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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第50話☆
- 1 名前:祝・50スレ:2008/02/06(水) 09:50:18 ID:08eff8si
- 魔法少女、続いてます。
ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレです。
『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をしたほうが無難です。
・オリキャラ
・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)
『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
「1/10」「2/10」…「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。
【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
読み手側には読む自由・読まない自由があります。
読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶことが出来ます。
書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけてください。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントすることが多発しています。
読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。
『注意情報・臨時』(暫定)
書き込みが反映されないトラブルが発生しています。
特に、1行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えることがあるそうです。
投下時はなるべく1レスごとにリロードし、ちゃんと書き込めているかどうか確認をしましょう。
リンクは>>2
- 2 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 09:53:40 ID:08eff8si
- 『リンク』
【前スレ】
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第48話☆
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1201277819/l50
【クロスものはこちらに】
リリカルなのはクロスSS倉庫
http://www38.atwiki.jp/nanohass/
(ここからクロススレの現行スレッドに飛べます)
【書き手さん向け:マナー】
読みやすいSSを書くために
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5301/1126975768/
【参考資料】
・Nanoha Wiki
ttp://nanoha.julynet.jp/
・アリサだもんっ!
ttp://homepage3.nifty.com/damenahito2000/
・R&R
ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/data_strikers.html
(キャラの一人称・他人への呼び方がまとめられてます)
☆魔法少女リリカルなのはエロ小説☆スレの保管庫
ttp://red.ribbon.to/~lyrical/nanoha/index.html (旧)
ttp://wiki.livedoor.jp/raisingheartexcelion/d/ (wiki)
- 3 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 09:57:07 ID:08eff8si
- まずった。
【前スレ】
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第49話☆
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1201770179/l50
- 4 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 11:07:47 ID:5gI4otXQ
- >>1
乙
- 5 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 11:17:43 ID:VexGnZM5
- >>1
乙です。
- 6 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 11:33:47 ID:anIT5QrT
- >>1
ギガント乙ーク!
- 7 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 11:55:58 ID:/6TQEZmv
- >>1乙や
もう50スレか…時が経つのは早いな
- 8 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 13:08:02 ID:d7mnJzHD
- >>1
乙です。
このペースなら100いくのもあっという間かな
- 9 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 14:17:51 ID:2w6J81or
- 作品の投下がまばらでいつ落ちるかハラハラしてた頃が懐かしい。
- 10 名前:ザ・シガー:2008/02/06(水) 16:42:08 ID:LPm80klq
- >>1 乙でっせ!
もう50スレか…凄いな。
それじゃあ、記念すべき50スレ最初の投下行きますぜ? 準備は良いですかい?
今回はシグナム姐さんとヴァイスの絡みでエロSSだぜ。
- 11 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 16:45:52 ID:q6Z3NbCn
- シガーさんキター!
待ってましたぜw
- 12 名前:ザ・シガー:2008/02/06(水) 16:48:13 ID:LPm80klq
- それじゃあ投下いきます。
ヴァイス×シグナムでエロです、エロですから、はい。
- 13 名前:ザ・シガー:2008/02/06(水) 16:49:24 ID:LPm80klq
- 烈火の将は狙撃手がお好き
その日の朝は正に素晴らしく晴れやかなものであった。
小鳥が可愛らしい声でさえずり涼やかな風が流れ、空には雲一つ無く紺碧の青空に燦然と太陽が輝いて地上を暖かく照らしている。
これ以上に心地良い朝があろうかと思える程に清々しい朝、そんな日に起きれば大抵の人間なら実に気持ち良い目覚めを味わえる筈だ。
しかしヴァイス・グランセニックの場合はそうはいかなかった。
何故なら彼の隣には昔からの知り合いである夜天の守護騎士、烈火の将シグナムが寝ていたのだから。
「う〜……頭いてえ…」
朝起きて始めに感じたのは酷い頭痛だった。
昨日の最後の記憶はどっかの店で酒を飲んでた筈だ、これが二日酔いだって気付くのにそんなに時間はかからなかった。
「昨日は飲みすぎたな……しっかし…ここどこだ?」
俺は半分寝ぼけた頭を何とか起動して意識を正常にしていく。
周りを見渡せばそこには見慣れない部屋模様が広がっている、俺の部屋が一瞬で綺麗に片付く魔法なんて存在しないからここは友人の誰かの部屋だろう。
でもこんな綺麗に片付いた部屋に住んでる知り合いなんていたか? そもそも俺をベッドに寝かせてくれる程の気の良い奴がいた覚えが無い。
そして何より俺が真っ裸って事が最大の疑問だった。
でもそんな疑問はベッドの隣を見て即座に解消する、そこには俺と同じく真っ裸のシグナム姐さんがいた。
「…………マジか?」
俺は思わず声を出して呟いた、これはいわゆる“朝チュン”ってやつか?
そういえば昨日はシグナム姐さんと飲みに行ってたんだった、今の今まで完全に忘れてたぜ。
俺は基本的に飲みすぎると記憶が飛ぶタイプだから、あまり正確に昨日の事を覚えていない。
きっとシグナム姐さんの部屋で飲み直して泥酔して“行為”に雪崩れ込んだんだろう。
酒に任せて昔からの付き合いの姉貴分に手ぇ出すなんて……俺って奴はなんて野郎だ。
俺は軽く自己嫌悪に入りながらシグナム姐さんの身体に視線を移した。
いつもはポニーテールに結ばれた髪はストレートに下ろされている、そして緋色の川のように流れる髪はなんとも言えない甘い香りを放って俺の鼻腔をくすぐる。
一糸纏わぬ姐さんの身体は1枚のシーツに覆われていたがその起伏に富んだ艶めかしいボディラインはそれくらいではとても隠し切れないのか、あちこち肌蹴て素晴らしいラインを描く胸や尻を覗かせていた。
そして何より眼を惹くのは姐さんの安らかな寝顔だ、いつもは抜き身の刀身のように鋭く隙の無いシグナム姐さんだが、今はまるで天使か女神とでも呼べそうなくらいな穏やかな顔をしている。
「ん…んぅ…」
俺が一人でバカみたいに姐さんの寝姿に見惚れていると、シグナム姐さんは艶めかしく身をよじって眠りから覚め始める。
瞬間、俺の脳裏でこの後の展開のシュミレーションがされた。
以下シュミレーション。
「酔った女に姦通を強要するとは、この強姦魔がっ!! この場でレヴァンティンの錆にしてくれるわ!!!」
さくさくっ
- 14 名前:ザ・シガー:2008/02/06(水) 16:50:44 ID:LPm80klq
- 哀れ、ヴァイス・グランセニックは空のお星様になりました。
シュミレーション終了。
そうして脳内で綿密なシュミレーションを終えた俺は、本能的にシグナム姐さんの部屋を逃げるように飛び出していた(瞬く間に着替えていたので、そこは大丈夫だったぜ)。
「…という訳だ」
「なるほど」
ヴァイスは機動六課宿舎の食堂で六課に所属する数少ない男仲間であるグリフィス・ロウランに先日の話を相談していた。
六課の人間でこんな相談を出来るのはグリフィスくらいのもんである、エリオは同じ男でもあまりに幼いし他の女性局員は論外である。
そして何よりこのグリフィス・ロウランという青年は意外と頼りになる男なのである。
「それで最近シグナム副長とよそよそしかったんですか?」
「…ああ」
例えばある日は。
「げえぇっ! シグナム姐さんっ!!」
「ヴァイス。実はこの前の事で…」
「おっといけないっ! これからティアナにグランセニック流狙撃術を教える時間だ!! では姐さん失礼します!!!」
またある日は。
「のわああっ! シグナム姐さんっ!!」
「ヴァイス。実はこの前の事で…」
「おっといけないっ! これからアルトにヘリ操縦の究極奥義を伝授する約束があったんだ!! では姐さん失礼します!!!」
またまたある日は。
「ひでぶううっ! シグナム姐さんっ!!」
「ヴァイス。実はこの前の事で…」
「おっといけないっ! なんか忘れたけどなんか大事な用事があった!! では姐さん失礼します!!!」
と言った具合にヴァイスはここ最近、シグナムの事を避け続けていたのだ。それこそ一言の会話が発生する状態さえ回避するくらいに。
そんな彼に対してグリフィスは容赦無い言葉を投げかけた。
「ヴァイス陸曹、あなた馬鹿でしょ」
「…うぐぅ」
「いくらシグナム副長を避けたって状況は少しも変わらないんですよ?」
「…うぐぅ」
「むしろ、すればする程に事態を悪化させているという事すら分からないんですか?」
「…うぐぅ」
「ヤるだけヤって逃げるなんて本当に最低の人ですね」
「…うぐぅ」
「それとヴァイス陸曹の“うぐぅ”は最高に気持ちが悪いのでやめてください、今すぐに」
「………グリフィス…お前って容赦ねえな」
- 15 名前:ザ・シガー:2008/02/06(水) 16:52:05 ID:LPm80klq
- 「全て真実ですから、それはそうと………後ろ見た方が良いですよ?」
グリフィスはメガネをかけ直しながら静かに呟いた。そしてヴァイスが後ろを振り向けば、そこには額に青筋おっ立てた烈火の将が腕を組んで仁王立ちしていた。
「ヴァイス……少し話しがあるんだがな」
「はぁ〜……」
ヴァイスは深い溜息を吐きながら、まるで処刑場に向かう罪人のように暗い雰囲気を漂わせながら我が家への帰り道を歩いていた。
今まで避け続けたシグナムと遂に接触してしまい、今日の夜にヴァイスの家にやって来てたっぷりと“お話”を聞かせるように命令を下されたのだ。
相手はあの烈火の将である、“お話”だけで済む保障などな無い、最悪の場合は古風なハラキリスタイルで責任を取らされかねないだろう。
故にヴァイスはこの日が命日とでも言わんばかりの陰鬱な空気を纏っての帰宅と相成ったのだった。
そしてヴァイスがマンションの自分の部屋の前に来た時、部屋の前に佇む人影を見る。
それは見紛う事なき烈火の将、シグナムその人であった。
「遅かったなヴァイス」
「どうぞ」
「ああ」
ヴァイスはそう言ってシグナムの前にコーヒーで満ちたカップを置く。
シグナムは静かに返事を返すと同時に淹れたての熱いコーヒーを飲み干して、即座に話に移った。
熱すぎるコーヒーが好きなのか、それとも早く話を切り出したかったのか、それを知る術は無い。
「今日は少し遅かったな」
「いや…シグナム姐さんが速過ぎるんっすよ」
ヴァイスはそう言いながらシグナムの姿に眼を移す。シグナムは六課の仕事から直行して来たのか局の制服姿のままだった。
「確かにそうかもしれんが、しかしいつもならお前はもっと早く六課から帰っているだろ」
「そうっすね、実は今日はちょっとティアナの個人練習に付き合ってまして…」
「…ほう」
ヴァイスがティアナの名前を口にした瞬間、シグナムは眼に見えそうなくらいの凄まじい殺気を放ち始める。
そしてカミソリのように鋭く、氷のように冷たい視線でもってヴァイスを睨み付けた。
「ところで、ここ最近の話なんだがな…」
「うう………はい」
「ヴァイス、お前どういうつもりだ? 最近のお前の態度といい……私に喧嘩を売っているのか?」
明らかに怒りを込めてぶつけられるシグナムの言葉にヴァイスは深い恐怖と後悔の念を抱く。
そしてヴァイスは即座にシグナムの前で頭を下げた。
「すんませんっしたあああぁっ!!」
いわゆる一つのDO☆GE☆ZA、つまりは土下座式謝罪法である。
男ヴァイス・グランセニックは古今東西最高級の謝罪の形式で以ってシグナムに頭を下げ、声を張り上げて謝った。
「ヴァイス……私は…」
「完全に俺が悪いっす!! どうか許してください!!!!」
- 16 名前:ザ・シガー:2008/02/06(水) 16:52:58 ID:LPm80klq
- 「ちょっと待てヴァイス、少し落ち着け」
凄い声量と勢いで謝るヴァイスの様子にシグナムはいささか驚き、慌てて彼を落ち着かせようとする。
だが次の瞬間、シグナムはヴァイスの発した言葉に凍りついた。
「あれはなんと言うか…酒の勢いだったんです!!」
「………えっ?」
とりあえず頭を下げたヴァイスだが一向にシグナムの反応が無い、沈黙に耐え切れずヴァイスはそっと顔を上げてシグナムに視線を移した。
そこには見たこともない表情をしたシグナムの顔があった。
それは見ている方が辛くなるような悲壮な表情で、今にも泣き出しそうな程にシグナムの瞳は悲しみに潤んでいた。
「………酒の…勢い?」
「あ、あの…姐さん?」
「それじゃあ……それじゃあ、あの時お前の言った言葉も勢いなのかっ!? 答えろヴァイスッ!!」
シグナムはそう言うと同時にヴァイスをその場に押し倒し、泣きそうな声と涙を溜めた瞳でヴァイスに問い質した。
普段の毅然とした誇り高いベルカの騎士としての姿が想像できない程の、シグナムのそのあまりの狼狽振りにヴァイスは言葉を失って唖然とする。
そしてヴァイスはやっとあの夜の事を思い出した。
あの日、ヴァイスは酔いに酔ってシグナムに抱いていた淡い想いを全てぶちまけ、そしてシグナムはそれを受け入れて身体を許したのだった。
「あの日、私に“好きだ”と言ったのも! “愛してる”と言ったのも! 私を抱いたのも全部酒の勢いだとでも言うのかっ!!」
ヴァイスを押し倒して馬乗りになったシグナムは彼の胸倉を掴みながら叫ぶ。そして、もはや耐え切れなくなったのかその綺麗な瞳から涙を溢れさせている。
結局、シグナムが怒っているというのはヴァイスの勘違いであり、彼女はヴァイス同様彼に好意を持っていてくれたのだ。
接触を避け続けた事がシグナムの心を傷つけていた事にヴァイスはやっと気付いた。ボロボロと涙を零すシグナムの様にヴァイスは否応無く胸を締め付けられるような思いになる。
故にヴァイスはこれ以上つまらない言葉で取り繕うのを止めた。
「答えろヴァイ…んぅっ!!」
馬乗りの状態でヴァイスに問い詰めていたシグナムの口が言葉を紡ぎ切る事無く塞がれる。
言うまでも無く塞いだのはヴァイスの唇である、彼はシグナムの肩に手を掛けて一気に抱き寄せると同時に自分のそれを彼女の唇に重ねた。
「んむぅぅ!」
突然の事にシグナムは身をよじって逃げようとする、だがヴァイスはそれを許さず力任せに身体を入れ替えてシグナムをその場に押し倒した。
そして強く重ねるだけだった口付けを舌を絡めて口内を満遍なく愛撫する激しいものへと変えていく。
「んぅぅ…ちゅぷっ……」
ヴァイスは音を立てて舌を蠢かせてシグナムの口内を味わい、たっぷりと唾液を交換して彼女の唇を蹂躙する。
その口付けの激しさに零れた唾液がシグナムの唇から顎を伝って流れ落ち、彼女の着ている制服のブラウスの胸元を汚していくが、シグナムはそんな事を気にする余裕などは無い。
口内から駆け巡る快感が彼女の怜悧な思考を溶かし、理性の壁を破壊した。
もはやシグナムは微塵も抵抗する素振りを見せず、それどころか腕をヴァイスの背に回して強く抱き寄せて自分の身体を彼にすり寄せている。
「ぷはぁっ…」
永い口付けに息が苦しくなったヴァイスは味わい尽くしたシグナムの唇からやっと自分の口を離す。
- 17 名前:ザ・シガー:2008/02/06(水) 16:54:38 ID:LPm80klq
- 二人の唇の間には交わされた口付けの激しさを物語るように唾液の糸が引き、しばらくの間互いの口を繋げていた。
そしてヴァイスは、激しい口付けの快感に理性を蕩かせているシグナムに優しく囁いた。
「シグナム姐さん、すいませんでした……俺ずっと、姐さんを無理矢理ヤっちまったって思ってて…それでシグナム姐さんを怒らせちまったって思って、姐さんを避けてたんです」
「……そうだったのか?」
「はい、だからもう一回言わせてください。俺シグナム姐さんの事が好きです! 愛してます!! だから……だから俺と付き合ってください!!!」
男ヴァイス・グランセニック、一世一代の大告白である。
締まらない状況ではあるが、そんな事は構わずにヴァイスは自分の中にある全ての思いをシグナムにぶつけた。
ヴァイスのその言葉を受けたシグナムはまた瞳に涙を流す、だが溢れる涙の雫の理由は歓喜のみ。
「ああ……こんな私で良かったら、どうかお前の恋人にしてくれ」
そうしてまた二人は唇を重ねる。先ほどの熱く貪るようなものと違い、今度はただそっと重ねるだけの口付けだったがそれは優しく温かくなにより甘かった。
フローリングの床の上で抱き合いながら互いの唇を重ね合うヴァイスとシグナム。
唇と同様に身体も寄せ合っていたのだが、シグナムは自分の腿や下腹部に当たる熱く硬い感触に気付いた。
それは間違う筈もない、興奮し屹立したヴァイスの肉棒である。
シグナムはおもむろにヴァイスの身体を押して顔を離すと、自身の手をヴァイスの下腹部へと伸ばして彼の陰茎を服の上から撫でた。
「ちょっ! 姐さん!?」
「なあ…ヴァイス……その…したかったら、しても良いんだぞ?」
「えっと……良いんですか?」
するとシグナムはネクタイを解き、ボタンを外して纏っていたブラウスを肌蹴させ、下着に隠されたその豊満で美しい乳房を露にする。
そして恥じらいにより頬を朱に染めながらヴァイスを誘った。
「ああ……私の身体はもう髪の毛一本から爪の先まで……一つ残らずお前の物だ、だからお前の好きなようにしてくれ」
そのシグナムの言葉にヴァイスは間髪入れずに彼女の唇を塞いだ、今度の口付けは先ほどの優しいものではなく情欲を促す激しい舌の蹂躙である。
愛撫はそれだけに終わらず、ヴァイスの手はシグナムの胸を覆うブラジャーを瞬く間に外し、彼女のたわわな果実を直接弄ぶ。
「んむぅぅ!……ぴちゃっ…んぅっ!!…」
ヴァイスの指はシグナムの豊満な乳房を揉みしだきながら、頂の乳頭を丹念に捻り・弾き・引っかいて狂おしい性感を与える。
口内を蹂躙する舌の動きも加わり、ヴァイスの与える愛撫はシグナムに早くも軽い絶頂をもたらした。
「んうぅぅっ!!」
キスで塞がれた口から可愛らしい声を漏らしながらシグナムは身体を小刻みに震わせる。
小さく痙攣する身体とスカートを越しに分かる程に濡れた股ぐらが明確に彼女の絶頂を伝えていた。
ヴァイスは口付けからシグナムの唇を解放すると、彼女の耳元で優しく囁いた。
「姐さんイっちゃったんですね。可愛いですよ」
「そ、そんな事言うな……第一私はそんなに可愛くなど無いぞ…」
「何言ってるんっすか? 姐さんはとっても可愛いですよ」
「……馬鹿者…おだてても何も出んぞ」
ヴァイスの言葉にシグナムは頬をさらに赤く染めて恥らう、その様があまりに可愛らしくてヴァイスは思わず笑みを零した。
そしてヴァイスはシグナムが絶頂の波から冷めたのを見計らって、彼女の制服のスカートをたくし上げる。
- 18 名前:ザ・シガー:2008/02/06(水) 16:55:57 ID:LPm80klq
- そこにはストッキングと下着越しに果汁を溢れさせて、存分に自己主張する秘所があった。
「それじゃあ、姐さん。良いですか?」
「……」
シグナムは何も言わず、赤く朱に染まった顔を縦に振って了承の合図を伝える。
ヴァイスはその意図を汲み取ると、瑞々しい彼女の太股を開かせ、邪魔なストッキングを破り下着をずらして彼女の蜜壷を露にする。
そこは果汁を洪水の如くに溢れさせ、男根による進入を今か今かと待ち望んでいた。
ヴァイスは迷う事無くズボンのファスナーを下ろして取り出した自身の猛る肉根を蜜壷の入り口に当てがった。
そして瞳を見詰め合ったヴァイスとシグナムはその瞬間に互いの求めるモノが一緒だと悟る。
故にヴァイスは迷う事無く自身の肉根をシグナムの秘所に挿し入れた。
「ひゃぁあんっ!」
猛々しい肉棒の一突きにシグナムは瞬く間に新たな絶頂の波にさらわれる。
背は折れそうなくらいにのけ反り、ヴァイスの背と腰に回された手足は力の限り彼を抱き寄せた。
身体を走る快感が強すぎたのか、一度達しただけでシグナムは息も絶え絶えになっている。
「はぁ…はぁ…」
「姐さん、大丈夫ですか? 今日はもうこれくらいで…」
「…いや……私の事は気にするな…ヴァイスの好きなように動いてくれ…」
「姐さん…」
そんなシグナムの様子にヴァイスはすぐ腰を動かすような事はせず、またそっとキスをした。
そっと唇を重ね合わせながら、慈しむように優しい手付きで髪やうなじを撫でる。その穏やかな愛撫にシグナムはうっとりと酔いしれていく。
しばらく優しく穏やかなヴァイスの手に身を委ねていたシグナムだったが、キスに塞がれた口を解放して再びヴァイスに甘い誘いの言葉を吐いた。
「ヴァイス……そろそろ…」
「はい…俺も、もう限界ですから」
そう言うや否や、ヴァイスは我慢し続けた欲望を解放する。
挿入されていた自身の肉棒を凄まじい勢いで動かし、激しい腰の動きでシグナムの蜜壷を擦り上げていく。
腰を動かす度に肉をぶつけ合う音と湿った水音が部屋中に響き渡り、そこにシグナムの甘い鳴き声が混じり淫蕩な調べを奏でる。
「ひゃあぁんっ!……んうぅっ…はぁんっ!」
シグナムは耳の溶けそうなくらいの切ない声で嬌声を鳴き、ヴァイスの欲情を否応無く昂ぶらせていく。
ヴァイスは腰の激しい動きはそのままに、素晴らしいボリュームと美しさを誇るシグナムの乳房に口と指を近づけた。
「ふああぁっ!! だめぇっ! それ…んぅぅ……だめぇえ」
強く性感を感じる乳房の中でも一際敏感な乳首をヴァイスの口が吸い上げ、指が捻って強烈な快楽を与える。
全身を駆け巡る凄まじい快楽の電流に、シグナムの蜜壷はまるで男を搾り取る為にあるような素晴らしい絡み付きと締め付けでヴァイスの肉根に応えた。
その快楽にヴァイスも堪らず絶頂に駆け上る。
「はうんぅぅっ!……ふぁあぁ…」
「姐さんっ! 俺…もうっ!!」
「はんっ! わらひもぉ……もう…だめえぇ…」
言葉と同時にヴァイスはあらん限りの白濁たる自身の精をシグナムの蜜壷に吐き出した。
- 19 名前:ザ・シガー:2008/02/06(水) 16:57:02 ID:LPm80klq
- 肉棒の突き上げと怒張、そして射精の勢いにシグナムも一際高い絶頂に高められて、意識を失いそうなくらいの快楽の波に溺れた。
俺は今ベッドで横になっている、そして隣を見ればシグナム姐さんが静かに寝息を立てていた。
今度は酔ってもいねえし、記憶もちゃんとある。
遂にシグナム姐さんと恋人同士になったんだという認識が否応無く意識させられた。
「こりゃ、部隊長になんて言うかねぇ〜」
俺は緊張感の無い言葉を呟くと眠る姐さんの髪を指で梳いてその感触を楽しみながら、まどろみに沈んでいった。
続く。
- 20 名前:ザ・シガー:2008/02/06(水) 17:03:20 ID:LPm80klq
- 投下終了です。
やっぱシグナム姐さんって最高のキャラだよな、ギャグ・バトル・エロとなんでもござれだぜ。
そして今後の展開はどうすっぺかね? このまま二人のだだ甘ラブラブ性活にするか、それともティアナやらアルトが絡むドロドロ愛憎劇(俺に書けるか自信は無いが)にするか。
とりあえず、もうしばらくシグナム姐さんを書きたいっす。
しかし前々から書くとか言ってるレティさんのエロがまったく進まねえ、書くと豪語しておきながらなんという体たらくだよ……軽く自己嫌悪中ですがな。
- 21 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 17:12:49 ID:q6Z3NbCn
- 俺なんかは、実は色恋ごとに関しては、
奥手で、健気で可愛い姐さんなんかが見たいんだぜ。
慣れないワンピース着てデートに着たりとか。
でも、シガーさんのリビドーのままに突き進んでくれw
- 22 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 18:15:42 ID:chS82KW9
- シガー。シガー。シィイイイガァアアアアア!!!!
G.J!! シグナム姐さんかわいいよ。 はぁはぁ・・・
- 23 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 19:49:15 ID:sq1cnxuW
- ここはあれだ、他の女性陣と話したりするだけでも嫉妬モードになる展開をですね
- 24 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 19:58:05 ID:2A1qvQML
- シグナム姐さんは一途なイメージだよね
悪女なシグナム姐さんが想像できない
- 25 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 20:01:49 ID:mKuI7mgE
- 俺は今、新たな伝説を見た!!
でも……
「ひでぶぅ!シグナム姐さん」ってやらなかったのが唯一の心残りだぜ!?
- 26 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 20:32:46 ID:SzM035A3
- >>24
悪女のまねをしようとして挙動不審になるシグ姐さんなら想像できた
- 27 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 20:34:47 ID:r4eV2wWM
- >26
悪女じゃないけど、そのまま無自覚に局員の「女性」を惚れさせまくる
女ジゴロな将なら妄想できた
男前すぎると思うんだ
- 28 名前: ◆6BmcNJgox2 :2008/02/06(水) 20:58:16 ID:3otvsBP6
- 新スレ立って二番手行かせて頂きます。
・なのは×ユーノ
・ユーノがなのはにちょっと変わったプレイを要求するお話
・その時の要求が後になのはの命を救う展開に…
・ユーノがセクハラ発言したりする
・エロあり(微?)
・ちょっとオリジナル要素とかもあります
- 29 名前:パイズリ淫獣ユーノくん 1 ◆6BmcNJgox2 :2008/02/06(水) 20:59:21 ID:3otvsBP6
- それはなのはとユーノが二人一緒に寝る事になった時の事…
「なのは…実は…頼みたい事があるんだ…。」
「何? ユーノ君…。」
ユーノは物凄く申し訳無さそうな顔をし、なのはは首をかしげた。
「これ聞いたら…なのはは絶対怒るかもしれない。でも…聞いて欲しいんだ。」
「だから何? 教えてよ。」
もったいぶるユーノになのはも困った顔をしていたが、そこでユーノは深呼吸し…言った。
「な…なのはの…おっぱいで…パ…パイズリして欲しいな〜…なんて…。」
「な………。」
なのはは絶句し、同時にユーノも歯を食いしばった。この後直ぐになのはの
平手打ちがユーノの頬を強く叩くに違いない。そうユーノは考えていたが…
「い…良いよ…。ユーノ君以外の男の人からそんな事言われてたら絶対頭冷やさせてたと
思うけど…ユーノ君なら…私…構わないよ。」
なのはは頬を赤くしながらもニッコリ微笑んだ。なのはも恥かしそうではあったが
この場にはなのはとユーノの二人きりで他は誰もいない。何より相手はユーノなのだからと
なのはも無礼講のつもりなのであろう。そしてなのははゆっくりとパジャマのボタンを
外し、ユーノの前に己の豊満な乳房を露にした。
「さ、ユーノ君もオチ○チン出して。こうやってオッパイでオ○ンチンを
挟んだりするんでしょ? パイズリって…。」
なのはは両手でそれぞれの乳房を軽く握り、真ん中へ上げて寄せていたが
ユーノは意外な事に顔を左右に振っていた。
「違うんだなのは。確かに僕はパイズリして欲しいけど…それは僕のチ○ポじゃなくて…。」
と、次の瞬間ユーノは己をフェレットの姿へと変え、その状態でなのはの豊満な乳房の
上へと飛び乗ると共に谷間へと潜り込んだのである。
「キャッ!」
「フェレットの僕自身を…パイズリして欲しいんだ。」
この発想は流石に無かったわ。確かにフェレット形態のユーノの形が
男のモノを連想させて卑猥だと言う輩はいても…まさか…ユーノ自ら
フェレット形態で自分自身を…それもなのはにパイズリさせようとは
きっとお釈迦様やイエス=キリスト、古代ベルカにかつて君臨していたと
される聖王だって想像出来なかったに違いない。
「良いかな? なのは…。」
「うん…良いよ。ちょっとくすぐったいけど…。」
なのはの豊満な乳房の谷間に挟まったフェレットユーノへ向けてなのはは笑顔を送った。
なのはは実は少しだけ安心した。何だかんだで殿方のモノを乳房で挟むと言うのは
どうも抵抗があった。ユーノがそれを望むのならば勿論我慢はするが…他の男に
そんな事を要求すれば絶対に怒って頭を冷やさせている所。そこを考えれば
フェレット形態のユーノを挟むと言う行為の方が遥かに健全(?)
久し振りにフェレット形態のユーノを見る事が出来て嬉しかった事もあるし、
ユーノのフサフサの毛がくすぐったいとは感じてもなのはは喜んでユーノを乳房で挟み込んだ。
- 30 名前:パイズリ淫獣ユーノくん 2 ◆6BmcNJgox2 :2008/02/06(水) 21:00:14 ID:3otvsBP6
- 「ありがとうなのは…。」
「キャッ…くすぐった…。」
フェレット故に人間形態より柔らかいユーノを潰したりしない様になのはは
優しく力を抜いて乳房で挟み…絞めて…そして左右の乳を上下左右に動かす。
そうすればする程ユーノの柔らかくフサフサな毛並みと乳房が擦れて…くすぐったい。
ユーノにとってもなのはのスベスベで…柔らかくも弾力のある乳房が温かくて気持ちが良かった。
今のユーノがフェレット形態と言う小さな体であるが故になおさらなのはの乳房が大きく感じる。
昔…まだお互い子供だった頃はあんなにペッタンコだったのに…何時の間にかにこうにも
大きく成長するとはユーノも改めて驚き…そして嬉しかった。勿論ただ大きいだけじゃない。
肌の質感も…弾力も…温かさも…何もかもユーノにとって最高だった。
その最高の乳房に自分が挟まれて…パイズリされている。ユーノにとってこんなにも
嬉しい事は無い。今ならば例え淫獣と呼ばれても構わない。淫獣らしいやり方で
なのはを僕の物にするんだ。嫌…もう既になのはは僕の物だ。なのはの美しい肢体は
なのは自身と僕の物だなのだ。他の何者にも渡さない。そしていずれは……
なのはには僕の子供を沢山産んでもらうんだ………そうユーノは考えていた。
だが今はまだその時では無いし、そんな場合でも無い。だから今は今の事を…
フェレット形態の状態でなのはの乳房に挟まれて…全身をパイズリしてもらう事にユーノは集中した。
「うわぁ…ユーノ君の毛並みが…とってもくすぐったいよぉ…。」
乳房の間でモサモサと動き回るユーノになのははなおもくすぐったさを感じる。
そしてこれがとても心地良い。フェレット形態特有の柔らかな毛並みが
なのはの左右の豊満な乳房をくすぐる。挟んで動かせば動かす程…ユーノの毛並みと
なのはの乳房の肌が擦れてとても気持ち良い。さらになのはは昔…まだ子供だった時に
同じくフェレット形態のユーノを抱っこしていた時の事を思い出した。
ユーノがフェレット形態を見せてくれたのも久し振りである事もあって…
なのはは昔を懐かしんだ。しかしこうも思う。昔のまだ子供だった頃の私は
乳房でユーノ君を挟む事など到底叶わなかった。けど今は違う。こんなにまで
大きく育った乳房の谷間でユーノ君を挟んであげられる。ユーノ君は大人になって
少しエッチになったけど…男の子だから仕方が無いよ。でもね、男の子が女の子に
興味がある様に…女の子も男の子に興味があるんだよ。ユーノ君が私の事を好いてくれる様に…
私もユーノ君の事が好き。ユーノ君が私に自分の子供を産ませたく考えている様に…
私もユーノ君の子供を産んであげたい…。だから他の女の子なんかにユーノ君は渡さないよ。
なのはは心の底からそう考えていた。しかし今はまだその時では無いし…場合でも無い。
だからこそ今は今やらねばならない事…フェレット形態のユーノを乳房で挟んでパイズリに集中した。
- 31 名前:パイズリ淫獣ユーノくん 3 ◆6BmcNJgox2 :2008/02/06(水) 21:03:03 ID:3otvsBP6
- 「なのは…いい…良いよぉ…温かくて柔らかくて…。」
「ユーノ君だって…フサフサのお毛々が柔らかくて…くすぐったいよぉ…。」
「あああああああああ!!」
ユーノの毛並みとなのはの乳房が擦れあえば擦れ合う程二人とも気持ち良くて…何故かイッた。
翌日、なのはは自主トレーニングに励んでいた。バリアジャケットを装着し、
レイジングハートを構えて訓練場の上空を縦横無尽に飛び回り、管理局がJS事件の後、
ジェイル=スカリエッティが使っていた無人機動兵器ガジェットを基にして
逮捕したスカリエッティ自らに再設計させて作らせた訓練用のターゲットを相手にすると言う
実戦形式の訓練である。ターゲットから放たれるビームは訓練用の物であるが
それでも当たればかなり痛い。だからこそなのはは宙を巧みに飛び回りながらビームを回避し
逆にシューターを当てて落として行く。流石は戦技教導官、大規模魔法さえ使う事無く
基本的な攻撃魔法だけで特に苦も無くあっと言う間に全てのターゲットを落としていた。
「やっぱり訓練用ターゲットだけじゃ簡単過ぎるか〜…。フェイトちゃんかシグナムさんが
いるならもっと実戦に近い訓練が出来るんだけどな〜。」
訓練用ターゲットの余りのあっけの無さになのはも少々呆れていたのであったが、
そこで突然なのはの胸元がモゴモゴと動き出した。しかも何かとてもくすぐったい。
するとどうだ。何となのはの胸の谷間からフェレット形態のユーノが這い出て来たでは無いか。
「流石なのはだね! 訓練用ターゲット位じゃ全然意にも介して無い!」
「キャァ! ゆ…ユーノ君!?」
一体何時の間にどうやってなのはの胸の谷間に潜り込んでいたのかさっぱり分からなかったが、
どうやら先日の事でユーノはフェレット形態でなのはの乳房の谷間に挟まれるのが気に入った様子である。
と、そこでなのはがユーノを掴んでひょいと摘み上げた。そして頬は赤くなっており、
何と言うかご機嫌斜めと言う感じの表情になっていた。
「ユーノ君…そう言うのは時と場合を選んでよ馬鹿ぁぁぁぁぁ!!
そんなんだから淫獣って呼ばれるんだよぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「キュ―――――――――――!!」
なのははユーノを思い切りぶん投げ…その後で全力全開ディバインバスターで頭冷やさせたそうだ。
それから一週間も経過した後…突如として大規模時空犯罪が発生。
よって管理局の各課から数多くの武装局員が投入される大規模な作戦となった。
普段滅多な事では前線に出ない教導隊ではあるが、ここまでの騒ぎとなれば
出動命令がかからないはずはない。よってなのはもまた前線に出て敵時空犯罪組織の尖兵を
相手に戦闘を繰り広げていた。
- 32 名前:パイズリ淫獣ユーノくん 4 ◆6BmcNJgox2 :2008/02/06(水) 21:04:09 ID:3otvsBP6
- 「敵の数は多いけど…個々の力は大した事無い! これなら行ける!」
なのははシューター系を駆使して敵を密集させる様に追い込み、その後でバスター系でまとめて
薙ぎ払うと言う戦法を取って群がる敵を相手にしていたのであるが…
なのはの背後の遥か遠くから一人の狙撃魔導師がなのはの後頭部に狙いを定めていた。
「そのキレイな顔を吹っ飛ばしてやるぜ! いや後からじゃ顔見えないけどさ!」
彼は時空犯罪組織側のスナイパー魔導師。そして背後から狙撃魔法を撃ち込んで
なのはを殺すつもりであった。
「あっ!」
なのはが背後の気配に気付いた時にはもう遅い。スナイパー魔導師の撃ち込んだ
狙撃魔法弾は既になのはの眼前にまで接近しており、回避も防御魔法も間に合わない。が…
次の瞬間…突如なのはの周囲に発生した緑色のプロテクションが魔法弾を防いでいた。
「え…?」
一体何が起こったのかさっぱり分からないなのはであったが…直後に以前も感じた事のある
くすぐったさを胸元に感じた。するとどうだ。またも乳房の谷間からフェレット形態のユーノが
這い出て来たでは無いか!
「なのは大丈夫!?」
「ゆ…ユーノ君!?」
またもどうやって何時の間になのはの乳房の谷間に潜り込んでいたのかさっぱりであったが
そのおかげでなのはは助かった。本当なら怒りたい所だけど…命の恩人には敬意を払う必要がある。
「ユーノ君…あ…ありがとう…。」
「気にしないでなのは。なのははいずれは僕の子を沢山産む身なんだよ。誰にも傷なんて付けさせない。」
「だから…そんな事言うから淫獣って言われるんだよ…。」
せっかく良いシーンだったと言うのに一言多くてその良さが台無しになってしまっていた。
とは言えまだまだ敵は残っている。だからこそ今は戦闘に集中しなければならない。
「防御は僕に任せてなのはは眼前の敵を何とかするのに集中して!」
「ユーノ君の方こそ大丈夫なの?」
「大丈夫! なのはのオッパイが僕を守ってくれる!」
「…………………。」
なのはは少し怒りたくなったが…今はそんな場合では無い。かと言って今ユーノを
胸の谷間から出せばユーノに危険が及ぶし、ユーノを守ると言う意味でもそのままにしておいた。
『乳房の谷間にフェレット挟んだ状態で戦う女性魔導師』と言うのは客観的に見ると
かなりシュールであるし、貧乳の女性魔導師にとって見れば挑発してんのか?
って言いたくなる様な代物であったが、これが中々強い。
- 33 名前:パイズリ淫獣ユーノくん 5 ◆6BmcNJgox2 :2008/02/06(水) 21:05:18 ID:3otvsBP6
- なのはが攻撃し、ユーノが守る。そしてユーノ自身の安全もなのはの大きくて弾力のある
二つの大きな乳房がクッションになって守られている。何よりも…ただでさえ強いなのはが
ユーノの頭脳と助言、そして探査魔法を使用してレーダーのごとく敵の位置を特定すると
言ったサポート要素をプラスする事によって効率性が高まり、その力が120%以上に
引き出されている点にある。ジュエルシード事件以来二人でコンビを組んで戦う事自体が
約10年振りの事であったが…全くそれを感じさせず、まるで長年タッグを組んで来たコンビの
ごとく的確なチームワークを持って次々に敵を倒して行った。まさに二人は持ちつ持たれつである。
「ちょっとくすぐったいけど…ありがとうユーノ君。」
「ちょっとキツイし…オッパイが揺れて酔いそうだけど…こちらこそありがとう。」
ブラジャーで固定してはいるが、それでも激しく動き回ればその分なのはの乳房は
上下左右に揺れるワケで…そうなれば乳房の谷間に挟まれたユーノも上下左右に揺さぶられ、
酔いそうになっていたのであるが…それが逆にユーノにとって心地が良かった。
なのはもまた…自分の乳房がこうも大きく育った時は戦うのにどうしても邪魔だなと
不便に感じていたが…今こうしてユーノを挟んで守ってあげられる事が恥かしくも嬉しくて…
これはこれで良いや…そう思いつつあった。
一時して…戦闘も無事終了した。無論今回の事件を引き起こした時空犯罪組織の
者達は全員検挙。そして帰還するなのはであるが……やっぱりその胸の谷間には
フェレット形態のユーノが挟まっていた。
「なのは…また次もここに入って良いかな?」
「はぁ…今日はユーノ君のおかげで助かったけど…こういうのは夜のベッドの上だけにしようよ。
私だってユーノ君だって何時までも若いままじゃないんだよ。」
「大丈夫だよ。お互い歳を取った頃にはきっと僕となのはの子供か孫が今のなのは位に
美しく成長しているはずだからね。」
「はぁ…そう言う事言っちゃうから淫獣って言われちゃうんだよ。もう良いけどね…。」
なのはは呆れ顔で溜息を付きながら自分の部屋へと帰って行った。
勿論乳房の谷間にフェレット形態のユーノを挟み込んだまま…。
おしまい
- 34 名前: ◆6BmcNJgox2 :2008/02/06(水) 21:06:24 ID:3otvsBP6
- 前回「ユーノくんと不思議なお姉さん」で大人なのはが子供ユーノにパイズリするシーンを
やりましたが、そこを読み返している時に「あ…この手があるじゃん」って思い付いたのが今作です。
他でもたまにあるじゃありませんか。巨乳キャラが胸の谷間に何か挟んで隠すってシーン。
なお、ただ単純にユーノを挟むだけじゃなく、挟んだ状態で戦うのが個人的なポイントって事で…
ちなみに「なのははそこまで巨乳じゃねーだろ?」ってツッコミは全力全開で却下します。
- 35 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 21:08:21 ID:+NlHfazg
- リア鬼と同じ臭いを感じる
- 36 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 21:20:09 ID:s0iqjVkQ
- >>29
excelの同人のネタ思い出しちまったじぇねえか。
- 37 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 21:20:20 ID:SzM035A3
- チン○自重しろ淫獣wwwwwwwww
テラGJ!
- 38 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 21:32:16 ID:CYulHHoH
- チン○姉
- 39 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 21:50:10 ID:mKuI7mgE
- 見える……見えるぞォ…………
少女体型のゆえ。草葉の陰で泣いているチ○ク姉の姿が!!
ところでオリとナンバーズのカップリングって書いてOKでしたっけ?
- 40 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 21:54:27 ID:cMnXKuHt
- ナンバーズに限らずオリキャラと原作キャラのカップリングは敬遠されるな
まあ、相手がいないなら仕方ないんじゃないかな
- 41 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 21:54:33 ID:9E8dIQzs
- >>39
良作は正義。つまりはそういう事じゃないか。
まぁ、期待してる。
- 42 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 21:56:13 ID:GLlXEn7y
- >>39
OKだろ。
ナンバーズの相手候補だとスカかゼスト、ゲンヤかカルタス(更正組のみ)くらいか。
最後はモブとほぼ同じだが。
- 43 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 22:14:37 ID:K8LDCgdx
- 自分自身を受け入れてもらい子宮内で溺死するユーノ君と申したか?
ではなく、早すぎるスレの流れに鳥肌を立てつつ、軽く投下させてくださいな
前々スレの受信電波、お尻のあたりで怪しいとは思っていましたが、
やはり発信源はそこでしたか、相変わらずの素晴らしいお尻でした(ヲイ
きっとテスタロッサ姉妹の下りは、どこかの誰かの悪意ある改変を受けて
ハラオウン執務官>テスタロッサ姉妹 に変換されたのでしょう
ほら、なんかあのガ○スの仮面に出てきそうな電気変換資質持ちのプ(雷撃
それはともかく、ざふぃふぇ!の三回目、いきます
タイトル通りです、内容は無くて無きが如しです、お気をつけください
- 44 名前:ざふぃふぇ!:2008/02/06(水) 22:15:48 ID:K8LDCgdx
- 奥様の名前はフェイト、そして、だんな様の名前はザフィーラ。
あまり普通でない二人は、あまり普通でない恋をして、ごく普通の結婚をしました。
でも、見ればわかるような気もしますが、だんな様は狼だったのです!
