お前は酔うとすぐに脱ぐ癖があったな」

「お前こそ、調子に乗ってすぐ悪酔いしていただろう」

「昔のことだ」

「ああ、昔のな」

その言葉は、何とも切ない響きを含んでいた。
もう、戻れないのだ。かつてのように共に平和を願い、正義を語り合った日々には。

「邪魔したな」

「もう帰るのか?」

「また来る・・・・・・・次は、家族でな」

「そうか。奥さんを大事にしろ・・・・・・愛想を尽かされると、なかなかに応えるぞ」

「肝に銘じておくよ」

自分でも意外なくらい、ゼストは晴れやかに笑うことができた。思えば、こんな風に楽しい時間を過ごしたのはいつ以来だろうか。

「レジアス」

帰りがけに、ゼストは背を向けたまま言った。目は外の夜景を捉えながら、言葉だけを親友に投げかける。


89 名前:俺達の正義D:2008/07/21(月) 02:30:57 ID:Hlo5z06R
「お前がまた正義を逝くというのなら、俺はいつでも力を貸そう。俺の正義は、常にお前と共にある」

この身は生い先短く、いつ死んでもおかしくない。だが、それでもお前がまた正義を志すというならば、共にそれに殉じよう。
己の胸の内を言葉に込め、ゼストは静かに親友の言葉を待った。
やがてレジアスはハッキリと力のこもった声で応えた。

「いや、その時が来ないことを祈ろう。“俺達の正義”が求められない世の中が、みんなにとって一番良い世界なんだよ、きっと」

「そうだな、そういうことにしておこう」

そのやり取りを最後に、ゼストは親友の店を後にした。





不意に懐の携帯電話が振動した。
取り出してディスプレイを確認すると、最愛の妻の名前が表示されていた。

「チンク、何か用か?」

『何か用か、じゃない。いったいどこをほっつき歩いているんだ? 夕飯が冷めてしまったではないか』

「あ・・・・・」

そういえば、出かけに今日は早く帰って来いと言われていたのをすっかり忘れていた。

「すまぬ、古い馴染みと会っていたんだ。すぐに帰る」

『急げよ。だいたい、お前はいつも私や子どものことを蔑ろにし過ぎだ。家族と仕事、いったいどっちが大切なのだ?』

「そ、それは・・・・・本当に、すまないと思っている」

『いつも仕事仕事。この前だって家族3人で動物園に行く約束を忘れただろう、あの子は楽しみにしていたんだぞ』

「いや、だからだな・・・・・・・」

いつになくご機嫌斜めな妻に、ゼストはどうしたものかと周囲を見回した。すると、通りの向こうに閉店寸前のケーキ屋があることに気づいた。


90 名前:俺達の正義E:2008/07/21(月) 02:33:34 ID:Hlo5z06R
「チンク、ケーキは好きか?」

『なんだ、藪から棒に?』

「良いから答えろ。好きなケーキは?」

『ふん。土産なんかで気を釣ろうとしたってそうはいかないからな』

「いらないのか?」

『・・・・・・・・チョコレートケーキだ』

「わかった、買って帰ろう」

短く答え、電話を切ろうとする。すると、受話器の向こうでチンクが慌てて声を張り上げた。

『ああ、待て!』

「なんだ?」

『その・・・・・・あのだな・・・・・・・』

「なんだ、よく聞こえないが?」

『えっと・・・・・・できれば、モンブランも・・・・・』

「ふっ・・・・わかった、チョコレートケーキとモンブランだな」

『ま、待っているからな。早く帰ってこいよ!』

「了解した」

そう言って電話を切り、ゼストは通りを渡ってケーキ屋へと向かう。
その途中、ふと居酒屋「中将」の灯りが目に入り、ゼストは思わず立ち止った。

「レジアス。平和な社会というのはそれはそれで生き難いものだ。
だが、どうせ短い余生だ。お前の言うように妻のために生きてみるのも悪くないかもしれないな」

恐らく、レジアスは明日も店を開き、多くの客達を迎え入れるのだろう。彼らと共に笑い、共に泣く。それが彼の新たな生き方なのだ。
ならば、自分も守るべきもののために、いつまでも過去を引きずり続けていてはいけないのかもしれない。
その第一歩として、ゼストは自宅で土産のケーキを心待ちにしているチンクに何と言って今日のことを詫びれば良いのか考えながら、
ケーキ屋に足を踏み入れた。

                                                                  おわり

91 名前:B・A:2008/07/21(月) 02:38:29 ID:Hlo5z06R
以上です。
>>25>>27>>32の意見を参考に、即興で思いついたネタを混ぜ合わせてこんな形になりました。
イメージをくださった方々に感謝しつつ、みんなの反応にビクビクしつつ今日はおやすみなさいです。

92 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 02:45:03 ID:iihvkPan
GJ!
これはいい「あったかもしれない世界」
しかし、こうなるとスカ一味涙目ですなw

93 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 03:02:10 ID:j+62dS+J
雰囲気が落ち着いてていい感じですね。
個人的にstsに足りなかった歴戦の親父分が嬉しいですw

何より即興でこれだけのものが書ける筆力が羨ましい……

94 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 06:54:12 ID:/qJMg/P/
ファミ劇で一挙放送見たが

ドゥーエの死姦ネタを見てみたい様な…
無論、「調査」の名目で…

95 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 07:16:54 ID:VemPuD9z
>>77
プレシアママが50越えとなるとアリシアも存命だったのなら30はいくのか……

96 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 07:29:15 ID:68F+VKnk
プレシアママンは小説だと60前後
ただ本編の年齢は小説と違うとも聞いたことあるんでよく分からん
誰か一期のドラマCDで本編は40歳くらいと分かるとか言ってたけど詳しくは知らん

97 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 11:46:28 ID:ZH2fv4wp
リンディさん何歳?
1期の頃、クロノを20ぐらいで生んだとしても34?

98 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 12:03:43 ID:h2u/RtrC
とりあえず確定してるのはクライドさん(25)が死んだとき20代前半だったってことだけ

99 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 12:42:09 ID:fBt7DUFx
>>97
3期時点で40代半ば。

100 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 12:44:18 ID:0dfZXJ38
>63 72
とりあえずキャラ殺しておけばシリアス気取りっぽくなって読み手からの賞賛ゲットって感じ?

101 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 13:03:15 ID:80CLafft
リンディさんは、今年19、来年18ですよ?

102 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 13:17:06 ID:fiG6oxjE
>>101
ん?
生後20年と300ヶ月くらいじゃなかったか?

103 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 13:28:07 ID:VemPuD9z
とりあえず某サイトのロリンディでも読んで来い

104 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 13:45:41 ID:TVP8eRCf
ロリのリンディなのか、
ロリのウェンディなのか。それが問題だな。

105 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 13:49:36 ID:8siCFHTW
〉〉63
m9(^Д^)プギャーーーッ

















106 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 15:12:57 ID:yO3RfCbV
>>103
ちよっwww
詳細をwwwwww

107 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 15:26:42 ID:njBBVfeY
ググれ

有名だからすぐに出てくる

108 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 15:59:35 ID:VemPuD9z
>>106
詳細……リンディ・ハラオウン(9歳)の婿取り物語?

109 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 16:59:07 ID:fwZXfR6P
あそこのサイトのロリンディは実に可愛いよなぁ…可愛いよな。


110 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 18:51:46 ID:+qoNsrbH ?2BP(0)
>>96
無印SSの2巻では、プレシア40歳と言われている。
小説では、プレシア結婚23歳。28歳でアリシア誕生。
ついでに、アリシアが死亡したのは5歳以降。その時、プレシア33歳以上。
もし仮に、アリシアが3期時点まで生きていると、10年(無印から3期)+5年(アリシアの年齢)+7年(アリシア死亡から無印まで)で、
最低でも、22歳以上……うん、フェイトさんのお姉さんとして、丁度いい年齢だと思うんだ。
でも、アニメだと違うから何ともいえないなぁ……。
というか、この年齢設定でここに投下予定のSSにアリシアが出るのだが……間違ってたりしないかな?

111 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 19:10:00 ID:VemPuD9z
>>110
そんなことは気にしないで投下するんだ

112 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 19:11:53 ID:T7Fv+n5P
発見した、読んだ、なかなかイイ!

よもすれば最低側に落ちる題材をなかなかきれいにまとめてる点が高評価。

113 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 19:27:54 ID:SUYHUoCQ
あんまり他所の話題をここでするのは止めような? するなら向こうね。

114 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 19:42:08 ID:fAD7aTp9
蚊に刺されたわ。ほんとサマーだよな。
エロパロ板は近々、圧縮が来るみたいだから、常駐してるスレのなかに
過疎スレある人何か書き込んどいたほうがいいぜ。このスレはまず大丈夫だろうが。

115 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 19:52:39 ID:nHttGljj
>>100といい>>105といい他所の話題出す奴といい……
あぁ……夏休みなんだなぁ……

116 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 19:56:30 ID:UAIGiCql
>>115
そうだな。
この季節の風物詩だと思ったら少しは諦めも――つくわけねぇか……
仕方ないさ。蚊と同じでどこからでも湧いてくるんだ……

117 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 20:05:47 ID:VURf9clY
>>116
蚊は生きる為の行動を取ってる訳だから仕方が無い
俺らが食事するのと同じだよだからその例えは蚊に失礼
たとえるなら台所の黒い悪魔、頭文字Gにしなさい

118 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 20:09:30 ID:Hlo5z06R
ロストロギアで巨大化&凶暴化したGと地雷王が頂上決戦という電波が。

119 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 20:23:25 ID:frh41fuL
>>118
そしてガリューと白天王も…

120 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 21:28:22 ID:VsyVahmR
ユーノ「あのゴキブリの大きくなりたいって願いが正しくかなえられたんじゃないかな?」

121 名前:554:2008/07/21(月) 22:01:49 ID:njBBVfeY
さて10時も回りましたし、クリニック・Fよろしいですかね?


122 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 22:05:33 ID:SUYHUoCQ
あなたの投下をお待ちしておりました〜、どうぞどうぞ。

123 名前:554:2008/07/21(月) 22:09:58 ID:njBBVfeY
んじゃ行きます。
今回は若干のシリアス回なので若干の注意です。

・カップリングはジェイル(あえてこう表記)×ウーノ
・スカの性格がかなり変化してます。それについては後に触れますが、気になる人はNGしてください。
・なのはキャラはスカとウーノ以外はフェイトくらいしか出ません。しかもかなり後半。よってほぼオリジナルストーリー。
・NGワードは「小さな町の小さな診療所 クリニック・F」です。

それでは原案の73-381氏に多大なGJを送りつつ、投下したいと思います。


124 名前:小さな町の小さな診療所 クリニック・F:2008/07/21(月) 22:12:30 ID:njBBVfeY
「それにしても驚いた。それまでおしとやかに喋っていたのが急に……」
「もうっ、その話はもう止めてくださいよっ」

 おしゃれな喫茶店の店内で、和やかな雰囲気を醸し出しながら仲良く談笑する男女の姿があった。
 男女の二人での喫茶店というと、どうしても恋仲という単語がインスピレーションされるが、五つほど違う実年齢の他にも纏っているオーラからそれは恋仲ではなく、むしろ兄妹や親戚と言った方がしっくりとくるような、そんな雰囲気だった。
 県内でも指折りの都市である低崎の町で早々に買い物を済ませたジェイルと疾風は、昼食も兼ねて軽食屋を兼業している喫茶店の店内で仲良く昼食を取っていた。
 二人共に食事の方は既に済ましており、テーブルの上には真っ黒に彩られたエスプレッソのコーヒーカップとミルクによる泡が未だ残るカプチーノのコーヒーカップが二つ仲良く並んでいる。

「悪かったね。普段のウーノならあんなことは言わないはずなんだが」
「いえいえ、いいんです。ウーノさんの気持ち、なんとなくですけど分かりますから」

 話題に上がっているウーノという人物は彼、ジェイルの妻である。それを目の前で他の女にナンパまがいの科白を吹っかけていれば機嫌が悪くなるのは仕方のないことである。
 しかし、文句を言いながらも笑顔で―――目尻に水滴が浮かんでいたことは見なかったことにしたい―――送り出したことに、疾風はオトナの女性って凄いな、と感心しきりであった。

「それで、今日は何で私を?」

 腑に落ちないといった様子で首を傾げながら疾風が問う。
 疾風は当然だが、彼が今までどんな人生を歩んできたかということを知らない。
 それどころか、人為的に創り出された命である自分は人間というカテゴリーから外れるのではないのか、と自虐的な考えも持ち合わせていることもまた、彼女と妻のウーノ以外に知る人間が居るとは思えなかった。


125 名前:小さな町の小さな診療所 クリニック・F:2008/07/21(月) 22:14:26 ID:njBBVfeY
 唯一、自分たちと同じ境遇にあるプロジェクト・Fの面々であろうが、その心境を聞くことが出来ないのは当然のことである。
 閑話休題。
 ジェイルにはその問いに答える義務があった。というか、ここでそのことを教えないと彼女が納得してくれず、どこまでも聞き続けてくるだろう。そんな確信があった。
 もちろん、魔法世界等々は言うことが出来ないし、言っても信じてもらえるとは思っていない。
 よって、多少の虚偽情報を絡めながらではあるが、多少は事実を話す必要があるのだった。

「昔私はちょっと危ないことをしていてね。その当時に君と同じ名前の知り合いが居たんだ」
「先生って、ドイツの方ですよね?」
「ああ、そうだよ。そして、その知り合いは生粋の日本人だと聞いている。日本語も彼女に習ったんだ」

 ジェイルとウーノの基本プロフィールとして、ドイツ人で貴族向けの研究者として働いており、そこで出会った”はやて”という女性に日本語を教わったというものがある。当然、それはこの休日を迎えるに当たって一晩で考えた全くの嘘である。
 その”はやて”なる人物が関西弁であることも嘘と断言できる証拠となりうるのだが、言わなければどうということもない。
 誰が希代の犯罪者とその側近で、誰が次元世界丸ごと一つを恐怖に陥れた狂気の天才科学者だと自称できようか。
 そんなことを言ったら―――いや、言ったところで何が変わるということはないように思われた。
 手持ちぶさたなときは近所の子ども達の面倒を見ているような今の彼の温厚さは、町の住民の仲でも折り紙付きであり、いくら説明しようがそもそも魔法関連の云々で話が頓挫するであろう事は明確であった。
 それをさも当然と言ったように自分の過去の経歴としてスラスラと答える辺り、彼の器量が伺えるというものである。

「それで、名前の同じ私と話がしたかった、と」
「私も日本人というものをこっちに来るまで二人ほどしか知らなかったんだ。だから、同じ名前である君に単純に興味が湧いたんだ」
「それで……」
「何か予定があったのなら、こんなくだらないことに付き合わせてしまって悪かったね」
「あ、いえいえ、いいんです。予定なんてありませんでしたし、それに……」
「それに?」
「貴方みたいな格好いい方とデートできて私も保育士仲間に自慢できます」
「ハハハ、そこまで私は格好良くないよ」


126 名前:小さな町の小さな診療所 クリニック・F:2008/07/21(月) 22:16:31 ID:njBBVfeY
 心底おかしいというようにジェイルは笑う。
 それに釣られて疾風もふふふ、と口元に笑みを浮かべる。
 疾風としては冗談半分、本気半分というところだ。
 格好いい男性、という言葉に嘘はない。事実、疾風は町を歩いている数人組のOL風の女性から嫉妬に似た視線を受けていた。容姿だけで言うなら申し分ない。
 加えて彼は紳士だ。絵に描いたように誰にでも優しく、それでいて子ども達の元気な姿に嫌な顔一つせず近くで見守っている。これ以上に完璧な人なんて居ないとさえ疾風は思っていた。
 そんな彼が下心はないと分かっていてもデートに誘ってくれたのだ。疾風もそれなりに、というかかなり気合いが入っていた。
 その気合いが空回りしてしまい最初は空回りしていた疾風。だが、ジェイルの暖かい雰囲気は低崎への車中ですぐに彼女の心を柔らかくした。
 それから、和やかな雰囲気は低崎の地に降りたってから変わることもなく、歩き始めてからもその空気は悪くなるということを知らない。
 ふと、すがりついて離れない女性に困った顔で頭を掻く男性がジェイルの目に映った。
 そういえば、と話を変えようと疾風に向き直る。

「ところで話が戻るんだが、君はウーノの気持ちが分かると言っていたね。あれは、どうしてなんだい?」
「へ?」

 キョトンとした目で疾風はジェイルを見つめる。
 彼は真摯すぎるのだろう。だからそう言った部分の感情が欠落しているのだ。と、彼女は勝手な解釈をした。

「ウーノさんと結婚なされてるんですよね?」
「そうだが?」
「だったら話は簡単ですよ、というか分からないんですか?」


127 名前:小さな町の小さな診療所 クリニック・F:2008/07/21(月) 22:17:33 ID:njBBVfeY
 疾風は完全に失礼なことを言っているのだが、オトナの男性からプライベートな事に関して聞いているということに神経が回っていて、そこまで思考するということにたどり着かない。
 ジェイルも大して気にしていない、もしくは失礼なことを言っていると言うことに気づいていない様子で、和やかな雰囲気はなお続いていく。
 ジェイルは話すのは初めてだな、と前置きして目尻を緩める。

「仮に気持ちの問題だと仮定して、私は子どもの頃からずっと研究ずくめの人生でね、人が青春時代と呼ぶ時代に研究室に籠もりっきりだったんだ。だから、そういうことに関しては君の方が先輩というわけだ」
「じゃあどうして結婚を?」
「彼女と私はいわゆる親の間で決められた許嫁というやつでね。今では良いパートナーだと思っているが、当時は彼女と一緒にいることに何の感慨も抱かなかったんだ。けれども―――

 そこでジェイルは言葉を切った。
 ふっ、と柔らかく微笑んだ彼とその笑顔に見ほれて固まる疾風の間に少しの沈黙が訪れた。

―――最近では彼女と居る時間が心地よくてね。黙っていても、通じ合っている気がするんだ。そして、その時間がたまらなく愛しいんだ」

 実際に聞かされている疾風にとっては歯の浮くような科白だが、疾風にとっては何もかもが新鮮な経験である。
 彼の妻であるウーノさんに捧げられた愛の科白。それをこの間知り合ったばかりの自分に赤くなることもなく平素で話している。
 その口から紡がれた愛の言葉は僅かだったけれど、その言葉からどれだけ彼がウーノさんを大切に思っているかがこれでもかというほど伝わった。
 いつか自分も、そんな旦那さんと巡り会いたいものだ。そう思って自分の周りの男を思い出してみるけれど、思い浮かんでくるのはアイツの顔―――
 疾風は顔に熱が溜まるのを感じ、それ以上の思考を止めた。何か、ジェイルの一つ一つの科白に飲み込まれそうな気がしていた。
 そんな浮ついたジェイルの独白はなおも続く。


128 名前:小さな町の小さな診療所 クリニック・F:2008/07/21(月) 22:18:12 ID:njBBVfeY
「私は昔から半ば軟禁状態で医学の研究をしていてね。さっきも言ったように、人が青春時代と呼ぶ時期がごっそりと抜けているんだ。当然、そう言ったことを全く教育も経験も為されないままね」
「やっぱり…………ですよ」
「ん?聞こえないんだが」

 笑顔で顔を近づけ聞き返してくるジェイル。表情は余裕綽々といった様子だ。
 対する疾風の顔は俯いたまま、頬はその科白を言うべきか言うまいか、その葛藤からか赤く色づいている。
 そして数秒の間の後、疾風は顔を上げた。どうやら腹は決まったらしい。

「やっぱり先生は、ウーノさんのことが好きなんですよ!」

 ああ言っちゃった言っちゃった、と後悔しても後の祭り。疾風の顔は先程と同じように顔が赤くなったまま硬直している。
 しかし、目の前に座るジェイルは先程まで優しい雰囲気を醸し出していたのが一変、何の武術や訓練なども受けていないはずの疾風でも感じられる紛うこと無い殺気がジェイルの体にまとわりついていた。
 このテの話は駄目だったんだろうか、と疾風は思ったが、今まで虫歯が痛み出すような甘い言葉を囁いていたのは誰だっただろうか。そうなると、それが原因じゃないと思った。
 では何故? そう思ったところで固く結ばれていたジェイルの唇が二つに割れた。

「私はかつて研究で人道を踏み外すような研究をしていた。人間を使ったクローン兵器みたいなものをね」
「えっ……」

 信じられないといった面持ちでジェイルを見据える疾風。
 嘘であって欲しい、私の理想の男性像であるはずのジェイル先生がそんなことをするはずがない。きっと嘘だ。
 しかし、その不安そうな目を見つめるジェイルの双眼は真剣で、それが真実なのだと目で語っていた。


129 名前:小さな町の小さな診療所 クリニック・F:2008/07/21(月) 22:18:53 ID:njBBVfeY
「無論、その事実は揉み消されたが、一時期一緒に研究していたとある同僚の女性研究者に言われた。そういえば彼女も十年前のとある事件で命を落としていたっけ。皮肉にも、そのクローン絡みの一件で」
「何を……」
「彼女は私にこう言ったよ、『貴方は感情そのものが欠落しているんじゃない?』ってね」

 窓の外を虚ろに見つめるジェイルの視線には赤ん坊を慰める年若い母親が必死に我が子をあやしていた。

「言われてなるほどと思った。いや、思ってしまった。そしてそう思うことに何の違和感も感じなかったんだからな、当時の私は」

 自嘲気味にはは、と笑うジェイルに疾風はどこか違和感を感じていた。

「だから、私には君の言うようにウーノを”好き”だからこのよく分からない感情を抱いているのだと言われても、そうなんだと断言できないんだ」

 疾風の心は澄み切らないままだった。



     □     □     □     □     □



 悲しかった。それがどんな理由であれ置いていかれることはとても寂しい。
 
「……ばか」

 ちょっと呟いてみたら花瓶の花が少し、揺れた。





130 名前:554:2008/07/21(月) 22:21:31 ID:njBBVfeY
投下終了です。
今回はジェイルの葛藤でした(?)
いやはや、難産だった。

それではもう一度原案の73-381氏に多大なGJして投下を終わります。

131 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 22:36:08 ID:TVP8eRCf
この話のスカと、六課壊滅話のスカがほとんど同時進行で読める、というのはホントにこのスレの醍醐味だと思う今日このごろ。

GJです。

132 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 23:05:19 ID:SUYHUoCQ
GJ

しかし、なんだかんだでスカも複雑な育ちだから自分の内に芽生えた感情に戸惑うか。

133 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 23:35:43 ID:dJ+f4XCG
>>130
GJ!!
ほのぼのから次第にシリアス空気が漏れてきた……
どうなるんだ?
ケコーン式イベントお目にかかれるんだろうか?

134 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 01:37:11 ID:hdk8c52c
本編でスカのこういう側面に触れられなかったことが残念でならないなぁ
設定からちゃんと考えれば、スカもスカなりの心の悩みは抱えていたはずなのに

ところで同僚の研究者ってやっぱりプレシアさんなのかな?
今後の展開に期待してますお

135 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/07/22(火) 01:59:19 ID:bFn92E3x
寝る直前に投下行きます。

 前スレラストに続いて、またも壊れフェイト。

 欝です。ダークです。人死にます。閲覧注意です。
 あぼんは鳥かコテで。
 タイトル「貴方のための世界」
 総レス七です。

136 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/07/22(火) 01:59:56 ID:bFn92E3x
     1

 間違っていることはわかっていた。
 だけど、誰かを憎んでいれば自分の心は癒される。
 八神はやてを憎んでいれば、すべてを八神はやてのせいだとしてしまえば。
 安易な逃げ道だけど、確実な逃げ道。
 しかし、一つだけは本当に確実なこと。
 八神はやては、自分からあの人を奪った憎むべき相手。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 

 それは別の捜査官が追っていたロストロギアだった。しかし、それが自分のすぐ近くにあると聞いたなのはは、非番であるにもかかわらず即座に行動を開始する。
 ロストロギアの確保と保持。専門の運び役が現れるまでの警護。
 ロストロギアの回収確保は多大の危険が伴う任務なのだ。いかなる形にせよ、管理局のエースオブエースに手を貸すと言われて、断る者などいない。
 この捜査官も、ご多分に漏れずなのはの援助を感謝した。

 彼は後に、その決心を一生後悔したという。

 休止状態だと思われていたロストロギアは突然活動を開始し、高エネルギーを放射することで周囲を破壊し始める。
 なのはは、周囲の被害を最大限に抑えるために自分のシールドでロストロギアを包み込んだ。

 その数秒後、ロストロギアは消失。
 さらに数秒後、ロストロギアは単体で姿を見せる。
 消失時に一緒に消えた周囲のものは、姿を見せなかった。
 消えた一覧の中には、なのはの名もあった。
 なのはは消えた。

 高町なのはが行方不明になったという知らせは、瞬く間にミッドチルダ全体を駆けめぐり、すぐに海鳴町にも伝わった。
 休暇返上でなのはの行方を捜す魔法使いたちがいた。しかし、その行方はいっこうにしれず、ロストロギアの暴走に巻き込まれて次元の狭間に消えたという説が巷に流れ始めていた。

 一年後、当局は公式捜査を打ち切った。
 そして、高町なのは死亡という見解を、正式に発表した。


137 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/07/22(火) 02:00:32 ID:bFn92E3x
     2

 高町なのはの死亡宣告から五年が過ぎた。

 宣告されるまで、フェイトはなのはをあらゆる手段で探した。
 宣告後の半年、フェイトは引きこもり同然の生活を送っていた。
 次の一年は、過労死寸前まで仕事に没頭した。
 そして、二周忌にヴィヴィオを抱きしめて泣いた。
 フェイトは立ち直っていた。

 宣告後の半年、はやては黙々と仕事を続けていた。
 次の一年で、はやては結婚した。
 二周忌で、フェイトをヴィヴィオから静かに引き離した。
 だから、フェイトははやてを許さないと決めていた。


「別に許してもらおうとは思てへんよ。そもそも、ここになのはちゃんがいたとしたら怒られるんはフェイトちゃんや。あたしと違う。
なのはちゃんが望むんは、残された人が死を悼んで落ち込むこととは違う。なのはちゃんの意志をしっかりと継いでいくことやよ」

 質問の主……シグナムはうなずいた。主はやての言葉はもっともだ。自分が高町と同じ立場であれば、残された守護騎士に望むのは弔意ではない。
自分に変わって主はやての騎士であり続けることだ。
 しかし、シグナムにはテスタロッサの気持ちもわかる。フェイトにとっての高町はあまりにも特別な存在でありすぎた。
 主はやてにとっての高町と、テスタロッサにとっての高町は、ある意味では別人なのだ。

「そやからええんよ。フェイトちゃんが一生あたしを憎んだとしても、それはそれでええよ。
それで、フェイトちゃんがなのはちゃんのことを一瞬でも忘れてくれるんやったら」

「しかし、それでは主があまりにも…」

「ええんやって」

 そう答えるはやての足下に守護獣が寄り添った。

「主、お時間です」

「もう、そんな時間やった? ありがとな、ザフィーラ。いつもご苦労さま」

「いえ、若様のためならば」

「あー。その言い方、何とかならんやろか?」

「しかし、主のご子息ですから、若様とお呼びするのがもっともふさわしいかと…」

 子守狼が板に付いた、とヴィータに揶揄されるのにも、とうにザフィーラは慣れていた。
 ヴィヴィオから完全に離れた、と思ったら次に待っていたのははやての子供だった。
シグナムたちも子守には志願していたのだが、結局、公式には仕事を持っていないザフィーラにその役割が回ってきたのだ。
 もっとも、ヴィヴィオと違ってまだ小さな赤ん坊なので、ザフィーラだけで完全な世話をすることはできない。
 そこではやてが仕事の日は、管理局を退職したギンガが面倒を見ている。 

「リンヤ、でええよ」

 ギンガにとってのリンヤは、大幅に年の離れた弟なのだ。


138 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/07/22(火) 02:01:06 ID:bFn92E3x
        3
 
 皮肉なものだな、とはやては考えていた。親友の命を奪ったロストロギアを、任務とはいえこうやって護送しているとは。
 かつてのスカリエッティのような大物犯罪者が消えて久しいが、それでも犯罪者がいなくなったわけではない。はやてたちの仕事はまだまだ必要なのだ。
 さらに、ある二つの情報がなければ、自分がこの任務に就くこともなかっただろう。 

 一つは、このロストロギアが狙われているという情報。
 調査の結果、これはまさにオーバーSランクとも言えるロストロギアだと判明したのだ。
 時間の流れに干渉するロストロギア。このロストロギアは存在するだけで内部にエネルギーを蓄えていく。
 時間の経過を縦軸として考えれば、このロストロギアはフリーフォールのようなものだった。
ある程度の高さまで上がり位置エネルギーを貯めると、一気に解放して滑り落ちるフリーフォールのように、ロストロギアは時間エネルギーをため込むのだ。
 そしてある期間が過ぎると、一気にそれまでの時間を遡ろうとする。
 周囲に何もなければ、このロストロギアが影響する範囲はきわめて小さく、放置しておいても何の心配もない。
しかし、発見調査回収されたことによって一気に危険性は増してしまったのだ。
ロストロギアに関係を持った者、物、すべての時間が巻き戻される可能性がある。そして、世界の一部だけの時間が巻き戻ると言うことが何を意味するか。
 もっとも楽観的な観測でも、混乱は避けられないだろう。最悪の場合、巻き戻った世界と戻らなかった世界が整合しなければどうなるのか。
 もっとも悲観的な予想では、世界の崩壊。
 このロストロギアを破壊か、あるいは凍結して処分しなければならない。ある意味、闇の書に対する処分の計画とよく似ている。
 それもまた皮肉だと、はやては感じていた。
 そして危険度も似たような物だ。使い方によっては世界一つを変えてしまいかねない。テロリストが入手すれば、間違いなく重要な取引材料となるだろう。

 そしてもう一つ。おそらくは今回の任務に関係していると思われること。
 数日前から、リンヤの姿が消えているのだ。


 憔悴しきったギンガがはやてとゲンヤ〜ナカジマ夫妻の前でうなだれていた。

「ごめんなさい、はやてさん。私がついていながら……」
「ギンガ! お前…!」
「あかん、ゲンヤさん! 落ち着いて! あたしらが落ち着かな、誰がリンヤを助けるんや!」
「ぐ……す、すまねぇ。だが、どうしてリンヤが」
「あたしらはいろんな意味で恨みを買うてる」

 おそらくはもっとも間近かつ重大な任務、時を操るロストロギア護送に関するものだろう。
 護送に関する情報漏れの疑いは、ティアナとフェイトから報告されている。しかし、この手は予想外だった。

「護送任務からあたしが外れれば何の問題もあらへんよ」
「それでうまくいくのか?」
「……フェイトちゃんとティアナなら、問題はあらへん。あるとすれば」
「犯人がそれを由とするかどうか、か」

 はやてが護送任務に就かない。それだけが犯人の狙いではないだろう。はやてを利用してロストロギアを入手する。そこまでは考えられているはずだ。


139 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/07/22(火) 02:01:40 ID:bFn92E3x
      4

 犯人からの要求は、身代金だった。
 もちろん、それを本気にするほど甘くはない。
 元々護送任務に就くはずだったシグナムが受け渡し現場へ向かうと言い張った。
 ヴィータは自分が行くという。知られている可能性が高いとはいえ、見た目は子供なのだ。油断を誘えるかもしれない、と。
 それならば自分が適任だと言い張るリイン。
 どちらにしろバックアップは万全にすると、ザフィーラとシャマルは言う。
 一同の言い分を聞いて、はやては決断する。

 フェイトは、ロストロギア保管庫の前に陣取るはやてを訪れた。
 保管庫は大型トラックの中。横には武装局員たちを乗せた兵員輸送車。

「どしたん? フェイトちゃん。交代時間はまだまだやで?」
「うん。ちょっとお話しがしたくて」
「ええよ」
「結局、はやてはこっちに来たんだ」
「そうや。意表をついたんや。その代わりティアナは向こうに借りたで」
「ティアナの幻影ではやてを作る。本物のはやてはこっちでロストロギアを守る。だけど、護送任務ならティアナでも良かったんじゃない?」
「わざわざあたしが外れるように仕向けたんや。犯人が苦手とするのはあたしの力やろ。それがどんな力かまではわからんけどな」
「単純に、はやてと戦いたくないだけかもしれないよ」
「そんな風に考えるんは、一人か思いつかへんけれど」
「誰かな?」
「その前に、一つ忠告してええかな」
「なに?」
「バルディッシュはちゃんと洗いや? 血が付いてるで」

 はやての合図とともにトラックが急ブレーキをかける。
 押し出されるようにして外へ出るフェイト。それをはやてが追う。
 申し合わせたようにコントロールを失い、どこかへ消えていく輸送車。

「乗ってた局員を殺したんか」
「弱かったよ。抵抗どころか、私が何をしているかにも気づかなかったみたいだったよ」
「なんでや。って聞くのも野暮なんやろうか?」
「うん。わかっているはずだよね。はやてなら、私が時間を巻き戻したい理由」
「なのはちゃんかっ!」
「他に、何があるの?」
「予想はついたわ! そやけど、そんなん考えとうなかったんや!」
「どうして? なのはのいないこの世界なんて、別にいらないよ?」
「なのはちゃんがそんなん喜ぶと思うんか!」
「時間が巻き戻れば、何があったかなんてわからないよ」
「フェイトちゃん。止まる気はないんか?」

 愚問だと、はやてにもわかっていた。すでに局員が殺されているのだ。
 フェイトのために。いや、ぎりぎりまで友を信じたかった自分の判断ミスのために。


140 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/07/22(火) 02:02:14 ID:bFn92E3x
       5

「なのはちゃん一人のために、この世界を壊してしまうんか? 何が起こるかわかってないんやで」
「ねえ、はやて。偽善はやめようよ」
「偽善……?」
「はやてが心配しているのは世界じゃないでしょう?」
「何言うてるんや、フェイトちゃん」
「なのはが消えてから、はやては何をしたのよ! 結婚して、子供を作って、家庭を作って!!!
なのはにはできなかった! 結婚できない! 家庭なんてできなかった! なのに、はやてはッ!!!
なのはに当てつけるように幸せになって! 何様のつもりよっ! はやての幸せなんて、なのはのために消えてしまえばいいッ!」
「フェイト…ちゃん……?」
「自分一人幸せになって、みんなを不幸にして! それが偽善なのよッ!!」
「何…言うてるの……?」
「なのはのいない世界で幸せになっている人間なんて、私は絶対に許さないッ!!」

 赤い目は血の色に。憎悪の色がフェイトの瞳を染める。

「嫌や!」

 はやては叫んだ。なのはの友としてではなく、ましてやフェイトの友としてでもない。
 はやては叫んだ。ゲンヤの妻として、リンヤの母として。

「あたしは守る! リンヤを守る! フェイト・テスタロッサ・ハラオウンからロストロギアを守る!」

 しかし、そこに現れたのは絶望の色。
 それを招いたのはフェイトの言葉。
 痴呆を見るような目で。愚者を嘲る目つきで。フェイトは笑う。

「はやてってお馬鹿さん。どうやって守るの? もう、死んでるのに」

 夜天の王は絶叫した。
 どこからともなく現れたリインが怒りに燃える目でフェイトをにらみつける。
 
 ユニゾン

「フェイト……絶対に許さへん…」
「それは、私の台詞だよ。はやて」
「リンヤが、リンヤが何をしたんや!」
「なのはが帰ってきたら、もう一度産めばいいよ。それとも、プロジェクトF.A.T.E.の成果を借りる? 協力するよ?」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーっ!!!!!!!」


141 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/07/22(火) 02:02:50 ID:bFn92E3x
       6

 何があったのかはわからない。
 ただわかっていることは一つ。
 フェイトが任務中の管理局員とはやてを殺害したこと。そしてその数日前にはやての息子を誘拐して殺害していたこと。
 どのような経過でその事件が起こったのか。動機は何か。
 いくら考えても答えは出ない。

「何があったの、フェイトちゃん」

 いくら尋ねても、フェイトは何も答えない。
 
「良かったね、なのは」

 そう言ってにこにこと笑っているだけなのだ。
 なのはは、今日も徒労感を感じるだけの面会を終えて、施設を後にする。
 自分が死んでいたことなど、何も知らずに。

 ロストロギアを発動させた瞬間、時間軸は変わった。
 なのはは死ななかった。そして、なのはが生きているという前提で時間軸は変わった。
 しかし、ロストロギアを発動させた張本人のフェイトと、その関連の時間軸は変わらなかった。
 フェイトが殺した相手は、殺されたままの時間軸に残った。
 はやてたちはフェイトに殺された。新しい時間軸には、その動機となる事件など起こらなかった。
 フェイトには前の時間軸の記憶が残っている。
 だからフェイトは罪を認めた。
 彼女にとってはどうでも良かったのだ。なのはが蘇ったという事実の前では、すべてが些細なことだった。
 フェイトは幸せだった。


142 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/07/22(火) 02:03:37 ID:bFn92E3x

      7

 ギンガは幸せだった。
 はたからどう見えるかは気にしていない。現に、スバルは顔を見せるたびに心配そうにしている。
 しかし、幸せであることに代わりはない。
 かつてクイントを、そして今はやてを失ったゲンヤはショックで寝込んでいる。
 ギンガは嬉々としてゲンヤを世話していた。
 父…いや、ゲンヤと一緒にいる。それが幸せだった。
 ゲンヤを奪った憎き女から取り戻すことができたのだ。
 女がゲンヤを奪うために産んだ子供も消えた。
 もう、邪魔者はいない。
 
 ……ありがとう、フェイトさん。

 口には出さずギンガは、唆し操った相手に感謝していた。
 


143 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/07/22(火) 02:04:10 ID:bFn92E3x
 以上です。お粗末様でした。
 
 はやてちゃん大好きですよ。はい。


144 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 06:42:53 ID:HzhZWzFB
えーこれから職場に行くのに、その直前にこれは……
微妙に凹むなぁ

145 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 07:02:42 ID:j8hcnwuU
ギンガ・・・・・・((((;゜Д゜)))

146 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 07:18:08 ID:YNT2Wvub
ゲンヤさんが娘二人&ノーヴェを「妻」に格上げしてハーレム生活

亡き奥さんのクローンな上に、自分のDNAが入ってないので
今度こそ「ナカジマ家の血統」を残すべく…

ってのは?


147 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 07:32:35 ID:++El+GEA
>>136

> なのはは、周囲の被害を最大限に抑えるために
最小限の間違いじゃないかな。

148 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 07:58:52 ID:RX8xhOiF
>>143
いいですね!
こういうのすごい好きです
GJ!

149 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 08:55:54 ID:rCuGyTwq
>>143
アルフはどうなってるんだろう?
事前にフェイトのやろうとすることをうすうす察して止めようとして消されてそうだな
スバルかティアナがギンガを追及する話希望

150 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 09:10:20 ID:yMDAh5Pd
つか、ユーノは…

あと、リンヤってなんか知らんがすごく印象に残るな、個人的に。
母親としてのはやても見てみたかった。
なのはやフェイトが母親になるのはよく見るけどはやてが母になるのはなんか新鮮だった。

151 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 10:08:25 ID:eLVfYkc+
そか?A'sの頃からおかん気質だったと思うがw

152 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 10:31:52 ID:RX8xhOiF
このssの場合大してユーノの必要性感じないけどな……
自分の好きなキャラ出して欲しいのは分かるけどそんなん言ってたらキリないよ

153 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 11:27:11 ID:zEciFXKF
>>152
なのはの死亡に関係無いの?
多少出た方が良いのでは??

154 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 11:40:47 ID:ir565Rk/
>>143

ギンガ……こわっ

>>153

調査結果出したのは無限書庫という可能性もあるけどね。

この世界だと、何となくいち早くフェイトの行動に気が付き、
止めようとして返り討ちにあって、既にこの世に居ない気がしてならない。

155 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 12:18:11 ID:JayCKB6F
なのはは前線の人間なんだし、捜索打ち切られた時点で大体の人間は諦めるだろう。
フェイトがしつこかっただけ。

156 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 12:28:05 ID:wJngsEI0
      上、      /⌒ヽ, ,/⌒丶、       ,エ
       `,ヾ   /    ,;;iiiiiiiiiii;、   \   _ノソ´
        iキ /    ,;;´  ;lllllllllllllii、    \ iF
        iキ'     ,;´  ,;;llllllllllllllllllllii、    ナf
         !キ、._  ,=ゞiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!! __fサヘ.
       /  `ヾ=;三ミミミミヾ仄彡彡ミミヾ=`´  'i、
       i'   ,._Ξミミミミミヾ巛彡////iii_    |
       |  ;if≡|ヾヾヾミミミミヾヾ、//巛iiリ≡キi  |
        |  if!  |l lヾヾシヾミミミ川|ii//三iリ `キi  |  カサ
      |  ,if ,f=|l l lヾリリリリリ川川|爪ミミiリ=t、キi  |    カサ
        |  ;iナ,サ |l l l リリ川川川川|爪ミミiiリ キi キi  |
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        ;メ'´    !彡ノリリリリリゞミミシ     `ヘ、
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      ;メ        ``十≡=十´         `ヘ、
                 ノ    ゞ


157 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 12:28:25 ID:wJngsEI0
      上、      /⌒ヽ, ,/⌒丶、       ,エ
       `,ヾ   /    ,;;iiiiiiiiiii;、   \   _ノソ´
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       /  `ヾ=;三ミミミミヾ仄彡彡ミミヾ=`´  'i、
       i'   ,._Ξミミミミミヾ巛彡////iii_    |
       |  ;if≡|ヾヾヾミミミミヾヾ、//巛iiリ≡キi  |
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      |  ,if ,f=|l l lヾリリリリリ川川|爪ミミiリ=t、キi  |    カサ
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                 ノ    ゞ


158 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 12:28:51 ID:wJngsEI0
      上、      /⌒ヽ, ,/⌒丶、       ,エ
       `,ヾ   /    ,;;iiiiiiiiiii;、   \   _ノソ´
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       i'   ,._Ξミミミミミヾ巛彡////iii_    |
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159 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 12:29:11 ID:wJngsEI0
      上、      /⌒ヽ, ,/⌒丶、       ,エ
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160 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 12:29:33 ID:wJngsEI0
      上、      /⌒ヽ, ,/⌒丶、       ,エ
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161 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 12:32:37 ID:FF7kgJok
黒幕ギンガかよwww!!

こんな黒いギンガ嫌だぜ、でもGJ。

162 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 12:33:41 ID:/a/O6IoH
やめろクズが

163 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 12:45:30 ID:FMB//CYo
自演乙

164 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 17:08:13 ID:OmZZrfsC
黒いw

165 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 17:14:59 ID:irlfbxTe
ちょ、おま、洒落のつもりか!?…不覚にも吹いた。
台所とか風呂場、寝室が気になって仕方ないじゃないか。

166 名前:タピオカ:2008/07/22(火) 17:40:24 ID:FUDCbFGn
B・A氏がGJすぎるので書いちゃった

注意事項
・ニ番煎じ。B・A氏の方が濃い充実感がある。
・山なし。
・意味なし。
・落ちなし。
・801的な意味ではなく、本当に毒にも薬にもなりゃしない話。
・いろいろなキャラを生存のために無茶した嘘っぱちストーリー。
・例えばゼストとチンクに子供がいるような無茶っぷり。
・エロいはずがない。


167 名前:タピオカ:2008/07/22(火) 17:41:44 ID:FUDCbFGn
「宴は永遠に」 居酒屋「中将」編


「おう、らっしゃい……なんだ、ゼストか」
「なんだとは、挨拶だな」
「子供たちを送った帰りなんだろう? いいのか、こんな所に来て」
「不良娘につかまってな」
「旦那、そりゃないぜ」
「お久しぶりです、中将」
「アギトくんとシグナムくんか。両手に花だな、妻子持ちが」
「…帰ろう」
「旦那ぁ、久しぶりなんだしちょっとだけでも付き合えよぉ」
「分かった、分った。引っ張るな」
「こちらの席で構いませんか?」
「なに、今日も客が少ないんだ、もっとでかい所を占領してもらって構わんよ、それで注文は?」
「中将、とりあえずあたし焼酎!」
「私も焼酎を」
「炎使いっ娘どもめ。それでゼスト、お前は?」
「お前に任せる。そう強くない酒にしてくれ」

居酒屋「中将」
そんな暖簾がクラナガンの片隅にあったそうな。

168 名前:タピオカ:2008/07/22(火) 17:42:17 ID:FUDCbFGn


レジアス・ゲイズは死んだ。殺されたのだ。スカリエッティのミッドチルダワイワイ聖王大作戦の最終局面の事である。
しかしレジアスが気づけばそこはお花畑だった。美しい光景なのに霞がかかったように曖昧な世界。
向こうには河が見える。
あぁ、綺麗でいい気持ちだ。
ふらふらと、夢心地でその河の向こうへ足進めていた時である。
河の向こう岸になんと死んだ妻がいたのだ。驚いたレジアスは喜び勇んで走り出した。
しかし死んだはずの妻はそんなレジアスを止めるのだ。こっちくんな、と。
正直へこんだ。お前、こっちくんな、ってお前……
そして妻はこう続けるのだ。まだ死ぬな、と。
え、わし死んでるの?!
とレジアスが自覚した瞬間、眼が醒めた。
救護班に運送されている途中である。めっちゃお腹痛い。破れてる。
でも生き延びた。軍人だもの。

そうして全てが白日の下にさらけ出されたのち、レジアスは管理局を辞めて居酒屋を開いたのだった。
居酒屋「中将」。
管理局止めたのに未練があるのかないのかよく分からん看板だが、彼としてはきっぱりと、身を引いたつもりだ。
平和を志した。がむしゃらに突っ走った。とにもかくにも、ミッドチルダの犯罪率に睨みを利かせてきたしてきた……そう、犯罪率と言う、数字を睨み続けていたのだ。
どのような犯罪がある。
どのような犯罪が起こる。
どのような犯罪が起こり得る。
どう防げばいい。
どう守ればいい。
どう戦えばいい。
あらゆるデータを検討して研究して見直して考察して照合せ、そして常に効率的な計画や人材の采配、鋭い観察眼とベテランの勘で平和を守り続けてきた。
データの上で…だ。

もうずっと、人と人のつながりに触れていなかったような気がした。
部下や上司、多くの企業や政界人との会議、相談、情報の交換。
本当に一人一人と、語りあったのか。触れあったのか。
いいや、見ていたのは、数字だけ。
吹っ切れた。違法に手を染めた事実が明るみに出た後も、レジアスを支持する数多の声は彼に「帰って来てくれ」と言う。
かなぐり捨てた。管理局での地位やら名声やらをすべて放り出して、一人一人の顔を見て接してみてみよう。
志した平和の事を振り返るのは、それが出来てからだ。

居酒屋「中将」の誕生である。

169 名前:タピオカ:2008/07/22(火) 17:42:53 ID:FUDCbFGn


ゼスト・グランガイツは死んだ。騎士として、誇り高い決闘に散ったのだ。
この悲報を耳にして超絶に泣いたのはチンクである。もう超泣いてた。鼻水ずるずる。
あまりの様子にノーヴェがフェイトを通して、どうにかならんか? と尋ねたら、

「チンクがゼストを膝枕すると治るよ」

と返ってきた。
想像上のスカリエッティを5329発マジパンチした後にノーヴェがこの事をチンクに伝えると、チンク、海上隔離施設を脱出。
レリックウェポンの実験体ゆえの解析をするために、破格の保存状態で安置されていたゼストを膝枕するとゼストが起きた。

フェイトがさらに追及すると、スカリエッティは悪魔の如き身も心も凍える条件と引き換えにいろいろ喋ってくれた。
その声に出すのも恐ろしい条件とは

「チェスしよ」

だった。希代の天才科学者は構って欲しがりなのだ。
一回だけ死亡に至るダメージを受けたとレリックが判断した折、自動的にゼストを仮死状態にして再度の覚醒が可能な機能をスカリエッティがつけたとかなんとか。
膝枕しなくてもチンクのお腹――正確にはチンクの胎内に宿る命がゼストの頭部に設定された擬似魔力回路に近づけば再び目覚めるとかなんとか。

「それで、なぜチンクにだけあなたの複製を仕込まなかったのですか? a-6ルーク」
「そりゃ、君、あそこで動けないチンクに私をもう一人仕込んでも仕方あるまい。f-2ナイト」
「……本当に、チンクのお腹の中にいるのは騎士ゼストとチンクの子供なのですか? h-6クィーン」
「本当だよ。騎士ゼストを復活させてしばらくはチンクが世話をしていてね、その時に…ね。d-4ポーン」
「何年も前なのでしょう? 今赤ちゃんが母胎にいるのはおかしい」
「受精卵を凍結させて保存してただけさ。あの頃はまだ戦闘機人に子供を産ませるなんて行為に確実性がなくてね。私の複製を仕込むために調整した今、解凍してチンクに還してあげただけだよ」
「なぜ、そんな事をしたんです?」
「私が捕まったら他のナンバーズに私を仕込む時以外にチンクに子供を還してあげられないじゃないか」
「……捕まる事を想定していた、と? g-1キング」
「勝ちも敗けもいろんな事を想定しているよ、私は。今回は君たちの活躍が私の勝ちの想定を超えた、と言うだけさ。b-4ビショップ。こっちのナイトをいただこう」
「あ」
「あと3手で詰みだね」

そんな風に、チンクといろいろあったゼストだが、レジアスが「なんぼのもんじゃああああああ!!!」とリハビリの後に見事な肉体的再生を見せたのに対して不都合が多かった。
ガタが来ている、というのがしっくり来るほどに不定期に不自由に陥るのだ。
あるいは視覚に障害が出たり、あるいは体の一部が麻痺したりとかなり突発的に肉体が異常をきたす。
普段は普通どおり屈強な肉体を行使できるのだが、発作のようにそうなってしまうのだ。
軍人はもう無理だった。
それでは仕事はどうする? と考えて、教壇に立ちたい、と思いもしたがやはりそんな体では無理だろう。

悩んだ。
悩んでる所、昔世話になった元提督がやってきて「本を書かないかね?」と誘ってくれた。
これならば締切に触らない限り、何度か死にかけても他の人に迷惑がかからない。
レジアスの功績をきっちりグラフとして纏めてみたり、実体験を元に犯罪についてどう構えるのがいいか書いたりして割と好評だったので、四苦八苦しながらも3冊出したり、いくつかの雑誌にコラムなど書かせてもらっている。
これも今現在、娯楽でバー「GG」のオーナーをしている御隠居さんのおかげだ。この人べらぼうに人脈があるから書籍の出版社にゼスト紹介するのもちょちょいのちょいだった。

170 名前:タピオカ:2008/07/22(火) 17:43:38 ID:FUDCbFGn
途中、更生が完了したとギンガとゲンヤと、いろいろあって現代に甦ったリニスから判子を貰ったチンクが「世話させろ!」と押し掛けてきた。
ルーテシアやシグナム、アギト、レジアスなどなどが定期的に顔を見せてくれたが、チンクが来て以降プッツリ途絶えてる。
みんなチンクを信用してゼストを任せておこうと思ってるのだろうけど、ゼスト的にはちょっぴり淋しかった。
そんな顔を目ざとく拾った時のチンクは、

「私では不満か?」

と、泣きそうに、そして静かにゼストに聞いたと言う。
ゼストの答えは強く激しい抱擁だった。

っで、なんやかんやで、チンクが子供産んで実質妻子持ちとなったゼストさん。
籍は入れてない。と言うか故人と機人でどう籍を入れろと?
事実上の女房子供としてチンクとその子はゼストの家族となったのだった。
そして、未だに教壇に立ちたい―――戦えぬならば、育む者となりたい、と零したゼストへとチンクが、

「私塾を開こう」

と提案。
当初は3、4人に勉強を教えている程度だったのが今では20人超える子供たちにいろいろと教えている。
チンクとゼストの二人ががりで学術的な教えを伝えたり、武術的な指南をしたり、礼儀作法を叩きこんだりとである。
個人個人に見合ったレベルの学問をさせたり鍛練をしたりしており、割合厳しめだが慕われていた。

最初の方は子供の親御さんに、

「ま、あそこの男の人、ずっと家に引きこもっているのよ! そんな人にうちの子は任せられないわ!」

とか、

「え?! あんな小さい女の子を孕ませたの?! そんなロリコン、うちの子に近づかないで?!」

とか、さんざん言われてたけどその誠実で剛健な人柄を認められて、今ではご近所の良く出来た大人筆頭である。
私塾が終わるのは夜で、ゼストが見張りの役を兼ねて子供たちと一緒に駆けて帰るのだ。
決まったルートを作ってそこを走り、各所に子供たちの家がある。鍛練の一環である。

そして、子供たちを送り終えた帰り道、シグナムとアギトに出くわしたのであった。
チンクに連絡をいれてから、居酒屋「中将」へ。

171 名前:タピオカ:2008/07/22(火) 17:44:31 ID:FUDCbFGn
「それで、男子生徒の何人かに…チンクに恋心を抱いている者もいたりするのだ…」

トクトク、とレジアスのコップに酒を注ぎながらゼストが渋面で零した。
「俺ら勝手に飲んでるから友達と一緒に中将も飲みな!」と実に気風の良い客たちの勧めによりレジアスもゼストたちの輪の中で酒飲んどる。
ちなみに開店当初は店主であるレジアスを「大将」と呼ぶのがもっぱらだったが、「いや店の名前が中将なのに、大将と呼ぶのはおかしいだろう」と客の一人が呟やき、それからは常連がレジアスを呼ぶ時は「中将」だった。

「旦那旦那、じゃあ、その生徒にもっと成績良くなればチンクがチューするとか言えばいいじゃん」
「俺たちは子供たちの成績を良くしてやろうとしているわけはない。子供たちに正しく育って欲しいだけだ」
「そうらぞ、アギト。ヒック。ゼスト殿の生徒たちはにゃあ…ヒック…みんなお前よりも、ヒック、良い子たちばっかりなのだぞぉ、ヒック」
「水飲め酔っ払い」
「にゃにぃ! 私と言えば炎だろう! 水とは何事か!」
「お望みなら焼いてやるけどよぉ……飲みすぎだろ」
「焼く? あ、そうだ中将、焼酎おかわり!」
「飲み過ぎは体に毒だぞ、シグナムくん」

それでもシグナムのコップにきちんと注いであげるレジアス。
酔いが醒めた後この無礼にすげぇ青くなる烈火の将。

「まぁ先生に恋をして、それが叶わないなんて青春もいい経験になるんじゃないか?」
「先生というか…その子たちはどちらかと言えばチンクを同年代に見ているようでな……」
「がっはっはっはっ、あの容姿だ、納得できる」
「その子たちのこれからの恋愛に響くかもしれんと心配がある」
「旦那、優しすぎ。ガキなんて失恋してもまたすぐ違う子を好きになるって」
「そんなに楽観していていいのだろうか?」
「チンクくんはその男子生徒について知っているのか?」
「いや、さっぱりだ。あいつはこういう事に関しては鈍いようでな」
「…………お前が言うか」

酒気含んだゼストの溜息にレジアスも溜息。
アギトがふよふよとあぐらかきながら浮き、興味わいたようにレジアス見上げた。

172 名前:タピオカ:2008/07/22(火) 17:45:19 ID:FUDCbFGn
「旦那、モテたの?」
「ああ、こいつ自身気づいてないが女性局員からとんでもなく人気があった」
「……そうなのか?」
「な、こんな感じだ、アギトくん。ゼスト、お前にわしが妻帯しろとしつこく言ってた時期が何度かあったろ」
「ああ、何度かあったな」
「女性局員がお前を紹介してくれ、紹介してくれ、と喧しかったからそう誘ってたんだ」
「……そうなのか」
「主…うぅ、おいたわしや、主ぃ……9歳の幼少より戦い続け、色気ない青春を駆け抜けなさって……」
「酔いすぎろシグナム、またいたずら書きすっぞ」
「八神くんの評判もいいものだぞ、シグナムくん。何人かからお付き合いしたいと聞いた事がある」
「にゃにぃ!? そんな不埒な輩ぁ叩っ斬る!!」
「がっはっはっ、八神くんを娶るにはシグナムくんを乗り越えねばならんのか。こりゃ難しい」
「あとザフィーラとヴィータもだな。シャマルとリィンは理解ありそうだ」
「オーリスのそんな話も聞かんな」
「あれに何度か見合い話を向けたんだがな……仕事一点張りなのだよ。昔はゼストに嫁がせようと考えてた時もあったんだがな」

ゼストの酒飲む手が止まる。意外そうな顔だ。
レジアスはアギトの酌を受けながら意地悪そうに口角上げて目をそらす。

「……どちらにせよ、俺では釣り合わん」
「バカタレ、オーリスが知る限りお前以上の男はおらんわ」
「オーリスが一番だと思っているのは、お前だレジアス」
「旦那はジールが彼氏つれてきたらどうすんだ?」
「!!」

ジール。ゼストとチンクの娘の名だ。ビシリと、ゼストが握るコップにひびが入る。
室温下がったと思うほど急激にゼストから鬼気立ち上って迫力が濃密になった。
アギトとゼストが爆笑。

「……………………その男による」
「コップを壊しておいて格好つけるな」
「旦那もシグナムと同じタイプかねぇ」

アギトがちらりと視線をやると、シグナムがコックリコックリ船をこいでた。

「むにゃむにゃ三ヶ月後そこには元気な騎士ゼストの姿が……むにゃむにゃもう紫電一閃はくらわないよ…うーんむにゃむにゃ」
「落書き決定だな」

きゅぽん、とアギトのマジックペンが唸る。
そんな様子をレジアスもゼストも微笑ましく見守った。
ふと、笑顔である自分を自覚してゼストがさらに、深く笑ったのだった。

「少し酔ったか」

居心地が、良かった。

173 名前:タピオカ:2008/07/22(火) 17:46:16 ID:FUDCbFGn
終わりです。

174 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 18:27:22 ID:lsr+vUyW
>タピオカ氏
ちょw
作戦名wwwwwww
あとゼスト再起動システムSUGEEEEッッ!!


175 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 19:39:36 ID:rCuGyTwq
>>173
いいね、ほのぼのしていて非常にグーです
微妙に氏の過去作との繋がりがww

176 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 20:12:23 ID:c3lIemTx
>>173
五時だー帰るー酒飲むー

177 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 20:23:29 ID:OBp/tpdW
>>176
今夜は地獄の三丁目で呑み放題コースゥ〜

178 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 20:33:15 ID:HzhZWzFB
えーすっごいご都合主義だー
けどこういうほのぼのした結果になるのは良いですねえ

179 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 20:58:42 ID:apMxRvs5
>>173
GJ。
ほのぼののはずなのに、要所要所で茶を吹きそうになったのはどうしてだろう?w

180 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 21:18:20 ID:QH/tBFsp
>>177
酒と居酒屋と友達は、永遠にここに在る

181 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 21:51:30 ID:01Vhvj3M
なんか中将シリーズ良いねぇww
B・A氏もタピオカ氏もGJ!!