『ざふぃふぇ!』 第三幕 よるのいとなみ
西洋行燈を模した電気照明の、仄かな灯りに照らされた寝台、清潔感の漂う白いシーツのその上に、
大き目の首輪を身につけた全裸の新妻執務官が、両手は膝上、見事な正座で夫を待ち構えていた。
寝室へ訪れた青き狼に、弾んだ音色の声をかける。
「お風呂に入る前に、食べるか寝るか遊びませんか?」
省略された須らくの主語は、私を私と私で、である。
以前、言葉どおりに受け取って酷い目にあったトラウマが、ザフィーラにはあった。
魔力光を思わせる暖かな照明が、きめ細かい肌を均一に染め、白く透き通る印象を際立たせる。
身を震わすたびに、形の良い、無自覚な乳房が弾み、揺れた。
「いや、服を着ろ」
「着衣で、ですか……望むところだ、です!」
意気揚々と、ナース、スク水、秘密の小窓付き下着などを取り出し始める執務官。
まずは金色の頭頂に、素早くザフィーラが装着されたと言う、かぷりと音を立てながら。
「じ、地味に痛いです痛いんだ痛いってばザフィーラぁ!?」
- 45 名前:ざふぃふぇ!:2008/02/06(水) 22:16:48 ID:K8LDCgdx
- 手足をジタバタとバタつかせて抗議する執務官を、反省するまで延々と噛み続け、
まったく、何を言っているのかと嘆息した装着型守護獣が、人間形態へと姿を変えた。
手甲などの武装を取り外し、簡略化された騎士甲冑の式を身に纏う。
鍛え抜かれた浅黒い体躯と、そして、その精悍な顔つきにあるものは、諦観。
寝台の上にあぐらをかいて座り込む膝の上に、きめ細かい肌が腰掛けた。
「うー、おしとやかな奥さんを目指しているというのにー」
「無理をするな、どうせ無駄に終わる」
そもそも方向性が捻れている。
さらに何事かを言わんとしていたザフィーラだったが、逡巡、一言も発する事はなく、
自らの頭を軽く掻き毟り、そのまま無言でフェイトの首輪をとりはずした。
「あ、駄目だよザフィーラ、せっかくペアルックにしようと買ってきたんだから」
「そういうのは、服とか装飾品でやれ」
見てみれば、首輪を外したあとの肌が紅く、やや腫れている。
少しばかり痛々しいそれらを、ザフィーラが舐めとりながら口を開いた。
「蚤避けとかのせいでな、人間が耐えられる代物では無い、この手の首輪は」
「あぅ……道理でさっきから首筋が痒いと」
痒みを辿る舌の動きに、目を瞑り頬を染める妻の姿に、少しばかりザフィーラの表情が緩む。
舐めとり終わるころには、こてんと脱力した肢体を支えるように抱きとめて、
「……何も感じないのかな、やっぱり」
「何の話だ?」
上目遣いの呟きに対して、素直に問いかけた。
- 46 名前:ざふぃふぇ!:2008/02/06(水) 22:17:33 ID:K8LDCgdx
- 「えーと………何と言いますか、奥様が旦那様を誘っているのですが、いちおー」
「どこかに出かけるのならば、まずは服を着ろ」
ザフィーラあなたってひとはーと、ぽかぽかとグーパンチを繰り出す新妻執務官。
わけがわからないと言わんばかりに、表情が固まっているザフィーラに抱きついた。
「どーせどーせザフィーラにとって私なんか、毛皮の無い猿でしかないんだあぁ…」
「ふむ、確かに発情期でもないのに、猿に欲情するような性癖は無いな」
薄々と勘付いていた嫌過ぎる現実に、瞬間的に真っ白に燃え尽きたフェイト奥様は、
ますくめろーん、などと謎の悲鳴を口走りながら、シーツへと豪快に倒れ臥した。
少しは自信があったのに、とか、はやての嘘つき、とか、ぼそぼそと呟きながら、
シーツに「の」の字を描き続け、陰々滅々とした雰囲気を展開しはじめる。
流石に自分が何か、とんでもない事を言ってしまったかと気がついたザフィーラが。
何某かのフォローを入れようと髪を撫で付け、口を開こうとしたその刹那、
どこまでも据わりきった眼差しが、その身体を石化させた。
ドス黒い笑顔の額に微かに青筋を立て、濁りきった瞳で胸倉を掴み上げて、押し倒す。
されるがままのザフィーラに覆いかぶさり、鼻が触れ合うほどに顔を寄せて、止まった。
勢いで押し倒したは良いが、そこから先を考えていなかったらしい。
見る間に頬や耳が朱に染まり、なんとも言い難い微妙な表情でうろたえて、涙ぐむ。
その、少しばかり涙の零れている不様を、指で拭いながら、ザフィーラが問いかけた。
「何をしたいんだ? わかり易く言ってみろ」
頬を撫で付ければ、瞼を閉じる。
無骨な掌から伝わる暖かさに、掌に伝わる暖かさに、
ただそれだけで不思議と落ち着いた執務官は、正直な心情を言葉に乗せた。
「私は、今、ものすごく、ザフィーラが欲しいんだ」
思いのたけを込めた宣言で、いつの間にか緊張で強張っていた身体を、預ける。
蜘蛛の巣の如く乱れ散る金髪が、お互いの身体に絡み付いていた。
- 47 名前:ざふぃふぇ!:2008/02/06(水) 22:18:07 ID:K8LDCgdx
- (付録、次回予告)
この、果てしなく無理な夫婦関係は、スルー萌えのためにあるとしたら。
まったりとしたネタが、エロのある回のためにあるとしたら。
天国はこの、発情フェイトさん求愛行動全弾回避伝説の隣にあるはずだ。
ここまで充分にスルーした、充分に。
たとえそこが、禁断の地であろうとも。
次回 『ざふぃふぇ!』 第四幕 うそとほんとう
だが、エロのある回が、ネタのためにあるのだとしたら。
(続く)
- 48 名前:ざふぃふぇ!:2008/02/06(水) 22:18:44 ID:K8LDCgdx
- あとがきー
3回の予定が長くなったので、1回増量の事です
- 49 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 22:20:23 ID:DtNsE3lP
- ちょ、なんという寸止め。しかもネタのためにエロをかくとか。神か、アンタ。
ともあれGJした。続きを待ってますよー
- 50 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 22:22:07 ID:kLXVBDKl
- >>48
GJ!
なんつーか……わんだw
- 51 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 22:25:50 ID:rLD+XwN5
- GJ!!
相も変わらずフェイトさんと犬の温度差がいいwww
次回楽しみにしています!
- 52 名前:前スレ560 ◆vyCuygcBYc :2008/02/06(水) 23:08:33 ID:VexGnZM5
- Little Lancer 二話投下しても良いでしょうか?
前スレ>>578 このテのスレに投下するのは初めてですが、手慰み程度のものを適当に書いたりしたことならあります。
前スレ>>580 ケリュケイオンも併用中。自己ブーストとかにも使ったりしてますが、燃費はあまりよくないみたい。
確認したつもりだったけど誤字が多くてプチ鬱。ソニックブームにレバンティンって何だよ……(゚听)
- 53 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 23:15:47 ID:/6TQEZmv
- 今すぐ落とすんだブラザー!
- 54 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 23:25:21 ID:2A1qvQML
- wktk
- 55 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 23:27:06 ID:CYulHHoH
- >>52
よし、尻を突き出せ。掘って……張ってやる
- 56 名前:前スレ560 ◆vyCuygcBYc :2008/02/06(水) 23:28:32 ID:VexGnZM5
- Little Lancer 二話です。前回に引き続き過去編。
お約束通りの平凡な展開です。
注意事項
・非エロ
・原作IFもの
・エリオ主人公(今回はちょっとは活躍するかも)
・軽くとらは3の設定を流用
・鬱展開多し
・展開の、原作からの矛盾点などは虚数空間へスルーして下さい。
・NGワードは「Little Lancer」でお願いします。
・クアットロ萌え?
- 57 名前:Little Lancer 二話 1/8 ◆vyCuygcBYc :2008/02/06(水) 23:30:19 ID:VexGnZM5
- 死闘。
正しくそう呼ぶに相応しい光景だった。
雲霞のように空を舞うガジェットドローンの数は数えるだに意味はなく、安穏と見掛けだけの平和を貪ってきたミッドチルダ市街は各所で黒煙を吹き上げている。
首都防衛の要たる地上本部は秘匿していた破壊兵器アインヘリアルを全て失い、その威光を地に堕としていた。
目に見えない部分で言うなら、戦闘機人達が各所に暗躍し最高評議会メンバーの暗殺さえ敢行されている。
ミッドチルダの治安の均衡は、正に風前の灯である。
だが、この酸鼻極まる都市の状況も、天空の中枢に座す威容に比べれば瑣末事に過ぎない。
空に浮かぶ巨大な船。
古代ベルカより黄泉帰りし第一級危険ロストロギア「聖王のゆりかご」
その実態は、衛星軌道上に達すると二つの月から魔力を得て無敵の攻撃力と防御力、如何なる場所へも到達可能な航行力を得るという暴君の具現である。
もしも聖王のゆりかごの衛星軌道上への到達を許せば、ミッドチルダは聖王のゆりかごの保有者への絶対服従を強いられる。
そんな誰にとっても悪夢でしかない事態を回避するため、古代遺物管理部機動六課を始めとする地上部隊が抵抗を開始した。
機動六課はゆりかごへの侵入、スカリエッティのアジトの制圧、首都防衛の3グループに分かれて行動を開始。
程なくしてミッドチルダの空は更なる業火に覆われることとなる。
これが、後にジェイル・スカリエッティ事件と称されるミッドチルダ史に残る一大騒乱事件の始まりだった。
空には絶え間ない爆音が響き渡る。
本局の魔導師がガジェットドローンを粉砕する破壊音は遠雷のようだ。
どんな屈強な大男でさえ、家の中で膝を抱えて震えるしかない状況である。
そんな戦場と化したミッドチルダの空を、竜に乗った少年と少女が駆けた。
竜の字は「白銀の飛竜」フリードリヒ。
白銀の竜を駆るは機動六課ライトニング分隊の竜使いキャロ・ル・ルシエと、槍手エリオ・モンディアル。
竜の灼熱の吐息―――ブラストレイは一撃でガジェットの群れを蒸発させ、竜の懐に潜り込もうとする小物達は槍手の煌く魔槍によって壊滅した。
見る者が見たらなら、そんな苛烈な戦いをしている二人組が、10を超えたか超えないか位のほんの小さな子供で在ることに驚愕を覚えただろう。
だが、いくら年若くとも彼等は牙を持った兵士である。
自分の職務を全うする為に。
自分の大切なものを守る為に。
彼等は戦い続ける。
フリードリヒのブラストレイは尚も周囲のガジェットドローンを焼き払う。
もとより、心の無い機械人形如きにかかずらっている暇はない。
魂を賭けて対峙すべき相手はこの先にいるのだから。
ガジェットドローンの雲が切れる。
「……殺して。……あいつらを、殺して」
その先には、狂気と殺意に濁った瞳で敵を討てを繰り返す、小さな少女の姿があった。
そして彼等は、スカリエッティ配下の召喚師、ルーテシア・アルピーノと対峙した。
- 58 名前:Little Lancer 二話 2/8 ◆vyCuygcBYc :2008/02/06(水) 23:31:35 ID:VexGnZM5
- ルーテシア・アルピーノ。
彼女について解っていることは皆無に等しい。
エリオとキャロの知る限りでは、虫を使役する召喚師であることと、人造魔導師であること。
―――何らかの目的でレリックを探していること。
これで、ほぼ全てだ。
何も知らないに等しい。
……だから、知りたいと思った。
「ルーちゃん、ルーちゃん、話を聞いて!!」
キャロは騎上から必死に語りかけるも、ルーテシアからの返答はない。
ただ、殺せ、殺せと配下の虫達に下知を繰り返すのみである。
思えば、ルーテシアは表情を表さない少女だった。
過去の戦闘で幾度か顔を合せたことがあるが、いつも彼女は静かな瞳で自分達を見つめていたように思える。
そのルーテシアが、今激情に涙を流し殺意に狂って猛っている。
「エリオくん……何か、変だよ」
「……うん」
一度は、こちらの言葉に耳を傾けようともしていたのだ。
それが、何処からともなく聞こえてきた通信と共に、ルーテシアは暴走を始めたのだ。
「やっぱりあれが―――」
キャロがエリオの方を向いた瞬間、黒い暴風が襲い掛かった。
「■■■■■■■ッ!」
四つの赤い凶眼が、エリオを睨みつけていた。
ぎちぎちと音を立てて、ストラーダと外骨格で覆われた拳が鍔競り合う。
ルーテシアが全幅の信頼を置く人型召喚虫、ガリュー。
キャロには反応することすらできなかった。
高い知能と魔力運用能力を持ち、それらをヒトを超えた虫の身体能力をもって使用する強敵だ。
高速で間合いの中に肉薄してくるガリューは、懐が大きすぎるフリードリヒと、個体戦力に欠くキャロには正に天敵たる相手だ。
エリオはフリードリヒの背を蹴り、その身を宙に投げ出した。
ストラーダがデューゼンフォルムへと変形する。
陸戦魔導師であるエリオだが、デューゼンフォルム起動時にはその強力な魔力噴射によって擬似的な空戦を可能とするのだ。
キャロからの念話が入る。
『エリオくん、わたし、調べたいことがあるの。90秒……いや、70秒でいいから、ガリューを遠ざけてもらっていいかな?』
エリオはストラーダをガリューへと突きつける。
『うん。手ごわい相手だけど、遠ざけるだけならなんとか』
『ありがとう―――フリードもお願い、今から約一分、相手の攻撃を徹底的に避けて!』
「きゅくる〜」
銀の竜が空に嘶く。
竜は空に舞い上がると、高高度からの攻撃に見せかけた回避行動を開始する。
「■■■■■■■ッッ!」
エリオも低い唸り声と共に襲いかかる黒い召喚虫との戦闘を開始する。
殺せという下知に従い、殺意を持って襲いかかる黒い暴風を、エリオはストラーダの噴射を利用して空中で受け流す。
殆どの攻撃は右か左で体を入れる事によって裁き、キャロの方向と正反対へ向かう一撃のみストラーダで受け止め、弾き飛ばされる。
その繰り返しで、ガリューに気付かれないようにキャロとの距離をとるのだ。
それは、シグナムに「山猫のようだ」と賞されたエリオの平衡感覚とバランス能力抜きではできない、空中遊泳だった。
- 59 名前:Little Lancer 二話 3/8 ◆vyCuygcBYc :2008/02/06(水) 23:33:55 ID:VexGnZM5
- そして、エリオに満足に受け止められる限界がきた。
元より体格で勝る相手、少年の未成熟な骨格でその攻撃を受け止めるには限度があった。
ガリューの攻撃は単純で読みやすいが、それ故に常に最速で襲い掛かってくる。
プロテクション越しにも骨が軋む拳打はあと何発受け止められるだろうか。
「そろそろ、まずいかな……」
エリオの額に冷や汗が浮かぶ。
その時、キャロからの念話が入った。70秒、思いの外長かったらしい。
『エリオくん、大丈夫!?』
『うん、こっちは何とか大丈夫。そっちは何か解った?』
『うん、解った、解ったよ!
ルーちゃんの使ってるデバイス、わたしのケリュケイオンと同形機なの。
それでね、ケリュケイオンを仲介してルーちゃんのデバイスに侵入してみたの。
そしたらね、デバイスの方からルーちゃんによく解らないデータが大量に流れ込んでたの』
『どういうこと?』
『つまり、ルーちゃんはあのデバイスに操られてる状態なの』
『成るほど、解りやすい、ならあのデバイスを壊せば―――』
キャロはかぶりを振る。
『それが駄目なの。今デバイスを壊すと神経系に負担がかかり過ぎる。
下手したら、ルーちゃんが廃人になっちゃう』
『じゃあ、どうすれば―――』
『方法が、一つだけ』
キャロの提案は、勇敢なエリオをして躊躇させるような手段だった。
『この方法は……』
『ごめんエリオくん、わたし、エリオくんの危険も考えずに、』
『いや、やろう』
エリオはガリューの攻撃を受け止めながらも、空のキャロに向かって微笑みかけた。
『……いいの?』
『キャロは、ルーを助けたいんだろ? なら、やらなくちゃ』
『……ありがとう』
『でもその前にやらなくちゃいけないことが幾つかあるね。
まずはキャロの身を守るためにガリューの排除。
それから、僕が離れる間の地上戦力の増強―――』
『地上戦力なら大丈夫。
ヴォルテールを、呼ぶから』
ヴォルテール。黒き火竜。神話の神を想像させるレベルの破壊力を持つ、キャロの究極召喚。
『大丈夫? ヴォルテールは危険な召喚じゃあ……?』
『大丈夫。エリオくんが手伝ってくれるなら、わたし、怖いものなんてないよ』
キャロはそういって、ほにゃっと柔らかな笑みを見せた。
エリオは頷いた。
『なら、僕はガリューをなんとかする。だから、キャロは用意を!』
『うんっ!』
エリオは雑念を払って再びガリューと対峙する。
成功するかどうかも判らない危険極まりない状況。無謀極まりない計画。
それでも、胸には微かな高揚感がある。
―――守るべき相手にこれほど全幅の信頼を寄せられるなど、之こそ騎士の本懐ではないか!
- 60 名前:Little Lancer 二話 4/8 ◆vyCuygcBYc :2008/02/06(水) 23:35:18 ID:VexGnZM5
- エリオとガリューはビルの屋上で対峙していた。
既に何合、槍と拳を交差させたのか。
ガリューはまるで不沈船のようだった。
途轍もなく速く、力強く、そしてタフだった。
そして何より、ガリューは命令の儘に動く下僕ではなく、守るべきものの為に戦う家臣だった。
再びガリューの拳が襲いかかる。子供の喧嘩のような乱打だが、その一撃ずつが必殺の威力を秘めている。
エリオはそれを捌きながら叫んだ。
「ガリュー! 言葉判るんだろ! こんなことしても、ルーの為にならないのは判ってるんだろ!」
「■■■■■■■ッッ!」
襲いくるガリューに、尚もエリオは言葉を重ねる。
「ルーは、僕達が助けるから。
ルーを操ってる、悪い奴をやっつけるから、だから通してよ!」
ガリューは聞く耳持たぬとばかりに、エリオの言葉に拳で返答する。
「ガリュー、僕は騎士に成りたい。
騎士になって、大事な人を守りたい。
ねえガリュー、君も大事な人を守りたくて戦ってるんだろ!
君の守るってことは、あんな風にルーを泣かせることなの!?」
ガリューの動きが止まった。
ガリューは値踏みをするようにエリオの姿を見つめている。
「ガリュー?
通して、くれるの?」
ガリューは腕を広げて立ちはだかった。断じて否とその全身で告げている。
だが、それだけだった。
ガリューは腕を広げて立ちはだかったまま、不動である。
エリオには、ガリューの声が聞こえた気がした。
―――我は主の命に逆らう事あたわず。ならば汝が。ならば汝が―――
「僕に、倒せ、って言うんだね」
ガリューは視線だけで告げる。その槍で貫けと。
エリオは静かに首を振った。
「君は、ストラーダに頼って戦うしかできない弱い僕に、拳で戦ってくれた。
なら……最後くらいは、僕も、拳で応えないと」
エリオはストラーダを、地面に突き立てる。
右拳を矢のように引き絞る。
その右拳に魔力が渦巻き、次第に紫電を帯びて放電を始める。
「これが、僕の一番尊敬している騎士の技です。
―――紫電、一閃!」
ガリューは最後まで微動だにしなかった。
エリオの拳を水月で受け止め、そのままゆっくりと崩れ落ちた。
ガリューを殴ったエリオの拳も又、堅い外皮で擦り切れてボロボロになっていた。
だが、エリオはこの痛みを宝物だと思った。
エリオはストラーダを手にキャロの元に戻りながら、一度だけガリューを振り返った。
「ガリュー、ごめんなさい。ありがとう。
それから―――任せてて」
ガリューが、小さく頷いた気がした。
- 61 名前:Little Lancer 二話 5/8 ◆vyCuygcBYc :2008/02/06(水) 23:38:16 ID:VexGnZM5
- 「ごめんキャロ、遅くなった」
「大丈夫、あれから五分も経ってないよ」
果てしなく長く思えたガリューとの戦いは、思いの外短かったらしい。
極度の緊張で時間の感覚が狂ってるのかも知れない、とエリオは思った。
「準備はいい?」
キャロが頷く。
「ガリューを倒したの? やっぱり貴方達は私の邪魔をしたいのね」
狂気に曇った眼を向けるルーテシアが、猛る怒りを二人に向けていた。
もう、言葉が通じないことを承知でエリオは告げた。
「君を、助けたいんだ……ガリューも、それを望んでる」
「違う! 違う違う違う違う!
ガリューはいつでも私の傍にいてくれた、私の言うことを聞いてくれた―――白天王!!!」
ルーテシアの叫び声に呼応して、巨大な魔方陣が回転を始める。
そこから現れた威容に、エリオは言葉を失った。
「何だよ、あれ……」
「きっとルーちゃんの究極召喚。あれが対抗できるのは、わたしのヴォルテールだけ。
だから、エリオくんはもう行って。行って、ルーちゃんを止めてきて」
そう言って、キャロは悲しげに顔を伏せた。
「本当にごめんね。こんな危険な―――」
「大丈夫、僕は、キャロの頼みなら聞くよ」
そういって、エリオはにっこり笑んでキャロの頭を撫でた。
その時の、エリオの笑顔をキャロは生涯忘れないだろう。
「行くよ、ストラーダ」
『Düsenform』
第二形態のストラーダが膨大な量の魔力放出を行っている。
ストラーダは、魔力放出によって擬似的な空戦を可能とする。
だが、あくまで擬似的なものであり、高町なのはに代表されるような空戦魔導師のような長距離飛行は望むべきもない。
だが、それを一直線の最短距離に限定し、更にブーストデバイスによるバックアップをかければどうだろうか?
キャロは自身の魔力を限界近くまで削り、それをストラーダに注ぎ込んでいた。
エリオは、箒で飛行する魔女のように自身の愛槍にしがみ付く。
「カウントダウン、行くよ。10、9、8、7、6、5、4―――」
キャロもエリオも後先考えず、自分のリンカーコアから魔力を引きずりだしている。
「キャロ、帰ったら、君に伝えたいことがあるんだ」
「3、2、1、 ええっ!?」
キャロが聞き返そうとした瞬間に、既にエリオが飛び立っていた。全身に紫電を纏わせて、全速力で空を駆けていく。
行き先は無論、聖王のゆりかご、制御室である。
座標はケリュケイオンによって逆探知済み。
ただ一直線に突き破るのみ。
「早く―――もっと早く―――」
エリオは想像する。空を自在に駆ける、エース・オブ・エースと呼ばれる自身の教導官のことを。
『A.C.S Driver』
槍の穂先から、四枚の光の翼が現われ、更に加速していく。
「白天王、撃ち落として!」
忌々しげに叫ぶルーテシアに呼応して、白天王の肩の砲門に火が燈る。
ゆりかごに向かうエリオに向けて、人一人殺すには余りに巨大な熱線が放たれる。
直撃すれば骨も残るまい。
だがその熱線は、突如横から出現した巨大な火球に相殺された。
地には巨大な魔方陣が回転し、今正にキャロの究極召喚であるヴォルテールが姿を見せたのだ。
「……っ、今の魔力で、ヴォルテールを制御できるか判らないけど。
やらせない。それだけは、やらせないよ」
キャロは唇を噛み締めながらルーテシアに対峙した。
- 62 名前:Little Lancer 二話 6/8 ◆vyCuygcBYc :2008/02/06(水) 23:40:09 ID:VexGnZM5
- エリオは自ら光の矢となって、聖王のゆりかごの最下層の装甲を突き破って侵入した。
眼前には、キョトンとした顔のナンバーズ4、クアットロの姿があった。
「あらあら、これはこれは珍しいお客さんだこと。
誰かのお家を訪ねる時は、ちゃんと玄関から入るように、ってママから教わらなかったのかしら?」
彼女は冷たい嗜虐的な笑みを浮かべる。
「それとも、ママは子供もしつけられない駄目な人だったのかしら?
最近は、駄目な親が多いって話ね。自分の子供を虐待したり、甘やかし過ぎたり。
あ〜、それから自分の子供が死んだら複製を作って、コワいおじさんに怒られそうになったら時空管理局に売り渡したり……
んふふふふ、ほんと駄目な親がいっぱいで世も末ね。そう思わない?
二代目エリオ・モンディアル君?」
エリオは平然とクアットロの顔を見つめる。
「ルーを解放して下さい。ルーを操ってる装置はここにあるんですよね?」
クアットロは詰らなさそうに口を尖らせた。
「君、ひょっとしてノリの悪い子?
駄目よ〜 いつでもテンション上げてきゃなきゃ、女の子にもモテないわよ〜」
「ルーを解放して下さい」
「あなた……」
「お願いします、ルーを解放して下さい」
一切自分の言葉に耳を貸さず、ルーテシアを解放しろと繰り返すエリオの態度は、クアットロのプライドを微かに傷つけたようだ。
彼女は人の悲哀や慟哭を好むのだ。
エリオを出生の件でからかったのも、彼が逆上するのを期待したからに他ならない。
「お願いします、ルーを解放して下さい……できないならなら、ここにある装置を手当たり次第に壊すしかなくなるんですが」
ちっ、と舌打ちして心底詰まらなそうな顔をすると、彼女はコントローラーのようなものを投げ捨てた。
館内の戦闘担当ディエチはすでに高町なのはによって撃破されており、聖王ヴィヴィオもなのはと交戦中だ。
非戦闘タイプの自分では、エリオと正面から戦うのは不利だと判断したのである。
「あげるわ。それ。ルーお嬢様はなかなか良く働いてくれたけど、余り面白い玩具じゃなかったからね。
ほら、君も思わない?
スマイルの出来ない女の子なんて、屑ほども価値も無いんだから。
あんな笑いもしない餓鬼なら、泣き喚いてた方がまだ見ものになっるてもんよね?」
そういって、クアットロは口の端を歪めてみせた。
エリオは、ストラーダをコントローラーに突き立てると、ゆっくり押し潰した。
「よく、納得できました」
エリオは無表情だ。
「んん〜 何が納得できたのかな?」
エリオはざくざくと、既に稼動を止めているコントローラーを突き刺し続ける。
「ルー、泣いてました。どんな人ならあんな非道いことが出来るんだろう、ってずっと不思議だったんですけど。
あなたみたいな人だったんなら、納得です」
ふふん、とクアットロが鼻で笑った瞬間。
その全身を、エリオのバインドが拘束した。
「時空管理局の名に於いて、貴方を逮捕します。貴方には弁護の機会が与えられ―――」
クアットロはエリオのバインドに拘束されながらも、歪んだ笑みを消すことは無かった。
彼女はエリオの言葉を上の空で聞きながら、何かを待つかのように宙を眺めていた。
- 63 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 23:40:30 ID:JDA28vlB
- >>34
面白かったです! GJ!
前回のも良かったです。重ねてGJです!
全身パイズリはマジでシャレにならない気持ち良さなんだろうな。
>>48
GJです! 相変わらず不思議かついい感じのカップリングです。
次が獣姦なのか人間形態セックスなのかが気になってしかたないw
- 64 名前:Little Lancer 二話 7/8 ◆vyCuygcBYc :2008/02/06(水) 23:40:44 ID:VexGnZM5
- ヴォルテールと白天王がぶつかりあう。
二大召喚師の実力は全くの互角だった。
魔力の消費分、キャロがじわじわと劣勢に追い込まれている。
キャロのフリードリヒの背に乗って、ルーテシアの攻撃を回避し続ける。
もう、長くは保たない。
キャロの額へ汗が浮かぶ。
それでも、彼女はエリオを信じていた。エリオがルーテシアを解放することを信じて待っていた。
キャロはぼんやりと思う。
(……エリオくんの言ってた、伝えたいことって何だろう?)
その脇を巨大な火線が通過した。
キャロは一瞬で緊張を取り戻し、敵の攻撃を掻い潜りルーテシアに肉薄する。
その瞳を覗き込んで―――
(エリオくん、やったんだ!)
彼女の瞳に、正気が戻っていることを確信した。
ルーテシアは激情から醒めて今までの自分の行動が理解できないらしく、戸惑いを見せている。
キャロは、ルーテシアの背を蹴って飛び出した。
キャロは回想する。六課の初出動を。
ヘリのコンテナから、エリオと二人で手を握って飛び降りたあの瞬間を。
エリオに手を握って貰えなければ、飛び出すことも出来なかった頃の自分を。
(エリオくん、今なら、わたし、独りでも飛べるよ)
バリヤー系魔術の応用で、自身の背後に凧の魔力の膜を形成し、ゆっくりと落下する。
そのままルーテシアに目掛けて落下して―――抱きついた。
ルーテシアが落下してきたキャロに抱きつかれて倒れ込む。
よく事態が飲み込めず、目を白黒させて手足をばたつかせるルーテシアを、キャロは優しげに抱きしめて髪を撫でた。
「大丈夫、怖くないから」
最初は激しく抵抗していたルーテシアだったが、段々とその動きが小さくなって、ついには無抵抗になった。
ルーテシアは信じられないものを見るような瞳で、キャロの瞳を見つめた。
「信用してくれる?」
キャロの言葉に、ルーテシアは戸惑いながらも言葉を紡ぐ。
「ドクターは、戦う力はくれたけど、……抱きしめてはくれなかった」
キャロは、ルーテシアを強く、ぎゅっと抱きしめた。
「……あったかい」
ルーテシアは、ぽつりとそう漏らした。
エリオの元にキャロからの通信が入った。
「ありがとうエリオくん、ルーちゃん、協力してくれるって!」
「良かった、こっちも制圧できたよ」
「でも、でもフェイトさんが―――」
キャロを仲介して送られてきたフェイトへの通信には、スカリエッティによって拘束された彼女の姿があった。
- 65 名前:Little Lancer 二話 8/8 ◆vyCuygcBYc :2008/02/06(水) 23:42:11 ID:VexGnZM5
- そうして、一つの戦いが終わった。
スカリエッティによって拘束されたフェイトは窮地に陥るが、エリオとキャロの言葉を受けて迷いを断ち切り、ライオットフォーム、ソニックフォームを使用してスカリエッティと戦闘機人を撃退したのだ。
「ふう、今日はあの子達に助けられちゃったな」
フェイトは髪を掻上げ、周囲を見渡す。確保対象のスカリエッティと戦闘機人が二人……二人?
ライオットザンバーによって壁にめり込むように叩き付けられているスカリエッティと、戦闘機人が一人。
どう数えても一人だけ。
自分がここで戦い始めた時には確かに二人いたはずなのに―――
フェイトは速やかにヴェロッサやシスターシャッハに連絡を入れたが、該当する戦闘機人を確保したという報告は無い。
一体何処へ行ったというのか?
「ねえ、もう一人戦闘機人の娘がいたでしょ? あの娘はどこに行ったの?」
胸倉を掴み上げるようにして、ドクター・スカリエッティに問うた。
彼は完全な劣勢にありながらも、その顔に張り付いた狂気の表情は微塵も曇っていなかった。
スカリエッティは、大げさに手を広げて、やれやれと首を振った。
「要するに、ここで僕を捕まえても、何の意味も無いということだよ」
「訳の解らないことを……あの娘が何処へ行ったかと問うているんだ!」
スカリエッティは再びやれやれと首を振ると、飲み込みの悪い生徒を教える教師のような優しげな瞳でフェイトを見つめた。
「私の可愛いトーレが何処に行ったか、だって?
そんなの決まってるよ。
・・・・・・・・・・・・・・・
私の所に決まっているじゃないか!」
「なっ……」
余りに支離滅裂な回答に、フェイトは顔色を無くす。
「おい、それはどういう意味だ!」
再びスカリエッティに詰め寄る。
だが、スカリエッティは応えない。狂気の笑みも消えている。
その口許から、一筋の黒い血が流れ落ちた。
「……スカリエッティ?」
フェイトが問いかける。スカリエッティは応えない。
それもそのはず、稀代の天才魔術師にして犯罪者、ジェイル・スカリエッティは自らの奥歯に仕込んだ毒でその命を絶っていた。
- 66 名前:Little Lancer 二話 8の2/8 ◆vyCuygcBYc :2008/02/06(水) 23:44:20 ID:VexGnZM5
- 「良かった、フェイトさん、勝ったんだ」
「うん」
エリオはキャロと微笑みを交し合う。
エリオはバインドに巻かれて転がっているクアットロを一瞥する。この様子ではもう害は無さそうだ。
「キャロ、僕はこれから、他の場所へ行ったなのはさんとヴィータ副隊長の手伝いに行こうと思う。誘導、お願いしていいかな?」
「うんっ! こっちからだとね、ヴィータ副隊長の向かった動力炉の方か近いから、案内するねっ」
「うん、よろしく!」
エリオは通信の向こう側のキャロの笑みを送りながら、左手でストラーダを持って目的地に向かおうと―――
ずるり。
ストラーダが甲高い音を立てて床に転がった。
酷使しすぎて腕に疲労が溜まっていたのか、それとも大きな戦いが終わって気が抜けたのか。
どっちにしても褒められたことじゃないな、と自省しながら、左手でストラーダを拾おうとした。
「―――?」
左手が、床に転がったストラーダに届かない。
更に手を伸ばそうとして、床に転がったストラーダを左手が握り締めていることに気付いた。
左腕に視線を落とす。
下腕部の切断面から、勢い良く血が噴出していた。
「うわぁぁぁぁぁぁ!?」
振り向くと、そこにはインパルスブレードを装備し、最速の飛行・空戦能力を有する戦闘機人。
ナンバーズの3、実戦リーダーのトーレが能面のような冷たい表情でエリオを見下ろしていた。
既にトーレにバインドの拘束を解かれていたのか、クアットロが冷酷な笑みを浮かべて立ち上がる。
トーレは事務的な口調で告げた。
「クアットロ、ドクターは貴方を『母』に選らんだ」
「ええ〜 気がついているわ。お腹の中でドクターが動き出したのが判るもの」
クアットロは慈愛さえ感じる表情を浮かべて下腹部を撫でた。
「その前に、随分ナメた真似をしてくれたこの糞餓鬼に、きっついおしおきをしてあげなくちゃね。
……子供をしつけるのは、母の役割ですもん」
その優しげな笑みは、引き裂いて遊んでも心の痛まない人形に向ける笑みだ。
エリオは自身の左手のぶら下がったままの槍を右手で持ち上げ、戦闘機人達に対峙した。
ここで負ける訳にはいかない。帰らなきゃならないんだから。
帰って、キャロに伝えなきゃいけないことがあるんだから。
そんな思いを胸に、歯を食い縛った。
とりあえず2話はここまでです。
本当はJS事件編は全部二話で済まそうと思ったのですが、
長くなり過ぎるので分割しました。
次回、エリオ君、受難編です。
- 67 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 23:45:29 ID:JDA28vlB
- >>66
割り込んでしまいました。
作者様、読者様、本当にごめんなさい。
しかもこんないい作品に。すみませんでした。
こんな状況だと憚られるかもしれませんが、
この話大好きです。GJです。
- 68 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 23:48:31 ID:Esmz/Fpj
- >>66
落とされた左腕とクアットロの台詞から、どう考えてもエグい殺され方をされたんだな、としか思えない・・・・・。
とりあえずGJ!!期待して続き待ってます!!
- 69 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 23:49:50 ID:LVMT5UjT
- >>66
後書きは分割してくれたほうがレス番つけやすくて嬉しかったり。
ラストの壮絶な展開に震えたぜ。GJ!
- 70 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 23:51:40 ID:CYulHHoH
- >>66
久々に胸がキュンとなったよ
いやあああああああエリオおおおおおおおお
- 71 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 23:51:42 ID:Kxvxkrf6
- >>39 スルーされても泣かぬ、叩かれても凹まぬ。
覚 悟 完 了
当 方 に 投 下 の 用 意 あ り!!
ぐらいの心構えをもって抉り込むように書くべし。書くべし。
- 72 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 23:54:29 ID:2A1qvQML
- GJです
こういう熱いシリアス展開が大好きです。
死が先に待ってるのが怖すぎる
>ルーテシアの背を蹴って
はフリードリヒの背を蹴ってかルーテシアの背を追っての誤植ですよね?
- 73 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 23:55:04 ID:J69JvRgO
- GJ!!です。
エリオがやばい・・・。
クアットロとトーレは本編の時間軸に戻ってきたら死亡フラグだw
眼のハイライトの消えたフェイトかキャロまたはシグナムにじわじわ嬲り殺されそうw
- 74 名前: ◆vyCuygcBYc :2008/02/06(水) 23:59:49 ID:VexGnZM5
- >>69 了解です。まだ不慣れなもので申し訳ありません……
>>72 その通りです。読み返したつもりでもどこからともなく誤植が紛れこんできて、面目ないです。
皆様にお尋ねしたいんですが、投稿するとき「改行が多すぎます」というのが出て、
詰めたり切ったり貼ったりすることがよくあるんですが、皆様は一つの投稿の分量をどの位を目安にされてますか?
- 75 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 00:06:06 ID:Z39elmO+
- >>74
専ブラ使うべし。限度は60行or2^12バイト以内だったかな
- 76 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 00:07:53 ID:YUu/N7No
- >>73
フェイトさんのライオットザンバーで滅多斬り→瀕死の所でシャマル先生あたりが回復→シグナムがレヴァンティンで再度滅多斬り→瀕死の所でシャマル(ry→キャロがストラーダで滅多刺し→瀕死の所(ry→フリードがブラストレイで火だるまに→瀕死(ry
コレの無限ループだろうな
- 77 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 00:09:01 ID:0uAOkPjj
- >>74
60行まではおkって聞いたことが。
当方の場合は、エディタに行数が出るのでそれを見ながら、
40-50行ぐらいで適当にキリがよさげな所で切り取りしてる希ガス。
- 78 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 00:09:18 ID:r/TV9yvc
- >76
ついでに教導官の3000発のアクセルシューターが・・・
- 79 名前:B・A:2008/02/07(木) 00:11:48 ID:XfF0VcQG
- >>74
GJです。死ぬって既にわかっていてもドキドキしますね。
そしてドクター自殺のは潔い悪役って感じですね。
僕はだいたいword1ページ分くらいで投下していますね。それくらいなら問題なく投下できますし。
あ、僕もこの後投下して良いですか? だいたい12時半くらいに。
- 80 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 00:12:59 ID:BmboihrM
- 職業・殺し屋の死織さん並にエグイw
- 81 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 00:28:55 ID:Poj6lxSd
- 恋恋
- 82 名前:B・A:2008/02/07(木) 00:31:47 ID:XfF0VcQG
- 予告時間が来たので投下します。
注意事項
・エリオ×ルーテシア
・非エロ
・本編改編。いわゆるIFというやつです。
・強引な展開や独自の解釈、勝手な捏造が多々含まれます。
- 83 名前:Ritter von Lutecia 第11話@:2008/02/07(木) 00:34:38 ID:XfF0VcQG
- 病院というものは死を連想させる。
手術室の前で、フェイトは祈るような気持ちで赤いランプを見上げていた。
ここは時空管理局地上本部内にある総合病院だ。あの後、意識を失ったエリオはここに搬送され、すぐに手術室へと運び込まれた。
はっきり言って、エリオは重傷だった。全身の筋肉が断裂しており、左肩は何度も脱臼したせいで壊れやすくなっている。
傷の具合から考えて、右目が失明している恐れもあった。特に酷いのが右腕で、最善を尽くしても元のように動くかどうかはわからないと言われた。
「フェイトちゃん」
リノウムの床を蹴り、はやてが現れる。オフだったのか、着ているのは私服だ。
「はやて・・・」
「エリオはどうなん? 重傷やって聞いたけど」
その時、赤いランプが消えた。
ハッとする2人の前に、手術を担当した医師が現れる。
「先生、エリオは・・・エリオは大丈夫なんですか?」
「最善は尽くしました。魔法による応急処置が早かったのが幸いしたのでしょう、右腕もリハビリ次第で元通りになると思います」
「そう・・よかった・・・・」
力が抜けたように、フェイトは椅子の上に座り込む。
エリオを治療したのは彼女だ。手術が終わるまで、ずっと彼女は不安と戦っていた。
自分が施した治療は万全だっただろうか、どこかに失敗はなかっただろうかと。
「今晩は集中治療室で様子を見ます。恐らく、明日には一般病棟に移れると思いますので、その時にまたいらしてください」
フェイトの横を、手術が済んだエリオが運ばれていく。
全身を包帯で包まれていて、右腕はギブスで固く固定されている。悪夢でも見ているのか、その寝顔は決して安らかなものではなかった。
- 84 名前:Ritter von Lutecia 第11話A:2008/02/07(木) 00:36:10 ID:XfF0VcQG
- 「ほら、フェイトちゃん・・・」
「うん・・・・先生、ありがとうございました」
医師に礼を言い、フェイトははやてに連れられて病院を後にした。
本当はエリオのそばにいたかったが、はやてがグイグイと腕を引っ張るので、それは叶わなかった。
「何か言いたそうな顔やな」
駐車場に止めていた自家用車に乗り込み、はやては言う。さすがは親友。なんでもお見通しだ。
「うん・・・エリオがあんなになったのは、私のせいかなって」
「違うな、あれはエリオが勝手にやったことや。誰の責任でもない」
「わかっているよ。けど、あの時私が行けって言わなかったら・・・・」
わかっていても、フェイトは悔やまずにいられなかった。
ヴァイスから聞いたことだが、エリオはルーテシアによってヘリから落とされたらしい。
ああすることで、自分とエリオは共犯ではないということをアピールしたのだ。
もし、あの時に力づくでも止めていればエリオは傷つくことはなかった。
無茶をして体を傷めることも、愛する人に心を踏みにじられることもなかったのだ。
「ダメだね・・・・私って」
「それでも前を向くんやろ。だったら、泣くのは今夜だけにしとき」
「うん・・・そうする。明日からは、またいつもの私に戻るから」
フェイトの頬を涙が伝う。声を漏らすことなく、取り乱すでなく、ただ静かに泣いている。
はやては何も言わない。黙って前を見つめたまま運転に集中している。それがフェイトにはありがたかった。
きっと、今の自分の顔は他人に見せられない。
窓の外を過ぎていく夜景を見つめながら、フェイトは静かに泣き続けた。
- 85 名前:Ritter von Lutecia 第11話B:2008/02/07(木) 00:37:43 ID:XfF0VcQG
- 夢を見ていた。
まだ幼かったあの日、優しい養母とともに暮らしていた幸せな日々。
『僕は・・・僕はいつか騎士になる! 騎士になって、悪い奴からママのことを守るんだ!』
そんなことも言った気がする。子どもじみた幼稚な夢だ。
けれど、その眩しい輝きは今でも覚えている。
そう、眩しかった。
あの頃は世界が本当に素晴らしくて、きっとこれからも良いことがたくさん起こると信じていた。けど、実際は違った。
大切な人を守れなかった。
大切な人に裏切られた。
ただ守りたい、救いたいと願った人に、自分は傷つけられた。
場面が変わる。
自分はボロボロに傷ついた体で彼女を抱いていた。
『私のことは・・・・忘れて・・・・』
そう言った彼女の顔は涙で汚れていた。
直後、体に衝撃が走り、宙を飛んでいた。
何故と問うこともできなかった。
納得のいく答えが得られなかった。
急速に落下していく意識で、自分は叫んでいた。
こんな結末なんて、望んでいなかった。
だって・・・・彼女は泣いていたのだから。
(ごめん・・・・ルー・・・・)
忘れることなんてできない。
捨てることなんてできない。
君のことが好きで、君を守りたいという思いが正しくて、君と一緒に生きたいという願いが
美しいのなら、それを捨てることなんてできない。
必ず迎えに行く。
だから、せめてこの夢から覚めるまでは待っていて欲しい。
100年経とうと必ず迎えに行くから。
そして、エリオの意識は更なる闇へと堕ちていった。
- 86 名前:Ritter von Lutecia 第11話C:2008/02/07(木) 00:39:23 ID:XfF0VcQG
- クラナガンの市内を護送車が走っている。
運転しているのはこの道15年のベテラン局員だ。元々は武装隊志望だったが、才能がなかったのか魔導師ランクはC止まりだった。
だが、その抜群の運転技術と肝っ玉を買われ、凶悪犯罪者を護送する運転手として地上本部に引き抜かれたのだ。
そんな彼が今護送しているのは、まだ年端もいかない女の子だった。彼はよく知らなかったが、どうも先月のJS事件の関係者らしい。
「こんな小さな娘が犯罪者だって言うんだから、世も末だねぇ」
「そうですね。あまり、気持ちいい話ではありませんね」
助手席に座る部下が答える。
チラリと後ろに目をやると、件の少女は虚ろげな瞳で窓の外を見つめていた。
その姿に、一瞬故郷の妹と姿が重なった。
(おっと、いけないいけない)
仕事に私情は禁物だ。
どんな人間でも犯罪者は犯罪者。誇りある管理局局員として、犯罪者に情けをかけてやるわけにはいかない。
JS事件の関係者ともなればなおさらだ。
「そういえば、エース・オブ・エースが復帰したって話は聞きました?」
「ああ。酷いケガをしたっていうのに、タフな嬢ちゃんだ。お前も嫁にするならあんな娘にしな」
「勘弁してくださいよ。俺はもっとお淑やかな子が好みなんです」
笑い合いながら、2人は目的地である港湾区を目指す。2人の任務はそこで終了だ。
後は別の連中が船を使って彼女を海上隔離施設まで護送することになっている。
そう、後少しで終われるはずだった。
- 87 名前:Ritter von Lutecia 第11話D:2008/02/07(木) 00:41:12 ID:XfF0VcQG
- まだ1日しか経っていないというのに、もう何年も過ぎたような気分だった。
思い浮かぶのあの赤い髪の男の子のことばかり。
優しくて紳士的で、それでいて無鉄砲なベルカの騎士。
私を守ると言ってくれた、世界で一番大切な人。
あのヘリのパイロットはうまくやってくれただろうか?
あんな茶番一つで彼の罪が許されるとは思わないが、それでも自分と一緒にいるよりはずっとマシなはずだ。
今は、彼の仲間を信じるしかない。
(エリオ・・・・・ごめん・・・・)
自分はこれから海上の施設に隔離される。その後は裁判を受けて、やがてはどこかの次元世界に幽閉される。
そうなれば、もう彼とは会えないだろう。どこかで生きているはずの母親とも会えない。
閉ざされた世界で、一生を終えなければならない。
(一人ぼっち・・・なんだ・・・)
ルーテシアの心が闇に侵食されていく。
覚悟していたはずなのに、込み上げる恐怖で体が震える。
怖い。
1人は怖い。
一人ぼっちは嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
その願いに応えるように、彼女の体内のレリックが脈動した。
- 88 名前:Ritter von Lutecia 第11話E:2008/02/07(木) 00:42:06 ID:XfF0VcQG
- それはまったくの偶然だった。
スカリエッティが保管していた数十個のレリック。ラボの崩壊とともに地面に埋もれてしまったそれは、
つい先日全て掘り返され、本局の遺失物管理部に輸送されている途中であった。
その輸送トラックと、ルーテシアを護送する車はある交差点において偶然にもすれ違ったのだ。
その瞬間、2つの車が大爆発を起こした。
to be continued
- 89 名前:B・A:2008/02/07(木) 00:43:31 ID:XfF0VcQG
- 以上です。
ルーテシアにレリックが埋め込まれているかどうかはわからなかったので、この辺は完全な捏造です。
ゼストとヴィヴィオが埋め込まれたのだから、ルーにもあるんじゃないかなぁと。
前回、決着が見えてきたと言った人もいましたが、まだまだ終わりません。
ここからが“リリカルなのは”分注入です。ここまで来たら手持ちの駒は全部使い切るつもりでいきますよぉ!
まあ、246氏と被らないネタをと考えた結果でもありますが。
- 90 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 00:46:54 ID:BmboihrM
- GJ!!です。
うぉ!ルーテシアはどうなったんだ!?気になります。
次回が楽しみですw
- 91 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 00:47:52 ID:BmboihrM
- 何回もsage忘れスイマセン。
- 92 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 00:51:19 ID:4y3vpu/y
- なんだこのエリオ達は………蝶GJじゃねえか!
>>66 >>89
マジで両氏とも面白すぎです、なんかどっちもエリオが酷い目にあってるけどそれが良い。
やっぱ彼には恵まれた環境よりも、苦しみもがく様がよく似合う。
できればもっとエリオを苛めて欲しいと思ってる俺って鬼畜か?
- 93 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 00:57:33 ID:6Hcp8x3j
- >>91
>次回が楽しみですw = 次回が楽しみです(笑)
馬鹿にしてんのか?
- 94 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 01:05:09 ID:BmboihrM
- 馬鹿にしてしまう表現と思われたのならスイマセン。
喜びや嬉しさ、楽しさなどを表現できたらいいなと思い使いました。
- 95 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 01:06:32 ID:XGhh3SQj
- 安心しろ同志>>92よ、俺もだ
やはり小さな騎士はボロボロになってこそ輝くものがあるというもんですよ、ええ
そんなわけで>>66、>>89両書き手氏共にGJですぜ!続き楽しみにしてます
- 96 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 01:10:43 ID:LRqy51QP
- >>93
お前がおかしい半年ROMってろ
- 97 名前: ◆vyCuygcBYc :2008/02/07(木) 01:13:00 ID:En5Ns85x
- >>75 了解です。今まで読む時専ブラで書くときそのまま、みたいな妙なことしてたので一括して専ブラでいってみます。
>>77 メモ帳直打ちで、目分量で60行くらいにしてたので、心持ち分量を減らしてみます。
皆様ありがとうございました!
>>89 超GJです! B・A氏のエリオは素敵過ぎて泣きたくなります……
- 98 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 01:26:29 ID:UwBGsfuH
- >>94
いややっぱ俺が悪かった。PC閉じて頭冷やしたぜ。
>>73,80,90と草が目に付いて、ついな。許せ。
何にせよ半年、投下含め書き込みは自重しようと思う。
- 99 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 01:29:19 ID:Q7hrROyR
- >>98
ま……その、何だ。
生きろ。
- 100 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 01:34:39 ID:LRqy51QP
- >>98
そう冷静になられるとこっちが悪かった気がしてくるから不思議だ(´・ω・`)
半年ROMってろは言い過ぎかもしれん、スマソ
- 101 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 01:38:18 ID:UwBGsfuH
- >>100
いや、ちょうどリアルもこれから忙しくなるのでちょうど良かった。
夏が終わって寒くなりだしたらまた来るぜ。
- 102 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 02:05:59 ID:UDRpKp6p
- >>101
お前が帰ってくる頃には80スレとか行ってるから楽しみにしとけ
しかし最近のエリオ分は濃いな。いいぞもっとエリオ分下さい
- 103 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 02:26:27 ID:CjPv6iIt
- スバルとティアってどっちが胸大きいんだろう?
作画のせいではっきりしないんだけど、スバル≧ティアってイメージがあるんだが
- 104 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 02:37:50 ID:tlzJsO5F
- 揉まれてる分ティアナのほうが勝ってるだろう
- 105 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 03:22:20 ID:UDRpKp6p
- >>104
ヴァイスさん彼女自慢ですか?
- 106 名前:39-362:2008/02/07(木) 04:09:11 ID:ZXav0o2s
- 投下してもよろしいですか?
- 107 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 04:12:43 ID:dwzWHaeb
- ドゥーゾ
- 108 名前:39-362:2008/02/07(木) 04:16:33 ID:ZXav0o2s
- いやもう、スレ速度が速すぎて筆がついていかない・・・・orz
注意事項
・ユノフェ
・非エロス
・END1、2を読んでおくとなおいいかも
・バカップル誕生までもうちょっと
- 109 名前:A crossroads of Fate END3 中編:2008/02/07(木) 04:17:31 ID:ZXav0o2s
- 木々は、強い風に葉を揺らし、落としていく。
重なり合う落ち葉を踏みながら、急ぎもせず、ゆっくりとユーノとフェイトは歩いてゆく。
強く、しっかりとその手を繋いで。
しばらく進んでいくと、突然、ユーノが立ち止まる。
「………ユーノ?」
そびえ立つ木々の向こう側に、かすかに姿が見える。
彼女の、高町なのはの、背中が。
より強く、フェイトの手を握る。
「………行こうか。」
「あ、ちょっと待って、ユーノ。」
そう言って、フェイトはそっとユーノの手を離す。
「どうかした?」
「やっぱり、手を繋いだまま行くのはどうかと思うんだけど……」
「…………そっか。」
手っ取り早くなのはに理解させるにはその方がいいのだが、フェイトが嫌ならば仕方がない。
そのまま、少しばかり速く歩いていく。
楽しみに、今か今かと待っているであろう、その背中に向かって。
ユーノは、心のうちで、そっと呟く。
やるべきことを、間違えるな。
なのはに嫌われたくないがために、一番大切なものを失ってはならない。
「………やぁ、待った?」
「ううん、全然待ってないよ。ユーノく、ん?」
嬉しげに振り向いた瞳が、驚愕の色に染まっていく。
「フェ、フェイトちゃん?な、なんでここに?」
「えっと、それは……」
「…なんでって、もちろん昨日の返事のためだよ。」
フェイトが何かを言う前に、ユーノが答える。
彼女の言葉を、遮るように。
「え?ど、どういうこと……?」
なにがなんだかわからないと、呆然とした表情のなのは。
心が一瞬、罪悪感で溢れる。
だが、止まるわけにはいかない。
「説明しなきゃ、わからないよね。僕は、フェイトと付き合ってるんだ。だから、なのはとは付き合えないってことさ。」
「そんな……!」
「そんな?何を言ってるのさ、僕がそもそも好きだったのはフェイトだったし。」
出来るだけ、冷たい視線で。
心の痛みも、何も悟らせるな。
嘘でも何でも、今必要ならそれをするべきだ。
「ユ、ユーノ?」
フェイトは当然、そのことは嘘だと知っている。
だが、今はそれを事実にしなければならない。
「フェイトはちょっと黙っててくれ。……そういうことなんだけど、わかってくれた?」
「嘘!……嘘だよ!……じゃあ、どうしてあの時、いいって言ってくれたの!?」
今にもユーノに掴みかかりそうな勢いで、なのはは叫ぶ。
その両目からは涙が溢れ、悲しげにユーノを見つめている。
「……簡単だよ。僕は、あのことを告白だって思わなかっただけさ。」
瞳を、なのはから逸らすな。
自分のやっていることを、しっかりと見据えろ。
「ずっと友達でいようって、そういう意味だと思ったから、いいよって言ったんだ。」
「そんなの……そんなの、酷いよ!」
「……そうかもね。フェイトと仲良くなるために、なのはと友達でいようと思ってたんだから。」
淡々と、ユーノは突き放すように、なのはに言う。
なのはは目をフェイトに向け、どこか縋るように叫ぶ。
「フェイトちゃんも、嘘だって言ってよ!ユーノ君と付き合ってるなんて嘘だって、そう言ってよ!!」
「…………………ごめん、なのは。」
フェイトは、なのはから目を逸らし、気の毒そうに呟く。
確かに、自分とユーノは付き合っていて、もう自分はユーノを手放したくないのだ。
- 110 名前:A crossroads of Fate END3 中編:2008/02/07(木) 04:18:55 ID:ZXav0o2s
- 「なんで…!?おかしいよ、そんなの!」
「おかしくないだろ。僕が好きだったのはフェイトなんだから、恋人になりたいと思うのは当たり前じゃないか。」
「違うよ!そんなの、そんなの、嘘………!」
「なんで嘘なのさ?今こうして恋人なのがその証拠だろ?」
その言葉に、何も言い返せず、悔しげになのははうつむく。
フェイトは、痛ましい彼女の姿から目を逸らしている。
これでいい。
これで、なのはが恨むとするならば、自分になる。
「……なんなら、目の前でフェイトとキスしてあげようか?」
「っく!もういい!もういいよ!……もう、勝手にしてよ!!」
爆発するように吼えると、なのはは泣きながら、走り去っていく。
その背中を目で追っていたフェイトは、怒りながらユーノを振り返る。
「ッ!ユーノの馬鹿!なんであんな言い方したの!?」
「……なのはに嫌われるんだとしたら、それが一番いい解決だから。」
「けど、あんなの、酷すぎるよ…!」
酷いことはわかっている。
けれども、そうすれば、なのはは自分に対して未練を残さないだろう。
未練がなくなれば、彼女だって新たに進んでいけるはずだ。
だが、今の彼女が完全に諦めたとは言い難い。
もう一押し、するべきだ。
―これ以上は、やめろ。
心の奥で、何かがそう言い続けている。
そんな言葉に、従う必要などない。
やるべきことを、間違えるな。
「悪いけど、僕はなのはにまだ言わなきゃいけないことがあるから。……フェイトは待っててくれ。」
「ユーノ!?」
今は、フェイトの小言を聞いている暇はない。
一刻も早く、なのはに追いつかなくては。
振り向かず、ユーノは走り始める。
「すぐに戻ってくるから!」
それだけ言い残し、ユーノも薄暗い森の中へと消えていった。
一人残されたフェイトは、呆然としていたが、気付いたように首を振る。
「これ以上、なのはに何を言う気なの、ユーノは……。とにかく、止めなきゃ!」
なのはを傷付けるつもりなら、なんとかしなくては。
自分にとって、彼女が大事な親友であることに、変わりはないのだから。
「………こんなところまで、よく走ったね。」
びくり、とその背中が震える。
ずっと走り続けて、ようやく見つけた。
息が切れているが、そんなことは大した問題ではない。
早く、なのはに別れを―
「……………あは、やっぱりユーノ君は優しいね。」
どこか楽しそうに、けれど悲しげに、なのはは振り返る。
「こうやって逃げたら、追いかけてくれるんだもん。」
「……まだ勘違いしてるのか?」
その言葉に、軽く首を横に振る。
「ユーノ君はわたしを振るんだよね?…それはもう、わかってるんだ。」
「さっきとはずいぶん違うね?」
「一人で泣いてたら、なんだか落ち着いてきちゃって…………でも、聞きたいこと、あるんだ。」
怒りの感情は、既になのはにはなさそうだった。
どこか諦めたような表情で、ユーノを見つめている。
「聞きたいこと?」
「……さっきの話、本当なのかな?」
「フェイトと付き合ってるっていう話なら本当だ。なのはとは、恋人になれない。」
「………ううん、そのことじゃないよ。」
ゆっくりとかぶりを振り、なのははそっと囁くように。
- 111 名前:A crossroads of Fate END3 中編:2008/02/07(木) 04:20:52 ID:ZXav0o2s
- 「ユーノ君が好きだったのは、本当にフェイトちゃんだったのかな?」
雲が光を遮り、一際強い風が二人の間を吹き抜けていく。
きっと、彼女にはあんな稚拙な嘘など通じていないだろう。
けれども、あの嘘は誰のためでもない、自分のための嘘だ。
だから、答えなんて決まっている。
「ああ、そうだよ。僕が好きだったのは、フェイトだ。」
「…嘘。知ってるよ?ユーノ君、あの告白の時、とても緊張してたよね?」
「………………………」
「それから、フェイトちゃんが初めてわたし達のデートに来たとき、嫌そうな顔してたよね。……きっと、フェイトちゃんは知らないと思うけど。」
昔を懐かしむように、なのはは空を見上げる。
雲に隠れて、青空は見えない。
どこか残念そうな表情で、軽く溜息をつく。
「嫌そうな顔するわけないだろ!……僕が好きだったのは……」
「フェイトちゃんって言うつもり?だったら、どうして嫌な顔してたの?」
「見間違いじゃないのか?」
「ずっと好きな人だもん。見間違えたりなんて、しないよ。」
その言葉に、ユーノの心は、ひび割れるような痛みを感じる。
―もう、本心を言ったっていいだろう?ここには、フェイトもいないんだ。
(うるさい!僕がやるべきことは何だ!?なのはを振ることだろう!?)
必死に、胸の痛みを殺す。
今は、何も考えるべきではない。
わかっている。そんなこと、最初からわかっている。
「ねぇ、もう一度聞くよ?本当に、フェイトちゃんが好きだったのかな?」
「何回言ったらわかるのさ!僕が好きだったのはフェイトだ!」
「……そっか、じゃあ質問を変えるよ。…………ユーノ君は、わたしのこと、どう思ってたのかな?」
頭が、真っ白になる。
答えなんて、決まりきってる。
ずっと好きだった。
なのはと一緒にいられれば、それで幸せだと思っていた。
けれど、けれども。
もう、自分はその幸せを手に入れることは出来ない。
いや、その幸せを拒絶したのだ。
ならば、言うべき答えなんて、一つしかない。
「……嫌いだよ。フェイトとのデートの時、二人っきりじゃなかったのは、なのはのせいだったんだから。」
嫌い。
その三文字を言うだけで、心が軋んでいく。
どうしようもないほど、罪悪感に飲まれていく。
「僕は、なのはのことなんて、嫌いなんだ!」
なのはは、悲しげに微笑む。
「……本当に?」
どうして、嫌いだと言っても、嫌ってくれない?
「そうさ!フェイトの近くにはいつもなのはがいて……邪魔でしょうがなかったよ!」
―本当は、逆だったんだろう?
だから、なんだ。
だとしても、今そのことを言う必要なんて、これっぽっちもありはしない。
―泣きそうな彼女を、慰めたいと思わないのか?
そんなことをする資格は今の自分にはありはしない。
それはもう、別の誰かの役目なんだ。
「嘘、つかないで欲しいな。わたしは、ユーノ君はわたしのことを好きでいてくれたって、知ってるんだ。」
「勘違いもいい加減にしてくれよ………!」
「ううん、勘違いじゃないよ。この前の誕生日プレゼント、とっても嬉しかったよ。あれ、高かったよね?」
フェイトと恋人になる前、最後になのはに送ったプレゼント。
それは、誕生日の前日まで探し続けて、ようやく買ったイヤリング。
以前に、なのはが欲しいと言っていた物だった。
「………………………」
「本当のこと、言って欲しいだけなんだ。………わたしのこと、どう思ってくれてたのかな?」
- 112 名前:A crossroads of Fate END3 中編:2008/02/07(木) 04:21:26 ID:ZXav0o2s
- どうして、何故だ。
そこまで知っていたなら、どうして。
理性では、そんなことを言うべきではないと知っている。
けれども、感情は、堰を切ったように溢れ出す。
「……………どうして。」
「え?」
「どうして、何も言ってくれなかったんだよ!好きだって、愛してるってそう言われれば、信じられたのに!」
それなのに、なのははずっとそっけなくて。
自分の想いを無視するように、振舞っていて。
だから、フェイトの提案を受け入れた。
勿論、彼女が全て悪いのではないとわかっている。
この怒りだって、理不尽なものだ。
「わかってたんだろ?知ってたんだろ!?なら、どうして、どうしてなんだよ………!」
「…ごめんね、ユーノ君。何も出来なかったのは、わたしのせい。ユーノ君なら言わなくてもわかってくれるって、甘えてたんだね、わたし。」
「嫌いだよ!なのはなんて、大嫌いだよ!気持ちなんて、わかるわけないだろ!?僕は人の心を読めるわけでもなんでもないんだから!」
「うん。本当に、そう。……だから、わかってる。悪いのは、ユーノ君じゃなくて、わたしなんだって。
でも、最後に聞いておきたかったんだ。どう思っててくれたのか、それだけは。……でも、それも、甘えだったのかな。」
寂しげに、なのはは呟く。
―ああ、だから彼女は笑っていたのか。
諦めきっていたから、だから、泣くのでもなく、怒るのでもなく、あんなに悲しそうに笑っていたのだ。
「わたしが、不安にさせてたんだよね。……わたしって、本当に馬鹿だね。大切なものを失うまで、放っておいたんだもん。」
自嘲するように、なのはは笑う。
それはユーノが見た、一番悲しい笑顔だった。
「ユーノ君を不幸にすることしか、わたしには出来なかったんだね。……嫌われても、仕方ないってわかってる。」
「ああ、嫌いだよ。なのはのことなんて、最初から僕は嫌いだったよ……!」
「でもね……」
そっと、なのははユーノの顔を見つめる。
それしか出来ることがないと、言うかのように。
「泣きながら、そんなこと言わないで欲しいな。………嫌でも、わかっちゃうから。」
泣いている?
そんな馬鹿なことがあるものか。
泣きたいのは、僕じゃなくて、振られた君のはずだろう?
だから、泣いているわけなんて―
「泣いてるわけなんて……ないだろ。」
「…………もう、ダメなんだよね。その涙を拭いてあげるのは、もうわたしじゃない、フェイトちゃんだから……」
視界が、歪んでいく。
涙にまみれた瞳は、なのはの姿すらいつも通りに映してくれない。
「……………………ごめん。」
「あはは、それを言わなきゃいけないのは、わたしなんだけどな……。もう、フェイトちゃんのところに戻ったら?」
無言で、首を縦に振る。
それしか、出来ない。
なのはに嫌われることは出来なかったけれども。
「大丈夫、ちゃんと整理はついてるから。………最低な恋人だったよね、ごめんね。」
なのはに背を向け、ゆっくりと歩いていく。
涙を拭く必要も、振り返る必要も今はない。
今は、ただ優しい彼女に別れを。
「………なのはのこと、だいっきらいだったよ!」
その言葉に、なのはは何も答えない。
けれど、くすくすという笑い声が聞こえる。
きっと、こっちの嘘なんてお見通しなのだ。
最後まで、本当の気持ちを言うことは出来なかったけれど。
―なのは、ずっと、好きだったよ。
「…………………じゃあね。」
- 113 名前:A crossroads of Fate END3 中編:2008/02/07(木) 04:22:01 ID:ZXav0o2s
- 「フェイトちゃん。ユーノ君なら、もう行ったよ?出てきたら?」
その声に、後ろの茂みから、ガサガサと音を立て、フェイトが出てくる。
彼女の長い金の髪には、隠れていたからだろう、葉っぱが何枚もついていた。
それを見て、なのはは苦笑し、軽く払ってやる。
「あ、ありがとう……なのは。」
「この後、ユーノ君に会うときに、それじゃみっともないでしょ?」
その言葉に、フェイトはうつむき、小さな声で尋ねる。
「……いいの?」
「いいって……じゃあ、フェイトちゃんはユーノ君を返してくれるのかな?」
無言で首を横に振る。
そんなつもりは毛頭もない。
けれども、なのはが悲しそうでいるのも間違っている気がする。
「最後にちょっと、仕返ししちゃったけど……そのくらい、いいよね。」
仕返しというのは、フェイトがここにいるのを知っていながら、フェイトのところに戻ったらどうか、と言ったことだろう。
「探してるだろうな、ユーノ。」
「いいじゃない。愛されてるって証拠なんだから。」
「………なのは、ごめんね。」
フェイトは、頭を下げ、なのはに謝る。
自分がユーノを幸せにしたいと、そう思わなければ。
なのはは、ユーノと幸せになれたはずだったのだ。
「いいの。……悪かったのは、ずっとユーノ君を不安にさせてたのは、わたしだから。」
「でも……」
「まぁ、でも…………そこまで、ユーノ君とフェイトちゃんが仲良しだったなんて、ちっとも知らなかったな。」
どこか意地悪そうに笑う。
けれども、二人の邪魔をしようという気も、ユーノを奪い返す気も、なのはには残っていなかった。
「それは…えっと、話せば長いんだけど……ずっとわたしとユーノは協力してて…」
「いいよ、話さなくて。どうせ、のろけ話になりそうだし。」
ただ、虚無感だけが残った。
何もかも奪われてしまったような寂しさが、心に沁みていく。
「でも、フェイトちゃんでよかった……かな。」
「え?」
「どこかの名前も知らない子だったら、やっぱり奪い返そうとしたと思うし……フェイトちゃんが、嫌な子だったら…」
そこまで言って、なのははフェイトの顔を見つめる。
親友として、長年共に過ごしてきた彼女。
その優しいところも、甘えん坊なところも、知っている。
そして、彼女ならば、ユーノと幸せに生きていけるであろうことも。
「やっぱり、奪い返そうとした?」
「そうだね。……ずるいなぁ。そんな風に気遣われちゃったら、恨もうとしても、取り返そうとしても……出来ないから。」
「………………」
「それにユーノ君が、嘘でもわたしのことが嫌いって言うくらい、フェイトちゃんのことが好きだってことも、わかったし。」
空の雲は、いつしか流れていき、太陽が顔を出している。
明けない夜などなく、覚めない夢などない。なら、この悲しみもいつか消えてしまうのだろうか。
そうだとしたら、それはきっと救いなのだろう。
- 114 名前:A crossroads of Fate END3 中編:2008/02/07(木) 04:22:35 ID:ZXav0o2s
- 「多分ね、ユーノ君がずっと……わたしのことを信じようとしてくれたのは、フェイトちゃんが支えてくれたからだと思うんだ。」
嘘だらけのユーノの言葉には、若干の真実が含まれていた。
それは、告白を告白と受け取らなかったこと、そして、そっけないなのはに対して不安を抱いていたということ。
ユーノの性格を考えれば、前者はフェイトと付き合っている時点で本当だとわかるし、後者に関しては、言うまでもない。
「……そんなこと、ないと思うよ。ユーノは優しいから、なのはを信じてたと思う。」
「ううん……ずっと一人なのと、誰かに支えられてるのは、やっぱり違うよ。」
「なのは………」
「わたしは、ユーノ君に支えられてて、ユーノ君もそうだと思ってたんだ。でも、違ったんだね。」
それは、独りよがりに過ぎなかったのだ。
自分はユーノを支えるどころか、不安にし続けていたのだ。
幸福どころか、不幸を与えていた。
「ユーノ君がわたしを見つけてくれた時に、わかっちゃったんだ。」
「何を、って聞いてもいいかな。」
「ユーノ君が、わたしのためじゃなくて……フェイトちゃんのために、追いかけてきたってことが。」
なのははどこか遠くをぼんやりと見つめながら、そっと答える。
あの時、気遣われるようなことを言われたのだったら、まだ諦めることは出来なかっただろう。
「完全に、わたしの負けだよ。ユーノ君を幸せにしてあげたのは、フェイトちゃんだから。」
「わたし……ユーノのこと、幸せに出来たのかな?」
そんな答えなんて決まっている。
悔しいけれど、嫌いとまで言われたのだから。
「何言ってるの。ユーノ君は、今とっても幸せだよ。」
「なのはがそう言ってくれるなら……きっと、そうだね!」
そう言って、フェイトは幸せそうに笑う。
フェイトの笑顔に、なのはも笑顔で返す。
その笑顔は、寂しい笑顔でなく、親友を祝福する笑顔。
演技ではなく、今は心から。
例え、心に何も残ってなかったとしても、今の気持ちは、二人に幸せになってほしいという気持ちは、本当だから。
「はいはい、お幸せにね。言っておくけど………浮気なんてしたら、絶対許さないよ?」
「大丈夫だよ。……だって、わたしはユーノ依存症だから。」
臆面もなくそう答えるフェイトに、なのはは苦笑する。
きっと、そう言える彼女だからこそ、ユーノを幸せに出来る。
彼が寂しいなんて思う間もなく、べたべたと引っ付き続けるに違いない。
「ユーノ君が聞いたら、引いちゃうんじゃないかな、それ。」
「うーん、そうかな………」
「……これ以上ここにいても、フェイトちゃんを引き止めるだけみたいだし、どこか行くことにするよ。」
くるり、となのははフェイトに背を向け、ゆっくりと歩き出す。
今は、泣く必要も、振り返る必要もない。
この身の寂寥感に耐えるだけだ。
「じゃあね、フェイトちゃん。」
なのはの背中を、フェイトは無言で見送る。
何を言ったところで、今の彼女を慰める術などありはしない。
遠くから、ユーノの呼び声が聞こえる。
どうやら、フェイトが大人しく待っていなかったことに気付いたらしい。
「ユーノ、ここだよー!」
大声で、呼び返す。
後どのくらいで来てくれるだろうか、それを思うと、口元の笑みが消えない。
なのはのことを忘れたわけでも、嫌ったわけでもない。
ただ、今は―
彼女に託された願いを、ユーノを幸せにすることを、始めよう。
もう、寂しい思いなどさせないくらいの、とっておきの幸福に。
続
- 115 名前:39-362:2008/02/07(木) 04:26:17 ID:ZXav0o2s
- そういうわけで、次回は幸せそうなフェイトさんがメインです。
いつの間にやら、もう次回でこのお話はおしまいです。
なんか早いなぁ…………
>>66
エリオ…出来るだけ長く生きてくれ!死ぬとわかったらそう願うしかありませんよね。
とにかく素晴らしい出来だと思います。
>>88
エロも非エロもこなせるのは、すごいと思います。
しかもどっちも面白いって言うのが更にすごいです。
- 116 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 04:29:15 ID:7Ct0TO3z
- うは、続きついに来たぜー! ラスト完結を楽しみにしています。GJしたっ
- 117 名前:( ゚Д゚):2008/02/07(木) 04:32:53 ID:JudYjEaW
- だっはー来た。きました。>>115GJですよー。
なのはに「嫌い」って言うユーノも珍しいというか、新鮮ですね。
この後さらに続く……どんな結末になるのか、楽しみです。
しばらく投下待ちますね
- 118 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 04:49:34 ID:7aesd2jJ
- >>115
GJです!!なのは鋭いっ!ユーノの心の隙をズバズバと突いてきますね〜
まぁ、なにはともあれユーノも今までの想いを吐き出しフェイトとなのはも和解して
この物語もついに次回で終ってしまうんですねぇ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 最終回も期待してお待ちしております。
- 119 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ:2008/02/07(木) 05:13:11 ID:o9qvgzcE
- >>66
エリオが、エリオがああああああああ
あまりのラストに本気で驚きました・・・
次回はもっと大変な目にあうのか・・・
>>89
GJ!!
ああエリオ・・・どうして君には辛い試練ばかり訪れるのだろう
せめてこちらのエリルーだけでも精一杯幸せを迎えて欲しい!!
- 120 名前:( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc :2008/02/07(木) 07:11:06 ID:JudYjEaW
- 投下行きます。
注意事項
・まぁ、捏造ってます。
・場つなぎ気味。
・あぼーんキーワードは「燃え上がる炎の魔法使い」
- 121 名前:燃え上がる炎の魔法使い 7-01/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/07(木) 07:12:01 ID:JudYjEaW
- 視界を満たすものを、ようやく理解した。白い、無機質な天井。点滴のパック、パーテ
ィションを形成するカーテンのレール。
まだ、意識はぼんやりとする。
────そうか、僕はリンカーコアを抜かれて……
はぁ、と、息を吐き出す。それが、何かを白く曇らせた。緑系の透明プラスチックで出
来た、吸引用のマスク。
少し、視界をずらす。
ガラス張りの壁面。いつか、自分が此方を見下ろしていた場所。
ミッドチルダ人の自分や、テスタロッサ姉妹のものとは違う。地球のアングロサクスン
と呼ばれる人種が持つ、発色の鮮やかな金髪。
────迷惑、かけちゃったなぁ。
ユーノは視線を天井に戻しつつ、溜息をつくように思う。
────砲撃は専門外と諦めていたけど、これからもアリサの隣に立ち続けたいのなら、
デバイス無しは限界かもしれない……
ユーノの右手は、自分でも知らない間に、きゅっと握り締められていた。
燃え上がる炎の魔法使い〜Lyrical Violence + A’s〜
PHASE-07:Der Weg zu dem jede Gehen
「本当に、君がやるのか?」
Dec.20.2005(JST)────時空管理局本局、次元巡航警備部本部。
「悔しいけど、あたしは戦闘じゃ、フェイトやなのはほど役に立ちそうにないから。それ
に、ブローバも、まだ強化されてないし」
クロノに連れられて、アリシアが、人間形態のリニスを伴い、歩いていく。
場所は、またも小会議室。
クロノは胃が重そうな表情をしつつ、そのドアの前に立つ。
ノックをしてから、自動ドアを開けた。
「失礼します」
果たして、室内にいたのは……2人の、見た目の可愛らしい、若い女性。ただし、その
頭には猫の耳が、お尻には猫のしっぽが、それぞれ生えている。顔つきは良く似ているが、
片方は髪の毛を短めにしてソバージュをかけており、もう一方はストレートよりはややゆ
るくクセのかかった髪を背中の中ほどまでのロングにしている。
「♪ クロスケ〜」
ぴょ〜ん。
ソバージュのかかった方の女性が、身軽に飛び上がり、クロノに飛び掛った。
「うわっ、よせロッテ!」
クロノは飛びずさりかけるが、そのまま捕まり、ソファに押し倒される。
「アリア! 止めてくれ」
「いーじゃない、久しぶりなんだし、やらせておけば」
ロングヘアの方の女性が、そう手振りを加えて言いながら、ゆっくり近付いてくる。
「はぁ……」
呆れたように、アリシアがその光景を見ていると、すっ、と、リニスが、その前に出た。
「貴女達、ふざけるのは後回しにしていただけませんか!?」
リニスが、低めの、所謂ドスの効いた声で、言う。
「……? なんだよ、アンタは……」
クロノを襲っていた方の女性が、怪訝そうにリニスを見上げる。もう一方の女性も、そ
の傍らに立ち、同じようにリニスの顔を覗き込む。
- 122 名前:燃え上がる炎の魔法使い 7-02/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/07(木) 07:13:03 ID:JudYjEaW
- 「アンタは……」
ギロッ、2人はリニスを睨みつける。
だが……
リニスは、全く動じず、腕を組んで、2人を見据えている。ぴょこん、と、リニスにも、
ネコミミとしっぽが生えた。
それから、一瞬間をおいて。
「フ〜ッ」
そんな、猫が威嚇するときのような声が背景に流れたかと思うと、2人はお互いの両手
を握って身の毛をよだたせ、おびえた瞳になった。
「申し訳ありません、御見それしました」
声をそろえて、リニスに頭を下げた。
「解ればよろしい」
リニスは、2人を見据える姿勢のまま、軽く目を閉じ、指を振りつつ、そう言った。
「さすがだな……」
よれよれになりつつ、顔中にキスマークをつけたクロノが、身を起こし、言った。
「クロノ、その顔でなのはの前に行かないほうがいいよ?」
アリシアが、苦笑しながら、クロノに言う。
「解ってる、というか、誰の前にも出たくはないよ」
言ってから、クロノは立ち上がり、おびえた様子の2人に近付く。
「ひどいよクロスケ、こんなの連れて来るなんて」
ソバージュの髪の方が、抗議するように、涙目でクロノに訴える。
「しょうがないだろう、今回の協力者は、彼女たちなんだから」
「えーっ!?」
2人は揃って声を上げ、リニスを見た。
「改めて紹介する。グレアム提督の使い魔で、<ボソ>僕の師匠の</ボソ>リーゼロッテと、
リーゼアリアだ」
「あ、あの……」
「宜しくお願いします……」
クロノが一部分を意図的に投げやりに言ったことにも突っ込めず、緊張した様子で、引
きつった笑みをリニスとアリシアに向ける。
「で、今回、無限書庫探索を希望しているアリシア・テスタロッサと、その使い魔のリニ
ス」
「宜しくお願いします」
あくまで丁寧に、リニスは言い、アリシアと共に頭を下げる。
「ってテスタロッサって、あのプレシアの!?」
驚きに、リーゼロッテと紹介されたソバージュの女性が、思わずガニ股になって、クロ
ノに問い質す。
「ああ、プレシア・テスタロッサの実の娘と、リニスは元々は彼女の使い魔だそうだ」
あっけらかんと、クロノは肯定した。
「ってことは、Sランク級の使い魔じゃない!?」
リニスを指差して、リーゼロッテはクロノに耳打ちするように言う。
「そう言う事になるな」
クロノは、サラリとそう答えた。
「鬼!」
「僕が君たちから受けた所業の数々からしたら、とても言われる義理はないと思うな」
駄々を捏ねるように言う、リーゼロッテの恨めしげな言葉に、クロノは平然と言い返す。
「で、無限書庫探索って、闇の書の件で?」
- 123 名前:燃え上がる炎の魔法使い 7-03/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/07(木) 07:13:35 ID:JudYjEaW
- リーゼアリアと紹介された、ロングヘアの女性は、比較的落ち着いた態度で、クロノに
訊ねる。
「ああ、本来なら婿入りフェレットが来るはずだったんだが、奴らにやられてね」
「ふーん。まぁ、確かにプレシアの娘なら、こういう学者肌的な事は得意そうだね」
リーゼアリアは、感心したように言った。言ってしまってから、ちらっと、リニスの顔
色を伺う。
- 124 名前:燃え上がる炎の魔法使い 7-04/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/07(木) 07:14:20 ID:JudYjEaW
-
──無限書庫。
そこは、時空管理局内部にある、空間を湾曲して圧縮された巨大な資料室だ。
時空管理局の創立期の記録が収められ、また、統一時空管理法下の世界での書籍類が、
累々と集められるシステムが構築されている。
ところが、それを整理・検索できるほどの優秀な文系魔導師が少なく(魔力資質の高い
者は基本的に戦闘魔導師になってしまうという、ミッドチルダ式の根本にも由来する現象
が絡んでいる)、近年は管理もろくに出来ず、さながら雑草の生えた空き地に放擲された
貨車の如く、荒れ果てた状態になっていた。
しかし、資料収集システムは稼動し続けているため、それを整理・検索できる魔導師が
いれば、おおよそ魔法技術に関してここに収められていない情報はない。
クロノの言う通り、最初は、ユーノがここを探索するはずだった。ところが、守護騎士
との遭遇戦でリンカーコアを損傷し、とてもそれに耐えられる状態ではなくなった。
そこで、代わりに立候補したのが、アリシアだったのである。
「今まで私達と父さまで暫定的に管理してたんだけど、とにかくしっちゃかめっちゃかで
ね……本格的に整理しようとしたら、プロジェクトチームを組んで数年かけないと……」
リーゼアリアは、そう言いながら、無限書庫の中へとアリシアを案内する。
そこは、時空管理局本局の奥深い場所にあるが、直接繋がってはいない。極端に密度の
違う空間同士なのだから、当然である。下手に両者を繋げれば、対消滅して大爆発が起こ
るのがオチである。
唯一、自然界に存在する空間同士の接続点が、各々の空間の密度の差を吸収してしまう
重力特異点、即ちブラックホールであるが、こんなものを人が移動する手段に使用出来る
はずがない。
閑話──次元世界は、大洋の上の島の様に点在しているのではなく、実際にには数珠繋
ぎの、物質の分子構造のように連なっている。そしてその側に、“無”である空間が存在
する。これをミッドチルダ系の技術形態では『時空間』と呼ぶ。ちなみに地球でも、これ
と似たような説を説く人間がおり、外宇宙への人工天体による観測である程度概念は作ら
れている。それぞれを接続する点は先述の通り重力特異点でしかありえないため、これに
生身の人間を通すのは危険極まりない。そこでその外側である時空間を航行した方がまだ
しも安全と、開発されたものが次元航行船である。────閑話休題。
したがって、無限書庫へは転移で出入りする。トランスポーターがあるので、魔力資質
の無い者でも入退室は可能である。
「はぁ、これはかなり酷いわね……」
無限書庫の中は、ほとんど重力がない。厳密には、中で活動する人間に上下の感覚がな
いと活動が困難になるというのと、物理的にそれを作り出すことは不可能であるという理
由で、無限書庫を構成する空間の外縁に向かって僅かに重力が存在するが、ほぼ0Gである
といって良い。
資料や書籍は書棚に収められてはいるものの、適当に放り込まれたという感覚が強い。
空間内にも書類が散乱している。収集システムのトランスポーター周りが、特に酷い。
「母さんの書庫と同じぐらい酷いわね。あれで何度も近所から苦情が入ったっけ」
アリシアは、呆れた表情に、口元を引きつらせながらそう言った。斜め後ろに控えるリ
ニスの苦笑も、どこか引きつっている。
「え?」
むしろ、リーゼアリアはその言葉に呆気に取られたように、目を円くした。
「しょーがない、ブローバ、早速やるわよ」
『Yes, Sir』
- 125 名前:燃え上がる炎の魔法使い 7-05/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/07(木) 07:15:03 ID:JudYjEaW
- アリシアは、ポケットから金色のレリーフを取り出す。色と、角のRはバルディッシュ
のそれを思わせるが、二等辺三角形近似の六角形であるそれに対して、ブローバはひし形
近似の八角形をしている。
『Get, set』
ブローバが、待機状態から、戦斧の形状に展開する。アリシアはそれを両手で握る。
「リニス、自動収集の方、お願い」
「はい、かしこまりました」
リニスは、微笑みながらそう言うと、無秩序に書籍を集めているトランスポーターの方
に向かって、浮遊魔法で移動を始める。
アリシアは上半身を屈ませ、やや俯角をとって、ブローバ構える。
「ブローバ」
『Yes』
アリシアが自分を中心にして、ブローバの矛先で円を描くようにくるりと一蹴すると、
金色の魔法陣が鮮やかに輝き、展開する。
「アルカス・クルタス・エイギアス。遥かなる太古より連なりし偉大なる賢者達の叡智よ、
テスタロッサに今一度力を」
魔法陣が展開され、駆動が始まると、アリシアはブローバの矛先を上げ、自分の上に向
けて掲げる。
魔法陣から放たれた光が、書庫の書棚を“覆って”いく。輝きが、らせん状に、書棚全
体に拡がっていく。
その輝きに覆われた書棚から、複数の書籍が、人の手も借りずに、同時に出たり入った
りし始めた。
「はー……さすが大魔導師と呼ばれた、プレシアの娘だけはあるわ」
目を円くして絶句しかけていたリーゼアリアは、そこでようやく、言葉を発した。
光を放ち続ける魔法陣の中心で、アリシアは軽く目を閉じ、術式の駆動を続ける。
その円周上で、複数の書籍が、パラパラと速読術の達人に読み上げられるような勢いで、
ページをめくられていく。
「凄いね、これで、読めてるわけ?」
リーゼアリアは、アリシアの傍らに漂いつつ、本の1冊を指差して、感心したように訊
ねた。
「はい、えと、すみません、駆動に集中がいるので、声をかけないで貰えますか?」
アリシアは、鈴を鳴らすような声で、申し訳なさそうに、リーゼアリアにそう言った。
「あ、うん。ごめん。あたしは、リニス“さん”を、手伝ってるね」
そう言って、リーゼアリアは、ゆっくりと、アリシアから離れる。
アリシアは、術式の駆動を続けつつ、本来、ここへ訪れるはずだった人物と、自分の家
族になるかもしれない人との、会話を、軽く思い返した。
不安だったわけじゃない。いや、そう言えば嘘になるかもしれない。
アリシア・テスタロッサは、言うなればこの時間軸には存在し得なかった人物である。
プレシアの想い、フェイトの願い、アリサの意思。それが、ジュエルシードに奇跡を起
こさせた。
その奇跡の力によって今一度この世界に目覚めれば、そこにあったのは20年の時を経た
世界。自分の復活に全てを賭け、最終的にそれと引き換えに命を手放した母。そして、新
しい家族。────母の愛を知らない、自分より大きな、しかしガラスの様に脆い妹。
こんなはずじゃなかった未来を防ぎたいと願う、兄のような執務官と、その実母で上司
である、慈愛の心と容姿を持つ時空管理局提督。
燃え上がる炎のような、奇跡をも動かす意思を持つ、1人の魔導師。
役に立ちたかった。
- 126 名前:燃え上がる炎の魔法使い 7-06/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/07(木) 07:15:29 ID:JudYjEaW
- 負い目を払拭したかった。
妹の為に、家族の為になることをしたかった。
『時の庭園』の残骸から回収された、アリシアとは本来接点のないリニスを復活させた
のも、フェイトが喜ぶ姿が見たかったからというのが、きっかけだった。
『Sir』
デバイスが呼びかける。気付けば、術式駆動が鈍っていた。
「アルカス・クルタス・エイギアス。知識の海よ、我が望みに応えよ……!!」
魔法陣は、前にも増して勢いよく光を放ちながら、動き続ける。
- 127 名前:燃え上がる炎の魔法使い 7-07/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/07(木) 07:16:34 ID:JudYjEaW
-
ピッ。
スキャンターミナル型の検測機器を、ユーノの腹部に当て、初老の男性医師は、その数
値を読み取る。
「さすがに若いね。もうリンカーコアの修復が始まっている」
医師は優しげに微笑みながら、ユーノにそう言った。
「ただ、しばらくは魔法は今までのように使えないから、気をつけてね」
「はい、ありがとうございます」
上衣を正しながら、ユーノは苦笑気味の笑みで、そう返事をした。
「えーっ」
ユーノ本人とは対照的に、不満そうな声を上げたのは、傍らに付き添っていた、アリサ
だった。
「あたしなんか、中2日で完全復活でしたよ?」
「君の場合は、リンカーコア自体がそれほど大きくないから、身体への負担が小さくて、
損傷の回復が早かったんだよ」
医師は、そう説明する。
「クロノもそう言ってたじゃないか」
「あう」
ユーノからの追加攻撃を受け、アリサはがくん、と、うなだれるように、顔を下げた。
「リンカーコアの損傷回復に身体がついていけないか、逆に肉体を侵食するようなら、投
薬も考えなければならないが────」
ぱち。
アリサは唐突に、目を円く開いた。
「これだけ順調に回復しているのなら、自然治癒が一番、安全だよ。この種の投薬治療は、
逆に後遺症を残すこともあるからね」
優しく笑いながら、医師は、そう説明した。
「それじゃあ、もう動き回る分には平気だと想うが、安静は心がけるように。それと、無
理に魔法を発動させようとしないようにね」
「はい、解りました」
ユーノが返事をすると、医師は、個室の病室を出て行った。
「…………アリサ?」
珍しく、言葉少ないアリサに、ユーノは少し怪訝に思い、声をかける。
「アリサってば」
「って、あっ!?」
はっと我に返り、アリサは、キョロキョロと周囲を見回す。
「どうしたの?」
ユーノは、小首を傾げて、アリサに訊ねる。
「いや……いーまなんか、お医者さんの言う事に引っかかるような気がしたんだけど……」
アリサは、腕を組んで、難しそうな表情で、自分の頭を振る。
「……よくわかんない」
困ったような、不快なような顔で、アリサはそう言った。
「ふーん」
ユーノは、素の表情でそう言ってから、
「アリサって、妙に勘鋭いから、そういう時って、何かあるよね」
と、眉を潜めて、付け加えた。
「うん」
アリサは、素の表情で、頷く。
- 128 名前:燃え上がる炎の魔法使い 7-08/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/07(木) 07:17:53 ID:5AdvTHxJ
- 今回の1件も、アリサが「また、ジュエルシードみたいなのが海鳴に降ってくるとか」
と言う発言の時には、既に事態は進行していて、その夜には、自分たちは当事者の一端に
連なっていた。
前回の事件、アリサとユーノとの出会いも、果たして偶然だっただろうか。ユーノの念
は、魔力資質のあるなのはにも、あるいは比較論ではまだしも優位なすずかにも、届かな
かったが、しかし、アリサはそこにいた。
「そうか……それよりごめん、心配かけちゃって」
ユーノは、一度、視線を逸らして俯かせつつ、そう言った。言ってから、苦笑して、顔
を上げる。
「って! 謝らなきゃならないのはあたしの方よ!」
アリサは、思わずと言ったように身を乗り出し、そう言った。
「あたしが、シグナムともっと上手く戦えてたら、ユーノをこんな目にあわせないで済ん
だのに……」
アリサは、口惜しそうに言う。
「そんなことはないよ。アリサがシグナムと戦ってくれなかったら、僕だけじゃすぐに潰
されてた」
ユーノは、アリサを宥めるように、言う。
「でも、それはあの場所に、リニスとアルフがレイジングハートを届けてくれたから……
そして、あたしは、レイジングハートを使いこなしきれなかった……」
ぎゅっと手を握り、アリサは、その手を見つめる。
強い意志を感じさせる眼を、険しくする。
────そうだ、これがアリサの強さだっけ。
ユーノは思う。
────妥協を知らない性格、負けん気の強さ……勝てるか勝てないか、じゃない、勝
つという意思……
かつて、素人で資質も少なく、レイジングハートの性能と性格だけが頼りだったにわか
魔法少女は、僅かひと月足らずで、当時既にAAAクラスに分類できたフェイトと、互角以
上に渡り合えるようになった。
────僕の能力じゃ、これから先は……違う!