182 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 23:09:01 ID:m5eLKHb7
コーヒー吹きかけた。
なんていうか、ストレートな笑いをありがとう。
>めっちゃお腹痛い。破れてる。 でも生き延びた。軍人だもの。
破れているなんてレベルじゃない、貫通してますw
ここで一番吹いた。


183 名前: ◆Ev9yni6HFA :2008/07/22(火) 23:31:54 ID:VkvW8kL5
これから投下します
・非エロです
・独自解釈を含みます
・sts開始前の地上本部をメインにした話なので六課の面々については察してください
・NGワードは「尊ぶべき愚者」で

184 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 23:33:41 ID:eZeJzxGa
おk

185 名前:尊ぶべき愚者 十六話 1/12 ◆Ev9yni6HFA :2008/07/22(火) 23:35:06 ID:VkvW8kL5
 目の前の皿には過剰とも言える量のパスタ。
 麺類は消化がし易く、手早く魔力の補給が出来るので愛好されているが、流石に訓練の直後にはきつい。
 准尉もグロッキーらしく食が進んでいない。
 
 それとは対照的に執務官と二尉はどんどん自分の小皿に取り分けていく。
 
「つーか、俺とお前の階級が二つ違いとかあり得ないだろ。俺は元教導隊のエースオブエースだぞ」

 二尉が頬杖を突いてフォークの先端を准尉に差し向ける。
 准尉と尉官では必要とされる能力が違うので単純な上下関係を求める事は出来ないと思うのだが、二尉にとっては気になるらしい。

「んな事言われても」

 准尉はコップに注がれたドリンクを口に含みながら疎ましげな視線を二尉に向ける。

「何でこんな奴が准尉なんだろうな。准尉といえば下士官の最高位で叩き上げのベテランだぞ」
「あー、悪かったですね。自分でも気にしてますよ。どうせ運だけで出世しましたよ。たまたま戦果を上げただけですよ」
「くそったれが。俺にも運があったらなぁ。今頃三佐にはなれてたよな」

 ふと、ティアナは思った。
 果たして、執務官の三等海佐と元教導隊の二等空尉と陸准尉と二等陸士が同じテーブルでパスタを突っ突いている光景は周囲からどう見えるのか。

 気になって周りを見渡すが、特別自分達を特別視している人間はいない。
 目立った活躍をした訳ではないし、むしろ、特別視されると思った自分が自意識過剰なのかもしれない。
 仮に注目されてもそれは執務官か二尉であって自分ではない。
 だが、いつの日か自分自身の力を周囲に認めさせて兄を馬鹿にした連中を見返してやる。


「そういえば、何で二尉止まりなんですか? 前に出向した部隊の上官を半殺しにしたとか聞きましたけど」

 初めて耳にした話にティアナが二尉の顔を見ると、二尉はフォークをテーブルに置いて動作を止めていた。
 喋っていいものか思案するように一旦視線を手元に落とすが、すぐに顔を上げる。
 その時の表情からは何を考えているのか、思考が読み取れない。



186 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 23:35:26 ID:U8wmAsa+
かえれ

187 名前:尊ぶべき愚者 十六話 2/12 ◆Ev9yni6HFA :2008/07/22(火) 23:36:40 ID:VkvW8kL5
「そうだよ。そのせいで教導隊は辞めさせられてな。
 隊長達は庇ってくれたが、俺は教導隊にさほど思い入れがなかったから。いい機会だと思ってあっさりと」
「……管理局員の何人が教導隊を目指してると思ってるんですか」

 教導隊は総勢百名の精鋭なので配属されるのは相当の苦労を要する。
 二尉の発言は教導隊を目標とする多くの人間の神経を逆撫でするだろう。
 だが、執務官は鼻で笑い、

「悪い事は言わないからそいつらは止めといた方がいいな。俺から見ても化物揃いだったぞ、あそこ。
 あんな人外魔境でよく十年近く働けたと自賛したいくらいだ」

 その人外魔境の事を回顧したのか二尉の視線は空中を泳ぎ、表情が歪んでいる。
 深く注目すれば額にうっすらと汗が滲んでいるのも確認出来る。

「そんなに凄い所なんですか?」

 自分はあくまで執務官志望であり教導官になるつもりはないが、二尉を以てしてそこまで言わせる教導隊に興味が湧く。

「五つある部隊の一つしか知らないが他も似たようなもんだろ。
 あいつら、戦術も糞もなくて魔力全開で突撃するだけで任務完了だからな。
 俺みたいな常人は何度凹んだ事か」

 二尉が凡人なら果たして自分は何なのだろう。
 本人に悪気はないのだろうがちょっと凹む。

「何にしろ、二度とあいつらとは一緒に戦いたくない。あー、でも給料は良かったな。今は金欠だから余計にそう思う」
「それでも二等空尉なんですから結構貰ってるでしょ?」
「そりゃそうだが、今回の怪我の治療にかなり使っちまったからな」

 嘆きながら二尉は両足を軽く叩く。



188 名前:尊ぶべき愚者 十六話 3/12 ◆Ev9yni6HFA :2008/07/22(火) 23:37:41 ID:VkvW8kL5
「はい?」

 准尉の顔に怪訝な表情が浮かぶ。

「任務中の負傷でしょ? 自費で払うにしてもそんな金額には……」

 それがな、と二尉は前置きし、

「事前に一人で戦うって進言しといたんだけど、許可されなくて。それでも一人でやっちまったから独断専行の末の負傷なんだよ」
「……うわぁ」
「隊長は許可を出した事にしてやるって言ってたが、そうすると隊長の判断ミス扱いになるから、さすがにそれは拙いだろ?
 みたいな話を室長や隊長としてたら何時の間にか全額自己負担になってた。
 負傷者が多くて財源がヤバいらしいし、他の局員への戒めも込めてるらしいんだが、どうよ?」
「どうよも何も、思いっきり自業自得じゃねえか。室長の嫌がらせも混じってそうだけど」
「まあ、隊長がこっそり金貸してくれたんだけどな。無利子で」

 ティアナと准尉が揃って脱力する。
 我関せずの態度だった執務官も眉を顰めている。

「なんつーか、あんたを部下に持つ隊長って気苦労が凄いな」
「部下の面倒見るのも上司の役目だろ?」

 かなり意図的に役目を増やすのはどうなんだろうか?
 罪悪感を抱いている分だけマシかもしれないが。

「……ランスター、悪い事は言わないから師事する奴を変えた方がいいぞ」

 言葉にも表情にも出さなかったがちょっと同意してしまった。
 そんな雰囲気を察したのか、二尉は心外だと言わんばかりに憮然とした表情になる。

189 名前:尊ぶべき愚者 十六話 4/12 ◆Ev9yni6HFA :2008/07/22(火) 23:39:07 ID:VkvW8kL5
「俺はお前達よりは実戦を経験してるからな。名誉挽回も兼ねて二つほど心構えみたいなのを教えとく」

 まず一つ目、と人差し指を立てる。

「さっきの訓練とも少し関わってる事だ。
 この世界には自分一人じゃどんなに頑張っても出来ない事はあるし、出来ない事の方が多いだろうさ。
 だからヤバいと思ったら自分の隣を見てみろ。可能性が開けるかもしれないぞ」
「隣……」

 つまり共に戦う仲間を信じろという事だろうか。
 一人では無理でも仲間がいれば出来ると。

 確認の意味を込めて二尉の方を見るが、二尉は頭をぽりぽりと掻きながら、

「あー、でもあくまで可能性だからな。駄目でも恨むなよ。執務官は単独行動も多いし」

 最後ので色々と台無しになっている気もするが自分の解釈であっているようだ。


「それともう一つ」

 今度は中指も立てて「二」を表現する。

「お前達は命がかかった極限状態でデバイスを信頼出来るか? 魔法の発動が一瞬でも遅れると死に直結する、そんな場面だ」

 突然の問いかけにティアナと准尉は揃って黙り込む。
 所詮はただの機械だ。
 自分の命を預けられるかと問われると……

「はい、駄目ー。そこは即答しろ。出来ると」
「でも」
「でもじゃない。信頼出来ないならデバイスを使わずに戦え。心の中にデバイスを疑う気持ちがあるとそれが実力を狂わせる。
 物言わぬストレージデバイスだろうと命を預けろ。そうすれば必ず応えてくれる」
「インテリじゃあるまいし……」

190 名前:尊ぶべき愚者 十六話 5/12 ◆Ev9yni6HFA :2008/07/22(火) 23:40:02 ID:VkvW8kL5
 准尉の呟きに二尉は敏感に反応した。

「おい執務官。この夢を忘れた大人に何か言ってやれ」

 いきなり話を振られた執務官は驚いたようだったが、胸に手を当て、正確には服の下にある何かを掴んで、

「使わないのでデバイスに関して大した事は言えませんが、二尉の言うような事はあると思いますよ。
 さっきの仲間を信頼するという話とも似通った部分があります」

 仲間と同じようにデバイスを信頼する、か。
 人工知能を有しているインテリジェントデバイスとなら可能だろうし、
 使い手は全員そうしているだろうが、自分はストレージデバイスに同じ事が出来るだろうか。
 アンカーガンは自分で作ったデバイスなので愛着は持っているつもりだが、そこから信頼と呼べるものに昇華出来るかは分からない。 
 やはり、実戦を経験するとデバイスに対する意識も変わるのだろうか。

 一方の二尉は流石だ、とでも言いたげに頷き、一枚のカードを取り出す。
 待機状態のデバイスだ。 

「俺はこいつに何度も命を救われてるからな。もう頭が上がらない」
「そういや、死にかけても握ってましたね」
「なんだが、昔の男がつけ狙っててな。マジ勘弁」

 デバイスを見る目にちょっと妖しい光が混じっている。
 実はこの人、多少倒錯した嗜好があるのでは、とティアナは背筋を冷やした。

「お前等もあれだ。白髪で変な仮面付けた男に会ったら即行で逃げろ。強いし破滅思考の塊だから」

 冗談っぽく言われたのでその忠告をティアナはあっさりと忘れた。

191 名前:尊ぶべき愚者 十六話 6/12 ◆Ev9yni6HFA :2008/07/22(火) 23:41:03 ID:VkvW8kL5
「ただ……」

 二尉の声のトーンが下がり、表情にも陰りが生まれる。

「こいつはもっと人の為に戦いたがってるのに、俺じゃこいつを使いこなせないから済まないと思ってる」

 小声であったため准尉やティアナが気付く事はなかった。 







 食事も終了し、解散という頃合いになった時、執務官がティアナに紙の束を無造作に差し出した。
 かなり厚みがあるので百枚は超えているだろう。
 だが、一枚一枚が別になっているのではなく数枚毎に一綴りになっているようだ。

「過去の裁判で判決が賛否両論になったり、似たよう事件の前例になった事件の記録だ。目を通しておくと勉強になる」
「あ、ありがとうございます」

 受け取ったのを合図に皆が席を立ちそれぞれの帰路につく。
 外では不穏な気配が漂っていたものの彼女、ティアナ・ランスターの日常は充実して過ぎていった。




192 名前:尊ぶべき愚者 十六話 7/12 ◆Ev9yni6HFA :2008/07/22(火) 23:43:01 ID:VkvW8kL5
 それは十年程前の話。
 執務官になって間もない自分は23管理外世界の滅びに関する資料を無限書庫から発見した。

「お目当ての品物は見つかったかな?」

 背後からの声に驚いて振り向くと、そこにいたのは初老の男だった。
 確か次元航行部隊の提督で自分の保護者とも親交があった筈だ。

「最初にここの存在を知った時には、何故放置してあるのだろうと疑問に思いましたが、今理由が分かりました」
「それは良かった。私としても理解者が増えて嬉しい限りだ」

 皺が目立ち始めた顔を綻ばせ、しかし鋭い眼光を執務官の持つ資料に向ける。

「出資者は管理局は一切非のない完璧な組織でいてほしいらしくてな。現場の人間にはいい迷惑だ」
「過去を改竄し、自分達を正当化する。あなた達の正義はなんですか?」
「正義、正義か。一つ教えておこう。世界は正義では動かん。効率や利益で動く」

 殴り飛ばしたい衝動に駆られるが、ぐっと我慢する。

「組織が己の保身に走るのは当然だろ? 管理局が瓦解すれば保護している君の同胞も路頭に迷うな」

 更に男は首を僅かに傾げ、 

「そもそも、本当に我々が原因か?」

 一旦言葉を切り、

「実際に見た訳ではない。紙一枚の情報をあたかも真実のように語るのは執務官としての資質に疑問を感じずにはいられんな」
「……では提督を問い質します」
「あの男は、人情家だからな。あえて悪役を買って出るかもしれんな。愚かすぎるとしか言えんが」
「……罪を隠す事が賢明だと言うなら自分は愚か者でありたといと思います」

193 名前:尊ぶべき愚者 十六話 8/12 ◆Ev9yni6HFA :2008/07/22(火) 23:44:06 ID:VkvW8kL5
 執務官の言葉に提督は最初驚いた顔になり、次に口を真一文字に結び、

「君は、次元世界に何人の人間が住んでいると思う?」
「それは……」
「生憎、私も知らないので答えられても困る。それどころか一日に何人の人間が生まれては死ぬのかすら把握出来ていない」

 鋭い目で執務官を正面から見据え、

「人の死など、数字として考えなければとても精神がもたん。君の保護者のように髪の毛が真っ白になっても知らんぞ」
「忠告ですか?」
「警告だ。執務官は一切の私情を排して法を執行しなければならないが、貴様は危うい所がある」
「向いてない事は自覚してます」
「理想を持ち続けたいなら出世はするな。出世するなら自身が汚れてしまう事を覚悟しておけ」

 意外に良い人なのかもしれないと執務官は思った。
 案外、悪役を買って出たのは提督なのかもしれない。
 自分の恨みが保護者に向かわないようにと。

 そんな時、執務官は自分達以外が発した物音を聞いた。
 その物音に反応した二人が一斉に音源を向くと何者かが書庫から出ていく所だった。
 出口から差し込む光で顔はよく見えなかったが、体格などから若い男のようだ。

「……グレアムの所の片割れか。教導隊の馬鹿と一緒に管理外世界で任務中だと聞き及んでいたが」
「ギル・グレアム提督ですか?」
「ああ。そして今見た事は詮索するな。奴の覚悟が無駄になる」

 その言葉の意味を理解するには数ヶ月の時間を必要とした。
 更にその際の一件で管理局の深淵さを思い知る事になるが閑話休題。

「話を少し戻しますが、僕が私情を優先させ、その結果、管理局に対して敵対したらどうしますか?」
「望ましくない事態だが、仕方ないと諦め相手をする。それが管理局を名乗る者の使命だ」

 その答えに安堵すると同時、目の前の相手や周囲の本棚が融けるように消え去り黒一色の空間になる。
 疑問に思う間もなく今度は浮遊感が訪れる。
 飛んでいるのか、落下しているのかも分からない不愉快な感覚の中、漆黒の闇の中でさえも異質な存在感を放つ黒い影を見た気がした。




194 名前:尊ぶべき愚者 十六話 9/12 ◆Ev9yni6HFA :2008/07/22(火) 23:45:04 ID:VkvW8kL5
「ん? あれ……」

 気がつくと机の上に頬を押し付けて眠っていた。
 生憎夢の内容は覚えていないが、体を起こして伸びをする。
 作業中に寝るとは妙だなと思いながらも期日が迫る作業を再開する。



「……また来たか」

 ホテルの自室で事件の報告書を纏めていた執務官は背中越しに気配を感じ、うんざりした口調で作業を中断する。
 そして、背後に意識を集中させたまま右手を首から垂れる鎖に伸ばす。
 時計を一瞥すると既に日付が変っている。

「そう邪険に扱うな。淋しいだろ」
「淋しいなら他に行け」
「残念ながらお前で三人目だ。
 他の二人は「仲間と思われるのは本意ではない」だの「研究で忙しい」だの言ってな。
 冷たいよなぁ?」

 背中に濃密な威圧を感じるが無視。
 今度、ナカジマ陸曹と途中経過を報告し合うのでさっさと終わらせなければ。


 視界の右端から黒衣を纏った腕が伸び机の上の資料を手に取る。
 引っ掴もうとも思ったが、報告書作成には関係ない物なので放っておく。

「何々。
 局員一名を殺害し一名に重軽傷を負わせるが被告人は極度の精神衰弱状態にあり精神鑑定の必要性あり……
 親に強要され、自らの意思で犯罪に加担した訳ではないので最大限の温情を求む……
 くだらんな」
「別にお前に見せようとした訳じゃない」

 ランスターに見られないように抜き取って置いただけなのだ。
 もし抜き忘れて一緒に渡していたと想像するとぞっとする。
 振り向いてヘテロクロミアの男から資料を引っ手繰り、その場で破り捨てゴミ箱に捨てる。
 コピーした物だし内容は暗記済みなので問題はないだろう。



195 名前:尊ぶべき愚者 十六話 10/12 ◆Ev9yni6HFA :2008/07/22(火) 23:46:07 ID:VkvW8kL5
「用がないなら外交官の所にでも行ってろ。同郷だろ」
「今行っても向こうは臨戦態勢だろうしな。からかいがいがない」

 心底詰まらなそうに呟いて勝手に冷蔵庫の中身を漁り始める。

「大した物がないな。お前の所で作られる神酒が好きだったんだが」

 無視して報告書の続きを書こうと思ったが、当事者を前にして推測を交えた報告書を書くのは虚しい。

 どうしたものか、と考えているとベッドの脇の小机の上に置かれた封筒が目に留まった。
 ただの気紛れで一度封を切られた封筒から半分に折り畳まれた紙片を取り出す。
 視線を走らせて内容を読み取ると自然に表情が固くなる。

「シェオルの所有権を管理局に譲渡……」

 失われたと思っていた秘宝が見つかった途端にこれだ。
 確定した訳ではないがもはや時間の問題らしい。
 一部では抗議活動が始まり23管理外世界出身者はミッドチルダへの入国を厳しく制限されている。
 幸い、自分は執務官という事もあり大した苦労もなく入国出来たのだが。

「ほう。……良かったじゃないか。難民の為に居留地を拡大すると言ってるぞ」

 そこが管理局に譲歩した一番の理由だろう。
 十五年が経過し住人は各地で細々と暮らしているが、満足な生活とは到底言えない。
 しかし、最低限な生活を送る為にさえ膨大な予算が投じられているのだ。
 今までは居留地の拡大を要望しても受け入れられる事はなかった。
 そこに、言い方は悪いがシェオルを餌にする事で管理局に要求を飲ませる事に成功した。
 聞いた話ではクラナガンの廃棄都市を再開発して提供する用意があるという事だ。

「……これは、世界が滅んだ後から判明した事だが、どうも自分達は他の世界にいると生体に異常が生じるらしい。
 大人はそれ程でもないが、老人や子供には免疫力の低下や衰弱などの症状が現れた」

 ひょっとしたら先人達はその事を知っていて他の世界との交流を控えていたのかもしれない。
 古い文献の多くが失われているので永遠に分からないままだが。

196 名前:尊ぶべき愚者 十六話 11/12 ◆Ev9yni6HFA :2008/07/22(火) 23:47:01 ID:VkvW8kL5
「随分と世話に手間がかかる。そして、管理局は懐が広い」

 それさえなければもう少し豊かな生活が出来たかもしれない。
 だが、現実はそう優しくはなかった。
 管理世界の進んだ医療技術がなければ多くの命が失われていただろう。
 それには感謝してもしきれない。
 しかし……

「だからといって、シェオルを渡すのは……」
「冷静になれ。暴走して幾つもの世界を滅ぼしかけた危険物を預かるだけじゃなく暮らしの面倒を見てやると言っているんだぞ」

 クククと嘲笑し、

「まあ、自分達のミスで暴走させた挙げ句に処理に困って世界ごと吹き飛ばした訳だが」
「そんな所にシェオルを渡し、施しを受けるのか」

 管理局とて好きでアルカンシェルを撃ち込んだ訳ではないと頭では理解している。
 だが、それだけでは納得出来ない事もある。

「感傷の為に全てを棒に振るつもりか? 故郷を失い離散した同胞達がやっと静かに暮らせる場所が手に入るというのに」
「だが、誇りはどうなる? 故郷を失い家族を失い誇りまで失えというのか」
「当て付けで自力で生きていく事が誇りを守る事になるのか?」
「そうじゃない。そうじゃないが……」

 まるで心を見透かしているかのような鋭く的確な指摘に苛立ちが募る。
 そして自分の抱いている感情を上手く言葉に出来ない事に腹が立つ。

「ただ、故郷の事を忘れられて、何処にも存在しなくなってしまう事を恐れているのかもしれない」

 同胞が幸せに暮らせる事が第一だが、自分は忘却を恐れている。
 このまま世代を重ねれば血は混じり、文化は薄れ、自分達の世界の名残が消えていってしまう。
 だがそれは他の人間に比べて余裕がある証拠だと自嘲する。

197 名前:尊ぶべき愚者 十六話 12/12 ◆Ev9yni6HFA :2008/07/22(火) 23:48:13 ID:VkvW8kL5
「次の世代は僕等の故郷の事なんて知らないし、もう目で見て、肌で体感する事は出来ない」

 だからこそ譲渡に抵抗を感じ、シェオルだけでも自分達の手元に置いておきたいと願ったのかもしれない。
 自分達が愛した大地と空と海と人は確かに存在したのだと。

「それが渡したくない理由か?」
「単純に一つだけ挙げられるものじゃない。
 それに譲渡する事が揺らがないなら託すに足る相手か自分の目で見極めたいとも思ってる」

 管理局は滅び去った世界と向き合ってくれるのか、遺恨を残した者達をどうするのか。
 それを確かめるのが滅びを経験し、そこから生き延びた自分の役目ではないか。

「……お前には感謝する。迷いが少し晴れた。案外良い奴だな」

 嫌味も込めて礼を述べるが既に姿は消えていた。
 向こうから居なくなってくれた事を喜ばしく思いながらベッドのシーツを捲る。
 そこには黄土色の毛並みをした一匹のフェレットが寝かされていた。
 色々と手を施してみたが未だに目覚める気配はない。
 目立った外傷はないので栄養失調によって衰弱しているだけだろうが、すぐにでも話が聞きたい自分にしてみればもどかしい。
 彼はもう一つの懸念を解決するのに必要な情報を持っている可能性が高いのだ。

「あと、知ってそうなのは……」

 最初に脳裏に浮かんだのは外交官だが、聞いてもはぐらかされそうだ。
 次に思い浮かんだのは一人の少女。
 何処にいるかは知らないが、彼女なら答えてくれるかもしれない。
 そういえば、依頼していた検査の結果を報告してきたヴェロッサの声が心なしか上擦っていたのが記憶に残っている。

「自分はただ、答えを見つけて安心したいだけなんだけどな」

 もしや、自分は歴史の分かれ道に遭遇しただけではなく、その中心に近い位置にいるのだろうか。
 その割には驚くほど無知で何も答えが出せていないが。

 一面ガラス張りの窓から外を見渡す。
 街は昼間の活気を失って静まり返り、空には巨大な光の円弧や宝石のような粒が輝いている。
 自分の故郷の夜空はこんなに光ってはいなかったと思いながら東の空に目を向けるが、そこはまだ闇に覆われている。
 どうやら夜明けにはまだ幾ばくかの時間を必要とするらしい。

198 名前: ◆Ev9yni6HFA :2008/07/22(火) 23:49:26 ID:VkvW8kL5

以上です
准尉の階級関連の所は結構自虐ネタだったり
あと自衛隊方式だと幕僚長が大将相当で将が中将相当なんだよな……
あの人がリストラの危機に……

途中の隠蔽云々は本局アンチとかではなくて、中にはそういう考えの人もいるという程度です
なのでそれを理由に管理局叩きは勘弁してください

199 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 23:54:47 ID:U8wmAsa+
つまんね

200 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 00:02:12 ID:NwcEjJPB
投下GJでした。
相変わらずのリアリティですね。興味深く読ませてもらいました。
でも数多のSSの中で堅さがますます際立ちますね。

201 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 00:11:53 ID:xJCJ/VLe
ようしらんが、粘着に憑かれてますね
頑張ってください

202 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 00:23:17 ID:H3DfXd+e
      r;ァ'N;:::::::::::::,ィ/      >::::::::::ヽ
.      〃  ヽル1'´        ∠:::::::::::::::::i
       i′  ___, - ,. = -一   ̄l:::::::::::::::l
.      ! , -==、´r'          l::::::/,ニ.ヽ
      l        _,, -‐''二ゝ  l::::l f゙ヽ |、 ここはお前の日記帳じゃねえんだ
        レー-- 、ヽヾニ-ァ,ニ;=、_   !:::l ) } ト
       ヾ¨'7"ry、`   ー゙='ニ,,,`    }::ヽ(ノ  チラシの裏にでも書いてろ
:ーゝヽ、     !´ " ̄ 'l,;;;;,,,.、       ,i:::::::ミ
::::::::::::::::ヽ.-‐ ト、 r'_{   __)`ニゝ、  ,,iリ::::::::ミ
::::::::::::::::::::Vi/l:::V'´;ッ`ニ´ー-ッ-,、:::::`"::::::::::::::;゙ ,  な!
:::::::::::::::::::::::::N. ゙、::::ヾ,.`二ニ´∠,,.i::::::::::::::::::::///
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::::::::::::::::::::::::::::::! :|.\;::::::::::::::::::::::::::::::/ /


203 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 00:27:52 ID:vr/x4ZY7
ギャグにせよ、シリアスにせよ、定期的に作品を投下できる人って本当に尊敬できます。
私の場合、設定は作れる、大まかな粗筋も作れる、でもそれをきちんと作品に仕上げるとなるとなかなか上手くいかない。

こういうのって、やっぱり才能なのでしょうか?

204 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 00:37:20 ID:PeztnDHI
GJです
執務官が敵対するのは確定っぽいけど、相手はティアナと准尉で訓練のリターンマッチみたいになるのかな?

それと氏のSSだとティーダ殺害犯は無罪、ないし軽い刑になってるみたいだな……
ティアナがどんどん主人公ポジションになるな


205 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 00:44:15 ID:z7uwHW2j
AAの奴もつまらん言ってる奴も同一人物だろうけど、
どうも最近vipの存在を知ったばっかのリア消って雰囲気がぷんぷんするよなぁ……

>>198
GJ!
その調子でファイトー!

>>203
最初からいい物を仕上げようとするからじゃない?
最初から文上手い人なんてほとんどいないし数こなすのが大事なのでは

206 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 01:02:43 ID:GpRvJt52
この管理局なら本編よりはその存在を認めうる

207 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 01:02:47 ID:/urX2414
保管庫でシナイダ氏の漁ってきた影響か、ユノフェでなんか読みたくなった。。。

208 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 01:18:33 ID:LfE7s/uY
あの人も暫く来てないな
あと、クレクレは自重
どうしてもと言うなら自分で書け

209 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 02:01:43 ID:W6uvAA3x
世間一般は夏休み、今年もスルー検定の季節になりました。
精神年齢18歳以上の人はぜひ一級を目指しましょう

210 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 08:27:22 ID:B4fZ+pom
ここまでエロなし

211 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 08:35:49 ID:IB8fBbV/
前々々スレ序盤の4本とも書く宣言の書き手さんをひっそりと待ち続ける俺

212 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 08:42:21 ID:0KTY/C5I
>>173
GJ。嫁さんにこっちくんなと言われた中将乙www
そして、捕まる前よりも生き生きとしてそうなスカが何かイイ!こいつの中身はお茶目ないたづらっ子に違いないw

213 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 09:13:35 ID:hkr+kZXT
誰かバー「GG」にツッコミしてあげてくださいww

214 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 09:18:29 ID:j0/ju/PR
元ネタが分かりませんw

しかし、フェイトとチェスしてるスカはいいなwだれか同人でやらないかな?

215 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 09:43:36 ID:y8E/xEO9
みんなGJなんだぜ?

濃ゆいのが読み終わったところで
そろそろリリカルふぇいとが読みたいです><

216 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 10:25:52 ID:xJCJ/VLe
リリカルふぇいとは続きが楽しみだな
そういえば、あの方の作品の究極の幸せは不幸のなのはの初体験でのクロノ暴走話も読みたいんだけどね

217 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 10:50:31 ID:tljd8eld
>>213
西武の外野手しか思いつきません><

218 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 10:53:28 ID:oQbQHVv+
>>198
半身不随になる負傷の治療費が全額自己負担とかw
ってかこの話は地上本部のスバルや最終決戦時のエリキャロに対する皮肉かな?

それと二尉の教導隊と一緒に戦いたくない発言が逆に共闘フラグに思えたのって俺だけ?

219 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 11:10:39 ID:vjJ6Z8eb
>>213
いやぁ、突っ込んで良いのかちょい不安で。
とりあえず、今は隠遁して猫と楽しく暮らしているあのじいさんですよねw

220 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 11:18:17 ID:PeztnDHI
>>218
一方のティアナは模擬戦では無茶してもいいけど、実戦じゃ駄目という思考になりました……
本編と符合してるなw

あと俺も思った〉共闘フラグ
ってかスカとも共闘フラグ立ってるよな(実際一回共闘してるし)
でも書きづらくなるから展開予想は控えた方がいいかも

221 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 16:38:08 ID:d6bEtKXA
レジアスってナンバーズやスカリーとじかに顔合わせてる事あったっけ?

222 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 16:55:44 ID:Z0AtvO+Y
>>221
本編ではモニター越しだけだったと思う、後はドゥーエにザックリやられる時

223 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 18:08:40 ID:d6bEtKXA
>>222
感謝

224 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 19:07:28 ID:Q7OUH7Sb
粘着の高速なレスには感動さえ覚える

225 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 19:28:16 ID:PeztnDHI
真性がいるのは確実として、何人かが便乗して荒らしてそうだな

226 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 19:36:45 ID:KogYb8e7
一人が自演して多く見せようとしてるだけにも見えるけどな
ってか削除スレとかで荒らしの規制とかってしてもらえないのか?

227 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 19:42:08 ID:Pg6Q0wE0
>>221がスカリーなんて言うから〇‐ファイルみたいな怪奇モノが投下されたかと思ったじゃないか
(怪談にはちょっと早いけど)時期的に夏だし

228 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 19:54:16 ID:PeztnDHI
>>226
一人の割にはレスが速い気がするんだよな
あと2chで規制は無理じゃないか?
したらばなら可能だろうけど

229 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 21:04:09 ID:+5hkqY9b
そんな荒らしの話よりエロい話をしようぜ。
夏なんだから水着ネタとか
六課のみんなで海に行く話を考えてるんだが、どんな水着を着て行くと思う?
フェイトさんは戦闘時とは違って、あえて露出度の少ないのとか
ヴィータが、せめて水着だけでも大人っぽくしようと、凄い大胆な水着を選ぶとか
シャマルさんがビキニにTシャツ姿だとか
シグナムがふんど……(塵になりました

230 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 21:05:14 ID:4XnsCK2G
逐次NGIDに追加していくのが1番だね。

231 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 21:08:31 ID:xJCJ/VLe
>>229
で、エリオがハーレム状態か?
飽きたよ

232 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 21:10:32 ID:ESo2FWBv
スポーティーなものと思いきや、天然で布地の少ないビキニのスバルとか。
なのはさんも捨て難いが。

233 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 21:14:45 ID:vjJ6Z8eb
とりあえず、ヴィヴィオはスク水で。
はやてはワンピなイメージがあるなぁ。
キャロはレース付きな気が・・・・・・。
個人的に、フェイトさんには是非ニップレスで・・・・・(炭になりました

234 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 21:17:23 ID:6lZ7EDy5
6課が海水浴に来て、偶然バカンスに家族総出ででてきたスカ一家と遭遇
ビーチバレーで勝負する事になったり野球拳で勝負する事になったりする
負けたほうはエリオが脱がされる事に、スカ博士は暑さで木陰から出てこれずウーノの膝枕で
ダウンしてたりパタパタ扇がれてたり、お前ら結婚10年目かよ、みたいなネタを考えた事もありました

235 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 21:18:59 ID:kzehfWGa
いっそ無人島とかな。

で水着忘れたけれど、女ばっかりだし無人島だし(エリオ留守番)、ま、いいか。

って全裸で泳ぐのさ。

236 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 21:21:51 ID:vjJ6Z8eb
>>235
そして、そこに謎の触手モンスターが現れるんだな。

237 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 21:22:34 ID:dC8lnRpD
>>232
バリアジャケットより露出減ってんじゃねーか!と
男性陣からブーイングを浴びるスバルが見えた気がした。

238 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 21:44:18 ID:xJCJ/VLe
>>237
どこのグレンラガンだよ……

239 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 21:47:05 ID:w7apmRQr
メガマガのイラストで六課の全員水着になってるのがあったはず。
誰がどんなん着てたのかは思い出せんが。

別のイラストでなのフェがデザインお揃いで白と青のビキニ着てたような覚えも。

240 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 21:55:17 ID:vjJ6Z8eb
そうだ、水着談義で盛り上がりつつあるところ悪いけれど、
百合ものってここ大丈夫?
ここいらで今まで書いたことのない分野に挑戦しようと鋭意制作中なんだけど。

241 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 21:58:00 ID:B4fZ+pom
>>239
それアニメディア。
>>240
別に問題ない。

242 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 21:58:19 ID:2K6nZTnO
注意書き書いとけば大丈夫

243 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 21:59:00 ID:dRX/W+tx
>>240
どんなモンでも投下されるのがここだから別に問題なし。

244 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 21:59:02 ID:SqrDezBL
エロければ何の支障もない

245 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 22:01:06 ID:w7ZHZC9/
>>240
こっちでも百合スレでも好きな方でOKでしょう
>>242を忘れずに

ところで、準備ができたら22:15ごろから投下します

246 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 22:01:37 ID:KogYb8e7
>>240
全然大丈夫です
むしろ待ち望んでます
なのはは百合勢力とてつもなく多いはずなのになぜかこのスレじゃ少ないからなぁ……
まぁ百合は百合スレもあるし個人サイトがノマカプに比べ異常に多いからこのスレに少なくてもおかしくは無いんだけども

247 名前:CRR:2008/07/23(水) 22:17:41 ID:w7ZHZC9/
どうもこんばんは。
かわいいヴォルケンズが見たいよー

なら自家発電じゃい!!と言う訳で

・スクランブルシャマルさんシリーズ
・ザフィーラ×シグナム、ザフィーラ×ヴィータ
・エロ、長め(15〜6レス一気に行きます)

ではどうぞ。

248 名前:CRR:2008/07/23(水) 22:19:46 ID:w7ZHZC9/
普段はなかなかオフシフトが重ならない八神家の面子。
今日は、たまたまヴォルケンリッター達だけが上手くオフシフトが重なった。

(たまには四人で帰るか……)

デスクワークをしながらも、ヴィータの意識は半分上の空だった。
何だかんだ言っても、長い間を共に過ごしてきた仲間と過ごす時間は貴重だ。
ここ数週間、他の騎士達とは仕事でしか会えていなかったので尚更である。

(べ、別に寂しいとかそんなんじゃねーけど……まぁ……な)

ふと時計を見ると、ちょうどシフト交代の時間となっていた。
デスクワークの苦手なスバルの書類もすんなり終わっており、新人達の残業に付き合う必要も無い。
ヴィータは新人達を解散させ、自分も帰路についた。

「ここから一番近いのは……医務室だったな」

六課隊舎の廊下を歩きながら、ヴィータはルートを考える。
先ずはシャマルから訪ねることにした。
本当なら思念通話でも飛ばす所だが、今日に限ってヴィータの中の悪戯心が発揮された。

「へへ、いきなりドア開けてビビらせてやろっかなー」

電子音と共に、医務室のドアが開く。
ヴィータには、ビックリしてシャマルが紅茶を吹く姿が想像できた。しかし……

そこには、ヴィータの想像を超える光景が広がっていた。








緊急出動!スクランブルシャマルさん 
【番外編・シャマル先生の実践性教育の時間】








医務室に入った瞬間、ヴィータは言葉を失った。
機動六課の医務室は、ドアを開けた瞬間にいくつかベッドが配置されているが、
その一番手前側のベッドに、シャマルとシグナム、ザフィーラが揃っていた。
それ自体は普通である―――――三人の格好以外は。

(な、なんなんだ……これ……!?)


249 名前:CRR:2008/07/23(水) 22:22:25 ID:w7ZHZC9/
先ず、ベッドにザフィーラが全裸の人間形態で寝ている。
そのザフィーラの体の上に、仰向けになったシグナムがこれまた全裸で体を預けていた。
シグナムの脚はM字に開かれ、もし正面に回ればシグナムの性器は丸見えだろう。
クラールヴィントの紐がグラマラスなシグナムの肢体に食い込みながら、シグナムの体の自由を奪っている。

「んはぁっ!! あ、はあぁっっ……シャマル、ぅ……なんで、こんな格好……」

そんなシグナムとザフィーラを、制服姿のままのシャマルがベッド脇から見下ろしていた。
過去の冷徹非情だった頃のような笑みを顔に浮かべながら、
顔を紅潮させ、額に玉の汗を浮かべ苦しそうなシグナムの顎を撫でた。

「……ザフィーラ」

「ああ」

ヴィータが医務室に入ってきたことなど気にも留めず、シャマルはザフィーラに目配せ。
ザフィーラの表情はヴィータからは見えなかったが、シャマルのサインに返事したことだけは聞こえた。
ザフィーラの体の上で、シグナムの体が大きく跳ねた。

「はぁぁあああっ!!」

ザフィーラが下からシグナムを突き上げたのだ。
体が大きく跳ねたその瞬間、シグナムの股間からピュッと何かが飛んだ。
明らかに液体で、まるで水鉄砲のように勢いよく飛び出したそれを、ヴィータは何なのか知らない。

(うわ、シグナムの奴、漏らしやがった……?)

だから、ヴィータが『シグナムが失禁した』と考えても仕方ないことだった。
しかしシグナムが飛ばした液体は、尿ではなくいわゆる『潮』である。

「……ね?シグナムが潮吹くところが丸見えになって、とっても素敵だもの」

下からザフィーラに一突きされただけで、どれだけシグナムの体が悦びを示したかが丸分かりだった。
口を開けたままハァハァと肩を上下させ、必死に呼吸しなければならないほどの状態まで追い込まれたシグナム。
彼女の凛々しさの一端を担うポニーテールはくしゃくしゃに乱れ、
いつもきりっとしている表情は、そんなことなど想像できないほど惚けた物へと変わっていた。

「うふふ、いつもはクールで凛々しい『シグナム副隊長』が」

「ひっ……!?」

シャマルが、シグナムとザフィーラの結合部へと手を伸ばす、
そこは、本来ならば性行為には使わないはずの、性器の下についている不浄の穴。
穴の入り口は、ザフィーラの文字通り人並みはずれたモノをがっちりとくわえ込み、円いリングのようになっている。
そこを触られた瞬間、緩んでいたシグナムの顔が、体のビクンと言う反応と共に険しくなる。

「お尻の穴を突かれて潮吹きしちゃうような変態さんだって知ったら……ライトニングのメンバーも幻滅するでしょうねぇ」

「そんな……やめろ、ぉ……やめて……」

つつっ……と、シグナムの限界まで広げられた菊門の周囲をシャマルの指が撫でる。
敏感になってしまった粘膜に、ジワジワと与えられるむず痒さ。
弱々しい抵抗の言葉を吐きながらピクピクと震えるシグナムの肌に、クラールヴィントの紐がさらに食い込んだ。
特に豊満な乳房に食い込んだ紐が見せる姿はは、そこらの男が見たら十中八九は股間を滾らせるだろう。


250 名前:CRR:2008/07/23(水) 22:24:30 ID:w7ZHZC9/
(……あんなシグナム、見たことねぇ)

全く置いてけぼりにされているヴィータ。
まず、シグナムとザフィーラがこういうことをするような関係だったのを知らなかった。
その光景をシャマルが何の疑問も感じず見ていて、しかも手出しまでしているのが信じられなかった。
何より、『セックス』は辛うじて知っているものの『アナルセックス』と言うものがあることを知らなかった。

「さぁザフィーラ、とどめを刺しちゃいましょう」

「……ああ」

ヴィータの目の前には、長年行動を共にしてきたはずの仲間の見たことの無い姿が広がっていた。
ザフィーラはシャマルの合図と共に腰を使い出し、シグナムの腸壁を改めてほぐしだす。
シグナムは腰をがっしりとザフィーラに掴まれ、結合部からちゅぷちゅぷと音を立てながら翻弄される。
シャマルはそんな二人の姿をまじまじと見ながら、自らもわずかに息を荒くしていた。

「ひっ!? あ、ああっぁあ、ああぁぁぁあやぁぁああぁあ!!」

ザフィーラの腰使いが激しくなっていく。
シグナムが断続的に上げていた声はついに余裕がなくなり、
艶やかな色を帯びた声がピストン運動のリズムに合わせて『漏れる』だけになった。
シグナムの喘ぎ声と、菊座から漏れるちゅっちゅっと言う粘着質な音。そして、パンパンと二人の腰がぶつかり合う音。
それらが医務室にこだまして、異質な空間を作り上げていた。

「あぐっ!?」

シグナムが低く呻いた。
それと同時にザフィーラの腰使いは止まったが、よく見るとわずかに体を震わせていた。
外から光景を眺めているヴィータには分からない。
その瞬間、ザフィーラの精液がシグナムの腸内へと発射され、じわじわと広がっていることを。
そして、精液が腸壁に広がる感覚で、シグナムが軽く意識を飛ばしてしまったことを。

「ひ、熱……熱い……焼ける……ぁ……」

ザフィーラの陰茎がどくんどくんと脈を打ち、子種を腸壁へと広げていく。
敏感な粘膜でザフィーラのモノの動き全てを感じ取るシグナムの目には、
すでにいつものような凛々しさは無い。

「くぉ、シグナム……力を抜け……!!」

「あ……無理……むり……だ……」

体に力が入らないのか、シグナムは体をぐったりとザフィーラに預けている。
しかし、ザフィーラのモノを咥えているアナルだけは、力がぎちぎちと入っているようだ。
セックス中もあまり声を上げないザフィーラが、珍しく呻き声を上げた。

「う、抜くぞシグナム」

「ま、待て……今抜かれたら……!!」

やがてビクビクとした脈動も終わり、ザフィーラのモノが若干硬度を失っていく。
頃合を見計らってザフィーラは体を捻り、シグナムを支えながら体勢を変え、結合を解こうとする。
獣の性行為のような姿勢をとったシグナム。
ゆっくりと、尻の穴からザフィーラのモノが抜かれていく。

「あ……あぁぁあああ……でる、でるぅ……」


251 名前:CRR:2008/07/23(水) 22:26:40 ID:w7ZHZC9/
排泄に似た開放感が、シグナムの背筋を駆け上り頭にビリビリと快感として伝わる。
ベッドを唾液で濡らしながら、搾り出すような声を上げた。

「……っあ!! は、ぁ……はぁ……はぁ……」

高く掲げられたシグナムの双丘から、完全にザフィーラが離れた。
シグナムの白い臀部に汗が伝い、照明の光を反射する。
中心部に開いた不浄の穴はさっきまで入っていたザフィーラのモノのサイズに開いたままで、
未だに喪失感を感じているのか、よく見るとヒクヒクと動いていた。

「あら、物足りない? さっき随分感じてたものね」

「ち、違う!! お前等のせい……ひゃあぁっっ!?」

物欲しげに動いていたシグナムのアナルに、シャマルが『あるもの』をピタッと押し付けた。
それは一見、金属の球体が紐でつながれたような形をしたいわゆる『アナルパール』と言われる物のようだが、
よく見ると、柄の部分にはカートリッジシステムが搭載されており、明らかに異質。

「うふふ、レヴァンティン自らこんな形になることを望んだのよ?主と交われるように」

まさか自分と苦楽を共にしてきたデバイスがこんなフォルムに変形できるなどとは、シグナムは夢にも思わなかった。
しかし、現実にシュランゲフォルムのような形の通称『アナルビーズフォルム』に変形したレヴァンティン。
ビーズがシャマルの手によって、一つ一つシグナムの体の中に消えていく。

「あ、やめ……もう……あ、あああ、あぁあぁぁぁ……」

「力抜いて……そう……幾らローション塗ってあるからって、力入れたら裂けちゃうから」

つぷ、つぷ……とビーズが飲み込まれていった。
ビーズを飲み込む瞬間穴はぷくっと広がり、飲み込まれるとまた元のようにきゅっと締まる。
それを十数回繰り返した結果、長いレヴァンティンの剣身(?)はすべてシグナムの腸内に収まり、
臀部からレヴァンティンの柄だけが顔を覗かせる異様な光景が出来上がっていた。






その光景を、先ほどからずっと固まったままじっと見ていたヴィータ。
まるで、自分の存在など無いかのように痴態を繰り広げていた三人に圧倒されていたが、
先ずはこの状況の説明をしてもらおうと、ゆっくりと口を開いた。

「しゃ……シャマル、ザフィーラ……あの、その……何やってんだよ」

「あら、ヴィータちゃん。見ての通りよ」

「見ての通りって……全然話がつかめねぇよ」

シャマルがちょいちょいと手招きをして、ベッド脇まで来るように促す。
若干警戒しながら、まるでロボットになったかのようなぎこちない動きで、
ヴィータはシャマルの元へと近づいていった。

「……そうね、もうヴィータちゃんに隠す必要もないでしょう。って言うか見られちゃったしね」

ふぅ、とため息をついたシャマルが、目の前まで来たヴィータの目線にあわせて屈む。
横のベッドの上で尻を高く掲げヘたれこんでいるシグナムを出来るだけ視界に入れないようにしつつ、
あくまでも平静を装っているヴィータ。


252 名前:CRR:2008/07/23(水) 22:29:31 ID:w7ZHZC9/
「ヴィータちゃんは体が小さいから、こういうことはちょっと……と思ってたけど」

そんなヴィータの胸に、不意にシャマルが手を伸ばした。
慎ましいながらもきちんと存在を主張しているふくらみを両手で軽く揉み、大きさを確かめる。
最初はあまりにも不意打ちだったので反応できなかったヴィータも、
何をされているのかを認識するなり、胸を押さえてバックステップまで使ってシャマルから距離をとった。

「ひっ!? な、何すんだよ!!」

「うーん、2センチアップ?」

「何のことだよ!!」

ヴィータの顔が一気にかぁっと赤くなる。
壁際でペタンと座り込んでいるヴィータに、シャマルが近づきながらヴィータに話しかけた。

「……ヴィータちゃん、最近下着がきつくなってるの、気付いてるでしょ?」

「え……あ、まぁ」

確かに、ヴィータには思い当たる節があった。
はやての元で活動し始めてから全く変わらなかった服や下着のサイズが、最近段々ときつくなってきている。
気に入っていたシャツを泣く泣くリインに譲ったり、下着を買うたびに店員にサイズを測ってもらったり……

「守護騎士プログラムの障害の副作用……と言ってもいいかもね。ヴィータちゃん、貴方は『成長期』なのよ」

シャマルの顔が、先ほどとは打って変わって引き締まる。
―――――プログラムとして活動し、全く身体的変化の無いはずだった守護騎士達の体は、
今、それぞれに異なる変化を見せ始めていた。

「じきに体が育って、成人の体を持つだろう。私やシグナムやシャマルは既に成人故、あとは劣化していくだけだが」

「だから……そろそろいいかなってね」

シャマルのデスクに備えてあった精力ドリンクをストローで吸っていたザフィーラも口を挟む。
その姿は『またか……』という一種の諦めの雰囲気を醸し出していた。
約4年ほど前からシャマル・シグナム・ザフィーラだけで繰り広げられていた淫靡な時間に、
目の前の湖の騎士は、新たにヴィータをも巻き込もうとしているのだ。
ヴィータに近づいたシャマルは改めてしゃがみ、ヴィータの唇に自らの唇を重ねだした。

「ん!? ん―――――っ!?!?」

突然のキスに軽くパニック状態になるヴィータ。
本来ならば、戦闘要員でないシャマルを力づくで振りほどくなど造作も無いはずなのだが、
今回ばかりはどういうわけか体に力が入らなかった。
暫しの間の口づけが終わり、シャマルはヴィータの唇から自分の唇を離す。

「ん、ぷはっ!? な、何を……」

「ヴィータちゃんも、『大人』になりたくない?」

「え……?」

今だ混乱が続くヴィータの意識の中に、シャマルのそんな言葉が飛び込んできた。
さっき目の前で繰り広げられていた宴に、自分も参加しないかと誘われたのだ。
『大人』という言葉の響きは、その容姿のせいで何かと実年齢以下の扱いをされることが多かったヴィータにとって、
少なからず魅力のある物であった。


253 名前:CRR:2008/07/23(水) 22:31:41 ID:w7ZHZC9/
「気持ちいいこと……教えてあげたいなって。ヴォルケンリッターで一人だけのけ者って言うのもイヤでしょ?」

「きもち……いい?」

ベッドの方にチラリと目を向ける。
さっきまで散々辱めを受けていたはずのシグナムの体が、小刻みに痙攣している。
肌はほんのりと朱色に染まり、高く掲げられた尻には汗やら何やらの液体が光っていた。
そして、時折聞こえるシグナムの喘ぎ声は、確かに苦しそうな物とは明らかに声色が違っていた。

(……………)

ヴィータはごくりと唾を飲み込む。

(ホントに……気持ちいいのか? そんなに……)

今まで見てきたシグナムのどの姿とも違う、扇情的でいやらしい姿。
もしここで一歩踏み出せば、自分もあのようになってしまうのか。
それは少し恐怖感もあったが、それより何より……

「……やだ。のけ者なんて……やだ」

自分だけその感覚を知らないのが、ヴィータにとって何となく悔しかった。
ベッドの上で喘いでいたシグナムが、どんな感覚に襲われていたのか。
シャマルはどうしてこんなにもセックスに詳しいのか。

「あたしにも教えてくれよ。シャマル、ザフィーラ」






制服を全て脱ぎ、下着だけになったヴィータ。
シンプルなスポーツブラとはアンバランスな、のろいうさぎのプリントショーツ。
うさぎのプリントをぷりぷりと揺らしながら、ヴィータは膝をついてベッドの上にあがる。

「これ……」

当然、尻を掲げたままのシグナムが目の前に飛び込んでくる。
レヴァンティンの柄まで、シグナムの腸液とザフィーラの精液が混ざった物が垂れてきていた。

(すげぇ匂い……クラクラしちまう)

シグナムが動けないので、ヴィータはそのまま興味の赴くままに近づいてみる。
シグナムの汗と愛液が混ざり合った、発情した牝の匂い。
近づくほどにむわんとヴィータの嗅覚を襲うその香りは、知らず知らずのうちにヴィータの本能を刺激する。

「抜いてみる? これ」

「え?」

「きっとシグナムも気持ちよくなるはずよ」

シグナムの臀部に近づいたヴィータに、シャマルが横から口を出す。
さっき、数珠のようになったレヴァンティンの剣身がシグナムの尻穴に飲み込まれていったのを、ヴィータも当然見ていた。
この柄を抜けば、いったいシグナムはどうなってしまうのか。

「……………」


254 名前:CRR:2008/07/23(水) 22:34:22 ID:w7ZHZC9/
ヴィータが、シグナムの体液に濡れたレヴァンティンの柄をゆっくり握る。
そういえば、他の騎士のデバイスを握る機会などそうそう無い。
ヴィータは二重の意味で緊張していた。

「ぐっ!? 止めろヴィータ!! 今すぐレヴァンティンから手を……!!」

「ゆっくり抜いてあげてね?じゃないとシグナムのお尻の穴が壊れちゃうから」

「……おう」

力なくうずくまっていたシグナムも、流石に気付いたのか。
ヴィータが、己の臀部にズッポリと埋まっている愛剣の柄を握った瞬間にガバッと振り向いた。
シグナムの力いっぱいの哀願空しく、シャマルのアドバイスに従って、
ヴィータがゆっくりとレヴァンティンを引き抜きだした。

「あ、ああぁ、うぁあ、ああああっ!!」

球がアナルの入り口に引っかかり、ぷっくりと広がる。
さらに力を入れて引っ張ると、引っ掛かりが外れて、ちゅるんと飛び出してきた。
ちゅぽん、ちゅぽんと音を立て、レヴァンティンの球部が何個も何個もシグナムの尻から現れる。

(うわ……すげぇ、めくれてる……)

「ひっ!? やめ、あ、や、はぁあっ、あ!!」

一つ一つ球が出てくるたびに、断続的にシグナムの喘ぎ声が聞こえる。
例によってシグナムの表情はよく見えないが、シグナムの顔のあたりのベッドが涎らしき液体で濡れていた。
ヴィータに見えていないシグナムの顔は、球がポンと出るたびに蕩け、力が抜けていた。

「ひぃぃぃ……っ!!」

最後の球が出て、ずるりとレヴァンティンがベッドに落ちる。
ザフィーラの精液とシグナムの腸液で汚れたレヴァンティンは、待機モードに戻ると共に汚れが全て落ちた。
残ったのは、レヴァンティンがこじ開けたシグナムの不浄の穴のみ。

「どう?シグナムの反応は。気持ちよさそうでしょ?」

「あ……はぁ……シャマル……貴様……っは!?」

ガクガクと脚を震わせ、辛うじて体勢を保つシグナム。
小刻みに震える臀部に、横からシャマルの手が伸び、ぱくっと二つに割る。
広げられたアナルはすぐには形が戻らず、口を開けていた。

「ほら、お尻の穴をこんなにぽっかりと開けて」

「はあぁっ……ああぁ……やめ……ろ……!!」

尻穴だけでなく、秘部にも目をやるシャマル。
先ほどからアナルにしか攻めを行っていないにもかかわらず、
シグナムの性器は愛液を分泌し、ポタポタと雫を垂らしていた。

「こーんなにアソコも濡らして……これが女の悦びよ」

「オンナの……よろこび……?」


255 名前:CRR:2008/07/23(水) 22:36:47 ID:w7ZHZC9/
ヴィータとて自分で自分を慰めた時ぐらいある。
しかし、その時自分の性器がどうなっているのかについては今まで気に留めていなかった。
今、ヴィータは発情した女性の秘部を初めてまじまじと見ている。
貝のように合わさっているはずの秘唇が開き、やや濁った愛液が滲み出ている光景を見て、ヴィータは言葉を失った。

「ザフィーラって素体が犬だかr」

「……狼だ」

「失礼。狼だから、一回で出る精液の量が凄いの」

デスク備え付けのチェアに座っているザフィーラのツッコミを受けながら、シャマルが説明する。
説明の傍ら、臀部を割っていた手を片方放し、シグナムの尻穴へと指を伸ばした。
人差し指と中指を使って、シグナムの腸へと放たれたザフィーラの精液を、奥から少しづつ掻きだす。

「ひゃっ!?」

「たっぷりの精液で満たされて……中が暖かくなって。とろとろって出てくるときの感じもたまらないし」

「く、シャマ……ル、貴様……っあ!!」

ヴィータとシャマルに、自分の最も見られたくない姿を晒すシグナムが、拒絶するような言葉を吐く。
しかしその言葉は語尾が既に色を帯びており、説得力が全く感じられない。
ぱっくりと開いたシグナムのアナルからコポコポと精液が垂れ、ベッドに溜っていく。
シャマルはとどめにシグナムをひっくり返し、ヴィータにシグナムの顔が見えるようにした。

「見て、ヴィータちゃん」

「や、めろ……ヴィータ……見るな、ぁ……」

(うわ、何だよこのシグナムの顔……)

M字に開いた脚の間から覗くシグナムの顔に、いつも見ている凛々しい表情は無い。
口をだらしなく開け、涎の筋を口元に作り、目尻がトロンと垂れ下がったその顔は、
どこからどう見ても『発情しきった牝』という表現が相応しかった。

「こうやって女の一番弱いところを突いてやると、頭が真っ白になってすっきりするのよねぇ」

「あ、や……隠せ、頼むから……」

「ふぅ……仕方ないわね。ザフィーラ!シグナムにとどめ刺しちゃいましょう」

「シャマル、貴様、私を何だと思っているんだ……まぁいいが」

何だかんだいってこの守護獣、ノリノリである。
重い腰を上げベッドに乗り、シグナムの両脚をぐいっと掴んで引き寄せた。

「さて、シグナムはザフィーラに任せて、ヴィータちゃんはまず私がほぐしてあげるわ」

ヴィータの目の前には、ザフィーラの背中が立ちはだかるせいで何をしているのか全く見えないが、
シグナムの「あぁぁ……あぁあああっ!!」と言う声を聞き、何かを挿れられたのだと言うことだけは分かった。
それを見送ったシャマルが、今度はヴィータに寄って来て、頬に手を伸ばす。

「……任せて大丈夫だろうな」

「こう見えても私、経験豊富よ?」


256 名前:CRR:2008/07/23(水) 22:39:19 ID:w7ZHZC9/
妖艶な笑みを口元に浮かべるシャマル。
ベッドに片足を上げ、警戒するヴィータの顔に更に接近してきた。






「んっ!! あ……」

「痛くない? ヴィータちゃん」

「ああ、ただ……くすぐったいような、変な感じ……」

「大丈夫、直に気持ちよくなってくるわ」

シグナムとザフィーラがいるベッドの隣で、シャマルがヴィータへの愛撫を開始して数十分。
今は、様子を見ながらシャマルがヴィータの秘部に直接口をつけている所だ。
まだ男性を知らないヴィータの秘裂から滲み出る愛液をじゅるじゅると吸い、
まだヴィータ以外の者が触れていない秘芽を舌で転がす。

「ひぃ……ん、ぁ……」

(やべぇ……股がジンジンする……)

(頭がボーっとしてきた……自分で弄るのと、全然違う……!?)