ユーノは、弱気に考え始め、しかし、はっとそれに気付き、その思考を、自ら強制的に
遮った。
「どうしたの? ユーノ?」
言葉には出さず、表情を変えているユーノに、アリサは、不思議そうに、問いかける。
「う、うん……なんでもない……いや、なんでもなくはないんだけど……えっと、アリサ、
僕はアリサの側にいて、いいのかな?」
ユーノがそう言うと、アリサは突然、表情を険しくした。憤ったような表情で、上半身
を振り上げた。
「あったり前でしょうが!! 大体、『いて良い』んじゃなくて、『いろ』っつってんのよ、
あたしは!」
アリサは、声を荒げ、言った。
「あ、そっか、そうだっけ……」
ユーノは申し訳なさそうに言った。しかし、そう言ってから、ユーノは、手を伸ばし、
アリサの手を握る。
「な、何よ……」
ユーノらしくない行動に、アリサは戸惑いの声を上げつつも、顔を少し紅くしながら、
拒否はしない。
- 129 名前:燃え上がる炎の魔法使い 7-09/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/07(木) 07:18:36 ID:5AdvTHxJ
- ────アリサの何を見ていたんだ、僕は。できるか、できないかじゃない。やり遂げ
るって言う意思だ。
ユーノはそう思いつつ、握った手を見て、それからアリサの顔を見た。
「な、何よ……」
アリサは顔の紅みを増しつつ、訊ねてくる。
「失礼するぞ」
突然、個室のドアが開き、黒づくめの執務官が入ってきた。
「くっ、クロノ!?」
アリサとユーノが、揃って声を上げる。
「……お邪魔だったかな?」
「にゃ、にゃはは……」
その背後に、申し訳なさそうに苦笑するなのはが、続いていた。
「別にお邪魔なんて事はないわよ」
「むぎゅ」
アリサは驚いてユーノから離れるどころか、クロノを睨むようにしながら、ユーノの肩
を抱き寄せる。
「そっちが嫌じゃなきゃね」
「そうか。でも、病人を乱雑に扱うのは感心しないと思うが……」
クロノは淡々と言った。
「Lageなお世話よ! 大体クロノこそ、ちゃっかりなのは一緒に連れちゃって!」
アリサが怒鳴り返すと、その言葉に、クロノの顔がかーっと紅くなった。
「な、なんとでも言え。僕だってその、れ、恋愛に興味がないわけじゃない」
「あーっ、開き直った! クロノのクセに!」
アリサがクロノを指差し、憎々しげに言う。
いつの間に仲を進展させていたのだろうか。今までなら、顔を真っ赤にしてしどろもど
ろになり、「僕は職務として彼女を云々」と言い逃れていたはずである。
きっと、翠屋に足繁く通っていたに違いない。
そして、当のなのはは背後で、立ち尽くしたまま顔を真っ赤にして、湯気を上げていた。
「あー、その、アリサ、ちょっといいかな」
ユーノは、クロノとにらみ合っているアリサを、宥めるように、声をかける。
「クロノ、リニスは?」
「それなら」
クロノは落ち着き払った声で、ユーノに答える。さっとスイッチが切り替わるのは、彼
の長所でもある。…………新しい話題に逃げた、とも言うが。
「君のかわりに、アリシアが無限書庫の探索をしていてね」
「そうなんだ」
クロノの答えに、ユーノは少し残念そうに言う。
「無限書庫?」
アリサは、2人に訊ねた。
「時空管理局の、資料室だよ」
「歪曲して圧縮した空間に、統一時空管理法下の世界で発行される書籍や資料を、蓄積す
る機能があるんだが、ここ数年放擲されててね。優秀な魔導師による検索が必要な状態な
んだ」
クロノは言いつつ、後半は時空管理局の恥を思うように、苦い顔になった。
「ふーん」
アリサは、感心したように言ってから、
「で、それで何をしようって言うわけ?」
と、聞き返す。
- 130 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 07:18:54 ID:CjPv6iIt
- こんな時間に支援
- 131 名前:燃え上がる炎の魔法使い 7-10/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/07(木) 07:19:00 ID:5AdvTHxJ
- 「闇の書の、過去について、もっと深く、遡って、調べようと思ったんだ」
「闇の書の過去?」
ユーノの言葉に、アリサは即座に聞き返す。
「元の形があるはずなんだ」
ユーノはそう言った。
「元の形?」
アリサは、まだ話の流れがつかめず、やはり、鸚鵡返しに聞き返す。
「クロノが、前回までと守護騎士が違うって言ってた、それで考え付いたんだよ。闇の書
も、不変のものじゃないんじゃないかってね」
ユーノは、表情を引き締めつつ、そう言った。
「だとするなら、最初から、あんな、闇の書とか、呪いの魔導書とか呼ばれる、破滅的な
ものじゃなかったと思うんだ」
「何か、きっかけがあって、変質した結果が、今の闇の書……」
ユーノの言葉に、クロノも同意するように言葉を発した。
「クロノにも策があるって言うし、ひょっとしたら、無駄になっちゃうかもしれないんだ
けどね」
「いや、これは、魔法に携わるものとしては、見過ごせない」
苦笑しながら言うユーノに、クロノは、硬い表情のまま、そう言った。
「もしかしたら、闇の書の事件を恒久的な解決に持ち込めるかもしれないしな」
クロノは、表情をさらに険しくして、そう言った。
「なるほど」
アリサはそう言って、微かに笑った。
「でも、あ、話戻すけど」
アリサの答えを待ってから、ユーノは、視線をクロノに戻す。
「それじゃあ、リニスも無限書庫に?」
「ああ。基本的に彼女のサポート役だからな」
ユーノの問いに、クロノはさらっと答える。
「そうか……じゃあ、本格的なものはこの1件が片付いてからになるかな」
視線を少し俯かせつつ、ユーノは呟くように、そう言った。
「何がよ」
何気なく、と言った感じで、アリサはユーノに問いかける。
「うん、ちょっとね」
「?」
────例え力不足でも、足手まといになっても、僕はやっぱり、アリサの隣に立って
いたい……!
- 132 名前:燃え上がる炎の魔法使い 7-11/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/07(木) 07:19:33 ID:5AdvTHxJ
-
同日。20:32────日本国 東京都 海鳴市。
八神家。
「レンとシャマルは、主の護衛を頼む」
「解ったわ」
「承知やで」
シグナムの声に、シャマルと、レンが、頷いた。
管理局に、はやての存在を知られてしまった。いつ、はやてを直接狙われるか解らない。
これまでのように、5人ともはやてから離れるわけには行かない
「主はやて。これより、今夜の蒐集に出立いたします」
既に騎士甲冑姿になったシグナムは、はやての目前に跪き、そう言った。その後ろに、
同様にヴィータと、狼形態のザフィーラが、直立不動の姿勢で、控える。
「うん」
電動車椅子の上のはやては、短く、そう答えた。
「みんな気ぃつけな。特にヴィータ、無理はせんといてよ」
「ぁあ、解ってるよ」
ヴィータは微笑を浮かべながら、そう答えた。
そして、シグナムとヴィータ、ザフィーラは、八神家のLDKの窓から、庭に出た。
赤紫、赤、青の閃光が、夜空に上っていく。
「これは悪い夢かも知れへん……」
レンが、その呟き声に気付いた。
「けど、夢やったら……短い夢でもええ……醒めたら元通りでも……だから……しばらく、
眼が覚めるまででええ、見せたってや……」
はやては、ぶつぶつと、自分に言い聞かせるように、呟いている。
レンは、少し困惑した顔をした後、優しげに微笑んで、はやてを見た。
「はやてちゃん」
語尾の上がるイントネーションで、はやてを呼ぶ。
はやては、軽く驚いたように、レンを見上げた。
「夢やあらへんよ、これは。だから、はやてちゃんの、心が痛いんや」
「レン……」
見透かされたような台詞に、はやては眼を円くする。
「せやから、はやてちゃんの願いも、夢で終わらせへん。絶対かなえたる。幸せを、つか
ませたる……」
「せやけど、その代わりに……」
はやては、まだ迷うかのように、レンから視線を逸らす。
「大丈夫や、シグナム達の能力は折り紙付き。ちぃ相手困らせる事になっても、破滅させ
る事は絶対あらへん」
「うん……」
はやては、力なく頷く。
「大丈夫、これで全部お終いになる。はやてちゃんの辛いこれまでも、全部、ハッピーエ
ンドで終わらせたる……」
レンは、言いつつ、身を屈ませて、はやての上半身を抱く。
「レン……」
「あたしは、守護騎士の中でも特別。はやてちゃんの影。せやから、絶対に約束する。は
やてちゃんを。幸せにする」
「さよか……」
はやては言い、自分をかき抱くレンの腕に、縋った。
- 133 名前:燃え上がる炎の魔法使い 7-12/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/07(木) 07:24:32 ID:TcxBkVJ7
- >>121-129,>>131-132
今回は以上です。
えー、薀蓄失礼。
「バイオレンス」の頃から「あれ?」と思われていた方も多いと思います。
次元世界の構造についてですが、スティーヴン・ホーキング博士らによる宇宙誕生の説を解釈に取り入れてます。
若干矛盾ありますが……
今回無限書庫の記述でたまたま書くことになった。ホントはもっと後で種明かし的に書くつもりだったorz
そろそろ勘の良い方はレンの正体に気付き始めたんではないかと思います。
それとリーゼ姉妹ファンの方、申し訳ありません。
- 134 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 08:04:14 ID:CjPv6iIt
- おつかれさまです
支援の習慣があるのはこっちじゃなかった・・・orz
すみませんでした
- 135 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 09:21:19 ID:iehNjbrc
- >>115
GJです。
ユーノの男っぷりに泣きました。
そして、映画版のジャイアンみたいな、いい人なのはさんにも泣きました。
- 136 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 10:58:10 ID:0Jpmydee
- >133
乙。
まぁ、次元世界と言う概念それ自体が矛盾から生じているようなものですが。
>135
それじゃまるで、普段のなのはさんが魔王みt
904 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/02/05(火) 19:37:31 ID:hbnd5L99
/|ーo‐、____
Fニ、___________________r─‐======¬ ̄|| ̄ ̄|Fj二ニ」|コ
F゚=゚===┬─===──===──===────┼|___________lj___ノ、⊥⊥⊥| 」\___
|匚l二二コ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄「|| ̄||l●」(_____|l」)| < || _l_  ̄ ̄ ̄\\_
〔|l}ー────┴──────────‐┬|rテニニf=!(_____|l」)| || (EEE)─────┴┴〉
└────────────────┘|巛j_|l |(____|l」)| < || / /
 ̄ └‐┘ l__l」_∠----────‐ '
ヽl ,、 l/
^ヘヘ`~⌒`ナ"^
ハノソノヾソハ,ヾヽヽ .
( リ、゚ヮ ゚ |ノ ハ レイジングハートの新しい姿なの
━=y⊂7..|7○
ソ,j,i,ヾ\
~<_)!<_)~\
- 137 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 12:40:14 ID:o9qvgzcE
- 前>>422
遅レスですがGJ!!
ティアナのお姉さんっぷりにやられました。
ようやく二人とも打ち解けて、そのラブラブぶりにやられました。
そしてエリオを弟と見れなくなる日もそう遠くない?
後半も楽しみにしています
- 138 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 13:16:21 ID:WiYZQM6S
- フェイエリやはやエリのエロを読みたい…
- 139 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 13:20:47 ID:nTCor9KE
- ナカジマ姉妹分が足りない…
- 140 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 13:22:30 ID:bu77VQ2e
- 磯野〜、そんなことより野球しようぜ
- 141 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 13:43:42 ID:1QW8A6N2
- 欲をかいて申し訳ないが、フェイエリは3年後くらいだとやばさ大爆発で素晴らしいと思う。
- 142 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 14:13:32 ID:BmboihrM
- >>136
ビックマグナムw
大気中の魔力を無理やり集めて、ディバインバスター6連射ができそう。
- 143 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 14:38:54 ID:hwbzOfL2
- >>142
ビッグマグナムが一瞬ビッグシグナムに見えたw
もっと烈火の将に出番を〜
- 144 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 15:07:06 ID:9GEfTGaa
- 別に責めるわけじゃないんだけど、
ここって、つい最近投下されたはずのキャラやカプやシチュでも割と普通にリクすること多いよね。
まあ、俺が思ってるほど多いわけじゃないのかもしれないけど。
- 145 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 15:16:00 ID:+iUOl6Vc
- >>144
別にリクエストしてる訳じゃなくて、ただの心の叫びだろ。
この前の誤字の指摘にしても、あんまり職人に気を遣いすぎると
スレが排他的になって、返ってギスギスするぞ。
- 146 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 15:50:47 ID:zo5TL1lV
- なんというスレのスピード。このスレは間違いなく一週間持たない
- 147 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 15:56:45 ID:CFXcLBDP
- 最速って何分だっけ?
確か、一時間そこらでスレが埋まった板あったよな。
- 148 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 16:21:03 ID:sHnpw0gU
- 長編モノが増えたせいじゃね?
短編減ったよね最近。
- 149 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 16:30:49 ID:nf5Q4iSY
- 確かに長編を毎日投下、が多い気がする。
どちらかってと或る執務官の、とかてあおー氏辺りのギャグ短編を定期的に読みたい
そしてなのはさんの教導!とFate in the Dark Fateの続きマダー?
- 150 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 16:51:10 ID:gah+yZ7Q
- >>136
吹いたーーーーっ!!シャイダーが怒るぞ・・・・・本家と一回勝負しろ
- 151 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 19:06:17 ID:rMgrbbwj
- 教えてエロい人
保管庫で探そうとしましたが題名がわからなくて困ってます。
途中までしか読んでなく、内容も断片でしか覚えてなくて、
以下のことだけでわかる人いませんか?
・数ヶ月前の長編でバトルもの
・タッグマッチ制でクロノ&フェイト、なのは&シャマル?、ユーノ&誰?
そんな組み合わせだったと思う
・シャマル?がシグナムのコアをぶち抜いた覚えがあるがどうだったかな?
・クロノメインでエロ有りとか書き手さんが言ってた様な気がする
以上です。
が、俺の読んでた限りではクロノはあまり出てなくて
エロもほとんど無かったと思う。
ただ途中までしか読んでなかったから何とも言えませんが。
後、なのはさんが、
ユーノ君との仲が進展しないのは上部の命令だ
とキレてたような気がする。
- 152 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 19:13:29 ID:ciTRCcqX
- 絶妙にスレ違いだが、ユーノとヴィータのタグで探せ
とだけ言っておこう。
- 153 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 19:39:09 ID:rMgrbbwj
- >>152
ユーノXヴィータでしたか、クロノじゃなかったんすね。
がんばって探してみます
- 154 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 19:44:43 ID:IiYbD2Jf
- >>71覚悟のススメなんて知ってるのは俺とお前くらいだろうな
- 155 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 19:47:45 ID:RTKoldW7
- >>89B・A氏
エリオかっこいいよ
お前は立派な騎士だ
そしてフェイトさんの母親っぷりは泣けた。あなたは親の鏡です
>>115 39-362氏
優しいなのはさんが可哀相で幸せになってほしかったが、フェイトさんも幸せになってほしい。
そしてユーノにも幸せになって欲しいと思う俺
ぬるい考えかもしれんが3人くっついてのハッピーENDが見たくなってしまった。
- 156 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 19:58:56 ID:9oSUWiv3
- >>151
タイトル:「Never Give Up!」
著者:「360」
- 157 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 21:24:39 ID:pz4PTySq
- 俺はエロ無しでも面白かったらいいタイプだがな。
>>133
ユーノが無限書庫に行かないのも見た事ない展開かもデス。。。
しかもコレもしかして強化フラグ?
オリ進行GJ!続き待ってます
- 158 名前:B・A:2008/02/07(木) 21:30:26 ID:XfF0VcQG
- >>133
予め本筋がわかっているからこそ、却って展開が読めないです。GJ。
よし、こちらは完全捏造でいくぞ。
注意事項
・エリオ×ルーテシア
・非エロ
・本編改編。いわゆるIFというやつです。
・強引な展開や独自の解釈、勝手な捏造が多々含まれます(今回からこれがまた増えます)。
- 159 名前:Ritter von Lutecia 第12話@:2008/02/07(木) 21:32:09 ID:XfF0VcQG
- 燃えている。
目の前の全てが燃えている。
足下で倒れているのは車を運転していた男だ。さっきまで笑っていたのに、今は原型がわからないまでにこま切れとなっている。
その少し離れたところには、助手席に座っていた男が倒れていた。彼も左足が千切れ飛んでいたが、生きているようだ。
だったら、まだ助かるかもしれない。
そう思って、ルーテシアが彼に近づいた瞬間・・・・。
「やめろぉ、くるなぁぁっ!!」
男の体が弾け飛んだ。
その光景を見て、交差点にいた人々が我先にと逃げだす。
(待って・・・)
いったい何があったのかと彼らを追おうとした瞬間、近くにあった消火栓が捩じ切れた。
ショーウィンドウのガラスが砕け散った。信号機が折れ曲がり、標識が木端微塵になった。
(え・・・?)
周りの全てが壊れていく。
自分が動けば壊れてしまう。
自分のせいで壊れてしまう。
何もかも壊れてしまう。
(違う・・・私のせいじゃない・・・・こんなの・・・・望んでない・・・・)
否定しようと頭を振ると、左右にあったビルが崩壊した。
轟音を立てて崩れ去るビルを見て、とうとうルーテシアは泣き叫ぶ。
「いやぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
彼女の周りには、数十個の赤い宝石が浮遊していた。
- 160 名前:Ritter von Lutecia 第12話A:2008/02/07(木) 21:34:58 ID:XfF0VcQG
- 「ごめんなさい、道が混んでいて」
フェイトが駆けつけた時、既に会議室には全員が集まっていた。
その場にいた全員が、彼女の登場に目を丸くする。
「フェイトちゃん、病院に行かなくて良いの?」
全員を代表して、なのはが問う。フェイトは今日、エリオの看病のために休暇を取っていたはずだ。
彼女が車に乗って市内へ向かうところをなのはは目撃している。
「途中で引き返して来たんだ。エリオもきっとわかってくれると思う」
「まあ、フェイトちゃんがええって言うならそれでええわ。グリフィス君」
「はい、八神部隊長」
はやてに命じられ、グリフィスは仮想ディスプレイを展開する。
そこには、数十個のレリックに囲まれているルーテシアの姿が映っていた。
「ルーちゃん!?」
「これは、10分前の映像です」
ルーテシアが一歩進む度に、周りの何かが破裂した。
彼女が歩いてきた道に無事なものはなく、その先にあるものは例外なく壊されていった。
やがて、数人の武装した魔導師が彼女を取り囲み、取り押さえようとしたが・・・・・。
「ひぃっ・・・・」
凄惨な光景に、FWメンバーが画面から目を背ける。
ルーテシアを取り押さえようとした魔導師は、全員が例外なく死んでいた。
それも、生きたまま体を引き裂かれ、捩り切られるという殺し方で。
- 161 名前:Ritter von Lutecia 第12話B:2008/02/07(木) 21:39:20 ID:XfF0VcQG
- 「原因はわかりませんが、彼女は輸送中だった数十個のレリックと共鳴状態にあります。
その結果、体内で処理しきれなかった魔力が暴走し、力場となって放出されているのです。
この力場はいうならば攻撃性を持った障壁でして、触れたものは何であろうと例外なく破壊されます」
レリックは1つでも恐ろしい魔力を秘めた結晶体だ。それが数十個ともなれば、最早人間の手では制御できない。
制御を離れた魔力は暴走し、外に向かって放出されている。それが、今のルーテシアの状態だった。
「加えて、この力場は少しずつ大きくなっているようです。被害を抑えるために地上本部から結界魔導師が出動しましたが、
突然力場が拡大したせいで負傷し、結界の構築は不可能となりました」
「新しい魔導師が来るのは?」
「早くても15分後です。それまで、彼女を止められる者はいません」
それはつまり、後15分も彼女を放置しなければならないということになる。
その被害規模を考えると、誰もが言葉を失った。
「あの、この娘はどこに向かっているんですか?」
沈黙を破るようにスバルが発言すると、全員が彼女に目を向けた。
一斉に振り向かれたことに驚き、スバルは真っ赤になって小さくなる。
「あの・・・変なこと聞いちゃいました?」
「馬鹿。むしろその逆よ」
「ええ、確かに。えっと・・・・・」
グリフィスはすぐに地図を呼び出し、ルーテシアの移動ルートと照らし合わせる。
「このまま行けば、廃棄都市区画に入りますね」
その言葉に、キャロは顔を上げる。
「ひょっとして、ルーちゃんはまだ意識があるんじゃ・・・・・」
ありえる話だ。彼女はレリックウェポンの実験体。暴走状態のレリックと共鳴していても、意識を保っている可能性はある。
- 162 名前:Ritter von Lutecia 第12話C:2008/02/07(木) 21:41:36 ID:XfF0VcQG
- 「仮にそうやとしても、いつ自我が崩壊するかわからへん。グリフィス君、対応策は?」
「いくつかあります。まずは、時間切れを待つことです」
あれほどの膨大な魔力だ。如何に優れた人造魔導師とはいえ、そう長くはもたない。
恐らく数分、長くても数時間以内にルーテシアは内側から魔力で焼かれ、死亡するだろう。
もっとも、そうなれば箍が外れた数十個のレリックが爆発し、次元震を起こす可能性もあるが。
「却下やね。みすみす被害を広げるだけや」
「ついでに言っておくと、アルカンシェルも駄目だからな。はやての家が吹っ飛ぶ」
ヴィータの言葉に、その場にいた誰もがそんなレベルの話ではないだろうと心の中でツッコミを入れた。
とはいえ、彼女の言うことにも一理ある。アルカンシェルを使えばルーテシアごとレリックを消滅できるが、引き換えにクラナガンも消滅してしまう。
そもそも、今からアルカンシェルを搭載した次元航行艦を呼んでも間に合うかどうかわからない。
「となると、力場の起点となっている彼女の体内のレリックを破壊しなければならないのですが・・・・・・」
「何か、問題でもあるの? 許可する気はないけど、なのはちゃんのSLBやったらレリックを破壊できるんやろ?」
ゆりかご内部において、なのはは危険なブラスターモードによるSLBで愛娘ヴィヴィオの体内のレリックを破壊している。
その代償としてなのはは魔導師として致命的な後遺症を受けてしまったが、レリックを暴走させずに破壊することは決して不可能ではない。
だが、グリフィスは静かに首を振った。
「あの力場は高町一尉のSLBでも抜くことができません。隊長、副隊長方がリミッターを外したフルドライブの攻撃を行って、
初めて人一人が通ることのできる穴を空けられるだけです」
「あの力場は、そんなに堅いんだ・・・・」
ヴィヴィオが持つ先天固有スキル“聖王の鎧”はSランクの魔法ですら無効化する。
それを上回る防御力となると、最早恐れを通り越して笑いが出てしまう。
「実際は力場そのものの硬度ではなく、複数の力場が干渉しあうことで魔力の流れを阻害するようです。
そのため、砲撃でレリックを破壊することはできません」
- 163 名前:Ritter von Lutecia 第12話D:2008/02/07(木) 21:43:12 ID:XfF0VcQG
- 「それじゃ、ルーちゃんはどうなるんですか!」
壊れるほど机をぶっ叩き、キャロは叫ぶ。
こうしている間にも、ルーテシアは暴力的な魔力の放出に苦しんでいるのだ。
だというのに、何もできることがないなんて。
「いえ、一つだけ方法はあります」
「って、あるなら早く言えよ」
「ヴィータちゃん、物事には順序というものが・・・・」
「うるせぇ、あたしは難しいことごちゃごちゃ話し合うのが一番嫌いなんだ。
やれることがあるなら、スパッとやって終わらせようぜ」
「ヴィータの言う通りや、グリフィス君」
「すみません・・・・ですが、これも危険な方法には変わりなくて・・・・」
「いいから言えタコ! アイゼンでぶっ飛ばすぞ!」
いい加減イライラが募ってきたヴィータがグリフィスを睨む。他の面子もみんな似たり寄ったりだ。
「わ、わかりました。言います、言いますから睨まないでください!」
半分涙目になりながら、グリフィスは説明する。
「先ほども言いましたが、あの力場は隊長たちの砲撃で穴を空けることはできます。
最も、それもほんの少しの間で、すぐに閉じてしまうでしょうが、フェイトさんの加速魔法を使えば・・・・・・」
「そうか、力場が再形成される前に懐に入れる」
「後は、砲撃でも何でも良いから魔力を流し込んで直接レリックを壊せば良いんだね、グリフィス君」
「危険なことに変わりはないんですよ。しかも、その後は周りのレリックが爆発する前に壊すか封印するかしないといけないんですから」
「大丈夫、ロストロギアの多重封印はしたことあるから」
力強いなのはの答えが、この作戦の決定を物語っていた。
「話は決まりや。みんな、多分これがJS事件最後の締めや、気合入れていくで!」
「はい!」
- 164 名前:Ritter von Lutecia 第12話E:2008/02/07(木) 21:44:32 ID:XfF0VcQG
- 所変わって地上本部内の総合病院。
レリックの暴走により、患者で溢れかえっているかと思われたそこは、意外なほど静まり返っていた。
それもそのはず。ルーテシアに近づいた者は例外なく死んでいるのだ。ケガ人が病院に来ることはあっても、死人は病院には来ない。
だから、看護師たちの仕事は不安がる患者たちを励まして回ることだった。先の事件も時空管理局の尽力で無事に解決したのだ。
きっと、今回もそうなるはずだと。
「えっと・・・次は、エリオ・モンディアルと・・・・・」
昨夜、救急で運ばれた患者だ。未だ意識は戻っていないが、状態も良いので今朝から一般病棟に移っている。
「エリオさーん、入りますよぉ」
そう言って、看護師は病室の扉を開いた。
瞬間、冷たい風が顔に吹き付ける。
窓が開いていたのだ。強い西風のせいでカーテンがバタバタと煽られ、耳障りな音を立てている。
どうして窓が開いているのだろう? ここの患者はまだ意識を取り戻していないはず。
そう思ってベッドに目をやり、彼女は持っていたカルテを落としてしまう。
何故なら、ベッドは蛻のからだったからだ。
to be continued
- 165 名前:B・A:2008/02/07(木) 21:45:11 ID:XfF0VcQG
- 以上です。
SLBを弾く力場。なんて厨設定。自分でも自覚してます。
けど、こうでもしないとなのはさんのブラスター3で無理やり解決する気がするんですよぉ。
- 166 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 22:01:36 ID:KDTHpHT9
- >>165
GJ!!
話全体に緊迫感があふれててよかったぜ!!
>けど、こうでもしないとなのはさんのブラスター3で無理やり解決する気がするんですよぉ。
安心汁!!アンタは間違っちゃいない!!間違っちゃいないよっ!!
でも、管理局の白い魔王にはどんな防壁も通用しなさそうで怖い。
- 167 名前:151:2008/02/07(木) 22:01:56 ID:UixKZU1u
- >>156
詳細ありがとうございます
- 168 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 22:02:15 ID:Fibonh7K
- GJ
だねぇwwwwリリカル世界の問題の大半はSLBで解決できるからwwww
もしくは一定以上のエネルギー攻撃を加えると暴走の可能性があるとかにすれば良かったんじゃw
あ、そうなるとエリオじゃ余計に無理か・・・
- 169 名前:B・A:2008/02/07(木) 22:06:31 ID:XfF0VcQG
- あ、今更気づいた。
主人公なのに、エリオが出ていないorz
- 170 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 22:08:50 ID:9FoUu43T
- >>165
GJ!
…だけど、これじゃエリオ足手まといじゃね?w
- 171 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 22:11:14 ID:BmboihrM
- GJ!!です。
エリオが出陣w
楽しみです。熱い展開が待ってそう。
- 172 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 22:31:10 ID:zor8yKCu
- >>165
GJです。何かエリオに志望フラグが立ってる気がして。
- 173 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 23:25:59 ID:MEuooVI/
- >>165
GJです。さてエリオ君これからどうする?
>>168
実際はそこまで万能じゃないけどね。事態解決といっても初出は読みあい先頭の決め
A'sでは結界破壊とトリプルブレイカーの一つ、Stsではヴィヴィオ戦の決め、と
メタで言えば見栄えがするから、設定上は結界破壊の特性と最大攻撃力ゆえだし
- 174 名前: ◆vyCuygcBYc :2008/02/07(木) 23:49:08 ID:En5Ns85x
- そろそろ、Little Lancer 三話(エリオ君受難編)投下しても良いでしょうか?
- 175 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 23:50:27 ID:9h3wKAld
- >>174
おk。かもん!
- 176 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 23:50:42 ID:Z39elmO+
- 早!受難どころの騒ぎじゃないような……まあ、腰を引かずに、黙って尻を出すんだ
- 177 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 23:51:03 ID:4y3vpu/y
- 君の使命はただ一つ、作品を何よりも速く投下する事だ。
だから早く投下してくれ!!
- 178 名前: ◆vyCuygcBYc :2008/02/08(金) 00:00:51 ID:PxNPOYxa
- Little Lancer 三話です。過去(JS事件)編、後編です。
相変わらず、お約束通りの平凡な展開です。
注意事項
・非エロ
・原作IFもの
・エリオ主人公(今回はちょっとは活躍するかも)
・軽くとらは3の設定を流用
・鬱展開多し
・展開の、原作からの矛盾点などは虚数空間へスルーして下さい。
・NGワードは「Little Lancer」でお願いします。
・クアットロ萌え?
- 179 名前:Little Lancer 三話 1/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/08(金) 00:03:29 ID:PxNPOYxa
- シグナムは殆ど日課と化しているキャロとの手合わせを恙無く終えた。
訓練場の端では、今日もノックダウンされたキャロが地に伏せている。
彼女は一体何度地べたを舐めたのか。
遠巻きに見ていると、キャロが意識を取り戻して立ち上がり、ストラーダを構えて臨戦態勢に入った。
キャロは周囲を見回すと、そこでやっと自分がダウンされた事に気付いたらしく、シグナムと目線を合せると大きく一礼した。
シグナムはひらひらと後ろ手に手を振りながら、訓練場を出た。
シグナムが専属のユニゾンデバイスであるアギトとラウンジで缶コーヒーを買い、プルタブを開けているとリインUを連れたヴィータがやってきた。
「よお、浮かねえ顔じゃねえか、バッテンチビ」
普段はそんなそんなアギトの軽口を許さないリインUが、この日は暗い面持ちで下を向いたままだった。
ヴィータも又同様である。
「……おい、ホントに何かあったのか?」
ヴィータは返答をせずに、自分の缶コーヒーを自販で購入して一気に飲み干した。
そして、暗い目つきで続ける。
「良い知らせというべきか、悪い知らせと言うべきか……」
「そのご面相じゃ、とても良い知らせには見えないな」
シグナムがそう茶化すと、ヴィータは光の灯らない瞳で告げた。
「奴らの行き先が、掴めそうなんだ」
瞬間、ラウンジの空気が凍結した。
偶々休息にやってきた六課のロングアーチの隊員が、余りに恐ろしい表情で対峙している二人の副隊長を姿を目にして、回れ右して引き返していった。
シグナムはただ一言、そうか。とだけ言った。
「ああ。尻尾を捕まえ次第、乗り込んで叩き潰して擦りすぶしてやんよ。
あの糞女―――ミンチにして魚の餌にしてばら撒いてやる」
ヴィータはそう言って、指に魔力を籠めて掌の中のスチール缶を握り潰した。
耳障りな音を立ててスチール缶がピンポン玉のサイズまで縮んでいく。
それをシグナムは、
「止めておけ」
と言って押し留めた。
「ああ!? おいシグナム何言ってやがる―――」
語気を荒らげるヴィータにシグナムはこう告げた。
「止めておけ。魚が腹を壊したら可哀想だ」
それを聞いたヴィータは呵呵大笑した。
「あははははっ、そりゃそうだっ!
あんなもの喰うぐらいなら、シャマルの料理の方が余程増しってもんだな!
シグナム、お前もちっとはジョークが解るようになってきたじゃねえか!!」
ヴィータは面白くて堪らないとばかりに大笑するが、シグナムは既に背を向けて歩き始めていた。
リインUが呟く。
「相変わらず、シグナムさんクールですね……」
「アイツもこの件に関しちゃ思う所があるだろうからな……」
ヴィータは自販機脇のベンチに残されたコーヒーの缶に気がついた。
「ったく、ゴミはゴミ箱に―――熱っちいっ!」
見れば、シグナムの残したコーヒーの缶には口をつけた形跡もない。
ただ、掌に篭った炎の魔力によってその中身は一滴残らず蒸発し、ぶすぶすと黒い煙を上げていた。
ヴィータが呟く。
「あいつも、この件に関しちゃクールじゃいられない、ってことか」
シグナムは歩いていく。
叩き潰すなど冗談ではない。あの連中は自分が切り刻むのだから。
原型も留めないまでに切り裂いてやろう。そんな暗い炎が胸中に燃え上がる。
あの小さな騎士は、まともな死体が残る程度のまともな死に方すら出来なかったのだから。
- 180 名前:Little Lancer 三話 2/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/08(金) 00:05:47 ID:PxNPOYxa
- トーレは、スカリエッティの用意した戦闘機人の中で最も優れた兵士だった。
ナンバーズは其々が魔術とは異なる先天固有技能を持ち、そのトリッキーさによって敵を翻弄するのが戦闘の基本コンセプトである。
強さの順位というものが存在しないはずのナンバーズの中で、猶もトーレが最優秀とされるのは、実戦経験において裏打ちされた戦闘考察力にある。
実戦リーダーである彼女は戦況を読み、自身のいう戦力を最も有効に活用する。
彼女はスカリエッティがフェイトとの戦闘に於いて劣勢になるや否や、創造主たるスカリエッティを見捨てて次のスカリエッティの母胎たるクアットロの元に駆けつけたのだ。
変装、幻惑、侵入、砲撃等の個々のスキルはそのISの持ち主に劣るものの、彼女の対人戦闘能力そのものもメンバーズトップランク。
メンバーズ最速のフェイトに匹敵する超高速機動能力、その速度を生かして斬りつけるインパルスブレード。
それらのヒット・アンド・アウェイの戦法は、エリオの戦法の上位互換と言えるものだった。
例え万全であっても、エリオのトーレに対する勝ち目は皆無に近い。
そして不意の一撃によって左腕を落とされた今、エリオの命運は風前の灯と化していた。
だが―――
「諦めの悪い餓鬼ねえ」
頬杖をついて観戦していたクアットロが呆れたように呟いた。
圧倒的劣勢下にあって、エリオの戦いは正に獅子奮迅の様相を見せていた。
バインド魔術の応用で左腕を止血し、右腕一本で槍を揮う。
「う、おおおおおぉぉっ!」
その戦い方は、ただ周囲に槍を振り回し致命傷を避けるというみっともないものだった。
シグナムに「山猫のようだ」と賞された以前のエリオの姿はそこにない。
それでも、彼は戦っていた。
滅茶苦茶だったエリオの動きが、滅茶苦茶なりの秩序を獲得していく。
『最速で、最短距離で』
いつかのシグナムの言葉が蘇る。
いつしか、エリオは最も負担の少ない効率的な方法でトーレの攻撃を防御していた。
ヒントはあった。ヴィータの得意技ラケーテンハンマーだ。
出血が多すぎて、既に足は使い物にならない。以前のような機動速度は望めまい。
ならば―――
- 181 名前:Little Lancer 三話 2の2/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/08(金) 00:06:15 ID:PxNPOYxa
- エリオは自分の立ち位置を固定すると、槍の石突き近くを掴んで振り回した。
自身が回転の軸となり、ストラーダの噴射の力に頼って全方向への斬撃を繰り出すのだ。
槍としての「突き」の機能を無視した出鱈目な用法だったが―――どこから襲ってくるか解らないこの相手には、この上なく有効な戦法だった。
廻る、廻る、独楽のように廻る。
有効なのはいいが―――エリオは苦笑する。
もう、魔力がもちそうに無い。
足元がふらつく。視界が段々と暗くなっていく。
「も〜、何やってんですか? トーレ姉様。そんなガキんちょ一匹、とっとと畳んじゃって下さいよ〜
あ、でも殺しちゃったら駄目ですからね。最低三十分くらいは生きてるくらいのダメージでお願いしますよ〜」
クアットロが待ち草臥れたとばかりに無責任な声援を送る。
それに応えるかのように、トーレはインパルスブレードでエリオを殴り飛ばした。
エリオが床に叩き付けられて痙攣する。
インパルスブレードで殴られた頬がばっくりと裂けて血が流れていた。
トーレにはクアットロのように敵をいたぶる趣味は無い。危険な相手は倒すのみ。
無力化したときに心臓が動いていれば止めは刺さない、という程度の考えである。
叩き付けられたショックでバインドが外れて出血が始まる。
トーレは痙攣して動けないエリオを見下ろし、期せずしてクアットロの望む通りになったようだと思った。
『―――リオくん、エリオくんっ!!』
エリオは耳元の呼び声に瞳を開いた。
通信ウインドウの向こう側に、キャロの泣き顔が見えた。
『エリオ、手が、手が―――』
キャロだけではなかった。涙目のフェイトの顔も見えた。
―――そういえば、通信、繋ぎっぱなしだったけ。
出血が多すぎてぼんやりとする頭でそんなことを考えていた。
不意に、キャロの通信ウインドウにシグナムが割り込んだ。
『こちら地上はほぼ制圧、キャロと合流してそちらに向かう。だから、それまでなんとか持ちこたえろ!』
エリオは、段々と脳裏がクリアになるのを感じた。
隣では、尚もキャロが白痴のように自分の名を繰り返し呼んでいる。
(守りたい女の子を泣かせちゃ、駄目だよな。
僕は―――騎士になるんだから)
エリオは、再びストラーダを手に立ち上がった。
- 182 名前:Little Lancer 三話 3/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/08(金) 00:08:07 ID:PxNPOYxa
- エリオは片手でストラーダの切っ先をトーレに突き付ける。
トーレも又、相手が戦意を失っていないことを感じとると、インパルスブレードの白刃を輝かせた。
エリオは槍で挑みかかろうとして床を踏みしめると、靴底にずるりと滑るものを感じた。
見下ろすと、床は血の海と化していた。
エリオは、もうそんなことに頓着しはしなかった。再びバインドで止血すると、眼前のトーレに対峙する。
「ふれ〜! ふれ〜! トーレ姉様!」
クアットロが手を叩いてはしゃいでいる。
それに一瞥すらせず、ただトーレだけを見つめる。
『エリオ、正面から立ち向かうな! 何とか避けながら時間を稼げ!』
そう呼びかけたのはシグナムだったが、彼女自身そんなことができるとは到底思っていなかった。
歴戦の記憶が、エリオの状況と敵の実力に対して警鐘を鳴らしていた。
そんな状況を誰よりも理解しているだろうエリオはキャロに対してにっこりと微笑んだ。
「泣かないで、キャロ。僕は、きっと勝つから。勝って―――君の所に帰るから」
『エリオ、くん?』
「シグナム副隊長―――いえ、シグナム師匠。見ていて下さい。
―――これは、貴方に捧げようと思っていた技です」
空も同然のリンカーコアを雑巾の絞るようにして魔力の残りを絞り出し、その最後の一滴までもがストラーダへと収束していく。
ストラーダが三度、ベルカ式カートリッジのリロードと廃莢を繰り返した。
『Unwetterform』
そのストラーダが、第三形態へと変化を遂げる。光の刃が現われる。
―――何をするつもりだ? トーレは訝しげにその変形を見つめる。
―――データの収集は完了している。エリオ・モンディアルの攻撃パターンは接近してからのスピアー状のアームドデバイスでの攻撃のみ。
―――多少の加速や変化のバリエーションがあろうが、敗れる可能性は皆無だ!
エリオは正面からトーレを見つめ、足を開いて大きく腰を落とした。
ストラーダの石突の先端近くを握り、上体を大きくバネのように反らす。
それは正しく、獲物に飛び掛らんとする猫型肉食獣のような威容だった。
(まさか―――あれはまさか―――)
シグナムは、己の背筋を駆け登る戦慄が、歓喜なのか畏怖なのか解らなかった。
唯一つ解ったこと。
「あれは私の―――」
瞬間。
「翔けよ、隼!―――シュツルムファルケン!!!」
エリオの手から離れた槍が、迅雷の速度でトーレを打ち倒していた。
トーレは、決して油断していたわけではなかった。だが、その一撃を知覚することすらできなかった。
シュツルムファルケン―――それは本来、シグナムの愛剣レヴァンティンの弓状形態シュランゲフォルムに放たれる一矢だ。
シグナムの持つ魔法の中でも到達速度、破壊力の2点では最大のものである。
剣士シグナムが奥の手としてして隠し持つ遠距離攻撃。
それを、槍手エリオは投槍として再現したのである。
「あの、馬鹿……」
シグナムの頬に、半ば呆れたような笑みが浮かぶ。
彼女は、自身を「師匠」と呼んだ少年が、どれ程深く自分を敬い、目指しているかを改めて実感したのである。
「はは……やった」
エリオはゆっくりと膝から崩れ落ちた。
もう、体内には一片の魔力すら残っていなかった。
「キャロ……僕、やったよ……」
杖となる槍まで手放し、自分の体重を支えるだけの力さえ無くしたエリオは、自ら作った血溜まりに沈む。
「ねえ、キャロ」
キャロの顔を見ようと上を向いた刹那、その顔を女性の端整な足が踏みにじった。
「トーレ姉様、貴方はやっぱりナンバーズ最高のバトルタイプですわ。
ちゃーんと私の注文通り、生かさず殺さずの状態に仕上げてくれたんですもの。
トーレ姉様、貴方の役目はこれでお仕舞い。そこでゆっくりお休みになって結構よ。
さあ、可愛い可愛いエリオちゃん。お姉ちゃんと、あ・そ・び・ま・しょ?」
- 183 名前:Little Lancer 三話 4/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/08(金) 00:09:43 ID:PxNPOYxa
- 機動六課の通信士、シャリオ・フィニーノの元に突如と複数の緊急連絡が舞い込んだのは、地上・空中のガジェット群の制圧もほぼ終わり、戦況が好転を始めた頃のことだった。
フェイト、キャロ、シグナムらからの同様の内容緊急連絡だった。
突如、エリオ・モンディアルへの通信が途絶えたと言うのである。
フェイトとキャロなどは半狂乱の状態で、エリオが危険な状態だから通信の回復を早く頼むと繰り返す。
シャーリーは事態の緊急性を認識し、原因の解明に着手した。
だが、この緊急事態は拍子抜けするほどあっさりと解決することになる。
当の、エリオ・モンディアルから通信が入ったのだ。
しかし、異常な点が一つ。
エリオ・モンディアルは、機動六課のフォワードメンバーら全員に対して通信を寄越したのだ。
『機動六課フォワードメンバーの皆さ〜ん! こ〜んにちは〜〜!
私、ナンバーズの4、クアットロで〜す! よ〜ろ〜し〜く〜ね〜!』
その時、なのはは聖王ヴィヴィオと戦いながらその通信を受け取った。
その時、フェイトはスカリエッティのアジトから駆け出しながらその通信を受け取った。
その時、はやては上空で大隊の指揮をしながらその通信を受け取った。
その時、ヴィータは動力炉の破壊に挑みながらその通信を受け取った。
その時、シグナムとキャロは聖王のゆりかごに向かいながらその通信を受け取った。
その時、スバルは保護した姉を抱き上げながらその通信を受け取った。
その時、ティアナは倒した三人のメンバーズを確保しながらその通信を受け取った。
優秀な通信士でありデバイスマスターであるシャリオは、直ぐに事態を解明した。
「エリオ君のデバイス―――ストラーダから、他メンバーのデバイスがハッキング受けてます!
強制的に通信を送り込まれてます!」
「他のメンバーを不安にさせてはいけないわ。何とか止められない?」
「無理です……すごい情報量が見たことも無い通信形式で……これ、通信自体がロストロギア級の技術力です!
無理矢理他のデバイスに割りこんで、リアルタイムの動画を送りつけるなんて……信じられません!」
シャーリーは悔しげに通信画面を睨みつける。
そこには、左腕を失い血の海に沈むエリオと、その顔面を踏みにじるクアットロの姿があった。
『んふふふ〜 やっぱり半ズボン姿の可愛い男の子って、そそるものがあるわよね〜
ね〜エリオ君、君も可愛い女の子がいたら胸がキュンとしたりしない?
あれあれ〜 まだそういうのはちょっと早いお年頃なのかな〜』
クアットロはカメラ目線で楽しげに手を振る。
『機動六課の皆さ〜ん! 見〜てま〜すか〜?
ショタの気があるお姉さんには人気ありそうなこの可愛い男の子!
実は、この子は人造魔導師製造計画「プロジェクトF」によって生み出されたコピー人間、ヒトモドキなのです!
ビックリですね〜! ショックですね〜! 裏切られちゃった気持ちですね〜!
ヒトモドキのくせに人間の真似して機動六課で働こうなんて、許せませんね〜!
これはちょっと、……お仕置きが必要ですね〜〜』
- 184 名前:Little Lancer 三話 4の2/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/08(金) 00:10:09 ID:PxNPOYxa
- クアットロは酷薄な笑みを浮かべて、エリオの顔面を踏みつける。何度も何度も踏みつける。
エリオのストラーダの通信対象となっている無数のウインドウから、悲鳴と怒声と罵声が響いた。
やめろ、何をする、エリオが何をした、こんなことをして唯で済むと思うか―――
クアットロはそれらの罵声にうっとりとした表情で耳を傾けていたが、満足したように頷いて再び通信画面に向けて手を振った。
『このエリオ君、資産家のお父さん達にお金をかけて作って貰ったものの、当局のおじさんにバレた途端にポイされちゃったんですよ〜
やっぱり、ヒトモドキじゃ可愛い子供の代わりにはならないんですね〜
そうしてタライ回しにされた先が機動六課。
同じヒトモドキのフェイト執務官が同病相哀れんでくれたのか、単に駒の一つで使い潰したかったのか知りませんがね〜』
そう笑い飛ばした瞬間、クアットロの足首をエリオが掴んだ。
必死の形相で、睨みつける。
『フェイトさんは……人間だ。人間として、僕達を大事にしてくれた……フェイトさんが……僕の本当のお母さんだ』
クアットロはエリオの言葉を聞くと、腹を抱えて大笑した。
『いや〜 感動ですね〜 素晴らしい親子愛ですね〜! 涙ちょちょ切れそうですね〜!
フェイトお母さん〜 見〜てますか〜〜??』
彼女はそう言って手を振る。
勿論フェイトは見ていた。噛み締めた唇から血を流しながら見ていた。
『フェイトお母さんは素敵なお母さんですね〜
だってフェイトお母さん―――貴方がトーレ姉様を逃がしてくれたお陰で、ほらこの通り!』
クアットロはエリオの腕の切断面を持ち上げて見せた。
『これでエリオ君も戦いの日々を終えることが出来ますね〜 さらば、汗臭い青春よ!
フェイトお母さんは理想のママですね〜
もうじき『母』となる身としては、見習わなくちゃいけませんね〜』
その言葉がフェイトに与えた衝撃を表す言葉は、無い。
フェイトは顔を抑えると、涙を流しながら地面へとへたり込んだ。
- 185 名前:Little Lancer 三話 5/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/08(金) 00:12:02 ID:PxNPOYxa
- クアットロは、通信のウインドウ越しに届く怨念の声を美酒でも浴びるような表情で聞いていたが、制御室に響いた警告のアラームに顔色を変えた。
「……動力炉がやられたようね」
クアットロはしばし何かを思案していたが、制御室の奥の金庫にしまわれていた小箱を取り出した。
ぱかりと開けて、中に入っていた10個程の宝石のようなものを通信画面に向けた。
『六課の皆さ〜ん、これ、な〜んだ?』
なのははエリオの様子に心を痛めながらも、ヴィヴィオの相手をするのに手一杯だったが、それを見た瞬間に顔色を失った。
「―――ジュエルシード」
それは、なのはが魔導の道を進むきっかけとなったロストロギア。
たった1個のジュエルシードの全威力の何万分の1の発動で小規模次元震を発生させることができるという、危険過ぎる代物。
時空管理局が封印したはずの12個が遺失し、そのうちの一つがV型ガジェットドローンの内部で発見されたと聞くが―――
『ぴんぽ〜ん、大正解ジュエルシードで〜す。
ゆりかごの動力炉は破壊されちゃったみたいだし、聖王様もいつまで持つか解らないし……
六課の皆さんが強いのびっくりです!
もうこのゆりかごも使い物になりそうにありませんね〜
それに、―――もう少し上空に上がると、待ち構えていたアルカンシェルがドーンと撃ってくるんですよね〜
んもぅ、皆さん人が悪い……
こんな話知ってます? 実は、このゆりかごの中ってジュエルシードの発動に最高の環境なんですよ?
役立たずになったゆりかご、中で次元振動を起こしてそのままミッドチルダにドーンと落っことしちゃいましょうか?』
六課から送られてきたその映像を、爪を噛みながら見つめる青年がいた。
クロノ・ハラオウン。
時空管理局本局執務官、及びXV級艦船「クラウディア」の艦長である。
「まずい……これはまずいな……」
彼もかつてジュエルシードに関する事件に関わった一員であり、その性質は熟知している。
まずい。
ジュエルシードをあの女が保有しているというのが、危険過ぎる。
ジュエルシードは「持ち主の願いをかなえる」という特性をもつロストロギアである。
それを、あんな破壊欲しか持たないような人間に大量に預けるなど、火薬庫に松明を投げ入れるようなものではないか―――
『はやて、聞こえるか』
『聞こえとる。ごっつうやばいで、あれは。ゆりかごが軌道上に達した方がまだマシだったかもしれへん』
『ああ、軌道上に達したゆりかごなら武力で制圧されるだけだが、
―――あれは、一切を灰燼に帰そうとしている。何としてでも止めなければならん』
『うちが今ゆりかご内部に侵入中や、なんとしてでも止めてみる!』
『頼むぞ、はやて……』
ヴィータを回収したはやては、ただひたすら制御室目指して飛ぶ。
今も隣では、エリオ踏みにじりながらジュエルシードの何たるかを語るクアットロの通信が入ってきている。
(……今、助けに行くで。エリオ)
そこに、クアットロからの通信が入った。
『もしもーし、機動六課の部隊長、八神はやて二等陸佐、見〜てますか〜?』
はやては心底忌々しげに応える。
『あぁ!? 何や一体?』
『ジュエルシード、欲しいですか?』
『はあ?』
『ジュエルシード、欲しいですよね〜?』
『アホか? 何言っとるんか?』
『あげますよ、ジュエルシード』
はやては、クアットロの正気を疑った。
いや、元よりクアットロに正気など認めていなかったのだが、この言動は一貫性が無さ過ぎる。
そうして、クアットロは告げた。
『ただし、このエリオ君とどちらか片方です』
はやては、悪魔の笑みを見た。
- 186 名前:Little Lancer 三話 6/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/08(金) 00:13:49 ID:PxNPOYxa
- 一直線に飛んでいた筈のはやてが、地に足を着いた。
「な、何をアホな……」
はやては唇を戦慄かせる。
はやては勿論エリオを助けたい。だが、一兵卒の命とジュエルシードによって危険に晒される全ミッドチルダ市民の命。
彼女は、機動六課指揮官として、どうあっても後者を選ばねばならないのだ。
命の価値を比べなければならない自分が、堪らなく憎かった。
答えられないはやてを見て、クアットロは爆笑した。
ぐったりと倒れ伏せているエリオに、耳に口づけるようにして告げる。
『ほ〜らエリオ君、やっぱり隊長はあなたのことを呼んでくれなかったでしょう?
やっぱり貴方は捨て駒、誰にも必要とされない役立たずのヒトモドキ……』
はやてはきっ、とクアットロを睨みつけ―――その異変に気付いた。
クアットロの後ろから立ち上がったエリオが―――その身に立ち上がるという機能さえ残して居ないはずのエリオが―――
飛び掛ってジュエルシードの収まった箱を奪い取ったのだ。
エリオはクアットロに踏みにじられ、痛んでしまった喉で声を張り上げた。
「皆さん、急いで下さい! ここは、僕が食い止めます」
にやけた笑いを浮かべていたクアットロの表情が、凶相へと変化する。
「この―――糞餓鬼がぁぁぁぁぁぁぁっ!」
はやては立ち上がった。
エリオは戦っている。皆も戦っている。ここで自分が立ち止まっている場合では無いのだ!
はやては再び飛び始める。
眼前に、ガジェットドローンの群れが押し寄せる。
近接戦闘力に欠けるはやてには危険な相手だ。だが。
「そこ退きやーーーっ!」
はやては己の最大火力を持って切り込んだ。
エリオとクアットロの戦いは、戦闘というより鬼ごっこの様相を見せていた。
エリオは片腕でジュエルシードの入った箱を抱きしめながら逃げ回り、自らの体を持って防御する。
クアットロは非戦闘タイプと言えども戦闘機人、衰弱しきったエリオごときでは勝負になる相手では無かった。
出血が止まらない。視界が暗い。足の感覚がない。
背後には夜叉のような形相で迫るクアットロが。
―――もう、保たない。
そう自覚したエリオは、最後の力を振り絞って急反転し、迫りくるクアットロに体当たりを仕掛けた。
クアットロとエリオは、縺れあうようにして倒れた。
なのはは、エリオの戦いから目が離せなかった。
エリオが一撃を受けるたびに胸が痛んだ。
ふと、聖王と化したヴィヴィオの瞳に理知的な光が戻ってきていることに気付く。
クアットロがエリオの攻撃で気を失った為、ヴィヴィオ本来の意識が浮上したのだ。
防衛プログラムは意識と別系統らしく攻撃動作は止まらないが、これで会話は可能となった。
「ヴィヴィオ、ママの言うこと聞いて! ママ、ヴィヴィオのこと、誰よりも大事にするから!」
「……本当?」
「本当だよ!」
「……嘘だよ。なのはママ、ずっとエリオお兄ちゃんのこと見てた。ヴィヴィオより、エリオお兄ちゃんの方が大事なんだ」
それは、子供ならでは純粋で残酷な一言だった。
- 187 名前:Little Lancer 三話 7/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/08(金) 00:15:32 ID:PxNPOYxa
- なのは、言葉を詰まらせて、一瞬泣きそうな表情をしたが―――
母性を湛えた笑みを浮かべて、こういった。
「なのはママは、ヴィヴィオが一番大事。エリオお兄ちゃんより、大事、だ、よ」
「なのはママっ!」
ヴィヴィオが満面の笑みを見せる。
なのはは、自分が秤にかけてはいけないものを秤かけたと解っていた。
だが、彼女がヴィヴィオを解放するにはこれ以外の方法はなかった。
なのはは、ヴィヴィオを解放するためスターライト・ブレイカーを発動させる。
ブレイカーの輝きで、頬を伝い落ちる悔し涙を悟られないように願いながら。
エリオによってクアットロが昏倒していたのは、ほんの数秒のことだった。
もう立つことも儘ならないエリオの体当たりで、数秒とは言え昏倒させることができたことこそ僥倖だろう。
エリオは起き上がろうとするクアットロから這うように逃げながら、ジュエルシードの入った箱を引き寄せた。
「やってくれるわね、糞餓鬼」
クアットロが頭を抑えて起き上がる。
エリオはもう逃げられないことを悟り、最後の賭けに出た。
ジュエルシードの箱を開け、中身を四方八方にぶちまけたのだ。
「あははははっ、そんなことをしても無駄よ。けなげで可愛い抵抗、お姉ちゃん感動しちゃう」
クアットロはエリオの抵抗ならぬ抵抗を笑い飛ばし、もう動けないエリオの頭を撫でた。
そして床に転がったジュエルシードを拾い集める。
『六課の皆さ〜ん、エリオさんから綺麗な宝石もらっちゃった〜
もしかして婚約指輪のつもりかしら……な〜んちゃって!!』
六課の皆に見せ付けるようにジュエルシードを振るって見せる。
『エリオく〜ん、もしかして、ジュエルシードは全部揃わないと効果を発揮しないと思ってた?
そうよね〜 そうじゃないと、最後の抵抗がジュエルシードを投げ捨てるだけなんて、余りに憐れだもんね〜
でも、ジュエルシードはたった一個でもこの通り―――』
制御室が鳴動を始める。
船内の空間に次元断層が発現し、聖王のゆりかごが内部から虚数空間に飲み込まれていく。
「これを……待っていた」
「んん?」
聞き返したクアットロに、エリオは残りの生命の燃焼全てを使って飛び掛った。
その背後には、底のない虚数空間が広がっている。
「ま、まさかお前は私を道ずれにして―――や、やめろっ」
クアットロの表情から歪んだ笑みが消え、恐怖の表情が張り付いた。
「やめてくれ〜〜〜〜〜、……なんちゃって」
叫んでいたクアットロの唇が歪む。その姿が蜃気楼のように解けて消える。
「これが私のIS、「幻惑の銀幕」シルバーカーテン。
最後にこんなドッキリを用意してくれるなんて、可愛いとこあるわね。
でも残念賞。―――それに、いい加減うざいわよ」
今度こそ本当に、全ての力を使い果たしたエリオは動けない。
胸に突き立ったナイフの痛みも感じない程に。
- 188 名前:Little Lancer 三話 8/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/08(金) 00:17:13 ID:PxNPOYxa
- 誰もが、通信越しにその光景を見た。
血溜まりに沈むエリオの姿を、その胸に突き立てられたナイフを。
「――――――――――――ッ!!!!」
数え切れない悲鳴と泣き声と罵詈雑言の嵐が響く。
クアットロは、それにうっとりと聞き入っていた。
(……僕は、)
エリオは、消えていく意識の中でもがいていた。
目に光はなく、全身の痛みも既に無い。
ただ、痺れるような倦怠感と孤独感がくっきりと濃い。
キャロにも―――フェイトにも出会う以前の、孤独だったことを思い出す。
自分は戦った。
でも、届かなかった。
もう、いいか。そんな思いが脳裏を過る。
寒い。
死にたくない。
成りたい夢があった。
見たい世界があった。
でも、もう。
意識を保つのにも限界がきた。
最後に思い浮かんだのは、六課の仲間達の事だった。
フェイトの、はやての、なのはの、シグナムの、ヴィータの、ヴァイスの。
シャマルの、シャーリーの、スバルの、ティアナの。
多くの人々の顔がぼんやりと浮かんでは消えた。
あの人達は、自分が死んだら、泣いてくれるだろうか。そんなことを思う。
「プロジェクトF」によって産み出され、親に捨てられて誰とも繋がりの無い子供として育った自分のことを。
最後に、キャロの顔が浮かんだ。
彼女は―――泣くだろう、そう思った。
彼女は優しいから、とてもとても優しいから、こんなヒトモドキの自分が死んでも泣いてくれるだろう。
そう、思った。
でも、彼女には泣いて欲しくないから、泣くより笑っていて欲しいから―――
自分が大丈夫なところを、みせ、な、くちゃ―――
「――――――っ」
胸にナイフを突き立てたエリオが、微かに動く。
通信回線越しの視線が、一斉にエリオに向かう。
エリオは笑顔を―――自分が笑顔だと思う表情を形づくった。
「みんな―――あり、が、と」
そんなありふれた、平凡な謝礼の言葉をエリオは言い切ることができなかった。
憎憎しげに。その首をクアットロが踏みつけたからだ。
クアットロは不機嫌だった。最後に命乞いでもするのかと思えば謝礼の一言。
エリオの顔に唾を吐きかけて、全部の回線を遮断した。
「何コイツ、何コイツ―――」
エリオの胸からナイフを引き抜く。それは揺らめいて一本の注射器へと変わった。
胸のナイフも、シルバーカーテンで作られた幻影だったのだ。
注射器の中身は、リンカーコアの働きを封印する特殊薬剤である。
だが、エリオはもう動かない。
出血量はとっくのむかしに致死量を超えており、胸にナイフを受けるまでもなく彼の命運は尽きていた。
クアットロは、満足げに―――満足げな表情を見せることで、周囲の心配を少しでも減らそうとしたエリオの顔を睨みつける。
彼女はエリオの首ねっこを掴んでぶらぶら揺する。
「何コイツ、何コイツ―――」
クアットロは、いざとなれば半死体のエリオを盾にでも使おうと考えていた。
だが、彼の表情は―――彼の行動は、クアットロにとって理解のそとであり、その顔を見るだけで不快感を催すのだ。
エリオの感情を理解すれば、自分は根底から否定される……クアットロは、それを本能的に気付いていたのかもしれない。
「こんなの、もう、いらない」
クアットロは、次元断層の裂け目にその体を投げ捨てた。
エリオの肉体は、虚数空間をどこまでも落下して行った。
- 189 名前:Little Lancer 三話 9/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/08(金) 00:18:58 ID:PxNPOYxa
- 制御室に、一匹の鬼が飛び込んだ。
双眸に殺意を滾らせ、全身からは炎の魔力が立ち上っている。
ユニゾンデバス「アギト」を新たなパートナーとして得た烈火の将、シグナムである。
その後ろから、小さな竜を肩に乗せた少女が姿を見せる。
少女はきょろきょろと辺りを見回しながら、
「……どこですか? エリオくんはどこですか?」
と問うた。
クアットロは面倒臭そうに次元断層を指して答える。
「そこに捨てちゃったわよ。ほら、死体を転がしとくなんて、趣味が悪いと思わない?」
キャロは、次元断層の裂け目に向かって駆け出した。
それをシグナムが抱きしめて押し止める。
「シグナム副隊長、放して、放して下さい、エリオくんが、あそこにはエリオくんが―――」
「キャロ……虚数空間に落ちたものは―――戻らないっ……
もう……戻らないん、だ」
シグナムの声も震えていた。キャロも静かに頷く。
「ごめんなさい、知ってるんです、そんなこと……
でも、エリオくんは、エリオくんはっ……」
静かなキャロの嗚咽が響く。
クアットロがにやけながら指をさした。
「そんな貴方にハッピーニュース。エリオ君なら其処にいますよ。
ただし一部分なんだけど〜〜〜〜」
ストラーダが、制御室の端に墓標のように突き立っていた。
驚くべきことに、エリオの左手は未だストラーダを握り締めたままだった。
「――――――ッッ!」
神速でレヴァンティンが疾り、クアットロの首の傍の壁を刺した。
「クアットロと言ったな。私は、貴様を、討ちにきた」
絶対絶命の状況でありながら、クアットロの冷酷な笑みに微塵の翳りもない。
「あれでしょ? お前の命で償ってもらう〜、とかそんなノリ? ちょっとセンス古いんじゃない」
その返答に対して、シグナムはくすくすと小さな笑みを浮かべた。
微笑は段々と大きくなり、終には腹を抱えて笑いはじめ、
―――突如声を荒らげて怒鳴りつけた。
「囀るな蛆虫! 貴様の命で償うだと? 笑わせるんじゃない!
貴様のような外道の腐った魂を、幾億、幾兆、幾京集めた所で、あの小さな騎士の命が贖えるものか!
私は貴様に贖罪も懺悔も求めん。
ただ、貴様の首を刎ねて終わりするためだけに来た―――」
全身から抑えきれない炎の魔力が立ち上っている。
その姿は、当に御伽噺の地獄の鬼そのものだった。
クアットロの首筋に当てられたレヴァンティンの刃先に魔力が灯る。
それを―――
「やめて下さい」
ストラーダを握り締めた、キャロが押し止めた。
- 190 名前:Little Lancer 三話 10/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/08(金) 00:22:25 ID:PxNPOYxa
- キャロは、ストラーダをエリオの左腕と共に抱きしめている。
俯いたその表情は伺い知ることができない。
「グルルルルル……」
キャロの肩で、フリードリヒがクアットロに殺意の視線を浴びせている。
キャロは、きつくストラーダを抱きしめる。
シグナムは、剣先を下げて問うた。
「お前、仇を、討ちたいのか?」
それをキャロは、面を上げて問い返した。
「仇を討てば、ストラーダでこの人を殺せば……エリオくん、帰ってくるんですか?」
シグナムは、返答に詰まった。
キャロの表情には、怨敵を目前にしてあるべき表情が何一つとして無かった。
憎悪も、怨恨も、憤怒も、何も。
ただ、透明な悲しみのみがあった。
「あははははっ、お馬鹿な子。仇を殺して死んだ人間が戻るなら、この世は仇討ち天国よ? あははははっ!」
シグナムはクアットロを睨みつけたが、キャロは俯いて続けた。
「そうですよね、そんな筈、ありませんもんね。……わたし、馬鹿ですよね」
シグナムは再びレヴァンティンを構えた。
「キャロ、目を瞑っていろ」
それを、キャロは再び押し止めた。
「駄目ですよ、それは。エリオくんがやろうとしてたことじゃありませんから。
せめて、エリオくんがやろうとしたこと―――」
キャロはそう言うと、バインドでクアットロを拘束した。
「大規模騒乱罪、及び殺人罪で貴方を逮捕します。貴方には弁護の機会が与えられ―――」
「キャロ、それでいいのか!? こいつはエリオを殺したんだぞ!」
詰め寄るシグナムに、キャロは肯定の意を示した。
「仇討ちなんてしても、きっと、エリオくん、喜びませんから……」
シグナムは、静かに顔を覆った。
もう会えない少年を、自らを師匠と呼んでくれた小さな騎士を思う。
(エリオ……喜べ、キャロは確かに、お前が守るに値する少女だった)
そして、シグナムは初めてエリオの死に涙した。
キャロはクアットロに向き直ると、短く告げた。
「わたしは仇討ちなんてしません。……きっと、エリオくんが喜ばないから。
でも、これだけは言っておきます。
―――あなたは、人間じゃ、ない」
それを聞いたクアットロはキョトンとしていたが、突如として笑い始めた。
心の底から可笑しくて堪らないというように、体をよじって笑い転げる。
「あはは、あはははははは。深刻そうな顔して何を言うかと思えば、私が、人間じゃない?
そんなの、あたり前じゃない。戦闘機人のナンバー4が人間だとでも思ってたの?
それにその論法なら、あなたのお友達のスバルちゃんも人間じゃないことになるけど?
あなた、最高のエンターテイナーよ。あははははっははっ!!!!」
キャロは少しだけ悲しそうに顔を曇らせると、静かに首を振った。
もう、この相手と話すことは何一つとして無い。
突如、バインドで括られたクアットロが飛び上がった。
その掌の中にはジュエルシードの輝きがある。
ジュエルシードに呼応して、次元断層が更に広がる。
「無駄な抵抗は止せ! 貴様がジュエルシード発動するより貴様の首を刎ねる方が速いぞ!」
クアットロの酷薄な笑みには、微塵の翳りもなかった。
「今回は色々楽しい思いもできたし、ゆりかごをミッドチルダに堕とすは止めにしてあげる。
―――無駄な抵抗? しないわよ。
だって、私は―――私たちは、逃げるんですもの。ねえ、ドクター」
そう言って、クアットロは次元断層から見える虚数空間に身を躍らせた。
「ねえ、知ってる? ジュエルシードを集めておきながら、アルカディアに行くなんて言って虚数空間に身を投げた馬鹿な魔法使いの話。
あんなあるかどうか解らないナンセンスな場所ではなく、虚数空間を通って実在の時空座標に行くのなら、
―――ジュエルシードは最高のコンパスになる。ねえ、ドクタ―――」
そんな言葉が遠ざかっていった。
シグナムとキャロは、呆然と消えていくクアットロを見つめていた。
- 191 名前: ◆vyCuygcBYc :2008/02/08(金) 00:23:49 ID:PxNPOYxa
- ギコナビ使ってるんですが上手く書き込み出来ませんでした……
クアットロが居ると会話が進んでいいですね。
原作じゃこんなキャラじゃなかった筈なのですが、ママさんデビューした途端はっちゃけちゃいました。
クアットロ「私の時代キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!」
エリオは主人公の癖にここで退場。
ヒント:「死体を確かめるか?」
「いや、この高さだ。助かるまい」
手ぬるいと言われるかもしれませんが、やっぱり最後はハッピーエンドがいいよね。
……と、言ってもまだまだ鬱展開は続きます。
次回も文字通り葬式のような雰囲気の話です。
- 192 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 00:27:01 ID:QYZr6rXI
- >>191
クアットロがまさに外道でたまたまがキュンキュンした
- 193 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 00:29:32 ID:Q2KN1JO0
- やべえ、このクアットロ最高だ(最悪とも言うが)。
Gjです、もうこういう展開を見てるとゾクゾクしてくるよ。
やっぱエリオがヒデエ目に合うところは良いものだ。
このまま生き返ったり、実は生きていたとかは無しで最後まで悲壮な空気で突っ走って欲しいと思う。
別にハッピーエンドでも良いけど。
- 194 名前:B・A:2008/02/08(金) 00:32:28 ID:qkgAsWdN
- >>191
GJです。ここまではっちゃけられるとむしろ清々しい。なんて悪女だ。
それはそうとラストの解説ってモロにネタばれじゃないですか?
- 195 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 00:35:52 ID:sTaxYUSJ
- >>191
うん、GJなんだ。すまない。
てかクアットロマジ外道だな。ありゃ許せないわ。
次回も楽しみにしてます。……でも鬱なんだよなぁ。読むの怖いなぁ。
それと、気になる誤字が二つ程あったので報告をば。
レヴァンティンの弓型:シュランゲフォルム→ボーゲンフォルム
プレシアが落ちた空間:アルカディア→アルハザード
ではないかと。
- 196 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 00:37:08 ID:sTaxYUSJ
- 落ちた空間じゃないな。目指してた場所だったよorz
ごめんなさい。
- 197 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 00:39:07 ID:sZz7EMJ8
- GJ!!です。
プレシアママンの超技術で復活するのか!?アルハザードの科学力は次元一ィィィ!!w
アリシアと仲良くなればSランクのお母さんが味方になるぜ。
そして、クアットロは吐き気を催す邪悪ですね。敵にはもってこい。
まさに殺しても心が痛まないw
- 198 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 00:41:41 ID:j6v1GqZP
- アルカディア・・・時空海賊でも出そうだぞオイ
まぁ、理想郷と言う変換をすれば間違ってはいなかろうがw
- 199 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 00:51:01 ID:xME277RT
- やべぇ、外道クア姉最高だ、GJ!!
だが、悲しいことに誤字などがいくつか見受けられます。
×:メンバーズ→○:ナンバーズ(2/10)
×:弓状形態シュランゲフォルム→○:ボーゲンフォルム(3/10)
×:デバイスマスター→○:デバイスマイスター(4/10)
×:アルカディア→○:アルハザード(10/10)
さて、エリオ君にも無事生存フラグが立ったようですが……それでもどう考えても生きてる気がしない状況ですよね、これ。
- 200 名前:駄犬弐世:2008/02/08(金) 00:59:36 ID:OIFvEWp+
- ひゃっほう初投稿だぜ!
と無理やりテンション上げてますが実は結構緊張気味です
それでは注意事項をば
・クロノ×カリムでなんとなく頭に浮かんだ不倫っぽい1シーンを書いただけです
・「いやクロノは不倫とかするキャラじゃないだろ」という正論はご勘弁ください
・短いです
・続きません
・山がありません、オチがありません、意味がありません
・絶対に過度の期待をしないでください
- 201 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 01:00:08 ID:jYEXg38O
- >>191
なんと言う展開、GJの一言に尽きる。続きが待ち遠しい。
きっと三式機龍みたいになって帰ってくると期待・・・・・。
一つ疑問に思ったんだが・・・・・トーレ姉は?
幾ら傷つけて原因になったとはいえ、撃墜されたわけだし、本人に嬲るつもりは
無かったのだから、そこまで悪い扱いはされてないと思うのだが・・・・・
- 202 名前:情事の後で:2008/02/08(金) 01:01:30 ID:OIFvEWp+
- 「・・・もう行ってしまうのですか?」
暗闇の中、制服を着直したクロノに言う。
隙のないその姿とは対照的に、
カリムは素肌にシーツを纏っただけの煽情的な姿だ。
「起きてたのか?」
「・・・ベッドに一人残されれば、甘い夢も覚めますわ」
「今ここにいるわけにはいかない身だからね。日が上る前に帰るよ」
「そっけないのですね・・・さきほどまではあんなに情熱的でしたのに」
「君も、さっきまではあんなに甘えていたのに、今は他人行儀な丁寧口調だ」
「ふふ、お互い様ですね・・・」
クスクスと笑いながら、カリムは念話を使用する。
『シャッハ。クロノさんをポーターまでお送りして』
『かしこまりました。』
明らかに逢瀬の後であることについては言及することもなく、
シャッハは慇懃に返答し念話を閉じた。
「次はいついらっしゃってくださるのかしら?」
「さぁ・・・?お互い忙しい身だ、さらに僕は遠い次元の海にいるからね」
「魔法を使えば一瞬の距離ですわ」
カリムはシーツを体に巻いただけの姿でクロノに歩み寄り、
その胸に指を這わせる。
「問題は、あなたの心・・・」
官能的に挑発するカリムの唇を、クロノが強引に塞いだ。
薄暗い部屋の中に水音が響く。
しばらくして唇を離したクロノを、熱を灯した瞳で見つめる。
「・・・本当にひどい人・・・昂ぶらせるだけ昂ぶらせて置いていくなんて・・・」
「愛想を尽かされてしまうかな?」
「・・・いえ・・・」
否定したのは、熱に浮かされた女の顔。
ゆっくりと身を寄せようとするカリムを手で制し、
彼女の首筋に顔を寄せた。
「ぁ・・・っあ・・・」
「ん・・・」
「ふ・・・っん・・・」
ほんの十数秒。彼女の身体に一つの痕を残すには十分な時間。
唇を離し、真っ白な―――少し朱がさしている―――首筋に付けた口付けの跡を確認すると、
どこか満足そうな様子でクロノは部屋を出ていった。
一人残されたカリムは、首筋に残されたあざに指を這わせる。
そこからじわじわと身体中に広がる甘い刺激。
麻薬じみたその感覚に、熱い吐息がもれた・・・
- 203 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 01:02:53 ID:Q2KN1JO0
- カリム来た! 早く投下してくれ!!
- 204 名前:駄犬弐世:2008/02/08(金) 01:04:00 ID:OIFvEWp+
- これで終わりです。
なんとなく頭に浮かんだのをかいただけなんで続きを書く予定はありません。
本当に短かったけれど読んでくれた方々(いるかな?)
ありがとうございました
- 205 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 01:11:15 ID:Q2KN1JO0
- カリムが妖艶で良い感じ! でも寸止めなんて酷いぜ、マジで続きか本番中が見てえ。
- 206 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 01:15:04 ID:ShGkxlP5
- カリムさんはこれくらいでちょうど良いかと
- 207 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 01:16:57 ID:QYZr6rXI
- 性職者乙
- 208 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 01:18:21 ID:QOTkanDY
- クロノ×カリムやべ!!
エロがないだけで妄想が止まらない、止められない!!
俺もクロカリ書こうかな・・・。
- 209 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 01:20:13 ID:SJ1K1+No
- >>191
クアットロ自重wwwww
いやああああああああああああああああああああああああエリオおおおおおおおおお健気だああああああああああああああああ
- 210 名前: ◆vyCuygcBYc :2008/02/08(金) 01:27:02 ID:PxNPOYxa
- >>195
>>199
誤字のご指摘ありがとうございます。
今回勢いに乗って書いたせいか、根本的な部分で間違えてるのが多く、頭を抱えてます。
アルカディアって一体どこだよ……OTL
外道クアは放置すると話を変な方向に引きずってくんで、自重して一度退場願いました。
僅かなネタバレ(というか誰から見ても自明だと思いますが)どこかでパッと散るキャラなので、
人気がでるようなら「Little Lancer」を書き終えた後に「SMランド☆クアットロ」でも書いてみようかと妄想してます。
人格疑われそうですが、ほんと、書きやすいんですよ。クア姉。
>>201
トーレ姉はJS事件終了後は、捜査協力・更正プログラムを拒否して軌道拘置所にいます。
その三年後は……まあ、追々。
- 211 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 01:34:40 ID:jYEXg38O
- >>210
なるほど、そうでしたか。回答の方ありがとうございました。
とりあえず、五体満足そうで何より。
- 212 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 01:37:47 ID:FzXqQ5qJ
- クアットロは じ ま っ た !!!
オレ、好きだぜクアットロ
- 213 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 02:18:10 ID:19ZBSNsh
- >>210
GJ。
エリオの男っぽさよりも、クアットロの腐れっぷりで……フフ、下品な話なんですがね……勃起、してしまいまして……
嘘。でもこういうクアットロの性格に、性的な興奮を覚えるのでもっとやって欲しいですねぇ。
こういう外道が落ちていくのを想像するのが好きなのか、こういう外道にいびられたいのか自分でも分からんSでMの意見です。
- 214 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 02:24:40 ID:M/Hz4Hhe
- あーあ、クア姉怒らせちゃいけない連中をマジギレさせちゃったよ
過去ここまで機動六課の面々の逆鱗を殴りつけた馬鹿がいただろうか、いやいない
とりあえず、今から黙祷は捧げておこう
いざその場面になったら「いいぞ、もっとやれ!」で黙祷どころじゃなくなるからなw
- 215 名前:駄犬弐世:2008/02/08(金) 02:38:59 ID:OIFvEWp+
- >>205〜208の方々、感想ありがとうございます。
続きを書く予定は無いとか言ってたくせに
現在おだてられるがままにホイホイ同系列作品を制作中ですww
執筆スピードにとてもムラがあるので投下は数日中かも知れませんし、
数ヵ月後かも知れませんww
次回もよろしかったら見てください
- 216 名前:タピオカ:2008/02/08(金) 03:52:17 ID:19ZBSNsh
- 失礼、投下させてもらいますよっと。
・猫娘と11娘の話
・の、つもりが、気づけば徹子の部屋。リニスの部屋、「今週のゲストはトーレさんです」。馬鹿か。
・場つなぎ。面白みがない
・エロくも何ともない
・捏造が酷い
・時は本編少し前
- 217 名前:タピオカ:2008/02/08(金) 03:53:05 ID:19ZBSNsh
- 「優しい夢を見れるよう」 承の話 後編
ドゥーエを除くナンバーズとの触れ合いは、特に難しいものではなかった。
お茶会なる名目で暇なナンバーズをディエチづてで集めては、お菓子にお茶にと歓迎会。
もはやリニスの匂いに染まりきったその部屋は、訪れるナンバーズたちの胸の片隅を穏やかな風でくすぐった。
心地がいい。
ほとんどのナンバーズが言葉ではなく実感として確信し、ついにはちょこちょこと遊びに来る程になる。たまにスカリエッティまで来てお菓子を褒めたりいちゃもんつけたりしてる。
チンクに連れられたノーヴェでさえ、刺々しい態度でリニスをつつけずに大人しい。似ているところがあるのだ、チンクと。
包み込むような静けさ。違いはリニスは暖かでチンクは涼やかだ。前者を春とすれば、後者は秋といった例えだろう。
ただ単純に忙しいウーノや、リニスと意図的に壁を作るクアットロ、セッテの来訪は1度前後。
そして、ウェンディも。
「と言うわけで、クアットロ、セッテ、ウェンディに嫌われてるようなのです」
「そうですか……セッテも。ただ、ウェンディは違うのです」
いつも怒りを刻んだように見えるトーレが、残念そうな表情。
今、リニスの部屋にて茶をすすっているのは彼女だけだ。
「違う、とは?」
「歌が聞こえる、と言っていました。それが、リニス殿を拒絶する理由のようです」
「うた……ですか?」
「はい」
心当たりは、ある。虚数空間。ずっと、歌っていたのだから。
「リニス殿?」
「あ、いえ……少し、心当たりがありますので」
「そうですか……ウェンディは嫌がるでしょうが、出来れば話をしてやって頂きたい。私ではそっとしておくしか出来ません」
「ええ、分りました……トーレは、厳しいけれども、妹思いですね」
「………ウェンディについては、私にも責任があります」
「セッテについても、可愛がっていると聞いているしそう思います」
「リニス殿といくらか時間を共にすれば、あれももう少し柔軟になれると期待していたのですが」
「壁を作られている気がします。他の2人もそうなのですが」
「自分が変わってしまうかもしれないと、薄うす感づいているのかもしれません。無理にでも、連れてきましょう」
「流石にそれは……」
「セッテのためです」
「稼働して、そう時間の経っているわけではないのでしょう? もう少し、ゆっくりと見守ってあげましょうよ」
「そのようなものなのでしょうか?」
「と、言うよりもトーレは話をする限り、少しせっかちですから」
なんとも猫らしい意地の悪めな笑みをかけられて、トーレは口をへの字に曲げる。
ちなみにクアットロ以下のナンバーズ3名は全員、結局リニスへの丁寧な口調と態度を改めなかった。
ギリギリ、トーレが「リニス殿」と呼ぶ程度の譲歩である。
クアットロは付き合いはしてくれる。しかし慣れ合うつもりがない、と心底でリニスに壁を作っているのが見て取れた。
ウェンディは完全な拒絶の壁。恐怖さえ混じっている。
そして、セッテはこの3人の中では最もマシだろう。得体のしれない者に対して、防衛するような壁だ。
その壁に、覗き穴が開いている。つまり、リニス自体に興味はある。
単純に、子供が人見知りしているのと変わらないようにトーレもリニスも感じていた。
- 218 名前:タピオカ:2008/02/08(金) 03:53:53 ID:19ZBSNsh
- 「訓練を見れば分かりますが、これぐらいの性格でないと妹たちが弛みます」
「セインを見ていると、分る気もしますが……」
「………リニス殿」
「なんでしょう?」
「妹たちの訓練を見てもらえないでしょうか?」
「私が?」
「はい」
「私なんて……」
「謙遜はよしてください。フェイト・テスタロッサお嬢様が世に出てきた時点での実力はエース級。あなたの教育の賜です」
「フェイト・T・ハラオウンです」
「……失礼しました」
固い声。今しがたまでにあったリニスの柔らかさは、フェイトの名一つで消え失せる。
また、強い衝動。会いたい。もう一度、会いたいと焦がれる想いの渦。
それを、歯を食いしばって耐える。耐えると言う表現は違う。正確には鎮める。
苦痛に近しいそんな感覚が暴れるのを必死で鎮めながら、リニスはなおも気丈な振る舞い。
「フェイトはプレシアの才能が正しく受け継いでいただけです」
「そんなプレシア・テスタロッサ女史の知識と魔力を分けられたリニス殿の教えであれば、間違いなく妹たちの進歩になります」
「買い被りです」
「そうは思えません」
少しだけ張り詰めた雰囲気。
そこに、チンクとノーヴェ、セインが現れた。
「リーニースー、今日のおやつ………………」
ぴょこん、と満面をたたえて羽毛のように軽やかなセインのスキップ。
入室3歩で、トーレを認め、固まった。
「ト、ト、トーレ姉、い、い、いたんだ」
「何故どもる?」
「い、い、いやいや、別にそんな……」
「トーレ姉も暇を見てここに来ているのだぞ? 知らなかったのか、セイン?」
「知らなかったぁ」
「いらっしゃい、今日はカップケーキを3種類です」
「あぁ、リニス。トーレと何か、あったのか?」
「……何故です?」
「空気が重い。この部屋は、いつも穏やかだ。時間の流れが緩んで感じられるほど」
「鋭い左目です、チンク……」
微苦笑。そのまま、数分前のトーレの誘いを3人に語り出す。
トーレは腕を組んで、そうする事が最善であると言わんばかりの態度。
「それは、いい考えだ」
「チンクまで!?」
「あたしも、あたしも! リニスの訓練なら、優しそうだしね!」
「私の訓練では不満か、セイン?」
「うぇ?! そ、そういうわけじゃないってば! トーレ姉も自分の訓練したいだろうしさ、ひ、人手が増えた方が絶対いいじゃん?」
慌てたセインの弁明に、クスリとトーレが小さく吹き出した。珍しすぎるその光景に、チンクさえも「おや」と目を見開く。
「戦闘訓練でなくても構わないんだ。例えば学問的な理論体系も、私は妹たちに教えている。それの手伝いでも構わない」
「む……」
- 219 名前:タピオカ:2008/02/08(金) 03:54:23 ID:19ZBSNsh
- チンクから熱心な勧誘が続けば、リニスもいくらか思案顔に傾いてきた。そもそも、生み出された目的が「教育」だ。
このままお茶会だけ開く「泣いた赤鬼」の赤鬼役だけでは自分らしくない。能動的な願望もある。
黙りこくってしまったリニスの横手、備えつけられた端末をトーレがいくらかいじればスカリエッティと繋がる。
ホログラムのウィンドが中空に現れれば、意外な通信だと顔に書いたスカリエッティが結像された。
『これは珍しいと思ったが、回線を開いたのはトーレか。どうかしたのかな?』
「リニス殿に、妹たちの師事をお願いしたいのですが」
「ト、トーレ、まだやるとは言っていません!」
『なかなか面白い考えじゃないか。いいんじゃないかな、特に空戦主体のナンバーズには有難い訓練相手だ』
「それでは?」
『あぁ、別に許可云々は要らないよ。アジトから出さなければ自由だ。そうそう、プレシア・テスタロッサの杖も、もう洗いざらい調べさせてもらったからね、それも返そう』
「………私を侮りすぎていませんか?」
『我々はこれでも紳士的な対応をしているんだ、君も淑女として振る舞う、と信じているのだがね。眼鏡が違ったかな?』
「………いいえ、暴れ狂うつもりは、ありません」
理知的な女性だ、と低い笑いと共に残してスカリエッティが通信を切った。
リニスが暴れたとして、トーレとチンク、ノーヴェといった攻撃陣営を突っ切るのは、無理だ。
ジュエルシード九つの魔力を全開で暴走でもすれば、このアジトを壊滅させられるかもしれないが理性も知性も粉々だろう。それは、リニスの望むところではない。
加えて言えば、もうすでにナンバーズたちと交友の関係を築いていしまっている。
例えそれがフェイトと似た出生から来た同情が発端で、フェイトと同じ扱いを、人間と同じ扱いをしようと考えたリニスの自己満足であろうとも。
もうナンバーズと触れあう時間が楽しいと思えているリニスには、無理だ。
だから、つまりそう言う経緯で、リニスはナンバーズの先生役になってしまった。
◇
やはり、あの歌で目が覚めた。
夢も同じ。
落ちた夢。
もう何日も繰り返し、落下の恐怖を味わい続けている。
それに、リニスの歌声がいつも重なる。
そんな毎朝。
空戦訓練での切れは激減し、ディードにも不覚を取るほどになっている。
それをいつも怒ってばかりのトーレは責めようとしない。腫れ物のように扱われているのが、もう姉妹の間で馴染んでしまった。
その気遣いが息苦しく、ここ最近はみんなが集まる訓練スペースと違う場所で一人、射撃を磨き続けている。
もう、飛ぶのが嫌だと感じていた。
ライディングボードの先端を構え、ランダムに出現するフローターマインをエリアルショットで射抜く。
本来ならば凶悪な爆撃と化すフローターマインだが、訓練中の今では撃ち抜かれても「ポンッ」と気の抜けた音を残して消える程度だ。
それを、黙々とこなし続けていく。
ライディングボードが勝手にフローターマインを出現させる設定なので、ウェンディ自身、どこに現れるかは分からない。
たまに、色違いのフローターマインなどを浮かばせてはそれは撃ってはいけないと言う、ゲーム感覚だ。
それでもそんな単純ながら精密さと正確さを要求される訓練に没頭した。
空にいるのが恐い。だから、射撃に没頭するしかない。
幸い、地を足で踏みしめている限りは、特に歌が表面意識に現れる事はないから。
- 220 名前:タピオカ:2008/02/08(金) 03:54:54 ID:19ZBSNsh
- 「あ」
一発、フローターマインをかすめただけで、射抜けなかった。
本来は敏感な設定のフローターマインだが、訓練中は中心付近を貫かなければ砕けない。
もう一度、ターゲティングし直してトリガーしようとした時、背後からウェンディを抜けて一発の誘導弾がフローターマインを叩いた。
疾風迅雷。
振り返ると、リニスがいた。
「ポイントのリズム、とても速いのですね」
「リニス様……」
やはり、怯えてすくんでしまった。そんなウェンディの恐怖を感じながら、それでもリニスは穏やかに歩み寄る。
「私が、恐いですか?」
「………」
「歌、ですよね?」
「!?」
「私の歌のせいで、落ちたのですね」
「ち、違います!」
つい、大きな声になる。後ずさっていた足が、むしろリニスに一歩進んでいた。
「違うんです……落ちたの、あたしのせいですから……」
「それでも、私が恐い?」
「………はい」
絞り出した。うつむくしかない。リニスの顔を直視できずに、喉に無理をした返事。
近く、近くにリニスの気配。顔を上げられない、上げたくない。
そっと、片手を取られた。リニスの両手に包み込まれる。ビクリと怯えて震えたウェンディだが、大丈夫だった。
ライディングボードを片手で支えていなければ、両手を両手で包まれたのかな、と考えてしまう。
(あ……あったかいな)
「私が、恐いですか?」
「………いいえ」
「よかった……声が、駄目なのでしょうか?」
「いえ、駄目なのは、あたしです」
触れ合って、良く分かる。
リニスは、恐くない。
恐いのは、落ちた事実。
頭では理解できていた事。当然の事。リニス自身は恐くない。それでも、それを認識するためにリニスに近付く事さえも、怯えて出来なかっただけ。
- 221 名前:タピオカ:2008/02/08(金) 03:55:30 ID:19ZBSNsh
- 「あたしが、ちょっと甘えてただけっス……だけです」
「フフ、構いません、丁寧な言葉でなくて」
「……」
「ナンバーズのみんなと、仲良くなりたいんです。簡単に言うと、友達づきあいがしたいんです」
「どうしてですか?」
「ほら、そんな風にかしこまらないで下さい」
「えっと、どうしてっスか?」
「……生まれに左右されず、人格を対等に扱いたいと言う自己満足、でしょうか…」
「?」
「あはは、変にひねって言ってしまいましたね。これは……そう、その方が、きっと楽しいからですよ」
ふと、ウェンディは自分顔を上げていると気づく。
目の前に、リニスの穏やかな表情。やっぱり、恐くない。リニスは、恐くない。
こんなに、ナンバーズでも、ウェンディと言う数字でもなく、ウェンディをウェンディとして見てくれるのに、何を恐れようか。
姉妹以上に、ウェンディの奥の奥にまで手を伸ばそうとしているリニスに、不快感は、ない。
「分かったっス、リニス……って、呼び捨てがいいんスかね?」
「はい。私も、声ではなくて違う方法で意思伝達をしましょうか?」
ざっと、魔力光を文字にしてみせる。大した魔力運用の精密さだ、ウェンディは首を横に振った。
「大丈夫っス。リニスは、恐くない。恐いのは、空。それに」
「それに?」
「魔力を使ってるリニス、つらそうっス」
「!!」
的確だった。
そう、AMFのかかっているここでの魔力の使用は、つらい。
魔力を使用しにくいと言う話ではなく、現状、魔力をジュエルシードを通して使用するリニスは魔法のたびにフェイトに会いたいという衝動が生まれるのだ。強い魔力を扱うに比例して、衝動は強くなる。そして、AMF下では本来必よりも余剰に魔力が必要だ。
波のように生まれるその衝動を、リニスはウェンディと会話を始めて2度、抑えている。
表面に出していないつもりが、見抜かれたようだ。
「とは言え、使わないってわけにもいかないんですがね」
「へ……なんで?」
「そりゃ、ナンバーズの先生を頼まれたからですよ。ミッドチルダの誘導弾、直々にお教えしましょう」
プレシアの杖でパシッ、と自分の掌を叩くリニス。
ウェンディとの距離が縮まった日。
- 222 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 03:58:06 ID:Ly4vLmlt
- 39-362氏の分岐中篇も次回あたりで終了か……。
気の早い話だが次回作はユーノ×ギンガとか、シャッハ&カリムとかはやて&ヴォルケン(犬含む)の
愛憎劇を手がけてほしいものだ。
まあ、主人公がユーノならなんでもいいんだけど。司書長超愛してる。
- 223 名前:タピオカ:2008/02/08(金) 04:00:22 ID:19ZBSNsh
- 終わりです。
必要ではあるだろうけど、だから何? と言う話であるのは自覚しています。
チクショウ、もっと、こう、落ちたウェンディがリニスとリハビリしまくるのを思い浮かべてたのに気づけばあんまりウェンディがプッシュされてない。
なんか風子いいなぁ、風子いいなぁ、と思ってたらいつの間にか、春原いいなぁ、春原いいなぁ、になってた感じ。
もっと言うとトレスいいなぁ、トレスいいなぁ、と思ってたらいつの間にか、ペテロいいなぁ、ペテロいいなぁ、になってた感じ。
再見!