ちゅっちゅっと秘部に口づけを繰り返される感覚は、ヴィータが今まで味わったことの無いものだった。
次第にうっすらと肌に汗が滲み、ヴィータの吐息が段々と色を帯びてくる。
たまにクリトリスに刺激が加わると、小さな悲鳴と共にピクンと体を震わせ、さらに息が荒くなった。

「やぁぁああっ、ひゃめ、ああぁあぁぁ……」

「あらあら、シグナムもすっかり蕩けて……見て、ヴィータちゃん」

「……え?」

ヴィータの口から自然と声が漏れるようになった頃、シャマルはヴィータの意識を隣のベッドへと向けさせる。
ハァハァと息を吐くヴィータがゆっくりと隣のベッドに目線を移すと、
そこにはザフィーラに後ろから貫かれるシグナムの姿があった。

「ザフィーラのってすごく大きくて、ごりごり抉られるとああなっちゃうのよ。私も例外じゃないわ」

(う……ゎ……すげ……ぇ)

腰と腰がぶつかり、パンパンと音を立てる。
ポニーテールを解いたシグナムが、尻をガッシリとザフィーラに掴まれ犯されていた。
今度は秘部でザフィーラのペニスがピストン運動を続け、ごりごりとシグナムの膣壁を抉る。
やがてザフィーラがパチンと腰を一際強く打ちつけ、体を震わせた。

「あ……ぁ……出て……る……せいしが……でてる……」

シグナムの口から、何が起こっているかの説明が漏れ出す。
文字通り人並みはずれた射精量は一回出した後でも健在で、シグナムの膣内にはザフィーラの精液がたっぷりと注がれる。

(あたしも……ああなるのか?)


257 名前:CRR:2008/07/23(水) 22:41:26 ID:w7ZHZC9/
シグナムの目は、明らかに気をやっていることが見て取れるほど虚ろ。
あまりの快感に、意識をついに手放してしまったようだった。
それほどまでに強烈な感覚なのかと、ヴィータは少し怯んでいた。

「……不安?」

「うぇ!? っば、んなことねーよ!! 私だって一人前の騎士だぞ!! こんくらいでビビってられるか!!」

いつの間にかシャマルはヴィータへの愛撫を止め、ヴィータと目線を合わせていた。
ヴィータは強がって抗議するが、長年連れ添った仲間の心理状態などお見通しのシャマル。
赤く染まったヴィータの頬に手を添えながら、ヴィータの耳に囁く。

「大丈夫、初めてだもの。優しくするわ」

「お、おう。まぁ……苦しくないに越したことはねぇからな……」

シャマルの吐息が耳に当たり、少し体が震えた。
手はヴィータのブラジャーの中にモゾモゾと入り込み、ヴィータの先端をきゅっと捕える。
唇がかすかに震えだし、大きな声を抑えているのがシャマルには見て分かった。

「さて、そろそろかしら?アソコも準備OKだしね」

「ああ……」

「さて、ザフィーラ……あら?」

いよいよと言う時になって、シャマルが隣のベッドに目を移すと、
うつ伏せになって体を痙攣させるシグナムの後ろで、ぐったりとして胡坐をかくザフィーラが見えた。
モノはショボンと下を向き、疲れが滲み出ている。

「あら、ヴィータちゃんの初めてをもらえるって言うのに、何その萎えっぷり」

「そんなことを言っても……シグナムともう何回もしているんだぞ」

「もう、仕方ないわね……こっち来て」

シャマルの言葉の通りに、ザフィーラもヴィータとシャマルのベッドまで来た。
ザフィーラのがっしりとした体にも、うっすらと汗が見える。
ザフィーラの後ろにシャマルが回りこんでしばらくすると、ザフィーラが唐突に呻いた。

「うぉっ……!?」

「うふふ、ザフィーラも男ね。前立腺をちょいちょいで一発よ」

「シャマ、ル……き……さま……!!」

(流石、こえぇなシャマル……)

ヴィータの目の前に、さっきまでのフニャフニャぶりが嘘のような男性器が現れた。
ビクンビクンと脈を打ち、いろいろな汁にまみれた赤黒い肉棒。
シャマルがザフィーラの前立腺を刺激したことで強制的に叩き起こした一品だ。

(う……でけぇ、何なんだこれ!?こんなの、あたしの中に入るのかよ……?)

「ヴィータちゃん、こっちへ来て」

「うん……」


258 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 22:44:08 ID:H3DfXd+e
(´・ω・`)
( ´・ω・)
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259 名前:CRR:2008/07/23(水) 22:44:37 ID:w7ZHZC9/
初めて目の前で実物を見たということは、ヴィータにとってかなりショッキングな出来事であった。
ごくりと生唾を飲み、座ったままのザフィーラへと膝歩きで近づく。

「……ヴィータ、無理なら遠慮せず言うんだ」

「ああ、心配すんな……」

腰をザフィーラに支えられ、自分はザフィーラの肩に手を掛けながら、ヴィータは自分のペースで腰を下ろしていく。
自分の花弁と、ザフィーラの肉棒の照準はしっかり合っている。

「う……ぐ、ぎ……がぁっ……」

「ゆっくり腰を下ろして、そう……焦らないでね」

「う……っ」

苦痛に顔を歪めながらも、ヴィータは腰を下ろすのを止めない。
亀頭が秘唇を押し広げ、ミリミリとザフィーラがヴィータの中へ……

「があぁぁ……ぎっ!! む、りぃ……はいらねぇ……いてぇ……」

……なかなか入っていかなかった。
ヴィータの腕くらいはあると言っても言いすぎで無いほどのサイズがあだとなり、
今だ男性を受け入れたことのない秘部には無理が生じてしまっていた。
慌ててザフィーラはヴィータの体をひょいと持ち上げ、入りかけの亀頭を抜く。

「……これは無理っぽそうね。ザフィーラのが大きすぎるのかしら」

「……シャマル、まずはヴィータの体が原因と考えないのか」

「はぁ……はぁ……」

ベッドにペタンと座り息を整えるヴィータの前で、シャマルがザフィーラにダメ出しした。
ヴィータにとってザフィーラのモノはまるで凶器のように見えていて、
さっき貫かれそうになった瞬間も、体はガチガチに緊張してしまっていたのだった。

「ヴィータちゃん、前の穴は今度にして、先ずは後ろの穴からにする?」

「はぁ……はぁ……後ろの、穴?」

「そう、さっきシグナムが気持ちよさそうにしてたでしょ?」

「……う」

今だに涙目で息を整えるヴィータに、シャマルが提案した。
確かにさっきのシグナムの感じ様を見ると、後ろの穴を使っても気持ち良くはなるのだろう。
しかし、当然経験など無いうえに、不浄の穴を性行為に使うと言うことに対してヴィータはかなり抵抗感を抱いていた。

「大丈夫。しっかりほぐせば、後ろの穴は前の穴よりも大きく開くようになるわ。体の大小関係なくね」

「う、本当かよそれ」

「本当よ。そうと決まったら……!!」

「え……ひぃいぃいいいいっ!?!?」

いつの間にかシャマルはヴィータの小ぶりな尻の下へと手を滑り込ませ、
窄まったヴィータの菊門に『何か』を差し込み、『何か』を注入した。


260 名前:CRR:2008/07/23(水) 22:46:34 ID:w7ZHZC9/
「しゃま……お前……なにし……て……」

「今からトイレに転移するから、ちゃんと全部出して綺麗にしてきてね。お楽しみはそれからってことで♪」

腹をグルグルと鳴らし苦悶の表情を浮かべるヴィータの下に、緑の光を放つ魔法陣が広がる。
光に飲み込まれ、ヴィータの体は最寄の女性用トイレへと転移していった。






どれくらい時間をかけただろう。
すっかり綺麗になったヴィータの菊座に躊躇無くシャマルは自分の舌を差込み、
ゆっくりと菊の窄まりを広げていく。

「あ……う、ぁ……あ……」

「ん……そろそろ、もっと太くできるかしら」

まんぐり返しの体勢で、自分の排泄口をねっとりと舐められる様を見せられるヴィータは、
既に体だけでなく意識までほぐされてしまったのか、頭に白いもやが掛かっているような感覚が続いていた。

「ザフィーラ、ちゃんと支えててね」

「……ああ」

ザフィーラのごつごつした手が、ヴィータの細い足首を持っている。
脚を固定され、無防備に晒した体を他人に弄ばれる。
それを妙に意識してしまったヴィータは、不意に恐ろしくなってきてしまった。
当然体に力が入り、シャマルの舌を菊座がキュッと締め付ける。

「……っぷあ、ヴィータちゃん、やっぱり怖い?」

「っ、んなことねーってさっきから言ってんだろっ!?」

「ふふ、安心して。ほら……一本」

「ひいいっ!?」

口を離したシャマルは、少し開いたヴィータの菊門に指を入れていく。
先ずは人差し指。

「ほら、次は二本……で、こうやって広げて……」

「うあぁあ、ぁあぁあぁ……やめ……」

次に中指も入れる。
ローションで十分に濡れたシャマルの細い指は、
時間をかけて開発したヴィータの菊穴へと思った以上にあっさりと入り込み、
柔軟に形を変える腸内で、Vの字に指を開いてさらにほぐす。
何と言ってもザフィーラのモノは大きい。拡張は丁寧にならざるをえない。

「……よし。そろそろ行って見ましょうか」

「え、あ、あぁ、うん……」


261 名前:CRR:2008/07/23(水) 22:48:37 ID:w7ZHZC9/
シャマルの指がゆっくりと引き抜かれる。
やや名残惜しそうにシャマルの指に纏わりついた肛門の筋肉が、伸びきった後元に戻る。
抜けるときの喪失感で、ヴィータの体が少し震えた。

「じゃあここからはヨロシクね」

「……ああ。ヴィータ、怖がることはない。私もきっちり配慮する」

「お、おう。何かあったらアイゼンの汚れにしてやるから覚悟しろよ……」

シャマルは二人から離れ、ベッドから降りて二人を見守る形になる。
ベッドの上には、恐怖感を拭いきれないヴィータと、腫れ物を触るように接するザフィーラの二人っきり。
ヴィータが苦しくないように、正常な体位に戻した後、ザフィーラは己の分身をヴィータの股へと擦り付けだす。

「んぁ……あ……ざふぃー……ら……」

すこし勃った秘芽を擦られ、鼻にかかった甘い声が自然とヴィータの口から出る。
今だ幼い秘裂は新たな愛液を分泌しだし、ザフィーラがこすり付けているモノを濡らしていく。
少しでもヴィータが痛くないように、快感を与えつつ自分のモノの準備をしているのだ。

「よし、ヴィータ……力を抜くんだ。力むと痛む」

「ひっ……お、おぅ……」

遂に、ぴとっとザフィーラのモノがヴィータの菊門に触れる。
亀頭は入り口を徐々に押し広げ、少しづつその姿を隠していく。

「あ、ぎぃ!? っあ、はぁぅううっ……!!」

十分潤滑はしているし、拡張も行った。
それでも、初めて『男性器の挿入』という行為を味わう菊門はそうそう簡単には侵入を許さない。
『力を抜け』とは言われたものの、ついヴィータは歯を食いしばってしまう。

「もう少しだ……!!」

「お、おあぁぁああ……!! あがあぁぁああああっ!!」

亀頭の引っ掛かりが、ヴィータの穴を遂に抜ける。
後は、ゆっくりとシャフト部分を埋め込んでいくだけ。
ザフィーラとヴィータの腰が、じわじわと近づいていく。

「はっぁぁああああぁ……がぁぁあああっっ……!!」

みちみちと腸を埋め尽くしていく、異質な肉の棒。
性行為になど使われていない腸壁で、その感覚を初めて味わうヴィータは、
苦しさと痛みと、ほんの少しのむず痒さが混ざり合った声を上げた。

「っ……よし、これで全部だ、ヴィータ」

「っあ……はぁ。はぁ……キツイ……これで……終わりか……」

玉の汗を体全体に浮かべるヴィータ。
挿入感がもたらす苦しみのために、顔はやはりまだ引きつっている。
ヴィータの不浄の穴は限界までシワを伸ばしながら、
ヴィータの腕ほどはあるのではないかというサイズの、ザフィーラのモノを必死になってくわえ込んでいた。

「ひ、はっ……あが、あぁぁぁ……」


262 名前:CRR:2008/07/23(水) 22:50:34 ID:w7ZHZC9/
「ヴィータ、ゆっくり深呼吸だ」

「お、おう……っはー……はー……ぁ……」

ヴィータが、何かにつかまろうと手を伸ばす。
その小さな、しかし歴戦の記憶が刻み込まれた手を、ザフィーラが握り返した。

「……え?」

「動くぞ」

「え、ちょ、ま……あぐぅぅっ……!!」

なんだかんだ言って、ザフィーラの限界が近づいていた。
始めはもちろんゆっくりとしたピストン運動だったが、ローションと愛液とシャマルの調教が上手く効いたのか、
ヴィータは少し時間が経つとあまり痛そうな声を上げなくなった。
ならば、とザフィーラの腰使いが速くなっていく。
カリは腸壁のシワをこりこりと擦り上げ、穴の入り口を広げてはまた中へと入っていく。
繰り返すうちに、ヴィータの声にまた艶が戻ってきた。

「あ、ん……!! はっ!! う、あぁぁっ!! はあぁあっ!! なんか……でる……!!」

「あら?お尻は綺麗なはずだから……ああ、なるほど」

まるで排泄しているかのような感覚がヴィータを襲う。
ムズムズした感覚は背筋を這い上がり、やがて開放感に似た快感として、ヴィータに認識されだした。

「やあぁっ、しゃまる、ざふぃーら、あぁぁああっ……すごいの、きそう……!!」

「うぉぉお……っ!!」

口を大きく開けたまま、たどたどしい言葉を口から漏らす。
緩みきった口とは対照的に、ヴィータの菊座は今だザフィーラのモノを放そうとしない。
遂に、ザフィーラの射精衝動が弾けようとしていた。

「ヴィータ……今からお前の中に出す……!!」

「え……ひゃああぁぁあっ!?!?」

宣言と同時に、ザフィーラはヴィータの体を持ち上げた。
ちょうどヴィータとザフィーラが抱き合うような形になり、腰は更に密着する。

「う……おおぉぉっ……」

「あぐあぁぁああっ!? あはぁあぁぁあああ!! 熱いっ!! あつい……っ!!」

ザフィーラの子種がヴィータの腸内に吐き出される。
異質な液体が自分の体の中に広がっていく感覚に、思わずヴィータは声を上げた。
無意識に腰を引き逃げようとするが、ザフィーラが腰を掴んでいるのでそれも出来ない。
ヴィータのピンク色の腸壁が、白く染まっていく。

「あ……あぁぁあぁ……ああぁぁあああぁ……」

すっかり敏感になった腸は、ザフィーラのモノがビクビクと跳ねる感覚をヴィータへと伝える。
背筋を反らせ、目にうっすらと涙を浮かべながら、ヴィータは声を上げ続ける。
その涙には当然痛さや苦しみなどとうに無く、ただただ快感を味わっていることだけを示していた。
その間もザフィーラは腰を引くこともなく、小さな消化器官を精液で埋め尽くさんばかりの量をヴィータの小さな体に注ぎ続ける。


263 名前:CRR:2008/07/23(水) 22:52:27 ID:w7ZHZC9/
「あ……っ、んぁ……ん」

やがて、ザフィーラの種も切れた。
背中を抱えながら、ザフィーラは今だビクビクと体を振るわせ続けるヴィータをゆっくりとベッドへと下ろし、
硬度をやや失ったザフィーラのモノがヴィータの熱い腸壁からやっと解放される。

「あ……ぁ……ぅぁ……ぁ……」

やっと巨大な肉の塊から解放されたヴィータの菊門。
すぐには穴が閉じず、ややサラサラしたザフィーラの精液がトロトロ溢れてきた。
すでに全身には力が入らない。未だに痙攣が続いている。

「どう?ヴィータちゃん」

ヴィータの顔を、シャマルが覗きこむ。

「……すげぇ……大人、すげぇよ……」

妙に優しいシャマルの笑顔を見ながら、そのままヴィータは意識を失ってしまった。






「よし、今日の処理案件も終わりか。お前等今日はあと帰っていいぞ」

「「「「はい!! お疲れ様でした、ヴィータ副隊長!!」」」」

今日も六課のデスクワークは何事も無くに終了した。
新人達は仕事を終え、部屋から出て行く。
部屋の中にはヴィータ一人だけとなった。

(……誰も、いねぇよな)

辺りを確認し、部屋にロックをかけ、結界を張る。
ヴィータは浅く椅子に腰掛けながら背もたれに背中を預け、手を股間へと滑らせる。
パンツを半脱ぎ状態まで下ろし、晒された秘部……の下の不浄の穴へと指を入れた。

(やべぇ、変な癖ついちまった……っぁ……)

あの後も幾度かザフィーラのモノを不浄の穴で味わった。
今ではすっかり慣れきってしまい、しばらくシャマルやザフィーラに合えないだけで体が疼くほどになってしまった。
いつでもアナルセックスが出来るように、常に尻を綺麗にしているほどのハマりようだった。

(う……っ!! 指……もどかしくなっちまってる……もっと、もっと……)

穴の入り口を弄り、中へと小刻みな挿入を繰り返す。
腸液が段々と染み出し、ヴィータの息が荒くなり……


264 名前:CRR:2008/07/23(水) 22:54:26 ID:w7ZHZC9/
『ヴィータ副隊長?』

「―――――うあっぁあああっ!?!?」

『す、すみません!!お取り込み中でしたでしょうか!?お客様なんですが』

「あ、いや……何でもない」

受付からの通信で、ヴィータの意識は一気に現実へと戻ってきた。
幸い音声のみの通信なので、ヴィータの姿は見られてはいない。
慌てて声だけ平静を装いながら、ヴィータは通信に答える。

「で、一体なんなんだ」

『はい、陸士108部隊からの事務連絡だそうで』

「そうか……分かった、通してくれ」

通信が切れ、ヴィータは深いため息をつく。
バレなかった安堵感と同時に、新たな問題が湧き上がってきた。

(今この状況で男と二人きり……あたし、このまま我慢できるのかよ……?)

触ってもいない割れ目から、愛液が少し滲んでいた。






―――――この後、ヴィータが最後まで我慢できたかどうかは、
部屋にいたヴィータと、訪ねてきた局員しか知らない。



おわり。

265 名前:CRR:2008/07/23(水) 22:55:47 ID:w7ZHZC9/
以上です。長々とお付き合いありがとうございます

ウブなヴィータが見たかった。後悔はしていない。
あと、レヴァンティンアナルビーズフォームなんて電波をかつて送ってくれた方に感謝。

では次の投下までさようなら!


266 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 23:00:33 ID:sJqfXHje
>>231
むしろエリオ分が不足してる状態なのだが…

>>265
GJ!
ちょヴォルケンズどんなプレイにはまってるんですかw

しかし本当に最近厨房が多くて困るな

267 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 23:03:05 ID:dRX/W+tx
GJGJGJGJGJううううぅぅぅう!!!

なんという濃密なヴォルケンエロスタイム。
ただ、これでシャマルとリインの濡れ場がないのがあまりに残念だった。
ついでに犯しておけよザッフィー。

268 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 23:04:49 ID:kzehfWGa
GJ!
で、リイン編の開始はいつですか?

269 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 23:08:14 ID:EpobWwRR
エロいいいいいいGJ!
このシャマル先生は医務室に来た患者によからぬことをしてそうだなw
被害者はティアナになのはあたりで

270 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 23:28:34 ID:xJCJ/VLe
>>266
エリオ分は定期的に補充してくれる方がいるじゃないですか
それよかヴァイスだ、ヴァイス分が足りない!!

271 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 23:30:38 ID:rD/nzm3n
GJ!エロオオオオオい!
そしてまさかのヴィータ×ラッドフラグ!?

272 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 23:32:58 ID:TUvCqEVd
>>229
>>233
ナンバーズはどうだろうかな

3と8は褌で…

273 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 23:46:41 ID:d6bEtKXA
>>265
GJ!!
白目剥いてるシグナムをイメージできたわ、いろいろいじるヴィータやらで満足でした

さっそく管理局に入局してヴィータ副隊長と二人っきりになれる用事を作ってくる

274 名前:ザ・シガー:2008/07/23(水) 23:51:01 ID:dRX/W+tx
さて、ではもうちょいしたら投下します〜。

アルフメインのエロ短編で。

275 名前:ザ・シガー:2008/07/23(水) 23:54:33 ID:dRX/W+tx
とりあえず、タイトルが全てな内容です。

うねうねしてるのが苦手な方やロリ嫌いな方はスルーの方向で。

276 名前:アルフ触手姦:2008/07/23(水) 23:55:21 ID:dRX/W+tx
アルフ触手姦


無限書庫。無限という途方も無い名を与えられた時空管理局の巨大データベース。
大量の本が並び、重力をシャットダウンされたその空間内を赤毛の少女が飛んでいた。
少女には一目で人外と分かる耳と尻尾が付いている事から易く使い魔であると分かる。

この少女の名はアルフ、フェイト・T・ハラオウンの使い魔である。
昔なじみが司書長として最高責任者をしているので、彼女は暇があれば手伝いとしてここに足を運んでいるのだ。
そして今日もまた、いつもの様に資料整理を手伝いにやって来て書庫の中をあっちへこっちへ行き来している。


「ええ〜っと、この本はあそこで…これはあっちと」


アルフは書庫で整理する本を調べながら奥へ奥へと進む。
周囲には山のような高さの本棚と底に並ぶ天文学的な数の本。
数えるのが馬鹿馬鹿しくなるような圧倒的物量の本、初めて見れば目を奪われるその光景もアルフにとっては既に見慣れたものだ。
アルフは、特に何の感慨もなくその中を飛び交い黙々と作業にあたる。

そんな時だった、彼女がソレを見つけたのは。

それは一冊の本、ひどく古ぼけた表紙をしたものが元来あるべき場所である本棚でなく宙を漂っていた。
書庫の本は検索・閲覧が終われば全て規定された棚に戻すようになっている、それがこんな風に一冊だけあぶれているというのもおかしな話だ。
アルフは僅かな疑問を胸に抱きつつ、一冊だけ漂っているその本へと近づいた。


「あれ? なんでこんなところにあるんだろ?」


アルフは首を傾げながら、古ぼけた表紙をしたその本を手に取る。
あちこちが擦り切れてボロボロになった本の表紙にはベルカの言葉で題名が表記されていた。
その名前は…


「“性天の書”? なんとまあヒドイ名前の本もあったもんだねぇ」


無限書庫は無限などと言う大層な名前に応じて、凄まじい量の蔵書を誇る。
無論その中にはあまり品のよろしくない物も含まれている訳だ。
アルフがページをめくってみれば、やはりと言うかなんと言うか、内容は大昔の淫猥な俗物本のようだった。
本のページはいかがわしい言葉の説明やら、色々な性技の方法やら、とても子供には見せられないような内容のオンパレードである。
くだらない内容に呆れながらもアルフは面白半分でページをめくる。


「まったく、昔の人も馬鹿なモン書いたもんだ」


そう苦笑しながら本を読み進めていると、ある箇所から彼女の表情が幾分変わった。
本の内容に魔法技術や術式が出始めたのだ、それも例によっていかがわしい内容の奴が。


「性感を高める魔法に、陰茎を大きくする魔法〜? なんだか胡散臭いねぇコレ」


それはあまりに淫猥で俗物的であり、いかがわしい内容の魔法の知識。それも実際に使えるかどうかも怪しいシロモノだった。
アルフはその怪しすぎる本を読み進むうちにあるページでその手を止める。
そこには彼女でも行使できそうな魔法が記載されていた。

277 名前:アルフ触手姦:2008/07/23(水) 23:56:20 ID:dRX/W+tx
使い魔の少女の脳裏にある好奇心が湧き上がる。


「まあ、どうせ嘘っぱちだろうけど……ちょっと試してみようかな…」


冗談半分にアルフはそこに記載されていた呪文を唱えてみた。
詠唱に伴い魔法陣を形成し、術式が一瞬で完了する。
だが、魔法陣が作られても何も変化など起きはしなかった。
場にはしばしの沈黙が流れる。


「なんだ、やっぱり眉唾モノ…」


アルフが苦笑してそう漏らした刹那、彼女の言葉を遮って無数の影が魔法陣から躍り出た。

それはまるで軟体動物の身体のような嫌なヌメリ気を帯びた物体、無数に枝分かれした大量の“触手”が現れる。
息を飲んでその光景に目を奪われるのもつかの間、無数の触手の群れは不気味に蠢く身体を凄まじい速度でしならせた。
目標は目の前にある少女の身体、触手は気色の悪いその身体を瞬く間にアルフの身体に巻き付ける。


「きゃっ!」


可愛らしい悲鳴を漏らしてアルフの身体は、ヌメヌメと怪しい液体でテカる触手にがんじがらめに縛り付けられる。
突然の事にアルフはまるで反応する事ができなかった、突然こんなモノが現れて襲ってくるなんて予想外も良いところだ。
だがいつまでも手をこまねいている訳にはいかない、アルフは即座に反撃に転じようとする。


「くっ! 離しな!! このっ!!……ひ、ひゃうっ!!」


暴れようとした瞬間、アルフはくすぐったいような感触を太股に感じて思わず甘い喘ぎ声を漏らした。
アルフが自分の足に目を向ければ、四肢を拘束する触手がその濡れた身体を白くしなやかな彼女の太股を舐め回すように這っている。
まるで獣が獲物を相手に舌なめずりするようなおぞましい光景、アルフは背筋に恐怖からくる寒気を感じてその小さな身体を震わせた。


「止めろ!! さ、触るな〜っ!!」


気持ちの悪い物体の侵攻にアルフは必死になって暴れた。
だが魔力消費の節約の為に小さな少女の身体になった彼女の抵抗はあまりに無力、触手は容易く幼い肢体を捻じ伏せて自由を奪う。
拘束された幼い少女の身体をぬるぬるとした触手が我が物顔で這い回る。
不気味な液体で潤う触手が肌を撫でる度にアルフはなにか痺れるような甘い感覚を覚えた。
これこそこの触手生物の持つ最大の武器、雌を発情させる為の強力な淫液である。
アルフは徐々に、不快感や痛みといったモノではない、なにか身体の芯から燃えるような感覚を感じた。
下腹部が絶え間なく疼く、子宮が熱を帯びそしてしれが背筋を伝わって脳まで焼けるような欲求が駆け巡る。
感情や精神ではなく身体が性感を求めている、触手の生み出す淫液が少しずつアルフの身体に染み渡っていった。


(くっ!…こいつに触られた所……凄く熱い…もしかして、こういう効果の体液?)


触手の体液によって身体に起こり始めた異変にアルフが心中で呻いた。
もはや身体に灯った淫欲の炎は否定の仕様がない程に熱い。
そしてさらに、本能に従って幼い女体を貪る触手はしなやかな四肢に飽き足らず今度はその未発達な乳房と秘所に狙いを定める。


278 名前:アルフ触手姦:2008/07/23(水) 23:56:55 ID:dRX/W+tx
四肢を拘束し舐め回すものとは別の触手がズルリと持ち上がり、起伏の少ないアルフの胸と尻に殺到した。


「ひゃあっ!!…止めろっ!! 止めろったら!!!……はんぅっ!」


強い語調で拒絶を表した言葉はすぐに甘さの溶けたものへと変わった。
邪魔な薄布を容易く引き裂いた触手達が、露になった乳房と秘所にその濡れる身体で舐め回したのだ。
僅かな膨らみを有する可愛い乳房とその先端の綺麗な桃色の乳頭を、一切毛髪の生えていない陰部と幼い秘所の割れ目を、不気味な液体で濡れたグロテスクな触手が這い回る。
女として敏感で繊細な箇所に女を蕩かせる淫らな体液がたっぷりと塗りたくられた。


「くっ!…こんな……いやぁ…離して…」


最初は強気だったアルフの抵抗が徐々に力ないものへと変わっていく。
疼く・疼く・疼く・疼く、身体の芯から堪らなく熱が湧き上がり甘い疼きが止まらない。


「ひゃんっ!…ダメェ…そんなに…あぁぁっ!…いぢったらダメェ…」


コリコリと硬くなった乳首が転がされ、同じく硬度を増した淫核がヌメル触手に擦られて、敏感な二つの性感帯が淫液まみれにされて存分に刺激される。
触手の体液に濡れたアルフの身体は艶やかに光り、幼い肢体に似合わぬ色香を漂わせ始めていた。
淫液の影響で彼女もまた発情し始めたのだろう、アルフの声はどんどん艶を帯びた響きに満ちていく。
もはや手足の動きに至っては抵抗ではなく、単なる快楽への反応と成り下がっていた。

そして触手は遂に決定的な侵攻を開始する。

今までは乳房を這い、秘所を外から舐め回しているだけの愛撫だったのが、今度はコンコンと愛液を垂れ流す膣に狙いを定められる。
そして姿を現したのは、今まで愛撫を行っていたのとは違うタイプの触手。
まるでコケシのような形の太い棒状の触手で、表面には無数のイボが付いている。あえて言うなら性玩具である「バイブ」に似ていた。
長大なその触手が先端をびしょ濡れ状態のアルフの膣口に押し付け、そして一瞬の内に彼女を貫いた。


「はぐぅぅうぅあぁぁぁあっ!!!」


濡れた舌を出しながら、アルフは絶叫に近い喘ぎを漏らした。
洪水のように愛蜜に溢れた幼い膣穴の全てを巨大な肉の槍が貫き通し、イボで覆われた醜悪なボディを小さな膣いっぱいに満たす。
強烈な苦痛と圧迫感、そして耐え難い程に凄まじい快楽にアルフはその一突きで軽く絶頂に達した。
快楽の高みに達した幼い肢体はその電流のような刺激にただ力なく震え、口は酸欠の魚のようにパクパクと開いている。
だが彼女の甘い余韻に浸る暇など与えられない。


「いいぃぃいっ!!…まっれ…あんっ!……すこひぃ…やすましぇてぇ…はんっ!!」


アルフの必死の懇願も虚しく、触手はグチュグチュと凄まじく淫蕩な音を奏でながら彼女の膣穴を陵辱。


279 名前:アルフ触手姦:2008/07/23(水) 23:57:31 ID:dRX/W+tx
身体を甘く燃やす媚薬の体液を直接膣に塗り込みながら、その異形の淫棒で力任せに掻き乱す。

イボだらけのゴツゴツとした触手が少女の体内を嬲り尽くし思う存分に蜜壷を貪るが、既に彼女に抵抗の意思は欠片も見られなかった。


「ひゃぁあんっ!……しゅごいぃ…はうんぅ!!…しょくしゅチンポしゅごいよぉ…」


トロンと潤んだ瞳にもはや正気の光は無く、よがり鳴く声は甘く蕩けきっていた。
触手の体表から溢れ出る媚薬体液がもたらした逆らい難い快楽という名の暴力は、使い魔の少女を奈落の底まで完全に堕とした。


「んはぁぁあっ!…しょこぉ…しょこもっとシてぇ…」


膣穴を姦通しながら、触手の身体が綺麗な桃色をした乳頭や淫核を弄る。無論その表皮の粘膜から溢れる淫液を塗りたくるのも忘れない。
乳首と淫核、コリコリと硬くなった小さな三つの豆を転がされ、膣の肉穴を異形の剛直に嬲られ、アルフは何度も絶頂を味わって狂おしく鳴いた。
そして触手の侵攻は新たなる淫穴を求めて、遂に蜜壷の後ろにある不浄の排泄穴に狙いを定める。
前の膣穴を抉っているのと同じような太く硬い触手棒が、その先端をグリグリと菊門に押し付けて淫液を塗りこむ。
そうして僅かにほぐすと、未だ淫らな侵略に晒された事のない穴を即座に貫いた。


「はぐぁあぁっ!!!!」


極太の二つの触手棒に壮絶な陵辱を受けて、少女の口から快楽へのよがりではない圧迫感に満ちた声が漏れた。
この二本の凶器を受け入れるにはアルフの身体は小さすぎる、もはやほとんど苦痛しか感じられない。
あまりの圧迫感に悲鳴すら上げられず少女は意識が遠のきそうな感覚に陥る。

だがそれは一瞬で霧散した。


「いぃいぃっ!!…なに…これぇ?……しゅごい…きもちいいぃ♪」


圧迫感と苦痛がどんどん溶けていき、まるで甘い電流のような疼きに置き換わり脳髄に快楽という名の魔薬を投与する。
触手の吐き出す体液、その中に含まれる媚薬の効果がアルフの神経を侵しているのだ。
使い魔の精神は快楽という名の逆らい難い陵辱に完全に屈服する。


「ふにゃぁぁあっ!!…もっとぉ…しょくしゅチンポで…あんっ!…もっとグチャグチャにしてぇ♪……もっともっときもちよくしてぇ♪」


堪らなく甘い声でアルフはよがり鳴いて自分を責め立てるグロテスクで愛おしい触手に懇願する。
体中を淫液漬けにされ、なだらかな乳房と敏感な淫核を弄られ、膣と肛門を凄まじく太い触手棒で貫かれ、アルフは破滅的な快楽のピークを向かえつつあった。
彼女が達しそうなのが分かるのか、触手の責めは徐々に速度も込められる力も増していきアルフを絶頂へと導く。
そして、二つの穴を犯す二本の極太触手が最高の力を込めて突き上げた瞬間、遂にソレは訪れた。


「はぐぅうあぁああぁぁっ!!!」


絶叫のような鳴き声を上げ、白目を剥きながら使い魔の少女は壮絶な快楽の内に絶頂した。
全身を駆け巡り背筋を伝う甘い電撃に脳髄はショート寸前まで焼き尽くされ、意識は深い闇の中に堕ちていく。

狂おしい快感の中に全ては溶けていった。


280 名前:アルフ触手姦:2008/07/23(水) 23:57:56 ID:dRX/W+tx
 




「アルフ? お〜い、アルフ起きて〜」
「んぅ…ユーノ?」


10年来の付き合いの司書長の声に闇の中に溶けていたアルフの意識はしばしの目覚めからようやく目覚めを迎えた。
アルフが身体を起こして周囲を見回せば、あたりに先ほどの触手生物の姿は欠片も無かった。


「あれ? あたしどうしてこんな所で…」
「それはこっちが聞きたいよ。 こんな所で寝てどうしたの?」
「それは…その、えっと……」


触手に犯される夢を見ていたなんて言える訳が無い。アルフは言葉を濁して赤らめた顔を恥ずかしそうに俯ける。
ユーノは彼女のその様子に不思議そうに首をかしげた。


「なにかあったの?」
「い、いや…なんでもないよ。それより早く仕事に戻ろう!」


ユーノの問いにアルフは真っ赤になった顔で否定して、その顔を隠すようにさっさと飛んでいった。
彼女の様子に相変わらず不思議そうな顔でユーノは首を傾げていた。

そんな彼らを見下ろすような位置に一冊の古ぼけた本があった事を二人は知る由も無かった。


終幕。


281 名前:ザ・シガー:2008/07/23(水) 23:59:52 ID:dRX/W+tx
投下終了。

ある友人が言いました、ロリアルフが触手とヤるSSが見たい、と。
そして出来たのがコレ。

個人的には胸がでかい方が断然好みだけど、どうもロリも捨てがたいらしいです。

282 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 00:08:55 ID:YpLLgWoD
投下乙、そしてGJ!!!

巨乳アルフも好きだけど、ロリアルフもやっぱりイイですよねw
触手好き及びアルフ好きにとって、素晴らしい補給分になりました。

……だけど巨乳verも見たいなぁ。今後に期待(何

283 名前:B・A:2008/07/24(木) 00:39:53 ID:WSPGFfuK
おお、ロリが続いている。
この流れを断って良いものだろうか?
>>240で言っていたエロが完成したんですが、ロリではないですティアナです。
投下OK?

284 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 00:48:38 ID:DUC29AAL
CRR氏にザ・シガー氏キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
しかもエロエロだああwww

超GJ!

さらにさらにB・A氏のティアナものですとおお!?
ぜひ、おねがいします!


285 名前:B・A:2008/07/24(木) 00:52:22 ID:WSPGFfuK
では、ロリの流れを断ち切って、ちょっぴり捩じれた世界にごあんなーい。


注意事項
・ディード×ティアナ
・レズ初挑戦
・もちろんエロ
・凌辱で監禁
・ディードが病んでいる
・個人的こだわりから道具は一切使用せず、チンポもついていません
・全国のディードファンの方に頭を下げる覚悟はあります
・後、ティアナファンの方に(以下同文

286 名前:カナリア@:2008/07/24(木) 00:56:56 ID:WSPGFfuK
薄暗い部屋にくぐもった甘い声が反響する。
聞こえてくるのは自分と自分を組み伏せる相手の鼓動、そして否応なく喉から漏れ出る甘い喘ぎ声だけ。
いったい何時間同じことを繰り返されたのか、時間の感覚が麻痺しているので定かではない。
唯一確かなのは、ここに監禁されてからかなりの時間が経過しているということだけだ。

「ふあ・・・・・あぁ・・・あん・・・・ティアナ・・さん・・・・・」

どこか熱に浮かされるように愛する女性の名前を呟いたディードが、ティアナの小振りな胸を揉みしだきながら、
唾液でテラテラと輝く舌を白いうなじに這わせた。いや、舐めているという表現では生ぬるい。まるで染みついた肉の匂いがなくなるまで骨に齧り付く犬のように、
ディードはティアナにしゃぶりつき、その味を堪能する。

「やぁ・・・・・ディード・・・・やめ・・て・・・・・」

「嫌です。ティアナさんがいけないんですよ」

ティアナが抗議しても愛撫の手を休めず、ディードはいつもどおりの抑揚のない口調に若干の恥じらいを込めながら、耳元で囁いた。

「ティアナさんがいけないんです。ティアナさんが可愛いから。女の子なのに、女の私が見ても可愛いって思えるくらい可愛いから」

「ディー・・ド・・・・やめ、おねがい・・・だからぁ・・・・・」

「その声、凄く可愛いです。聞いているだけで、私・・・・・・」

潤んだ目でティアナを見下ろし、ディードは感極まったように顔を緩ませる。

「ほら、ティアナさん。口を開けて」

「はおあ・・・・あ・ああ・・・・・」

そう言ってディードは指で強引にティアナの口をこじ開け、口の中で蓄えていた唾液をゆっくりとティアナの口に吐き出していく。
まるで天井から垂れ下がる蜘蛛の糸のように妖しい光を反射させながら、唾液の糸はティアナの口の中に落ちていく。
そして、そのままゆっくりと顔を近づけ、お互いの唇を重ね合わせる。

「ん・・・・・うぅん・・・・んんん・・・・・・・くちゅ・・・ちゅぅ・・・あぁ・・・・・・」

「んんん! んうぅ・・・・うう・・・う・・・んん・・・・・!」

ティアナは逃げようともがくが、戦闘機人であるディードの腕力に敵うはずもなく、どくどくと流し込まれる唾液を拒むこともできずに飲み干していくしかなかった。
伸ばされた舌が絡みあい、渇いていた表面が湿った熱を帯びていく。まるでディードの感情が乗り移ってしまったかのように、ティアナの胸の中でも段々と劣情が昂りつつあった。
延々と繰り返される唾液交換は彼女から理性という枷を一つ一つ取り去っていき、熱に冒され始めた瞳から意思の光を奪っていく。

「うぅん・・・んん・・・・はぁ・・・・・・・ティアナさんの涎、おいしいです」

「ああ・・・はぁ・・・・はぁ・・・あ・あ・・・・・」

長時間に及ぶ前戯とディープキスで息も絶え絶えとなったティアナは、その言葉に反応することができなかった。
ただ、どことなく恨めしそうに唾液が零れ落ちるディードの唇を目で追いかけていた。


287 名前:カナリアA:2008/07/24(木) 01:00:50 ID:WSPGFfuK
「ああ・・・・・その目・・・・普段は凛々しいティアナさんがだらしなく舌を出しながら私のことを見ている・・・・ああ、見てる・・・・」

恍惚とした表情を浮かべながら、ディードは汗に塗れたティアナの細身を視姦する。
焼けつくような熱い視線に耐え切れず、ティアナは腕で胸を隠そうとするが、手首をディードに掴まれてしまい、それは叶わなかった。

「ダメです。もっと見せてください」

「ちょ・・・・やめ・・・・やめて・・・・・・・」

頬を高揚させながら懇願するが、ディードはそれを聞き入れなかった。それどころか、先程まで執拗に繰り返していた愛撫の手すら止め、
熱のこもった視線をジッとティアナに注ぎ続ける。
ティアナは自分の中で何かがジリジリと焦がされていくのがわかった。
ディードは何もしてこない。
キスも愛撫もせず、ただ身動きが取れないように腕を拘束しているだけ。表情は能面のように固まっていて感情が読み取れず、唯一眼だけが彼女の思いを雄弁に語っていた。
楽しんでいる。
ディードは純粋に自分の裸体を見ることを楽しんでいるのだ。
それはまるで、芸術品を愛でる愛好家と同じ心理なのだろう。ただひたすら、ジッと見つめ続けてこちらの様子を観察する。
口から漏れる拒絶の言葉も、肌を滴る汗も、尿の匂いが混じった股間の茂みから漏れる香りも彼女を楽しませるだけだった。

「やめ・・・・て・・・・・」

昂った体がキュンと胸を締めつける。
先程までとは比較にならない熱が体を支配する。
自分の意思が徐々に冷静な思考から離れていっているのが手に取るようにわかった。

「やめて・・・・」

火傷をしているかのような錯覚。
ディードの視線が火照る体を舐め回す度に、ティアナは自分が蔑まれているかのような錯覚を覚えた。

「やめ・・・て・・・・・・」

あんなにも湿っていた舌がいつの間にか渇いていた。
雌の欲求が体を支配していく。
渇きを潤してくれるものを求めて視線が泳ぐ。頭の中はとっくに桃色に染まっていた。

「やめて・・・・放して!」

耐え切れずに声を張り上げる。切羽詰ったその姿に、普段の冷静な彼女の面影はどこにもなかった。
ただ純粋に快楽を求め、目の前にいる少女に向かって舌をもつれさせながら懇願する。

「お願い・・・・何でもするから! 何でもするから気持ち良いことして! もっと私のこといじめて!」

僅かにディードの唇の端が吊り上がる。
そして、ティアナの手首を掴んでいた手から力を抜き、ゆっくりと放していく。
瞬間、ティアナは弾かれたように起き上がり、ディードの体をベッドの上に押し倒した。
先程とは攻守が逆、今度はディードが下で、ティアナはその上に跨って色欲に歪んだ目で彼女を見下ろしている。

「はぁ・・ああ・・はあ・・・いい・・・もう、なんでも・・・・・」

完全に理性の箍が外れていた。最早、今のティアナには目の前の相手が同性であるという認識すらない。
呂律の回らない舌で知性の欠片も感じない言葉を漏らし、内から生ずる純粋な欲望に突き動かされるように2つの山に齧り付き、先端の蕾を舌先で愛撫する。


288 名前:カナリアB:2008/07/24(木) 01:04:07 ID:WSPGFfuK
「ああ・・・・ああん・・・・いいですよ・・・・そう、気持ち良い・・・・」

「うう・・・んんんぅ・・・・ううん・・・ああ・・・ああぁ・・・・・」

ティアナの愛撫に悶えながら、ディードは両足を広げてティアナの腰をがっちりと拘束する。こうすれば、ティアナはもう絶対に自分から離れることはできない。
我を失ったティアナはそんなことなど気にも止めず、少しでも快楽を得ようと湿った陰部を擦り付け、愛液でディードの股間を汚していく。

「はぁあ・・・あああ・・・・うああ・・ああん・・・もっと・・・もっお・・・・・ああ・・・・ああああっ・・・・・」

「ああん・・・・ティ・・・ティアナ・・・さ・・・・はげしい・・・ああっ・・・・あああんん・・・んんんうぅっ!!!」

くちゅくちゅと響く淫靡な水音が劣情を掻き立て、ディードは堪らずティアナの唇を引き寄せて激しく舌を絡ませる。
ティアナもティアナで彼女の思いに従順に応え、懸命に舌を伸ばしながら唾液を送り込む。互いの体の重みで押し潰された胸が不格好に歪み、
隙間からはみ出る様は何とも滑稽で、同時に限りなく妖艶な雰囲気を醸し出していた。

「ううん・・・うぅ・・んんんぅ・・・ううんん・・・・!!」

「あぁ・・・はぁ・・・あああん・・・・い、いくぅ・・・ああぁぁっっ!!!!!」

なおも舌を突き出してくるティアナの顔を押しのけ、ディードは絶頂に達して股間から愛液を迸らせる。
腰がガクガクと痙攣し、クリトリスが擦れる痛みすら快感となって全身を駆け抜け、ティアナを抱き締めていた腕から力が抜ける。
それでも、両足の拘束だけは外さずに残したのは彼女の戦闘機人としてのささやかな意地だった。
まだ放さない。
まだ解放しない。
この人はもっと自分を気持ちよくしてくれる。
もっと自分を狂わせてくれる。
だから、この拘束だけは絶対に外さない。

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・・ディード、ディード・・・ディード・・・・・私も、私もイク・・・・今からイク・・・イクイクイクイクゥゥゥッ!!!!」

狂ったように同じ言葉を繰り返し、ティアナは洪水を起こしている股間をディードの股間に押し付けた。
瞬間、絶頂と共に大量の潮が噴き出し、ディードのクリトリスを直撃した。

「ああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!! イクゥッ!! ティアナさんの、しおぉっ! 潮吹きイクゥッ! ああああわたしもぉぉぉぉっ!!!!」

敏感な箇所に飛沫の直撃を受けた反動で、ディードも絶頂の階段を駆け上がりながらティアナと同じく潮をまき散らした。
まるで壊れた噴水のように2人は透明な液体を交互に噴かせ合い、お互いの下半身をドロドロに汚していく。

「いいい・・・あああ・・・・ひ・・ひった・・・ああ・あ・・・あた・・・・し・・・いっ・・・・・・」

ぐったりと力の抜けたティアナの体がディードの上に覆いかぶさる。ここまでの疲労がピークに達したのか、喉から擦れるような音を漏らしながら倦怠の波に揺られている。
絶頂で腰が抜けてしまったのか、先程まであんなにも動かしていた下半身がピクリとも動かない。


289 名前:カナリアC:2008/07/24(木) 01:07:24 ID:WSPGFfuK
「やぁ・・・・も、もっと・・・・・もっとする・・・・・もっと・・・・もっと・・・・・」

「良いですよ、今度は私がしてあげます」

そう言って、ディードはおもむろに腕を伸ばしてティアナの形の良いお尻を思い切り広げ、伸びきった括約筋を指先で捏ねくり回しながら直腸深くを刺激した。

「はあああああああぁぁぁぁっ!!!!!」

「私は機械ですから、疲れないんです。白目剥こうが気絶しようがこうやってずっとティアナさんのことを犯してあげますから、
あなたはそのままよがっていてください。私にもっと可愛い姿、見せてくださいね」

「あああぁぁ・・・あああ・・うぅあ・・・・ああああい、いくぅ・・・またぁぁ・・・・・いくうううぅぅぅっ!!!!!!」

ディードは突き上げるように股間を押し付け、括約筋が裂けてしまいそうになるほどお尻の谷間を割る。
ぴったりとくっつけ合った胸は乳首同士が擦れ合う感覚に震え、直腸の粘膜を通じて伝わってくるティアナの絶頂に彼女の嗜虐心は心地よい満足感を覚えた。

「ほら、イって! 好きなだけイって良いんです。ほら、もっと喘いで! 私を感じて!」

「いくうぅぅぅッ!!! ディ・・・ディー・・・だめ、もう・・・あぁぁぁぁっ、いくぅ・・・・もういく・・・また・・・・いきながらいっている・・・・とまんない・・・・とまんないのぉぉぉっ!!!!!」

「あぁぁっ! ティアナさん、好きぃ! 好きですぅ!」

「はああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

一際深く直腸を掘削され、ティアナは絶頂の頂から降りることなく更なる高みへと登り詰めていく。
そして、ディードもまたそんなティアナに感化され、腰が砕けそうになるほど強く股間を押し付けながら、四肢を痙攣させて快感に打ち震えた。

「ああ・・・・ああぁ・・・はあ・・あ・あ・・・」

「ふあ・・ああ・はああ・・・・・・あっ・・・」

気だるい喘ぎと共に、ベッドの上に大量の液体が滴る。
快感の余り、ティアナは白目を剥いて気絶していた。口からはブクブクと泡を吹かし、噴き出た汗がねっとりと体に纏わりつく。
そんな風に滴り落ちるティアナの体液を愛おしげに舐めながら、ディードは再び腰を動かし始めた。女性同士のセックスに絶頂による終わりはないというが、彼女の場合は些か事情が特殊だ。
戦闘機人であり、肉体の大半が機械でできているディードはそもそも疲労というものを感じない。それこそ、蓄えられたエネルギーが尽きるまでティアナのことを犯し抜くことが可能なのだ。
そして、彼女自身がザッと概算したところ、軽く一週間は補給の必要がないという答えが導き出されていた。

「もっと啼いてください。もっともっと、私だけのために啼いてください。ずうぅっとここで、私がティアナさんを飼ってあげますから」

歪に唇を吊り上げ、ディードは宣言通り休むことなくティアナを犯していく。
彼女自身の欲情が満たされるまで、いつまでも、いつまでも。

                                                        おわり


290 名前:B・A:2008/07/24(木) 01:09:22 ID:WSPGFfuK
以上です。
当初の予定では「高町式お話聞かせて」でティアナに惚れたディードが押し掛けてきて「お姉さま」と呼びつつ甲斐甲斐しくお世話するというプロットが、
何故かこんな形に変わってしまいました。いや、男が竿のない人同士のエロを書くのってもの凄く難しいです、はい。

それにしても、今夜はアナルに触手にレズって・・・・・・すんごいのが立て続けに投下されているw


291 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 01:21:55 ID:9i0esQT5
>>290
勃った勃った!息子が勃ったよ!
GJ
ティアナはやはり責められてこそ


|・)←オットー

292 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 01:44:49 ID:720uB8eY
ちょっと・・・エロパロらしいのが連発で来て最高なんですけどw
しかもどれもクオリティたけー!
皆さんにまとめてGJを!!

293 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 01:53:39 ID:dZbe9A4q
>>265
GJ。ザフィ×ヴィに萌えた
しかし8歳にして性知識があったり自発的に自慰してる時点で微妙にウブじゃないよヴィータw

294 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 06:49:51 ID:0Ib44KCG
>>293
ザッフィー×ヴィヴィオかと思ったじゃねーか

295 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 08:37:53 ID:OpsAVaHZ
>>294
ありだな。コミックスで人間形態のザフィーラがヴィヴィオを肩車してる絵もあるし、ヴィヴィオは相当ザフィーラに懐いてる

296 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 09:42:22 ID:TKuzib1A
しかしそれでエロは
まったくもって想像つかんw

297 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 11:31:02 ID:r6ZmoWjw
最近思うんだが、
このスレって普通の性癖の人が多いな。

寂しいです><

298 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 12:37:08 ID:FAaOsjIJ
>>297
ロリ形態のアルフが触手に犯されるのが“普通”なのか!?

299 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 12:43:32 ID:4FqgUYuH
>>198
面白かったですが、オリキャラが多くてよく分からない時があります
B・A氏のように人物紹介があると嬉しいのですが

>>265
ヴォルケンズアニアックだなw

>>281
アルフのエロはあんまりないから嬉しいかぎりだ

>>290
ディード(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

300 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 12:45:05 ID:NcqCqDUj
B・A氏GJ!
これまたすごい百合キター!
これまたすごいカプだ…

そしてエリヴィヴィオの長編の方も続き見たくてタマリタセン

301 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 13:37:03 ID:NImcpER+
>>299
アルフは割とあると思うが。

302 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 17:35:49 ID:Awk30Stn
むしろ一部を除いてメインキャラは大体それなりにエロあるよな

303 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 17:52:20 ID:lcWBVfY5
スバルのエロSSを最後に読んだのは何時の事・・・
確かマリーに化けたドゥーエ姉にぬめりけのあるメンテナンス受ける話だったな

304 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 17:55:41 ID:FAaOsjIJ
>>303
スバルがメインにくるSSって、例えばの話どんなのが良い?

305 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 17:57:15 ID:Awk30Stn
非エロでもスバルメインの話は少ないんだよなぁ。ここに限らず二次創作全体で
そういう意味で「嘆きの中で」には期待してる

306 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 17:58:30 ID:Zcsvmjks
スバルは大好きなんだが今一エロを想像しにくい

307 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 18:03:06 ID:lcWBVfY5
>>304
聞かれて咄嗟に普段のネタを口走りそうになった
うーん、どんな話がいいんだろ。この時点から難易度高いのう

308 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 18:04:56 ID:TKuzib1A
エロもそうだが、相手もこれと言ったのがなぁ……
非エロだけど、某サイトで読んだヴァイスバは良かったが

309 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 18:06:41 ID:Awk30Stn
たとえばティアナならヴァイスがいる
エリオならルーとキャロ、なのはならユーノ、フェイトならクロノ、はやてならゲンヤとヴェロッサ
じゃあスバルは、と言うと……いないんだよなぁ

310 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 18:08:01 ID:Vjl7ZaMW
>>304
スバルとアルピーノ親子の絡みを見てみたいな
スバルがメガさんからママジマさんの事を聞く話とか
娘同士でコンビ組んで活躍する話とか
自分ではいまいち上手く話が作れない


311 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 18:22:35 ID:1OZIPjli
>>309
夫婦になった訳でなし、その辺柔軟でも許されるんじゃないカナ?
むしろもっと、嫁が居るのに好き放題ヤリすぎな某提督を見習うんだ!

312 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 18:34:44 ID:dJQ00mSE
スバルなら相手はティアナやなのはさん辺りが妥当だろ
ちょっとノマカプは想像しにくい感じかな
まぁその百合でも滅多にスバルは見なかったりするんだけども

313 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 18:44:33 ID:pfFzTOJC
スバルのノーマルだとエリオくらいしか選択肢が。
風呂場でのからかいエスカレートな感じで一つ。

314 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 18:46:29 ID:ETI/xXCy
>>309
たとえばティアナならスバルがいる
なのはならクロノ、フェイトならなのは、はやてならヴィータ
それが俺のジャスティス

315 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 18:47:48 ID:AS5cLwpf
「絶対無理」と言われない限り、やりようによってはどんなカプでも成立しうる
「Aのカップリング相手はBしかない」という思考は妄想力の貧困と思ってる俺がいる

316 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 18:55:51 ID:yPDQMjox
>>308
某所のキリ番SSですな
フラグ全く無しの組み合わせにしては違和感なく読めたな

317 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 18:57:07 ID:Awk30Stn
>>315
そりゃ絶対無理なカプなんてこのスレにはないさ
某提督を見てれば大抵のものが許容されることがわかるw

318 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 19:00:15 ID:VJJ3AjkS
>>317
しかし提督もなんだかんだでフォワード陣にはエリオ以外手を出していない。
やっぱ接点皆無ってのはきついか。

鬼畜ロノ×ティアナで「執務官に推薦してほしければ言うことをきいてもらおうか」的な話読みたい。

319 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 19:23:29 ID:iQUx3tMv
提督の“らしさ”をなるだけ残そうとするとどうしても
接点皆無な人に手を出すのはむずいのよ、すずか以外。

この辺が司書長より汎用性が低い理由。

320 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 19:38:08 ID:AS5cLwpf
>>319
友達の友達は友達という理屈で接点の有るもの同士で
接点を繋いでいけば接点を"作る"ことは出来る

321 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 20:03:04 ID:Q4xYNLbN
提督のフォワード陣の相手がエリオだけっていかがなものかと……w
キャロもいけるはずだが

322 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 20:05:28 ID:Msb8PUBb
>>318
待て。それだったら、
「僕が一言言えば、君の親友である彼女の執務官への道は閉じるんだよ」と言わせて、
鬼畜ロノ×スバル希望!!

323 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 20:10:39 ID:Awk30Stn
ここのスレにおけるスバルを思い出すと…
たくさんの子供の母親だったり
腕もがれたり
ヴェロッサの妻だったり
誤解で殺されかけた挙句発狂したり
辺りがぱっと思い浮かぶな

324 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 20:21:42 ID:XMe3AFHU
あと、イチモツが生えて、なのはさんをモノにしてるスバルもいたな
まあそれは敵の策略なんだが、ここのスレのスバルには珍しく攻め側で美味しい役だったな

325 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 20:45:42 ID:3Fl1fzKy
>>323
>>324
作品名教えてくれ

326 名前::名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 20:49:40 ID:mVNLuhdb
>>325
自分で探した方が感動もひとしお
スバルっつったら100式だろ

327 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 20:57:39 ID:dJQ00mSE
>>325
>>324はとりあえず15スレの魔法少女の啼く頃にだと思うぜ
>>323は246氏の作品が入ってるってことしか俺にはワカラン
しかしあの頃のエロパロスレは実に良かったよな……

328 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 20:58:36 ID:Awk30Stn
今だって悪くないんだぜ

329 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 21:02:31 ID:h3maKWsj
はじめて初代スレ読んであまりの空気の違いにワロタ

330 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 21:09:22 ID:N6AaBnyC
>>323

>腕もがれたり

そのSSって、お腹にデカい穴開けられてませんでしたっけ?>スバル
たしかノーヴェも出ていたような気が



331 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 21:16:08 ID:LchOUVkS
なのはさんに脚ちぎられて犯された話ならあった気がする

332 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 21:22:28 ID:Awk30Stn
>>331
脚どころかほぼ達磨状態だったような

333 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 21:27:19 ID:9i0esQT5
今は今でアルカディア氏がいるから楽しみ
ゼッスンの槍早く読みてぇ中編混ぜて一話でも多く読みてぇ

334 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 21:30:10 ID:ETI/xXCy
>>331
「なのはさんの教導!」だな
あれは続きが物凄く楽しみだぜ
246氏の次作にも期待してる

335 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 22:03:13 ID:4AAToccX
>>333
同志よ…共に待とう!
ゼストの槍もキャロエリルーの恋の行方も早く見たいな…
いつまでも待ってますぞおおおお!

スバルだったらエリオとの風呂場のラブラブスキンシップとなのはさんの行き過ぎ教導逆襲編あたりが…

336 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 22:05:16 ID:DmsjbNkF
VIPからきますた

337 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 22:20:32 ID:kLz/Jq+T
はやてに復讐心を抱いている黒クロノの続きを楽しみにしている。
クロノとはやてのSSは少ないからな

338 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 22:33:07 ID:dmeDlw1S
>>316
サイト名のヒントを…

339 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 22:35:12 ID:dmeDlw1S
と思ったら自己解決。スマソ

340 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 22:50:19 ID:XMe3AFHU
そもそも2ch(この板は厳密には違うが)でよそのサイトを紹介したり、話題にしたり、
ヒントであっても個人サイト教えてって頼んだりすんのは個人的には、どうかと思うんだが
最近のここをみてると、あんまその辺、気にしない人多くなったのかね

341 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 22:55:53 ID:FMrDYKNd
そういうのは全部宣伝だと思うことにしてる

342 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 22:57:41 ID:FAaOsjIJ
>>337
俺も凄い気になってる。
話の流れもそうだけど、クロノとはやてが絡む前で寸止めだから無性に気になる。

343 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 23:06:26 ID:sixXbiCn
>>340
そうだなぁ…気にしない人が増えてるのかも。
かくいう俺も、『○○よかったよ(○○の中には自分の好きなシチュorCPが入る)』なんてレスがあったらすぐさま『詳細キボン』って書き込んじゃうからなぁ。

なんていうのかな…「目の前にヒントがあるんだから、別に聞けばいいじゃない」みたいな軽い気持ちなんだよね。
不特定多数にURLが晒されるのは、確かにちょっと嫌だと思う管理人さんも居るかもしれん…うぅむ。

344 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 23:11:43 ID:kLz/Jq+T
>>342
夏だから全裸で待機中です。
詞ツツリ氏の復帰を祈願中!

345 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 23:15:39 ID:J4L1ZWrv
ある槍騎士シリーズだったと思うけど、ロストロギアの影響で
別時間軸のエリオに愛(調教)された六課女性陣が一同に集結した、あれをずっと待ってる
ドMのシグナムさんが

346 名前:詞ツツリ ◆265XGj4R92 :2008/07/24(木) 23:19:59 ID:kcCwNqRp
>>337
>>342
>>344

どうも詞ツツリです。
なにやらお待たせしている模様ですみません(汗)
一応話の方は書いていたのですが、どうしてもダークな点やとてつもなく長くなりそうな展開とかで
色々と執筆で悩んでいましたが、読みたいという人がいらっしゃるようなので明日続きを投下させていただきます。
お待たせしてすみませんでした(土下座)
某所で続けていた話も終わりましたので、これからはたまに顔を出せると思います。


347 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 23:23:09 ID:0Ib44KCG
>>346
続きは望んでますが、できに納得してないのなら無理に投下しないでもう少し時間を掛けて納得のいく状態で投下してください

348 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 23:25:23 ID:WSPGFfuK
>>345
あれか。
何ていうか、シグナムだけ思考回路がぶっ飛んでたよな。
調教済みというか、もう手遅れというか、順番にエリオの前に出てきて、シグナムだけ直球勝負なのは吹いたな。

349 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 23:36:40 ID:kLz/Jq+T
>>346
急がせてしまい申し訳ありません。
ダークな作品で主役はクロノ、目的は復讐と個人的に大好きな設定ばかりなので
この作品は楽しみにしています。
暑くなってきましたので無理はしないでください。

350 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 23:56:05 ID:cFrBWXPE
>>346
某所というのが異常に気になる、と言ってみる

351 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 23:59:20 ID:eiykqprs
>>345
あの話はヴィータだけやたら初心で周りに後れを取ってるのが可愛かった印象が

352 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 00:05:32 ID:osHAbTNX
だからエリオはもうお腹いっぱいだよ……

353 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 00:08:52 ID:o5NbHPLm
>>352
じゃあ何が食べたい?

354 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 00:14:48 ID:tQ11Iawe
レジアスだね? よく分かるよ。

レジアスが六課もナンバーズもハーレムにするんだ。

355 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 00:15:24 ID:lef46ZCa
>>353
G
アッー
キシャー

先週の彼岸島で思いついた
顔だけスカのG集団にたかられるフェイトサンとか色々浮かびませんか

356 名前:名無しさん@ピンキー :2008/07/25(金) 00:20:44 ID:k0U7m7V2
>>354

超見てぇ
ところで、レジなのはまだかな

357 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 00:23:42 ID:osHAbTNX
>>353
ヴァイスとゼストあとはクロノかね
ただゼストはチンク以外のネタ希望で
注意:上の面子のウホッなネタが見たいわけじゃないからな
グリフィスとかアースラの二人組み(名前忘れた)もいるけどほとんど覚えてない
かろうじてグリフィスがレティの子供で眼鏡ってことのみ

358 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 00:25:40 ID:JqW/HkMo
たすけてスカえもん!
ってな感じで次々とアレな道具を出すすかりえっちーとか

359 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 00:27:47 ID:2aWzrML4
「烈火の将は〜」以外のシグナム・ヴァイスが読みたい
難しいのは分かるが…

360 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 00:27:51 ID:w3dXDK4i
レジなのを毎日楽しみにしている俺だが
レジフェイも見てみたいと思っている

361 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 00:29:56 ID:+yEqr3u4
>>357
チン○以外のゼスト……

クイント+メガーヌで3Pですね、わかりすぎます

362 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 00:31:47 ID:cPDW1ShC
ぼ、ぼくはルーテシア+メガーヌさんがいいと、お、思うんだな
レティさんやらウーノ姉さまやら紫髪のエロさは異常でありレティさんエロまだ?

363 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 00:32:29 ID:+ahfcPSi
246氏待ってます
いや、おとなしく忠実に待ってるだけだから気にしないで

364 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 00:46:36 ID:osHAbTNX
>>357だがさらに言うと
ゼストはルーテシア+メガーヌ、アギト+ルーテシアとか
ヴァイスはアルト、シグナム+アギト
クロノはなのは、初代リインフォース、フェイト+アルフ+リニス……あとアニメの正妻なのにここでの扱いが不憫なエイミィ

365 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 00:50:53 ID:SC3Dv8dT
忘れられがちなロッサと上で飢餓民(俺含む)発生してるスバルなどはどうざんしょ?

366 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 00:54:53 ID:osHAbTNX
あと桃子さんも欲しいかね
ロッサか。本編での描写が少ないから特に思い入れができない
スバルは……そいえばスバルってエリオとヴァイスとゲンヤぐらいしか接点ないし、この三人も薄いからなぁ……
でも同じような状況のギンガはそこそこあるような?

367 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 00:58:28 ID:lvTmKEKx
俺はもっとこのスレに百合物増えて欲しいかな
まぁ他で探せば山ほどあるといえばあるんだけども

368 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 01:00:07 ID:WuAUEbaI
百合スレってダイレクトなものがあるからな。
どうしてもそっちに行っちまう

>>1にリンクはってもいいと思うけどな。

369 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 01:04:48 ID:6LQMTmwU
>>366
その中からなら、エリオは競合率高いしゲンヤさんは流石にアレなんでヴァイスかなぁ
設定は…そうだな、実はティアナとアルトからこそこそ情報収集してた純情陸曹24才とかそんな感じで

370 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 01:09:31 ID:osHAbTNX
>>357です
しつこくなるが忘れてたので、これを主張しないで寝れない
クロノ×リーゼ姉妹!!

ではおやすみなさい

371 名前:アルカディア ◆vyCuygcBYc :2008/07/25(金) 01:34:40 ID:GFRugPzd
>>333
>>335
いつの間にか三週間も経過していて、申し訳も御座いません。
来週の頭ぐらいに間に合えば、と思っていますが保障は出来ませんので、のんびりお待ち頂ければ幸いです。

ただ言い訳でコテつけて発言するのは寂しいので、思いついた小ネタを投下していきます。
30分くらいで勢いに任せてみました。
こんなもの書くなら早く続き書け、って突っ込みはどうか勘弁。


372 名前:名探偵エリオ ◆vyCuygcBYc :2008/07/25(金) 01:36:32 ID:GFRugPzd
「―――それにしても大変な事になっちゃったね」

 僕は、ガタガタと吹雪に揺られる窓を見つめながら嘆息した。
 キャロは、初めて見る大吹雪が恐ろしいのだろうか、不安げに僕に体を寄せながら、それでも健気に微笑んだ。

「そんなことないよ。わたしは、エリオくんと一緒なら何処に居ても楽しいよ」

 それは、キャロの精一杯の強がりなのだろう。
 それでも、彼女の笑顔で胸が温かくなるのを感じる。
 ……それにしても、本当についていない。旅先で、大吹雪に巻き込まれて山荘から一歩も出られないなんて―――

「やってられないよな、まったく」

 ヴァイスさんが机の上に足を投げ出し、もう飽きたとばかりにトランプを投げ捨てた。
 ハートのエースが暖炉に舞い込み、パチリと音を立てて馳せた。
 
「この館、もっと遊び道具は無いのかよ?
 テレビも映らねぇなんてどうかしてやがるぜ!」
「も、申し訳ございません、現在外部からの送電は全て断線しており、館の中だけは辛うじて自家発電で賄っているのですが……」

 メイドのリーゼアリアさんがぺこぺこと頭を下げている。

「ふふ、いいじゃない。こういうのも何だかロマンチックよ―――」

 クアットロさんはクスクスと笑みを漏らしながらワイングラスを傾ける。
 ―――あの人は一体何杯飲んでいるのだろう?

「………………」

 ルーちゃんは、何も喋らずずっと僕達の様子を見つめている。

「ね、ねえ、今度は別の遊びをしましょうよ、きっとトランプ以外にも何かあるでしょうから―――」

 何とか場を盛り上げようとしているのはスバルさんだけだ。

「―――随分とスカリエッティ様が遅いようですわね。私、呼びに行って参りますわ」

 場の雰囲気に耐えられなくなったのか、ウーノさんが席を立った。

「どうぞ、コーヒーです」

 メイドのリーゼロッテさんが、音一つ立てずにコーヒーを差し出した。
 前屈みになったロッテさんのメイド服の胸元からは谷間が覗き―――正直、目のやり場に困る。

「どうかされしたか? エリオ様?」

 ロッテさんはにやにやと笑みを浮かべながら、殊更に胸を強調するポーズをとってくる。
 ……うわぁ、絶対わかってやってるよな、この人。
 ―――隣のキャロの視線が痛い。
 そんな時、山荘のロビーに闖入者が飛び込んできた。

373 名前:名探偵エリオ ◆vyCuygcBYc :2008/07/25(金) 01:39:05 ID:GFRugPzd
「出た、出たんだ〜〜〜っ!」

 雪まみれで慌てふためいてロビーに飛び込んで来たのは、散歩に出かけたレジアスさんだった。
 あの慌てよう、何かあったのだろうか?

「おいおい、レジアスのオッサン、出たって、何が出たんだよ?」
「出た、出たんだ、あの伝説の『管理局の白い悪魔』が現れたんだよ!」

 瞬間、ロビーは笑いの渦に巻き込まれた。

「ははははっ、ボケるのはまだ早いんじゃねえのか、オッサン」
「ふふ、丁度退屈してましたのよ? 身を張って楽しい話題を提供して下さるなんて、殊勝な方ね」
「……嘘じゃない、信じてくれ! この目で見たんだ! 『管理局の白い悪魔』が出たんだよう……」

 レジアスさんは必死に訴えかけるが、誰も相手にしようとしていなかった。

「……レジアスさん、なんだか可哀想だね」

 キャロのその言葉に頷いた―――瞬間、
「キャアアアアアアアッ!」
 ウーノさんの絹を裂くような悲鳴が響いた。
「どうした!?」
 皆で、ウーノさんとスカリエッティさんの部屋に駆けつける。
「キャアア!」「うおおっ!」

 部屋では、ウーノさんが蒼白の顔でガタガタと震えていた。

「……スカリエッティ様が、スカリエッティ様が……」
「―――――――――死んでる」

 ベッドの上で、スカリエッティさんはもの言わぬ亡骸と化していた。
 奇妙な事に、その胸の中央には、ぽっかりと大きな穴が開いていた。人間の腕が通るような大きなトンネル。
 まるで、伝説の『管理局の白い悪魔』に撃ち抜かれたような死に方だった。

「あああああ、『管理局の白い悪魔』だ、『管理局の白い悪魔』の祟りなんだ―――」
「いやああ、一体どうすればいいのよ!」
「お静かに!」
 ざわめく室内を沈めたのは、仮面の執事さんの鶴の一声だった。

「皆さん、お静かに。ロッテとアリアは現在主人グレアムの所に行っています。
 これは―――祟りなどではなく、殺人事件です。警察が来るまでこの場は保存し、皆様にはロビーに集まって頂きたい。
 そうですね、この中に犯人が居ないとも限りません、申し訳有りませんが、皆様には今夜はロビーで過ごして頂きたく存知ます」

 ヴァイスさんが血相を変えて反論した。

「じょ、冗談じゃねえぞ! この中に殺人犯がいるかも知れないってのに、こんな場所に居られるか!
 俺は自分の部屋に戻る! へへっ、部屋に鍵をかければ白い悪魔だろうが誰だろうが入ってこれないからな!
 おい、お前らも死にたくなかったら自分の部屋に戻るのが賢明だぜ!」

 そう言うと、ヴァイスさんは走って行ってしまった。
 ―――その後ろ姿を見送るクアットロさんは、何処か笑っているように見えた。スバルさんもルーちゃんも無言だ。
 
「ねえ、こんなことになっちゃって、どうしよう、エリオくん……?」

 キャロが不安げに僕の袖を引っ張る。
 僕は―――

A:『ヴァイスさんの言う通りだ! 皆で部屋に閉じこもろう!』と言った。
B:『犯人は外に逃げたに違いない、皆で追いかけよう!』と言った
C:『何か手がかりが有るかもしれない、もう一度レジアスさんの話を聞いてみよう』と言った

374 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 01:40:01 ID:QX6LONIf
>>366
ギンガもスバルも変わらなくない?
スバルはどうしても他六課メンバーと比べられるから余計少なく感じるけど

で、クロノ×ギンガなる電波が降りてきたんだが。なぜだ。

375 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 01:42:22 ID:fdzfiV9p
なんかどれを選んでも次回の冒頭でレジアスさんが殺害されていそうな。。。(´;ω;`)ウッ…

376 名前:アルカディア ◆vyCuygcBYc :2008/07/25(金) 01:42:44 ID:GFRugPzd
とか何とか。
次はきちんと「ゼストの槍」後編を投下します。
では、おやすみなさい。

377 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 01:50:01 ID:tQ11Iawe
久々の投下乙です!

「ゼストの槍」待ってますよ〜、あと以前に話していたソープネタも。

378 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 01:51:21 ID:dmeBQuc4
ルーとクアはミスリードっぽいなぁ。
仮面とスカが入れ替わっているのが王道なんだが。
仮に続くとしたら、ヴァイスとレジアスは死ぬだろうな。

379 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 01:52:34 ID:QX6LONIf
ヴァイステラ死亡フラグwww
GJです
そして割り込みスマソ

380 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 01:52:50 ID:o5NbHPLm
C:『何か手がかりが有るかもしれない、もう一度レジアスさんの話を聞いてみよう』で!
楽しみにしてますけども、どうかご自分のペースで!

381 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 02:13:47 ID:0IwoTX7y
『今夜12時に誰かにお話を聞かせてもらうの』

こんな手紙が頭に浮かんだ。
シチュエーション的にヴァイスとレジアスがおいしすぎるw

382 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 02:17:57 ID:nz168Cu2
Aで、是非……

部屋に閉じこもろうとしたら何故か意中の人と一緒に、という展開になって
エリキャロとかクアイスなエロ展開に!11!!!

※クアイス=クアットロ×ヴァイス

383 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 04:42:12 ID:o5NbHPLm
ちょっと司書の方にお願いがあります。
>>172の真ん中あたりで

>>アギトとゼストが爆笑。

とあるんですが、

>>アギトとレジアスが爆笑。

と直しておいてもらえないでしょうか?
どうか、お願いします。
そんなこんなでもう一個を。
書いてて楽しいけど、読んで楽しいかは別なので1スレに一個ぐらいにしよう……と思ってたら書いてたのです。

注意事項
・スカリエッティさんたちが飲みに来る話
・もし読んでくれるならば、真面目に読むとメンチ切れられると思いますのでどうか我、空となりて煩悩を断ってください
・過激なエロシーンが音声のみで一行ぐらいあります
・いろいろなキャラを生存のために無茶した嘘っぱちストーリー

384 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 04:43:16 ID:o5NbHPLm
「宴は永遠に」 涙の居酒屋「中将」編


「おう、らっしゃい……なんだ、スカリエッティか」
「なんだとは、挨拶だねぇ」
「軌道拘置所に収容されてるんだろ? いいのか、こんな所に来て」
「あそこヒマ」
「当たり前だアホンダラ。飲んだらちゃんと帰るんだぞ」
「中将、久しぶり」
「おう、ドゥーエくんか。それにウーノくん、トーレくん、クアットロくん、セッテくんと……軌道拘置所の管理体制どうなっとるのかね?」
「そう看守の者を責めないでやってくれたまえ。脱獄の手筈を整えてくれたのはドゥーエだからね、これは彼ら程度ではどうにもならんさ」
「あーん、流石ドゥーエ姉様ですわ。完璧でいらっしゃる。よくぞ生き延びてくださいました」
「あればっかりは運が良かっただけよ。お腹の中にドクターがいなければどうなっていた事か…」
「ドゥーエ、君、ちょっと酷くないかね? 普通、お腹はかばわないかな? 騎士ゼストの一撃を私で防ぐと言うのは結構なショックだよ」
「コラコラ、中将がいらっしゃるのに、本人が死んだ時あたりの事を話するなんてデリカシーがないわよ」
「こちとらその程度の事で商売できんようになるほどヤワな精神しとらんわい、それで注文は?」
「チューハイ」
「セッテ、お前は飲むな」
「……なぜです、トーレ?」
「えーっと…その……」(「酔うと破廉恥な気分全開で私にいやらしく迫ってくるから」などと言えるはずがないだろう…)
「全員にこの店で一番強いお酒を」
「ドクタアアアアアアアアアア!」

居酒屋「中将」
そんな暖簾がクラナガンの片隅にあったそうな。



385 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 04:44:17 ID:o5NbHPLm
まだ明るい時間である。客はいなかった。故、つまり現在居酒屋「中将」にいるのはスカリエッティ一行だけというわけである。
一通り酒と肴を用意して、レジアスも一緒になって飲み始めたのだった。ちょっとだけ。他のお客さんが来るまでのちょっとだけだから。

「良い店ですね、中将」
「わしのやりやすいように少しだけ変更したが、最新のモデルで建ててもらったからな」

飲んではお互いがお互いにコップに酒を注ぎながらの事である。クアットロ以外の全員が内装に興味持ったように眺めていた。
まず感想を言葉にしたのがウーノだ。

「ウーノが言ってるのはそう言う事じゃないよ、店主が作ってる雰囲気…かな」
「当たり前だ。わしの仕事だぞ?」
「その割に客入りは少ないね」
「時間が時間だ、お前らもお勤めをきっちり終わらせてからここに来んかい」
「ちょっとくらい息抜きしてもいいだろう? 飲んだら帰るよ」
「もう人様に迷惑かけるなよ」
「刑期を終えるまでは(勝手に外に出たりするけども)、迷惑かけずに大人しくしているよ」
「殊勝だな。いや、勝手に外に出てる時点で殊勝じゃないな。大人しくしてろバカタレ。そして大人しいウーノくんは自分の酒も飲みなさい」
「いただきます、中将」

やたら小まめにレジアスとスカリエッティ二人のコップにウーノが酒注いでくれるのだ。
流石の秘書っぷりに、これにはレジアスも酒を注ぎ返してあげるしかない。
他4名はドゥーエとクアットロ、トーレとセッテ、でペア作って楽しそうに飲んでるが約一名本気で舌入りキスしてこようとする7番を引き離そうとして必死こいてる。みんなが飲んでいるのは強い酒なのだ。

「何分、無限に欲望抱えてるものでね、無性に研究がしたくなったりするのだよ」
「ん、研究所は全部管理局が潰したとゼストづてで聞いたぞ?」
「そうなのだよ、さっき見回ってきたら全部潰されててねぇ。全部だよ、全部。我が家のように思っていた場所が無残に潰れてしまって傷心中さ」
「そんなもん見回ってくるぐらいなら他のナンバーズの顔を見て来い」
「いやぁ、拘置所から出てすぐに海上隔離施設に行こうとしたらフェイト嬢が追って来てね、煙に巻いて逃げてる最中だよ」
「何人かは更生し終えて施設から出てるだろう。一昨日もナカジマ一家で飲みに来てたぞ」
「ノーヴェか。元気にしているかい?」
「喧嘩であそこのテーブル壊すほどな。おい、お前が修理費出せ」

壁に立てかけてある割れたテーブルを指さしてレジアスがメンチを切りました。当の席は代わりを差し替えているが損害には違いない。
割れて壊れたテーブルをいっそ愛おしそうに見つめてスカリエッティが優しい表情で満足そうに頷いた。

「そうか…それは良かった」
「良くないわい。修理費出せ」
「それで、中将、他に知っている子はいるかね?」
「チンクくんだな。無事に子供を産めて幸せそうなものだ……きちんと子供が出来た事に、お前に強く感謝していたぞ」
「当たり前さ。私の仕事だよ?」
「そうだな」

酒を呷って一言、認める言葉が出た。酒も手伝って零れたか。
極々自然でたおやかなウーノの酌を受けていると、セッテがトロンとした瞳で話に入ってくる。

「子供……」
「チンクの赤ちゃんの事よ」
「赤ちゃん……欲しい」
「相手のアテはあるかい?」
「トーレ」

ブッと、含んでいたお酒噴き出してトーレがむせた。
そんな戦闘隊長の様子におでん頬張りながらクアットロとドゥーエが冷たい目で上品に笑う。

386 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 04:45:46 ID:o5NbHPLm
「じゃあ今度必要なモノをつけてあげよう。それともトーレにつけた方がいいかい?」
「私につけてください」
「オッケー」
「ドクタアアアアアア!」
「これこれトーレ、食事中にそんなに大声出すもんじゃないよ」
「そもそも食ってる最中にそんな話もするな」
「おや中将、将棋があるじゃないか、どうだい一局」
「話を聞け」
「トーレ…都合の良い事にこっちにはチェスが…・…私が負けたら、私はトーレの物。私が勝ったら、トーレが私の物」
「断る!」
「なら……実力で…」
「ちょ、お前、コラ、ぁん……こ、こぉら、そんな所…ァッ! いやぁ、止めて、ハァん…あぁ……アッ!」
「では、トーレ姉様とセッテちゃんは別の遊びと言う事でチェスは私たちでしましょうか、姉様」
「久しぶりねぇ、こんな事するの」

ちなみにレジアスvsスカリエッティは実力伯仲の好勝負を3度演じて、結果レジアス2勝1敗で終わるのだが、
二人ともウーノに何度やっても勝てませんでした。
レジアス&スカリエッティ連合で挑んでもウーノに勝てませんでした。
駒すり替えしても勝てませんでした。
すり替えした対局の後に「いくつになっても悪戯が好きなのですね…」と不敵に笑われました。
男2人歯ぎしり。

「王手」
「セッテちゃん、チェックメイト、って言うのよ」
「さっきとったナイトをここに」
「残念だけどチェスの騎士は裏切らないわ」
「裏返して馬に…」
「ビショップじゃなくてポーンを一番奥に持っていくのよ」
「キャスリング」
「あ、それは知ってるのね」
「ハドラー……」
「へ?」

あとキス魔を振りほどいてチェス3番勝負にもつれ込んだトーレだが、セッテがチェス初心者なのと酔っ払ってるのもあり彼女の勝利に終わる。
めでたくセッテがトーレの物になったわけだが、特に何かすると言う事はなかった。
放置プレイ、と呟いてピクンピクンしてるセッテを無視して唐揚げムシャムシャ。
その無視がまたセッテを狂おしくも甘く切ない悶絶の渦へと誘うとかなんとか。なんでこんなセッテになったんだろう。普通にセッテ好きなのに。

そうこうしているうちに、日も沈んで他の客もまばらに入店。
酒飲んで遊んでたレジアスだが、やおら忙しくなってきた。小さな店だが、レジアス一人なのだ。

387 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 04:46:22 ID:o5NbHPLm
「手伝おうか?」
「冷ややっこでも突いとれ」
「ほぉ、良い鶏使ってるね」
「……………爪を切ってきちんと手を洗えよ」
「分かってるさ」
「ドクター、私たちも」
「すまないね、中将、この一時間で客たちが君の料理を食べられなくなってしまうかもしれない」
「男手ひとつで娘を育て、第6回局内お料理コンテストに優勝した腕を侮られるとはな」

寒気するほど美しい円の軌道を描いては、白光閃かすウーノの包丁!
荒ぶる火炎を感じて操るドゥーエの鍋の舞踊たるや、もはや美の領域よ!
スカリエッティは塩胡椒!
レジアスの焼き鳥捌きを見よ、炭と言う静かな、しかし強く気高い熱を熟知せし男の業!
食べるトーレ、飲むセッテ、ストローでお酒をぷくぷくするクアットロは料理できない組である。

「リフレッシュサラダお待ちどうさまです」
「スタミナシチューできました」
「ハイパーまるやき一丁」
「へー、ベルカのお酒も仕入れてるんだ」
「お前が手伝うっつったんだろが天才科学者!」
「フッ、今までは調理場と材料食材調味料を見極めていただけさ、さて、本気を出そうか」

ウーノの下ごしらえをした材料を以て揚げ物を開始するスカリエッティの眼光は研究中のものと相違ない。
つまり楽しんでおり、そして何より真剣なのだ。
店のズンドウをフルドライブして高温の油でイグニッションするスカリエッティが次々に野菜や魚を引き上げれば、
食材が何と香ばしく仕上がっている事か。
引き上げる時に「ふはははははーーー!」とか言う笑い声がちょっと癪に障るけどキチンとした料理を提供しているので文句は出なかった。

「うぅむ、源塩だなこれは……それに負けない風味。鶏も悪くない……いや、良い鶏を扱っている!」
「とてつもないフィッシュ&チップスだ! これはバー「GG」の物に勝るとも劣らんぞ! 塩と酢の塩梅はまさに絶妙!」
「こ、この春巻き! 中の具を炒めた油と衣を揚げた油、両方の味がしっかり感じられる! こんなにも油が美味い物だとは知らなかった!」
「なんと居酒屋でドーナッツとな?! しかしこの油の甘味、小麦の甘味、砂糖の甘味の共演は…出来たて熱々が止まらん!」

イラっとするぐらい絶賛だった。
しかしながら、多種の油を使いこなしてスカリエッティが温度を上下させながら的確に引き上げる揚げ物は、レジアスも唸り上げる。
時間が経っても味も形もだらしなくならない、理想でしかないような揚げ物だ。これはお代りせざるを得ない。

「芸達者な奴だ」
「食は生命の基本だよ、中将? 私にとってはこれも極めるべき道だね」
「……あとでレシピいろいろ教えろ」
「構わないが、もっと質の良い野菜をそろえたまえよ」

白衣で派手に料理し、しかも美人を従えてると言う事でスカリエッティ、その時居酒屋「中将」にいた客から大人気。
すっかり打ち解けて店にいる全員が輪になって酒を飲んでる錯覚に陥ってしまう。
無論、その中にレジアスも入っていた。



388 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 04:47:11 ID:o5NbHPLm
夜も更けた頃合い。
お酒に強いドゥーエも顔赤くしてノリノリ。セッテは酔い潰れて丸まってねむねむし、トーレは客のおじいさんと碁を打ってるよ。
レジアスはカウンター越しの調理場でラストオーダー過ぎてるのに炭火と向き合い、スカリエッティはウーノの傍らで何枚もの紙面にペン走らせてる。

「ほれ」

ぶっきらぼうに、しかし丁寧にスカリエッティとウーノの座るカウンター席に一品出された。
焼き鳥である。
やはりこれだね、と塩振ってスカリエッティが噛みついた。続いてウーノも一本、拝借。
残りは包んだ。夜遅くまで労働に勤しむ真面目な者へのお土産である。

「さぁ、そろそろお開きだ。店を閉めるぞ!」

小気味よく手を叩く音。
レジアスの一声にもちろん、10数名の客は不満げだ。

「明日も仕事があるだろう! 帰ってしっかり休むんだ!」

キッチリとしたレジアスの物言いに、なんだかんだで素直に従って出ていく客は常連だろうか。
店を閉める時間まで居座って、レジアスから声掛けられて出ていく様が自然に見えてしまう。
美女ぞろいのナンバーズに名残惜しげに声かけながらしぶしぶと言った風に帰る客もいた。

「上手に仕切るものだねぇ」

コップに残っていた酒を飲み干し、スカリエッティが薄く笑った。
ウーノが酌するのを優しく制する。もう、お開きだ。

「来るのは気の良い連中ばっかりだからな」
「クックックッ、客にも恵まれて素敵な店じゃないか」
「羨ましいか?」
「ああ、羨ましい」

カウンターに空のコップを置いてフラリ、立ち上がる。
それを見て、きちんと片づけしてた超いい子なトーレがセッテを起こしてやる。すると抱きつかれて太ももまさぐられた。手刀を首筋に叩き込んでもう一回寝かせといた。おんぶしてやる。

「私もやってみたいかもしれないね、お店」
「いいから拘置所で大人しくしとれ」
「今日は、帰るよ。そこで店について考えておこう」
「わしの店近くに出すなよ」
「いいじゃないか。最近ここらへん新規の店いっぱい出てるし」
「やかましい」
「さ、勘定にしようか」

先ほどまでスカリエッティが何事か書き綴っていた紙の上に宝石がいくつか転がった。
白紙に記されたのはえらい可愛い文字の、とても分かりやすいレシピである。

「鑑定ができんから支払いは現金にしてくれ」
「困ったな、今手持ちがこれしかなくてね」
「……ならこのレシピだけで構わん。宝石は持って帰れ」
「疑われたものだねぇ。正真正銘、値打ち物だよ? テーブル修理費と遅れた開店祝いとして受け取ってくれたまえ」
「分かった、分った。もらうだけもらっておくから早く帰れ」
「クックックッ、また来るよ」

からからから。引き戸が開いて夜気が仕事終えた店に流れ込んでくる。
風。暖簾が揺れた。



389 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 04:47:44 ID:o5NbHPLm
からからから。引き戸が開いて夜気が仕事終えた店に流れ込んでくる。
風。暖簾が揺れた。

「スカリエッティイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!」

テーブル拭いてるとフェイトが来た。

「帰ったぞ」
「へ?」
「拘置所に帰った」
「……」

ピッ。
携帯端末を開いて同チームの局員と連絡。

『あ、フェイトさん! スカリエッティ、戻ってきてますよ!』
「……」
『お土産も貰いました。焼き鳥で凄く美味しいからフェイトさんの分も

プツン。

「うぅ……うぅ…ぐしゅぐしゅ」
「泣くな」
「ひっくひっく、えぐえぐ……」
「ほら、今夜は飲みな」
「ひんひん…あり、ありがとう…ございましゅ……うぇえん…」

フェイトが飲む酒は辛く、食べる焼き鳥はしょっぱかったけどあったかかったです。





390 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 04:50:53 ID:o5NbHPLm
終わりです。自分の書き方見ると、台本みたいな会話嫌いな人はダメかなぁと思った明け方。
そもそもキャラクターの動かし方にも問題あるけどね!

391 名前:タピオカ:2008/07/25(金) 04:53:57 ID:o5NbHPLm
名前……orz

392 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 09:48:37 ID:zlXdt8O3
>>391GJ!
早くセッテ×トーレを書く作業に戻るんだ!

393 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 11:16:06 ID:bMD1GX+y
ナンバーズみんな可愛かったのに最後の泣き虫フェイトそんに
全部持って行かれた感がww
GJでした!

394 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 13:09:37 ID:tbskOXts
〉〉345
俺もその完結編ずっと見たいと思ってた!
最後、快楽地獄に陥る時に別次元のエリオから連絡あったところでちょうど止まっちゃってるんだよな…
本当に続きが気になる!

〉〉352
キャラの好き嫌いあるから仕方がないとは思うが、あんまそういう発言はして欲しくないな…
書き手のモチベーション下げかねないことはして欲しくない……

395 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 14:14:59 ID:ol07+61q
>>391
イイハナシダナー。・゚・(ノД`)・゚・。
おかげで蒸し暑さが和らいだw

してセッテ×トーレの妊娠SSマダー?

396 名前:B・A:2008/07/25(金) 14:31:20 ID:dmeBQuc4
長編投下いきまーす。
えー、今回も切腹覚悟だったりします。
基本的に投下はいつも背水の陣。


注意事項
・B・A版エリルー時空のお話
・主人公はヴィヴィオ(なんだけど、今回は出番なし。ついでにエリオも出番なし)
・オリキャラが出ます
・非エロでバトルです
・sts本編から11年後の物語
・フェイトが天寿を全うしております
・その他かなりの捏造多し。今回、一番のビクビクはここ
・タイトルは「Das Erbe zur Zukunft」 意味:未来への遺産
・ガリューは大自然の使者
・ラ○ダーファンの方に頭を下げる覚悟はとっくに完了している

397 名前:Das Erbe zur Zukunft@:2008/07/25(金) 14:35:55 ID:dmeBQuc4
第20話 「傀儡乱舞 −尽きぬ闘志は主のために−」



巨神の咆哮が大地を震わせ、飛び交う魔力弾が為す術もなくその堅牢な装甲に弾かれて儚い火花を散らす。
鎧袖一触。
それを形容するのにそれ以上に的確な表現は見当たらない。
アルザスの守護竜の怪力も白銀の飛竜の火炎にも人造の神は一向に応える素振りをみせない。
ヴァイスによって飛行能力を奪われ、敏捷性こそ落ちているものの、カートリッジシステムによって引き出される戦艦クラスの出力とパワーは未だ健在であった。
スバルやナンバーズ達が果敢に攻めるも、驚異的な堅牢さを誇る複合装甲に僅かな傷をつけるのが精一杯であった。
更に、いつまで経ってもルーテシア達を排除できないことに業を煮やしたロデオは周辺にいた傀儡兵まで呼び集め、戦場はより混迷を極めていた。

「スバル、そっちいったぞ!」

「私が行く。IS・・・ツインブレイズ!」

一瞬で姿をかき消し、スバルの背後へと移動したディードが双剣を振るい、スバルの背後に迫っていた飛行型傀儡兵を両断する。
胴を二つに切断された傀儡兵は周りにいた仲間ともつれ合いながら墜落し、小規模な爆発を起こす。

「危な・・・・サンキュー、ディード」

「いえ・・・・それより、このまま無意味な攻撃を続けているだけでは埒が明きません」

長時間の戦闘でさすがに消耗しているのか、ディードは若干呼吸を乱していた。双剣を握る手も僅かに震えている。

「ナンバーズの司令塔としては、一旦撤退して態勢を立て直すことを進言するけれど」

上空で敵を焼き払っていたオットーがぼやく様に呟く。広域攻撃型である彼女は自身の能力で建造物を破壊しないよう細心の注意を払わねばならず、
それが負担となって彼女の消耗を早めている。無表情故に表情にこそ表われていないが、実際の疲労の度合いは誰よりも大きく、
後数回レイストームを放てば飛行を維持するのも困難になる。

「撤退だぁ!? どこに逃げるんだよ。このドームの中に入った時点であたしらに逃げ場なんてないんだろう!」

「いや、だから回復してから再度攻撃を・・・・・・」

「んなことしてたらその間に街が壊されるだろうが!」

「ノーヴェに同感。こいつを放っておいたら、きっとたくさんの人が傷つく」

「珍しく意見が合ったな、スバル」

「姉妹だからね」

「へっ、言ってろ!」

「二人とも、待って・・・」

オットーの制止を振り切り、二人は再びデウス・エクス・マキナに突撃する。それが無駄であることは百も承知している。
だが、自分達が奮闘することで一分でも時間を稼ぐことができれば、その間に優秀な指揮官が勝利の戦術を組み立ててくれる。
スバルもノーヴェもそれを確信しているからこそ、破壊の権化ともいえる巨体に立ち向かうことができるのだ。


398 名前:Das Erbe zur ZukunftA:2008/07/25(金) 14:39:18 ID:dmeBQuc4
「諦めろ、オットー。あの二人は『逃げる』とか『諦める』とか『挫ける』とか、そういうネガティブな感情とは無縁な存在だ」

「ついでに、『冷静さ』も欠けている気が・・・・・」

「その分は姉達が補えば良い。とはいえ、さすがにこちらも消耗は酷いが」

妹の前では常に強気で冷静なチンクが珍しく弱気な発言を漏らす。
実際、疲弊していない者は誰もいなかった。
オットーとディードは言うに及ばず、負傷者の援護に駆け回るセインも援護射撃を行っているディエチもISを連発し過ぎてエネルギーが残り少なく、
スバルとノーヴェも全身の至る所に傷を負っている。チンクにしても、既に愛用のスティンガーは使い切ってしまい、
今はその辺に転がっている金属片や建築物の廃材を拾って武器にしている。一矢報いたヴァイスの射撃も最早通用せず、
ウェンディのラインディングボードも所々が欠けていた。ヴォルテールも片手を失って酷く出血しており、そう長くは保ちそうになかった。

「ティアナ、まだなのか? このままではいずれ蹴散らされる!」

「わかっているわよ! こっちだって精一杯やっているんだから!」

チンクに怒鳴り返し、ティアナは精製した魔力弾を乱雑にばら撒いていく。
特に狙いをつけていたわけではないので、明後日の方向に飛び散った魔力弾はデウス・エクス・マキナのAMFを突破することなく弾かれ、火花を散らすだけだった。
傍目には意味のない行動に見えるが、ティアナは真剣そのものだった。魔力弾がAMFにぶつかり、消滅していく様をつぶさに観察し、また同じように魔力弾をばら撒く。
先程から、彼女はずっとそれを繰り返していた。

(AMFがあるのなら、わざわざ装甲に魔法を弾く加工を施す必要がない。きっと、あれのAMFは白天王に対抗するために後付けされたもののはず。
なら、きっとどこかに綻びがあるはずよ。それさえ見つければ・・・・・・・・・)

起死回生の一手が見つかることを念じ、再び魔力弾を放つ。ばら撒かれた魔力弾は緩い弧を描きながらデウス・エクス・マキナの背後に回り込み、
背面に降り注ぐが、やはりこれも無残にかき消されるだけだった。だが、執務官として鍛えられた彼女の観察眼は、その僅かな違和感を見逃さなかった。

「キャロ、ルーテシア! 私の合図で魔力弾をばら撒いて。できるだけ、万遍無く!」

「ば、ばら撒くんですか?」

「そう。私一人じゃ全面をカバーできない、だから三方から同時に撃つの!」

「わかった・・・・アスクレピオス」

「お願いね、ケリュケイオン」

一瞬の困惑もすぐに信頼によって押し流され、二人はティアナを頂点に丁度三角形を描く形に移動した。
そして、それぞれのデバイスに魔力を流し込み、できるだけたくさんの魔力弾を生成する。

「オットー、動き止めて!」

「・・無茶を言う!」

文句を言いつつも、オットーはヴォルテールがデウス・エクス・マキナの巨体を突き飛ばした瞬間を見計らってバインドを放った。
すかさず、ティアナはキャロとルーテシアに号令をかける。

399 名前:Das Erbe zur ZukunftB:2008/07/25(金) 14:42:09 ID:dmeBQuc4
「今よ!」

「アクセルシューター・・・・・・」

「トーデス・ドルヒ・・・・」

「クロスファイヤー・・・・・・・」

「「「シュートっ!!!」」」

三人の声が重なり、全く同じタイミングで放たれた誘導魔力弾の弾幕が鋼の巨体を包み込む。
そのほとんどはAMFによって無効化され、突破したものも魔法を弾く装甲に傷をつけることはできなかった。
だが、ティアナにとってはそれだけで十分だった。

(やっぱり、左肩の辺りが一番AMFの濃度が高い。多分、あそこにAMFの発生装置がある!)

確信がティアナの唇を吊り上がらせる。
最大で車と同程度の大きさでしかないガジェットならば、全身を包み込むAMFに濃度の差などなかっただろう。
だが、全長数十メートルもの巨体ともなれば話は別だ。如何に出力を上げようとも、発生装置から離れた場所にいくほどその濃度は薄くなる。
逆に言えば、最も濃度の高い場所に後付けされたAMFの発生装置があるのだ。恐らく、そこがこの巨神の弱点。

「スバル! 左肩の翼の付け根、そこにAMFの発生装置があるわ! そいつを思いっきりぶん殴って!」

「了解!」

相棒からの指示にスバルは元気良く答え、ウィングロードを疾走する。だが、敵もそう易々と接近を許す程馬鹿ではない。
すぐにバインドを引き千切り、無数の飛行型傀儡兵やガジェットを壁にしてビルの谷間を縫うように駆け抜ける。

「こんのぉっ、邪魔だぁっ!!」

立ち塞がる傀儡兵の群れを振動拳で粉砕し、スバルはマッハキャリバーをフルドライブ状態に移行させる。
作動した瞬間突撃システムによって加速のついたスバルは一気に鋼の群れを駆け抜け、デウス・エクス・マキナに追いすがる。
瞬間、唐突にデウス・エクス・マキナは振り返り、その巨大なカギ爪をスバルに叩きつけてきた。
慌てて身を捩って避けるが、圧倒的な質量が巻き起こす衝撃は人間一人を吹き飛ばすには十分であり、
スバルは独楽のように回転しながらビルの壁に叩きつけられた。

「痛・・・・・あんなの反則だ」

痛みを堪えて立ち上がり、再びウィングロードに飛び乗る。すると、それを待ち構えていたかのように傀儡兵達がスバルに殺到し、
あっという間に取り囲まれて身動きが取れなくなる。
無数の銃口が突き付けられ、スバルの背中に冷や汗が伝う。防御魔法には自信があるとはいえ、これだけの数の攻撃を浴びせられればさすがに耐えきるのは難しい。
かといって、目の前の敵を一度に殲滅する力は自分にはない。
その時、巨大な影がその翼を羽ばたかせ、咆哮で大気を振動させた。

「フリード、ブレストレイ!」

凛とした声が響き、吐き出された火炎放射が傀儡兵の群れを焼き払う。
機械にとって熱は天敵であり、配線を焼き切られた傀儡兵達はまるで糸の切れた人形のように地面に落下していく。
その瓦礫の雨を振り払い、スバルは包囲網を突破した。生き残りの傀儡兵達が追撃をかけようとするが、それはディエチとヴァイスの狙撃で悉く撃ち落とされていった。


400 名前:Das Erbe zur ZukunftC:2008/07/25(金) 14:46:17 ID:dmeBQuc4
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

雄叫びを上げながら、スバルは再びデウス・エクス・マキナに追いすがる。
群がる傀儡兵は全て仲間が撃ち落としてくれる。だから、自分は自分に課せられた役目に集中すれば良い。
主の意思を忠実に読み取ったマッハキャリバーは、過熱でオーバーヒート寸前までギアを駆動させ、最速の階段を駆け上がっていく。

「来るよ、マッハキャリバー!」

「スバル、飛べぇっ!!」

再びデウス・エクス・マキナのカウンターが繰り出された瞬間、スバルはノーヴェの叫びを聞いた。
いったい何を意図してのものなのか、それはわからない。だが、スバルの思考は何の躊躇もなく妹の言葉を受け入れ、
膝をしなやかなバネのように屈伸させてウィングロードを蹴り、空中へと躍り出た。
一瞬の浮遊感の後、重力に引かれて落下が始まる。その刹那の瞬間を見計らい、駆けつけたノーヴェは両足のジェットエッジの噴射装置を起動させた。

「飛んでけ、この馬鹿姉貴ぃぃっ!!」

回転の勢いをつけ、ノーヴェは暴れ狂うジェットエッジをマッハキャリバーに叩き込んだ。
一瞬、ノーヴェの暴言にスバルは顔をしかめたが、すぐにその怒りは意識の彼方に追いやられる。
凄まじい衝撃が背筋を駆け抜け、スバルの体は叩き込まれた運動エネルギーによって加速し、もの凄い勢いで空中に押し出される。
そして、その勢いのまま振り下ろされたカギ爪を飛び越え、デウス・エクス・マキナの背面に展開したウィングロードの上に着地した。

(見えた、あれだ!)

金色の眼が標的を捉える。
巧妙に偽装されているが、左肩の翼の付け根に不自然なでっぱりがあった。恐らく、あれがティアナの言っていたAMFの発生装置だ。
距離は僅か数メートル。遮るものは何もない。問題は、あれを自分がうまく破壊できるかどうかだ。
意識を集中する。
攻撃は最も破壊をイメージしやすい突きを選択する。
突きこそ拳法の基本であり、極意である。それはシューティングアーツとて変わらない。
魔法を用いるとはいえ、その本質は古今東西の武術と同じく、鍛えられた心身と数え切れない反復練習によって培われた心技体のハーモニー、
そしてそれが岩をも打ち抜く破壊力を生み出す。砕くのではない、貫くのだ。故に、“殴る”でなく“突く”と呼称される。

「うおおぉぉぉぉぉぉっ! 振動拳っ!」

スバルの繰り出した突きが、狙い違わず目標を捉える。瞬間、固い金属を殴りつけたかのような甲高い音が響き渡った。
それは振動エネルギーが正確に伝わった証。打ち込まれた破壊の渦は出口を求めて装甲の内部を駆け回り、物体の分子結合をズタズタに引き裂いていく。
砕けた装甲が弾け飛ぶ音は、まるでデウス・エクス・マキナの悲鳴のようであった。

「一撃、必倒ッ・・・・・」

弾けた装甲の破片をモロに浴びながらも、スバルは素早く右腕を引いて左腕を突き出す。
その先端には、既にチャージが完了したディバインスフィアが形成されていた。

「ディバイィィィィッン、バスタアァァァァァァァァァッ!!!!!!」

間髪入れずに打ち出した右拳がスフィアを破裂させ、耳をつんざく砲音が木霊する。
零距離で放たれたディバインバスターA.C.Sが剥き出しとなったAMF発生装置を飲み込み、部品一つ残すことなく消滅させる。
同時に、接敵した瞬間から感じていた体の重みがなくなり、デウス・エクス・マキナの纏うAMFが解除されたことを肌で実感する。


401 名前:Das Erbe zur ZukunftD:2008/07/25(金) 14:53:50 ID:dmeBQuc4
「スバル!」

反動で吹き飛ばされて落下していくスバルをノーヴェが抱きかかえ、全力でその場から離脱する。
もたもたしていたら、本命の巻き添えを食らってしまう。

「ティアナ、やれぇっ!!」

「ティアァァァっ!!」

二人の言葉が、後方のビルの屋上を陣取ったティアナへと届く。
唇には不敵な笑み。
手には鋼の相棒。
肩に背負うは仲間の期待。
昔の自分ならば、気負いして手痛いミスを犯していただろう。だが、今は違う。
滾る魔力は火傷しそうな程熱くなっているというのに、ティアナの心はどこまでも冷静だった。
周りを見回せば、あちこちに仲間がいる。彼女達への信頼が、ティアナに冷静な思考と大胆さをもたらしていた。

「いくわよ、クロスミラージュ」

《Blaze Mode》

カートリッジが炸裂し、両手のクロスミラージュの姿が変わる。
長距離狙撃砲形態“ブレイズモード”。幻術と誘導魔力弾による中距離戦を得意とするティアナが隠し持つ奥の手。
これを使わねばならない状況になったということは、それだけこちらが追い詰められているという証でもある。
だが、それでも問題はない。
例え、どれだけ傷つこうとも最後には勝利する。
かつて自分の師がそうであったように。そして、今もどこかで戦う二人の騎士がそうであるように。
故に念じるのは一撃必殺。
星を撃ち落とすなんてケチなことは言わない。星そのものになってアレを撃ち落とす。

「全力全開・・・・・」

大気中の魔力残滓が集束され、クロスミラージュの砲口に極大のスフィアが形成される。
これは彼女の魔法の師が鬼札とした、全てを飲み込む流星の光。
この十二年、ティアナが積み重ねてきた努力の全てをここに集約させる。

「スターライト、ブレイカァァァァァッ!!!!」

輝く橙色の閃光が、周囲の大気を焼き焦がしながらデウス・エクス・マキナの巨体を飲み込んでいく。
それはまるで地上に落ちた太陽の光のようであった。
見る者を圧倒させる光の奔流。それが世界を包み込み、視界を焦がし、巨神の銀色の装甲が見るも無残に焼かれていく。
やがて光の奔流が虚空に消え去ると、デウス・エクス・マキナは鈍いモーター音を響かせながら、静かに動かなくなった。





勝利を信じて疑わなかった盤面を引っくり返され、ロデオはギリギリと歯を噛み締めながら屈辱に打ちひしがれていた。
一応、本人としてはうろたえずにどっしりと構えているように見せているつもりなのだろうが、
傍目にも必死に冷静であることを取り繕っているようにしか見えなかった。
だが、彼が心を乱されるのも当然だ。土壇場でのケーニッヒの裏切りもそうだが、こちらの想定していないことが多すぎる。
アルザスの守護竜すら圧倒する力を持つ最強の持ち駒が、烏合の衆に止められるなんて、誰が想像しただろうか。
敵はここまでの戦いでかなり消耗しているが、それでも全力を出せば自分一人くらいは容易に討ち取ることができるだろう。


402 名前:Das Erbe zur ZukunftE:2008/07/25(金) 14:56:16 ID:dmeBQuc4
(何故だ? 何故デウス・エクス・マキナがあのような虫けらどもに勝てない!? あれは最強の召喚機、人間が造り出した叡智の結晶だ。
愛だ勇気だと不確定なものに頼って戦う人間なんぞに負けるはずがない! いったい、どこで計算を間違えた!?)

苛立たしげに爪を噛みちぎり、ロデオは撤退の準備を開始する。こうなってしまえば長居は無用。
幸いにもまだ傀儡兵は残っているので、それらを足止めに使えばこの場から逃げることはそう難しいことではないだろう。
後は、どこかに身を潜めてほとぼりが冷めるのを待つ。生きてさえいれば、いずれはまた復讐の機会に巡り合えるはずだ。
だが、逃げだそうと転送魔法の術式を構築し始めたロデオの前に、二人の召喚師が立ち塞がった。

「降伏しなさい、ロデオ・エステート」

「あなたには大規模騒乱罪と逃走罪及び先日の機動六課襲撃の容疑がかけられています。大人しく武装を解除して、わたし達の指示に従ってください」

「ふん、小娘如きが私に意見するな。たかが二匹の竜しか従わせられない見習いが!」

「召喚魔法の優劣は、契約を交わした獣の数で決まるものではありません。召喚師と召喚獣との絆の深さ、
そしてそこから生まれる信頼が何よりも強い力を生むんです」

「信頼? 信頼だと!?」

キャロの言葉にロデオの顔が狂気で歪む。
信頼、それは彼が最も唾棄すべき感情だ。
この世の全ては利用し、利用される関係にある。他人を信じれば隙が生じ、そこに付け込まれて痛い目を見る。
他人同士は絶対に分かり合うことができない。彼は今日までずっとそう信じて生きてきた。そして、それはこれからも変わらない。

「信頼なんて不確かなものが力を生むわけがない。そんなもの、愚かしい隙を作り出すノイズでしかない。機械こそ最強、機械こそ最優! 
信頼、愛、勇気、そんな感情は認めない、私は絶対に認めないぞぉぉっ!!」

叫び散らしながら、ロデオはまだ稼働している傀儡兵を集結させて陣形を組ませる。
瞬間、飛来したフリードの火炎放射が傀儡兵の軍団を包み込み、全ての機能を停止させた。

「なっ・・・!?」

「諦めなさい。もう、あなたに勝ち目はない」

「この、ルーテシアァァァっ! せめてお前だけはぁぁっ!!!」

怒り狂うロデオは魔力弾を乱射し、ルーテシア目がけて突撃する。
最早、冷静な判断力は彼から根こそぎこそげ落ちていた。
即座に二人の前に躍り出たフリードが、火炎を吐き出す。傀儡兵すら焼き尽くす地獄の業火、それを人間が耐えられる訳がなく、
ロデオは防御魔法を展開してその場に足を止めることを余儀なくされる。


403 名前:Das Erbe zur ZukunftF:2008/07/25(金) 14:58:19 ID:dmeBQuc4
「ぬうう・・・うううぅぅ・・・・・・・・」

余りの業火に、ロデオの思考に再び冷静さが戻ってくる。
このまま防御をし続けていては、いずれは熱で意識をやられるか、魔力が尽きて捕まってしまう。
とにかく、どこでも良いから早く転送しなければならない。

「ルーテシア・アルピーノ・・・・・この決着、いずれまた・・・・・・」

「いいえ」

ロデオの言葉を遮り、ルーテシアは静かに告げる。

「あなたに、もう次はない」

その時、彼方で凶暴な獣の唸りが轟いた。





傷ついた体を半ば無理やり起こしながら、ガリューは悔しさに歯嚙みしていた。
まるで歯が立たなかった。
自慢の拳も、爪も、あの召喚師の防御魔法を打ち破ることはできなかった。
逆に返り討ちにあい、重傷を負わされて主に負担をかけている。
悔しかった。
大切な主を傷つける敵が目の前にいて、今もこうしている間に主の友人が必死で戦っているというのに、
自分は何もできずに寝転がっているだけ。大事な時に何もできないことが何よりも悔しかった。
そう、思えばいつも自分は何もできなかった。
メガーヌ・アルピーノをスカリエッティから守ることができなかった。
孤独に苦しむルーテシア・アルピーノの側にいながら、救いの手を伸ばしてくれる者が現れるのを待つことしかできなかった。
アルピーノ一族に使える召喚蟲でありながら、自分はいつも大切なものを守ることができていなかった。
ふと隣を見れば、傷つき倒れた白天王の姿があった。
大地を震撼させる巨体も、今は見る影もないくらい小さく見える。彼もまた悔しいのだろう。その目からは血の涙を流していた。

「・・・・・・・」

重なり合った視線が、全てを雄弁に物語っていた。
自分達の戦いは、まだ終わっていない。
主への忠誠が、仲間への思いが、枯れ果てることなく闘志を湧き上がらせる。
敵を倒す。
主を守る。
自分達にとって、ただそれだけが存在理由。
戦って勝つ、勝って守る。
その思いが、ガリューに再び立ち上がる力を与えた。

「・・!!・・・!!・・・!」

五体の確認。
神経系に異常なし。
骨格、内蔵には異常なし。
全身の至る所に負っていた裂傷と火傷はまだ完治していない。だが、行動には何の支障もない。
戦える。
ルーテシアが施してくれた回復魔法は利いている。
それと武器だ。拳に代わる武器、奴の強固な防御魔法を突破できる強力な武器がいる。
その時、瓦礫に埋もれているエリオのバイクが目に入った。


404 名前:Das Erbe zur ZukunftG:2008/07/25(金) 15:02:27 ID:dmeBQuc4
「・・・・・・・」

それは異様な存在感を醸し出していた。
黒い外観。
無骨な造形。
何の変哲もないバイクであるにも関わらず、そいつはまるで自分を使えと言わんばかりに自己主張してガリューの心を放さなかった。
自分に乗りこなせるのかという疑念は浮かばなかった。ガリューはまるでそれが当然のようにバイクを起こして跨り、顔にかかるマフラーを振り払う。
動かし方は知っている。運転をしたことはないが、スロットルを回せばエンジンがかかり、ハンドルを切れば曲がるのだと聞いている。
止め方は知らないが、この際それはどうでも良い。

「・・・!」

滾る熱い闘志を胸に、ガリューはスロットルを回す。瞬間、凶暴な獣にも似た唸りが大地に轟いた。
歓喜の震えにも似た戦慄。
あるべきところに戻ったのだという実感。
この機械の馬は、自分を主と認めて力を貸してくれている。
猛々しい排気の唸りが大気を熱し、震える車体が全身で喜びを表現する。
走りたい。
走りたい。
走りたい。
製造過程でこの機械に込められた存在理由がハンドルを通じて流れ込んでくる。
その在り方に、ガリューは共感すら抱いた。
自分が如何なる状況でも主を守りたいと思っているように、こいつは如何なる状況でも大地を疾走したい思っている。
目的は違えど、自分達は同じ人に使われるもの。ならば、これ程の一体感にも納得がいく。
良いだろう、一夜限りの人形達の宴だ。燃え尽きるまで駆ってやる。
開いた口から牙を露出させ、ガリューは吠える。そして、エリオの見よう見まねで足下に取り付けられているブレーキを解除した。
その瞬間、凄まじい大気のうねりがガリューに襲いかかった。
双輪が猛々しい怒号を張り上げ、排気筒からおびただしい量の黒煙が噴き出される。
有り余るトルクは瓦礫で埋め尽くされた路面を掴み切れずに車体をもたげ、ガリューが力で捩じ伏せなければすぐにでも転倒していただろう。
そのような暴れ馬にも関わらず、バイクはガリューの意思を汲み取って前進を続けた。
打ち倒すべき敵へ。
打倒すべき悪へ。
鋼の体を極限まで酷使し、己の内から込み上げる欲を満たしてくれる主の願いを叶えんと瓦礫の街を疾走する。
大気という壁は彼らを引き止めることすらできなかった。
轟風をまき散らし、瓦礫を蹴散らしながらハンドルを切ると、ガリューはスロットルを限界まで回して更なる加速をつける。
既にスピードーメーターの針は300kmを突破し、なおも禁断の領域に向けてジリジリと這い上がっていく。
人間ならばとうに気絶していてもおかしくない加速Gに晒されながらも、ガリューは目の前に立ち塞がる瓦礫の山を衝撃波で吹き飛ばし、
一度として減速することなく戦場を駆け抜ける。
その眼前には、炎に焼かれる召喚師の姿があった。





エグゾーストの咆哮が大気を震わせ、重く猛り狂う二輪駆動の疾走が大地を揺らす。
彼方より現れたのは一台のバイクであった。
夜の闇から染み出てきたような黒いボディ。無骨な造形は余りに攻撃的で、それが地を駆けるための乗り物なのか疑わしくなるほど攻撃的だ。
有り余る馬力で瓦礫を蹴散らし、大地を駆け抜ける様はまるで戦車のようであった。
必死でフリードの火炎に耐えていたロデオは、それを見て絶句した。
バイクに乗っているのは人間ではない、人型の蟲だ。傷つき、戦線を離脱したと思われていたルーテシア・アルピーノの召喚蟲が、小生意気にもバイクに乗っている。


405 名前:Das Erbe zur ZukunftH:2008/07/25(金) 15:05:29 ID:dmeBQuc4
「あいつ・・・・まだ生きて・・・・・・」

忌々しげに呟き、ロデオは転送魔法を行使するために座標の設定を急ぐ。
だが、それよりもガリューの疾走の方が遙かに早かった。
今にも浮かび上がりそうになる車体を必死で押さえつけ、衝撃波を噴出させてバランスを取りながらガリューは更なる加速を得るためにスロットルを限界まで回す。
既にエンジンは過熱によってオーバーヒートを起こしかけており、フレームがギチギチと苦悶の音を放っている。
このまま最高速度を維持し続ければ、やがては過負荷に耐え切れずにこのバイクはバラバラに砕け散ってしまうだろう。
だが、ガリューは躊躇わずに加速を続けた。
ハンドルを通じ、この乗り物は自分に訴えかけている。
もっと速く走りたい。
もっと熱く駆け抜けたい。
己に課せられた限界すら超え、その向こうにあるであろう鮮烈な一瞬を垣間見たい。
ただ速く走りたいという純粋な欲求。尽きることのないその欲望は、人間が乗り手では決して満たされることのない願いであった。
だが、今は違う。今の乗り手は人外の生物。彼ならば、限界を超えて自分の真価を引き出すことができる。
その思いは、確かにガリューに伝わっている。
彼もまた理解したのだ。この乗り物は、自分という乗り手を求めていたのだと。
限界を超えねば辿り着けない刹那の一瞬。一度限りの片道切符を切れるのは、この世に自分だけなのだと。
バイクの望むがままに、ガリューはステアリングを切る。水圧にも等しいGが容赦なく体を蝕み、
乱暴な運転で車体が軋みを上げるのにも構わずに倒壊したビルの壁を駆け上り、衝撃波を巧みに利用して百八十度車体の向きを反転させる。
その瞬間、ガリューとロデオを遮るものは一切なくなった。

「・・・!」

敵を捉えた瞬間、ガリューは柄にもなく笑みを浮かべていた
それは、獲物を前にした時の捕食者の笑みだ。
浮いた前輪が傾いたビルの壁に落ちた瞬間、バイクは一気に下り坂を駆け下りていった。
余りに傾斜が急で車輪が空回りし、猛回転するエンジンは焼けつく程の熱量を放出しながら車体を一気に加速させる。
暴力的なまでのその加速をガリューは全身で受け止め、一際大きな軋みを上げる車体をロデオ目がけて走らせる。
そして、スピードメーターの針が振り切れて破損した瞬間、破壊の権化と化したバイクは燃え盛る炎をかき分け、ロデオが展開する障壁にその前輪が叩きつけられた。

「・・・・・!!!!!」

「ぐぬううううううう!!!!!!」

フリードの火炎で過負荷がかかっていたところに400kgを超える質量をぶつけられ、障壁が耳障りな軋みを上げて歪んでいく。
歪みはやがて全体に伝播し、ドーム状に展開されていた障壁は不格好な飴細工のように捩じれてその処理能力が限界にまで押し上げられる。
ロデオは怒りで脳が沸騰してしまいそうだった。
絶対の自信を持っていた防御魔法が、見下していた虫けらに突破される。召喚師としてのプライドは人一倍高いだけに、それだけは何としてでも防がねばならない。
ロデオは残る全ての魔力を総動員して障壁の強度を維持し続ける。だが、飽和寸前の障壁にそれは焼け石に水であり、瞬く間に限界に達した障壁はガラスのような破片となって砕け散った。


406 名前:Das Erbe zur ZukunftI:2008/07/25(金) 15:08:30 ID:dmeBQuc4
「そんな、馬鹿なァァァァァッ!!!!」

「・・!」

片手だけでステアリングを切り、ガリューはロデオの首根っこを掴んでバイクを反転させ、そのまま勢いよく上空へと投げ放った。
そして、ガリュー自身もまた飛び立とうと傷ついた羽根を広げる。

「キャロ!」

「うん!」

ルーテシアとキャロが二人がかりでガリューにブーストを施し、彼の中に眠っていた野生を解放する。
開かれた口から吐き出されたのは野獣の咆哮。溢れんばかりの獣性は、もう誰にも止めることはできなかった。
限界に達して機能を停止したバイクを飛び越え、ガリューはフリードの頭へと飛び移る。彼の意図を察したフリードは即座に全身を力ませ、
シーソーのように首を持ち上げてガリューの体をロデオ目がけて投げ飛ばした。

「・・!・・!・・!・・!」

重力の枷を振り払い、ガリューは空中を駆け上がる。そして、剥き出しの獣性がロデオの肉体へと叩き込まれた。
蹴り上げられたロデオの体が更に上空へと浮かぶ。それが落下するよりも早く、距離を詰めたガリューが再び蹴る。
物理的な法則を無視した音速の蹴りがロデオのバリアジャケットを引き裂き、嵐に翻弄される小船のように大空へと叩き上げられていく。
恐るべき乱撃によって見る見る内に地面は遠ざかり、浮遊感を感じる間もなく太陽がグングンと近づいていく。
霞んでいく意識の中で、ロデオは自分が昇天しているかのような錯覚を覚えた。
だが、懺悔の時間は与えられない。何十発という蹴りによって上空高くに叩き上げられたロデオの体はその運動エネルギーの頂点に達し、
ほんの一瞬だけ重力から解放される。その一瞬を見計らい、ガリューは強烈な踵落としをロデオの腹部に見舞った。
鈍い音が響き、ロデオの体が急速に落下していく。同時に、ガリューはルーテシアから供給されている魔力の全てを全身に漲らせ、
何もない空間を蹴って自由落下を開始した。さながらスカイダイビングのように姿勢を直立させ、空気の抵抗を極限まで減らして最速で空から駆け降りる。
そして、再びロデオとの距離が近づいた瞬間、ガリューは身を捻って足を地面に向け、飛び蹴りの態勢を取る。

「・・・・・・・!!!」

ガリューの蹴りが落下速度を上回り、ロデオの体が地面に叩きつけられる。
凄まじい衝撃が大地を振動させ、落下地点に円形の巨大なクレーターが形成された。
隕石でも落ちたかのような惨状は、見る者全てにロデオの安否を心配させる。


407 名前:Das Erbe zur ZukunftJ:2008/07/25(金) 15:10:08 ID:dmeBQuc4
「がぁ・・・・・がはぁっ・・・・・・」

ロデオは生きていた。
バリアジャケットをズタズタに引き裂かれ、全身の骨を蹴り砕かれながらも、ロデオ・エステートは意識を保ち、
苦しげに呻いていた。そのしぶとさにはさすがに脱帽させられる。

「なぁ・・・・・ぜぇ・・・・・」

虚ろな目で自分を傷つけたガリュー、そしてその主であるルーテシアを見やる。
最早、こちらに戦う力は残されていないと確信したのか、ルーテシアはキャロを伴って近づいてくる。
そして、まるで汚物でも見るかのように蔑みの目を投げかけた。

「あなたを逮捕します」

「ルーテ・・・シ・・ア・・・・・・」

ロデオは最後の力を振り絞って腕を伸ばすが、それは無残にもガリューに踏みつけられてしまう。
余りの痛みに神経がイカれ、自分が生きているのかさえ疑わしくなった。

「あなたが敗北した理由、それはガリューの力を侮ったこと。そして・・・・・・」

汚濁の底へと意識が落ちていく中、ロデオは冷たいルーテシアの囁きを耳にする。

「私を怒らせたことよ」

吹き荒ぶ風が勝鬨を上げるガリューのマフラーをなびかせ、ルーテシアの冷ややかな目が悔しさを掻き立てる。
その情景を最後に、ロデオは意識を失った。

                                                                   to be continued


408 名前:B・A:2008/07/25(金) 15:12:42 ID:dmeBQuc4
以上です。
やってしまった。
いつかやりたいなと思っていた。うん、後悔はしていない。
着々と終わりが近づいているなぁ。この勢いがラストまで保てば良いんだけど。


409 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 15:15:21 ID:QEIJJ3G+


410 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 15:17:08 ID:cgQcI4xp
もうガリューのボディーカラーが、緑系でしか思い浮かばないw

411 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 15:29:40 ID:yaUXHh58
なんというガリューSS

412 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 15:30:17 ID:/fWOU8NC
ガリューは改造虫である!