- 224 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 04:10:12 ID:L+TXQ8WK
- >>222
少しドタマ冷やせや
- 225 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 04:10:47 ID:gZtZaG6h
- 都築がすっげぇありそうなんだが…
- 226 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 05:20:13 ID:a1iV4VoS
- >>222
淫獣スレでやれや。
それと「燃え上がる炎の魔法使い」にもっと真剣に感想つけておくんだな。
- 227 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 05:29:42 ID:GATEQjtO
- >>222
だれもお前のチラ裏なんて聞いてないから。
- 228 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 05:30:30 ID:QLMuZQWX
- >>222
>ユーノ×ギンガとか、シャッハ〜愛憎劇を手がけてほしいものだ。
>まあ、主人公がユーノならなんでもいいんだけど。司書長超愛してる。
いや個人の好みには何にも云わないが正直ここまでの妄想はキャラスレでやってほしい
微妙に要求も度越してるし
- 229 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 05:43:03 ID:tFxFfWji
- 正直住人としても>>222みたいなのはどこぞのうみにでも捨てたい。
- 230 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 05:48:39 ID:gZtZaG6h
- プレシアin虚数空間「いらないわそんなモノ!」
- 231 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 05:57:14 ID:L+TXQ8WK
- >>223
GJ!
それにしてもウェンディかわいいよウェンディ
- 232 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 06:07:23 ID:hynJVUz/
- 皆、もちけつ!あんまり苛めるな!
俺のマイシスター・ウェンディが可愛いのは解かるが、もちつけ!
- 233 名前:ゲリラ兵 ◆QCnUms2uBE :2008/02/08(金) 06:11:10 ID:5ELinrRL
- ん?いんじゅーがどうかしたのかしら……
お久しぶりで、おはようございます〜。もう50スレですか、凄いです……そして読むのが大変
妙なものができたので再開ではないですが、投下していきますね!
レスついでに(どっちがメインだよ)
(レスとか)
>20 姐さんktkr!やっぱり貴方のお話はエロくてどこかハードボイルドで大好きだーw
>48 つ、ついにフカフカ増産計画が!うまくいくのかしら?
>90 らへん このスレに生えてる草は私のせいかもしれません、本当にごめんなさいごめんなさい
>66 うぐ……読みたいけど怖いという……このジレンマ、でもやっぱりエリオが素敵すぐるのです
>89 こちらもエリオが素敵……そしてルーの葛藤が良すぎて、もう、もう、悶え殺す気ですk
>115 ktktktktkt!やっぱこのぐさぐさくる台詞がたまらなくいい……でも甘々も期待してしまう、駄目な自分
>165 エリオどうする気だ……もしかして石破ラブラブ(ターン
>191 どうしてこの方は悪い役が似合うのですかねえ……はまりすぎてて言葉がないです
>223 いやいや、派手でなくてもいいじゃないですか。リニスの穏やかさがとても素敵ですよ
そして何が言いたいのかというと結局
>26 に大爆笑してしまったとかいう罠wwww
ああもう草自重しろ俺⊂´⌒つ。Д。)つ
(注意書き)
妙に可愛いシグナムさんがでてきます。しかもかなり威厳に欠ける嫌いがあります。ご注意下さい
相変らずの脚本型なのでこれもご注意下さい。容姿描写は頑張ってみましたが足りていないかもしれません
時間軸はJS事件終了後、六課解散前辺り。話数で言うと26.5話
英語と訳はノリが全てです。超適当
そして勿論非エロでs
つわけで、臨時朝刊〜(単発ネタ)
タイトルは……あれです、ごめんなさい。思いつかなかったの・゚・(ノ∀`)・゚・。
- 234 名前:或る烈火の将の変身(1/2):2008/02/08(金) 06:11:58 ID:5ELinrRL
- 機動六課の昼下がり、心地良い日差しが差し込んでいるとある廊下の一角。
シグナムとヴィータの部屋の外で何故か壁に背をつけ待っているヴァイスが居たが、実は部屋の中に居るシグナムを待っていた。
待っているとは言っても、特に恋人関係でも友人以上の関係でも何か含みのある関係でもないのだが、事の発端は数分前のヴァイスの一言に遡る。
その台詞とは――
「シグナム姐さんって悪女は無理そうっすよね」
というものであったが、その台詞に対しての彼女の返答は
「失敬な。私とてかような属性ぐらい持ち合わせている。なんなら見せてやろうか」
なんていう彼女にしてはかなり珍しい半ば逆切れ気味の迎撃があって、今に至っているのであった。
(いやまあ、正直想像つかねーんだよな……)
そんな風にヴァイスがやっぱ無理だろ、と脳内で反芻していると、部屋の中から問題の人が出てきた。
大胆なスリットの入った真っ赤なチャイナドレスには、いくつもの大きな牡丹の華が開いている。
覗く足には太ももまでしかない黒いストッキング。
手にはこれまた挑発的な真っ赤な扇子を持っていた。
そして不敵に微笑んで見せたのだが――如何せん相変らずのポニーテールが衣裳の妖艶さに反発し、清楚さが激しく浮いていた。
「いや……やっぱ無理っすよ。いや、本当に綺麗っすけどね」
「……そ、そうか?」
そういって恥らいつつ、大きな胸元に扇子を被せる仕草は、果たして悪女などという表現からすれば程遠いものであった。
どちらかといえば、彼氏に無理矢理頼み込まれて、仕方なく要望の服を着せられている絶賛ラブラブ中の体育会系の少女と言った方が正しい。
「こういうのも悪くないと思うのだがな?」
そう言いつつ、ヴァイスの肩に腕を乗せて不敵に笑うのだが、やっぱり普通に綺麗なだけであくどさが全く感じられなかった。
良くも悪くも朴訥で実直な人柄が衣裳に反発しすぎていてそこで思わずヴァイスは吹き出す。
「いやいやいや、似合わないっすよ。いや、綺麗なんすけどね」
彼の表情にむー、と納得いかない表情で肩から腕を離して唸る。
「……仕方ない、ちょっと志向を変えるか。しばし待て」
「はいはい……」
そして彼女が部屋の中に消える。
ちなみに部屋の中に衣裳があるわけではなく、ヴァイスが受けた説明によれば、あくまで魔力で作っているに過ぎないのだとか。
時間がかかっているのは、そのイメージを正確に頭に思い浮かべる必要があるから、という訳なのである。
ぼーっと待機中で暇とはいえ仕事中にこんなことやってていいのか?と今更疑問に思いつつ待っていると、再び中から問題の人が出てきた。
今度の衣裳はといえば――
ぎりぎり見えない真っ赤なミニスカート、太ももだけちらりと見せた薄い桜色のオーバーにーソックスに、
真っ白いふかふかの長袖に何故か白いマフラー、挙句髪は完全に下ろされていて綺麗に肩の上に散っていた。
大きな胸がさらに強調されてひどく手触りがよさそうである。
例に漏れずかなり照れながら、これならどうだー、と言わんばかりに主張するシグナム。
「こ、これならどうだ少しはすれてみえ――」
主張の最後まで待たずして、笑いながら涙目で壁を叩きまくるヴァイス。
「いやいやいやいや、超可愛いっす、ほんとに、清純可憐すぎっすよ」
「む、むー?」
そうなのか?と首元に手を持ち上げて悩む仕草が、これまた可愛らしい。
どっからどうみても雪の中彼氏を待っている健気な女の子風でしかなかった。
そして、そんなタイミングで2人の脇の角から、書類を持った金髪の執務官の人――フェイトが突然現れた。
2人の様子と、シグナムの服装に、目を丸くした隙に先手を打とうとしたシグナムであったが、
「て、テスタロッサ、後ろをむ」
にこ、と笑顔で遮られた。
「嫌です」
- 235 名前:或る烈火の将の変身(2/2):2008/02/08(金) 06:12:21 ID:5ELinrRL
- とことこと歩いてきてじーっと観察されて、一言。
「シグナム、可愛いですよ?」
「はうあうぐくぁwせdrftgyふじこpl;@:」
ここぞのばかりに普段の反撃を試みる執務官。
「シグナムってこんな格好もできたんですね……」
「できるんすね……」
「う、うううううるさい!容姿などいくらでも変えれるし、服だって単なる上辺に過ぎんだろう!」
「そんなことはないですよ」
「そうっすよ。多分容姿とか髪色とかどれだけ変えても、中身がシグナム姐さんである以上、悪女にはなれない気がするんすが」
「うんうん」
「む、むー!おのれ!みておれ!」
そうして再び部屋の中に消える。
それとなくヴァイスに事の顛末を一応確認するフェイト。
「悪女を目指してるの?」
「ういっす。そんな属性ぐらい持ってる、とか仰って譲られないものでして……」
「なるほど……」
呆れて苦笑いをしていると、再び中から問題の人が出てきた。
今度の衣裳はといえば――
解かれた桜色の頭に付いた黄色いふさふさとした三角の獣の耳、豹柄のボディコン服、手足には肉球つきの同じ柄が付いていた。
大きく開いた胸元と、しっかりと細い腰を締めた黒いベルトは妖艶になりうるあろうはずのパーツであるのだが、
如何せん白い肌と良くも悪くも真っ直ぐな瞳が激しく衣裳と噛み合っていなかった。
「こ、これなら少しは獣っぽく――!」
笑いをかみ殺しながら、即座に後ろを向いたヴァイスは兎も角、フェイトは全力全開で壁に拳を叩きつけていた。
懐から金色の端の切れた三角形の長年連れ添っているデバイスを取り出して問いかける。
「ね、壁、叩いてもいい?」
「will not, sir(自重してください)」
む……これでも駄目なのか?と肉球の付いた手の平をじっと観察していたシグナムであったが、
よりにもよってそのタイミングで、今度はライトニングの残り2人の子供達――エリオとキャロが制服姿で脇の角から
その3人の隣にぱっ、と飛び出してきてしまった。
あ、フェイトさん――とエリオが何かを話しかけようとしたその瞬間に、その幼い双眸×2にばっちりと理解不能な副隊長の謎な姿が認識されてしまった。
ぱか、と口を開けて目が点になって固まる子供2人。
即座に部屋の中にシグナムが隠れたが、明らかに手遅れであった。
再びバルディッシュにフェイトが問いかける。
「ね、壁、叩いてもいい?」
「should not, sir(いい加減にしてください)」
後日、シグナムにあの時のことは忘れるように、と言われたエリオとキャロは、むしろ率先してそれを受け入れた、とか。
ただし、そのとき小さな召喚師の方に一言だけぼそっ、と呟かれて絶叫したらしい、こんな風に。
「でも……とても可愛かったですよ」
「みぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
- 236 名前:ゲリラ兵 ◆QCnUms2uBE :2008/02/08(金) 06:12:52 ID:5ELinrRL
- ほいではまたそのうちノシ
- 237 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 06:20:16 ID:hynJVUz/
- うぉぉぉおお!?今から寝ようと思ったのに(マテ なんてことすんだこのやろー
GJ!!だこのやろー ありがとぉぉぉおおおお!!!
おやすみなさいませm(_ _)m
- 238 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 06:23:37 ID:AH4MHKiF
- この姉さんさかわいすぐる!!!
もうこんな時間なのににやけまくってしょうがない
GJでした!!!!!!!!!!!!!!!
- 239 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 08:03:44 ID:iXRm6MDm
- >>236
朝刊GJです!!姐さん自重してださい!!(無理だろうなー)
ポニーテールをおろしてスリットの入ったロングドレスなんかどうですかね?
- 240 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 10:08:52 ID:8yudCL8b
- >>236
GJ!
このままコスプレまで派生しそうな勢いですね
ちょっと質問なんですけど、このスレって他の漫画のネタを使ったパロディは市民権無いんですかね?
例えば
「私の戦闘力は五十三万なの」
みたいな
- 241 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 10:09:34 ID:OZM6hM9S
- まさかシグナムにこんな破壊力があったとは…
- 242 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 10:10:08 ID:8yudCL8b
- 追記
あくまでこれは極端な例です
- 243 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 10:31:36 ID:6A1f+f4e
- 別にいいんじゃないかな?
以前、ソーードマスターのネタがあったし
それより中将の人はまだかな
- 244 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 11:40:50 ID:xMwJRUt/
- 他の漫画は無しでしょ、折角別スレと住み分けしてるんだからクロススレ行きだと思う
エロを入れるなら対象スレはこっちだと思うけど
- 245 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 11:50:34 ID:Khq59BDr
- ミザル「これだァ! わたしはドリルに漢をみたァ!」
- 246 名前:ザ・シガー:2008/02/08(金) 11:50:58 ID:Q2KN1JO0
- 遂に……遂に待ち望んだ時が来た! 俺は断言する、リリカルなのはシリーズ影の、否! 真のヒロインであるシグナム姐さんの時代が遂に到来したと!!!
という訳で、でき次第にこの前投下したヴァイス×シグナムのエロSS、「烈火の将は〜」の続きを投下します。
少なくとも15:00までに。
- 247 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 11:59:43 ID:RKW6CQgl
- やったー!みんなお待ちかねのスーパーシグナムタイムだー!!
- 248 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 12:18:00 ID:VZxjlHuB
- お待ちしております
- 249 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 12:31:53 ID:UA/rOauC
- >>165
とうとうエリオ登場ですか!
これまた次回が楽しみだ!
エリオがどう頑張るのか・・・再び訪れた漢の見せどころ。がんばれ!
>>191
うわマジでクワ姉に怒りを覚えた。外道すぎる・・・エリオ・・・・・
しかし本当に初めて書いたとは思えないような作品だなあ。
最後もバッドエンドで終わりそうな雰囲気があるけど、やっぱり最後くらいは・・・
次回も楽しみにしてる!
- 250 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 12:39:59 ID:VyuBoyA3
- >>223
GJ! しょんぼりウェンディ可愛いなぁ。なでなでしたい。
しかしリニス的には自分の技術がフェイト達を苦しめうる可能性についてはどう思うんだろ。
- 251 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 14:07:52 ID:n4l7a3S0
- >>191
遅レスですまんが、ほんと面白かった! すごいと思う。
ただひとつだけ、話の終わり方としてソレはもっとも好きなんだけど、
教えてほしくなかった・・・。もったいない。見てしまった事を忘れるようにがんばるw
- 252 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 14:19:21 ID:MC2bG8me
- 正直、職人さんが多すぎて感想をレスするタイミングがつかめん。
閑散とした他のスレからすれば嬉しい悩みなんだけど。
- 253 名前:ザ・シガー:2008/02/08(金) 14:38:56 ID:Q2KN1JO0
- よし出来た! それじゃあ今から投下するぜ!!
ヴァイス×シグナムで、この前投下した「烈火の将は狙撃手がお好き」の第二話。
今回もエロ、もうエロばっか。
- 254 名前:ザ・シガー:2008/02/08(金) 14:40:20 ID:Q2KN1JO0
- 烈火の将は狙撃手がお好き2
ヴァイス・グランセニック陸曹。
時空管理局機動六課所属のヘリパイロットである。
その日の早朝、彼は自宅の寝室で正座していた。別に精神集中とか鍛錬といった類のものではない。
彼は現在、昨晩正式に恋仲となったベルカの騎士からお叱りを受けている最中であった。
その日シグナムは朝起きるや否や、早速ヴァイスを叩き起こして昨日できなかったお説教を始めた。
シグナムはベッド脇に正座させたヴァイスを毅然と叱りつける。
「そもそもだな、好いた女を抱きながら一晩たったら怖気づいて逃げるなど男子のすることかっ!」
「まったくもって、シグナム姐さんの仰る通りでございます」
「そのうえ次の日から私を避けて話もしてくれないとはどういう了見だっ!」
「完全に俺の責任です、どうか許してください」
正座したヴァイス(パンツ一丁)の前で腕を組み、仁王立ちで説教をするシグナムだがその格好はあまり格好のついたものではない。
何故なら昨日彼女の着ていた局の制服は、着衣のまま敢行した行為のせいでいろいろと濡れた為に現在乾燥機の中なのである(下着含む)。
それ故にシグナムの今の着衣はヴァイスの借り物であった、それもYシャツ1枚である。
つまりは世間一般で言うところの“裸Yシャツ”という状態であった。
「反省しているか?」
「…はい」
「ならば良し、許してやる。ん? どうした?」
「いえ…別に…」
ヴァイスは困っていた。
ただでさえ朝という時間帯、しかも目の前には機動六課最強の誉れの高いプロポーションを持つシグナムが裸Yシャツという最高に刺激的な格好で立っているのだ。
つまり簡単に言えば“立っちまった”訳である(具体的な部分は言うまでもないが)。
男のシンボルがのっぴきならない状態のヴァイスは何とか前屈みになって隠そうとするが、そんな事など知る由もないシグナムは心配そうにしゃがみ込んで彼の顔を覗いてくる。
「具合でも悪いのか?」
「そんな事はないっすよ…」
「本当か? 顔が真っ赤だぞ?」
前屈みでモジモジしながら顔を真っ赤にするヴァイス妙な様子に、シグナムは心底心配そうな表情でヴァイスに顔を寄せていく。
しゃがんだ為にYシャツの襟元から胸の谷間やら、裾の下から瑞々しい太股やらが見えてさらにヴァイスを刺激する。
「ちょっ! 姐さん顔近…ってうわっ!」
迫るシグナムから逃げるようにのけ反らせたヴァイスだったが、勢い余って盛大にすっころげてしまう。
そうして、下着を押し上げて立派なテントを張っている股間が露になった。
「……」
「……」
ヴァイスとシグナム、ただただ沈黙。
しゃがみ込んだシグナムはまじまじとヴァイスの股間、その立派に怒張したテントを食い入るように見つめる。
- 255 名前:ザ・シガー:2008/02/08(金) 14:41:56 ID:Q2KN1JO0
- 対するヴァイスはあまりにこっ恥ずかしい姿を晒した事により完全に思考をフリーズさせてしまっていた。
「ヴァイス…これは…」
「姐さん……そ、そんな見ないでください…」
ヴァイスは必死に取り繕う言葉を探してオタオタとしていると、シグナムは唐突に彼の肉棒を下着から取り出した。
「…苦しそうだな」
「ちょっ! シグナム姐さん!?」
シグナムはそう言うと、猛々しい硬く隆起したヴァイスの男根を優しく握って緩やかに扱き出した。
この手の事に免疫が少ないのか、シグナムの手付きはおっかなびっくりでぎこちなく、顔は恥じらいに朱に染まっている。
つたない手淫ではあるがシグナムのしなやかな手で行われる行為は相応の快感をヴァイスに与えていく。
「くうっ! シ、シグナム姐さん……ちょっと待…」
「すまん、やはり下手だったか?」
「いや…そうじゃなくて……いくらなんでも、こんな朝っぱらから…」
「しかし、こんなに硬くしていたら苦しいだろ?」
「というか……朝はいつもこんなんですから」
「そ、そうなのか!?」
「えっと……姐さん、もしかして朝立ちとか知らないんですか?」
「ああ……その…男とこういう仲になったのは初めてで………何も知らなくてすまん…」
シグナムは真っ赤に染まった顔を恥ずかしそうに俯ける。
その仕草の絶大なる破壊力に、ヴァイスの中の理性という名の精神制御機構は一瞬で崩壊した。
「姐さああぁぁぁん!!!」
「ひゃっ! ちょっ、ヴァイス?」
完全にぶち切れたヴァイスは本能の赴くままにシグナムをベッドの上に押し倒した。
昨日散々に抱いたとか、今が早朝だとか、今日は仕事があるとか、そんな事はもはや欠片もヴァイスの脳裏には存在しない。
「ちょっ! ヴァイス…んむぅぅ」
シグナムが制しようと言葉を紡ぎかけるが、彼女のその唇はヴァイスの口で塞がれる。
瞬く間にシグナムの口内に侵入したヴァイスの舌は、それ自体がまるで別個の生物のように彼女の口の中を余すところ無く蹂躙する。
「んぅぅっ……ちゅぷっ…んんっ」
有無を言わさず舌が絡まり、唾液を吸われまた逆に飲まされ、何度も位置を変えて互いの唇が触れ合う。
重なり合った二人の唇の合間から淫蕩な水音と切ない嬌声が漏れて部屋に響く。
最初は突然の事に驚いていたシグナムだが、じきに彼女の思考は口付けの甘い快感に溶かされていった。
ヴァイスはシグナムに激しく口付けながら彼女の着ているYシャツのボタンを少し外して(全部脱がすのは惜しいので止める)その豊満な乳房を外に晒す。
そして丹念に両の手を使って満遍なく、シグナムのたわわな果実を揉み始める。
もちろん敏感な乳首を刺激するのも忘れない、摘んで転がして弾いて抓って引っ張って、様々なアプローチで愛撫する。
「…んむぅぅう…ひゃんっ!…」
キスをされながら乳房を存分に弄ばれたシグナムは既に何度も小さな絶頂を味わい、甘い吐息を漏らすと共に身体を小刻みに震わせる。
十二分に下準備は済んだ、ヴァイスはそう確信してシグナムの股ぐらに手を伸ばす。
- 256 名前:ザ・シガー:2008/02/08(金) 14:43:27 ID:Q2KN1JO0
- そこは洪水のように果汁が溢れ出しており、下着を着けていない為に軽く触っただけでヴァイスの手にたっぷりと淫蜜の湿り気を付けた。
「はぁ…はぁ……ヴァイス…もう…焦らさないでくれ…」
シグナムは前戯の段階でたっぷりと弄ばれて息も絶え絶えとなりながらも、必死に言葉を紡ぎ出してさらなる情交を求めた。
決定的な肉棒の進入が無ければ、熱い炎が燃え盛り昂ぶった肉欲を満たす事はできないのだ。
ヴァイスは言葉を返す事無く、シグナムの要求に応えるように即座に自信の肉根を彼女の蜜壷に挿し入れる。
しとどに濡れた蜜壷に男根が勢い良く進入し、溢れる果汁が飛沫となって飛び散った。
「ふあぁぁああっ!!」
シグナムの秘所は素晴らしい絡みつきでヴァイスの肉根を締め付ける。
ヴァイスはそのあまりの快感に眩暈すら覚えながら、昨晩の激しい交わりが嘘のように腰を激しく動かして快楽を求めた。
「シグナム姐さん……もう出しますよ!」
「はぅんっ!……はやく…あんっ!……だして…くれぇ…んぅっ…わたしも…もう…」
絶頂の近づいたヴァイスは腰の動きを速め、力を込めて肉棒を秘所の最奥へと叩きつける。
シグナムもまたヴァイスの肉根が与える無常の悦楽に瞬く間に絶頂へと近づいていき、そのしなやかな肢体をヴァイスの身体に回して彼を離すまいと力を込めて抱き寄せた。
そして二人の絶頂の波は同時に最高潮へと昇り詰める。
シグナムの秘所が快楽の頂に達して凄まじい締め付けで進入している肉の棒を刺激し、それに応えてヴァイスの肉棒も精を放つ。
吐き出された精液の白く濁った粘り気が膣の奥底に発射され、挿入された肉根の合間から泡を立てて零れる程に蜜壷を満たす。
「はぁぁ……すごぉぉ……あつくて……とけひゃう」
シグナムは上手くろれつの回らない舌で言葉を漏らしながら、体内に満ちた精の熱に身も心も完全に蕩かせた。
こうして恋人同士となって初めて迎えた二人の朝は、激しい情交を貪り合う事となった。
「ふうっ……ぎりぎり間に合うか…」
シグナムは重く息を吐きながら小さく呟いた。
今日は早朝からヴァイスと激しい契りに雪崩れ込んでしまった為に遅刻寸前の憂き目となったのだ。
なんとか時間ぎりぎりで隊舎に辿り着いたシグナムはネクタイを正しながらデスクに向かう。
そんな彼女の背後にお馴染みの怪しい白衣の影が近づいた。
「シ〜グ〜ナ〜ム〜!!」
そう叫びながら白衣を着たシャマルがシグナムの背中に飛び掛り、彼女を後ろから羽交い絞めにした。
「うおっ! 突然、なんだシャマル!?」
「”なんだ”じゃないわよっ! 昨日は“ちょっと遅くなる”って言ったっきり帰って来なかったじゃない! さあ無断外泊の理由を洗いざらい吐きなさい!! 今すぐに!!!」
「いや…それはだな……なんと言うか…その」
「男? ねえ男なの? やっぱ男なのね!?」
「そ、それは…」
- 257 名前:ザ・シガー:2008/02/08(金) 14:44:39 ID:Q2KN1JO0
- 「早く吐きなさい! こうなったら……リィンちゃん、やっておしまいなさい!!」
「はいです!」
シャマルの言葉にリィンフォースが現れ、その小さな手にスプーンを持ってシグナムの顔に少しずつ近づいていく。
「さあ、このシャマル特製“モロロ粥”を味わいたくなければキリキリ吐くです!」
「うわああっ! そ、それだけは止めろ!!!」
「うう……自分でやっておきながら泣きたくなるのは何故かしら…」
結局シグナムは“モロロ粥”スプーン3杯でヴァイスと恋仲になった事を吐いた、ついでに粥も少し吐いた。
いかに誇り高く勇猛果敢にして、強く気高いベルカの騎士とて耐えられない苦痛はあるのだ。
「へぇ〜、まさかヴァイス君とねぇ〜♪」
「うう……シャマル、これは他言無用だぞ!」
「はいはい、分かったわよ〜。それじゃあ私とリィンちゃんの秘密ってことで」
「“大人の秘密”って感じでステキです〜♪」
シャマルは嫌〜な黒い笑みを零しながらリィンと共に去って行く。
シグナムの胸中にかつてない不安が宿るが、もはや彼女にはどうしようもない。
これからしばらくの間は風の癒し手と祝福の風によって存分にからかわれる事になるだろう。
「それじゃあシグナム〜、これからも何かあったら教えてね〜♪」
「教えるですよ〜♪」
シャマルとリィンが去り際に楽しそうな言葉を残していった、後には沈痛な空気を纏ったシグナムだけが残された。
続く。
- 258 名前:ザ・シガー:2008/02/08(金) 14:51:54 ID:Q2KN1JO0
- 投下終了です。
ゲリラ兵氏のシグナム姐さんがあまりに可愛かったので駆け足で書いてしまった。
本番をもっと長く書きたかったけど、スピード優先で投下。
そして次回はデートとかでもっと甘く書く予定。
あと、○たわれるものネタ出してすいません。
- 259 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 14:55:31 ID:VZxjlHuB
- 乙彼様です
Yシャツ一枚のシグナム最高です
男性経験ないのに自分から求めてしまう姐さん素敵です
大人の秘密、守られるか心配ですw
モロロ粥、どこかで聞いてと思ったらわれものでしたか
まだ続くようなので、期待しております
- 260 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 15:15:16 ID:RKW6CQgl
- >>258
GJです!なんも知らないシグナムさんめっさかわいい(・ω・)
あとふつつかなこと聞きたいんですがティアとかアルトってでたりする予定ってあります?
- 261 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 15:17:54 ID:H+8c4M5J
- やっぱりシャマルとエルルゥは似た雰囲気だしてるよな・・・単に中の人が一緒って理由だけじゃなくてね
なんにせよシグナムGJ
- 262 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 15:51:27 ID:w7FjoxV1
- >>258
モwwwロwwwロwww粥www
ダメだwこれに全て持っていかれたwww
GJ!!
- 263 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 16:09:00 ID:VyuBoyA3
- >>ついでに粥も少し吐いた
こいつ……確実に成長してる……! GJ!
- 264 名前: ◆6BmcNJgox2 :2008/02/08(金) 16:59:34 ID:1O5Y0CAJ
- シグナムネタニ連発GJ
ですが…空気読まずになのは×ユーノネタ投下させて頂きますorz
・なのは×ユーノになると、なのは好きな人(フェイトとか)やなのはのファンな局員、
なのはの親(士郎)に「貴様みたいな男になのはは渡さん!」とユーノが攻め立てられる
パターンの話と良くあるし、自分も過去に何度かやった事あるんだけど
逆になのはがユーノ好きな人達から攻め立てられるパターンは無いなと思ってやってみた。
・なのは好きな人には激怒必至な位なのはが罵倒さてたりして不憫すぎるスマソセン
・その罵倒の中にはなのはに対するセクハラ的な所も結構ありますスマソセン
・ヴィヴィオも犠牲になります(ヴィヴィオ好きの人スマソセン)
・ギャグと鬱は紙一重(?)
・基本非エロだけど ウホッなホモエロっぽい要素もすこ〜しあり
・オリキャラ登場 かなりオリジナル的にでっちあげした要素もあります
・フェイト馬鹿じゃないから安心してちょ
- 265 名前:みんな大好きユーノくん♥ 1 ◆6BmcNJgox2 :2008/02/08(金) 17:00:55 ID:1O5Y0CAJ
- なのはとユーノが本格的に付き合うようになって一時経った頃…。
まだ籍は入れていないと言うのにまるで何年も連れ添った夫婦の様に
二人は仲が良かった。とは言え流石に何時までも籍を入れないのはどうかな?
と言う事になり……
「もういい加減…結婚しようか?」
「うん。」
ユーノの言葉に、なのははそれを待っていたかの様に笑顔で優しく頷いた。
こうしてなのはとユーノの結婚が決まった。だが…その翌日からある異変が起こったのだ。
「な…何これ…。」
なのはが朝起きて…自室の郵便受けを開けた時にそれを見て愕然とした。何故ならば…
『未開世界出身の田舎女はさっさと自分の故郷に帰れ!』
『お前が存在するだけで世界が汚れる! さっさと死ね!』
『何時か殺してやる! そうされたく無かったら自殺しろ!』
『くせぇ! てめぇからは変な匂いがしやがるぜぇ!』
そう言った内容の手紙が幾つも入れられていたからだ。勿論差出人も分からないし、
筆跡も分からない様にパソコンで打った活字の文字が使われている。
「一体誰がこんな悪質な嫌がらせを?」
確かにミッドで暮らす様になったばかりの頃は、10代で教導隊に入るなのはの実力に嫉妬したと
思われる他の局員から嫌がらせを受けた事も少しはあった。無論ここ最近はそう言った事は
すっかりなりを潜めていたのだが…何故今更になってこの様な嫌がらせが再開したのか
なのはにはさっぱり分からなかった。
「でもまあこういうのはただの実力の無い人の僻みでしょ? こういう事に必死になる
余裕があるなら自分の実力を磨く方に必死になれば良いのに…。」
なのははそう独り言を言いながら嫌がらせ手紙をゴミ箱の中に放り込んだ。
いくら嫉妬したからと言ってこの様な事をして良いはずがない。そしてこう言うのは無視が一番。
かつて似たような嫌がらせを受けた時も、無視していれば自然と沈静化した物だから。が…
なのはとユーノの結婚は決まったが、式の予定日まで数日ある。
よってその日もまた普通になのはは出勤していたのであるが…
更衣室で局員用の靴に履き替えようとした時だ…
「痛!」
なのはは足の裏に何かが刺さった様な痛みを感じた。慌てて靴の中を見てみると…
何と五寸釘が入れられているでは無いか!
「え!? 五寸釘!? 画鋲じゃなくて!?」
- 266 名前:みんな大好きユーノくん♥ 2 ◆6BmcNJgox2 :2008/02/08(金) 17:01:52 ID:1O5Y0CAJ
- これもいわゆる嫌がらせパターンの一つ。靴の中に画鋲を入れる行為。
97管理外世界の少女漫画でも良く使われたいじめパターン(?)だったのだが…
これには画鋲では無く五寸釘が入れられている。つか何故五寸釘?
「画鋲じゃなくて五寸釘を入れるなんて…一体誰が…。」
とりあえず五寸釘もゴミ箱に捨て、なのははその靴を履いた。
なのはは教導隊と言う若手魔導師達を指導する立場にあるが、今日は事務仕事中心。
よって普通の制服でオフィスの方へと向かっていたが…そこで女性局員が数人慌て顔で
なのはの方へとやって来た。
「高町教導官大変です!」
「どうしたのかな? そんなに慌てて…。」
「良いからこっちに来てください! 高町教導官のオフィスが大変な事に…。」
「え?」
慌て顔の女性局員達に引っ張られる形でなのははオフィスの方へと向かったが…
そのオフィスの中を見て愕然とした。
「な…何これ…。」
オフィスの中は酷い有様だった。部屋中が荒らされている事はもはや当たり前。
それどころか床や壁には…
『高町死ね!』
『高町なのは死亡確認! by王○人』
『てめぇ見たいな糞女は切り刻んで畑の肥料にしてやるぞ!』
『高町なのはは地獄逝き確定 by閻魔大王』
と言った文字がペンキでデカデカと書かれているのだ。
「ひ…酷い…一体誰がこんな事を…?」
「なのはさんの机を見て下さい…もっと酷い事に…。」
「え?」
女性局員に言われて自分の机を見た時…なのははさらに愕然とした。
部屋中の荒らされ様とは打って変わって机は妙に綺麗ではあったが…
その代わり机の上には花瓶に挿した菊の花が置かれていたり…
線香が焚かれていたり…あろう事かなのは自身の遺影までもが置かれていたのだ。
「な…何これ…。」
もはや愕然とするしか無い。そうする以外に方法は思い浮かばなかったのだ。
- 267 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 17:01:59 ID:zBTnk0B5
- >>236
やべぇ、めっちゃワロタwwwwwwww
姐さん可愛いなぁw
- 268 名前:みんな大好きユーノくん♥ 3 ◆6BmcNJgox2 :2008/02/08(金) 17:02:57 ID:1O5Y0CAJ
- 悪口手紙程度の嫌がらせならば無視するつもりであったが…
流石にこれは無視する事が出来ない。故に単なる嫌がらせでは無く
立派な犯罪として一連の行為の調査が決まった。
「じゃあなのは…オフィスが荒らされていただけじゃなく…靴に五寸釘が
入れられていたり、自室の郵便受けに悪口を書いた手紙が入れられてたって事?」
「うん…そうだよフェイトちゃん。」
流石のフェイトも今日ばかりは真剣だった。何時ものなのはと百合ったりする顔では無い。
事件の解決へと臨む執務官の顔となってなのはから状況の説明を受けていたのだ。
「で…でも一体誰がこんな酷い事を…。」
流石のなのはも泣きそうになっていた。多少の嫌がらせならば我慢は出来るが…
ここまでやられるともう仕事にならない。だが、そこでフェイトはなのはの肩を掴んだ。
「気を落とさないでなのは…。確かにこれを見れば分かる通り…誰かが
なのはの事を悪く思ってるかもしれない。けど忘れないで…。
皆がなのはの事を悪く思ってるんじゃないんだよ。なのはの味方をしている人も
沢山いる。だから…元気出してなのは!」
「ありがとう…フェイトちゃん…。」
なのはは涙目になりながら…フェイトに抱き付いた。そしてフェイトもなのはの身体を優しく抱く。
何時もならば百合った感じがするが…今はその様な印象は感じられ無い。
純粋に…フェイトは純粋になのはの事を想い…心配していたのだ。
それから数日が経過したが…なのはに対する悪質は嫌がらせは無くなる事は無く…
むしろ日増しに悪化していく程だった。故にまだユーノと籍は入れていない。
今のまま式を挙げれば、そこにも一連の悪質な嫌がらせが及んで滅茶苦茶にされるかもしれない。
そう考えられたからだ。だからこそこの事件が解決するまで式は延期とした。
そしてフェイト達率いる調査チームもまた全力で犯人の特定を急いでいたが…
全く手がかり一つ掴む事が出来ないでいた。
「ま…また届いてる…。」
その日も、仕事を終えて帰宅した後にもまたなのはの自室の郵便受けに悪口を書いた手紙が
沢山届いており…呆れるしか無かった。
『まだ帰らないのか田舎女? いい加減帰れ!』
『てめぇの家焼くぞ!』
『この○×△□女!』
手紙の内容もどんどん悪質かつ乱暴になっていく。しかしここで腹を立ててはいけない。
腹を立てればますます相手を喜ばせる結果になる。だからこそ平常心を保つ様勤めた。
- 269 名前:みんな大好きユーノくん♥ 4 ◆6BmcNJgox2 :2008/02/08(金) 17:03:47 ID:1O5Y0CAJ
- 犯人の特定はフェイト達が頑張って進めているのだ。今なのはが出来る事は平常心で
犯人の特定を待つのみである。が……………そこで電話が鳴った。
なのはは受話器を取り、一度深呼吸して心を落ち着かせてから応対した。
「はい高町ですが……ええ!? ヴィヴィオが!?」
なのはは愕然とした。何とヴィヴィオが下校途中に暴漢に襲われて大怪我をし、病院に運ばれたと言うのだ。
なのはは大急ぎで病院へと走った。
「ヴィヴィオ!」
なのはが涙目でヴィヴィオが入院しているとされる病室の扉を開いた時…
そこには全身包帯だらけで腕や脚にギブスの付けられたヴィヴィオの姿があった。
「な…なのはママァ…。」
「ヴィ…ヴィヴィオ……。」
なのはの存在に気付いたヴィヴィオが苦しそうな顔でなのはを呼び…なのはの目に涙が浮かんだ。
「い…一体誰が…一体誰がこんな事を!」
「そ…それですが…。」
ヴィヴィオの隣に付いていた看護士がなのはに一枚の手紙を渡した。
「大怪我をしたこの子が発見された時…この子の隣にこの様な手紙が置かれていたそうです。」
「え?」
なのはは手紙の内容を読んで愕然とした。何故ならば………
『てめぇがさっさと自分の田舎に帰らねぇから全く関係無いこのガキも大怪我する事になったんだ!