413 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 15:50:36 ID:kqI4wl7t
>408
スーパーキシャータイム、乙!さりげにジョースター家の台詞がw
>410
F91の質量残像のように、ガリューは激怒すると体表の色素が剥落して色が薄くなるんだよ。

414 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 17:31:47 ID:bMD1GX+y
ガリューライダー自重www
けどGJなんだぜ!

415 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 18:08:02 ID:tbskOXts
GJ!!
ガリューかっけえ!
さすが将来アリシアが惚れるだけのことがある。
この熱さのまま進んで欲しいです!
頑張って下さい。

416 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 19:09:55 ID:gi3qSG6l
>>408
超GJ
これはなんという
ガ リ ュ ー ラ イ ダ ー w
それとみんなガリュー・ガリュー言い過ぎw
スバティアナンバーズも熱かったんだぜ
>行ってこい馬鹿姉貴…
マジ吹いた

417 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 19:28:10 ID:B1GJQghx
村枝賢一画のガリューが浮かんだ俺はスピリット厨。

418 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 19:52:48 ID:/UEuh/v/
しかし、ガリューにバイクか・・・なぜこんな絶好の組合せに
今まで気付かなかったんだぜ?w

419 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 20:03:55 ID:FCtzXe7i
「貴様の作戦目的とIDは?」

「正義」
「召喚獣ガリュー」

420 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 20:11:38 ID:ZaXEnaIe
この小説の別名は「仮面ライダーガリュー」なんですねわかります。

421 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 20:12:04 ID:x4+wn3f4
>>タピオカ氏
居酒屋「中将」GJでしたっ!
まったりのんびりな全体の雰囲気が良いです。台本みたいとは言いますがテンポが良いので気になりませんぜ
しかし、ドクターが「お店」と口にした瞬間、「ソープ・ナンバーズ」という単語が頭に浮かんだ私はかなり末期的なエロパロ脳です
楽しく読ませていただきました。GJでしたっ!



暖簾の前でカチコチに緊張しているオーリスが恐る恐る引き戸を開ける姿が目に浮かびましたが、そんな予定はありませんか?



422 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 20:16:50 ID:k4ccsWgP
>>419
むしろガリューならアマゾンだろう
腕から刃が生えるからスーパー大切断も可能だし
そしてB・A氏GJでしたっ!

423 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 20:22:09 ID:B1GJQghx
>>422
ルーたんと「友達マーク」を見せ合うんですねっ!!

424 名前:シロクジラ ◆bsNe6z3qW2 :2008/07/25(金) 20:56:01 ID:R6Sq8DPG
なんという、なんという仮面ライダァァァッッッ!!
恐ろしい、これほど燃えるガリューは中々お目にかかれないですっっ!!
ライダーキックをリリなので見れるとは思いませんでしたー。
GJッッッです。

そして投下させていただきます。
長編「嘆きの中で」第三話です。
注意事項は

・STSアフターなのでオリジナルストーリー
・機動六課などに死傷者多数
・シリアスと云うかダーク
・設定の改変、捏造多数
・非エロ

以上のことが苦手な方はNGでお願いします。
では、開始します。

425 名前:嘆きの中で ◆bsNe6z3qW2 :2008/07/25(金) 21:01:12 ID:R6Sq8DPG
焔、焔、焔――燃え盛る装甲車と機械の群れの残骸が、大通りにコロシアムを作り出していた。
赤というよりも紅蓮と呼ぶが相応しい緋色の世界に、立つ人影は二人。その他の兵士たちは、今はただ観客として場外にいるだけだ。
人の形をした、人で無い存在。身体の内部組織を機械化し、常人をはるかに越える強度の肉体と、高威力の兵装に対応した脳の構造体を持つ化け物。
二十歳にもなっていない小娘が、その実戦車すら素手で破壊する異形だと、誰に想像がつくだろう?
その一種地獄にも似た炎の世界で、向かい合うのは二人の少女である。
白いバリアジャケットに身を包み、ローラーブーツを両足に、黒鉄の篭手を右腕に装着した、青い髪の凛々しい顔。
緑色の瞳で向かい合う異形の少女を睨みつけ、瑞々しい肢体を白兵戦に備えて構える。
高速機動型打撃系戦闘術、シューティングアーツのもっとも基本的な構えであり、それゆえに堅実な戦闘能力を発揮する。
その唇から、いかんともし難い感情が言葉として紡がれた。
震える声――怒りが湧き上がる瞬間の、どうしようもない感情。

「貴方が……貴方達が、なんで、いまさら! まだ、奪い足りないの?!」

憤怒の声を聞いてもなお、異形の少女はせせら笑う。
その4年前よりも成長した肢体を青いボディスーツに包み込み、各所を鎧のようなプロテクターで覆い隠して、短く切った燃えるような赤毛を風になびかせる。
両腕には黒い篭手を、両足にはスピナーのついたローラーブレードを履いた彼女は、恐るべき獰猛さで戦闘機械の残骸を踏み砕き、にぃ、と笑った。
金色の双眸に凶暴な光を湛え、言う。

「足りない、足りないなァ! テメエらからは、何もかも奪い尽くしてやる! 
……なあ、憎いだろ? お前の母親を殺して、お前のパートナーを嬲り殺しにした、あたしたちがな!」

青い髪の少女、スバル・ナカジマは、白いハチマキに触れて気を落ち着かせた。
相手の挑発に乗るな。決して己を見失ってはいけない、敵の狙いは自分を、タイプゼロセカンドとして『起動』させることだろうから。

(あたしは、人間だ。人間で、いいんだ)

左手でティアナの形見であるクロスミラージュを握り締め、敵に向けて照準する。
ぴたりとノーヴェの胸の真ん中に向けて構え、静かに息をはいた。引き金に指をかけ、警告した。

「戦闘機人ノーヴェに告ぐ。貴女を器物損壊と管理局員への任務妨害、傷害の現行犯で逮捕します。
武装を解除し、手を上げてうつ伏せになりなさい」

珍しい拳銃型デバイスを見たノーヴェの瞳が、一瞬見開かれ、口元から嘲笑が消えた。
代わりに浮かぶのは、哀切にも似た何か。過去へ想いはせる瞳に、炎の煌きがちらつく。

「そのデバイス……ティアナ・ランスターのか。テメエに使いこなせるのか?!」

「……投降する気は、無いみたいだね? バインド!」

魔力で編まれた拘束具が瞬時にノーヴェの身体の自由を奪い、腕と胴体を纏めて締め付ける。
しかし、彼女の瞳からは侮蔑のような感情と戦意は消えず、にたりと笑って言った。
スバルは警戒を緩めずにクロスミラージュの銃身を支え、狙う。

「こんなちゃちなもんで、あたしたちは束縛できない――そうだろ、セカンド」

硝子の割れるような破砕音と共に魔力の拘束具が粉砕され、両足のローラーブレードが唸りを上げてノーヴェの身体を加速させる。
スピードスケートのような独特の前屈姿勢になると、弾丸のように空気を引き裂く突進がスバルに迫った。
引き金を引き絞り、がく撃ちにならないように狙い済ました弾丸を撃ち込む。
スバルのデータから射撃系が得意でないと知っているノーヴェは、これを半球状に展開した魔力障壁で弾こうとするも、
意外なことに射撃は魔力障壁を数発で撃ち砕いた。そのあまりにも高い威力に、驚愕する。

「ちぃっ!」

刹那の判断。
ぎゃりぎゃりぎゃりぎゃり、と火花を散らしながら急速旋回し、身を屈めて右腕の篭手からエネルギー弾を掃射、そのままスバルの側面へ回り込む。
スバルはこの殺傷性の高い銃弾を魔力障壁で弾きながら、迎撃に徹する。さしずめかつてのフォワードリーダーのように。
ノーヴェの動輪式脚甲は凄まじい回転音を立てながらアスファルトを滑り、拳銃を左手に握った執務官の向かって左側に飛び込む形となった。
手の甲の結晶体から弾丸を放っていたガンナックルが振り上げられて、スバルの顔面へ向けて放たれ――顔の前で組まれたスバルのリボルバーナックルと激突した。

426 名前:嘆きの中で ◆bsNe6z3qW2 :2008/07/25(金) 21:03:30 ID:R6Sq8DPG
稲妻のような光が迸り、凄まじい騒音を立てながらぶつかり合う鋼で覆われた拳と拳。
ナックルスピナーが回転しながら、削岩刃のように黒い銃器一体型篭手を削り取る。
黒い粉塵が火花と共にばら撒かれて、堪らない音を生み出し、二人の戦闘機人の間に拮抗状態を生み出す。
ノーヴェが笑う――童女のようなあどけなさと、肉食獣の凶悪さの混じった笑み。
はははっ、と笑い声が零れた。熱狂的興奮を宿した、金色の瞳がスバルの双眸を覗き込む。

「そうだよな、あたしたちは戦闘機人だ! 戦う為の能力、眠らなくていい身体、戦闘に特化した知覚、どんな鋼よりも強靭な強化骨格!
みんな、こうして殺しあう為のものだ、そうだろぉ、セカンドッッ!」

「違うっ! あたしは――生きる為に戦っている! 戦うことだけに飢えるお前達と、同じじゃないっっ!」

「証明して見せろよ、お前とあたし達の違いをなぁ!」

否定すら噛み砕く獰猛さでノーヴェが身体を浮かせ、瞬間的には戦闘機の高速機動にすら匹敵する速度で右脚を一閃した。
衝撃吸収性に優れたバリアジャケットの腹に打ち込まれるスピナー。螺旋が生み出す破壊の力が、バリアジャケットをボロ雑巾のように引き千切る。
超音速の衝撃波が辺り一帯を襲い、スバルの意識を身体と一緒に空中に投げ出させたがそれも一瞬、
すぐに戦闘機人特有の条件反射的な方法で意識を取り戻し、顔の前に掲げたリボルバーナックルの背でノーヴェの掃射を受け止めた。
機銃掃射に似たエネルギー弾の嵐がバリアジャケットを削り取るのも無視して、左腕を動かす。
無数の水色の魔力スフィアが、放物線を描いて落下するスバルの身体を無視して宙に生成され、ノーヴェの顔を驚愕に染めた。
あの魔法は、ティアナ・ランスターの――?
かつて、4年前に見た魔導師の魔法とまったく同じものだった。
青い髪を揺らし、ハチマキを風に任せてクロスミラージュを構え、スイッチとなる言葉を叫んだ。
思い出す――怒りっぽかった相棒の、魔法を使うための言葉を。

「クロスファイアシュートっ! これが、あたしの答えだぁぁ!!」

それは、親友との絆の証として受け継いだ魔法。
消しても消えることの無い、確かに受け継がれたものだった。

「舐めてんじゃねぇ!」

直後、魔力スフィアから放たれるのは中距離誘導射撃の雨。弾幕による相手の昏倒を狙った魔法である。
これに対し、ノーヴェは何処までも余裕の態度を崩さない。四方から迫り来る誘導弾を真っ向から睨みつけ、唇の端を吊り上げた。
白い歯を覗かせつつ、両腕のガンナックルを天にかざし、その言葉を唱えた。

「ナンバー9の装備からリミッターを解除、エネルギーを開放ぉ!」

戦闘機人特有のテンプレートが足元に展開され、ノーヴェの身体から篭手へエネルギーが過剰供給される。
ガンナックルが白熱した輝きを帯び、結晶体から目も潰す閃光が放たれ、ノーヴェの周りに光の壁を発生させた。
その光景は、まるで後光が差したかのように清らかで――堕天使が現れたようにおぞましかった。
クロスファイアシュートの誘導弾が、光の壁に飲まれて炸裂し、跡形も無く吹き飛んだ。
爆風が着地したスバルのいる場所を襲い、閃光が過ぎ去った。直後、ローラーの回転音がして、容赦なくスバルへ突っ込んでくる。
リボルバーナックルに纏わせた魔力を牽制として放つが、相手の攻撃的突進に叩き落された。

「エネルギーのオーバーロード? こんな運用――」

「ああ、両刃の刃だっ! エネルギーはすっからかん、でもな――」

ジェットの炎で加速したノーヴェの右回し蹴りを旋回で捌きながら、スバルはクロスミラージュをノーヴェの喉元に突きつけるが、銃身を白熱する鋼に掴まれ逸らされる。
凶悪な笑みがすぐそこに在り、視線で人を殺せるなら即死しそうな鋭い眼光が肌に突き刺さった。

「――お陰でどんな魔法も相殺できるんだよ! このまま逝け、ランスターの下に!」

瞬間、暴力的な衝動がスバルの脳髄を走り、視界にじりじりっ、と火花が散った。
スパークしそうなくらいの怒りが身体を満たし、自ら封じたものを目覚めさせそうになる。
鎖に縛られた猛獣のような破壊衝動が暴れだして、猛り狂う心に囁く。
開封しろ、と。全ての戦闘機人を破壊する為の能力を――。

「お前が言うな、ティアの名前を! ティアを殺したお前がっっ!」

427 名前:嘆きの中で ◆bsNe6z3qW2 :2008/07/25(金) 21:05:53 ID:R6Sq8DPG
そのとき、かつての日々が――今はもう消え去った幸福の時が、脳裏に蘇った。
微笑んでいたティアナの言葉――スバルが初めて己が戦闘機人、人でない機械の化け物であること告げた日の笑顔が、破壊衝動に疼く心に告げた。
拒絶され、存在を否定されるのでは? と不安に怯える自分に、ティアナは言った。

『何言ってるのよ、あんたが自分で人であり続けようとする限り、あんたは人間よ。
もし何かの間違いで道を踏み外しそうになったら、あたしが軌道修正してあげるから、安心してなさいよ。
あんたと私はパートナー、相棒なんだからっっ!』

それは死後も続く約束だったのか。
狂気に飲まれかけた意識がクリアになり戦闘本能を抑え付け、右腕に宿る振動波を緻密にコントロールし、破壊の濁流を精密な技に昇華させる。
破壊にしか用いられず、自己さえ危うくする力を制御する術を、スバルはこの4年で磨き上げていた。
ノーヴェの左腕に向けて拳を打ち出し、振動波を解放。

「――<振動拳>!!」

指先から肘までを砕くように流し込まれた破壊波動が、瞬間的にノーヴェの左腕を粉砕し、焼けるような痛みを彼女に与えた。
獣のような絶叫が洩れ、左腕から神経ケーブルや血と肉を垂らしたノーヴェは、後方へ跳び退ると着地と同時に動輪式脚甲を回転させ、
装甲車の陰からこちらを窺っていた陸士部隊を跳ね飛ばしながら疾走する。
ゴミのように吹き飛ぶ陸士たちは鈍い悲鳴を上げて地面へ転がり落ち、その隙を突いてノーヴェは包囲網を噛み破った。
混乱の最中、陸士部隊隊長が、航空魔導師の出撃要請を繰り返し、戦闘機人出現の報を地上本部に伝えていた。
がむしゃらな戦闘機人の突撃に陸士部隊が逃げ惑う中で、スバルはノーヴェを逃すまいと追撃するが、一瞬でかなりの距離を逃げられていて追いつけない。
戦闘車両並みの速度で地面を滑走するノーヴェが、振り返りながら牙を剥くような笑みを飛ばした。
痛みでぎらついた瞳がスバルを見据え、とてつもない圧迫感を与えた。
スバルは黄昏に沈む太陽を背負ってノーヴェを見た。そこにいるのは、身を焼くような痛みに耐える少女であり、壊すべき敵などではなかった。
彼女の命を奪うという選択肢を選ばなかった自分に安堵しながら、声をあげた。

「待てっ! どうしてこんなことを――いや」

頭を振って、相手との距離を詰めようとウィングロードで宙に躍り出ながら疑問を投げかけようとする。
墓場でなのはに会ったときから渦巻いていた疑問を吐き出し、クロスミラージュの銃口を向けた。

「ジェイル・スカリエッティは、生きているのか?!」

「さあな……いずれわかるぜ、あばよ、セカンド」

引き金を引いたが、外れだった。
最大出力の魔力弾がノーヴェの頬を掠め、その髪を幾本か持っていった。
同時に、腰に備え付けられた転送装置が転移座標の演算を完了し、月夜に向かって跳んだその体を眩い光とともに何処かへ連れ去った。
月下に影は消え、虚しい呟きだけが宙に木霊した。
気づけば、太陽は暗く沈んでいて、着地したスバルの耳に、陸士部隊のパトカーのサイレン音が聞こえた。

「ティア……」

失ったものの大きさを改めて知る――二度と戻ってこない親友。

《相棒?》

マッハキャリバーが機械音声でパートナーを気遣うが、無言。
がっくりと膝をついたスバルは、遠くの方から駆け寄ってくる姉の姿を認めると、この日初めてらしくもなく泣いた。
執務官になって、たくさん顔見知りも出来た。友人もいる、けど、けど――。

(もう、戻ってこないんだよね、ティア……)

428 名前:嘆きの中で ◆bsNe6z3qW2 :2008/07/25(金) 21:06:50 ID:R6Sq8DPG
『バカスバル! 歯を食い縛って前を見なさい』

そんな声が聞こえた気がして――ただ無性に泣きたかった。


遠く、旧市街のはずれにある廃屋にて。
そんな光景を、ビルの屋上から遠視魔法で確認する女が一人。
オリーブグリーンのコートの身を包んだ彼女は、母から受け継いだ栗毛を夜風に揺らして佇んでいた。
その豊麗な胸元には首から提げられた紅玉があり、彼女が魔導師であることを告げていた。

《マスター。敵性戦闘機人の転移先が判明しました。予測ポイント012です》

宝玉が機械音声を放ち、デバイスとしての演算機能で座標特定が出来たことを知らせる。夜風には塵と火の匂いが混じっていて、嫌な気分になった。
高町なのは。時空管理局教導部隊のエースオブエースと呼ばれた女は、青い髪の少女が泣いていることを確認すると、静かに遠視魔法の拡大画面を閉じた。
静かな呟きは、涼やかな声音となって宵闇に響く。

「まだ泣けるなら、泣いたほうがいいよ、スバル。私はきっと……」

枯れ果てた井戸から水が出ないように、女の眼から涙が流れ出ることもまたない。
デバイス、レイジングハートからの報告で敵の拠点の一つは見当がついた。
ジェイル・スカリエッティは――なのはから愛しい家族を一人残らず奪い去った悪鬼は、まだ生きている。
それだけわかれば十分だとばかりに、踵を返しつつレイジングハートに囁きかけた。

「ねえ、レイジングハート」

思えば、このインテリジェントデバイスと出会って10年だ。ただの小学生の女の子が力を手にして、10年。
このデバイスと魔法を彼女に授け、今は時空管理局のデータベースである<無限書庫>で働くユーノ・スクライアは元気だろうか。

《マスター? いかがなされました》

「私は……あんなふうに泣けるかな? 今でも、昔と同じくらい泣けるかな……?」

《……貴方がそう望む限り、不屈の心はともにあります》

デバイスの優しさに、少しだけ笑った。

「ありがとう」

演算、環状魔方陣を展開、空間座標指定――転移。
転移魔法の閃光が瞬いたときには、彼女の姿は消えうせていた。
月夜の明るい晩だった。

第3話 了

429 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 21:08:05 ID:Y+7jFEes
さいあくだな
いいかげんお約束展開はうんざりだよ
こんなに長々書いてて結果がわかってるからつまらんよ
うるさく言わせてもらうが、飽き飽きなんだよ
だから、もうやめてくれ

430 名前:嘆きの中で ◆bsNe6z3qW2 :2008/07/25(金) 21:10:57 ID:R6Sq8DPG
以上で投下完了です。
バトルだけの回になってしまいましたが、これでようやくなのはさんのターンに(多分)なるかも、です。
戦闘機人はこんなノリで何かしら奥の手を持っているようにしたいなあ、と思います。
4年間でスカの技術力も上がったということで。
ノーヴェがコジマ粒子っぽい武装使ったのもその一環だったり。

では、また次回。

431 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 21:11:33 ID:B1GJQghx
>>429
はずかしげもなく、よくそんなこといえるな。
ゲスってのはお前みたいなやつのことだ
どうせ、お前じゃ逆立ちしてもああいうのは書けないだろ?
うるさい口閉じてろ、な。

432 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 21:15:24 ID:vrgQRfY1
お前らwwww縦読み自重w

433 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 21:16:05 ID:7L8qdP/w
>>431
ヒント:左を立て読み

434 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 21:16:14 ID:JomsBI0B
>429
つ ツンデレ乙w
>>431
たて読みにするんだ!
それで彼の本心がわかるぞw

435 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 21:18:00 ID:Xpt63/8g
ヒント2:>>431も縦読み

436 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 21:18:10 ID:NbuBsjKQ
>>433-434
>>431も縦読み

437 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 21:18:19 ID:B1GJQghx





438 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 21:22:42 ID:UMNJABmS
>>430

GJです!
うーん。残りの数の子の登場も楽しみだなぁ。
やっぱり、4番はなのはさんの仇敵になるんだろうけど。

しかし。ちっ、しぶてぇな、ユーノ(マテ
まあ、前に出ないから、生きているだろうとは思ってたけど。
なのはさんを止められなかったのか、止めなかったのか。
もし、出番があるなら、そこら辺も語って欲しいかなぁ。

>>429
>>431

ひどいツンデレを見た。

439 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 21:31:49 ID:dHrCgsVX
>>376
これまた続きが気になる展開だな…
レジアスはすでに死んでるような気がする。
見た目は子供、中身も子供(?)その名は名探偵エリオ!
ゼストの槍もキャロエリルーの恋の行方も全て楽しみにしております。

>>408
ガリューもかっこいいが、ルーテシアのかっこよさに惚れた
召喚生物を傷つけた罪、愛する旦那を傷つけた罪。
「私を怒らせたことよ」
エリオと同じようにかっこいいです!


440 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 21:52:50 ID:+JpdmikO
>>430
乙です
ユーノが生きてるのが分かり少しホっとした。

441 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 22:04:45 ID:c7B5FWE6
GJ
ノーヴェが原作以上に攻撃的…なんぞかあったんだろうか
ユーノ地味に生きてたwまぁ一番死ぬポジから遠いから当然と言えば当然か

あとこまかいですが、なのははレイハさんと出会って10年と言いましたが、STS四年後なので14年だと思います

442 名前:シロクジラ ◆bsNe6z3qW2 :2008/07/25(金) 22:10:01 ID:R6Sq8DPG
>>441
きゃあああああ! そうですね、すいません。
本文の「10年」は「14年」でお願いします。
初歩的ミスの誤字です、設定捏造等ではありません、すいません。

443 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 22:37:29 ID:Yg1kFjZq
>>430
GJリンクス
ノーヴェがこれだと他のナンバーズもかなり強化されてそうですね。
でも、最後には変態玉みたいな大型ガジェットが登場するのを俺は期待している。

444 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 22:41:30 ID:4HH9UwF+
>>430
実は、『なのはさんが最後に会った時は生きていた』って事…
ゴメンナサイと言っておく。。。

445 名前:44-256:2008/07/25(金) 23:42:43 ID:5yjl2K8l
>>430
GJです!とんでもなくかっこいい戦闘描写ですね。
なんというか、故人の回想が文章の重みを増しててすごくいいです。

短編を投下させてください。

・時系列は半年〜1年後
・なのユー結婚してます。
・意外な方が主人公です。
それでは

446 名前:44-256:2008/07/25(金) 23:44:10 ID:5yjl2K8l
・非エロです。ゆるいです。

つけ加え忘れました。

447 名前:いってらっしゃいの定点観測(1/4):2008/07/25(金) 23:45:01 ID:5yjl2K8l
私が今世話になっている家の朝は、あわただしい。両親ともに共働きであるためだ。

「ママ〜遅刻しちゃうよ〜!!私一人でいっちゃうからね〜!!」

「ちょっと待って〜!」

元気よく、奥の部屋へ叫ぶのはこの家の一人娘。私のマスターである。

年端もいかぬ子供であるが、両親(特に母上殿)の教育と彼女自身が生まれ持った思慮深さによって非常に利発である。

そしてマスターは私のところへかけよってきて、ソファにいた私に話しかける。
優しげだが凛とした印象的なオッドアイで私見つめてこう言った。

「おはよう、聞いてよ〜。今日ね初めての参観日なの。でもママったら寝坊しちゃったんだよ。
子供の頃から早起きだったのに、珍しいよね〜」

参観日・・・そうか!母上殿がマスターの成長ぶりをとくと見る日か・・・私も是非立ち会いたいところだが
何せ一人では動けない身である。

しかし、父上殿はどうされたのか?


そう思っていると、父上殿が降りてきた。

父上殿はきれいな金髪を長く伸ばしており、女性と間違われてしまう容貌であった。これで女装をしたら色々な意味で
すごくなりそうだというのが私、他大多数の意見であろう。



「おはよう・・・かな?」
「パパ、かな?ってもうすっかり朝だよ!」

窓から入る朝日が非常にまぶしい。父上殿が母上殿と結婚する前、父上殿を初対面にしたマスターは私の後ろに隠れて、緊張していた。
しかし今ではすっかり父上殿に激しいツッコミを入れるほどである。


マスターが成長していく日々をみつめるのは、レイジングハート殿と同じく、私の楽しみだ。


父上殿はそんな娘に対して怒りもせずに眼鏡を服のスソで吹いて謝った。
「ごめんごめん、今朝までずっと書斎で本にうずもれていたからさ」

父上殿には相変わらず時間と言う感覚が無いのだろうか?と疑いたくなる。

448 名前:いってらっしゃいの定点観測(2/4):2008/07/25(金) 23:46:58 ID:5yjl2K8l
そして唐突に父上殿はこう言った。

「今日だね。参観日」

「パパ・・・覚えていてくれたの!?」
「うん、今日が楽しみで、論文を完成させたいと頑張ったから。ママも同じだよ」

「えっ?」

「今日休みをとるために、ずっと寝ずに仕事をこなしていたんだよ。昨日も帰って、僕と話をしている途中ですぐに寝てしまってね。
あんなに熟睡しているママを久しぶりに見たよ」

「そうだったんだ・・・」

「お待たせ!」
そうして奥の部屋から出てきた。母上殿は少し化粧をしており、普段から美人だが、今日はいつも以上の輝き。スターライトブレイカーである。


そうして降りてきた母上殿をマスターは小さな腕を頑張ってまわして抱きしめた。

「ママ・・・ありがとう。今日のために頑張ってたんだね」
マスターにいきなり抱きつかれて驚いていた母上殿であったが、優しい眼でマスターを見て言った。

「私も、ヴィヴィオがいたから今日のために頑張れたんだ。つらいときも仕事を疲れてやめたくなったときも、ヴィヴィオがいてくれたから
頑張れたんだよ。私のほうこそ、ありがとう」

そうして母上殿はマスターをやさしくハグした。

このような感動的なほのぼのしたシーンに私は弱い。涙腺があれば私は号泣していたであろう。


実はこの優しい家族は血がつながっていない。というのもマスターは孤児であり、二人がマスターを引き取り育てているのだ。

母上殿は、マスターが孤児であったときに、私と彼女を引き合わせた。

「一人孤独なこの子が、少しでも悲しさを忘れられるように」
それが母上殿が私とマスターを引き合わせた理由であった。


なんという優しい家族、優しいつながりであろうか。

449 名前:いってらっしゃいの定点観測(3/4):2008/07/25(金) 23:49:14 ID:5yjl2K8l
そしてそんな優しい家族に私は命を救われた事がある。


あれは夏の終わりのことであった。空を多い尽くす炎と煙。

何が起こったのかわからない・・・ただ私の顔はむごたらしく焼け、手を失い、耳もよく聞こえず、目も見えない。

そう、私は死の淵にいた。


そんな場合、私は存在を消滅させられるはずであった。私の存在などその程度だったからだ。
私もそうなるであろう運命を受け入れるはずであった。


あわただしい雑踏の中で、母上殿が近づいてくるのが、混濁した意識の中でわかった。
どうせ私は無視されるであろう。


そう思って、私はあきらめの気持ちとともに意識が深い闇の中に落ちていった。これが死というものであろうか?
深い闇の中でかすかに声が聞こえた。


「修・・・?無理・・すよ・・!」

「お願・・・ます!!直・・て・・・やって・・・」

「母・・の私からも・・・お願いしま・・」

「しか・・こんなにボ・・ボロ。新し・・もの・・それを買って・・」

「イ・・・ヤ・・」

「ヴィヴィオ?」

「お・・嬢さ・・ん?」

「イヤ・・だ・・・このコ・・私の・・・大事な・・大事な」

「大事な家族なの!!」

その瞬間、私は闇の中から、拾い上げられ暖かい光に包まれていくのを感じた。

450 名前:いってらっしゃいの定点観測(4/4):2008/07/25(金) 23:52:12 ID:5yjl2K8l
気がついたら、私は生きていた。母上殿とマスターが捨てられるべき私の命を救ってくれたのだ。
未だに体のいたるところに傷跡や手術跡が残る私であるが、マスターはかまわず私を変わらず好きでいてくれた。


「あの〜、二人ともそろそろ・・・」
父上殿の呼びかけに抱き合っていた二人は時計を見る。

「「ああ〜!!」」
母上殿とマスターは顔を見合わせた、乗る予定であったレールウェイの時間をかなりオーバーしていた。

母上殿は父上殿に言った。

「もう!何で教えてくれないの!
「いや〜、どうにも呼びかけられる雰囲気じゃなくて」
「こういうときは雰囲気を壊してでも呼び戻してくれなきゃ!!」

父上殿、確かにKYを遵守した行動であったが、ここは私も母上殿と同意見である。

「ごめんごめん。でも大丈夫だよ。先週、家からの転送魔法の許可がやっと降りたんだ」
「えっ?本当なの?」

私も驚いた。ミッドチルダのような魔法文明の発達した次元世界は魔法の行使は、特にクラナガンのような
特別行政区では管理局法で厳しく制限されているからだ。

「うん、でも一応管理局の情報管理部門に出入りする以上、緊急時にいつでも呼び出しに応じれるようにってね」

「今日遅れたら、聖王陛下が悲しくなって何をするかわからない。ということは次元世界にとっては十分に緊急事態なわけだ」
「もう〜、悲しいくらいで私何もしないもん」


マスターはそう言ってふくれ面を見せた。反面母上殿は目を輝かせた。
「さっすが、ユーノくん!」


「さぁ二人とも表に出て」
「は〜い」

そうして表に出ると、父上殿の周りに巨大な魔方陣が展開された。
「あっ、ちょっと待っててね」

するとマスターはそう言って、私のところへ近づうなりぎゅぅ〜と抱きしめてこう言った。
「行ってくるね。お留守番よろしく〜♪」

久しぶりのこの『ぎゅぅ〜』の感触は感無量であった。そして私はマスターに眼で伝えた。

「(いってらっしゃい!ヴィヴィオ!)」

気づいてくれたのか、転送魔法で消える直前、マスターは満面の笑みで私に微笑みかけてくれた。

end

451 名前:44-256:2008/07/25(金) 23:53:05 ID:5yjl2K8l
以上です。

皆さん主人公が誰かわかりましたか?
それでは失礼します。

452 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 23:54:07 ID:B1GJQghx
途中までは術中にはまって、レイハさんかと思ってたぜ。
GJ!

453 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 23:56:12 ID:0LNBSYZe
>>451
2レス目のヴィヴィオが孤児だった頃から気づいたぜ
まさか彼?(彼女?)を主人公に持ってくるとはGJです

454 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 23:57:05 ID:CDwcRZiE
>>451
GJ! すごくGJ!
多分あのウサギさんだよな? なのはさんが買ってあげたぬいぐるみの。

455 名前:詞ツツリ ◆265XGj4R92 :2008/07/26(土) 00:00:12 ID:JomsBI0B
なんというGJ!
心が温まりましたw
そして、お待たせしてすみません。十二時二十分からクロノ×はやての「しんじるものはだれですか?」の続きを投下させてもらいます。
ガチエロで、幾分未熟な点があるでしょうが、楽しんでもらえたら幸いです。


456 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 00:01:07 ID:tbdq3os/
GJ!
なんとウサギさんでしたか……。
途中まで新しいデバイスかと思ってました。

457 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 00:12:02 ID:qsAm/14c
>>455
その作品の投下を全裸で待っていたぜ!

458 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 00:16:16 ID:T6xe376F
クロはや来る!! 全裸待機じゃ〜!!!

459 名前:しんじるものはだれですか? ◆265XGj4R92 :2008/07/26(土) 00:21:14 ID:Kxqg+OQw
投下開始します。
注意、CPはクロノ×はやて。
ガチエロ話。はやてさん、生き延びれるか(え?)
苦手な人は「しんじるものはだれですか?」でNGしてください。







 空を飛ぶ鳥は優雅だ。
 風を掴んで空を舞い、高い空で羽ばたく姿はとても美しい。
 決して地を這う獣には真似出来ず、届くことも出来ない高み。
 されど、それはとても苦しいものだ。
 大地を踏み締めるものとは違う、孤独。
 己の存在を支えてくれるもののない空。
 翼を壊せば墜落し、風を逃せば墜落し、羽ばたくのをやめれば死ぬ。
 限りなく死に近い飛翔。
 地を歩く苦労は知らず。

 それは大地を歩く獣には分からない孤独を縛られていた。


 しんじるものはだれですか?



 熱が欲しい。
 温もりが欲しい。
 寒くて、冷たくて、乾いて、それで人は誰かを求めるのだろうか。

「ん、ふぅ……!」

 首を舐められた。
 痺れるような快感に思わず背筋が仰け反るけれど、その舌から離れることは許されなかった。
 首筋を愛撫されている少女――八神 はやては抱き締められているのだから。
 彼女の首筋に顔をうずめた青年――クロノ・ハラオウンに。
 艦長室の質素なイス。その上に覆いかぶさるように、はやてはクロノに圧し掛かり、そして貪られていた。

「んっ」

 クロノの唇が首から肩に触れる。
 前のボタンを全て外して開かれたブラウスの前面から可愛いピンクのブラを剥き出しに、まだどことなく成長しきっていない少女の肢体が曝け出されていた。

「っはぁ」

 首筋から吸い付けるようなクロノの愛撫に、はやては熱い息を吐き出す。
 体が熱かった。
 まだキスしかされていないというのに、体の奥がジンジンと疼いて、クロノの手に触れられた腰が、背中が火傷をしたかのように熱い。
 汗が零れる。
 皮膚を滑るようなクロノの口付けが、吹き出す汗を舐めて、どこか恥ずかしかった。


460 名前:しんじるものはだれですか? ◆265XGj4R92 :2008/07/26(土) 00:22:08 ID:Kxqg+OQw
「く、クロノ君。あんまり舐めないとぃてぇ……」

「ん?」

 その言葉に、優しくはやての手を甘噛みしていたクロノが顔を上げた。

「ちょっと私恥ずかしいわ……汗掻いてしもうしたし」

「シャワー浴びたばかりなんだろう。甘いボディーソープの匂いがするが?」

 スンと鼻を鳴らして、はやての体臭を嗅ぐクロノ。
 その行為にはやては恥じらいに顔を赤く染めて、ポカンとクロノの頭を叩く。

「こんなことされるんやったら、もうちょっと入念に体洗ってたわ!」

「十分綺麗に見えるが?」

「……くぅ、何気に女誑しの言葉を吐きよるんやから」

 タチ悪いわぁとぼやくように呟くはやてが、不意にひゃんと声を上げた。
 服の裾から潜り込んだクロノの手が、指が直にはやての背中に触れていた。

「ん? どうかしたのか?」

「か、確信犯やろって、うひゃぁ!」

 きめ細かいはやての素肌をクロノはなぞった。
 吸い付くような少女の肌。まだ膨らみきっておらず、肉付きはよくないが、その未熟な肢体は張りに溢れていた。
 背中から腰へ、腰から腹に、ゆっくりと指で触れていく。
 その度に感じるクロノの体温に、感触に、はやては呻くような声を上げた。

「くすぐったいからやめぇ」

「そうか」

 ニヤリとクロノが微笑む。酷くサディストな笑み。
 はやては酷く嫌な予感がした。

「ならくすぐってみるのも一興だな」

「へ?」

 瞬間、はやては脇腹に感触がした。クロノの手がこちょこちょと指が動く。

「あは! うひゃはははは、らららめえひゃひゃひゃひゃひゃ!」

 くすぐったい感触にはやての笑い声が上がる。
 なんとかその手から逃れようとするが、クロノはすかさず片手ではやての腰を抱きしめていた。
 そして、もう片方の手で腹をくすぐられる。完璧な包囲網だった。
 ギシギシと笑い転げるはやての動きにイスが軋む。
 あられもない格好なのに、気にする様子もなくはやては茹でられる海老のように暴れていた。膨らみきっていない乳房が揺れる、汗が飛び散り、上着の裾が派手にめくれた。
 他人には見せられない痴態だった。

「ひゃひゃひゃひゃー――やめんかぃ!」

「あいたっ」

 ボカリとクロノの頭をはやてが殴った。
 笑って力が抜けた腕だったが、いい音が響いた。
 それに思わずクロノはくすぐる手を止めた。

461 名前:しんじるものはだれですか? ◆265XGj4R92 :2008/07/26(土) 00:22:57 ID:Kxqg+OQw

「あーもぅ、クロノ君。調子のりすぎやで」

 ぜはぁと息も絶え絶えに、はやての体がクロノに圧し掛かる。
 猫が体を預けるようにだらしなく、はやての顔がクロノの首筋にうずまり、互いの頬が触れた。
 恋人といっても近すぎる距離、互いの肢体が混じり合うような接触点。

「んう、そろそろええやろ?」

「しょうがないなぁ」

 れろりとはやての頬を舐めながら、クロノがはやての耳朶に舌で触れる。
 ひゃぅっと、猫のような声を上げるはやてを抱きしめながら、ゆっくりとその両手がはやての腰に回った。
 汗で張り付いた衣服が、クロノの手によって剥がされていく。

「ん」

 喘ぎ声。
 ずるりとスカートがずり落ちた。淡いピンク色のショーツが露になる。
 人目に晒されることのない白い素足が、淫らに濡れる汗に濡れて、クロノの体を挟み込むように動いていた。

「ブラ、はずすな」

 はやての顔が真っ赤になりながら、その両手を後ろに回す。
 プツンと衣服の上から器用にブラジャーのホックが外れる。
 接続を失ったブラジャーが、汗に滑ってはやての胸から滑り落ちた。
 露出する乳房。
 白い、まだ膨らみきっていないお椀のような胸。桜色の乳首が外気に触れてよく見えた。
 それは息を飲むほど綺麗な肢体だった。

「触るぞ?」

 それを見て、クロノがショーツに掛けていた人差し指を停止させ、残った中指、薬指、小指ではやての臀部を摩った。
 電流が走ったようにはやての体が揺れる。ぐにゃりとこんにゃくのように胸が弾んで、可愛らしい乳首が震えた。

「感じているみたいだな」

「あたり、まえやろ!」

「だろうな」

 瞬間、クロノがはやてを抱きしめる。
 ぎゅっと背中に手を回し、その肉体を腕の中に納めた。

「ひゃぁあ」

 驚きにはやてが声を洩らす。
 抱きしめられて、はやての乳房が、クロノの引き締まった胸板に当たって歪む。
 少女の肢体が、青年の肉体が、ギシリと艦長椅子の間接に軋みを上げさせた。


462 名前:しんじるものはだれですか? ◆265XGj4R92 :2008/07/26(土) 00:23:59 ID:Kxqg+OQw

「はぁっ」

 クロノが熱い吐息をはやての耳に被せた。
 蕩けそうな吐息。
 ジワリと心が熱く焼けていくのが、はやてには分かった。
 互いの体温が溶け合って、大好きな人に抱かれて、ときめかない乙女なんていないのだから。
 甘い香りがはやての体から立ち上る――幼くも雌の香り。
 酔いしれそうな汗の香りがクロノからする――雄の臭い。

「準備はいいか?」

 そんな中、クロノがぽつりと告げた。

「へ、平静を装って無駄やで。クロノくんものりのりやん」

「ん、そうだな」

 そういって、クロノははやてと自分の体の間に手をいれると、前を止めていたボタンを外した。

「へ?」

「かなり興奮している」

 そう告げたクロノの動きは激しかった。
 まずはやての乳房を握り締めた。

「っぅ」

 声を洩らすはやての動きを無視して、もう片方の手は尻を掴んだ。
 膨らみ切っていない未成熟の肉体を楽しむかのように胸を揉んで、乳首を親指で弄る。吸い付くような乳房に指が食い込んで、その度に心地よい声が洩れる。
 ぐちゅぐちゅと湿った音がした。
 それはショーツから滑り込んだクロノの指が立てる音だった。

「あ、っうううん」

「濡れてる、な」

 くちゅりと音が立つ。
 はやての臀部よりも下、秘所に食い込んだ指が湿った音を立てる。
 触れてはならない少女の秘所、クロノは触れていた。


463 名前:しんじるものはだれですか? ◆265XGj4R92 :2008/07/26(土) 00:24:32 ID:Kxqg+OQw

「どんどんとろけてるぞ」

「ぅうー、こ、言葉責めはやめぃ」

 はぁっとどこか粘着質な吐息がはやての口から洩れる。
 熱を放出するように突き出された舌が、喘ぐようにクロノを顔を舐めて、それに応じてクロノもまたはやての頬を舐める。
 獣の交尾のような光景。
 酷く淫猥で、淫らな性交だった。

「コーヒーの味がするな」

 はやての頬を舐めながら、クロノがはやてのショーツを引き摺り下ろす。
 粘着質な愛液を引きながら、濡れた下着がずり下ろされて、まだ毛も生えていないピンク色の秘所が現れた。

「さっき吹きかけられたんやもん。わすれたぁ?」

 声が蕩ける。ハッハッハと荒く息を吐いては、むしゃぶりつくようにクロノの唇をはやては求めた。
 唇がむしゃぶりつく、
 汗が蕩けて、男の体に少女の肢体が絡みつく。
 少女は泣きつく子供のように、それでいてケダモノのようにクロノのしがみ付く。女の性をもって、クロノと混じり合おうとする。
 同じようにクロノは手を伸ばす。はやての露になった素足の太ももを掴んで、持ち上げながら、その乳房に吸い付いた。
 はやての体を貪るように汗を吸い、乳首を吸い付いて、舌で舐め回した。
 喘ぎ声が洩れる。
 はやてはクロノの頭を抱きしめながら、声を洩らす。

「じらしたら、ぁかんってば」

 はやての秘所はどろどろに溶けていた。
 ジュースになりそうなぐらいに愛液をたらして、汗まみれの肌を輝かせながら、はやては甘えた声を上げる。
 欲しいと。
 入れて欲しいと。
 繋がりたいとクロノの耳に囁く。

「しょうがないな」

 クロノははやての愛液に濡れた指を軽くしゃぶりながら、ズボンを外した。
 クロノの興奮を帯びるように肉棒がそそり立つ。はやての膣よりも大きくて、硬く伸びたそれ。
 何度も何度もはやてを貫いた凶器。
 それを見て、はやてはうっとりとした表情を浮かべた。

「ん、私がいれるね」

 そう告げて、クロノの汗ばんだ肌の支えに、はやてが腰を上げる。
 逞しい男性の体を登るような錯覚を覚えながら、はやてはゆっくりと秘所にそのペニスをあてがって――

「んんっ!」

 ずちゅっという音がした。
 はやては短い悲鳴を上げた。
 肉が肉を貫いていた。
 それは淫靡な光景。まだ二十歳にも満たない少女が、男性に抱かれ、犯され、繋がっている。
 どれだけの禁忌を犯しているのだろうか。
 恍惚に表情をゆがめ、至福に満ち満ちて、のぼせるはやての頭には分からない。

464 名前:しんじるものはだれですか? ◆265XGj4R92 :2008/07/26(土) 00:25:42 ID:Kxqg+OQw

「んっ」

 ずんっと音がした。
 それははやての腰骨からした音かもしれない。

「あんっ」

 短い悲鳴。可愛らしいはやての声が上がる。上げ続けられる。
 突き上げられていた。
 男に、クロノに犯されていく。
 ぶるんと肢体が揺れる。はやての髪が揺れて、汗と愛液がクロノの腹に流れていく。
 ぐじゅぐじゅという湿った音。
 肉を叩く音が響く。

「ぁ、ぁ、ぁあん!」

 下から突き上げるたびにはやての体が宙に浮く。
 少女の体重を打ち消すような力強い挿入、心まで貫かれそうな行為。
 汗が流れる。涙のように。
 声が上がる。悲鳴のように。

「らめ、らめぇ、これ、これいじょうは!」

 はやてが十数度目の挿入に悲鳴を上げる。
 クロノの首に齧りつきながら、流れ込んでくる快楽に頭が壊れそうだった。
 快楽。
 快楽が頭の中をぐしゃぐしゃにかき乱していく。
 はやては泣いていた。
 涙を流しながら、クロノに胸を押し付けて、唇を押し付ける。
 それにクロノは舌で答えて、挿入する行為で応える。

「いあぁ、くる、くぅ、あん!」

 声が洩れる。
 声が洩れる。
 悲鳴のように、嬌声が上がる。
 性を知らぬはずの年齢の少女が、淫らに喘ぎ声を洩らす。
 クロノははやてを貪りながら、短く嗤った。


465 名前:しんじるものはだれですか? ◆265XGj4R92 :2008/07/26(土) 00:26:51 ID:Kxqg+OQw

「出すぞ」

 勢いを強めながらも、短い宣言。
 はやての秘所をかき乱しながら、そのきつく、未成熟な膣の中身を存分に味わう。

「あん、こわれるよ、あかんあかんよぉ」

「きけ、ない、な」

 限界が近づいていた。
 より深く、より奥にペニスを打ち込む。

「この、どぇすぅ!」

 はやてが叫ぶ。
 同時にずんっと子宮の奥までペニスが突き刺さり、その中で震えたのが分かった。

「ん! ぁああ――!!」

 絶叫だった。
 防音にしておかなければ高々とどこまでも聞こえそうなほどの嬌声。
 そして、ごぼりとはやてと繋がったままの秘所から白い液が愛液と混じり合って流れ出た。
 涙のように。





466 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 00:27:00 ID:Yf63ONjN
>>45
良かったよー
なのは×ユーノ×ヴィヴィオ最高

467 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 00:27:20 ID:qsAm/14c
なんたるエロノ、支援!

468 名前:しんじるものはだれですか? ◆265XGj4R92 :2008/07/26(土) 00:29:05 ID:Kxqg+OQw


 はぁはぁはぁっと少女の喘ぎ声が響いていた。
 湿った音も肉を打つ音も鳴り止んだ艦長室に、はやての声だけが響いていた。

「ぅー、このドスケベ提督」

「失礼だね」

 乳房を丸出しに、グリグリとクロノの顔に押し付けながらはやては愚痴るように告げた。

「当たり前やろ。このはやてちゃんの胸とか、しりーとか、エッチなところとか散々弄んでくれやって。どスケベ以外の何者やの?」

「そうだな」

 そういって、クロノは目と鼻の先にある乳首を、ぴんっと指で弾いて見せた。
 ぷるんとプリンのように弾んで、一瞬遅れてのけぞるようにはやてが悲鳴を上げる。

「ひゃんっ!」

「こんなことをする僕はスケベかもな。それにしても可愛い悲鳴だな」

 涙目で自分の胸を覆い隠すはやてに、クスリとクロノは笑った。
 そんなクロノの頭にぽかんとはやての拳が当たる。

「馬鹿馬鹿馬鹿、えーち、すけべ、変態や!」

 だだっこのようなパンチの応酬。子供じみたじゃれあい。

「さてと、それじゃ休むわ〜」

 あー腰が抜けそうといいながら、はやてがクロノの上から退こうとする。
 しかし、それをクロノに掴まれた手が許さなかった。

「へ? く、クロノ君?」

「どうしたんだい? 不思議そうな顔をして」

「なんで手を掴むの? 降りれないんやけど」

「当たり前だろう?」

 にやりとクロノが笑う。
 はやての体を抱きしめたまま、クロノは艦長椅子から立ち上がった。

469 名前:しんじるものはだれですか? ◆265XGj4R92 :2008/07/26(土) 00:29:26 ID:Kxqg+OQw

「僕の説教は長いんだ」

「え? エ? へ?」

 半裸のはやてを抱き上げながら、クロノは艦長室に備え付けてあるベットルームへと向かう。

「まだ終わらないに決まっているだろう?」

 抱き上げたはやての耳元に囁かれる悪魔の言葉。
 見下ろせばクロノの足元はまだしっかりとしていて、なおかつそのペニスはそそり立っていた。
 若さが溢れていた。

「い、いや」

 真面目に命の危機を覚えた。乙女のピンチだった。

「ころされてまうー!」

「失礼な」

 ベッドルームに入り、ドアを閉めながらクロノは告げた。

「死なない程度に愛してあげるさ」

 バタンと音がした。
 これから始まるのは容赦のない愛撫劇だった。


470 名前:詞ツツリ ◆265XGj4R92 :2008/07/26(土) 00:32:26 ID:Kxqg+OQw
投下完了です。
いやはや、慣れないエロ描写でしたが楽しんでもらえたでしょうか?
一応希望があれば第二回戦に続きます。
鬼畜エロノといじられ体質のはやてさんは書いててとても楽しかったです。
若さって凄いね、はやて死なないといいな(まて)
今回はとびっきり甘く、雰囲気だけでも味わってもらえるように頑張ったつもりです。
まだまだ修練は足りませんが、もしご希望があれば近日中に後編(二回戦の略)を出そうと思います。
読んでくださって、ありがとうございました。


471 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 00:35:15 ID:T6xe376F
鬼畜艦長GJ!!!!

続き読みたいに決まってますがな!? 早くいたいけなチビ狸が鬼畜艦長に苛められる話見せて〜!!
これからどれだけ責められるかマジに気になる!!

472 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 00:40:01 ID:qsAm/14c
鬼畜艦長エロノ提督GJ!
希望があれば後編もですか、もちろん希望します。
クロノには飴(エロ)と鞭(復讐)ではやてをとことんイジメてほしいw

473 名前:タピオカ:2008/07/26(土) 06:01:38 ID:bXq6v3zk
申し訳ない。
>>421さんの発言がとてつもなくエレクトリックスパークったのですが、イメージとして絵になったのがフェイトだったので、そのシーンだけのために一個書いてみました。オーリスじゃなくて、しかも居酒屋「中将」とまったく関係なくて申し訳ない。
そもそも居酒屋「中将」というネタが>>25さんからの借り物なのに、さらにカチコチオーリスどきどき暖簾くぐりを形を歪めて書いて申し訳ない。

それでもいいから読んでやろうと、奇特なお人がいらっされば、一つどうぞ。
上の方で適当に書いたバー「アリシア」を整えて話にしてみました。整ってないけど。
トーレとセッテではなくて結局こんな事に全力になって、申し訳ない。自己満足100%ですが、書きたかったんですよ orz


注意事項
・居酒屋「中将」の派生
・前回、前々回のように宴ってない明るくない残念話
・エロいはずがない
・いろいろなキャラを生存のために無茶した嘘っぱちストーリー

474 名前:タピオカ:2008/07/26(土) 06:02:26 ID:bXq6v3zk
「宴は永遠に」 スナックバー「時の庭園」編


「あら、チンク」
「相変わらず客がいないな」
「そんな店に来るモノ好きはいるわ」
「そうだな」
「子供はいいの?」
「お泊まり会だ」
「旦那はいいの?」
「………………………………………………………………………」
「注文は?」
「酔えるお酒」
「戦闘機人が生意気ね」
「あとおつまみに甘くてふわふわとろとろの卵焼き」
「もう酔ってるようね。今リニスがいないから出せないわ」
「リニスより料理上手いくせに」

スナックバー「時の庭園」
そんな看板がクラナガンの片隅にあったそうな。



475 名前:タピオカ:2008/07/26(土) 06:03:38 ID:bXq6v3zk
「私の杖は、どこかしら?」

海上隔離施設に何一つ前触れなく現れたプレシア・テスタロッサはそう言った。
そんな妙齢の大魔導師の出現に、その場にいた全員が唖然とする他なかった。
知らない女性が良く分からん事を言っている。シンプルにみんなの考えを表すとこれだ。
だが、ただ一人だけは別の意味で驚く者がいた。
リニスである。
紆余曲折経てプレシアの杖により現世に再生果たし、なんだかんだあって海上隔離施設で働いていたのだ。

「プ、プレシア…生きていたのですか?」
「こっちのセリフよ」

それから二期以降の出演者置いてけぼりなやりとりが、しばしだけリニスとプレシアで交わされる事になる。

「今までどこで何をしていたのですか。公式には行方不明ですが、事実上死亡扱いだったんですよ」
「私の杖はどこか、聞いているのだけど?」
「私が持っています。しかし、質問に答えてくれない限り返しません」
「話すことなんてないわ」
「納得できません」
「納得させる必要もないわ」
「家族でしょう!!」

リニスの怒鳴り声に、プレシアが泣きそうな、淋しそうな、疲れたような瞳になったのを、その場にいたギンガは見ている。

「滑稽な理由…家族ですって?」
「的確かつ正確で、厳然たる真実です」
「どうやって生き返ったかは知らないけど、随分と知性が低下したようね」
「どうしてここにいるのか…それを私にしてもあなたにしても、お互い話し合う必要がありますね」
「ないわ」
「あります」
「なぜ、と聞けば「家族だから」と返ってくるのかしら?」
「はい」

堂々と誇らしげにリニスが笑った。
眩しいものでも見るようにプレシアがリニスに背を向ける。
逃げるようだ、とチンクは思った。痛がってるようにも見える。心が。

「ここにいても無意味なようね。もう杖はいいわ」

そして突如として現れた大魔導師は、やはり唐突に飛翔して去ってしまうのだった。

「あ、こら、待ちなさい! 杖を返してほしいんでしょう! ならキチンと私と話をしないさ! こら、プレシア!!」

そしてリニスもそれを追った。
そのまま音信不通となったリニスが帰ってくるのは2日後だ。
2日の間、プレシア・テスタロッサについてフェイトたちから十分に教えてもらったウェンディたちだが、無事の帰りに抱きついて安堵を表す。
しかしウェンディの背中をぽんぽんと叩きながらリニスはこう言うのだ。

「私もお尋ね者に加わりますね」

実に爽やかな一言だったという。

476 名前:タピオカ:2008/07/26(土) 06:05:17 ID:bXq6v3zk
リニスが言うに、どうもプレシアはアルハザードと呼ばれる世界へたどり着けたようだった。
そこで死に至る病を治癒し、全盛期の魔力を取り戻し、ミッドチルダに戻る術も得たらしい。
本当にあったのか、と驚くリニスにしかしプレシアは、

「あったわ。でも、何もなかった」

と返した。
良く意味は分からなかった。問い返してもプレシアはだんまりを決める。
ただ一つ。
たった一人でミッドチルダへと舞い戻ったのを見れば、心から望んでいた最愛が戻らなかった事実は良く分かる。
リニスが粘ってどうにか情報を引き出す時、プレシアの口から零れる一言一言は亡者の発言のようだった。
その後プレシアを見失ったのだが、なんとなく…ただなんとなく、リニスは時の庭園跡地へと赴いた。
ここにいるなどと推測の目途などない。ただの、勘だ。

一つ、墓が建っていた。真新しく、備えられている花も新しい。
一目で誰の墓であり、誰が建てたかは分かった。リニスも野性の花を備えて、祈りをささげた。
その墓の前で日をまたげば、朝、花を手にプレシアはやってきた。
リニスを無視して新しい花を供えれば、プレシアが深い紫紺の瞳で墓をずっと、じっと眺め続ける。

「これから、どうするつもりですか?」

たっぷりの時間を置いてから、リニスが切り出した。
すぐにプレシアが逃げると思ったがゆっくりと唇を開いてくれた。

「どうするつもりもないわ」
「生存が確認された今、間違いなく局が逮捕に来ますよ」
「そうね」
「素直に捕まるつもりですか?」
「逃げるわ」
「逃げて、どうするのですか?」
「どうするつもりもないわ」
「まるで死人ですね」
「そうね」

実際に死んでるわけでもないし、餓死などで自らを殺してしまいそうな気配もなかった。
だが死んでいた。
本当にただ喰い、飲み、必要最低限な命をつなぐ行為しかしないのがリニスには悟れる。
生きる事しかしない生き方。プレシアが死ぬまでそんな生き方をするつもりなのは彼女の空虚さから感じ取れる。
死人だ。

「ずっとアリシアに花を供えるだけの余生にするつもりですか」
「そうね」
「ここに張れば、一発で逮捕できますね」
「そうね」

プレシアに掴みかかった。リニス自身で、頭の片隅で理性的ではないと思いながら、しかし頭に昇った熱を処理できずにいる。

「故人が返らないと認めたなら! そんな風に一歩進めたなら! 今度は自分を愛しみなさい!!」
「私は私が憎いわ」
「アリシアが悲しみますよ!」
「もうアリシアは悲しむ事も喜ぶ事も、何もできない。だから、私が悲しいのよ」
「絶対に納得しませんよ、そんな生き方!」
「あなたが納得しようがしまいが、どうでもいいわ」
「どうでもよくない!」
「家族だから、かしら?」
「そうです!」

477 名前:タピオカ:2008/07/26(土) 06:06:22 ID:bXq6v3zk
そっと、プレシアがリニスの手をほどく。弱々しい力だった。
疲れた、悲しげな、淋しげな仕草だった。

「もう、やめて」

冷たく壁作ってリニスと会話していたプレシアから、か細く泣きだしてしまいそうな声が漏れる。
瞬く間に頭が冷えたリニスはもう何も言えない。
監視を含めて、その日は一緒に過ごした。
フェイトに会え、と言ったがその名を出した時、絶対にプレシアは返事をしなかった。
半日はフェイトについて話をして、どうにかプレシアにフェイトについての心中を吐かせようとしたが決して答えようとしなかった。
社会に顔出すつもりのないプレシアだが、それ以上にフェイトとアルフには顔を合わせるつもりがないのが見て取れる。
無責任やら臆病者やらと罵ってもプレシアは相手にしないので、結局そのまま日が変わってしまった。

そして次の日の朝、一緒にアリシアの墓に花を備えてる最中、

「働きなさい」

とリニスは命令した。

「嫌よ」

とプレシアは答えた。

「駄目です! 仙人みたいな暮らしするなんてそうはいきませんよ」
「……」
「そうですね…じゃあ話の都合上、スナックバーでも経営しなさい」
「……」
「私も一緒にやりますから、とりあえず社会復帰ですよ、プレシア」
「……」
「プレシア」
「要らぬお節介だわ」
「いいえ、必要なお節介です」
「そう」

と言うわけで、クラナガンの片隅に一軒のスナックバ−が開店する事になる。無許可で。闇スナックバーである。どんな社会復帰だ。
その小さな店の名は「時の庭園」といった。
時間を忘れて酒を楽しめる庭園…と言う意味ではなく、たんにプレシアが店名考えるのを面倒くさがっただけである。
こうしてリニスは犯罪者と共にスナックバーを経営する事になった。



478 名前:タピオカ:2008/07/26(土) 06:06:56 ID:bXq6v3zk
「それで、女子生徒の何人かに…ゼストに恋心を抱いている者もいたりするのだ…」

もう何杯目だろうか。強いお酒飲みほして空になったグラスを片手に、チンクがカウンターにほっぺたぺにょんとしながら悩みを紡ぐ。
腕組んでと素っ気ない態度のプレシアだが話は聞いているらしい。

「子供にありがちね。勝手に失恋に至るでしょう」
「それでいいのだろうか?」
「良い悪いじゃないわ……そうね、強いて言うなら運が悪かっただけね、その女子生徒の」
「それからの恋愛に影響とかないだろうか?」
「子供の心身を強く鍛えてあげる為に私塾を開いたんじゃなかったかしら?」
「それはそうだが…こう言う事についてどう向き合えばいいか、そもそも私が助言できない」
「それで、ゼストはその恋心とやらを知ってる?」
「いや、さっぱりだ。あいつはこういう事に関しては鈍いようでな」
「見たまんまね」
「でも優しいんだ」
「ノロケなら聞く気はないわ」

いつの間にかプレシアもお酒飲みながらチンクを向き合ってた。
もう商いする姿勢ではない。もっとも、最初っから真面目に働くつもりはないのだが。
とはいえ、そもそも客が少なく誰も来ない日もしょっちゅうだ。
ナンバーズやら六課関係者などが飲みに来るので彼ら相手だともう普通に一緒に飲んでる。
ただし、フェイトが来るときだけは姿をくらまして絶対に会おうとしなかった。

「なぁ、フェイトお嬢様には会わないのか?」
「いい加減その質問止めてくれないかしら?」
「フェイトお嬢様は、会いたがっているんだ」
「私は会いたくないわ」
「子供をかわいく思わない母親は、いない」
「あの子は私の娘じゃないもの」
「無責任な臆病者」
「もうリニスから言われてるわ」
「いい加減にしないと力ずくでも会わせる事になる」
「酔ってるわね」
「酔ってない。母娘がこんな関係で……いいはずがないだろう」
「それも大人数から聞いたわ」
「絶対に、お前たちを会わせるぞ」
「…えらく執着するのね」
「フェイトお嬢様は、恩人だ」

カウンターに突っ伏してたチンクが顔真っ赤にして起き上がる。
きりりと凛々しく眉を吊り上げ、眠たそうな双眸でプレシアを射抜くのだ。
プレシアは無表情で、しかし何かしら孕んだ感情を隠そうとして目をそらした。

「……合わせる顔が、ないわ」

そう小さく呟いたのと、入口が開いたのはほぼ同時だった。
小さな店だ。ドアが開けばすぐに誰が入店したか視認できる。

479 名前:タピオカ:2008/07/26(土) 06:07:42 ID:bXq6v3zk
「ドクター!?」
「おや、チンク。クックックッ、凄いじゃないか、プレシア。いつも客0人のこの店がその何百倍しても届かない人数の客を迎えるとはね」
「この店は犯罪者お断りよ」
「犯罪者同士仲良くしても損ではないと思わないかい?」
「また脱獄ですか」
「飲んだら帰るよ」

フー、と珍しく息切らせてチンクのとなりに陣取るスカリエッティへとお茶漬けが差し出される。
プレシアの第97管理外世界的な真意をよそに、それを涼しい顔でそれをすすりながら額の汗を拭った。

「随分と運動をしてるようですが、追われてるのですか?」
「ここの店のママの娘さんにね」

ピクリとプレシアの片眉が動いた。
スカリエッティのはめる指輪のようなデバイスが中空で円を描くと、チンクとプレシアの眼前にホログラムが浮き上がる。
カメラの映像だ。場所はスナックバー「時の庭園」の入口前。ドアを隔ててスカリエッティたちから10メートルと離れていない。
金髪赤眼の執務官がいた。ドアの周りをうろうろして、入ろうか、やっぱりやめようかと何度も何度もたたらを踏んでいる。
そわそわ、きょろきょろ、ゆらゆらとしてから、キッとドアを睨む。
いざ、入ってやる!
と意気込みの光が瞳に宿るが、やっぱり入れない。胸に手を当てて深呼吸。
硬い動作で一歩、足を踏み出そうとして、結局足踏みしただけに終わる。

「ここに逃げ込むと私を追ってる執務官殿は何故かその追撃速度が鈍ってねぇ。とても便利だ」
「プレ…」

シア、とチンクの言葉は続かない。リアルタイムの画像を見ているうちに、この店のママが消えていた。
プレシアを引っ掴んでドアの向こうに放り出そうとした意気がしおしおと消沈していく。

「クックックッ、逃げ脚が早い大魔導師だ」

いつの間にか先ほどまでプレシアがいた位置にスカリエッティが立ち、勝手に酒瓶を開けて飲み始めている。
計るような目でホログラムを眺め、そしてフェイトが入ってくる数秒前に店正面以外の出入り口から消えていった。
二拍を置いて、ドアが開く。
店に踏み込み、チンクしかいないのを確認してから、うつむいた。苦笑している。

「どっちにも逃げられちゃったか……」
「フェイトお嬢様……」

とぼとぼとした足取りでチンクの横に立ち、カウンターの向こう側、何もない宙空を淋しげにフェイトが見つめる。
そこにいた人を、渇望しながら。
やるせない思いでフェイトの横顔を見ていたチンクだが、その手を取る。

「飲みませんか?」
「私、まだ仕事中だよ」
「ちょっとした、休憩です」
「……そっか、休憩か」
「はい、休憩です」
「じゃあ、ちょっとだけ」

チンクに笑いかけるフェイトだが、淋しさが滲んでいて仕方がなかった。



480 名前:タピオカ:2008/07/26(土) 06:08:54 ID:bXq6v3zk
「ちょっと話の一つ二つすればいいものを」

酒瓶に直接口つけるスカリエッティが降り立つのはスナックバー「アリシア」の屋根上。
虚ろに座り込んだプレシアの背中に語りかける。

「私の存在なんて、今さらあの子には邪魔でしかないわ」
「そんなに度量の小さな子じゃないよ」
「知ってるわ」
「そんなに向き合えないものかね」
「私はあなたとは違う」
「酔っ払えば、同じようなものになれるかもしれないよ」

まだ半分以上残る瓶をスカリエッティが笑いながら差しだした。数秒だけ間が空いたがプレシアがそれを受け取る。

「無理よ」

飲みほしたが、酔えなかった。







481 名前:タピオカ:2008/07/26(土) 06:15:56 ID:bXq6v3zk
終わりです。
真面目な話に見せかけて、無茶しすぎなお話をお送りしました。
何と言うか、もうこの話で劇中で死んだ系の奴ら都合よく全員生き返らせようと開き直りました。
プレシア好きなんですよ……未だに一期でフェイトを鞭でしばくシーンは脳内ランキング10位以内に入るんですよ…

前に書いたのが「有り得ない組み合わせをしよう!」と気負って気張って成功とは言えなかったので、
気楽に有り得ない組み合わせ作ろかー、と思いました。

何度も謝りますが、居酒屋「中将」というスタイルやら、そもそもがオーリスイメージだったのを変更したりと、
強く自分の色合いを出しまくりすぎて申し訳ない。

482 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 09:16:24 ID:Uu09SGT4
>>481GJ!
プレシアさんかわいいよプレシアさん。
なんかスカとフェイトさんの関係が
「待てル○〜〜〜ン!」
「あばよ、とっ○ぁ〜〜ん」
の関係に見えてきたww

ところでバー「アリシア」?「時の庭園」?二つ経営してるんですか?

483 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 09:41:36 ID:J7gAnHZp
GJ!たたら踏むフェイトさんが妙に切ない…
このパラレルワールド良いですね、この世界で別の話も書いて欲しいです。

484 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 09:47:31 ID:ktC2V0eO
こ、これは…寝ている間に投下祭りだと!?
職人さんたち皆GJ!やっぱたくさん投下があると嬉しいね

>>451
母上殿ってどこの時代の人(ウサギ)だよw
まさかあのウサギに萌ゆる日が来ようとは

485 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 11:07:09 ID:oTRnHnVO
>>408
GJ!!
スバル、ティア達も頑張ったけど、ルーテシアとガリューに全てを持っていかれた。
二人とも実にイイ!特にガリューお前ってやつは!
ヴィヴィエリオの活躍にも期待。ただエリオはもう出番が少なそうな悪寒が

486 名前:69スレ264:2008/07/26(土) 11:08:51 ID:qEV9WpoQ
業務連絡です。
77スレ保管完了しました。
職人の方は確認お願いします。

487 名前:タピオカ:2008/07/26(土) 15:37:43 ID:bXq6v3zk
>>483
ミスです。またやらかしました。成長がない…orz
>>480

>>酒瓶に直接口つけるスカリエッティが降り立つのはスナックバー「アリシア」の屋根上。



>>酒瓶に直接口つけるスカリエッティが降り立つのはスナックバー「時の庭園」の屋根上。

が正しくて経営してるのは一軒だけです。申し訳ない。

488 名前:タピオカ:2008/07/26(土) 15:46:44 ID:bXq6v3zk
>>483 ×
>>482 ○
orz

489 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 22:51:34 ID:Yf63ONjN
つまらん

490 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 23:00:33 ID:Ispr6QOd
>>482
どこまでもキャラの幅を広げていくな、このスレでのドクターは。

491 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 23:04:50 ID:GfZpVHif
>>490
近々女装までするんじゃないかと心配な俺が居る

492 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 23:16:33 ID:w2zhw6bC
それはリクエストと認識していいのだろうかw

493 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 23:17:29 ID:/jexHheU
>>491
あれー、クラブ「ナンバーズ」のオカマママっていうのはなかったっけ。

494 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 23:31:38 ID:PD8pyvFy
まあアリシアが蘇らないことを悟ってしまったプレシアは、これまでの反動でフェイトへの罪悪感とか後悔がものすごそうだからなぁ

ていうか、本気で書くとこのネタだけで大作の一つは余裕で書けそうだな

495 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 23:41:26 ID:Ispr6QOd
>>494
その感情が反転して、もの凄く過保護になるプレシアの姿が思い浮かんだ。
お弁当がお重だったり、登下校に尾行したり、運動会は自作のハッピと鉢巻姿で旗を振る。

496 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/07/27(日) 00:32:27 ID:dMkIgpGY
暑い日が続きますが、ちょいと思いついた軽いものを。
エロいものは今書いてます。完成したら投下します。
今回は暑いもの。小話みたいなもんです。
レス数は3。あぼんはコテか鳥で。
タイトル「撃て! なのは!」


497 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/07/27(日) 00:33:04 ID:dMkIgpGY
         1

 うだるような暑さとはまさにこのことだろう。
 六課フォワード陣もご多分に漏れず、暑さにあえいでる口だ。
 
「異常気象じゃないの? ミッドがこんな暑いなんて」
「お父さんも、こんなの初めてだって言ってたよ」
「エリオ、キャロ、大丈夫?」

 キャロは寒冷地の出身である。元々暑さには弱い。それでも、周りに負担をかけないようにけなげにがんばっている。
 エリオの方は劣悪な環境には慣れているようで、どちらかというと平気な表情を見せている。
(本人に言わせると「密閉された部屋の中で淀んだ空気の温度が上がっていくよりよっぽどマシです」と言うことで、
それを聞いたスバルとティアナは複雑な想いでうなずいた)
 しかし、最近の気温はミットでも例を見ない異常気象なのだ。ティアナの言葉に間違いはなかった。


「やー。なんや、なのはちゃんたちには悪いことしてるみたいやなぁ」
「我々の任務はここで行う類のものですし。高町一等空尉やテスタロッサ・ハラオウン執務官、それに副隊長たちの今の任務はフォワードたちの訓練なんですから」
「まあ、その辺はグリフィスの言う通りやねんけど。そや、せめて冷たいもんでも用意しとこうかな。食堂によろしく言うといて」
「了解。ついでに医務室にも連絡しておきましょう。熱射病に備えるように」
「そやな」

 クーラーをがんがんに効かせた室内で、はやてとグリフィスはモニターを眺めていた。
 その一方、訓練所へ向かう通路では…

「……暑い」
「鍛錬が足りないな」
「んだって!?」
「この程度の暑さでベルカの騎士たる者が不平を言うなど、みっともないを通り越して情けないと言っている」
「相変わらずやせ我慢だけはうまいよな」
「日頃から鍛えていれば、この程度の暑さなどやり過ごせるはずだ」

 涼しげに、しかしきっぱりと言うシグナムに、ヴィータはいらいらとアイゼンを振り回す。

「ぜってぇ、なんかトリックがあるだろ。涼しくなる魔法とか」
「氷結魔法は我らには使えないぞ。それを使うのは主とリィンだけだ」
「……考えてみれば、日頃からがんがん火を燃やしてるんだから、多少の暑さには慣れている、ってことか」
「そうだな。そういうことになる」
「ちぇっ」


498 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/07/27(日) 00:33:38 ID:dMkIgpGY
       2

 そして別の通路では、

「あ、暑いの……」
「海鳴の夏も暑かったけど、こっちの暑さも相当だね」
「フォーム変えようかな、涼しそうなのに」
「涼しいフォームって…」
「フェイトちゃんのソニックフォームみたいなの」
「…なのは、別にアレは涼しさを求めている訳じゃないよ」
「暑い暑い暑い暑い」
「あんまり言うと余計に暑いよ」
「ううう」
「さ、行こう」



 炎天下に集合する八人。
 シグナムとフェイト以外はすでに訓練を終えたかのようなげっそりとした顔。

「ヴィータだけかと思っていたら、高町隊長もか」
「あ、あはは、ごめんなの。シグナムさん。この暑さは…さすがに…」
「確かに、異常気象だな……。ベルカの砂漠でもあれほど太陽が照ることはない」
「太陽?」
「ああ。といっても、太陽に異変が起こっているわけでは…………ちょ、ちょっと待て! 何をする!」
「太陽が悪いの…」

 何故かレイジングハートを太陽に向けているなのは。
 
「待て、待て、何をする気だ!」
「打ち落とすの」

 一瞬、シグナムが絶句した。
 ヴィータが目を輝かせる。

「そ、そうだ、なのは! あんなの落としちまえ!」
「落とすの。諸悪の根元は落とすの」



「さて、冷たいものも手配したし。訓練はどんな感じやろか、ちょっと見てみよか。リィン、モニターつけて」
「はいですぅ」
「……なに、これ」
「そうですねぇ、高町隊長が太陽を撃っているように見えます」
「何の訓練やろか」
「暑いから、太陽を撃ち落とそうとしているんですよ」
「おおおっ、なるほど。って、そんな訳あるかいっ! リィンも言うようになったなぁ」
「えへへ」

 しかし本気と書いてマジだった。 

499 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/07/27(日) 00:34:12 ID:dMkIgpGY
           3

 その午後から数日間、ミッドチルダは季節はずれの大雨が続き、太陽の姿が見えなかったそうである。

 太陽が再び見えるまで、フォワード陣は恐怖に震えていたという。


500 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/07/27(日) 00:34:55 ID:dMkIgpGY
以上お粗末様でした。

暑い日が続きますが、皆さんお身体には気をつけてください。


501 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 00:41:01 ID:uYVGDMjn
これはすごいリリカル亀仙人さんなの!

502 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 00:51:06 ID:Gt/tlusX
GJ。これは一刻も早いミッドの夏明けを願わずにいられないww

しかしなんだ、ヴィータが暑さに弱いのはきっと身体の表面積の問だ(ギガントー

503 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 00:51:54 ID:3+D/2OzE
少し…太陽冷やそうか…

フェイトそんが平気だったのはなぜだろう、執務官のサバイバル訓練で慣れてるとか?
ソニックフォームにしてても暑いものは暑いだろうし、あれ色が黒いから熱吸うしね

504 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 00:59:18 ID:Gt/tlusX
>>503
っ[『美人は汗をかかない』理論]

おや、こんな夜中に誰か尋ねてきたようだ……。

505 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 01:01:24 ID:zaLi8SKW
アルフやザッフィのほうが大変そうだな。

毛皮が暑苦しくてヴィヴィオに避けられショックを受けるザフィーラなんて電波を受信したよ。

506 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 01:02:07 ID:KfJAtpzJ
リアルで考えると、女性陣は髪が長くて鬱陶しそうだなw

507 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 01:02:55 ID:M+QYN1Ra
>>503
きっと幼少の頃からプレシアママンにローソクプレイで鍛えられてたんだよ
鞭で叩くだけなんて画竜点睛を欠くにも程があるからね

508 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 01:04:18 ID:0whiGut8
>>503
フェ「電撃ムチで叩かれたり、蝋燭を垂らされるよりマシだよ?」
かも

ところでソニックフォームの日焼けってとてもエロイと思うんだけどどうだろう?

509 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 01:05:56 ID:1Lok9CQB
一週間後、蝋燭の蝋にまみれ鞭で何度も叩かれた跡のある>>507の姿が発見されたという・・・

510 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 01:07:56 ID:dMkIgpGY
>>509
羨ましいじゃないか。

511 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 01:10:15 ID:P/i370g8
>>503
てかバリアジャケットって温度変化用のフィールド防御も含めてたキガス

512 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 01:11:03 ID:3+D/2OzE
>>507
そりゃ「暑い」のが平気なんじゃなくて「熱い」のが平気の間違いだw

ああ、分かった
「模擬戦の時のシグナムのあつ苦しさよりはマシだよ、いろんな意味で」ってことだな

513 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 02:24:48 ID:uuNWcgpt
>>500
GJ、思わず背筋が冷えたぜw

514 名前:サイヒ:2008/07/27(日) 05:40:54 ID:vVy+2UMp
>>486
司書業務いつもご苦労様です。

今回の更新分でちょいと気になったんですが、「作者一覧」から俺のページへ行くと
「ハラオウン夫妻のとある一夜」が前編と後編に分けられて両方とも「短編」のカテゴリに入ってるんですが、
これって「長編」の方に入れるべきなんじゃないでしょうか。

ここだけ気になったんで、お手数ですが修正お願いします。



居酒屋の流れに乗ろうとチマチマ書いてるんですがちっとも進まない。
エロや。淫獣とエロノがエロトークしてるぐらいしかエロが無いのがあかんのや。

515 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 06:51:21 ID:bCTx9f2L
ぐでんぐでんに酔ったユーノがなのはに後ろから抱き付いて好きだぁ…と10年来の想いを告げて
顔真っ赤にして狼狽えるなのは
バルディッシュ起動させるフェイト
wktkして成り行き見守るはやてやクロノ

…あかん、エロに結びつかへん…

516 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 08:28:03 ID:FzMvqc5q
>>515
1行目からレイプ未遂を6B氏が書いてたな

517 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 11:42:16 ID:HKBdgZdW
>>515
そのままユーなのフェイにもいけるし、なのはに選ばれなかった方を部隊長が慰める展開にもいける。
思いのままじゃないか!

518 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 12:04:11 ID:27RMRfna
遅レスですがアルカディア氏お待ちしてました。
これはもう完全にレジアス死亡フラグ
白き悪魔ワロタw
伝説って…どんな伝説なんだろう…
ゼストの槍ともども楽しみが一つ増えました

519 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 12:40:58 ID:jlgu/Uju
>>515
なぜかユーノがなのはに近づくとフェイトがぶっ飛ばすというのが定着しつつあるが、
フェイトって一応ユーノのこと応援するって言ってるんですけど…
仮にも友達を平然とぶっ飛ばすような女に改変して欲しくないもんだ

520 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 12:42:42 ID:2aJmYns+
>>519
某日常なフェイトさんの影響が多々あると思われ

521 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 12:58:14 ID:dMkIgpGY
というか、三角関係ネタの定番だから仕方ないと言えば仕方ない。

522 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 13:00:51 ID:1MLv+tYT
一発ネタならともかく、これがデフォみたいなノリになってくるとさすがになぁ。
ていうか全体的にフェイトさんは性格改変が激しい。

523 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 13:03:20 ID:dVU5XUZO
そこら辺はギャグだと割り切るしかないんじゃないかな
あんまりくどくど言って職人が書きづらくなっても困るし

524 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 13:08:18 ID:r9K0NP5b
>>522
なのはさんは?

525 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 13:26:31 ID:R6zXjSW0
バトル作品だと魔王化、ギャグ作品だと脳筋化、クロノ相手だとなのちゃん化が
パッと思いつくところだが、他には…?

526 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 13:26:37 ID:B+9qHJuM
なのはさんもけっこうひどいよなぁ
まあフェイトさんに比べると暴走させられることは少ない方だけど

527 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 13:29:17 ID:dS+qe9p1
まあいくらなんでも「ユーノ死ね」連呼はないな
ありゃユーノ好きだけじゃなく、フェイト好きな俺も見てて気持ちのいいものじゃない

最近あまりのキャラ崩壊っぷりになのは同人に手を出さなくなったぜ・・・

528 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 13:38:51 ID:7OK+5Ics
探せばあるもんだ。性格本編準拠同人も。
ただ、カプモのの時点で多少の改変は入るけどな。性的嗜好な意味で。

529 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 13:43:41 ID:yP/54EwX
あんまり改変されていない奴ってスバルくらいしか思いつかない
あれ?元々あんまりキャラ立っていないだけか?

530 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 13:54:37 ID:YwX9QDNZ
改変以前にちゃんとスバルらしい同人は滅多にお目に掛かれない
ただの元気娘だったりアホの子だったり上っ面撫でたようなのばっかですよ

531 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 13:58:09 ID:/fYPEr5W
シャーリー、アルト、ルキノ「………………」

532 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 14:01:25 ID:vWF1975m
>>529
性格把握してないお前が改編されてるか否かをどうして判断できる?

533 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 14:10:05 ID:XyDDUHGX
まあまあその辺りで雑談はやめて皆マターリと投下を待とうではないか

534 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 14:30:26 ID:uuNWcgpt
そんなこと言ったらユーノだって淫獣じゃないしクロノも鬼畜じゃないし・・・
俺は二次は二次って割り切って楽しんでるけどな
注意書きさえしっかり書いてもらえれば職人さんには自由に書いてほしい

535 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 15:48:24 ID:4tKjvhl8
しかしここも遅くなったもんだのう

536 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 15:52:30 ID:S2ULTrPt
ひと昔前が早すぎたんだ。

537 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 15:59:46 ID:D4fyanC8
そう言うな。放送終了から、もう1年近いんだぜ
エロパロ板全体で見ても、78スレも続いていて、
しかもかれこれ60スレくらい1000まで伸びずに埋まってるのなんてここくらいだ

ちなみに、最短記録は55スレの77時間
最少レス数は42スレの442レス

取りあえず、今月のメガミに期待。久々の公式燃料だぜ

538 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 16:01:41 ID:aIkuv/qz
第四期情報でも劇場版情報でも新シリーズ情報でもいいから、期待できるものであればいいなぁ。

539 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 16:04:14 ID:R6zXjSW0
燃料…になるのかね?
クロノがああなって以後、追加情報が消化剤な気がしてならん。
二次がワクテカするにはもうシリーズが進みすぎた気がするんだが…

540 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 16:04:47 ID:dEtnm+dJ
やっぱり放送無い燃料補給されない書き手さんも居るんだろうね

541 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 16:10:53 ID:5J945faI
メガマガでコミックのほう書いてくれた長谷川さんだっけか?
あの人が外伝や続編でも書いてくれるなら俺は裸になって喜ぶぜ。
正直stsは本編よりコミックのほうが好きだったしw

でも、ないだろうなぁ……

542 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 19:14:26 ID:mReGgXzY
コミック本編もコンテ切ってるのは原作者様だからなぁ
長谷川氏のオリジナルとなるとアンソロに載った番外編だけなのかも。


543 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 21:09:52 ID:eFdeSsyE
投下します。

注意
・キャロ→フェイト
・ヤンデレ
・鬱
・エロは……多分ない。

544 名前:テスタロッサに花束を:2008/07/27(日) 21:11:35 ID:eFdeSsyE
ある日、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンは、機動六課隊舎にあるキャロ・ル・ルシエの部屋を訪ねた。
仕事にかまけて最近ろくに相手をしてやらなかったという罪悪感もあったのだろう。
ふと、機動六課の分隊長としてではなく、彼女の保護者として顔を合わせてみたくなったのだ。
しかし、ドアをノックしてみても反応がない。シフトではキャロが休みになっているのは確認済みだ。
もしかすると、何処かへ出かけているのかもしれない。

少し無遠慮かもしれないが、部屋の中で待たせてもらおうと、
フェイトはカードキーをカードリーダーに当てた。フェイトはキャロの保護者であるので、
フェイトの部屋のカードにはキャロの部屋に入る権限も付加されている。
よってロックは外れ、中に入る事が出来た。

部屋の中を見回してみるが、本当に人が住んでいるのかと疑うほど、中には何もなかった。
備え付けの棚と作業用のデスク、それとベッドを除けば生活用品らしきものすら見当たらない。

部隊長である八神はやての意向で私物の持込が自由であるとはいえ、
仮にも管理局の隊舎なのだから少々殺風景になるのは仕方ない。
だが、いくらなんでも物がなさ過ぎではないか。壁にハンガーでかけられた制服がなかったら、
空き部屋だと思われても不思議ではない。

いぶかしみながらも、カーペットすら敷かれていないフローリングの床を踏みしめて、
フェイトは部屋を見回る。尤も、見回る必要があるほど部屋に死角はなかったのだが。

すると、備え付けの棚の上に、一冊のアルバムが置いてあるのを見つけた。
ピンク色の地に花柄の表紙。如何にも女の子受けしそうなデザインである。
以前、思い出作りになればとフェイトがキャロにプレゼントした物だった。

手に取って見てみると、何度も読み込んでいるのか、表紙やページの端が少し痛んでいるのがわかった。
アルバムに綴じられているのは、機動六課に入ってから撮られた写真であった。
アルバムをあげた後、キャロがなのはからデジカメの使い方を熱心に聞いていた事を思い出す。
部屋の中からは余りにも生活感が感じられなかったので、人間味のあるものに触れる事が出来て、
フェイトは少なからず安堵していた。

何の気なしに、パラパラとページを捲っていく。写真の中のキャロが仲間と笑いあう姿を目に収めて、
何だか微笑ましい気持ちになるも、読み進めていく中でフェイトは違和感を覚え始めた。
徐々にページを捲る手は速くなり、最後のページを捲った時には背筋に薄ら寒いものが走っていた。

一見するとなんでもない写真であるが、そのすべてにフェイトの姿が映されていた。
機動六課全員で撮ったものはもちろん、いつの間に撮られていたのかわからないものまで、
ありとあらゆる写真に彼女の姿があったのだ。彼女は目を皿の様にして探したが、
彼女の写っていない写真などただの一枚もなかった。中には、フェイトしか写っていない写真すらあった。
キャロ自身が写っていない写真などいくらでもあったにも拘らずだ。
彼女の中で、えもいわれぬ疑念が渦巻いていた。

545 名前:テスタロッサに花束を:2008/07/27(日) 21:13:40 ID:eFdeSsyE
「あ、フェイトさん、来てたんですか?」

その時、背中越しに聞こえた声に驚き、フェイトは振り返る。声の主は当然といおうか、キャロであった。

「ええ、その、久しぶりの休みだし、たまにはキャロと一緒にいるのも悪くないかなって。
 キャロはどこ行ってたの?」

「スバルさんと一緒に自主訓練です。さっきそれが終わって、今シャワーを浴びてきたところなんです」

キャロとスバル、意外な組み合わせだとは思ったが、
大方、空気を読めない事に定評のあるスバルに無理矢理引っ張られていったのだろうとフェイトは納得する。

フェイトが来てくれた事がよほど嬉しいのか、飛びつくようにキャロが抱きついてくる。
フェイトはちくりと胸の痛みを覚えた。こんなに真っ直ぐ自分を慕ってくれている相手を疑うなど、
一体何を考えていたのか。複雑な心境のフェイトだったが、キャロの頭を撫でながら口元を緩める。

「フェイトさん……ふう、ふぅう、はあ」

ふと、キャロの様子がおかしいと気づいた。フェイトの体に顔をうずめたまま、動く気配がない。
荒く呼吸を繰り返しているのだけがわかった。キャロの吐く息の熱さを感じ取り、
フェイトの脳裏に嫌なものが走る。

「――キャロ?」

見上げるキャロは恍惚とした表情でフェイトを見つめていた。
夢を見るようにぼんやりと、顔を高揚させている。

「フェイト、さぁん……」

キャロが、いつもとは違う艶のある声でフェイトを呼ぶ。
甘く、ねっとりと耳に纏わりついてくる、とても子供が発したと思えない響きに、フェイトは総毛立つ。
思わず、キャロの肩を掴んで自身の体から引き離していた。

「フェイトさん、どうしたんですか?」

驚いた顔のキャロは、いつも通りのキャロだった。

546 名前:テスタロッサに花束を:2008/07/27(日) 21:14:46 ID:eFdeSsyE
身支度を整えて、それから2人して車で外へ出かけた。時間はもう昼すぎだったが、
訓練が長引いた為にキャロはまだ食事を取っていなかった。
尤も、それを知らされたのは車を発進させた後の事。出かける前にそう言われていれば、
機動六課隊舎の食堂で済ませていたところなのだが。まあ、せっかく出かけるのだから、
いつもよりいいものを食べようとフェイトは思い直す。
こんな事ならエリオも一緒に連れて来られれば良かったとも思う。
だが、残念ながら今日、彼は勤務についていた。

本来ならば、チームごとに輪番で勤務に就くものであり、一緒に休みが取れるはずだった。
しかし、機動六課のシフト表を作った事務官、
ルキノ・リリエのミスで勤務と休暇の日数が合わなくなってしまい、
穴埋めでエリオが勤務につく事になったのだ。
余談だが、代わりに休暇を取る事になってしまったのがスバルだったりする。
本人達は休みなんていらないと言っていたが、
魔導師の存在によって就業年齢が異様に低いミッドチルダとて労働基準法はある訳で、そうもいかなかった。

フェイトは車の運転をしながら、ちらりと横目でキャロを見る。助手席に座るキャロは幾分緊張した様子で、
膝に手を置いた姿勢のまま、じっと正面の窓から流れていく景色を見つめていた。
思えば、キャロと2人きりになるのはいつ振りだろうか。機動六課設立以来、
エリオとキャロを引き会わせる事ばかり考えていて、
こうして家族としての時間をあまり作って来なかった気がする。キャロの緊張はそうしてきたツケなのだろう。

547 名前:テスタロッサに花束を:2008/07/27(日) 21:15:24 ID:eFdeSsyE
フェイトは出来るだけ笑みを作るように心がけながら、隣のキャロに声をかける。

「その服、前にエリオと一緒に出かけた時に着てたやつだよね。
 今日は別にそんなにめかしこまなくても良かったのに。
 ――ああ、それとも、今日もエリオと一緒に出かけるつもりで用意してたとかかな?」

「いえ、エリオ君は関係ないですよ。せっかくフェイトさんと出かけるんですから、
 ちゃんとした物を着ていかないと、って思って……」

キャロは白いワンピースの上に、彼女の髪と同じピンク色のジャケットを上から羽織っている。
ワンピースの下からは、これまたピンクのロングスカートの裾が僅かに見えている。
そして、深い桃色のショルダーポーチを携えている。以前、エリオと出かける時に用意した、
執務官補佐であるフェイトの部下一押しのコーディネートである。

妙に気合の入ったキャロに、フェイトは苦笑する。そういえば、
ハラオウンの家に引き取られたばかりの頃の自分もこんな感じだったか、などと思い出す。
だが、もう引き取ってから3年は経つというのに、未だキャロは緊張した面持ちを崩していない。
その事にフェイトは少し不安を感じていた。キャロを家族だと思っているのは自分だけなのではないか、と。

「ところで、フェイトさん、今日はどこに行くんですか?」

「うーん、特に決めてないんだけど、キャロは何か食べたい物とかある?」

「いえ、特には。フェイトさんが行きたいところならどこでもいいです」

連れ出しておいてなんだが、そう言われても困ってしまう。
仕事の虫であるフェイトは余りレジャーの類に詳しくない。
もともと人付き合いが苦手である事に加え、仕事柄スタンドアロンで動く事が多かった為、
身内や機動六課メンバーを除けば、仕事仲間と飲みに行ったり、
遊びに行ったりした事も2、3度記憶にある程度だ。

「とりあえず、デパートにでも行こうか。食べるお店もあるだろうし、その足でお買い物も出来るしね」

「デパート、ですか?」

「キャロは、デパートはダメ?」

「あっ、いいえ、そういうんじゃないんです。ただ――」
――デートみたいだな、って。

呟く様なその声は、再び運転に集中しだしたフェイトの耳には届かなかった。

548 名前:テスタロッサに花束を:2008/07/27(日) 21:16:08 ID:eFdeSsyE
フェイトが雰囲気のいい店という基準で選んだ所は、やたらとカップルの客が多かった。
暖色の少し暗めの照明に、窓からクラナガンの街を一望できる景色。
少々高めのインテリアがそこかしこに、だが、店の雰囲気を壊す事無く、
さり気なく飾られている。1人身のフェイトが夕方辺りに来ていれば、
少々切ない気持ちになったかもしれない。

場違いな感じがして別の店に行こうとしたフェイトだったが、
やけに頑ななキャロがここで食べたいと言ったので、この店で食べる事になった。
だが、席に座ってそうそう、やっぱり失敗だったかと思う。
何故なら、この店に来てからキャロがより緊張してしまったからだ。
こんな事なら機動六課で食事を済ませた方が良かった。

窓際の席に案内され、それぞれ正方形のテーブルを挟んで席に着いた。
しばらくしてフェイトがまず注文し、キャロが注文をしたのを見届けた後、
フェイトはキャロの緊張を解きほぐそうと、早速話題を振る。

「そういえば、最近、エリオとはどう。仲良くしてる?」

「――え? ああ、はい。エリオ君は優しいですし、それなりにやれてると思います」

そう、と頷きながらも、フェイトは内心眉を顰めた。何故かエリオの名前が出た時、
ほんの一瞬、キャロの表情が曇ったのだ。現役の執務官のフェイトだからこそわかる僅かな変化だった。
エリオと何かあったのだろうかと思い当たる。しかし、同時に、キャロの言葉に嘘がない事も確信していた。
エリオとキャロの間にある事ではなく、キャロ自身の問題が原因なのだろうかと推察するが、
すぐに頭からその考えを追い出した。仕事中じゃあるまいし、家族の付き合いには無粋だと考えたからだ。

ハラウオンの家に義兄が不在の間、
自身の義姉と使い魔が家事に子育てにと追われる姿をフェイトは目にしてきた。
その度、家になかなか居つかぬ義兄のワーカーホリック振りを揶揄していたのだが、
自分もどっぷりと浸かっているなあと感じ、自嘲した。

「それじゃあ、機動六課はどうかな。楽しい?」

「そうですね。でも、どちらかというと楽しいというより、フェイトさんの力になれて、
 嬉しいっていう感じです」

キャロは照れた様にはにかんでいる。が、フェイトとしてはなんとも微妙な回答ではあった。
エリオやキャロが機動六課配属になった事に、フェイトは少なからず負い目を感じていたからだ。
と言っても、機動六課に志望した事、それ自体は2人の自由意志によるものである。
で、あるからこそ、フェイトの内心は複雑だ。
フェイトの存在が2人をそうする様に仕向けてしまったのではないか、という不安は常にあった。
だからと言って、2人の意思を否定する事もフェイトには出来なかったのだ。

549 名前:テスタロッサに花束を:2008/07/27(日) 21:16:36 ID:eFdeSsyE
「うーん。私の事はいいんだけど、何かなかったのかな。機動六課に入ってここが良かったとか、そういう話」

「良かった事、ですか?」

「何でもいいんだけど」

「そうですね――」

――フェイトさんが、

――フェイトさんと、

――フェイトさんに、

詳しい内容は省くが、キャロの語った内容は結局のところ、全てがフェイトに関わる何かだった。
自分の事の様に嬉しそうに語るキャロと裏腹に、フェイトの表情は陰っていった。

「あの、やっぱり私なんかと一緒じゃ楽しくないでしょうか?」

キャロが悲しげにそう言ったのは、食事が大体終わりかけた頃だった。フェイトは慌てて否定する。

「いえ、そんな事はないけど……」

「――けど、何ですか?」

「キャロ、さっきから私の話ばかりしてるよね。さっきも言ったかもしれないけど、私の事はいいの。
 キャロがどうだったのかな、っていう話を聞きたかったんだ」

その言葉に、キャロは困った様に笑うだけだった。

550 名前:テスタロッサに花束を:2008/07/27(日) 21:17:15 ID:eFdeSsyE
食事を済ませ、デパートを見て回り、最後は海岸を散歩して締める。終わってみれば、
以前エリオとキャロが回った場所とあまり代わり映えのしないものだった。
自身の気の回らなさに少しばかり気落ちするフェイト。だが、キャロは嬉しそうにしているので、
まあ、それなりに良かったのであろうと自分を納得させる。

さて、この日、1日一緒にいて、以前から考えていた事に、フェイトは決心をつけていた。
こうして2人きりなのは単なる偶然ではあったのだが、渡りに船とも言えた。

「ねえ、キャロ、ちょっといいかな」

「なんですか、フェイトさん?」

口にすれば、キャロは悲しむだろうか。裏切られたと思うのだろうか。だが、他ならぬ彼女の為なのだ。
保護者として、言わなければならない。心持ち、丹田に力を入れる。

「キャロ、実はね、貴方を別の部署に異動しようって話が出ているの」

キャロは驚いた様な表情した。次いで、思いつめる様に沈んでいった。

「どうして、ですか?」

「その、キャロに、機動六課は合ってないんだと思うんだ。もしかしたら、
 別の部隊の方が力を発揮できるんじゃないかって。ああ、でも、今すぐって話じゃないよ。
 早くても3ヵ月くらい後だと思う」

フェイトの言う通り、最近、キャロの成績が余り芳しくなかった。いや、もちろん、悪いという訳じゃない。
少なくとも、高町なのは教導官が提示している最低限のラインは割ってはいない。
もともと才能のある魔導師である。現状でも普通の部隊でなら十二分にやっていけるだろう。
だが、機動六課は少数精鋭のエリート部隊。その程度では困るというのが、部隊長であるはやての見解だった。
理由に関してはいろいろ考えられたが、今日の一件で、フェイトはある程度の結論を出していた。

――異様なまでのフェイトへの依存心。

ある時期からキャロには、
窮地に立たされるとフェイトを頼ろうとしてしまう節が見受けられるようになっていた。
そのせいで、自身で困難を解決するという意欲が希薄になってきているのだ。
それが、向上心の低下を招き、一種の壁を造っていた。

551 名前:テスタロッサに花束を:2008/07/27(日) 21:17:44 ID:eFdeSsyE
出来る事なら、フェイトとてキャロの力を信じたかった。今日キャロを誘ったのも、
ちょっとした息抜きをして、また明日からも頑張って欲しいという気持ちからだった。
だが、皮肉にも、今日会って話したからこそ、フェイトはその結論に確信を抱いてしまったのだ。
だから、他の部隊でも、フェイトがいなくとも、ちゃんとやっていけるという自信をキャロにはつけて欲しい、
というのが今のフェイトの考えだった。

「嫌、です」

縋り付く様に、キャロはフェイトを仰ぐ。

「私、もういらない子なんですか? だったら、もっと頑張ります。
 エリオ君なんかより、もっともっと頑張りますから!」

――だから捨てないで、と。フェイトはまるで古い鏡を見せられている様な気分だった。
そう、似ているのだ、彼女がプレシア・テスタロッサの下にいた頃と。
ならばこそ、彼女自身が別れを告げねばならなかった。

フェイトはキャロの目線の高さまで屈み、そして、抱きしめる。

「あのね、キャロ、私は貴方に幸せになって欲しい。自分の力で、自分の意思で、
 未来を掴み取れるようになって欲しいの。だから、一旦お別れした方がいいと思うんだ。
 だから、ね、キャロ、わかって。それに、ずっと会えないって訳じゃ――」

ちくり、と首筋に走る痛み。次の瞬間、全身の筋肉は弛緩し、フェイトは崩れ落ちていた。

何が起こったというのか。どうして自分は倒れているのか。どうしてキャロは、注射器など持っているのか。
混乱したまま、朦朧とする意識を持ち前の精神力で束ね、キャロを見上げる。

「――フェイトさんが悪いんですよ」

フェイトの意識が閉じられる寸前、キャロは冷め切った目でそう言った。

浜辺に倒れ伏したフェイトをよそに、キャロに通信が入る。空中に浮かぶウインドウに映される男性の姿は、
機動六課の最大の敵であるジェイル・スカリエッティだった。本来有り得ざるその状況に、
しかし、キャロは驚く様子も見せない。

「やあ、キャロ・ル・ルシエ。首尾はどうかね?」

「別に。言われた通りにしましたよ。それより、約束の方は守っていただけるんですよね」

「ああ、もちろん。検査が終われば、彼女は君のものだ。
 ――今、迎えの者がそちらに向かっている。少し待っていてくれ」

それきり、通信は切れた。

にやり、とキャロの口元は笑みの形に歪んでいた。

552 名前:テスタロッサに花束を:2008/07/27(日) 21:18:27 ID:eFdeSsyE
「なあ、あたしさ、あいつら苦手なんだよな」

「あはは、同感っス。まあ、でも、今は一応お仲間なんっスから」

ジェイル・スカリエッティの研究施設内の通路を、ナンバーズ9番ノーヴェと、
11番ウェンディが歩いている。その手には、それぞれ料理を乗せたトレイが1つずつある。
目的地は新しく仲間になった2人の部屋である。だが、ノーヴェは彼女らを余り快く思っていないらしく、
その歯に衣着せぬ物言いにはウェンディも苦笑した。

「おっと、ここっスね」

2人は、とあるドアの前で立ち止まった。ウェンディがドアの付近にあるボタンを押し、
インターフォンを鳴らす。すると、インターフォンから声が漏れる。

『――誰?』

「ナンバーズ11番ウェンディと、9番ノーヴェっス。お食事のお届けに参りましたー」

『……そこに置いておいて、こっちで勝手に取るから』

ぞんざいな物言いに、肩を竦めるウェンディと、憮然とした表情のノーヴェ。
言われた通り、ドアの前の床に食事の乗せられた2人分のトレイを置いて、2人して道を引き返していった。

しばらくして、ドアが開く。中から出てきたのは、キャロだった。
彼女は2人分のトレイを取ると中へと戻った。

6畳ほどの部屋の中は酷く殺風景だった。部屋の中央に申し訳程度に丸型のテーブルが置いてあり、
部屋の隅には1台のベッドがあるだけだ。
一応、電灯やシャワーやトイレなどといったものも設置されてはいるが、余分な物は窓すらなかった。
その、何もない部屋にはキャロの他に、もう1人住人がいた。彼女は黒いドレスを身に纏い、
綺麗に着飾ったままでベッドの上に座っている。いや、座らされている。

「ご飯の時間ですよ、フェイトさん」

キャロから声をかけられるが、ピクリとも反応しない。だが、キャロは特に気にした様子もなく、
テーブルにトレイを置いた。

553 名前:テスタロッサに花束を:2008/07/27(日) 21:19:00 ID:eFdeSsyE
ベッドの上に座るフェイトは、まるで人形の様だった。その目には光が宿っておらず、1点を見つめたまま。
時より瞬きをしたり、呼吸をしたりしている事から、生きているらしい事だけはわかるが、
本当にそれだけだった。

フェイトがこの施設に連れられてきた当初、
スカリエッティは「検査」と称して数々の実験を彼女に向けて行った。
拷問と呼ぶ事すら生温いその実験の数々は、彼女から記憶を奪い、人格を崩壊させ、
精神の尽くを破壊していったのだ。

どれだけの責め苦を味わおうと、彼女が死ぬ事は許されなかった。崩壊していく肉体を、
スカリエッティはそのそばから修復したのである。そうして、いつ果てるとも知れぬ繰り返しの中で、
彼女はいつしか呻き声を上げる事すらなくなった。だが、キャロはそれでも構わなかったらしい。
キャロの胸は、フェイトが自分のものになったという幸福で埋め尽くされていた。

「今、食べさせてあげますからね」

トレイに載せられたおかずをフォークで取り、口に運ぶキャロ。何度か租借した後、フェイトへと歩み寄る。
そして、彼女の唇に、自身の唇を触れさせた。舌を絡め、唾液と一緒に噛み砕いた食べ物を直接送り込む。

「んっ、ふぅ、ちゅう、じゅる、ちゅ、ちゅぱ……んっ」

生々しく音を立て、やがて、唇が離れる。離れ際、唾液が2人の唇の間に橋を作り、きらりと光って千切れた。

「美味しいですか、フェイトさん?」

答えはない。答えられるはずなどがない。
そもそも、フェイトがキャロを認識出来ているかさえ定かではなかった。

「あ、いけない。零れちゃいましたね。綺麗にしないと」

フェイトの口元から口に入りきらなかった料理と唾液が漏れ、首筋にまで垂れていた。
キャロは、それに舌を這わせて舐め取る、何度も、何度も、それこそ執拗に。

「ふ、ふぅ、ん、ちゅ、じゅ、じゅる、じゅるるる、ちゅぱっ」

唾液を啜る音が響き、数瞬して舌を離した。綺麗になったフェイトの顔を、
キャロは満足そうにその目に収める。どこかうっとりと、焦がす様な熱を帯びた目つきだった。
部屋の反対側の端に座している守護竜フリードは、そんな主の姿を見て悲しげに鳴いた。

「――きゅう」

「どうしたの、フリード? 私は幸せだよ。
 だって、これからはフェイトさんがずっと一緒にいてくれるんだもの」

その時、物言わぬフェイトの瞳から、一筋の涙が流れていた。

554 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 21:20:13 ID:eFdeSsyE
以上です。

555 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 21:25:34 ID:dMkIgpGY
キャロ……。
うん。ダークだぜ。GJ!
個人的にはこういうの大好物だ

556 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 21:25:59 ID:KfJAtpzJ
GJです。

フェイトとキャロってのは意外な組み合わせですね。
新鮮でした

557 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 21:33:35 ID:uuNWcgpt
キャロさん・・・(((;゜Д゜)))ガクガクブルブル
ヤンデレスキーなので好みでした、GJです

558 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 22:16:50 ID:YCWJwyX8
GJ!
普段おとなしい子がキレるとどう恐いかよく分かりました。

でも、しかしですね…失礼なんですが…
>>スカリエッティは「検査」と称して数々の実験を彼女に向けて行った。
こっちの方の詳細に興味がある私は破廉恥な男だ。

559 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 22:47:30 ID:fOF+yIoX
>>554

久しぶりのダークで体感温度がさがりましたw
GJです!

>>558
よう相棒。俺も気になっちまたぜw

560 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 23:08:50 ID:dMkIgpGY
マーベルゾンビーズってアメコミの紹介解説を読んでたら、
リリカルゾンビーズってのもありかなと思えてきた。
やぁ、もうBADENDまっしぐら以外の何者でもないけどなw

561 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 01:24:12 ID:SBhIiQi7
ガリューってライダー以外で何かにあてはまりそうだなぁ、と考えてたら、そういやスティングモンっぽい
もう片方が竜だし
ジョg

562 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 01:44:50 ID:mZ9bf/w0
>>561
あれ?俺がいる

563 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 01:46:17 ID:Q7uvWBl0
>>561
最終的には聖騎士になるんですね分かります

564 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 09:22:28 ID:c9fBg8LK
>>561
俺が常日頃から思っていた事を…

565 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 11:49:27 ID:+3ww075J
フェイト さぁん!

566 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 13:04:12 ID:bL42SMrW
キャロ「フリードリヒ!」

ルー「……ガリュー」

二人「「ジョグレス進化!!パイルドラm……」」



なのは「少し頭冷やそうか……」


こうですか?わかりません

567 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 14:27:22 ID:9JnrmlAK
その発想はなかったw

568 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 15:48:40 ID:bL42SMrW
スレチかも知れないがもう一つ考えた。


シャ「話って?」

キャロ「フリードにもデバイスが必要だと思うんです。」

シャ「竜のためのデバイス……面白そうね」






キャロ「デジメンタル アッー プ!フリード!アーマー進化……フレイドr」

なのは「少し(ry)」

ごめん。半年ROMる

569 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 15:54:21 ID:qGENLU/s
ちょっと面白かったよwww

570 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 16:55:15 ID:LevIZveS
最近26-111氏を見ないな
あの人の『涙腺決壊のいい話』→『それを(いい意味で)台無しにするエロい話』の
コンボが大好きなんだけど

571 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 17:05:06 ID:V1nsuh/v
>>568
>キャロ「デジメンタル アッー プ!フリード!アーマー進化……フレイドr」
なぜアッーで区切るwww

まあとにかく、
クロススレに返ろうぜ
|クロススレ避暑地|λ.....

572 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 17:12:05 ID:bL42SMrW
>>571

ヒント:ID

573 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 17:34:21 ID:G0rTTr/8
>>572
BLでSMだと?

574 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 18:39:14 ID:VrINOMwk
まさかの、なのはスレでデジモンネタがww

オメガモンの右手と左手がなのはのSLB&フェイトのザンバー・・・おk、ピンクの砲撃に晒されてくる!

575 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 18:42:53 ID:bL42SMrW
>>574
それで闇の書の意志に負けて両腕もげてフリードとガリューのジョグレスに大剣を与えるんですね。わかります。

576 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 19:07:18 ID:V4uDCKms
放送中はデジモンにしか見えなかったから、別段不思議でもないけどなw

577 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 19:08:22 ID:m4eULMAs
劇場版出るらしいぜ。

578 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 19:19:23 ID:V4uDCKms
そして続編はさらに3年後だとよ

579 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 19:21:34 ID:484ScFED
劇場版(1期パラレル)が2009年公開。
当面の燃料はコミケ販売のStS3年後ドラマCDの方になりそうか。

580 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 19:25:30 ID:Fq9cej97
客層考えると足を運ぶのをためらう劇場版。
ほしい人に行き渡るどころか、場の理念を無視したドラマCD。
作品的にはホントに好きなんだが、商業面でこんなことばっかりやられるとつらい。
作品は好きなんだ。好きなんだよ。哀しい。

581 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 19:25:52 ID:Kaxr8M2d
はっきり言って3年後見たら色々終わりそう…

582 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 19:38:36 ID:oY8T/pSQ
>>580
劇場版はまあ、DVD化までお預けだろうな・・・(´・ω・`)ショボーン
ドラマCDはフォワードたちが活躍するであろうドラマCDは物凄く期待しています

583 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 19:46:41 ID:G0rTTr/8
>>580
なぜためらうのか分からない
>劇場版

584 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 19:50:35 ID:f+IRBUML
>>583
年齢だろう
なのは好きな人って年齢高い人多いからな
ためらうのも分かる

585 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 19:59:36 ID:Kaxr8M2d
3年後って言ったらもう22っしょ、流石に3人娘の一人ぐらいは嫁に行っちゃうでしょ
まぁなのはか?妥当なとこだと、そうっすっと流石にママに魔法少女はタイトルに誤りアリじゃn…

586 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 19:59:55 ID:xuCr16IP
とりあえず、バルディッシュが名実共に“閃光に戦斧”になった。
名前見た瞬間懐紙吹雪が待って「これで涙を拭きなさい」という声が(r

587 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 20:00:38 ID:MkXKdLIj
普通の見た目女の子向けかオタク向け丸出しふうにみえるから、
入ろうとしたら相当勇気がいる。

588 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 20:04:37 ID:bL42SMrW
>>584
グレアムさんの事かー!