分かったか!? このガキが大怪我したのは…高町なのは…てめぇのせいなんだよ!!』
「な…………。」
なのはは理解した。ヴィヴィオを突如として襲い、こんな酷い大怪我をさせた相手とは…
なのはへ一連の嫌がらせを続ける者達なのだと………
「許せない…私だけじゃなく…ヴィヴィオにまでこんな目にあわせるなんて…。」
なのはは怒り…手紙を握り潰した。許せなかった。ただの嫌がらせのみならず…
ヴィヴィオにここまでの大怪我を負わせた犯人が…。そしてなのはは涙目で
ヴィヴィオの包帯だらけの手に優しく触れた。
「ごめんね…ヴィヴィオ…私のせいで…私のせいで…。」
「ママの…せいじゃ…ないよ…。」
ヴィヴィオは口を開くのも苦しそうな…そんな表情を見せながらも小声でそう言った。
「悪いのは…不注意な…ヴィヴィオの…方…。ママは…悪くないよ…。」
「ヴィヴィオ…。」
なのはは心苦しかった…こんなにまで大怪我を負わされてもなおなのはを庇うヴィヴィオの
優しい心が…。そしてこんなにまで優しい心を持つヴィヴィオを非情にも傷付けた
者達を…心の底から憎んだ…
その後、ヴィヴィオの通う学校の先生や友達が見舞いに来てくれたりした後で
なのはは帰宅する事になった。暗い夜道を一人歩いていたなのはだが…
手にはレイジングハートが握られていた。
- 270 名前:みんな大好きユーノくん♥ 5 ◆6BmcNJgox2 :2008/02/08(金) 17:04:38 ID:1O5Y0CAJ
- 「ただの嫌がらせだけじゃなくて…ついにはヴィヴィオにまで危害が及んだ…
だとすると……近い内に私自身を直接狙って来る…。」
なのははそう予感していた。そしてその予感は現実の物となる。
何故ならば突如としてなのはの周囲に結界が張られたのだ。
「え!? 結界!?」
結界に気付いたなのはは嫌な予感を感じ、バリアジャケットを装着した。
「この様子だと…もしかして…。」
なのはは身構え…周囲を探った。このタイミングで襲って来る者がいるとするならば…
それは間違い無く一連の嫌がらせや…ヴィヴィオ自身を傷付けた者達…。
そしてなのはの周囲の彼方此方から次々と大勢の男達が現れるのである。
筋肉隆々で如何にも武装局員と言う感じのゴツイ男達の大軍団。
それがあっという間になのはを取り囲んでいた。
「は…はは…まさかここまで組織的な物とは思わなかった…。」
流石にここまで大勢だとは予想は出来なかった。これにはなのはの額から一筋の汗が流れ出る。
だが…その後で男達の中の一人がこう言うのである。
「おい…これ以上ユーノく…いやスクライア司書長に近付くのはやめな…。」
「!」
なのははそこで悟った。彼等がこうもなのはに陰湿な嫌がらせをした理由が…
「なるほど…そこが理由ね…。でも…私がユーノ君と一緒にいて何か困る事でも?」
なのはは内心焦りながらもそれを表面的に見せない様に平静を装って言い返すが…
「おうよ困るんだよ!」
「かまう事ぁねぇ! もうやっちまえ!」
誰が言うでも無く男達は手に持っていたデバイスを構えてなのはへ
襲い掛かろうとするが…そこで一人の男が現れた。
「まあまあ落ち着きなさい君達。」
「あ…す…すいません…。」
一人のほっそりした感じのナイスミドルのおじ様の一言で一回りも二回りも大きなゴッツイ男達が
大人しくなった。このおじ様は一体何者なのか………
「お初にお目にかかります。私の名前はヤーノ=スクライア。ユーノ=スクライアの父です。」
「え!? ユーノ君のお父さん!?」
ヤーノと名乗ったナイスミドルなおじ様になのはは驚いた。確かにこのおじ様…
以前ユーノから教えてもらったスクライア一族の民族衣装に身を包んでいる。
と言うかユーノ以外のスクライア一族なんて初めて見たよ。しかもユーノの父なんて…
- 271 名前:みんな大好きユーノくん♥ 6 ◆6BmcNJgox2 :2008/02/08(金) 17:05:38 ID:1O5Y0CAJ
- 「…と言っても血の繋がりはありませんけどね………でもそんなの関係ねぇ!!」
先程まで礼儀正しい口調で話していたと言うのに突然某芸人風になって
なのははこれまた驚いた。だがヤーノはまたも元の口調に戻って続ける。
「彼にユーノと言う名を与えたのも…父親として育てて来たのも…この私…。
だからこそ血の繋がりが無かろうと私にとってユーノは立派な息子なのです。」
ヴィヴィオに対するなのはと同じだ。このおじ様は心の底からユーノの事を
大切に思っている。少なくともなのははそう感じた。だが…………
「だからこそ……君の様な何処の馬の骨とも分からぬ女に大切な息子はやれませんね。」
「!?」
なのはは絶句した。しかもその時のヤーノのなのはを見る目は…
まるでムシケラ…いや生ゴミ以下の物を見下ろす様な冷ややかな物だったのだ。
それだけでは無い。他のゴツイ男達も口々にこう言うのだ。
「ユーノく…いやスクライア司書長は俺達の天使なんだ! てめぇみてぇな
汚ぇ女なんかに渡せるかよ! ふざけるな!」
「き…汚い!?」
なのははまたも絶句する。彼女としてはゴツイ男達の方がよっぽど汗臭くて
汚いのだが…彼等にとっては逆なのだろう。何故ならば…………
「ユーノきゅんはな…俺達のアイドル…いや天使なんだ!」
「ユーノきゅんと全裸でちゅっちゅしたいよぉ〜!」
「よ〜しパパユーノきゅんの可愛らしいお尻を掘っちゃうぞ〜!」
「…………!!」
なのはは悟った。この男達は………ホモなのだと…………。
しかも彼等の誰もが頬を赤くさせ…おのおのの自分とユーノの絡みを
妄想しているのを思わせる様相をしていた。確かにユーノは女性と見間違えんばかりの美形だ。
こう言うホモっぽい男達に好かれても…まあ無理は無いと言えばその通り。
だからこそユーノと結婚する事になったなのはが邪魔に思ったのだろう。
「分かったか!? ユーノくんは俺達が守っていくんだ! ユーノくんを
幸せにするのは俺達なんだ! てめぇみたいな未開世界の田舎女じゃねぇ!」
「てめぇなんぞあの金髪執務官と一生レズってれば良いんだよ!
て言うか何で俺達のユーノくんを誘惑するんじゃねぇよ! この泥棒女が!」
「ビッチ! 痴女! てめぇみてぇな二束三文の価値しかねぇ娼婦がユーノくんを物に出来ると思うな!」
男達は口々になのはを罵倒した。もしこの場にフェイトや士郎がいたならば…
絶対大激怒していたに違いない。と言うかなのは本人だって怒っている。
- 272 名前:みんな大好きユーノくん♥ 7 ◆6BmcNJgox2 :2008/02/08(金) 17:06:52 ID:1O5Y0CAJ
- 「それに考えても見ろ! ユーノくんは名門スクライア一族出身で、さらに
無限書庫の司書長を勤め、その上考古学者としても大活躍中の超天才児だぞ!
それに比べてどうだ! 貴様は魔法さえ認知されてねぇ未開世界出身で
たまたまユーノくんと出会っただけのどこの馬の骨ともわからねぇ
賤しい田舎女! 吊り合うワケねぇだろうが!」
なのはに対する罵倒はどんどんと積み重ねられて行く。しかもその中にはどさくさに紛れて…
「ハァハァ…ユーノきゅん…ユーノきゅん可愛いよぉ…ユーノきゅぅん…可愛い…可愛いよぉ…
ユーノきゅんとちゅっちゅしたいよぉ…あぁ…ユーノきゅんの可愛らしいプリプリしたお尻…
ユーノきゅんのお尻も…掘ってあげたい…掘ってあげたいよぉぉぉぉぉぉ…………。」
「ユーノきゅんの可愛らしくて…大きくて…形の良いオチンチン…モミモミしてあげたいよぉ…
ペロペロしてあげたいよぉ…シコシコ扱いてあげたいよぉ〜…。そうしたらきっと
ユーノきゅん…とっても可愛らしい顔で喘いだりするんだろうな〜…ハァハァ…。」
とそんな感じの事を呻きながら股間のモノをズボンの上から両手で揉み解している男の
姿もある始末。おまけにその男もやはりいかつくゴツイ男であるからして…そんなのが
頬を赤くして喘いでいるのはシュールとしか言い様が無い。
「とにかくだ! 俺達はお前をユーノくんの前から…いやミッドチルダから排除する!
そして俺達は作るんだ! ユーノくんと俺達の愛の帝国を作るんじゃー!!」
「ユーノくんばんざーい!! ばんざーい!! ばんざーい!!」
挙句の果てには万歳まで始める男達が現れる始末。そしてヤーノは一歩前に出て言う。
「分かりましたか? よって貴女にはこれから消えてもらいます。な〜に安心して下さい。
翌日の新聞にはこう掲載されるだけですから…『管理局名物教導官、交通事故による非業の死』とね…。」
「!!」
なのはは思わず身構えた。ヤーノの言う通り…彼等はなのはを殺す気だ。本気で殺す気で
来ているのだ。それにユーノに対してあそこまで心酔する程のホモな男達だ。
女性を傷付けると言う行為等躊躇する事は無いだろう。いや…むしろ女は嫌いだと
言わんばかりの男達ばかりだ。現にまだ小さなヴィヴィオにまであの様な酷い怪我を
負わせている。その上特になのはをゴミ以下の様に見ているのだ。
これはなのはも本気で何とかしなければ本当に殺されてしまうかもしれない。
「ようしもうやっちまえ! 教導官だか何だか知らねぇが相手は一人じゃねぇか!
俺達全員で一斉にかかればどうとでもならぁ!!」
「てめぇタダじゃ殺さねぇぜ! ジワジワとなぶり殺しにしてやる!!」
「生まれて来た事を公開する位に酷い死に方をさせてやるぜ!!」
男達はデバイスを構えて一斉になのはへ向けて飛びかかったのだが…
次の瞬間なのはは突如男達の前から姿を消し、男達同士で鉢合わせになった。
- 273 名前:みんな大好きユーノくん♥ 8 ◆6BmcNJgox2 :2008/02/08(金) 17:08:29 ID:1O5Y0CAJ
- 「何!?」
「あの女が消えた!」
「あ! あのビルの上だ!」
男達の一人が近くにあったビルの屋上を指差すと、そこには確かになのはの姿があった。
「貴方達が……私を力ずくで排除するつもりなのなら…私も…私も力ずくで
切り抜けさせてもらうよ…。だから…ホモの人達は少し頭冷やそうか…。」
なのはは冷ややかな目でレイジングハートを男達の密集したポイントへと向け…
その直後に横薙ぎの形で放たれたディバインバスターが男達を薙ぎ払っていた。
「うわぁぁぁ!!」
「ぎゃぁぁぁ!!」
「あひぃぃぃ!!」
男達の絶叫が周囲に響き渡る。彼等も周囲に知られる事無くなのはを排除するつもりで
結界を周囲に張ったのだろうが…それが仇となった。何故ならば…その結界のおかげで
なのはも周囲の被害を気にする事無く存分に戦う事が出来るのだから……。
そして何よりも…彼等は口で偉そうに言う程実力が伴ってはいなかった。
「なるほど…白い悪魔と呼ばれるのも頷ける…と言う事ですか…。
ですが…なおさら息子をやるわけにはいきませんなぁ…。貴女の様な悪魔みたいな
女を息子の嫁にしようものなら…息子は絶対に不幸になります…。」
もはや残っていたのはヤーノ一人だけだった。しかし彼は一切戸惑う事無く
冷静な表情のままなのはと向かい合っていた。
「あのね…ユーノ君もね…私のお父さんから似たような事言われたんだよ…。
貴方が私に酷い事を言った様に…ユーノ君もまた私のお父さんから酷い事を言われたよ…。
でも…それを乗り越えて今がある。だから…押し通らせてもらうから!!」
「そうですか…しかし貴女が私に敵いますかな? 息子に魔法を教えたのは父であるこの私ですよ。
さらにその息子から魔法を学んだ貴女が……………。」
ヤーノがそう格好付けているのも束の間…話の途中でなのはのレイジングハートから
放たれた桃色の魔力光がヤーノの全身を飲み込んで行った…………
「ま…まだ話の途中だったと言うのに…本当に悪魔ですね…。」
「油断する貴方が悪いんだよ…。」
全身真っ黒こげで、頭もパンチパーマになって倒れていたヤーノの前になのはは立っていた。
そしてヤーノは納得した様な顔になって起き上がる。
「ふ…分かりました…例え卑怯な手を使われたとしても負けは負け。とりあえずは負けを認めましょう。」
「卑怯って言うか…貴方が油断しただけなんだって…。」
本当に負けを認めているのか怪しいヤーノになのはも呆れるが、彼はさらに言う。
- 274 名前:みんな大好きユーノくん♥ 9 ◆6BmcNJgox2 :2008/02/08(金) 17:09:32 ID:1O5Y0CAJ
- 「一兆歩譲って認めてあげますよ。貴女が息子と結婚する事を…。しかし…約束して下さい。」
「約束?」
ヤーノの言い出した約束とは一体何なのか…なのはは首を傾げるが…ヤーノはこう言った。
「子供は…絶対に『父親似の男の子』で無ければなりません…。」
「え…それはちょっと…生まれて見ない事には分からないよ…。」
無茶な注文になのはも慌てるが…次の瞬間ヤーノは物凄い形相となる。
「だまらっしゃい!! 貴女の様な低俗な女が息子の嫁になれるだけでも大サービスなんですよ!!
もはや貴女には息子の子を産む位にしか存在価値が無いと言うのに…これで母親似だったり
女の子だったりを産んだりしてみなさい! また嫌がらせ地獄に逆戻りですよ!!
あのオッドアイの子だって…次は怪我どころじゃ済みませんよ!!」
ヤーノは立ち上がり、なのはへ向けてアカンベーしながら物凄い速度で走り去っていった。
「ったく…あの人は女を何だと…。」
もう男尊女卑ってレベルさえ超越している様に感じられるヤーノの発言に
なのはは気に食わない顔でいたが………とりあえずはこれで事件は解決したと見て良いだろう。
ユーノが大好きなホモ男達を束ねていたヤーノが倒れた事もあって、翌日から
なのはに対する嫌がらせはパタリと無くなった。それにはフェイト達も不思議がっていたが
まあこれで良かった良かった………が…………だからと言ってヴィヴィオの怪我が
治ると言う事は無かった。当然の事だ。とりあえずは怪我も回復に向かい…
何とか車椅子で動ける位にはなったが…ヴィヴィオが全快するまでには
まだまだ時間は掛かるはずだろう。
なのはに対する嫌がらせが完全に息を潜めたと確認されて数日…
なのはとユーノは二人でヴィヴィオのお見舞いへ行った。
「ヴィヴィオ怪我は大丈夫?」
「うん…まだ歩けなくて…車椅子が必要だけど…ご飯は自分で食べられる様になったよ。」
「そっか…良かった…。」
ヴィヴィオの怪我も何とか回復に向かっている事を確認した二人は安心していたが
そこでヴィヴィオはさらに言った。
「なのはママも昔…今のヴィヴィオみたいな凄い怪我をして…それでいっぱいリハビリ
頑張って立ち直ったんだよね…。だから…ヴィヴィオも負けないよ。ヴィヴィオも
リハビリ頑張るよ…。そして…なのはママとユーノパパの赤ちゃんが生まれる前に…
元通り走ったり出来る様になりたい………。だから…二人も心配しないで。」
「ありがとう…ヴィヴィオ…。」
その時…なのはとユーノの手は優しく握られていた。二人が結婚式を挙げる数日前の事だった…。
おしまい
- 275 名前: ◆6BmcNJgox2 :2008/02/08(金) 17:10:10 ID:1O5Y0CAJ
- 結末としてはハッピーエンドでも、途中経過の部分で色々鬱っぽい所を
入れたかったのですが…やっぱり私に鬱ネタは無謀な様ですorz
後、最後に救いを入れましたがヴィヴィオがこういう扱いになったのは改めて謝りますorz
- 276 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 17:16:01 ID:tFxFfWji
- 駄目だこいつら…早く何とかしないと
- 277 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 17:29:56 ID:gZtZaG6h
- 糞つまんね
- 278 名前:267:2008/02/08(金) 17:33:56 ID:zBTnk0B5
- ぐあああ、割り込んでしまった。
>>275さん、申し訳ないっすorz
- 279 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 17:50:18 ID:aHEYw+O+
- ヴィヴィオに大怪我させといて、敵との対決はギャグっぽい感じで逃走オチなのが受け付けないかな。
二人の間に女が産まれたらこれマジでヴィヴィオ殺されるだろ。実際重傷負わせた連中なんだから。
- 280 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 17:59:29 ID:J6gtTvRQ
- というかこやつ等普通に逮捕でしょ。
確かに紙一重で、男達登場まで気が抜けなかった。
- 281 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 18:00:05 ID:GenGhesd
- これでヴィヴィオが大怪我じゃなければ完全にネタですんだんだろうけど・・・・・・
それ以外はGJっした!
というかこの野郎共、どんだけホモ駄目人間なんだよ!幼子に手を出した時点で外道だコヌヤロ!
でも、それ以外はいくらか共感してしまった俺もまた駄目人間。
- 282 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 18:23:21 ID:qkgAsWdN
- >>275
笑うべきか怒るべきか微妙っすね。
ユーノに親子喧嘩とかさせてスカッとするような展開にした方が良かったのでは?
- 283 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 18:25:23 ID:xMwJRUt/
- ……これは酷い
◆6BmcNJgox2氏はギャグに徹するべきだと思うよ
- 284 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 18:28:59 ID:dWhlUuEg
- なのはさんの教導まだかな・・・
無茶なテコ入れで続けられなくなったか・・・
- 285 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 18:38:31 ID:r2dn6JeX
- ユーノファンクラブが『野郎』だ何て!!!自分はやり口から
女子を予想したのですが・・・。
- 286 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 18:41:46 ID:VyuBoyA3
- >>275
アウト。自重すべき。NG入れるどうこう以前に成長が見られないのが悲しいなぁ。
- 287 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 18:47:35 ID:OiBlTObw
- 笑い過ぎて死ぬかと思ったwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
- 288 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 18:52:31 ID:Akp9Einx
- シロウトゆえの甘えが悪い方に出てしまった感じかな…
- 289 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 18:56:02 ID:6BFPCRQF
- >>284
厨帝回麻泥芽大太寝手絵香煮弧野夜鬼御手李多火。
寝夜出内死馬蛇殻駄ン流手夢呂歳犯魔居二波血。
- 290 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 19:28:46 ID:H+8c4M5J
- >>275ひどいってレベルじゃねーぞ!
ヴィヴィオとオチが釣り合ってない
- 291 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 19:28:50 ID:85dWZuNC
- >>275
素材としたらこいつらは悪くないんだけどな……。
某しっと団のような愛嬌のある奴等だったら……。
- 292 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 19:29:14 ID:OutGW//i
- 289は何を言っているんだ?
- 293 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 19:39:08 ID:xMhMO0PR
- 糞つまんねぇもん投下すんなよカス
- 294 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 19:45:24 ID:sZz7EMJ8
- ギャグ風味で語られて内容はサイコか。ヴィヴィオが攫われるぐらいがよかったかな。
>>293
ちょっと言い過ぎでは?
- 295 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 19:45:29 ID:GenGhesd
- >>293
テンプレも読めないような人にそこまで言う資格はありません。
お子様は素直に全年齢板に帰りましょう
- 296 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 19:51:46 ID:Ylg0dRSD
- なんか今日はシグナム姐さん多いくてうれしいな
俺もエリオとシグナムで書いてるんだが出来たら投下しようかな・・・
- 297 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 19:54:34 ID:VyuBoyA3
- 思い付いたら即行動。口に出すとそれだけで満足して形にならないモノだよ
- 298 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 20:05:47 ID:QLMuZQWX
- >>258
GJ
姐さんがいちいちかわえええなああ
ヴァイスの精神制御機構というのがどれくらいの強度か知らないが
これは間違いなくいちげきひっさつ間違い無し
>次回はデート
ワッフルワッフルして待ってます
- 299 名前:( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc :2008/02/08(金) 20:12:36 ID:XFMl4d1a
- 途中まで犯人フェイトさんだと思ってました。
すんません。
注意事項
・そろそろ捏造でどえらい事に。
・ちょいA's本編の流れに揺り戻ります。
・アリサの出番がほとんど無ぇ! でもそんなの関係無ぇ!
・でもって、また、シグナムが主人公っぽく……orz イヤジッサイスキナンデスケドネシグナムサン
・非エロ。シリアスっちゅうかガチバトル。
・あぼーんキーワードは「燃え上がる炎の魔法使い」
- 300 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 20:12:43 ID:Fr33oA1y
- このスレ的にはスバルとキャロ涙目だな
- 301 名前:燃え上がる炎の魔法使い 8-01/12 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/08(金) 20:13:14 ID:XFMl4d1a
- Dec.21.2005────日本国 東京都 海鳴市
聖祥大学附属小学校 3年1組。
「ユーノ君、大丈夫!?」
朝のHR前のひと時。
すずかは心配そうな顔で、ユーノに訊ねる。
「身体の方はなんとも。無理しなければ大丈夫だよ」
ユーノは、優しげに微笑みながら、すずかに答えた。
「ごめんね、私がもっとはやてちゃんにちゃんとお話聞いておけば良かった」
すずかはしょんぼりと落ち込み、ユーノとアリサに、そう言った。
「しょーがないでしょ。そのはやてって奴が人の良いすずかに嘘ついてたんだから」
「アリサ、それ、フォローになってないよ」
アリサは、両手に頬杖をついて、不機嫌そうに言う。その言葉に、ユーノは、苦笑して、
ツッコんだ。
「そんな、悪い子じゃないと思ったんだけどな……」
「まぁ確かに」
さらに落ち込みかけるすずかを見て、さすがにアリサも気まずくなったのか、言う。
「記録見る限りでは、はやてはシグナム達止めてたわよね」
アリサは、不機嫌そうにむすっとした表情で言う。
「そっ、そうだよね」
すずかは、その言葉に縋るかのように、そう言って、顔を上げて眼を大きく見開いた。
「それに、本の中から人が出てきましたなんて、普通は正直に言えないわよね」
「うん、うん」
「アリサちゃんの場合は、魔法少女ですって言って信じてもらえなかったら、ディバイン
クラッシャーで1発証明、だけどね」
不機嫌そうなままのアリサ、苦笑しながらうなずくすずか、そして無自覚にも余計な一
言を付け加えるなのは。
「あらなのは。それどういう意味かしら……」
アリサの視線が、きらっと光り、なのはを見る。
「にゃっ? べ、別にそのままの意味だけど……」
なのははキョトン、として、少し困惑したように言う。
アリサの口元が、一瞬、ニヤッと歪んだかと思うと、すずかに向かって顔を上げた。
「そうそう、なのはってば、あたしが知らないうちにクロノとね……」
「わーっ、わーっ、わーっ! アリサちゃん、わーっ!!」
燃え上がる炎の魔法使い〜Lyrical Violence + A’s〜
PHASE-08:Spiralformiger Korridor(前編)
「ふあぁぁぁぁぁ……」
4人からは少し離れて、窓際の席。
「アリシア、大丈夫?」
盛大に欠伸を上げるアリシアに、フェイトが心配そうに訊ねる。
アリシアの姿は、傍目から見れば、どう見ても3年生の教室に紛れ込んだ1年生である。
「んー、結局、昨日寝たの22時過ぎだったからなぁ」
言いながら、アリシアは右手で、自分の左肩を揉む仕種をする。見た目に反して、動作
はクラスで一番、年寄りじみていた。
「学校通いながらで、大丈夫なの?」
フェイトは心配げな表情のまま、アリシアに再度訊ねる。
- 302 名前:燃え上がる炎の魔法使い 8-02/12 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/08(金) 20:13:38 ID:XFMl4d1a
- 「ん、昼間はリニスが資料の再確認とかしといてくれるから」
「そう、無理しないでね」
フェイトがそう言うと、アリシアはぱち、と、眼を円く見開いた。
「それは、こっちの台詞」
「え?」
困惑気に、フェイトは聞き返す。
「あの連中に遭っても、無理してまで自分が戦おうだなんて、思わないでよ。バルディッ
シュの試験動作やってある?」
「え、あ、う、うん……」
アリシアに問い詰められ、フェイトは、戸惑い、どもりがちになりながら、頷いた。
「ならよし」
アリシア軽く頷き、顔を前に戻す。
キーンコーンカーンコーン。
「あ」
予鈴が鳴る。
結局どういう流れになったのか、なのはに関節技を極めていたアリサが、短く声を発し
た。
- 303 名前:燃え上がる炎の魔法使い 8-03/12 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/08(金) 20:14:16 ID:XFMl4d1a
-
『にょろ〜ん、クロノくーん』
その声に、端末の前にいたクロノは、苦々しく頭を抱えた。
『アースラ』スタッフ地上本部、兼ハラオウン家住居。
LDKをパーティションで区切って、置かれた、通信端末の前に、クロノはいる。
「あのな、君はもうすこしTPOと言うものを考えろ。仕事中だぞ」
苦々しい表情で、モニターを挟んで端末の向こう側にいる、エイミィにそう言った。
『別に良いじゃん、通信機のテストだよ通信機のテスト』
「…………」
クロノは、ジト目でエイミィを睨む。
「それで、状況は?」
『「アースラ」全機構、現在のところ異常なし。現地到着は予定通りだと思うよ。それか
ら、レティ提督から回して貰った武装隊3個中隊、同乗中』
エイミィは口元で笑いつつも、真面目な目つきに戻って、そう言った。
「それじゃあ、こっちも予定通りだ。『アースラ』は到着次第、第97管理外世界空間内、
太陽系第3惑星・地球・日本国、静止衛星軌道上で待機」
クロノは目つきを鋭いものに戻し、そう言った。
『りょうかーい』
「観測では、連中、夜動いてる。蒐集から戻ってきたところを、捕まえるぞ」
『武装隊にも、そう伝えておくね』
「ああ」
そう言って、エイミィとの通信は切れた。
「どうして、僕の周りはああいう女性ばっかりなんだ……リーゼ達と言い、アリサと言い
……」
はぁ、と深く溜息をつく。さすがに実母の名前はそこに出さなかった、クロノだった。
ふと時計を見る。
現地調達のアナログ時計は、まだ9時10分近くを指していた。もちろん、午前の、だ。
「こんな短い時間でも、なのはが恋しいよ」
るー、と、苦笑しながら、眼の下に涙の滝を作る、クロノだった。
「くしゅっ」
授業中だというのに、突然にくしゃみが出てしまった。
「あらあら、バニングスさん、大丈夫ですか?」
教師がわざわざ、苦笑しながらそう言ったので、アリサはクラス中の注目を集めてしま
う。気がつけば、アリシアまでこっちを見て笑っている──背丈の関係で一番前の席にさ
れているから、すぐ目に入る。
『後で覚えてなさいよ』
『ふーんだ』
ティッシュで鼻を拭いつつ、念話越しにアリシアに言うが、アリシアは動じない。
「この時期、風邪が流行りだす頃ですから、みなさんも気をつけてくださいね」
教師がそう言い、授業は少し脱線モードに入った。
- 304 名前:燃え上がる炎の魔法使い 8-04/12 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/08(金) 20:14:41 ID:XFMl4d1a
-
────おかしい。
シグナムは、荒くなった息を整えつつ、そう逡巡し、立ち尽くした。
Dec.21.2005、21:05(JST)頃────第87管理外世界。
目の前で、蒐集を終えた闇の書が、閉じられる。
それは、午後の、はやての検診の時だった。
「状況は、芳しくないかもしれません」
はやてをヴィータと共に、先に診察室から出した石田医師は、シグナムに向かってそう
伝えた。
「と、言いますと?」
「はやてちゃんが、治療に前向きになってくれたのはいいんですが……」
石田医師は苦笑する。これまで──闇の書が発現し、守護騎士達が現われてからは特に
──自覚症状を隠しがちだったはやてを、あの手この手で宥めすかして、事実を言わせて
いたが、その苦労が、突然になくなった。医学知識があるのか──石田医師の感想。実際、
シャマルは医学知識を持っている──予診のようなものまでしている。
「これまで、症状は脚の末端部から、徐々に上半身へ向かって進行していくものでした。
治療内容も、それに合わせた投薬を中心に行ってきたのですが……今日の診察では、どう
も、胸部、それも呼吸器や循環器系にも症状が出始めているようなんです」
「!?」
専門的に説明されなくても、シグナムにもわかる。それは、人間を含む哺乳類の動物に
とって、生命をの根幹を司る器官である。
そして、魔法的には、リンカーコアに近く、影響を受けやすい場所でもあった。
「一度、検査をかねた短期入院も視野に入れて、今後の治療に臨まなければならないかも
知れません────」
深刻そうな石田医師の言葉に、シグナムは、一瞬、己の意識が凍りついたような感触を
覚えた。
────闇の書による、主はやてへの侵食が、加速している?
不可解だった。
闇の書はまだ完成していないとは言え、既に500ページ台も後半に差し掛かる。莫大な
力を、溜め込んでいるはずだ。
なのに、なぜ主の力を欲する? 力を主から吸い上げる?
「機能不全を起こしているのか?」
シグナムは、闇の書を手に取り、カバーを見た。
まず最初に頭をよぎったのは、レンの顔だった。記憶にない5騎目。あれが、今回の闇
の書の不全の理由か?
だが、それを即座に否定する。
守護騎士システムで再現される、個々の守護騎士自身は、あくまで闇の書に“付帯”す
る魔法術式だ。闇の書本体の機能不全で守護騎士が正常起動できないことはあっても、逆
はあり得ない。
レンの存在によって魔力の消費が早まっているとしても、この症状の説明にはならない。
ドクン、ドクン……
シグナム自信の鼓動が、やたら大きく聞こえた。
────何か忘れている、何か大きなことを……もっと、ずっと以前から……何だ?
目を閉じ、逡巡する。だが、思い浮かばない。
「くっ」
表情を険しくし、口元を歪ませる。
『シグナム!』
念話越しに、ヴィータの声が飛び込んできた。
- 305 名前:燃え上がる炎の魔法使い 8-05/12 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/08(金) 20:15:22 ID:XFMl4d1a
-
──海鳴市街上空。
「囲まれたか」
ザフィーラはしかし、落ち着き払った声で、言う。
「でも、ちゃらいよ、こいつら」
背中を合わせ、グラーフアイゼンを手に、自分たちを囲んだ相手を睨みつけながら、
ヴィータは言う。
その周囲を取り囲んでいるのは、画一的な補助装甲を取り付けたバリアジャケットに身
を包む、時空管理局・次元巡航警備部武装隊の隊員達。
「!?」
ヴィータとザフィーラが、同時に顔色を変える。
武装隊員は直接、ヴィータ達を攻撃してくるのではなく、遠巻きにすると、そこで、結
界魔法の術式を展開し始めた。
「ヴィータ、上だ!」
ザフィーラはそう言ってから、ヴィータを庇うように、そこに自らの上半身をねじ込ん
だ。
『Stinger blade』
夜空に溶け込んでいた漆黒の衣装が、青い魔力光に照らし出される。S2Uの術式展開に、
クロノの周りに、無数の魔力スフィアが生み出された。
『Execution Shift』
「シュート!」
クロノの声に応え、魔力スフィアが、剣を形作る。その無数の切っ先が、ヴィータとザ
フィーラめがけて、撃ち出される。
ズドドドドドッ
ザフィーラが生み出したシールドめがけて、それが降り注いだ。お互いに消滅しあい、
残滓が霧状になって視界を遮る。
「やった!」
武装隊の誰かが言った。
「まだだ! 結界を維持し続けろ!」
クロノは、即、声を上げて、指示した。
果たして、そこに、ヴィータとザフィーラは、まだ、浮かんでいた。
ザフィーラは、ヴィータに対して、己の身体を盾にしていた。その腕、肩口に、シール
ドを突破したスティンガーブレイドが、見た目では刺さっているように、残っている。
「ザフィーラ、大丈夫か!?」
「この程度、ふんっ……!」
殆ど無傷のヴィータがそう訊ねると、ザフィーラは静かに言ってから、力を込め、肉体
を隆起させた。
パリィンッ、薄いガラスが割れるかのような音を立てて、スティンガーブレイドは砕け
散る。
「上等」
そう言って、ヴィータは薄く笑った。それから、すっ、と、視線を上げる。
「行くぞ、アイゼン!」
『Ja!』
グラーフアイゼンを構え、抉り上げるように、クロノに迫る。
『Protection』
クロノは、S2Uに、シールドを展開させる。
『Todlichschlag』
- 306 名前:燃え上がる炎の魔法使い 8-06/12 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/08(金) 20:15:52 ID:XFMl4d1a
- ガキィィィンッ
紅い魔力光を纏ったグラーフアイゼンの槌が、青いクロノのシールドに打ち込まれる。
バチバチバチバチッ
激しい火花を散らしながらも、お互い一歩も退かずに、凌ぎ合う。
────シールドが持たないか、一度間合いを取って……
クロノが、そう判断しようとした時。
『Cartridge load』
聞こえたのは、寡黙にも質実剛健をもって是とする、ガンメタリックを纏う、インテリ
ジェントデバイスの声。
ガシャッ
バルディッシュの刀具の付け根に仕込まれた、オートマチック拳銃のようなCVK-792A
ユニットが、撃発工程を行う。ブローバック機構から、1発の空カートリッジが排莢され
る。そのコアが、眩いまでの金色の魔力光を放つ。
「サンダースマッシャー」
『Burst Shot』
バルディッシュの刀具の周囲に、その柄と同心の円周上に、魔力の槍が発生する。それ
は、放電の稲妻を伴いながら、ヴィータめがけて発射された。
「っととっ」
1発、2発、ヴィータはクロノから離れつつ踊るように回避し、3発目を、シールドで受
けた。4発、5発目で、シールドにヒビが入る。
「んあっ」
ヴィータは慌てて、さらに回避機動を取る。6発目が、シールドの外縁部に当たり、そ
の衝撃で、シールドは木端微塵に砕けた。
「くっ」
ヴィータは、夜空を見上げる。
結界の影響で、微妙に色相のズレた漆黒。
自らの魔力光と同じ、眩い金髪をなびかせながら、急速に接近してくる。
「くそっ、アイゼン!」
ヴィータは呼びかけつつ、グラーフアイゼンを両手で構える。
『Scythe Form』
バルディッシュの刀具が開き、金色の魔力光を放つ、魔力の刃が、鮮やかに生み出され
る。
ガキンッ
『Thunder slash』
バルディッシュがカートリッジをさらにもう1発撃発させると、サイズフォームの魔力
刀のさらにその上から、厚みを持った発光体のような魔力光が、覆い被さった。
ガキィィィンッ
激しく火花を散らしながら、バルディッシュとグラーフアイゼンが激突する。
「なっ、こ、この出力……!?」
受け止めながら、ヴィータは目を白黒させる。
「この」
フェイトは、刀具の付け根に付く形になった、カートリッジのマガジンを握り、さらに
力を込める。
「くぅっ」
バチンっ!
振り払うようにして、ヴィータは一度凌ぎあいから逃れ、間合いをとる。
「おもしれぇっ、アイゼン!」
- 307 名前:燃え上がる炎の魔法使い 8-07/12 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/08(金) 20:16:21 ID:XFMl4d1a
- 『Patronenlast!』
ガキンッ
グラーフアイゼンもまた、カートリッジを撃発させると、紅く煌々と輝いた。
「おらーぁっ!!」
「はっ」
バチバチバチバチッ
グラーフアイゼンの槌とバルディッシュの魔力刀が交錯し、激しく火花を散らした。
「ヴィータ!」
一瞬、ザフィーラは、ヴィータの助太刀に入ろうとしたが、────
ガキン、ガキンッ
輪の中に紅いコアの納まったその付け根で、リボルバー型弾倉を持つCVK-792Rユニッ
トが、2発立て続けに撃発する。
「!」
ザフィーラが、その音源を振り向くが早いか。
『Stinger blade Power load Shift』
「いっけぇっ」
『shoot』
剣を模った桜色の魔力弾が、無数に撃たれる、と言うより、“撒き散らされる”。
「ぬぉっ!」
ザフィーラは、その巨体に似合わず、急機動でそれを交わしていく。
「パンツァーシュルト!」
ザフィーラが、魔力の盾を発生させる。魔力弾はそれに弾かれ、消滅していく。だが、
立て続けの命中に、数秒と持たずに、ヒビが入る。
だが、数秒稼げればいい。ザフィーラはもとより、そのつもりだった。
「鋼の頚木っ」
シールドがはじけるのとほぼ同時に、相手の射点に向かって、青白い魔力光を撃ち出す。
「!」
なのはに、鋼の牙のような、魔力光の重厚な板が、覆い被さる。
「なにっ!?」
しかしザフィーラは、すぐに、それに気がついた。
桜色の一閃が、“鋼の頚木”を、上下方向に両断する。それが消滅した後に、長巻のよう
に翼のレリーフに魔力刀を纏わせたL4Uを、なのはが構えていた。
「このまま、お話、聞かせてもらうわけには、行かないんですか?」
構えたまま、なのはは、ザフィーラに向かって、訊ねる。
「残念だが」
ザフィーラは言う。
「我ら守護騎士に、既に迷い無く! 止めたければ、実力で止めて見せるが良かろう!」
- 308 名前:燃え上がる炎の魔法使い 8-08/12 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/08(金) 20:16:46 ID:XFMl4d1a
-
「闇の書、お前はシャマル達のもとに戻っていろ」
シグナムがそう告げると、闇の書本体は、光を纏い、その場から消えた。
「さて、状況はあまり良くないな……あの2人もカートリッジシステムを付けたか……」
状況を確認し、それを口に出して呟く。
「ザフィーラの方はともかく……ヴィータの相手のあの少女、あれは厄介か……シャマル
やレンが気付くまで、待つべきか?」
『Nein』
シグナムの呟きに、レヴァンティンが声を発した。
「そうだな」
シグナムは言い、レヴァンティンを構えた。
「シュッツリッターが将、烈火の騎士シグナム。怯むという言葉など、知らぬ!」
そう、誰が聞くわけでもない口上を上げ、戦闘の展開されている空間に向かって、飛び
出していく。
だが────
最初は、シグナムの下方に並走する形で現われたそれは、一気にカーブを描き、シグナ
ムめがけて急上昇してくる。
ドンッ
炸裂のような火花が散ったかと思うと、接近してくるそれは、その輝きを膨らませた。
「何っ」
6発の、オレンジ色の閃光が、シグナム目掛けて放たれる。その瞬間、シグナムは、そ
れが何か、理解した。
シグナムは魔力弾を回避し、構えなおす。
『Panzerschild』
レヴァンティンが、シールドを展開する。その、ほぼ一瞬後の刹那。
ガキィィィィンッ
オレンジ色に輝く魔力刀が、シールドに叩きつけられた。激しい火花が散る。
「くぉのぉぉぉっ!!」
吼える相手を、シグナムはレヴァンティンの峰に手をあてて凌ぎつつ、睨むように見る。
「やはり来たか……バニングス!」
- 309 名前:燃え上がる炎の魔法使い 8-09/12 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/08(金) 20:17:11 ID:XFMl4d1a
-
同じ頃────時空管理局本局、無限書庫。
「やっぱり無理してるんだろうなぁ」
アリシアは、そう言って、溜息をついた。
『Since it’s your little sister, Sir』
「ぐっ」
ブローバに「貴女の妹ですから」と言われ、アリシアは言葉に詰まる。
「はぁ、今日はこのくらいにしておこうか」
『Yes, sir』
溜息混じりのアリシアの言葉に、ブローバが応える。展開していた検索魔法の術式を、
停止させる。
「よっ、お疲れさんだね」
猫姉妹の片割れが、そう声をかける。
「えーと……」
その姿を見て、アリシアは返事をしようとし、指をさして逡巡しかけた。
「アリアだよ。リーゼアリア。でも長いから、アリアで良いよ。リーゼロッテはロッテで」
苦笑気味に、リーゼアリアはそう言った。
「そっか」
苦笑気味に、アリシアは言ってから、
「それで、そのロッテは、今日もいないの?」
と、辺りを見回して、そう訊ねた。
「ん? ああ、戦技教導隊の仕事がはずせなくてね……」
リーゼアリアは、そう答える。
「ふーん……」
アリシアは何気なく返事をした。
「リニスー、そろそろ帰るよー」
アリシアは、そう、声を上げる。
「えっと、待ってくださいアリシア」
一度検索された資料の精査を行っていたリニスは、そう返事をした。
「ん、なんか解ったの?」
アリシアは、浮遊魔法で、リニスの背後に近付く。
「いえ。ただ気になることが……」
「気になること?」
リニスの言葉に、聞き捨てならないといった感じで、リーゼアリアもその背後に近付い
てくる。
「今までにアリシアの検索した闇の書の資料を、原典の年代ごとに分布させたものです」
リニスは言い、非実体ディスプレィに、グラフを表示させた。
「これがどうかしたの?」
アリシアは、グラフを一瞥してから、リニスに視線を向けて、聞いた。
「闇の書の検索結果の殆どが、新暦以降に集中、逆に、旧暦の聖王大戦以前の物は皆無、
全くのゼロです」
「あ、ホントだ」
リニスが言うと、アリシアは背伸びして、ディスプレィを覗き込みなおした。
「つまり……どういうこと、ですか?」
リーゼアリアは、面倒くさそうに、リニスに問いかける。
- 310 名前:燃え上がる炎の魔法使い 8-10/12 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/08(金) 20:17:39 ID:XFMl4d1a
- 「どういうことって、どう考えてもおかしいじゃありませんか! 闇の書の守護騎士達はベ
ルカの騎士なのに、当の古代ベルカでの記録が全く無いなんて!」
リニスは、そう、声を荒げる。
「名前が、違ったんだ」
「え?」
ぽつりと言ったアリシアの言葉に、リニスとリーゼアリアは、揃って反射的に聞き返す。
『だとするなら、最初から、あんな、闇の書とか、呪いの魔導書とか呼ばれる、破滅的な
ものじゃなかったと思うんだ』
「呼ばれる、ものじゃ、なかった────」
アリシアはそう呟いてから、はっと何かを思いついたようにして、2人から距離をとる。
「ブローバ、検索。内容、待機状態が書物型の魔導器。原典の年代で絞込、聖王大戦5年
前から、新暦1年まで」
『Yes, sir』
アリシアは、ブローバを構える。
「アルカス・クルタス・エイギアス……」
金色の、光の魔法陣を描き、術式の駆動を開始した。
- 311 名前:燃え上がる炎の魔法使い 8-11/12 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/08(金) 20:18:03 ID:XFMl4d1a
-
『ダメだわ……強固な結界が張られてる。ちょっとやそっとじゃ、入れそうに無い』
念話越しに、シャマルの困惑した声が届いてくる。
「それなら、ちょっとやそっとじゃなきゃええっちゅうこってんな。ジルベルンメタリッ
シュ!」
『Ja, wohl』
ジルベルンメタリッシュの答えを待ち、レンはそれを引き上げて構える。
「カートリッジロー……」
『Vorsicht!!』
発動させようとした瞬間、ジルベルンメタリッシュが、レンに警報を投げた。
「!」
紅(くれない)の魔力光を纏った一撃が、レンめがけて撃ち出されて来る。
『Schutzfeld』
バチバチバチバチッ
「来ると思ってたよ……簡単にゃ貫(ぬ)かせられないねぇ」
レンのシールドと、魔力光を纏った拳で凌ぎあいながら、アルフは不敵に笑う。
「ええ根性や! ここでカタぁ付けたるで! ジルベルンメタリッシュ!」
『Patronenlast!』
ガァンッ
ガントレッド部から、空カートリッジが排莢され、ジルベルンメタリッシュが、純白の
輝きを放った。
「ちょ、ちょっとレンちゃん!?」
『ごめんシャマル。こっちも邪魔が入ってもた。なんとか時間稼ぎぃ』
低めのテナントビルの屋上に立ち、結界の内側を伺っていたシャマルが、困惑の声を上
げる。
「時間稼げって言われても、どうすれば……」
騎士とは言っても、シャマルは直接の打撃力より、治療と、探知やその妨害といった所
謂ソフトキルに特化している。デバイスのクラールヴィントも自衛用に射撃魔法を持って
いるだけで、結界を破壊するほどの攻撃手段は、持たない。
「!」
困惑しつつ、結界を見上げようとしたその時。
背後に、鋭い殺気を感じ、シャマルは、そのまま硬直した。
「そのままだ」
シャマルの後頭部に、S2Uが突きつけられている。
「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。抵抗しなければ弁護の機会はある。そちら
の事情が複雑だという事も知っている。悪いようにはしない。闇の書を此方に渡して、武
装を解除するんだ」
闇の書は、魔法技術に無知なはやてにかわって、シャマルが管理していた。このときも
脇に抱えていたが、クロノの言葉に、シャマルはむしろ、ぎゅっとそれを締めなおす。
「申し訳ありませんが、そう言うわけには行きません」
シャマルは、逡巡する事も無く、姿勢はそのままで、クロノにそう、きっぱりと言い返
す。
「そうか…………残念だ」
クロノは、思い口調で言う。S2Uに術式を起動させようとした、────その次の瞬間。
ドガァッ!