589 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 20:11:09 ID:Fq9cej97
>>588
ここはレジアスだろ。

というわけでなのレジまだー?

590 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 20:13:37 ID:G0rTTr/8
>>585
奥さまは魔法少女というものがあってだな

591 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 20:18:11 ID:HCqYSvdb
>>585
間違いなく誰も結婚してないと思うよ
そういうアニメじゃない

しかしドラマCDなのはさんたち出ないらしいね……
燃料になるんだろうか……

592 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 20:26:14 ID:V4uDCKms
>>591
新規男キャラがティアナと絡みあるっぽいし、期待して良いんじゃない?

で、劇場版発表記念に
映画館の暗がりに乗じて……なSSはどうした

593 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 20:34:31 ID:1h7bx2qp
と言うかさ、19と言う時点で既に少女と名乗るのはチョット……
おや、珍しく来客の様だな

594 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 20:39:55 ID:QEnR7ycd
エリオが主人公のガンダムX的な純愛ストーリーになると思ってたのに、残念だ。

あれ、エリオが主人公の物語妄想してたのオレだけ?

595 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 20:43:46 ID:m4eULMAs
>>585
男なんて作ったら売り上げ落ちちゃうじゃん。
オタクにはどんどん金落としてもらわないと。

596 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 20:47:36 ID:eDvMvmZf
なんか劇場版という単語がチラホラ見受けられるが、
どこの情報だ?

597 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 20:48:32 ID:NAOs+h4r
>>596
メガマガ

598 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 20:50:20 ID:xuCr16IP
キャロも13歳か。大きくなったなぁ・・・・・・ルーは出てくるんだろうか?

599 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 20:51:12 ID:yi50AHYo
>>595
金の卵をドブに捨てるような行為だよなw

600 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 20:54:03 ID:gQ+gCY06
ttp://www.vipper.org/vip884815.jpg
これ

601 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 21:12:03 ID:eLdOgYS2
つかドラマCDは三人娘は出て来ない
せいぜいティアナ達の会話に上るかも?くらいだろう

しかしさ、はやてと八神家は今ひとつ扱い悪いまま終わるような・・・ orz

>>594
俺もちょっと期待してたが、まあ萌えアニメだしなー
ドラマCDでそれなりの活躍があることを期待しよう

602 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 21:26:49 ID:8yd9FrOI
ヴィヴィオはユーノに師事してるっぽいな

603 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 21:32:00 ID:PM8g47f5
>>602
公式で黒歴史化するだろうユーノよりましだろ。

604 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 21:35:02 ID:8yd9FrOI
一応フェレットモード(少しリアル化)とレイハ待機モードの画像があるんだけど

605 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 21:35:38 ID:yNwiu6ZH
実際、パラレルだと言われても、どこまで崩すつもりなんだろうな?

606 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 21:39:53 ID:f+IRBUML
>>602
周りに本が浮いてるってだけでそういうのは早いような

ってかここはエロパロスレなんだし、劇場版やSSの話はこれくらいで止めた方がいいんじゃないか

607 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 21:40:36 ID:Fq9cej97
舞-HiMEと舞乙-HiMEくらい。

608 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 21:49:10 ID:eLdOgYS2
パラレル劇場版がりりかるふぇいとだったら面白いのに

609 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 21:49:32 ID:G0rTTr/8
マシロくんかわいい

610 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 22:06:32 ID:I8Lxd5k5
>>594
あなただけじゃない!俺もマジで期待してた派
でもドラマCDの方で活躍していたら満足


611 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 22:20:12 ID:23ETHprS
>>608
普通にパラレル話だったらDVD待ちだけどそれだったら
周りにどんな白い目で見られても劇場まで足を運ぶぜww

612 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 22:21:34 ID:Kaxr8M2d
同時上映ユーノ君の6課潜入日記
   〜聞こえるかスネーク〜

613 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 22:21:34 ID:8yd9FrOI
そういやセインはシャッハ繋がりで教会にいるのはわかるが
オットーとディードがいるのは意外だ
ルーも監察期間解けてミッドにいるのかね
アギトがいるし

614 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 22:25:42 ID:FKJJt65L
誰でもいいから現在判明している情報を箇条書きにしてくれ

615 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 22:28:45 ID:V4uDCKms
・続編ドラマCD
 舞台はStSから3年後(開始時からか終了時からかは不明)
 夏コミで先行販売

・劇場版
 1期のパラレル
 2009年放映

616 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 22:39:44 ID:Fq9cej97
おおっ。先行販売なのか。
ふう、コミケオンリーだったらどうしようかと思ったぜ。
企業ブースに行ってる暇なんてないからなw

617 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 23:48:19 ID:SBhIiQi7
シャッハ「今日からこの教会で勤めることになった3人です」
セイン「シスター・セインです」
オットー「シスター・オットーです」
ディード「シスター・ディードです」
シャッハ「皆さん仲良くしてあげてくださいね」
はやて「一人多いで」
シャッハ「え?」
謎の美人修道女「シスター・エッティです」
はやて「逮捕」

618 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 23:51:41 ID:bL42SMrW
>>617
いつ脱獄したwwww

619 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 00:28:54 ID:BZDgLIEf
ttp://up2.viploader.net/pic/src/viploader722079.jpg

ドラマCDの内容

620 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 00:37:52 ID:lrG1O0jw
>>619
画像見て即効ヴォルティアなんて浮かんだ俺は終わってるな

621 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 00:40:18 ID:HnlZQbD5
>>620
ヴォルがヴォルテールの事と思った俺よりマシ

622 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 01:03:42 ID:xG9PccqN
>>619
なのはさん枕のエロさ最高潮だな。

623 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 01:22:04 ID:BZDgLIEf
ナンバーズの戦闘服が新しくなってる。

624 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 01:42:39 ID:bfO/EIA4
↑物凄く確認しづらいな。
確認できるのはルーの日常らしき姿と更正組みのシスター服姿…?
後はバスタオル位かwww

625 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 01:46:49 ID:DgYMzzeX
もう、エリキャロは確定っぽいな。
いいこといいこと。

626 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 02:04:22 ID:R7oRZSyc
ウェンディが半袖っぽいのと、ノーヴェがハイレグ+ニーソっぽい。
教会組は、セイン、ディードはシスター服だが、オットーはギャルソン風?

627 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 02:32:06 ID:L0j7h0EZ
ええい!
竿要員は一名しかプラスされないのかッッ!?

ということ位しか頭が働きませんorz

628 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 02:38:25 ID:xG9PccqN
>>627
翠屋的にはおkじゃね

629 名前:562:2008/07/29(火) 07:32:45 ID:xC9aWxu8
おはようございます。朝から投下。
でも自分は仕事が終って帰ってきたところ。凄く眠いです。


注意事項
・一応は1期の再構成になります
・高町家がアニメより、原作に近い設定になってます
・非エロ
・キャラの性格が酷い事になってます
・タイトルは『魔法少女リリカルふぇいと』


630 名前:魔法少女リリカルふぇいと:2008/07/29(火) 07:33:47 ID:xC9aWxu8
え〜と、ユーノです。うん。今回も僕なんだな。
まあ、フェイトは呆然としちゃってるから、仕方が無いといえば仕方ないんだけど……

「待ちなよ小僧!」
「うわあぁぁぁ!」

正直言わせてもらえば、僕もリアルに追いかけられてる最中で余裕がありません。

え? 何か新しい人が出てきた? 
知らないね!


とにかく魔法少女リリカルふぇいと始ります!

第8話

今度は貞操の危機かよ!



631 名前:魔法少女リリカルふぇいと:2008/07/29(火) 07:35:01 ID:xC9aWxu8
クロノ・ハラオウンは、転移早々ラウンドシールドを展開し、白い服の少女の砲撃を受け止めた。
正直な感想は「止めとけばよかった」である。2度と受け止めたくない馬鹿魔力だった。
だが、彼は執務官。子供の砲撃でダメージを受けましたなど口が裂けても言えない立場だ。
何とか痺れる手を誤魔化しながら、自分が時空管理局の人間であることを伝える。

「時空管理局のクロノ・ハラオウンだ!」

自分を観察するように見つめる少女から目を逸らさず、毅然として言い放つ。
取りあえず、この戦闘の理由とロストロギアとの関係を聞かなければならない。

「話を聞かせて貰…」
「死ぃねぇなぁのおぉぉぉぉっ!」
「おぉぉぉぉぉっ!?」

突如、襲い掛かってくる桜色の光弾をラウンドシールドの展開して受け止める。だが光弾は先程より
小さいが誘導されラウンドシールを避けて側面から襲い掛かってきた。

「ちょっと待て…って、ちっ!」
『Stinger Snipe』
「スナイプショット!」

話をしようにも攻撃を受けた以上は対応しなければならない。とっさにスティンガースナイプを撃つ。
同じ誘導弾でも、弾速の速いスティンガースナイプは、なのはのディバインシューターを
幾つも砕きながら突き進む。

「このぉっ!」

その光景に怒りを増した、なのはは、発射速度の速さを頼り、さらにディバインシューターを増やし
攻撃を加える。
瞬く間に水色の光弾を桜色の光弾が覆いつくす。なのはは自分の圧倒的な有利を実感したが、時間が
進んでも水色と桜色の比率は変わらない。否、むしろ桜色が減っている。

「なんで?……なにアレ!?」

クロノが放った誘導弾は、魔力が尽きかけると空中で螺旋を描き、魔力を再チャージしていた。
そして、チャージが終ると再び息を吹き返した獣のように襲い掛かる。


632 名前:魔法少女リリカルふぇいと:2008/07/29(火) 07:36:05 ID:xC9aWxu8
「ずるい!」
「何がだ!」

ずるいと言われようが、そういう魔法なのだから仕方がない。むしろクロノに言わせれば次々と
光弾を生み出す、なのはの呆れる程の魔力量の方が反則だ。
どちらにせよ2人の魔法は、射程と操作性は互角。ディバインシューターは、なのは自身の膨大な魔力
で生み出される圧倒的な数で有利になるが、スティンガースナイプは威力と途中での回復でその不利を
打ち消していた。

「さあ、大人しく投降しろ!」
「クッ! そうやって、わたしもフェイトちゃんみたいに……この変態めっ!」
「誰が変態だ!? そもそも何を言ってる!?」
「白々しいのよ! レイジングハート、シューティングモード!」
『all right』

レイジングハートが形を変え、桜色の翼を生やす。

「全・力・全・壊!」
『Divine Buster』
「いや、ちょっと……」

どう見ても、先ほど受け止めた砲撃より威力がありそうだ。今度はラウンドシールドでも耐え
切れそうにない。
また、ブレイズキャノンで相殺しようにも、なのははチャージしながら、未だにディバインシューターを制御している。
逆にクロノはスティンガースナイプを制御しながらブレイズキャノンを撃つほど器用ではない。
いや、可能にしている、なのはの方が異常なのだ。

「化け物か?」
「失礼な! 本気で死んじゃえ! シュートッ!」
「ちょっ!」

回避しようにも、後ろには、さっきからボーっと戦闘を見ている金髪の少女、フェイトがいるから
自分だけ避けるのは立場上拙い。
何とか彼女も一緒にと、後方に下がり、フェイトの肩を抱いて離脱を図ると……


633 名前:魔法少女リリカルふぇいと:2008/07/29(火) 07:37:07 ID:xC9aWxu8
「ヤアァァァァァァァッ!」

それを見た、なのはが絶叫する。砲撃も途中で止めてしまうほどのショックを受けていた。

「き、汚い手でフェイトちゃんを触った上に人質に!……何て卑劣な!」
「ちょっと待て! 今のは彼女ごとやる気だったはずだ!」
「くっ! そうやって、言葉巧みにフェイトちゃんを騙したのね!」

相変わらず無茶苦茶だが、それも無理はない。何しろ彼女は、なのは・テスタロッサなのだ。

「フェイトちゃんを放せ! 変態!」

そう叫びながら、ディバインシューターを放つ。人質はどうしたんだとツッコミたいが、なのはには
何を言っても無駄である。

「いや、まずは話を聞かせて……」
「お話? やっぱり攻撃する気だ!」
「何でそうなる!?」
「お話聞かせてって言ったじゃない!」

お話=攻撃。なのはらしい思考ではあるが、クロノにとっては理解不能な言動だった。
だが、現状で分かるのは、目の前の少女の目が普通では無いこと……

「どうやら、正気を失ってるようだな……だったら、目を覚まさせてやる!」

何やらデジャビュを感じる思考で結論を下すと、距離をとりながらスティンガーレイを撃つ。
速度とバリア貫通能力のある魔法だが、なのはの展開したラウンドシールドはビクともしなかった。

「正体を現したわね変態め! フェイトちゃんを使って何を企んでるの!?」
「訳の分からん事を……相当、錯乱してるな。薬でも使われてるのか?」

もう、互いに誤解し合い、話しにならないでいた。というか、幼女と執務官が同レベルの思考とは
大問題である。
だが、思考は兎も角、身体は無駄に動きが良く、距離を取るクロノをなのはが追い掛ける。


634 名前:魔法少女リリカルふぇいと:2008/07/29(火) 07:38:10 ID:xC9aWxu8
「逃がさない!」
『マスター、落ち着いてください。むしろ離れた方がマスターに有利です』
「でも、あの人、フェイトちゃんを人質に……離れたら逃げちゃう!」

なのはは、この悪党(時空管理局の人間と名乗ったことなんか聞いてません)から一刻でも早く
フェイトを取り戻したいと焦っていた。
さらに加速し、追いかけてると突然湧き出した水色の鎖に身体が拘束されてしまう。

「バインド!?」
「掛かった」

設置したディレイドバインドになのはが拘束されたことを確認すると、素早くデバイスをなのはに
向ける。放つのはクロノが最も信用する砲撃魔法。

「これで終わりだ!」
『Blaze Cannon』

熱量を伴う砲撃魔法が、身動きの出来ないなのはを覆った。
非殺生設定とは言え、威力Aを誇る砲撃を子供に直撃させる事に対する気まずさは有ったが……

「熱っ!」
「あれ?」

……無傷だった。それどころか、熱いと言いながらジタバタしている。

「熱いじゃないの!」
「いや、ちょっと待て! 直撃喰らっといて何で熱いで済むんだ!?」

非常識な防御力に頭を抱えたくなる。

「もう絶対に許さない!」
『マスター、冷静に戦ってください』
「いやなの! 潰すの! 生まれてきてゴメンなさいって言わせるの!」
『……マスター』


635 名前:魔法少女リリカルふぇいと:2008/07/29(火) 07:39:23 ID:xC9aWxu8
クロノは自分に向けられる殺気が膨れ上がるに従い、無意識にフェイトを抱く腕の力が強まっていた。

「痛っ」
「あ、済まない」

死を覚悟していたフェイトは、生き延びた上に、目の前で繰り広げられる高レベルの戦闘に呆然と
していた。だが、自分を抱く腕の力に痛みを感じ、声を洩らすと共に正気に戻った。

「いえ、その、大丈夫です」
「そうか、悪いが今は状況が状況だ。手荒な扱いになるかもしれないが、許してくれ」
「へ、平気です」
「そう言ってくれると助かる」
「は、はい……」

フェイトは自分を抱く力強い腕に包まれているのを感じ、頬を染めながら頷く。
何となく傍から見たら石を投げたくなる光景だが、ここに居る少女は石を投げる程度では済まない
タイプだった。
そのなのはは、目の前の光景、愛するフェイトが自分以外の相手、しかも男を見ながら頬を染めている
表情を見て、体がビキビキと震え始めた。

「お、お、お、お……」
「お?」
「おみゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」
『マスター!? アルフ、来なさい! マスターが御乱心です!』
「やあぁぁぁぁぁっ! フェイトちゃんがリアルタイムで騙されてるぅぅぅ!」
『だから、落ち着いてください! マスター!』

ジタバタと暴れだす、なのはを見ながら、クロノは少なくとも、こちらは話が通じそうだと考え、
フェイトに問いかける。

「なあ、君達は友人か何かか?」
「恋人なの!」
「アカの他人です」
「いやあぁぁぁぁっ! フェイトちゃんが悪い男に騙され、心にも無い嘘を!?」
「ああ言ってるが?」


636 名前:魔法少女リリカルふぇいと:2008/07/29(火) 07:40:39 ID:xC9aWxu8
クロノは、なのはを指差しながら確認を取るが、フェイトは迷いなく答える。

「変なんです。あの子」
「にゃあああぁぁぁぁっ!」

なのはは涙を流した。フェイトの口から出た悪意ある言葉に。
確かに、自分にそう言われた事が辛かったというのもある。だが、それ以上に心にも無いことを
言わされているフェイトの事を思うと胸が張り裂けそうだった。

「ゴメンねフェイトちゃん。昨日わたしが目を離したばかりに、あの男に洗脳されたんだね。
 ……でも、もう大丈夫。わたしが、ここで、その変態を、殺すから!」

なのはは愛の戦士と化して、恋人を操る悪人の抹殺を宣言する。
だが、フェイトには愛は届かなかった。

「ほら、また変なこと言ってます」
「たしかに変な子だな」
「そうなんですよ」
「うにゃあぁぁぁぁっ! ディ、ディバインシューター!」

これ以上、フェイトの口から悪意ある言葉を出させるわけにはいかない。再びディバインシューターで
クロノを襲うが、先ほどと同様、スティンガースナイプで迎撃される。
いや、むしろ先ほどよりも動きが単調で、クロノの迎撃を容易にしていた。

『マスター、動きが単調です。冷静に』
「きるゆー! ですとろぉぉいっ!」
『………………』

駄目だった。なのはは聞く耳を持たない。ならばとレイジングハートは自分で光弾を1つ操り、
そっとクロノの背後に回した。

『もらいました』

クロノは、正面から襲うディバインシューターの弾幕に気を奪われている。
確実に当たると思われた一撃が、背後から牙を向いた。


637 名前:魔法少女リリカルふぇいと:2008/07/29(火) 07:41:53 ID:xC9aWxu8
「フォトンランサー」

だが、クロノに抱きついているフェイトが放った射撃魔法が、レイジングハートの操る光弾を
破壊し、クロノを守った。

「すまない。助かった」
「いえ、そんな……」

背後からの攻撃に気付かなかったクロノが感謝の言葉を延べ、フェイトは嬉しそうに言葉を返す。
その悪夢のような光景に再びなのはの絶叫が木霊する。

「うにゃあぁっぁぁぁぁ!」
『マスター、その……』
「もう我慢できないの……これ以上、フェイトちゃんが操られるところを見てられないよ!」

ジャキッとレイジングハートを2人に向けると、宣言する。
もう、こうなったら仕方が無い。フェイトごとディバインバスターで吹き飛ばす。

「フェイトちゃん、ちょっとだけ痛いの我慢できる?」
「はい?」
「非殺生設定だから大丈夫! 行くよ! ディバインバスター!」
「ブレイズキャノン!」

なのはの砲撃に合わせ、クロノもブレイズキャノンで応戦する。
桜色の光と水色の光が衝突。だが均衡は一瞬。すぐに桜色の光が水色の光を飲み込んで、フェイトに
迫ってきた。

「―っ!」
「大丈夫」

元よりブレイズキャノンで相殺できるとは思っていなかった。クロノにとって均衡は一瞬でもあれば
良かったのだ。その瞬間にディバインバスターの射線から抜け出す。
だが、フェイトは、迫る巨大な光への恐怖を感じるところに、急激な移動の衝撃に驚き、とっさに目を
瞑ってクロノにしがみ付く。
そして、それは意外な効果を現した。


638 名前:魔法少女リリカルふぇいと:2008/07/29(火) 07:42:59 ID:xC9aWxu8
「にゃあぁぁぁぁ! フェ、フェ、フェ、フェイトちゃぁ〜〜〜ん!」

愛する少女が、騙されてるとは言え、悪い男に抱きついているのだ。正に悪夢以外の何物でも
無かった。

「フェイトちゃん! 離れて! その人から離れて!」
「……へ?………ん? ご、ごめんなさい!」

フェイトも、今の状態を把握すると、顔を真っ赤にしてクロノに謝る。
だが、なのはにとっては、それすら許しがたい光景だった。そもそも自分以外の人間と甘ったるい
雰囲気を出してはいけない。

「フェイトちゃんダメェェェェッ!」

なのはが頭と腕をブンブン振りながら絶叫する。
だがフェイトは、その様子を見ると、ある誘惑に駆られた。今なら、なのはにダメージを与えられる。
つまり、逆にクロノに寄り添いながら笑みを浮かべる……ニヤリと。

「ふえぇぇぇぇ〜〜ん!」

そして、とうとうなのはは泣き出してしまった。
それを見たフェイトは、心の中でガッツポーズをする。会心の一撃だった。

「何なんだ?」

今ひとつ状況が掴めていないクロノが呆然としてると……

「うわあぁぁぁぁ!」
「待ちやがれ!」

追いかけっこをしていたユーノとアルフが現れた。
そしてクロノの視線が、逃げる少年、ユーノに釘付けになる。

「あれは?……」
「わ、忘れてた」


639 名前:魔法少女リリカルふぇいと:2008/07/29(火) 07:44:31 ID:xC9aWxu8
フェイトは、ユーノがアルフに追いかけられている最中だった事を思い出し、顔を青くする。
半泣きで逃げ回るユーノを見ると、さすがに罪悪感があった。

「この! いい加減に……」
「スティンガーレイ! スティンガースナイプ! ブレイズキャノン!」

ユーノを罵倒した時、いきなり容赦の無い攻撃がアルフを襲った。

「キャイン!」
「ア、アルフゥゥゥゥゥッ!?」

泣いていた、なのはも、慌ててアルフに駆け寄る。

「アルフ! しっかりして!」
「な、な…の…は……」
「アルフ!」
『気を失いましたね』

そして、アルフに攻撃したクロノは、ユーノの前に降り立つと抱えていたフェイトを離す。
自分の足で立ったフェイトは、走り疲れて、ぐったりとしてるユーノに声をかける。

「ユーノ、大丈夫?」
「う、うん……」

ユーノは、正気に戻っているフェイトの様子に安心しながらも、自分の事をジッと見ている見知らぬ
少年を警戒した。何故か初めて見るはずの彼に、ユーノは嫌悪感を抱いていた。

「あの……」
「時空管理局のクロノ・ハラオウン執務官だ」

冷静な、感情を表に出さない冷めた声。だが、時空管理局の名前に驚く。

「管理局! それも執務官って!」
「君は事情に詳しそうだな。後でジックリと話を聞かせてもらおうか」
「は……はい」


640 名前:魔法少女リリカルふぇいと:2008/07/29(火) 07:45:37 ID:xC9aWxu8
そして、クロノはユーノから視線を外すと、こちらを睨んでいる、なのはと向き合う。

「さて、もう一度だけ言おう。投降してもらおうか」

なのはは、妙に冷めた頭で、その声を聞いていた。
同時に自分の身体の異変を感じていた。お腹が冷える。身体が震えて力が入らない。頭の回転が悪い。
それでいて胸が熱い。そんな、初めての経験に戸惑う。
一方、レイジングハートは、主の異変の理由を察していた。それは激しい怒りと恐怖。そして高揚。
フェイトを奪われ、アルフを傷付けられた怒りと、初めて自分と互角に戦える敵と戦える喜びが
合わさり、なのはの幼い脳を乱しているのだ。
その状態での戦闘は拙い。魔法戦では冷静な判断力は不可欠だ。ただでさえ、怒りで単調な動きに
なっているのに、今のままだと勝ち目は無い。
だが、幸か不幸かアルフが負傷した。非殺生設定での攻撃だったため外傷は無く、寝てれば回復する
程度のダメージだが、なのはに撤退を促す理由にはなる。
そして、念話で撤退を勧める。

『マスター、撤退をしましょう』
『で、でも……』
『アルフの治療が先決です』
『……そ、そうだね。わかった』

気絶したアルフを見て、なのはも頷く。
怪我をしてないことが判らないほど、今のなのはは、判断力を欠いていた。

『でも、どうやって?  あの人、こっち見てる』
『そこは簡単です。ほら、あの人間に変身した動物にディバインバスターを撃ってください』
『うん……』

突如、デバイスをこちらに向けた、なのはの行動を交戦続行の意思表示と判断したクロノは、
ブレイズキャノンの発射準備をする。
だが、ことらに向ってくると思われた砲撃は予想に違い、ユーノに迫った。

「え゛?」
「なっ!? くっ! ブレイズキャノン!」


641 名前:魔法少女リリカルふぇいと:2008/07/29(火) 07:46:41 ID:xC9aWxu8
クロノがブレイズキャノンでディバインバスターを逸らすように弾くと、続いて桜色の光弾、
ディバインシューターが大量に飛んできた。
綺麗に誘導されたものでは無い。弾幕の如き砲撃をラウンドシールドで受け止めると、爆炎が立ち上り
その衝撃に耐えながら続く攻撃を警戒する。

「………ん?」

だが、何時まで経っても動きが無い。それどころか、敵意が消え去る気配がした。

「逃げたか?……意外だったな」

これまでの言動から、使い魔が戦闘不能になった程度で逃げる性格とは思ってもいなかったため、
あっさりと逃してしまった。
当事者の片割れを逃し、不完全な任務になってしまったが、アースラと通信を開き、報告を行う。

「こちらクロノ。片方には逃げられました」

フェイトは、クロノが最初と違い、何故かユーノが来てから態度が険しくなった気がしていた。
そして、不思議に思いながら見ていると、空間から女性の映像が現れた。

『ご苦労さま。逃げられたのは仕方が無いわ。そちらの2人に同行を願えるかしら?』

その、優しそうな女性が笑顔でそう言うと、クロノはフェイトとユーノに向き直り、勤めて事務的な
態度で言葉を発した。

「悪いが、話を聞かせてもらいたい。アースラまで同行を願えるか?」
「アースラ?」
「僕たちの母艦だ。現在は次元空間内に待機している」

フェイトは、訳がわからないまま曖昧に頷き、黙って付いて行くしかなさそうだと感じた。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇



642 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 07:47:23 ID:AI2+cCSU
支援

643 名前:魔法少女リリカルふぇいと:2008/07/29(火) 07:48:53 ID:xC9aWxu8
フェイトはアースラの艦内に案内され、そこで、先ほどの映像の女性、艦長であり、クロノの
母親でもあるリンディ・ハラオウンに時空管理局という組織について話を聞いていた。
ユーノからも、大まかには聞いたことがあった気がするが、話が大きすぎたので気にしないことに
していたのだ。
しかし、その組織の人と顔を合わせた後もスルー出来るほど図太くは無い。
大人しく話を聞き、今度はこちらからも事情を説明する。もっとも主に説明したのはユーノの方で、
フェイトは時折質問されたことに答える程度であった。

「……そう。偉いわね」

話を聞き終えた、アースラの艦長、リンディ・ハラオウンが優しくユーノを褒める。

「だが無謀すぎる。君は自分で解決しようとしたようだが、失敗したときの事を考えなかったのか?
 現に民間人を巻き込んでるじゃないか。しかも、魔法とは関係の無い少女をだ」
「……すいません」
「あ、あの……私が手伝うって言ったんだし……」

だが、リンディと違い、クロノの辛辣な言葉がユーノを責める。
俯いたユーノをフォローしようとフェイトが口を挟もうとするが、クロノに睨まれ言葉を続ける事が
出来なかった。
先ほども感じたが、クロノはユーノに対して厳しい態度を取ってるようにフェイトには思えた。

「クロノ執務官。言いすぎです」

それに対し、リンディが代わって口を挟む。だが、その強い口調にクロノは怯むことなく反論する。

「ですが、ロストロギアの被害を考えれば、やはり彼の行動は認められません。あの力、間違いなく
 一級のロストロギアです。この世界が無くなるだけでは済みません」
「そうね。そして、そのロストロギアを発見したのが、幸運にも悪意ある犯罪者ではなく、善良な
 スクライア族の少年だったことは僥倖でした」
「それは……たしかに」

今度は確実にクロノを黙らせることに成功した。
何時、誰が、どんな形で発見するのか分からないのがロストロギアだ。いくら危険な物だから管理局が
管理すると言ったところで、その力に魅入られ私有する者は後を絶たない。

644 名前:魔法少女リリカルふぇいと:2008/07/29(火) 07:49:55 ID:xC9aWxu8
その点、スクライア族は管理局にとって信用できる相手だし、その相手の好意を当然の事と思い込む
クロノの言動は傲慢との誹りを免れるものでは無かった。
そして、そのような態度こそが管理局が必要とされながらも反発を受ける一因でもあるのだ。

「すまない。言い過ぎた」
「いえ」

クロノが謝罪し、ユーノがそれを受け入れる形になったが、それでもクロノの表情や声は硬く、
重い空気を纏わせ、同時にフェイトに違和感を与えていた。

「ところで」

そして、話を切り替えるようにリンディが手を叩いて声を上げる。

「今後の事なんだけど、普通なら後のことは管理局に任せて、貴方達は普段の生活に……って、
 言いたいところなんだけど……そうも行かないわよね?」
「え?」

リンディが自分とユーノを見ながら話を止めたのでフェイトは首を傾げる。

「クロノ、貴方はどう思う?」
「その魔導師、なのは・テスタロッサが狙っている以上、保護すべきです。彼女の馬鹿げた我侭に
 彼等が犠牲になる理由はない」
「そうね。そういうことで、事件が片付くまで貴方達はアースラで生活してもらう事になるけど
 良いかしら?」

フェイトに拒否する理由は無かった。むしろ、なのはと互角に戦え、しかも背後にも巨大な戦力を持つ
者に守られるのだ。昨日までの絶望的な状況から考えれば夢のような幸運と言えた。
それにクロノが、積極的に守ると言ってくれた事が嬉しかった。冷たい態度が気になるが、それでも
つい先ほどまで守られて頼もしく思っていたのだ。
だが、ユーノがどう思うかが気になり、安易には返事できずに言葉を濁す。

「わ、私は良いですが……」
「僕も構いません」
「では、お願いします」

645 名前:魔法少女リリカルふぇいと:2008/07/29(火) 07:51:00 ID:xC9aWxu8
ユーノがOKならと、フェイトも安心して返事する。
しかし、どうもユーノとクロノは相性が悪そうだ。これから先、大丈夫なのかと不安になりながらも、
今後のことを聞くことにする。
保護してもらうにしても、フェイトは子供なので、どう親に相談するかも問題なのだ。

「それに関しては、考えがあります。フェイトさんのお家ではユーノ君は飼い主が不明のフェレット
 という事になってるのでしょう? だから、私がユーノ君の本当の飼い主という事にしては
 どうかしら? ちなみに私は大金持ちの外国人を装って」
「でしたら、アレックスとランディを従者として連れて行った方が説得力がありますね」
「あら、良いわね」

リンディがフェイトとフェレット形体のユーノと一緒に高町家に挨拶に行き、ユーノを助けてくれた
礼をしたいから、家に招待したいと申し出る。
まあ、いきなり外国に招待すると言われても難色を示すだろうが、その辺はリンディの口車で
何とでもなる自信はあった。

「まあ、そもそもの目的は例の魔導師からフェイトさんとユーノ君の身を隠すためだし、何でしたら
 本当にご家族と一緒にバカンスをしてもらっても良いのだけど、どうかしら?」
「あ、いえ、家は商売やってますから……」

バカンスの申し出を断りつつも、方法はリンディに任せる事にする。
管理局の仕事は細かい部分までは分からないが、こういった事にも対応できる組織なのだろうと
判断していた。
そして、準備をしてくると言ってリンディとクロノが席を立つと、フェイトは、ユーノと2人きりに
なった。そこでフェイトは改めてユーノの姿の事をについて確認したいと考えた。

「えっと……ところで、その姿……それが?」
「うん。これが本当の姿なんだけど……そう言えばマッチョって、何の事?」
「いや、それはその……気にしないでくれると助かる」
「まあ、別に良いけど」
「アリガト」

そして、奇妙な空気が流れる。フェイトとしては、今まで動物だと思っていた相手が人間だと分かり、
どう接すれば良いか、迷っていたのだ。
一方のユーノも、そんなフェイトの空気を察し黙り込んでしまう。

646 名前:魔法少女リリカルふぇいと:2008/07/29(火) 07:52:28 ID:xC9aWxu8
「そ、そうだ。ところでクロノって人と何かあったの?」

この奇妙な沈黙を打破したいと、もう1つの懸念を聞いてみる。
何故、クロノが、ああもユーノに冷たいのか不思議だった。

「知らないよ。初対面だし。ただ……気に入らないタイプ」

不愉快そうに顔を歪めるユーノを見ながら、気まずい思いをする。
フェイトとしては、クロノには感謝してが、実は未だに礼を言ってない。
礼を言おうにも、クロノとユーノの間で微妙な空気を作り出すため、声をかけ難かったのだ。
この変な空気を何とかしたいと思い、まずはユーノの態度が軟化して欲しい願いながら話しかける。

「で、でも助けてくれたよ。ユーノだって、狼に襲われてたところを」
「そうだけどさ……なんか嫌な雰囲気なんだよね。こう気持悪いって言うか……」
「そうかな? 厳しいけど悪い人じゃないと思うけど……」

そう言えば、何処と無く兄と雰囲気が似てると思っていると、リンディが戻ってきた。
高そうな雰囲気の衣装を纏い、左右にはホストのような青年を従えている。

「それでは行きましょうか。フェイトさん、案内をお願いできるかしら?」
「はい」

家に戻るフェイトとユーノにリンディがアレックスとランディを従え続き、その後方をアースラに
残るクロノとエイミィが続いた。
そして、残るクロノに挨拶しフェイトの家に向う組が転送ポートに入った時、クロノと一緒に
エイミィがクロノの横で囁く。

「暫くだけど一緒に生活できる事になって良かったね。あの子、クロノ君の好きなタイプでしょ?」
「なっ!?」

だが、その声は囁き声と言うには大きく、転送の魔法の光に包まれるフェイト達の耳に届いていた。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇



647 名前:魔法少女リリカルふぇいと:2008/07/29(火) 07:53:31 ID:xC9aWxu8
エイミィの言葉にクロノは顔を真っ赤にする。
図星ではあるが、この事実を聞かれては拙いと慌てて否定する。

「エ、エイミィ! べ、別に僕は!」

だが、転送ポートを見ると、すでに転送された後で、そこにはリンディ達はいなくなっていた。
否定するタイミングを逸して、戸惑っているとエイミィが悪戯っぽく笑い出した。

「いやぁ〜。ホントにビックリだよね。あそこまでクロノ君の趣味、ど真ん中だなんて」

そう良いながら、映像用のデバイスを操作し、そこに映ったユーノを指差す。

「まあ、たしかに可愛い子だよね。半ズボンが似合う」

そう、クロノの好みは半ズボンは似合う美少年だったのだ。

「それにしても大変だったでしょ? ユーノ君を見て、にやけそうになるのを我慢するの」
「べ、別に……にやけてなんか……」
「そう? ユーノ君を見るたびに、顔が緩むの我慢して、しかめっ面してたじゃない」
「チ、チガウ」
「ふ〜ん、じゃあ、この映像記録はいらないのね?」

エイミィの挑発的な笑みに、クロノは慌てて首を振るとエイミィの狙いを知り口を開く。

「いくらだ?」
「毎度〜♪」

クロノ・ハラオウンとエイミィ・リミエッタ。能力は優秀だが、性格に問題がある執務官と、
その補佐であった。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇



648 名前:魔法少女リリカルふぇいと:2008/07/29(火) 07:54:32 ID:xC9aWxu8
転送が完了し、公園に立った時、フェイトの顔は耳まで真っ赤になっていた。

(こ、好みのタイプ……私の事だよね?)

違うのだが、今の状況でフェイトがそう思うのも無理はない。むしろ事実を見抜くほうが変だろう。
まあ、とにかくフェイトは勘違いとはいえ、改めてクロノのことを考えた。
今日、初めて会ったが、颯爽と現れ守ってくれた。しかも相手は、最近フェイトを悩ませ続ける悪魔
なのは・テスタロッサ。彼女と戦いながら自分を抱きしめていた腕の感触を思い出す。

「あう……あう……」
「フェ、フェイトさん?」

隣で声をかけるリンディに気付かず、頬を染めて自分の肩を抱きしめる。そうやって、あの時の
感覚を反芻していた。

「そ、そうか!」

そして、もう1つの事実(?)に辿り着く。
クロノがユーノに厳しい理由、それは嫉妬だ。好みの子(フェイト)と一緒に居る少年が
気に入らなくて、冷たい態度を取ったのだとすれば、全て説明がつく。

「え、えっと……」

そして、ユーノの顔を盗み見る。彼がクロノに辛く当たられたのは自分が原因なのだ。少し罪悪感が
湧いた。いや、彼もクロノを気に入らないと言ってたし、もしかするとユーノも自分に好意を持ち、
クロノの気持に気付いてライバル心を持ったのかもしれない。

(ま、まさか、これが乙女ゲームの世界?)

思えば、今日の夕方まで地獄だった。なのはに愛の告白をされ、終には学校で変な目で見られた。
死のうと思っていたところだったのに、今ではお姫様ポジションである。
神様は自分の事を見捨てなかったのだと、フェイトは心の中で涙した。

「え、えっと……」


649 名前:魔法少女リリカルふぇいと:2008/07/29(火) 07:55:37 ID:xC9aWxu8
一方、リンディはフェイトの誤解を、ほぼ正確に悟っていた。
そんな彼女が取る道は1つ……

「フェイトさん……さあ、ご家族に挨拶に行きましょう。今後も家族同士の交流をしたいし……」
「は、は、はい!? か、家族って!?」
「いえ、ただ、私、フェイトさんみたいな娘が欲しいと思っただけで……」

……リンディは悪魔に魂を売った。
しかし、別に楽しんでるとか、そんな訳では無い。考えても見て欲しい。自分の1人息子がショタコン
だったらと。
彼女にしてみれば、幼くして猫姉妹の下で修行をし、士官学校を卒業した自慢の息子が、帰ってきたら
ショタコンになっていたのだ。そのショックは大きい。
ならば、僅かでもノーマル趣味に近付く可能性があれば、縋りたくもあろう。
そして、フェイトは幼いが、これから先が楽しみな容姿をした少女だ。彼女に頑張ってもらおうと
後押しをするのも、親として当然だろう。まあ、人としては間違ってるが。

「では、ユーノくんはフェレット姿に戻ってくれます?」
「は、はい」

そして、当初の予定通り、ユーノをリンディのペットとして扱うという名目を盾に、ライバルに
なる可能性のある人物の抹消を図る。今後も出来る限りフェレット姿でいさせようと決意していた。

「では、行きましょうかフェイトさん」
「はい……こっちです」

フェイトはリンディの言葉に顔を真っ赤にしながら、2人並んで歩き始める。
そして、ランディとアレックスは、その後ろ姿を見ながら、フェイトの勘違いやリンディの狙いを
悟り、心の中で憐れな少女を思い、そっと涙していた。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇



650 名前:魔法少女リリカルふぇいと:2008/07/29(火) 07:56:43 ID:xC9aWxu8
キリィ! キリィ! キリィ!

不愉快な音が鳴る一室には、ソファーに座った少女と、部屋の端っこで怯える狼の姿があった。

「許さないの……」
「―!」

そして、不愉快な音の代わりに、怒りを抑えた声が漏れた。その声に狼の怯えが、より深くなる。

『マスター、歯軋りは良くありません。歯を傷めます』
「……だって」

歯軋りをして怒りを堪えていた少女、なのはが悲しそうな声を零す。
彼女は、今日、恋人を奪われたのだ。そして奪い返そうとしたが、届かなかった。
人生初の挫折を味わっていた。

『マスター、今日の戦闘で勝てなかった理由は何ですか?』
「それは……」
「―! ゴ、ゴメンなさい!」

そして、撤退の直接的な原因になったアルフが声を上げる。
彼女は、なのはの怒りの原因が自分にあると思っているのだ。

「アルフの所為じゃないよ」
『そうですね。あのまま続けても勝ち目は低かったでしょう。むしろマスターが退く切欠になって
 助かりました』

珍しくレイジングハートがアルフを庇う。アルフが驚いた表情でレイジングハートを見つめるが、
レイジングハートは、それを無視して話を続ける。
戦闘用デバイスである彼女にとって、今回の出来事は好機なのだ。

『マスター、あの少年とマスターの戦闘能力は現状では互角です』
「……うん」
『ですが、全ての能力が互角ではありません』


651 名前:魔法少女リリカルふぇいと:2008/07/29(火) 07:57:48 ID:xC9aWxu8
レイジングハートは、なのはとクロノの戦闘能力の差を正確に分析していた。

『細かい差は色々とありますが、マスターが劣る最大のものが経験です』
「経験?」
『ハイ。マスターが、これまで戦った相手は、訓練でリニスとアルフ。
 そして実戦では高町フェイトのみ。つまりご自分より弱い相手ばかりです。
 逆に相手は管理局の執務官。戦闘経験は訓練も含めれば色んなタイプとやってるでしょう』
「うん」
『そして、現状でも油断さえしなければマスターは負けません。つまり、戦えば戦うほどマスターが
 有利になるのです』

今回の件はレイジングハートにとって、望むべき展開だった。なのはを強くするために作られた
デバイスは、なのはにとって最高の糧となる少年の登場を歓迎していたのだ。
そして、なのはをその気になせる事も忘れない。

『マスター、そうやってジワジワと強くなっていけば、向うは恐れるでしょう。むしろ、サクっと
 仕留めるより、いたぶり甲斐があります』
「おお!」
『さらに、洗脳が解けた高町フェイトは、一時的にマスターを裏切った負い目から、きっとマスターに
 尽くす女になります』
「おおおお!」
『それはもう、金色夜叉のお宮の如く、捨てないでとマスターに縋り付いてきます』
「にゃあぁぁぁぁ!」

なのはは興奮していた。何で異世界の幼女が金色夜叉を知ってるのかは疑問だが、なのはの脳内には
腕組みして仁王立ちする自分の足に縋り付くフェイトの姿が描かれていた。

「頑張る! 頑張るよ!」
『それでこそマスターです』

そうして、それぞれの思惑が複雑に、かつ奇妙に絡み合いながら、激動の一日が、ようやく終わりを
告げたのだった。



続く


652 名前:562:2008/07/29(火) 07:59:16 ID:xC9aWxu8
投下終了です。
最近、仕事で変則の夜勤をするようになって執筆が思うように進みません。
勤務時間は変わらないのに眠くて集中力が続かない……まあ慣れるまではと言いたいが、
このシフトに慣れる頃には、りりふぇ終りそう。


それではキャラ紹介

クロノ・ハラオウン
能力は高いが、半ズボンの似合う美少年が好みの執務官。ちなみにツンデレ。
なお、ショタコン趣味は見るのが好きなのであって疚しい気持は無いとの主張だが、誰も信じて無い。
管理局の人手不足の深刻さが良く分かる人物。彼が執務官になった時期とレジアスが戦闘機人計画に
着手した時期は、ほぼ同じ頃のような気もするが、この作品とは無関係です。

リンディ・ハラオウン
温厚だが、結構手段を選ばない辣腕のアースラ艦長。
若くして夫を失い、残された1人息子が立派に育ったと喜んだのも束の間、実は↑という残念な人。
この作品ではプレシアさんと良い酒が飲めそうです。

653 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 08:06:14 ID:ePHuB75n
なんという展開wwwww

素晴らし過ぎる、GJ!

654 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 08:10:32 ID:ddG9NJrZ
クロノwwwwww
この歳でお稚児趣味とはwwww

655 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 08:26:12 ID:843hk/KP
本格的にエロノ・ハラマセルンへの道を歩んでいやがる・・・

656 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 09:01:25 ID:n6SN4fE6
そう、クロノの好みは半ズボンは似合う美少年だったのだ。

( ゚д゚ )

657 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 09:11:37 ID:rJUo+n2s
>>652GJ
まさかのユノクロに勘違いフェイトさん乙ww
この世界の金髪は不幸な人しかいないのか……


658 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 10:02:22 ID:AI2+cCSU
はらませられないだろう。性別的に考えて。

659 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 10:39:12 ID:yfJdJkcZ
久しぶりにかっこいいクロノかと思ったら……。
この世界は変態ばっかりなのかよっ!

あとクロフェによるなのはは変な子発言は吹いた。まさにその通りだが。

660 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 10:46:29 ID:lrG1O0jw
なのは→フェイト→クロノ→ユーノ→?

こうしてみると凄いな

661 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 10:53:38 ID:wLBSfb9j
この世界の金髪は不幸という事はカリムさんは相当苦労してそうですね
義弟は男もいける口になってたり
御付のシスターも変態になってそうだ
ヴィヴィオは…まあママその一が既にやばいしなアw

662 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 11:46:13 ID:vefBF6fy
このクロノとは旨い酒が飲めそうだ
StS時空のエリオも危ない

663 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 12:18:01 ID:A7yO5cfu
いやいやっ、

          (愛なの!) 
      なのは ←→ フェイト
        (恐怖)
       ↑(我侭娘)
 (敵なの!)↓
         (愛)
      クロノ → ユーノ

此処までは確定!
そして、

           (気になる?) (恐怖)
      フェイト ←→ ユーノ ←→ なのは
         (友愛)  (ペットなの!)
       ↑(眼中なし)
(気になる?)↓
      クロノ

まあ、今のところこんな感じ?

664 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 12:46:02 ID:ePHuB75n
> 「いや、まずは話を聞かせて……」
> 「お話? やっぱり攻撃する気だ!」
> 「何でそうなる!?」
> 「お話聞かせてって言ったじゃない!」

何度読んでも噴くwwwww

665 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 13:36:12 ID:lrG1O0jw
ユーノ、プレシア、アルフ、クロノで苦労人同盟を組めそうだな

クロノは入ったらやばい気もするがまぁ良いだろう

666 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 14:39:34 ID:dQSsNCpq
クロノ、斜め下を行きやがって・・・www
GJでした

667 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 15:34:04 ID:ZEtDWwc8
唯一まともな人来たと思っていたら、クロノ、おまっwwwww

>>658

エ「ふっふっふ、管理局の技術。舐めてもらっちゃぁ困ります!」(マテ

668 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 16:02:00 ID:4SfKThWL
苦労人同盟にクロノを入れたらOUTだろ!?
むしろなのはとエイミー共々加害者同盟じゃね?

苦労人同盟への入会資格があるとしたらユーノ、プレシア、アルフ、リンディー、あとあえて入れるとしたら
フェイトそんだろう!

ある意味最大の被害者だからな・・・・・・
でも同時に加害者でもあるという罠!?
そう!天然は罪です!!

669 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 17:29:13 ID:qePBV4qV
>>652
相変わらずGJ!そして、なのはさんを煽るレイハはどう考えても欠陥品だが、なのはさんにはピッタリなデバイスだなww
というか、ネジが10本以上外れているような感じなのに違和感ないとは・・・やっぱなのはさんはアレだなw

ショタなクロノに勘違いフェイト・・・この勘違いが解けた時、クロノ真っ二つ劇場の開幕と見た!

670 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 17:58:22 ID:Z2cIyheU
なんか、ショックのあまりユーノが高町(兄)にでも走りそうな展開だw

671 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 18:05:54 ID:RaIboe+l
>>670
いやユーノは熟女趣味でプレシアがストライクだったりw

672 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 18:17:04 ID:n6SN4fE6
魔法熟女プレシア?

673 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 18:34:22 ID:iXT1N/5A
久々にいい流れだGJ!

674 名前:シロクジラ ◆bsNe6z3qW2 :2008/07/29(火) 19:26:49 ID:PYCXTGNN
「嘆きの中で」4話を投下します。
今回は本編では死んだ筈のあの人が生きています。

注意事項ですが、
・シリアス
・非エロです
・機動六課がほぼ全滅、STSアフター
・設定改変、捏造多数
・ゼスト×メガーヌです
以上の点が駄目な方は、「嘆きの中で」でNGをしてください。
では、次から開始します。

675 名前:嘆きの中で ◆bsNe6z3qW2 :2008/07/29(火) 19:28:03 ID:PYCXTGNN
例えば、もしもあの時自分が早ければ。
例えば、もしもあの時彼女を護れたら。
例えば、もしもあの人が生きていたら。

全ては仮定。
無意味な想像、妄想。
決して叶うことの無い望み。
なんと、無意味な問いかけか――そう己を自嘲すると、その騎士はコートのようなバリアジャケットを翻し、槍を構えた。
腕のばねを伸縮することで放つ、神業的な速さの刺突が輸送コンテナを破壊し、陸上輸送用の大型リニアレールの積荷を露出させる。
既に警備の魔導師部隊は麻酔ガスで無力化してあり、あとは積荷を奪うのみ。
赤い結晶が五つ、コンテナから零れ落ちた。掌大の結晶体こそ、レリック。
現代の技術で練成できるにもかかわらず、ロストロギア(危険指定遺失技術)認定された高純度エネルギー結晶体。
そのエネルギーは街の一区画を丸ごと消し飛ばせるほどのもので、同時に死者の蘇生に用いることの出来る代物でもある。
計り知れない利用価値を持ち、強力な人造魔導師の精製にも必要な物質。
4年前の<ジェイル・スカリエッティ事件>では、これを巡って多くの争いが起き、騎士もまたその争いの渦中で戦った。
多くのものを失い。
多くの犠牲を目の当たりにし。
正義が絶対足りえないことを知り、道を違えた。

なんと、愚かな道か。
彼女や、あの人も決して喜ばない。
けれど、それは騎士が選んだ道――誰にも譲れない理想があった。
五つの結晶をあらかじめ持ってきていたケースに収めると、騎士は高速でレールウェイを駆け抜ける車両から飛び降りようとし――己の脇を掠めた魔力弾を見て顔を顰めた。
振り返れば、警備部隊の隊長と思しき魔導師が、バリアジャケットを展開して杖をこちらに構えている。
その顔には侮り難い、と云う念が篭っていて、油断など微塵も無い。それはそうだろう、この高速輸送車両を、騎士はただ一人で制圧したのだから。
突如として槍を両手で構え突撃してきた騎士の圧倒的スピードの前に、陸士部隊は瞬く間に撃破され、今では意識のあるものはこの隊長のみだ。
それでも驚きは隠せない。何せ、騎士は――。

「子供……だと?」

そう、騎士は純白のコートと赤い衣装を身に纏った13、4歳ほどの子供だったのだ。
本来なら、中等学校にでも通っている年頃の、その槍騎士は、被っていたガスマスクを外して投げ捨てた。
燃えるような赤毛――乱雑に切られた髪が風に揺れ、青いカウリングの突撃槍が構えられた。
矛先の後部から可動式推進器が生え、推進炎を吐き出す準備をし始める。
何処か愁いを帯びた双眸は、幾分か成長しているものの未だ幼さを残し、少年がまだ声変わりもしていないことを知らせていた。
その素顔を見た陸士部隊隊長が瞠目する。

「お前は……」

瞬間、推進炎とともに加速した突撃槍が陸士の身体を吹き飛ばし、積荷のコンテナに強く打ち付けた。

「がっ!」

頭を強く打ちつけ、意識が徐々に遠のいていく中、男はその少年へ向けて呼びかけた。
口の中に血の味が広がり、聴覚が風を切るリニアの音を聞く。

「なんで……管理局員だったろうに……」

少年はこちらを静かに見据え、呟いた。
嘆きも怒りも悲しみも捨てた、平坦な声。
でも、少年の表情はひどく悲しそうで――儚かった。

「今じゃすっかり悪人ですよ」

突撃槍が推進器から噴射炎を吐き出しながら加速し、槍を構えた少年ごとミサイルのように空を翔けていく。
やがて白と赤の人影は、青空の彼方に消えた。
<聖王の揺り篭>浮上から4年、<ジェイル・スカリエッティ事件>は未だ続いていた。

676 名前:嘆きの中で ◆bsNe6z3qW2 :2008/07/29(火) 19:29:35 ID:PYCXTGNN
それにしても、体の良い牢獄もあったものだと思う。
自分は死人、公式の記録では死んだ身だと言うのに、この軌道留置場――衛星軌道上に造られた刑務所はさながら楽園か何かのように設備が充実している。
24時間何時でも上手い水が飲めるし、就寝時間までは良い茶葉の紅茶を淹れて飲むことも出来る。
菓子の類も身銭を切れば買うことができ、定期的に甘いものが支給されるのである。とても軌道上に造られた施設の待遇とは思えない。
一種の隔離空間であり、転送システムを使えば物資や人の移動が容易なミッドチルダならではの光景と言えよう。
されど、脱出は容易ではない。転送システムは四六時中監視され、何時でも使用がストップできるよう設計されていたし、
外は真空の宇宙空間。有害な放射線が飛び交い、対環境装備のバリアジャケットを装着してもあっという間に魔力を使い果たしてしまう苛酷な環境だ。
脱走など考えるほうが愚か――それにこの待遇だ。大抵の者はここでの生活に満足するようになり、飼いならされていくのだと言う。
もっとも、脱走こそ考えはしないものの、ゼスト・グランガイツはここで飼いならされる類の男ではない。
未だ牙を生やした狼で在り続けようとする男であり、身体の鍛錬を欠かしたことなど一度とて無い。
そして今、ゼストは――無敵と謳われた槍使いの魔導師は、期待に胸を弾ませると同時に微妙な心持ちであった。

(どんな顔をして会えばいいのやら、だな……)

何故なら、妻と子が今日この場所に来るのだから。

そもそも、ゼストと言う男がメガーヌ・アルピーノと契り、夜を共にしたのは今から10年以上も昔のことだ。
愛し合った結果の情交であったが、不味いことにこの不精な男は、煮えたぎる子種をメガーヌの胎内にぶちまけてしまったのである。
普通に考えれば、男の側は慌てふためき、受精しないことを祈るなりなんなりするだろう。
さりとて、慌てなかったのは騎士の嗜みか、それともこの男なりの愛情表現であったのか。
ともかく、この子を成すかも知れないという営みにメガーヌは歓喜し、涙さえ流してゼストに囁いた。
愛している、と。
この言葉に、ゼストは無言の抱擁で応じた。受諾であり、女が子を成すことへの喜びであった。
その少し後――密やかにメガーヌが女の子を出産した後、戦闘機人を巡る一連の事件の最中にゼストは死んだ。
同じ部隊にいた部下たちは全滅し、メガーヌは仮死状態で邪悪ジェイル・スカリエッティにその身を保存され、ゼストへの首輪となった。
ゼストはレリックの魔性によって蘇り、悪鬼の手先となる羽目になったのである。

――己が子、ルーテシア・アルピーノと共に。

その呪縛はメガーヌの陸士部隊による救出で解けたものの、大人でありながら罪を犯していたゼストへの裁きは重く、この軌道留置場での生活を強いられていた。
幸いにもルーテシアはしばらくの保護観察処分の後、時空管理局への恭順を条件に罪を許され、嘱託魔導師としての仕事をこなしつつ学業に励んでいる。
寡黙なルーテシアに友人が出来るかゼストとメガーヌは心配したものだが、花開くように表情を見せるようになった彼女に惹かれた同年代の子供たちは、
幾人かが友人となり、親交を深めているのだと言う。これには親馬鹿のゼストも安堵したものだ。

「今年で13歳か……月日は経つものだな」

しみじみと呟いたゼストに、花のように美しい笑顔を浮かべたメガーヌが声をかけた。
紫色の長い髪が揺れ、スカートからは健康的な白い肌が見えている。
長い間仮死状態だった為に、彼女の肉体は数年分老化を免れていて未だ若々しい。
巌のようなゼストも肉欲を思い出すかも知れぬほどの美貌だった。

「あなた、一月に一回の面会なんだから、もう少し気の利いたこといえないの?」

「ん、ああ……すまん。どうも俺はそういうことが言えない性分みたいでな」

「そういえばそうね……告白も、そっけなかったし、ね」

そう言うとメガーヌはからからと快活に笑った。
そして、自分の後ろで今か今かとそのときを待っている愛娘の背を押した。

「ほら、ルーテシアも。お父さんに挨拶しなきゃ」

ルーテシアは俯き加減になってもじもじと指を弄くり、その紫の長髪と人形的に整った顔――母親譲りの美貌――を少しだけゼストのほうに向けた。
なんというか、我が子ながら可愛らしいの一言に尽きた。照れくさそうに鼻を掻きながら、ゼストから声をかけた。

「んー、あー……最近どうだ、ルーテシア? ちゃんとやれてるか?」


677 名前:嘆きの中で ◆bsNe6z3qW2 :2008/07/29(火) 19:31:57 ID:PYCXTGNN
「……ゼストは?」

質問に質問で返された。ついでを言うと、未だお父さんと呼んでもらえない。
ああ、これが報いか――今まで親父であることを隠していたことの。少しばかり寂寥感漂うゼストであった。
慌ててメガーヌがフォローするが、ルーテシアは意に介さず。

「お父さんって呼びなさい、ルーテシア」

「ゼストはゼスト、それ以外じゃないよ……」

「むう……」

苦笑しながらゼストはルーテシアと談笑した。
あの無感情、無表情だったルーテシアが、ここまで人の子として成長したことに感慨深いものを感じながら、今ある幸福を噛み締めた。
友人との遊びの話、学校での生活、母親との二人での生活、嘱託魔導師としてガリューと解決した事件。
様々なことを聞きながら、ゼストは己の身の振り方を考えていた。

(ここを出たら、共に暮らすのもいいかもしれないな……)

武人としての生き方以外ができるとは思えなかったが、それでも見るにはいい夢だった。
ゼスト・グランガイツは、紛れも無く幸福だった。友の死が心に棘として残っていたが、それでも幸せだった。
やがて面会時間が終了し、二人が去る時間がやってきた。日増しに成長していく我が子を見れるのは、実に新鮮なことである。
一月に一回でも、貴重な時間だといえた。
去り際に、ルーテシアが駆け寄ってきて、ゼストの服の袖を引っ張った。

「どうした? 何か――」

「……お父さん」

「?!」

ぱたぱたと慌ただしく母親の元へと駆けていったルーテシアを見つめつつ、ゼストは皺の刻まれた顔を綻ばせた。
微笑が口元に浮かび、知らず、呟きが洩れていた。それにしても――。

「お父さん、か」

父親というのも悪くない、と思った。


そして、時刻は昼食時である。
今日のランチはスパゲッティミートソースであり、トマトベースの挽肉と玉ねぎがたっぷりかかった一品だ。
さらにそれに温野菜サラダ、デザートのミルクプディングまでついた豪勢なもので、これだけで結構なカロリーになる。
個室での食事が許されている模範的囚人のゼストは、食事を静かな自室で取ることを選び、トレーに乗せたそれを運ぶ。
だが、それは呼び出しによって未遂に終わった。面会室へ食事を取ることも無く真っ直ぐに向かい、扉を開ける。
面会室にいたのは、時空管理局の制服を着た二十歳直前といった感じの青い髪をした少女で、身長は160センチ以上、170センチ以下といったところか。
ゼストはその少女の容姿を、遠い記憶の中で知っていた。かつて部下だった、己が死なせてしまった女性。
クイント・ナカジマ。青い長髪を持った、美しい女。そういえば、クイントには娘が二人いた。
ひょっとしたら、そのどちらかだろうか。いや、というよりも、以前見た機動六課の構成メンバーにいたような気がした。
思わず呟く。

「……スバル・ナカジマ?」

「はい? あ、ゼスト・グランガイツさんですかっ?!」

今日は馬鹿に客が多い――まったくわけがわからない、とゼストは思った。

678 名前:嘆きの中で ◆bsNe6z3qW2 :2008/07/29(火) 19:33:26 ID:PYCXTGNN
「執務官に? その歳で、か」

「はい。今年、晴れて執務官試験に合格しました」

そう晴れ晴れと語るスバルの顔には、何処か哀愁があった。
彼女は、4年前に多くの大切な仲間を失ったのだから、それもその筈か。

「……それで、ナカジマ執務官は、何故俺の元に? 俺に、君に合わせる顔はない」

ゼストにとって、過去に多くの部下を失わせたことは心の痛みだった。
己と契ったメガーヌが助かり、ゼストに家族のいる幸福を与えている、と言うのも罪悪感の根源か。
しかし、スバルは凛とした佇まいで言った。母親譲りの可憐な容姿は彼女の磨き抜かれた肢体によく映える。

「母さんのことは、いいんです。危険な仕事だってわかってて働いてましたし、ゼストさんが全力で戦っていたっていうのも、
メガーヌさんから聞いていますから。多分、あのとき母さん達が戦っていなかったら、今のミッドチルダは無かったと思います」

「すまない……そして、ありがとう。
だが、君がここに来た理由は何だ? 俺の司法取引は終わった筈だ」

それまで凛とした佇まいだったスバルが、少し窮屈そうな胸元を弄り、携帯端末を内ポケットから取り出した。
この携帯端末は、時空管理局の最新技術が惜しげもなく投入された逸品で、小型の個人用携帯端末として広く管理局員が携帯しているものだった。
スカイブルーのそれをスバルは操作すると、空間モニターが青いボディスーツを着込んだ少女を映し出した。
その少女の左腕は砕け散っていて、人間ではありえない火花を傷口から流していた。そして、撮影機器の方を振り返った少女の瞳は、金色。
紛れも無く、それは戦闘機人とよばれる存在だった。4年前の事件で、ゼストとルーテシアに命令していた男の娘たち。
ゼストは息の止まるような衝撃を覚えながら、その映像を見た。燃え盛る紅蓮の街並みで、月光の下、彼女は確かにそこにいた。
首元のナンバープレートの番号は、『\』――ナンバーズの9番目、ノーヴェ。

「スカリエッティ、か……」

「はい。ジェイル・スカリエッティは生きています。既に幾つかの次元世界でガジェットドローンの出現が頻発していて、多くの被害が。
また先日、レリックの輸送列車が襲われ、積荷のレリックを奪取されました。
今の管理局では、この事件に対応しきれないんです。
テロの頻発に<陸>は戦力を割かれ、4年前以降、不安定化する次元世界間のパワーバランスへの対応に<海>は追われています」

「だが、囚人の俺にできることなど……」

スバルは小脇に抱えた鞄からクリアファイルを取り出すと、そこから書類の束を取り出した。
その書類は司法取引に関するもので、随分と枚数があり、既に印鑑が押されていた。
ゼストは驚愕してスバルの顔を見た――本気の顔である。

「ゼスト・グランガイツの大幅な刑期短縮と行動制限解除を行います。
その代わりに、あたしの指揮下に入ってもらいたいんです。ジェイル・スカリエッティ対策班のメンバーに」

「……俺は罪人だ。君の経歴に傷がつくぞ?」

「あたしは決めたんです。もう、誰にも悲しい思いはさせないって。その為なら、なんだってします。
絶対に、メガーヌさんやルーテシアちゃんに悲しい思いはさせません。
ゼストさんは死なせないし、対策班の面子から犠牲者は出さない――その為のあたしの力です」

ゼストは押し黙り、己の生き方をもう一度考えた。
今あるささやかな幸福か、それとも万民の為に戦う道を選ぶか。
答えなど、決まっていた。亡き友の娘、オーリスが戦っているのに、己が戦わない道理があるだろうか?
だが、それでもメガーヌやルーテシアの幸せを壊すことはできそうになかった。
だから、静かに頷いて言った。

「少しだけ、時間が欲しい。家族と話し合って決めたい」

679 名前:嘆きの中で ◆bsNe6z3qW2 :2008/07/29(火) 19:34:13 ID:PYCXTGNN
電話口に立ったゼストは、スバルの監視下にあることを条件に通話を許された。
メガーヌから教えられた新居に回線を繋ぎ、永劫のように感じられる一時を味わいながら待った。
やがて通話可能になり、メガーヌの涼やかな声が聞こえた。

《はい、どちらさまでしょうか?》

「俺だ、メガーヌ」

《あなた? どうしたの、何かあったのかしら》

ゼストは、ただ淡々と事実を告げた。
仮釈放と刑期短縮、その条件であるジェイル・スカリエッティ対策班への協力。
危険な任務であり、殉職する可能性も高いこと。
自分なりに考えた結果、万民の為に立ち上がり戦いたいこと。
最後に、黙ってそれを聞いていたメガーヌが言った。

《……もう、あなたは、結局そっちに行っちゃう人なのよね……あなたの子を産むと決めたときから、覚悟はしてある。
でもね、ルーテシアは違うの。あの子はなんだかんだ言ってあなたのことを慕ってるし、あなたがいなくなったら悲しむわ。
だから――生きて。生きて帰ってきて、あの子の支えになってあげて》

「すまん……」

《愛してるわ、ゼスト》

「俺もだ、メガーヌ」

そして、どちらからと無く通話を切り、男と女は別れた。
ゼスト・グランガイツは、再び闘争に赴くことを決めてスバル・ナカジマ執務官を見た。
頭を下げて一礼する。

「よろしく頼む」

「こちらこそよろしくお願いします、ゼストさん」

この日、かつて敵同士だった二人は仲間となった。



アルピーノ家の通信端末は、若干大きめに通話を再生するようになっていて、少し近づけば音声が聞こえる。
だから当然メガーヌとゼストの会話は、トイレに行こうとしてそっと歩いていたルーテシアの耳にも入った。
自分の部屋に引き返して静かに考え込む少女は、やがて待機状態のグローブ型デバイスを掴むと、外に出かける旨の書置きを残してアルピーノ家を出た。
彼女は決めたのだ――もう誰にも母とゼストの幸せを奪わせないと。
行き先は決まっている、普段自分が仕事の為に出かける場所だ。
ジェイル・スカリエッティ対策班への参加を、一人の嘱託魔導師が申し出たのはそれから2時間後だった。


第4話 了

680 名前:シロクジラ ◆bsNe6z3qW2 :2008/07/29(火) 19:36:53 ID:PYCXTGNN
投下完了です。
ゼスト×メガーヌは私の趣味です。
ルーテシアの父親と自覚しているので、本編ほど死に急いでいなかったり。

そんなこんなで、親子競演です。
ではでは。

681 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 20:33:58 ID:jlnylW3F
>>680
ルーテシア、(とガリュー)、ゼスト、それにエリオ?
少しずつキャラが動き出して来ましたね。オラワクワクしてきたぞ!
続きを楽しみに待ってます。

レスが空いてないのですが自分も投下して構わんですか?

682 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 20:44:46 ID:oVqtocyy
一時間経ったしいいんでね?
ゴー

683 名前:ておあー:2008/07/29(火) 20:49:12 ID:jlnylW3F
一寸迷ったけどルール違反というわけでもないんで行かせてもらいます。
前回レス下さった方、ありがとうございました。
リリカルやがみけの第8話その1です。
その1ってどういう事かと言いますと、当初予定していた部分まで全然到達しないうちに容量が20kbを
超えてきたので分割して投下した方がいいかもと判断したからです……何故こんな事になったのやら……orz

ガリューがライダーじゃなくてバーサーカーです。
B・A氏の話みたいにちゃんとライダーしてません。
あと「作者が思うように書きたかったから」というひっどい理由で今回からしばらくの話には自重というものが存在しません。
もはやスーパーチートタイムです。全編全員全力全開です。四全です。何のこっちゃです。
それでもいいよ、という方だけご覧ください。

今作の注意(さり気なく増減注意)

・非エロ
・時期的には三期が終わった後
・八神家とガリューメイン
・蟲的なものが苦手な方は注意しないといけないはずだったがそんな事もないみたいです
・捏造設定あり
・本編で謎な部分に対する妄想補完あり
・パロ、中の人など各種ネタをフル装備、ただし最近はネタを挟める空気ではない
・それに伴ってほぼ全員凄まじくキャラ崩壊していたが、やっぱり最近は(ry
・目指すは笑いあり涙あり友情あり萌え?あり燃えありなごった煮話
・つまり総合するとデフォルトで超展開

今回も血が出ます。ダメな人は『魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-1』をあぼーんキーワードに。


684 名前:まえがきてきななにか(最終投下からスレが変わった場合につく):2008/07/29(火) 20:50:40 ID:jlnylW3F
この話の主な登場人物

・ガリュー(CV候補:どうもクロノ・ハラオウン(大人Ver.)の中の人は合ってないような気がしてきた)
重い過去を持つ芋虫。主食は魔力である事が判明した。

・八神はやて(CV:植田佳奈)と愉快な家族達(CV:人それぞれ)
今回もあまり出番が無い。まあ回想編だから仕方ないね。

・ゼスト・グランガイツ(CV:相沢正輝)
過去編の重要人物の一人。実はルーテシアの父親だが本人はその事を知らない。

・アルフ(CV:桑谷夏子)
現在ガリューと行動を共にする。彼の過去について聞く事になる。




前回までのあらすじ

 ある日八神家の冷蔵庫に巨大な芋虫が出現。その正体は子供フォームに失敗したルーテシアの守護虫ガリューで、旧知のアギトを
頼って八神家に転移してきたのだった。
 話を聞いた八神家の長・はやては彼を元の姿に戻すのを手伝ってやる事にしたが、途中で大喧嘩が勃発しガリューは八神家を
飛び出してしまう。ガリューを追ったアルフは異形の外見のせいで市民から襲われていた彼を助け、彼が主人達に感じている"負い目"
について聞く。『故郷に送り届けてもらう』という条件でアルフに自身の過去を語り始めるガリュー。
 それは守護虫としての挫折と絶望の記憶だった……

そんな感じで魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8、始まります。


685 名前:魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-1:2008/07/29(火) 20:51:22 ID:jlnylW3F
 ……正直に言うと、この時の事はほとんど覚えてねえんだ。

 お前は『怒りで目の前が真っ白になる』って経験はあるか? 後先考えずに頭より体が先に動いちまった事。

 ある? ならわかると思うが、まさにあの時俺はそんな感じだった。
 アイツが言った『殺した』っていう言葉だけが頭の中をグルグル回って、気がついた時にゃあ体が勝手に
動いてたんだ。



 
新暦70年 ミッドチルダ某所


 静謐な夜の森に、一陣の風が吹いた。


 風には色彩があった。
 暗夜の中にあってなお、一層深く濃い漆黒が。

 風には力があった。
 触れた物を微塵に砕き、或いは彼方へと弾き飛ばす撃力が。

 風には感情があった。
 生けるその風は、明確な指向性を持って眼前の男を飲み込もうと吹き荒んでいた。


「ぐ、う、おおぉっ!」

 短い叫びと共に男の体が宙空を舞う。

 意図された跳躍ではない。
 その証拠に男は減速も回避もしないまま、背中から勢いよく岩壁に激突する。
 男が身につけている衣服はただの布ではない、魔力で構成された防護服である。
 かつて戦闘魔導師だった彼が敵から己を護る為に編み上げたこの魔法の服は、正しく騎士の甲冑と評するに
相応しい堅牢さを備えた代物で、並の衝撃であれば完全に吸収・遮断してしまう。

 その防護服が今、激突の衝撃を殺し切れなかった。


686 名前:魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-1:2008/07/29(火) 20:51:56 ID:jlnylW3F
「が、っ……!!」


 凄まじい速度で叩きつけられた体が、轟音と共に巨大な岩にめり込む。
 男の口から鮮血が舞った。
 衝撃は激痛に変換されて彼の視界を明滅させ、僅かな繋がりを残して肉体から意識を引き剥がす。


 また風が吹いた。


 先ほどの風を瞬間的な疾風と例えるならば、今度の風は突風。
 大幅に鈍った男の感覚器官が更なる危機の襲来を感じ取り、残された蜘蛛の糸ほどの伝達経路を最高速度で
駆け登る。報告が神経から脳へと到達するまでの所要時間はコンマ以下の刹那。しかしその時にはもう、風は
男のすぐ側まで迫っていた。
 岩壁に磔にされた肉体は万全の状態であっても容易に動かす事は出来ない、まして意識との統制が
取れていない状態ではなおさらである。恵まれた体躯も矢の当て易い的にしかならない。
 それでも風は全く減速する事なく、男を捕らえている岩の十字架ごと砕こうかという勢いでひたすら前方へと
突き進んでゆく。不可視の突撃槍となって、目の前の標的を穿とうとする。

 不意に、風の往く手を阻むように魔力の壁が現れた。

 こんな物が自然に発生する訳は無い。
 発生源となり得る可能性はただ一つ。気づけば岩壁の中に埋まっていたはずの左手が風に向かって
真っ直ぐに伸びている。
 元より不可能ではあるが、当然減速はしない。そもそもする必要も無い。
 そう結論付けるより早く、風は魔力壁に激突する。
 勿論風はこの程度で吹き止んだりはしない。
 風の勢いに押されて歪曲する壁は瞬く間に受容出来る衝撃の限界を迎え、表面に出来た小さな罅割れが
加速度的に広がりを見せてゆく。
 傍目から見ても崩壊は時間の問題だった。
 風は己の勝利を確信し、勝鬨の唸りを上げる。



687 名前:魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-1:2008/07/29(火) 20:52:33 ID:jlnylW3F
 壁が成し得た事といえば、せいぜい数秒の時間稼ぎ程度だろう。 
 では、この薄い壁は窮鼠の一撃を導くには至らなかったのか。

 答は否。 

 実は魔力壁が出現した時点において、男の意識は未だ此岸と彼岸の間隙を彷徨っていた。
 つまり伸ばされた左手は本能の所作。形式通りの返答を待っていては間に合わないと判断した男の肉体が、
これまで幾度と無く組み上げ実行してきた術式を咄嗟に行使したのが壁の正体である。
 それは高い練度が生み出す普段の彼の"鉄壁"と比べれば、児戯にも等しい代物。
 だがその児戯は壁の奥に立つ男に意識の糸を繋ぎ直し、霞んでいた双眸に再び光を宿らせるに十分な
時間を齎す。
 そして意識が戻れば当然――男は反撃に転じる。


「ぬ、ううぅっ……ぐおあぁああぁっ!!」

 風を切り裂いて、獣染みた咆哮が響く。同時に大音響と共に魔力壁が爆ぜた。
 衝撃に耐え切れなくなったからではない。
 崩壊に先んじて、男が自ら爆散させたのだ。
 発生した爆風は突風を相殺し、周囲に土煙が舞い上がる。数秒後に煙が晴れた時、そこにあったのは一匹の
召喚虫の姿だけだった。

『……』

 漆黒の虫は何も言わない。
 ただ二対の瞳を鮮紅色に輝かせ、周囲を見回して消えた男の姿を探す。
 叩きつける、切り裂く、引き千切る……男を探しながら、幾つもの言葉が虫の中で浮かんでは消えた。
しかしそれらは皆単なる残滓であり、渦を巻く思考がただ一つのシンプルな解答へと収斂していく過程で
削ぎ落とされた不要物に過ぎない。

 
 捜索はすぐに終わった。


 探し人は少し離れた場所で片膝をつき、両肩を激しく上下させながらこちらを睨んでいた。

 その様子からかなりのダメージを負っているという事は容易に推測出来た。だがまだ足りない。
男の目から、そして姿からは未だ消えぬ彼の戦意を明確に感じる。


688 名前:魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-1:2008/07/29(火) 20:53:15 ID:jlnylW3F
 ならば、もっと速く。


 虫の背から生えた濃紫の翅が細かく振動を始める。
 あの戦意を完全に消すまで。
 主人を"殺した"仇を完全に"殺し切る"まで。
 どこまでも速く、どこまでも荒々しく吹き抜けろ。

 一匹の虫から風へ。
 翅の動きが更に加速を増し、その姿がぼやけて闇に交じり始める。


 殺せ。

 殺せ。

 ころせ。

 コロセ。
 
 コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ
コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコ
ロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロ
セコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロ――


 羽ばたきが最高速度に到達した瞬間、召喚虫の姿が消えた。
 替わって三度生まれた風は、暴風。
 男が立ち上がり手にした槍を構える。
 その中で燃え上がる炎を吹き消さんと風は猛った。

 目の無い風には男が唇を動かした事に気付く術は無く。
 耳の無い風には唇が洩らした言葉を聞き取る術は無かった。
  

          ◆



「……許せなかった」

 濃紫の翅を震わせる召喚虫から瞳を逸らさずに、低く小さな声で男は呟いた。


689 名前:魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-1:2008/07/29(火) 20:53:45 ID:jlnylW3F
「遺されたお前の怒りや悔しさ、無念……その感情の数十分の一でもこの身で受け止めなければ、自分自身を
許す事が出来なかった」

 何故なら、"彼"の主人を死に追いやったのは他ならぬ自分だから。
 あの日、自分があの拠点への捜査を強行しなければ彼女が命を落とす事は無かった。
 友の真意を知ろうと焦るあまり与えられた情報が罠だと看破出来なかったせいで、自分は彼女を、そして他の
全ての部下を死地へと追いやってしまったのだ。
 彼女達の死の責任は全て自分にある。
 だからこそ彼にもそう告げた。メガーヌ・アルピーノを殺したのは、自分だと。

 愛槍のアームドデバイスを杖代わりに使い男は立ち上がる。

「だが、そうだな」

 責められても仕方が無いと思っていた。
 むしろそうなる事を望んでいる自分がいた。
 部下を失ってなお一人生きている自分を、それでいて彼らの後を追う事すら出来ない自分を誰かに裁いて
もらいたかった。
 けれど、所詮自分の行動などただの自己満足に過ぎない。
 こんな事をしても彼に許されるはずは無いのだ。
 大切な者の命を失った者に対して、己の命すら差し出せない者の謝罪など受け入れられる道理はない。
 彼の剥き出しの感情に直面するまで、そんな事にすら気付かなかった自分の愚かさに嫌気が差す。

 
 瞬間、漆黒の闘虫が消える。
 彼には自らの身体を魔力のヴェールで覆い隠し闇と同化させる能力があるが、今はその能力を行使してはいない。
 今目の前で起こった現象は、もっと単純な理由で説明がつく。
 速度。
 彼の動きが文字通り『目にも止まらぬ速さ』に達した事で、常人の視認出来るレベルを超越したのだ。
 その姿はまさに、風。
 自然そのものへと姿を変えた今の彼の前では、ただの人間は余りにも無力だ。


「すまない。ガリュー」


 しかし。

 男もまた常の者ではない。
 男の名はゼスト・グランガイツ。
 古代ベルカ式魔法の使い手、魔導師ランクはS+。かつてストライカー級と称された歴戦の騎士。
 例えその尊称を拝する資格を失うような過去があったとしても、その身が万全な状態でなくとも、刻み込まれた
力と技は変わらず彼の中に息づいている。
 未だ震える自身の膝に、腕に、体全体に魔力を流し込み、ゼストは強引に身体の運動機能を回復させる。
 回復といっても本当に負傷が消える訳ではない。低下した筋力を魔力で強引に強化する、或いは一時的に痛みを
感じなくさせる等の方法で回復しているように見せかけているだけだ。
 こんなものはあくまで付け焼刃の処置であり、戦闘後に訪れるであろう反動を考えても割に合わない。だが
そもそも、今を生き延びなければその未来も訪れない。


690 名前:魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-1:2008/07/29(火) 20:54:49 ID:jlnylW3F
 ゼストは両の眼を見開いて闇を見据える。
 先ほど彼が全身に行き渡らせた魔力の機能回復効果は、当然目にも表れている。
 とはいえそれは長時間の作業等で一時的に低下した視力が回復するといった程度のもので、不可視の相手を
捉えられる魔法のような眼力を得られる訳ではない。

 彼が見ているのは、空間そのもの。
 暴風と化したガリューが自分に向かって突進してくる際に巻き上げる土や小石。その動きからゼストはガリュー本人の
動きを予測する。
 視覚だけではない。
 頬や手に当たる風の感触から。
 耳に入る音から。
 自分に向けられる殺気の射線から。
 五感で得られた情報に直感も加えて組み合わせる事で闇の中に守護虫の姿を映し出す。

 そして完成した像(ヴィジョン)は――ゼストの眼前、右手甲から伸ばした刃を彼の心臓に突き立てんとする姿!!

「ぬうぅっ!」

 同瞬、ゼストの脳が竜巻の中に入ったかのような錯覚に襲われる。
 100キロ近い彼の巨体さえも浮き上がらせようかという強烈な風。平衡感覚は失われ、目を開けていられず、
耳には轟音だけが渦巻き、創り上げたガリューの像は千々に乱れて吹き飛ばされていく。
 だがそんな状況下においても、ゼストには一片の迷いも無かった。
 像を掻き消したこの暴風こそが、本物のガリューが眼前に存在する確かな証。
 己の作り上げた像と実物の動きに差異が無いのならば、次に来る攻撃は読む事が出来る。


 不可視ではあるが――不可避では無い。


 ゼストは鍛え上げた全身の筋肉を総動員し体を反らす。
 直後に彼の上半身があった場所を鋭利な影が通り過ぎる。

 バリアジャケットの一部が影によって切り離され宙を舞った。

 ひら、と揺れるその切れ端を見て、ゼストはガリューの爪だと確信する。
 彼の体に内包されている無数の武装は、平時ですらその一つ一つが業物の刀剣に匹敵する切れ味を誇る。
 その武装が今、速度という強化を受けて更なる威力を備えていた。
 例えるなら差し詰め死神の鎌。
 もし僅かでも回避が遅れれば、即座にゼストの体は上下に切り分けられるだろう。


 ならば――


691 名前:魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-1:2008/07/29(火) 20:55:35 ID:jlnylW3F
 回避と同時に動いていたゼストの腕、その手に携えたもう一つの刃が中空を跳ね上がる。
 死神の鎌と無銘の槍。
 交錯の瞬間、白い火花が闇に煌めいた。
 暴風がゼストの体を吹き抜け、十数メートルを過ぎた所で再度形ある虫の姿が現れる。
 虫に戻ったガリューは両脚と左腕、尾を使って大地を削りながら減速し急停止するが、そのまま動きを止め
さらなる追撃を見せようとはしない。
 一方のゼストもまた槍を振り上げた体勢のまま虚空を見据えていた。
 両者は互いに背を向けあったまま微動だにせず、夜の森に束の間の静寂が戻る。



 

 ……リ




 小さな音に先に気づいたのは、人間よりも優れた聴覚を持つガリューだった。
 真紅の瞳が驚愕に見開かれ、右腕を胸元に引き寄せる。
 その時、この夜初めて途切れた雲間からミッドの巨大な月達が顔を覗かせた。
 空から降り注ぐ月光を反射し、黒刃が鈍く輝く。
 その輝きが、歪んでいた。
 ガリューの見つめる前で歪みはますます巨大に広がり、やがて刃全体に亀裂を走らせ、
 

 
 パキイィィ……ン



 ――その刃が己が身を捉えるより前に、破る。


 乾いた音と共に、爪は根元から断ち切られた。
 ガリューが振り向く。
 無数の光の粒となって霧散していくバリアジャケットの欠片、その先に立つゼストは既に構えをとっていた。
 白光に照らし出された刃には些かの歪みも無く、まるで死神に対する勇者の剣のように超然と主の手の中で次に
使われる瞬間を待っている。
 

 物言わぬ召喚虫が、吠えた。



692 名前:魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-1:2008/07/29(火) 20:56:28 ID:jlnylW3F
 両腕から無数の刃が固い外皮を突き破って飛び出し、ガリューの手を中世の拷問器具の様な禍々しい姿に変えてゆく。
 鮮血が舞い散るだけに留まらず、切り裂かれた無数の肉片が地面に落ちてぺちゃぺちゃと音を立てた。
 それは気の弱い人間ならば目にするだけで失神しそうな光景。
 しかしゼストはけして視線を逸らさず、むしろその変化の一部始終を片時も見逃すまいと注視する。


「……っ」

 不意に、ゼストの視界が赤く滲んだ。
 眼の前にいるガリューはまだ攻撃体制を整えていない。
 思考を巡らせたゼストは、すぐに赤の正体が寸断された自分の血だと気付く。眼球を極度に酷使した事によって
周辺の毛細血管が破裂し、血の涙となって流れ出したのだ。


(この調子では、長くは保たんな)

 血涙を拭いながらゼストは自身の体について思いを巡らす。

 もっとも、彼の体の事は他ならぬ彼自身がよく理解していた。
 あのプラント戦の後、目覚めたゼストの肉体は以前とは全く違ってしまっていた。
 長い眠りの間に衰え、二回りも小さくなっていた筋肉の鎧。
 それどころか、首一つ、指の一本さえ満足に動かせなかった。
 世話係の戦闘機人の制止を振り切って与えられた量を遥かに超えるリハビリをこなしても、遅々として回復の
兆しが見えない悪夢のような日々。
 それでも執念だけで復活への階段を一歩一歩這い登り、何とか日常生活に支障がない程度のレベルに回復したのが
三ヵ月前。
 そこからさらにピッチを上げ何とか戦闘の真似事が出来るようになったのが、僅か一ヵ月前の出来事。
 如何に肉体に染み着いた技術があるとはいえ、ガリューという召喚虫を相手に手加減無しの戦闘を行うには、
余りにも何もかもが足りなかった。

(十一、十四、十八……まだ増えるか)

 目の前では相変わらずガリューが自身の腕の"改造"を続けていた。
 口には出さず、出現した刃の数を頭の中に刻みつける。
 それは最悪、先ほどのような刹那の攻防を刃の本数分だけ行わなければならないという事。
 もっとも全ての打ち合いが終了する前に決着が着く可能性もあるが――

 ゼストは視線の中心を腕に固定したまま、視界の端に映るガリューの両脚を観察する。
 漆黒の脚からは幾本もの紅い筋が流れ出して、コントラストを形成していた。
 そう。
 踏みしめる大地を赤黒く染める血液は両腕から流れ落ちているものだけではない。
 先ほどからガリューが見せる幾度もの突撃(チャージ)は、かつて多くの戦場を共にして来たゼストが知る彼の
スピードを遥かに上回っている。
 この数年の間に鍛錬によって成長した、という理由ではおよそ説明できないその差の理由が、あの血染めの両脚にある。


693 名前:魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-1:2008/07/29(火) 20:57:09 ID:jlnylW3F
 おそらく、ガリューは自らの限界も超えて加速している。

 ガリューにも人間同様、肉体にかけられたリミッターというものが存在する。
 そのリミッターが激しい感情の爆発によって解除され、元々人間より遥かに速い彼にさらなる加速――自身の
力だけでは停止できないほどの――を与えているのが異常な高速移動の秘密だとゼストは推測していた。
 先程のように自身の体を削ってでも強引に減速しなければ彼を待つ運命はそのまま岩壁や木々に激突するか、または
数百メートルの距離を滑空しながらゆっくりとスピードが落ちるのを待つかのどちらかだろう。勿論この瞬間にも
ゼストの息の根を止めようと猛っているガリューがそんなタイムロスを許容出来るはずがない。それに、もし後者を
選んだとしても加速の際にガリューが肉体にかける負荷は防げない。


 このままかわし続ければ、ガリューは何度でもゼストへの無謀な突撃を繰り返すはずだ。
 己の肉体を傷つけ、最高速度を少しずつ低下させながら。

 そこに、今のゼストに残された唯一の勝機がある。


 フルドライブ。


 確実に動きを見極められる速度に落ちるまで彼の猛攻を耐え抜き、全身全霊を込めた一撃を撃ち込む。

  
「これではまるで見世物だな」

 ゼストは自嘲気味に呟く。
 同時に動きが停止していたガリューの羽が、再び顫動を始めた。


「だが今の俺はまだ、死ぬ訳にはいかない」


 槍を握る手を強く握り締め、ゼストはガリューに対峙する。

 この身に為さねばならぬ事があるから。
 この戦いの後に、彼に伝えねばならぬ事があるから。
 

          ◆


 ――その数分前。
 

694 名前:魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-1:2008/07/29(火) 20:58:14 ID:jlnylW3F
 ゼスト・グランガイツを探していたナンバーズ5番・チンクは、夜の森に人影を見つけた。
 機械の瞳に映る人影は小柄で、近づくまでも無くそれが目的の人物でない事はすぐにわかった。
 ただ、だからと言って放っておく訳にもいかない。

「ルーテシアお嬢様」

 チンクは森の中に分け入って人影に近づくと、驚かせないよう優しく声をかける。
 チンクの配慮が功を奏したのか、それとも元々感情の起伏が少ないからかはわからないが、名前を呼ばれた
ルーテシア・アルピーノは悲鳴を上げる事も無くチンクの方を振り向いた。

「……チンク」
「夜の散歩ですか? そろそろ部屋に戻らないと、クアットロが心配しますよ」

 自分で言ってから『あの姉が本当に心配するだろうか』とチンクに一寸疑問が浮かぶが、ルーテシアの世話を
任されている以上、居るべき時間、居るべき場所に姿がなければ探しはするだろう。

「よければ私が部屋までお連れしますが」

 ルーテシアを送ればゼストの事は一旦放置する形になるが致し方ない。
 片や就学年齢にも達していない幼子、片や立派な大人の男。どちらを優先するかは明白である。
 それにルーテシアがここにいる事で、ゼストが最低でもこの基地の近くに居る事はわかった。彼にとってルーテシアは
部下の忘れ形見である(正確にはまだ死んでいないらしいが)。責任感の塊のようなあの男が、彼女を残したまま
この場所を去って何処かへ行く事など考えられなかった。
 
「……いい」

 その一言を肯定か否定か判りかねていると、ルーテシアがさらに言葉を繋いだ。

「ガリューと……一緒に帰るから」
「ガリュー?」

 チンクはルーテシアの口から出た耳慣れぬ言葉に首を捻る。
 この基地にガリューという名前の人間は居ないし、そのような名前をした物品も無い。
 クアットロに聞けば何かわかるだろうか。

「今……向こうでゼストとお話してる」
「ゼストと……?」

 ルーテシアが暗闇を指差す。
 チンクの眉間に寄せられた皺が、一層濃くなった。
 自分達以外に知り合いなど居ないはずのルーテシアが言う『ガリュー』は、チンクの探し人であるゼストと話し中だという。
 まさかゼストの仲間か? しかし彼は記録上は死亡した人間だし、外部との連絡手段も持っていない。仲間だとしても、一体
どうやって連絡を取ったというのか。
 

(……全く、あの男はどれだけ面倒事を起こせば気が済むのだ……!)


695 名前:魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-1:2008/07/29(火) 20:58:50 ID:jlnylW3F
 チンクは思わず悪態を吐きそうになるが、ルーテシアの手前喉まで出かかったそれを飲み込む。
 
 敵として対峙した最初の邂逅はともかく、この施設であの男が目を覚ましてからこれまで、チンクは散々あの男絡みの
問題で頭を悩ませて来た。

 食事を介助しようとすれば『自分でやる』と言い張って、結局器の中身をぶちまける。
 保管していたデバイスを返せば『余計な機能をつけるな』と文句を言う(まあ勝手に拡張機能を設定したのが"あの"創造主と
くれば、少しだけその気持ちも分からないではないが)。
 挙句の果てにはやっと少しばかり動けるようになり、リハビリを開始した時だ。 
 こちらが組んだプランなど毛頭守るつもりはないとばかり、幾ら静止してもすぐに無茶を繰り返す。
 仮にもドクター(医師)・スカリエッティが組んだプランなのだ、与えられたメニューが最適・最優なものに
決まっている。
 なのに結局あの男は自分のやり方を最後まで変える事無く、結果的に"主治医"の見立てよりも早く全てのメニューを
終えてしまった。
 彼の無茶を止めていた筈の自分は、気づくと何故か彼のリハビリを邪魔をしたかのようになっていた。


 そして極めつけが今日の"これ"だ。
 命令でなければ、流石の彼女も世話係の交代を訴えていただろう。
 チンクは自分にゼストの世話係になるよう命じた時のスカリエッティの顔を思い出す。記憶の中の彼は笑っていた。

 ゼスト・グランガイツは何か自分に怨みでもあるのか。
 あるに決まっている。
 自分は彼の部下を手に掛けたばかりか、一度は彼自身の命まで奪ったのだ。怨みも怨み、末代まで祟ってやると
言われてもおかしくはない。もっとも自分が子を成す事はないだろうが。
 一方のチンク自身もまた、彼に右目を奪われている。それから、人より優れた存在――戦闘機人としてのプライドも。
表立って口には出さないがあの時の記憶は、未だ屈辱と共にチンクの中に残っている。失った右目をわざわざそのままに
しているのも、いつか完全回復した彼と再戦して勝利してから直すという秘かな目標があるからだ。
 そんな自分達が上手くやっていける理由など、次元世界の何処にも存在する筈がない。
 なのに、どうして彼はわざわざ自分達の接点を増やすような真似をしたのか。きっとあの創造主の事だから何か思惑が
あるのだろうが……

 止めよう。考えても答えが出るものではない。
 チンクは溜息をつくと、膝を折ってルーテシアの高さまで目線を落とし彼女に語りかけた。

「そうですか……しかしルーテシアお嬢様、今日はもうお休みになられる時間です。騎士ゼストとそのガリュー……さんには
私から事情をお話ししておきますので、部屋に戻りましょう」
「……」

 ルーテシアは答えない。
 彼女は基本的に無口だが、話しかければハッキリと受け答えする。
 その彼女が返事をしない時は嫌がっているか怒っているか、とにかくこちらの言葉に対して何らかの拒否を示している時だ。

「お嬢様がそのような我儘を言われては、クアットロもきっと困ってしまいますよ」
「……」


696 名前:魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-1:2008/07/29(火) 20:59:30 ID:jlnylW3F
 切り札もあっさりと破られ、チンクは頭を抱えた。
 どうも最近ルーテシアは自分達の言う事を聞いてくれない事が多くなったような気がする。
 勘違いかもしれないがゼストと行動を共にする時間が増えてからだ。
 このままだといずれあの男のようになる、というのは自分の思い込みだろうか。
 親子というわけでもあるまいに、出来れば見る人間の背中はよく選んでほしい。

「わかりました。それでは二人に話して、お話の続きは明日してもらうようにしましょう。それでいいですか?」
「……わかった」

 なんとか譲歩案を引き出せた事に安堵しながらチンクはルーテシアに手を差し出す。
 ルーテシアが自分の手を握るのを確認すると、彼女はルーテシアを伴ってゆっくりと森の奥へ歩を進めた。

(……とはいえ、『ガリュー』の正体如何によっては戦闘も避けられん。一応ドクターに報告を入れて)



 轟音が夜の森に響いたのはその時だった。



「なっ!?」
「!!」

 地面が振動し、木々の葉が一斉にざわめく。
 繋いだ手に力を込めるルーテシアを咄嗟に抱き寄せながらチンクは混乱しつつも状況を把握しようとする。

 襲撃?
 それならばこの位置であれば基地のセキュリティに引っかかる筈だ。
 セキュリティが反応すればウーノから自分に連絡が来る。よって外部から何者かが襲来した可能性は限りなく
ゼロに近い。
 だとすればゼストの仕業か? 万全ではないとはいえ、十分に戦闘可能な状態までは回復している。
 それに、ゼストには伝えていないが実は今日は"ナンバーズ"もう一人の実戦型であるトーレが別任務で基地を
離れていた。つまり自分達に反旗を翻すタイミングとしてはこれ以上の機会はないのである。
 だがルーテシアを放ってあの男がそんな行動に出る事が有り得るのか?
 或いは謎の存在『ガリュー』が事態に関わっている?。

 とにかく音の発生した方向へ向かおうとして、チンクは胸の中の少女について逡巡する。
 
(お嬢様を危険に晒す訳にはいかない……だが、何が起こっているのか分からない以上此処に一人残しておくのも
危険か……クッ!)

「お嬢様、舌を噛まぬようしばらく口を閉じておいてください!」

 チンクはルーテシアを抱き上げると、地面を蹴って走り出す。
 目の届く範囲であればいざとなれば自分の身を盾にする事が出来る。それにもしゼストが本当に自分達を攻撃する
つもりなら、彼女を人質に使うという選択肢もある。

 そのような事態が起こっていない事を祈りつつ、木々の間を駆けるチンクはルーテシアに聞こえぬよう小さな声で呟いた。


「全く……ゼスト、貴様という奴はっ!!」


697 名前:ておあー:2008/07/29(火) 21:00:53 ID:jlnylW3F
今回は以上です、お付き合いくださった方ありがとうございます。しかしゼストメインの話が連荘とは珍しい。
エロパロ板に投下する作品なのに何故か戦闘シーンで悩んで推敲するほど泥沼にはまり込んでいくよ! 不思議!!

そして……
あ…ありのまま(略)『このSSは俺の中でリリカル坂を登っていたと思ったら、いつの間にか降りていた』
もっと素晴らしいケツ叩きの片鱗を味わったぜ…急かしてくれた方、ありがとうございました。
おかげで生還できました。半分だけですが。そして続きを待っててくださった方、他にもいたらすみませんでした。
もっともっと頑張ります、はい。

それから……
まとめの司書の方にお願いがあります。
保管庫の中にある『リリカルやがみけ』の7話終盤に、『新暦68年 ミッドチルダ某所』という記述があるのですが、
これを『新暦70年』に修正していただけないでしょうか。
よろしくお願いします。

次回8話その2『初めての共同作業(リリカル的な意味で)なの!』

698 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 23:02:41 ID:Rn51e5af
なんというゼスト祭り!!
オヤジ好きとしては嬉しい限り、こりゃ良いわいwwww

シロクジラ氏&ておあー氏、両氏に最大級のGJを!!!

699 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 23:37:26 ID:KoR1JBNE
>>652
GJ
クロノが生き残って最後の良心が来たと思ったら・・・・・・お前もかw
リーゼさんとこで何があった、いったい?

>>680
エリオ・・・・だよな?
てっきり死亡したものと思っていた。
生きていてくれて嬉しい反面、何で悪人に?
>「……お父さん」
本日一番の萌えポイント。



投下しようと開けたらまた偉い更新具合だ。
で、こちらの容量は10kbときたもんだ。
推敲に時間かかり過ぎたからなぁ・・・・・・。

700 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 23:43:35 ID:V+1UiowH
>>697
ずっと待ってたぜ旦那!
戦闘シーンで推敲?このスレでは問題無ーし。
次回も超期待してる。

>>699
まだ20kb容量残ってるからちょうどOKかと。

701 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 23:45:31 ID:g5lr3uct
そろそろB・A氏とアルカディア氏の登場を期待してしまう…

>>680
ルーテシアにゼスト、それにエリオ(?)と、だんだんと盛り上がってきました。
生きていたのは嬉しいですが、エリオ(?)は何故反旗をひるがえしたのか…すごく気になります。
キャロは……

702 名前:B・A:2008/07/30(水) 00:05:53 ID:+u7gTtJS
>>700
きっかり30kbです。

703 名前:B・A:2008/07/30(水) 00:07:58 ID:YRfhsFnS
>>700
きっかり30kbです。
すみません、「10kb“オーバー”ときたもんだ」
と書きたかったんです。

704 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 00:10:07 ID:PgxkdGyh
次スレをたてるべきなのかな?


705 名前:B・A:2008/07/30(水) 00:12:56 ID:YRfhsFnS
>>704
できれば、お願いしますorz
その・・・・立て方わからないんで。

706 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 00:14:59 ID:gyXVT6uX
ちょっと挑戦してみる

707 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 00:15:37 ID:PgxkdGyh
了解。じゃ立ててくる。

708 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 00:16:12 ID:PgxkdGyh
おおっと。
>>706さんどうぞ。

709 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 00:18:13 ID:gyXVT6uX
立ちますた
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1217344619/

710 名前:B・A:2008/07/30(水) 00:28:00 ID:YRfhsFnS
>>709
乙です。
それでは、今から投下行ってきます。

711 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 00:57:58 ID:PgxkdGyh
埋めついでのお馬鹿小ネタ

 もしも映画が「魔法少女リリカルSPIRITS」だったら

 舞台は○年後…
 ミッドチルダからいつの間にか姿を消した3人娘。


 その1

 救助して施設に送った子供たちに異変があったと知って調査するスバル。
 優しく見えた施設の長は、異形のクリーチャーだった。
 単身乗り込むスバル。尊敬していた「エースofエース」の称号を名乗って!
 しかし、多勢に無勢で破れてしまう。
「ヒヒヒヒ、オマエガエースofエース? コノ…オオウソツキノ ニセモノメガ」
「く…そ…」
 そこへ見覚えのある魔法光。
「マサカ…」
「ごめんね、スバル、遅くなって」
「なのは…さん」
「敵は多いの……ううん、たいしたことはないの。
今夜は、私とスバルでダブルエースofエースだから」


 その2

 フェイトを探しているティアナは、内乱の絶えない別世界でおかしな噂を聞く。
 敵味方関係なく滅ぼすという「赤い瞳の悪魔」の噂を。
 内乱で難民となった子供たちの世話をしているフェイトと出会うティアナ。
  内乱に巻き込まれる二人と子供たち。
 反乱軍に向かい、フェイトが立ち向かう。
 内乱は、クローンによる人造魔道師の実践テスト場でもあった。
 怒りに燃える赤い瞳
「嘘…あれが、フェイトさん?」
「フェイトさん……そんな…」

「ほほう、いい性能だな。貴様の作戦目的とIDは!」
「正義。フェイト・テスタロッサ・ハラオウン」


 その3

 ベルカの砂漠で古代遺跡を調査しているはやて。

  (中略)
  
「今は、この力(夜天の書)が、あたしのプライドや…」

712 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 02:00:18 ID:ZMmJLhEL
不憫長ww
ちゃんと書いてやれよww

713 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 02:02:43 ID:reZ6N9Ac
ちょこっと埋め小ネタ投下
注意 陵辱 エロ控えめ 一応メインはフェイト 一応ふた

eranano StS 2が元ネタ

714 名前:umenanosts:2008/07/30(水) 02:03:59 ID:reZ6N9Ac
 だだっ広く『ソレ』以外には何もない部屋の中でフェイト・T・Hは目を覚ました。
 ……拘束ベルトがついて、頭のあたりに美容院にあるパーマ機の様なモノが鎮座している、『ソレ』を見ながらフェイト・T・Hはあまりにも異様な状況にわずかなおびえを浮かべていた。
「……ソレにスわレ」
 どこからか聞こえてきた声に、あらがいの声を上げようとしたフェイト・T・Hは、それでも気がつけば勝手に立ち上がっている自分に気付いた。
 それに訝りながら、聞こえてくる声の異常な響きに嫌悪感を覚える。
「ソレはイメえじグシょうキ。おまエのしリあいヲかたちドる」
 そんなフェイトの思いを無視して、声は淡々と続きを投げかけてくる。
 その声に、感情が感じられないことにわずかな恐怖を覚えた。
「そのしりアいをちょウきョうし、ドレいにしロ。おマえのイめえジりょクは、どれイやどうグをカうたびよわマり、ドれいをウるたびつよマる。いめエじリョくがなくナれば、オまエハシぬ」
「なんで、そんな、こと」
 かろうじて声が出た。
 それに応える声は無くて。
 身体が椅子に縛り付けられる。
 そして、いきなり光景が一変した。




 フェイト・T・Hの目の前には、いくつもの巨大なシリンダーがあった。
 薄い緑色の液体には、フェイト・T・Hが知る人々が入っている。
「……これ」
 驚きながらそれらを見つめるフェイト・T・H。
 いくつものシリンダーの最初に目についたモノに、思わず驚きを浮かべた。
 初めてであった頃のなのはや、アリサにすずか、ユーノとクロノ、エイミィやリンディと言った面々がいたのだ。
 否、それだけではない。
 幼い頃のはやてやヴォルケンリッター達に、六課の面々、聖王教会の関係者やナンバーズにヴィヴィオと聖王ヴィヴィオの姿まであった。
 しかも、その中に幼い頃の自分の姿や、母・プレシアの姿まであることにわずかな恐怖を感じた。
 先程の声の響きが思い出される。
 調教してドレイにしろ、そんな言葉にただ目の前のシリンダー群の意味が理解できた。
 ……死にたくない。
 それがフェイトの脳裏を占めていたから、最初になのはを選んだ。
 シリンダーから液体が抜け落ち、なのはがそこから解放される。
 どういう仕組みなのか、全く濡れていないだけでなく、子供の頃のお気に入りの服にツインテールという姿のなのはが、不思議そうにこちらを見つめてくる。
「あなたは、誰ですか? ……フェイトちゃんに似てるけど」
 小首をかしげるなのは。
 その愛らしさに、胸の奥が奇妙に揺れた。
 このなのはを、自由にしていいのだと、そう感じたから。
「私はフェイト。……そう、あなたの知るフェイトの大人になった姿ね」
「フェイトちゃん? ホントに?」
「ええ、そうよ。詳しいことは後で教えてあげるね」
 なのはに答えを返しながら、ここからどう動けばいいのか解らなくて。
 気がつくと、大きなダブルベッドが一つあるきりの部屋に移動していた。
 なのはが特に不審を覚えた様子も無く、こちらを見つめてくる。
 そのことに気付いて、けれど、どうすれば良いか解らなくて。
 ふと、あの声が言っていた道具と言う言葉を思い出した。
 同時に、フェイト・T・Hの眼前に道具の一覧が表示された。
 なのはの動きはまるでDVDをポーズしたときのように完全に固まっている。
 だから、ただ無心にその道具類を眺めた。
 最初はローターとペニスバンドそれにローションをいくつか選択すると、その画面が消えた。
 そして、フェイトの手元にそれらが現れて、また消滅する。

715 名前:umenanosts:2008/07/30(水) 02:04:38 ID:reZ6N9Ac
 ……まるで、バリアジャケットのように、意思の力で自由に出し入れ出来ることに納得してから。
 もう一度なのはに視線をむけた。
「それで、どうしていきなりおっきくなったの、フェイトちゃん?」
 不思議そうな表情で見上げてくるなのは。
 その表情に、なぜか異様な昂奮を覚えた。
「それは、ね」
 なのはの両脇の間に手を入れて、いきなり持ち上げた。
 そのまま、ぽすんっとベッドに落とす。
「フェイトちゃん?」
「なのはを、愛するためだよ」
 言うが早いか、フェイトはあっという間になのはを裸にした。


 ……それから何日が過ぎただろう。
 フェイト・T・Hは自分の異常さに戦きながらも、他の皆をその毒牙に掛けていった。
 すずかやアリサを従順に調教して売り飛ばす、……大人の高町なのはを助手のなのはに調教させたり、なのはを高町なのはと3Pで可愛がったり。
 だんだん、自分が壊れていっていることを、フェイト・T・Hは自覚していた。
 サドに目覚め、変身魔法を応用してふたなりになって、散々に皆の手を口を胸を膣を肛門を、散々に汚し、精液まみれにさせて、精液を飲み下させた。
 ユーノやクロノを逆レイプした末に、アナルを散々に犯してなのは達を犯させた。
 とくに、幼い頃の自分自身は、拘束した上で鞭や針で責め立て、何度も処女膜を再生させてはバイブやペニスバンドで痛みや恐怖を味わせて最後には売り払った。
 ……キャロとルーテシアを限界まで、けれど処女のまま調教して、助手にしたエリオに処女を破らせて、三人をそれぞれ専用にして、眺めて楽しんだ。
 今ではふたなり化だけでなく触手も召喚できるし、処女膜の再生や母乳を出せるようにする薬も買えるほどで。
 それがあまりにも楽しすぎた。


 そして、どれだけの時間が経っただろう。
 フェイト・T・Hは身体の下で足掻くなのはを見ながら、微笑みを浮かべていた。
 アイマスクにボールギャグ、クリキャップと搾乳機、アナルバイブも付けさせたなのはは、少し腰を揺らすだけで絶頂に達するほどになっていた。
 それはフェイト・T・Hも同じで、幾度となくなのはの中に精をはき出している。
 そろそろ、なのはも限界だろう。
 だから、アナルバイブを一気に引き抜く。
 同時に、思い切り背をそらして絶頂に震えるなのは。
 そんななのはを見ながら、視線を部屋の隅に向ける。
 全裸のまま所在なげに立って……、オナニーをしていた高町なのはがとことこと近づいていくる。
 高町なのはの前にペニスバンドを出現させただけで、こちらの意図が伝わって。
 震えながらペニスバンドを身につける高町なのは。
 そのまま、なのはのアナルを、一気に貫いた。
 ぎゅぅっと、ペニスが締め付けられて、フェイト・T・Hもまたなのはの中に精を放つ。
 びくびくと激しく痙攣して、ぐったりと身体の力を抜くなのは。
 けれど、それで許すはずが無く、フェイト・T・Hは高町なのはに顎をしゃくって動かせると同時に、自分も腰を動かしていく。
 甘い声を上げまくる二人のなのは。
 その姿は壊れたフェイトにはあまりにも心地よすぎて、限界を超えてしまった。
 最後に一際大きな声を上げたなのは。
 その姿ゆっくりと薄れて、消える。
「……ぁ」
 何かが、間違っている。
 そう思った瞬間、全てが闇に閉ざされた。



716 名前:umenanosts:2008/07/30(水) 02:05:09 ID:reZ6N9Ac
「……夢」
 びくりと身体が勝手に震えて、フェイトは目を覚ました。
 あまりにも陰惨で淫猥な悪夢。
 自分が、幼い頃のなのはや、今のなのは、六課の面々を思うままに貪るなど、悪夢が過ぎるというモノ。
 夢は願望と言うけれど、そんなはずがない。
 そう思って、ベッドから起き上がった時。
 不意に部屋の戸がノックされた。
「なのは?」
「うん、入って良いかな」
 こんな時間に、どうしてきたのだろうか。
 そんな疑問を抱きながらも、フェイトは戸の方まで行って鍵を開けた。
 ゆっくりと戸が開く。
「なのは、どうしたの?」
 廊下の暗がりにいるなのは。
 なぜか嗅ぎ馴れたにおいを感じて、思わず眉をひそめるフェイト。
 そのにおいは、夢の中で散々かいだモノだったから。
「フェイトちゃん……、私辛いの」
 呟きながら、暗がりからでてくるなのは。
 パジャマの股間から太ももにかけて、ぐっしょりと濡れそぼっていた。
「フェイトちゃんの熱いペニスで犯して欲しいの。前も後ろも思い切り埋めて欲しいの。おっぱいもいっぱいいじってミルク絞って欲しいのぉ」
 甘くとろけた声音に、ゾクゾクと背筋が震える。
 あの悪夢がまだ終わっていないのじゃないかと言う恐怖と、エースオブエースであり凛々しくて美々しいなのはを好きに出来るのだという快楽故に。
「いいよ。おいで、なのは」
 何かが間違っている。
 何かが壊れている。
 解っていても、なのはの淫蕩な誘惑は、フェイトには拒むことなど出来なかった。

717 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 02:07:20 ID:reZ6N9Ac
前書きでタイトル書き忘れ、失礼
……切腹してくる

異様にエロいeranano StS 2作成者に敬礼

718 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 02:33:26 ID:Nt+OxhhF
今までSS書いた事の無い人間が、ヤマもオチもイミも無い日常の1シーンだけ思いついた時はどうすればいいものかしら。



「今日の訓練はお休みにして、化粧の仕方講座をします」
「私達位の年になると、公式の席でノーメイクっていうのは流石に許されないからね」

「えーと、ちなみにこれっていくら位するんでしょう?」
「ピンキリだけど、これなら○○○○ぐらいかな」
「こ……こんな小さなボトルが○○のアイス10個分……」
「みっともないからそういう計算は止めなさい」

719 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 02:36:32 ID:Ds/zwp37
>>717
GJ!!
こういうのすごい好きだぜ!
出来ることなら続きに期待

720 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 02:36:42 ID:MRmufqlL
俺はそういう小ネタ的なものも好きだけどなー
1回1個だと何だから、3つくらいずつに纏めて1レスとして投下するとか?

721 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 06:16:42 ID:3ggDUKWo
>>711見て思いついた。スト○ンガーなフェイトそん。
コミック持ってないんで台詞すごいうろ覚え。


オットー「ハーケンスラッシュにハーケンセイバー。カスだね」
クァットロ「ば〜か」
ウェンディ「ノロマ」
チンク「我々は何万人もの実験体の中から選ばれている。
    プレシア・テスタロッサとやらが作った旧型など敵ではない」

フェイト「待て! その墓に触るな!」
トーレ「……この墓の下には死体が無い。
    答えろ。ここに眠っていた者も、お前と同じ人造魔導師なのか?」
フェイト「……ハズレだ。その子は魔導師でもなんでもない。
     アリシア・テスタロッサは、ただの女の子だ」

トーレ「パワー、スピード全てが互角か。だが、数が違う」
フェイト「互角? だったら、私の勝ちだ。
    バルディッシュアサルト、カートリッジロード!
    雷光一閃! プラズマザンバーー!!」
セッテ「ぐああぁぁ。つ、つよい……」
フェイト「見たか。これが再改造ベルカ式の力!」

722 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 08:23:29 ID:L1W8nrYd
>>717
フェイトが主導権握ってるのもいいねぇ
GJ!

残りわずかなんで、出かける前に埋め立てしてくどー

723 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 08:26:17 ID:L1W8nrYd
┌─┬────────┬──────┬──┬───────────────────────┐
│順│      題名      │    作者    │開始│            内容                  ..│
├─┼────────┼──────┼──┴───────────────────────┤
│01│ 風の癒し手(番外) │ザ・シガー  ..│>>6  ラブストーリー/シャマル×オリキャラ            │
├─┼────────┼──────┼──────────────────────────┤
│02│ 嘆きの中で ( 2 ) │シロクジラ  ..│>>58  シリアス/StSアフター/事件/スバル中心?       │
├─┼────────┼──────┼──────────────────────────┤
│03│俺達の正義      │B・A       ...│>>83  シリアス/居酒屋中将/if                 .゚│
├─┼────────┼──────┼──────────────────────────┤
│04│クリニック・F (8)  ..│554        . │>>123 オリジナルストーリー/きれいなスカリエッティ      .│
├─┼────────┼──────┼──────────────────────────┤
│05│貴方のための世界│野狗       │>>135 鬱/フェイトvsはやて/やっぱりプレシアの娘      .│
├─┼────────┼──────┼──────────────────────────┤
│06│宴は永遠に     │タピオカ   ...│>>166 コメディ/居酒屋中将/黄泉がえり               │
├─┼────────┼──────┼──────────────────────────┤
│07│愚者(16)        │◆Ev9yni6HFA│>>183 シリアス/オリジナルストーリー/地上局員/群像  ..│
├─┼────────┼──────┼──────────────────────────┤
│08│スクランブルシャマルさん.│CRR        │>>247 エロ/ヴォルケン/ヴィータの初めて.            ..│
├─┼────────┼──────┼──────────────────────────┤
│09│アルフ触手姦     │ザ・シガー  ..│>>275 エロ/ロリアルフ/触手/無限書庫は危険がいっぱい│
├─┼────────┼──────┼──────────────────────────┤
│10│カナリア       .....│B・A       ...│>>285 エロ/凌辱監禁/ヤンデレ/ディード×ティアナ     .│
├─┼────────┼──────┼──────────────────────────┤
│11│名探偵エリオ   ..│アルカディア .│>>371 小ネタ/フラグ/犯人はヤス                  .│
├─┼────────┼──────┼──────────────────────────┤
│12│宴は永遠に     │タピオカ   ...│>>383 コメディ/居酒屋中将                     │
├─┼────────┼──────┼──────────────────────────┤
│13│Das Erbe〜(20)  .│B・A       ...│>>396 StSアフター/戦闘/エリルー/ガリューライダー  .....│
├─┼────────┼──────┼──────────────────────────┤
│14│ 嘆きの中で ( 3 ) │シロクジラ  .゚│>>424 02参照                                   .│
├─┼────────┴───┬──┴─┬────────────────────────┤


724 名前:名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 08:27:15 ID:L1W8nrYd
├─┼────────────┼────┼────────────────────────┤
│15│いってらっしゃいの定点観測.│44−256 .│>>445 ほのぼの/日常/高町家                 │
├─┼────────────┼────┼────────────────────────┤
│16│しんじるものはだれですか?(3)詞ツツリ .│>>455 エロ/シリアス/復讐/鬼畜艦長×タヌキ.      │
├─┼────────────┼────┼────────────────────────┤
│17│宴は永遠に             │ タピオカ │>>476 コメディ/居酒屋ネタ・プレシア版           .....│
├─┼────────────┼────┼────────────────────────┤
│18│撃て!なのは! .        │野狗    │>>496 ギャグ/『太陽を壊した女』               │
├─┼────────────┼────┼────────────────────────┤
│19│テスタロッサに花束を     │        │>>543 鬱/病んデレキャロ/フェイト廃人           │
├─┼────────────┼────┼────────────────────────┤
│20│魔法少女リリカルふぇいと ...│562     .│>>629 1期再構成/コメディ/凛々狩る本気狩る     │
├─┼────────────┼────┼────────────────────────┤
│21│嘆きの中で(4)          ...│シロクジラ ゙│>>674 02参照/ゼスト×メガーヌ                   .│
├─┼────────────┼────┼────────────────────────┤
│22│リリカルやがみけIsS(8-1)   │ておあー │>>683 分類不能(ごった煮)/ガリューvsゼスト         │
├─┼────────────┼────┼────────────────────────┤
│23│umenanosts              │     ...│>>713 陵辱/エロ/奇妙なお話/サドフェイト        ...│
└─┴────────────┴────┴────────────────────────┘

【次スレ】
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第79話☆
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