クロノは鋭い蹴りを受けて、吹っ飛ばされた。
「がぁっ!」
- 312 名前:燃え上がる炎の魔法使い 8-12/12 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/08(金) 20:18:26 ID:XFMl4d1a
- ガシャン!
隣接するビルの、屋上のフェンスに、叩きつけられる。
衝撃に、軋みを上げる身体を何とか動かしつつ、クロノは、シャマルの方に視線を向け
る。
そこに、目の部分だけに穴の開いた仮面で、顔を覆った、長身の男が、立っていた。ザ
フィーラとは対照的に、痩躯だったが、決して貧弱というわけではない。それは、今受け
た、蹴りからもわかる。
「ぐっ、仲間、か……っ」
クロノは呻くように言う。しかし、頭の中では何かが告げている。何かがおかしい。
シャマルは、おろおろと困惑気に、仮面の男に話しかけていた。
そう、未確認の5騎目、レンとも、彼らは基本的に、一枚岩だったはずだ。なのに、シャ
マルはどうして、その男に困惑している?
クロノが、薄れ掛けた意識を、死力を振り絞るように回復させ、無理矢理意識を覚醒さ
せたとき。
黒い雷が、結界を叩き、砕くのが見えた────
- 313 名前:燃え上がる炎の魔法使い 8-12/12 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/08(金) 20:26:43 ID:XFMl4d1a
- >>301-312
今回は以上です。
アリサ活躍してねぇなぁ……
身から出たボロでちょい迂回したけど、なんとかA'sの流れに戻せたな……
でも長さ的に異世界での戦闘はカットかな……
仮面男の謎があまり謎ではないままになるけど……まぁスレ住人は本編知ってるしいいか。
決戦シーンへの流れもちょっと見えてきたけどまだ先は長いかな……っつか、13話でおさまるんかな……
あいからわず(←なぜか変換できない)長ぇぞ、俺。(目標1話あたり40字×45行×10以下)
えー、フェイトとなのはのデバイスですが、この先口上のシーンが入れられるか解らないのでここで披露を
バルディッシュがCVK-792A付で「バルディッシュ・エクセレント」。
L4UがCVK-792R付で「L4U'(DASH)」。
フェイトがオートマチック選んだのは、アリサがクロースレンジ特化だからです。
それとフォーム名はオリジナル時のままにしました。
やっぱ戦闘用の鎌は「ハーケン」じゃなくて「サイズ」だと思うし。
(マガジンのせいでますます「死神の鎌」っぽくなってきたし)
以上、蛇足失礼しました。
- 314 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 20:28:00 ID:QLMuZQWX
- >>300
キャロの方はエリオとイチャイチャ展開があるからまだ救われる
最近はそこまででもないけど
スバル?
……主人公なのになかなか出ない、切り札みたいな感じがあっていいよね
……かわいいし、凛々しいし…
- 315 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:09:25 ID:NGaebRsM
- >>300
ギンガよりはまだマシさ。
メインはおろか登場してるSSすらほとんど見た覚えないぞ。
- 316 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:20:49 ID:PxNPOYxa
- >>313
GJです。仮面の男って明言されてないもののSランクレベルなんですよね〜
今後に期待です。
>>300
キャロ分が足りないのが少々寂しいところですね〜
その分シグナム分は過剰されてるのでそれで我慢してるんですが……
時代は妹より姉なのかっ!
- 317 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:20:54 ID:19ZBSNsh
- 亀すぎるけど、
>>250
自分も考えてた事なので、そういう見解をしてくれるの凄い嬉しくて有難い。
リニスは単純にナンバーズの生存率を上げるための訓練、という思考。加えて、新鮮な情報をDrはリニスに小出しなのでナバーズの犯罪行為とフェイトがマッチングしていると気づいていない。
本来は本文で説明しとかにゃならん事をここで付け加えるのは何とも情けない。
- 318 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:23:42 ID:9wbzbZYl
- >>314-315
二人とも相手役がいないのが原因かと。
原作で関わりがあった男性キャラといえば、血の繋がってない父のゲンヤと
空気同然のカルタスのみ。
どっちも特殊な内容にならざるをえないんで書きにくい。
オールマイティキャラであるユーノかエリオと組み合わせる手もあるが、
それはそれで接点から書き起こさなければならないんで一苦労。
スバル・ギンガだけじゃなくて男キャラにもそれなりに思い入れがないと無理だよなぁ。
クロノという相手役はいるも、不倫確定なカリムさんとどっちがましやら。
- 319 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:31:40 ID:nVuYszCn
- >>318
エリオとは接点あると思うが。
- 320 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:40:39 ID:AcMgqU/0
- 言うがな、大佐。
エリオだって言うほどの絡みが有ったか?
- 321 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:42:24 ID:sZz7EMJ8
- エリオとカリム・・・若い騎士を摘み食いか。
- 322 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:43:02 ID:xexSzlwG
- >>320
ある人が言いました
そこは妄想でカバー
- 323 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:43:30 ID:nVuYszCn
- >>320
会話自体はそこそこ。
>>321
そっちじゃねーよw
- 324 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:44:21 ID:QYZr6rXI
- そこらへんは自分で描くしかない。
事実、過去の作者たちはそうしてきた
- 325 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:44:29 ID:Ylg0dRSD
- エリオとシグナムでできたんだけど投下しても平気かな?
- 326 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:45:34 ID:PxNPOYxa
- かもん!
- 327 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:46:14 ID:Ylg0dRSD
- そんじゃ行きます
あんまし書いたこと無いんで誤字脱字あったらごめんね
- 328 名前:烈火の将と雷の騎士1:2008/02/08(金) 21:46:52 ID:Ylg0dRSD
- こんにちわ!エリオ・モンディアルです。
JS事件が解決してもう8年がたちました。
その間はJS事件並みの大きな事件はあまりなく、みんな静かな生活が送れています。
僕も今年で18歳、身長も伸びて、今ではシグナムさんより少し大きいです。
今はシグナムさんとのけいこの真っ最中
何を隠そう僕はシグナムさんと同じ部隊で働いています。
今でもシグナム副隊長に稽古をつけてもらっていますがやはりあの人から1本とるのは難しいです。
さらに昔と違いシュランゲフォルムまで使ってくるのでやっかいです。
でももっともっと強くなってシグナムさんに想いを告げるまでがんばります!!
そのなんていうか・・・恋・・・しちゃってましてね・・・
でも8年越しの想いを告げるのもまだまだかかりそう・・・ってそんな事より目の前のことに集中しなきゃ!!
「どうしたエリオ!いつものキレがないみたいだが!?」
「ぐっ!ま、まだまだぁ!!」
「ふ、その調子でもっと来い!!」
前の日にヴァイスさんに誘われてお酒を飲んだ僕はすっかり二日酔いになってしまいました。
おかげで今日の訓練中は頭がガンガンして全然集中できませんでした。
しかし未成年でお酒を飲んだ事がシグナムさんやフェイトさんにばれたら僕だけじゃなくてヴァイスさんも危ない!!
なのでバレるわけにはいきません・・・!
「う、うぉおおおおおおおおおお!!」
「む!?」
「ストラーダ!!」
僕はシグナム副隊長のレヴァンテインを受け止めると、ストラーダの噴射を使い跳ね飛ばしました。
そして・・・
「いっけぇええええええええええええ!!!!」
「!!」
体勢を少し崩したシグナム副隊長に、苦し紛れの突撃をかまします。
しかしやはりシグナムさん、簡単にはあたらずあの人の髪飾りをかすめて避けられてしまいました。
が・・・、なぜかシグナムさんの動きが止まってしまいました。 なんででしょう
「シ、シグナムさん・・・?」
「・・・」
様子のおかしいシグナム副隊長はさっきの攻撃で千切れてしまった髪飾りを手にボーっとしていました。
髪飾りが取れてストレートのシグナムさんもイイ!!
てあれ?よく見ると悲しそうな顔をしています
僕なにか悪いことしちゃったのかな・・・
「あ、あの・・・」
「今日の稽古はここまでだ・・・」
そう言ってシグナム副隊長は帰ってしまいました・・・
- 329 名前:烈火の将と雷の騎士2:2008/02/08(金) 21:47:30 ID:Ylg0dRSD
- 「ということがあったんですけど・・・」
そしていま僕はヴァイスさんに昨日の稽古の時の話をしたんですが・・・
「エ、エリオっおお前あの髪飾り壊しちまったのか!?」
「は、はい・・・」
「なんてこった・・・」
なぜかヴァイスさんは顔面蒼白です。
「あの・・・やっぱり僕なにかしてしまったんでしょうか・・・?」
「ふぅ・・・いいかエリオ。お前が壊しちまった髪飾り、あれは八神部隊長がこの前シグナム姐さんに買ってあげたものなんだよ・・・」
流石の僕でも気づきました。僕が壊してしまったのはシグナムさんが八神部隊長からもらった贈り物、いわば宝物です。
それを僕は・・・
「どどどどどうしましょうヴァイスさん!ぼぼぼ僕なんてことを!!」
「エリオ・・・死ぬなよ!!(グッ」
「それはどういう・・・」
「姐さんの大事なもの壊しちまったんだ・・・どんな目に会うか・・・」
「どどどどどうしようヴァイスさん!!僕どうすれば!!教えてくださいヴァイスさん!!」
「お、落ち着けってエリオ!まだ死ぬときまったわけじゃない!!」
「でででもぉ!!」
「落ち着け!俺にいい案がある」
「ほ、本当ですか!?」
「おうよ。ちょっと耳貸せ」
「はい!」
「ゴニョゴニョ」
「な、なるほど!わかりました!!」
「まぁがんばれよ。」
「はい!失礼します!!」
「隊長!!明日だけでいいので休暇をください!!」
「へ?うんなこといきなり言われてm」
「隊長!!早くしないと僕死んじゃいます!!だからお願いします!!」
「うげっ!く、首しめんな!!わかった!!わかったから首を・・・ぐぇ!!」
「隊長!!」
「わかったよ!!わかったから離せ!!明日だけでいいんだな!?」
「はい!!ありがとうございます!!」
「そのかわりこれからもバンバン働いてもらうぞ?」
「はい!!よろしくお願いします!!でわ失礼します!!」
そして僕は自分の部屋に戻り、明日の準備をすることにしました
「なんなんだあれは・・・?」
「隊長、どうかなされたのですか?」
「あぁシグナム副隊長。いやねエリオのやつが・・・」
「エリオがどうかしたのですか?」
「急に明日休みが欲しいとかいいだしてっておや?シグナム副隊長今日は髪を下ろしてるんですね。」
「え、えぇ・・・ちょっと髪留めが壊れてしまいまして・・・」
「う〜んNiceストレート!!(グッ」
「は、はぁ・・・」
- 330 名前:烈火の将と雷の騎士3:2008/02/08(金) 21:48:03 ID:Ylg0dRSD
- そんなことがあった次の日、僕は市街地に来ています。
「さて、まずはあの店から・・・」
なにを隠そう今日はシグナム副隊長にあげる髪飾りを買いに来たのだ
「あの〜すいません。」
「はい、いかがなさいましたか?」
「あの、プレゼントを探してるんですけど・・・」
「あら、彼女さんにですか?」
「え!?ち、違います!べ、別にそういうのじゃ・・・」
店員さんの言葉に思わず赤くなってしまいました。ぼ、ぼくとシグナムさんが恋人・・・
「ふふふ、からかってごめんなさいね。 どういった物をお探しですか?」
「えっとですね、髪の長い人がつける髪飾りを探してるんですけど・・・」
「髪飾りですか。その人はどんな方ですか?」
「えっと髪は桃色でいっつも自分にも他人にも厳しくてでも本当はみんなのことを心配してくれる人です。」
「ふふふ、良い方なんですね・・・でしたらこちらなんていかがでしょう。」
店員さんが僕に見せたのは鋭角的なデザインながらも細かいところは丸みを帯びているまるでシグナムさんのような髪飾りだった
「わぁ・・・良いですこれ!!これにします!!」
「はいかしこまりました。お値段ですが×××××になります(ニッコリ」
「はい!!」
こうして僕は買った髪飾りを持って寮に戻ったのですが・・・
「遅かったなエリオ。どこに行っていた?」
なんでシグナムさんがこんなところに・・・
- 331 名前:烈火の将と雷の騎士4:2008/02/08(金) 21:48:43 ID:Ylg0dRSD
- そんなこんなで今は食堂でシグナムさんとご飯を食べています
味なんてわかりませんはい
「で、エリオ。私はまだ答えてもらっていないのだが?」
「カ、カイモノニイッテタダケデスヨ?」
まだだ!まだプレゼントのことはばれちゃいけない!!僕ルール的に考えて!!
「ほぉ・・・なにを買ったんだ?」
「シグナムさんにあげるためのプレゼンt・・・あ」
「なに・・・?」
「・・・」
僕のばかぁああああ!!!!自分で言ってしまったぁあああああああ!!
「私に・・・プレゼント?」
えぇい!!こうなったら予定は狂ったが行くしかない!!
「こ、これどうぞ!!」
「あ、あぁ」
「この前壊してしまった髪飾り、八神部隊長からの贈り物だったんですよね?本当にごめんなさい!!」
「いや、そこまで謝らなくても。・・・あれは私も悪いんだ。稽古の時までつけていたから・・・」
「それでもすいませんでした!!」
「・・・」
うぅ・・・シグナムさんが無言に・・・
「・・・エリオ、本当に悪いと思っているのか?」
「は、はい・・・」
「ちょっとついてこい」
「・・・」
僕\(^o^)/オワタ
- 332 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:48:55 ID:VyuBoyA3
- >>313
GJ。着実に話進んでますね。気になるのははやて。これからどう動くのやら。
>>314-315
スバルとギンガは百合向きだから仕方ない……絡めるならエリオぐらいか。
>>317
わお、御本人からレス貰えるとはおもわなんだ。
『教えるのは技術。それを生かすも殺すもこの子達次第、私はこの子達の健全な成長を願う』
とかなんとか割り切ってるかなと自己完結してましたがなるほど、そもそも知らんのかー。
それなら確かに今回のお茶会はスカとの会話シーンもほしかったかも。難しかったのでしょうけども。
- 333 名前:烈火の将と雷の騎士5:2008/02/08(金) 21:49:34 ID:Ylg0dRSD
- 食堂から連れて行かれたのはなぜかシグナムさんの部屋でした。
副隊長などの役職の人は個室が与えられるとは聞いていましたが・・・
「すごく・・・大きいです・・・」
「そうか?まぁいい、少し待っていろ」
「は、はい」
僕のようでは訓練場に連れて行かれボッコボコにされるのも覚悟していたのですが・・・
「エリオ、ちょっとこい」
「・・・?」
少しビクビクしながらシグナムさんが座っているほうへ歩いていきます
「エリオ、髪飾りを私につけてくれ」
「へ?」
そう言ってシグナムさんは髪を後ろでまとめて僕に背中を向けました
「私はこういう細かい装飾具は苦手なんだ。いつも縛っているだけだったしな。」
「そ、そうなんです。ちょっと待っててください・・・っとこれでいいですか?」
「ん、ありがとうエリオ」
「い、いえ」
自分で買っておいてなんですが店員さん、GJ!!
「どうだ?似合うか?」
「は、はい!とっても奇麗です!!」
「そ、そうか・・・」
そう言ったシグナムさんの顔はほんのり赤くなっていました
「こんな良いものをくれたエリオにはお礼をしないとな・・・」
「い、いえ!!別にお礼なんていいですよ!!」
「いーやだめだ。物をもらってお礼もしないなんて烈火の将の名が廃る」
「は、はぁ」
「こっちにこい」
「は、はい・・・ぎゅむ!!」
僕を呼んだシグナムさんはなんと!僕を抱きしめて頬ずりしてきました。
やっぱ胸が・・・すごく・・・大きいです・・・
「エリオ・・・あまり年上を悶えさせるな・・・止まらなくなってしまう・・・」
「シ、シグナムさん!?」
「ん・・・」
「ん・・・シ、シグナムさん・・・」
「好きだエリオ・・・もう止まらん・・・」
「あ・・・僕もその・・・シグナムさんのこと好きです・・・女の人として。」
「嬉しい・・・ん」
やばい 嬉しくてニヤけそうですってかもうニヤけてるかも むふふ
- 334 名前:烈火の将と雷の騎士6:2008/02/08(金) 21:50:23 ID:Ylg0dRSD
- そのままシグナムさんと抱き合ったままソファに倒れこみキスを続けます
「ん・・・んぅ」
「シグナムさん・・・」
もう行くしかない! そう思った僕はシグナムさんの胸を触r
「シグナム〜いますか?遊びに来ましたy・・・」
「テ、テスタロッサ!?」
「フェ、フェイトさん!?」
そこには仕事帰りと思われる僕の育ての親であるフェイトさんがいました
「エリオ・・・そこでシグナムと・・・なに・・・してるのかな?」
「こ、これはですね!?」
「シグナムも・・・エリオを連れ込んで何してるのかな?」
「て、テスタロッサ!こ、これはだな!?」
「黙れ!!そして聞けぇ!!」
「「!?」」
「我はフェイト・・・フェイト・T・ハラオウン!!悪を断つ執務官なり!!」
フェイトさんはいつの間にかバルディッシュを起動しておりポーズを決めています
「エリオ!!」
「は、はい!!」
「あなたまだ18歳でしょ?こういうことするのはまだ早いんじゃないかな?」
「そ、そうですか?」
「シグナム!!」
「な、なんだ!?」
「あなたも年上なんだからしっかりしてください!!」
「す、すまん」
フェイトさん・・・KOEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!
「今日はきっちり話を聞かせてもらいますからね!!」
「「ひぃ!!」」
そんなこんなで僕とシグナムさんの初めてはお預けになってしまったのでした チャンチャン
- 335 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:51:23 ID:Ylg0dRSD
- 投下終了
もしかしたら続き書くかもしれません
でわノシ
- 336 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:53:10 ID:VyuBoyA3
- >>335
すまん、割り込んだ……orz
てかエリオがごく普通の健全な男の子になってておにーちゃん悲しいよ(いい意味で)
- 337 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:53:35 ID:WZHkwVPf
- >>335
なんでageっぱなしなんだ?
- 338 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:54:07 ID:QYZr6rXI
- エリオは大人になったらヴァイス成分を多く孕みそうだ
- 339 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:54:50 ID:Ylg0dRSD
- >>337
ageっぱなしだった・・・吊ってくる
- 340 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:55:30 ID:NGaebRsM
- ちょwゼンガーww
- 341 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 22:12:02 ID:SmyE1NDb
- >>335
GJ!適度にコミカルで適度に軽い文でとても読みやすかったです
しかし18歳でまだ早いとか執務官どんだけ〜w
- 342 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 22:14:19 ID:J511cg2R
- >>313
乙!そしてさんくすです!
次回はバトル展開かな?アリサの活躍が、もうちょい見れるといいなぁ。
あと仮面の男が登場しました。この人の扱いには要注意ですね……。
アニメA'sのgdgdの原因の一つだと個人的に感じているもので、どんな展開になるのか期待です。
戦闘がうやむやになるのか?――――それとも何か派手なことが起こるのか?
楽しみです!
- 343 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 22:16:43 ID:QLMuZQWX
- そういえばと思ってテンプレ見てみたら
sage進行じゃないんだなここ
- 344 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 22:17:51 ID:ZpjyJzC4
- そもそもは過疎スレだったからな
- 345 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 22:22:34 ID:QLMuZQWX
- そうだった。まあ各自の判断でいいのかな>sage
- 346 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 22:44:32 ID:Fr33oA1y
- >>315 >>318
ギンガはフェイトさんとの百合でw
>>317
あの話のリニスはどうするんだろうね?
六課とナンバーズが闘ってるところにやってきて戦闘が一時中断とかが見たい気がする
- 347 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 22:45:27 ID:Fr33oA1y
- 途中で送信した
>>338
ヴァイスは違う気が
- 348 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 22:50:46 ID:XFMl4d1a
- sageると(メールアドレスを入れると)リンクでその分スレ容量が早く大きくなるっていうSSスレにとっての諸刃の剣だからな。
- 349 名前:Ritter von Lutecia 第13話@:2008/02/08(金) 22:53:54 ID:qkgAsWdN
- 注意事項
・エリオ×ルーテシア
・非エロ
・本編改編。いわゆるIFというやつです。
・強引な展開や独自の解釈、勝手な捏造が多々含まれます
- 350 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 22:56:09 ID:w/DQR86Y
- シグナムさんは外見年齢17〜8だから、エリオが18なら釣り合うんじゃね?w
ってか、フェイトさんはエリオ取られて悔しがってるだけのようなw
- 351 名前:B・A:2008/02/08(金) 22:57:01 ID:qkgAsWdN
- ミスった。
>>348
容量増えるのか。荒らし対策とはいえ、厳しいっすねぇ。
注意事項
・エリオ×ルーテシア
・非エロ
・本編改編。いわゆるIFというやつです。
・強引な展開や独自の解釈、勝手な捏造が多々含まれます
- 352 名前:Ritter von Lutecia 第13話@:2008/02/08(金) 22:58:26 ID:qkgAsWdN
- 一歩進む度に壊れていくのは、道路なのか、それとも自分の心なのか。
いずれにしろ、ルーテシアの精神は限界まできていた。
際限なく注ぎ込まれる魔力に彼女のリンカーコアは崩壊寸前であり、同時に彼女の生命の灯も急速に消えていっている。
心が壊れてレリックを暴走させるか、リンカーコアが消えてレリックを暴走させるか、命を失ってレリックを暴走させるか。
彼女に残された道はこの3つしかなかった。
だから、せめて人のいないところへ。まだ制御が利くうちに、何としてでもあの廃棄都市区画へ行かねばならない。
「・・・・どう・・・して・・・」
擦れる声で、ルーテシアは呟いた。
どうして彼がここにいる?
何故、自分の前に立っている?
拒絶したはずなのに。
拒んだはずなのに。
彼の気持ちを踏みにじったのに。
「言ったよね、ルー・・・・・」
そんな傷ついた体で、どうして彼は笑っているのだろう?
「君は、僕が守るって」
- 353 名前:Ritter von Lutecia 第13話A:2008/02/08(金) 23:01:16 ID:qkgAsWdN
- 「君は、僕が守るって」
そうは言ったものの、エリオにはどうすれば良いのかわからなかった。
病室のどこを探してもストラーダが見つからなかったため、今の自分は無手だ。
ジッとしていられずにここまで来てしまったが、これではレリックを封印することができない。
(さすがに、無謀だったかな)
右腕はギブスで固定されている上、どういうわけか右目は見えていない。
その上、デバイスもなしとくれば、無謀を通り越して自殺するようなものだ。
あの厳しい教導官がこの場にいれば、すぐにでも頭を冷やされるんだろうなと思いつつ、エリオは一歩踏み出す。
途端に、凄まじい衝撃がエリオの体を襲った。
「ぐぅっ!?」
ありったけの魔力を汲み上げて障壁を作るが、それすらも瞬時に破壊されてしまう。
かざした右腕のギブスがズタズタに引き裂かれるのを見て、エリオは大きく後退した。
「まいったな、これじゃあ近づけない」
邪魔なギブスは外れてくれたが、打つ手なしの現状は変わらない。
それでもエリオは諦める気はなかった。一方的に反故にされたとはいえ、自分は彼女を守ると約束したのだ。
だから、何が何でもこの事態を解決せねばならない。ただし、自分は死なないようにだ。またそれが何とも難しいことだが。
「ルー!」
飛んでくる衝撃波をかわしながら、エリオはルーテシアに呼びかける。
こんなことで何とかなるとは思わないが、何かしらの糸口が見つかるかもしれない。
「ルー、僕だ! エリオだ! 聞こえているかい!」
「逃げて・・・・エリ・・・オ・・・」
「良かった、意識はあるみたいだ。問題は・・・どうやって・・・・これを止める・・・か!」
やたらめったに飛んでくる衝撃波は、全てルーテシアの思考を読み取ったレリックが放っているものだった。
エリオの存在がルーテシアの心に揺さぶりをかけていた。
エリオを傷つけまいと必死で魔力を制御するが、それが却って力場に指向性を持たせてしまい、意図せずエリオを狙って衝撃波が放たれるのだ。
それが余計に辛くて、ルーテシアは尚も強くエリオのことを思ってしまう。その結果、更に強力な衝撃波がエリオに襲いかかった。
- 354 名前:Ritter von Lutecia 第13話B:2008/02/08(金) 23:03:38 ID:qkgAsWdN
- 「なっ・・・・」
四方から畳みかけるように降り注ぐ力場の嵐を加速魔法でかわす。
ストラーダがないのであまり長くは持続できないが、エリオの鋭敏な反射神経を合わせれば避けること自体はそう難しくない。
そう思っていた矢先、エリオは瓦礫に足を取られて躓いてしまう。片目が見えないせいで、遠近感が狂っていたためだ。
(しまっ・・・・!?)
直後、身を裂くような痛みが全身を襲った。
まるでボールのように地を跳ね、エリオの体はガードレールに激突する。
(エリオ!? いや、もういや・・・・お願い、止まって!!)
荒れ狂う魔力を遮断しようとするが、注ぎこまれる魔力が多すぎて強引に蓋がこじ開けられてしまう。
むしろ、無理に抑えようとしたせいで力場はますます大きくなっていった。
(エリオ、逃げてぇぇぇ!!)
「・・・・嫌だ・・・・僕は逃げない。ルーも、僕の命も・・・・両方救ってみせる・・・・・・」
力の入らない体に鞭を打ち、エリオは立ち上がる。咄嗟に体を捻ったので、骨折している右腕は無事だ。
その代わり、また左肩が外れてしまった。いい加減この痛みにも慣れてきたので、エリオは躊躇なく肩をはめ直し、もう一度ルーテシアに向きなおる。
その瞬間、またしてもエリオは衝撃波で吹き飛ばされた。
「ぐはっ!!」
(エリオ!!)
地面に倒れ伏したエリオは、今度こそ起き上がれなかった。
体にまったく力が入らない。神経もイカれたのか痛みも感じなくなっていた。
今できることといえば、精々首を持ち上げるくらいだ。
- 355 名前:Ritter von Lutecia 第13話C:2008/02/08(金) 23:05:06 ID:qkgAsWdN
- (まいったなぁ・・・・・)
まさか、自分の人生の終わりがこんな形になるとは思わなかった。
思えば、波乱に満ちた人生だった。エリオ・モンディアルのクローンとして生まれ、それがバレて実の両親と引き離された上に研究所で実験動物扱い。
フェイトに引き取られてからは騎士になるために修行を積み、機動六課に入ってJS事件に関わった。そして、ルーテシアという1人の少女と恋に落ち、
彼女を管理局から守るために離反、逃避行を繰り返した後に手痛いしっぺ返しを受け、とうとう最後は愛する人に殺される。
波瀾万丈もここまでくると喜劇だ。笑えるほど滑稽な悲劇だ。
(それでもね・・・・ルー)
僅かに残った力を総動員し、ルーが見えるように首を上げる。
力場はもうそこまで迫っていた。後1m、ものの数秒で自分の体はゴムみたいに捩じ切られるだろう。
恐怖は感じなかった。
何故なら、自分を殺そうとしている少女は泣いているのだから。
だから、ここでは死ねない。
泣いているお姫様を助けるのは、騎士の役目だ。
「そうだろ・・・ガリュー!!」
その叫びに応え、魔法陣が展開。中から飛び出したガリューがエリオの体を抱えてルーテシアから大きく離れる。
「来てくれるって信じていたよ、ガリュー」
「・・・!」
力強くガリューは頷く。
元よりエリオを死なせるつもりはなかった。
エリオが死ねばルーテシアは悲しむ。それが自分の手によるものだと思えばなおさらだ。
召喚蟲の名に賭けて、それだけは何としてでも避けねばならない。
- 356 名前:Ritter von Lutecia 第13話D:2008/02/08(金) 23:06:19 ID:qkgAsWdN
- 「危ない、ガリュー!」
「!!」
再び放たれる衝撃波をギリギリでかわす。気のせいか、最初の時よりも威力が増してきている。
そして、エリオは見た。あまりに強すぎる魔力の奔流に、ルーテシアの体が少しずつ壊れていっているのを。
「ルー!」
(エリ・・オ・・・・・)
もう体が動かなかった。辛うじて残った意識で魔力を抑え込んではいるが、それももうじき解き放たれる。
恐らく、後数分。それ以上はもう体がもたない。
(ごめん・・・ね・・・・エリ・・・オ・・・・)
消えゆく意識の中で、最後にルーテシアが見たのは、自分に必死で呼びかけるエリオの姿だった。
死なせたくない。
殺したくない。
エリオには生きていて欲しい。
せめて彼だけでも救いたい。
その意思が・・・・一際強力な衝撃波を解き放ってしまった。
- 357 名前:Ritter von Lutecia 第13話E:2008/02/08(金) 23:11:18 ID:qkgAsWdN
- 膨れ上がる魔力の渦にエリオは冷や汗をかいた。
まずい。
これは非常にまずい。
過酷な戦いで鍛え上げられた本能が告げている。
次の衝撃波は避けられないと。
「ガリュー?」
「・・・・」
不意に、エリオは地面に降ろされた。そして、ガリューは彼を庇うように仁王立ちする。
「待って、盾になるって言うのかい! そんなのダメだよ!」
「・・」
静かにガリューは首を振った。
これで良いのだ。
この少年ならば、きっと主を救ってくれる。だから、自分の役目は生涯のライバルにして
主の伴侶を守り抜くことだ。例え、この命が燃え尽きようとも。
「ダメだ! 死んだら意味がないんだよ! 僕も君も、ルーのために生きなきゃいけないんだ!」
無情にも衝撃波が放たれる。
エリオの叫びが、ルーの嘆きが重なり、ガリューはただ静かに死を待った。
『Panzerschild』
瞬間、展開された三角形の障壁が衝撃波を遮り、ガリューはエリオとともに何かに引きずられるように後ろへと飛んでいた。
- 358 名前:Ritter von Lutecia 第13話F:2008/02/08(金) 23:13:00 ID:qkgAsWdN
- 「まったく、いつまでも世話をかかせるな、馬鹿弟子」
「シ、シグナム副隊長!?」
『あたしもいるぜ、ガリュー!』
「!?」
シグナムの中からどこかで聞いたような声がする。
よく見ると、シグナムの姿は自分が知るものと違っていた。
いつもの薄紫色の騎士甲冑ではなく、青紫色の服を着ており、籠手も金色になっている。
瞳も紫色に変わっていて、背中からは炎の羽根が生えていた。
「ああ、お前は見るのは初めてだったな」
安全圏まで離脱すると、シグナムは2人を地面に降ろした。
そして、光とともに彼女の中から小さな少女が出現し、シグナムの姿も元に戻る。
「よぉ、ガリュー。元気そうだな」
「!!」
「えっと・・・確か君はルーと一緒にいた・・・・?」
「おう、烈火の剣精アギト様さ。ルールーが世話になったな、槍の坊主」
「は、はあ・・・・」
何と反応すれば良いものかわからず、エリオは言葉に詰まる。
ガリューは何か言いたそうだが、そもそも喋れないのであまり意味はなかった。
「手短に説明すると、こいつは私のユニゾンデバイスだ。本当は施設で隔離中なのだが、事態が事態だけに連れて来た」
「シグナムの奴、入院先からあたしんとこまですっ飛んで来たんだぜ。お前の力が必要だとか言って」
- 359 名前:Ritter von Lutecia 第13話G:2008/02/08(金) 23:15:00 ID:qkgAsWdN
- 「あ、すみません! ケガは大丈夫ですか?」
入院という言葉を聞き、エリオは自分がシグナムの胸を刺したことを思い出した。
非殺傷設定だったとはいえ、渾身の力で突き刺したのだから傷ができていても不思議ではない。
「多少は堪えたが、魔力ダメージだったので大事には至らなかった。もっとも、まだあまり無茶はできんがな」
「そのためにあたしがいるのさ。さあ、サクッとルールーを助けて祝勝会でも開こうぜ!」
「そうだな」
まるで買い物にでも行くような気軽さで言う2人に、エリオは目を丸くした。
サクッと助ける?
それができないから苦労していたというのに。
「いったいどうするって言うんですか? 今のルーには近づくこともできないんですよ?」
「なに、それについてはあいつらが何とかしてくれるさ」
そう言って、シグナムは南の空を見上げる。吊られて、エリオもそれに倣った。
何かが飛んできている。
あの形はヘリだ。機動六課で使用しているJF704式ヘリコプターだ。ということは・・・・。
「機動・・・六課・・・・」
「そういうことだ。もう少しみんなを信用しろ、馬鹿弟子」
シグナムの言葉に、エリオは黙って頷いた。
本当に馬鹿だ。
こんなにも頼れる人たちを信じられなかったなんて。
駆けつける六課の仲間の姿を見て、エリオはは静かに涙した。
to be continued
- 360 名前:B・A:2008/02/08(金) 23:15:45 ID:qkgAsWdN
- 以上です。
エリオがどうやってこの騒ぎを知ったかとか、
ガリューが自分の意思で魔法陣から出てこれるのかとかは突っ込まないでください。
- 361 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:18:38 ID:X5nzhEjn
- >>360
リアルGJ!!涙目です。マジで来てくれてよかった。
仲間っていいですね。
- 362 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:20:10 ID:CQ9k6F5K
- もうエリオいいわ
- 363 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:23:24 ID:PxNPOYxa
- >>360
極めてGJです!!
エリオの精神力が凄すぎです! 最強の10歳ですね!
- 364 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:26:00 ID:Fr33oA1y
- 相変わらずガリューがカッコいいw
エリオより良い意味で目立ってる気が
- 365 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:32:43 ID:Q2KN1JO0
- 早くルーと結婚しちまえと思ってるのは俺だけか? ともかく良かったぜ。
早く続き読みたいっす。
>>362
おめえさんの気持ちもよく分かる、確かにエリオ主役のSSが多すぎてゲップが出そうって気持ちは俺も同じだ。
しかしちんこ要員不足のリリなの界で貴重な付いてる子なんだからそう言うな。
むしろ個人的にはユーノがやたら美化されてる方が不思議に思うぞ? こいつとなのは以外のカップリングはどうも違和感感じる。
- 366 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:33:26 ID:VbWz60Mb
- >>360
なんというか、連日連夜みなさんGJ杉。
スーパーシグナムタイムも続行中だしw
この血戦さえ乗り切れば、
もともとこんなことになったのは(ルールーとレリックが護送中に鉢合せしたのは)
明らかに管理局側の不手際なので、はやての交渉次第で
ハッピーエンドも夢ではないな。
- 367 名前:( ゚Д゚):2008/02/08(金) 23:34:09 ID:XFMl4d1a
- じゃあちょっと汚れた司書長でも書くかな。
- 368 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:36:44 ID:Fr33oA1y
- >>365
まぁ、女に興味持つならなのはさんだけなイメージだしね
- 369 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:37:29 ID:q1J7ssO8
- ユーノは割とフェイトとくっついてるの多い気が
- 370 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:39:32 ID:CMydQw15
- 高カロリーで美味しいのが多いんだけど、最近何かが足りない…
- 371 名前:B・A:2008/02/08(金) 23:41:48 ID:qkgAsWdN
- 誤字発見・・・・。
>駆けつける六課の仲間の姿を見て、エリオはは静かに涙した。 ×
>駆けつける六課の仲間の姿を見て、エリオは静かに涙した。 ○
司書の方、保管庫に編集する際に直しをお願いします。
>>368
よくも悪くも、人が良いイメージがありますからねぇ。誠実な淫獣ってなんだ? むっつりか。
>>369
分岐SSとかですね。ネガティブフェイトとかいうのもあった気が・・・。
- 372 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:42:39 ID:nPkUkQtM
- >>360
待ってました、GJです!
最近エリオ多すぎという意見もわからなくはないが
職人さん一人一人は別に何か意図があってやってるんじゃなくたまたま被ってるんだけなんだから仕方ないだろう。
男少ないからちょっと集中すると被りやすいってのもあるし。
- 373 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:43:59 ID:VyuBoyA3
- エリオに飽きたというよりエロいエリオが足りない気がする。
受けでどろんどろんのぬっちょぬちょにキノコ狩りされてむせび泣くエリオが見たい。スパイダーマッ!
- 374 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:44:04 ID:MCjSNHnu
- 三期はエリオで一二期はユーノでいいじゃない
- 375 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:45:14 ID:UuJSZVvU
- ユーノはまぁ、誰かとくっつけるとしたらだけど、基本なのは、捏造駆使してフェイトってところかね。
一応十年来の知り合いではあるわけだし。他キャラとは絡んでないからねー。
でも話の潤滑油として使うときのが輝くね。便利屋というか……。詳細な設定ほとんどないに等しいし
- 376 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:45:38 ID:j6v1GqZP
- >>362
普通にビックリしてキーボードひっくり返したわww
お前は俺かw秒単位で思考一致させやがってww
別に作者のクオリティが低いわけではないが・・・
- 377 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:50:08 ID:CQ9k6F5K
- 別に原作に確実に従う意味なくない?
これもだいたいifストーリーだろ、だったらこんな板自体がいらね。
誰と誰が付き合うだなんて贈呈は普通じゃないか。
- 378 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:52:09 ID:nVuYszCn
- >>377
別に必要はないけどね。
ありえないハーレム妄想は見ててもあんまり感情移入できん。
- 379 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:53:11 ID:Fr33oA1y
- >>375
バトル系の長編だと作者の意思を反映させる為の狂言回しとして使い勝手が良さそうですw
まさに便利屋さん
- 380 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:55:31 ID:AcMgqU/0
- そういうのを突き進んだのがユーノスレだよな。
出番が少ないから妄想に頼らざるを得ないんだけど。
- 381 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:57:30 ID:Q2KN1JO0
- 俺はグリフィスの方が好きなんだが。
なんかメガネってだけでむっつりスケベに見える。
実は相当エロくて母親にガキの頃から仕込まれてるとか良くね?
今度SSで書いてみるかな。
- 382 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:57:51 ID:BYZ2gRtc
- >>369
最近ではシャマルも参戦してたな。そういやシグナム関連はないような
しかしここ連日のエリオ'sはGJすぎるぜ!!
- 383 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:59:11 ID:CQ9k6F5K
- >>378
でもあそこみたいな突き抜けたエロハーレムやってくれるなら逆にいい。
逆にないじゃない、ハーレムでエロいのは。
変な理屈こねて自己主張オナニーいれられるよりいい。
- 384 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:04:13 ID:qVOYUhSG
- でも、そのへんはもう好みの問題でもあるからな
職人が素晴らしいものを投下してくれたらGJする、それでいいじゃないか
- 385 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:04:36 ID:kR7GWagh
- 流れ早いよw
感想コメしようにもあっという間に次のが、
こういう場合って遅れても感想のレスって大丈夫なのでしょうか?
- 386 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:04:42 ID:4LgFpKz3
- ハーレムものってありそうでないよな
まあねぎまやゼロ魔を馬鹿にしたい年頃じゃきにくわないだろうけど
- 387 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:06:35 ID:etBTH/2e
- そうだよなあ
三角関係のハーレムもどきつくって
>変な理屈こねて自己主張オナニー
の親友間のどろどろの愛憎関係やってもらってもなあと思うからな
- 388 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:06:47 ID:S1Y1q8yJ
- >>385
遅れても感想、批評は問題無いでしょう
- 389 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:07:26 ID:TGpRYtdY
- >>385
まともな感想なら前スレに向けても大丈夫だと思う
- 390 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:08:06 ID:cNRwTaWd
- >>388
分かりました。返答感謝です。
- 391 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:09:20 ID:pFoGmQPr
- >>381>>367
まってる
- 392 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:16:43 ID:67WLqzX7
- では
>>313
GJです。IFの素晴らしさが加速中ですね。本編通りの進行でも随分違う。
ただ『Cartridge load』は使用者がカートリッジの使用命令時に発音するもので
デバイス音声では 『load Cartridge』となっていたような
IFであるための変更であるなら申し訳ないです
>>360
少々のご都合主義は燃える展開の前には問題ナッシング。GJです。
- 393 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:19:51 ID:sRs8dBjn
- >>383
アリサだもんはハーレムの受けやすさを狙ってやってるから商業的な考えなんだろうな。
でも大抵はあんまり読む側が面白いかってより、自分はやりたいことを優先してる。
前者が洋画で評価を受けたい、後者が邦画で自己満足したい。
どっちが悪いとは言わないけど、読む側としては前者のほうがいいよ。
- 394 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:27:22 ID:OViVarNJ
- >>374
一二期はクロノも使えね?
ヒロイン側のドラマ主体のド直球シリアス恋愛だとかなり重宝するよ、この子。
>>386
まあキャラをどうしたいかにもよるからなあ。
ハーレムには適度な優柔不断さと鈍感さがいるから…
その辺をキャラをなるべく壊さず付与するのはけっこう難しい。
- 395 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:39:55 ID:y0rxK6u9
- エリオがナンバーズを次々と食べていく妄想が浮かんだ
- 396 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:41:55 ID:lXcyp9hv
- とりあえず多くの閲覧者が不快にならない程度に書きたいの書いてればよいのでは
そりゃサービス精神も必要だけど、いろんな好みの人がいるわけだし、ここで名声欲もってもしょうもないし
- 397 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:50:09 ID:67WLqzX7
- カップリングにしろ何にしろ好まないなら見なければ良い、
そのための注意書きだからね。
そもそも様々なジャンルが存在する可能性を秘めてる作品であるので
各種カップリング、燃え、萌え、ほのぼの、悲劇、喜劇、病み、IF、etc,
この板の規定を守っていればいかなる作品でもOKでしょう
- 398 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:52:09 ID:etBTH/2e
- 読む側として云々と高説を垂れるくらいなら商業展開されている同人やそこらの物を
自分で金出して買った方がいいんじゃないの?
気に入った気に入らないもういい飽きたなんてことも全くないんだし
むしろそっちで満足してこの板見ない方が精神上よろしいんじゃございませんかね
それかいっそ生産的に自分で書けばどうなんでしょう
- 399 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:54:30 ID:QwUd7AJO
-
>>397の答えがFAでおK?
- 400 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:55:55 ID:l+DXZwod
- なんだか最近投下速度が上がってる気がする
- 401 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 01:19:18 ID:IGRRCjKS
- >>399
そうきっぱりいかないのが難しいところ
- 402 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 01:26:59 ID:fDzOxgNa
- テンプレの読み手・全員向けの2の「慇懃無礼な文体のレス」の意味がやっとわかった気がするぜ。
- 403 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 01:35:19 ID:h3zOvAG7
- >>398
だからと言ってクソSSを垂れ流して「板見ない方が精神上よろしいんじゃございませんかね」なんて言われちゃたまらん
人に見せるならそれなりの完成度が要求されるのは当然だ
- 404 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 01:41:42 ID:etBTH/2e
- >>403
論旨が違う
あのジャンルはもういい、このカップリングじゃなくては
などとという奴は別の住処を探すが吉と言ってるだけ
完成度云々の話には加わってないわ
- 405 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 01:53:10 ID:IGRRCjKS
- >>404
荒らすつもりが無いならとりあえず落ち着け
- 406 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 01:54:17 ID:8VEpfdBO
- 読みたくないならエリオ、ユーノ、クロノでNGしておけよ
- 407 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 01:57:42 ID:pvD7zWOB
- >>406
そしたらここは百合板になりますよ…
メインキャラとオリキャラの絡みはイヤだな……
- 408 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 02:02:41 ID:/cX8n91Q
- ここは俺がユーノ×エリオ×クロノの「エリオ・モンディアルと秘密の花園」をかくしかないようだな
- 409 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 02:03:36 ID:lY618+Rn
- >>407
まだヴァイス、グリフィス、ゲンヤ、カルタス、スカリエッティ、レジアス、グレアム、
クライド、恭也、士郎、アリサの父親とかいますよ。
- 410 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 02:10:21 ID:EnjW9Z1g
- 未だにカルタスの性格が判らない俺はどうかしてるのだろうか……。
- 411 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 02:14:11 ID:l6GrfHQ2
- ちなみにクライド、ヴァイス、グリフィス、スカ、レジ、ゲンヤは確実に活躍したssが存在するな。
ただ、エリオの人物像および背景が主人公として使い易いのでお話も作りやすい
結果的にsts物だと彼の主演作が多くなるのでしょうね
- 412 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 02:16:09 ID:S1Y1q8yJ
- >>409
フェイトさんとスカちゃんのギャグちっくなやり取りが読みたいかも
- 413 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 02:17:44 ID:oIobZsmK
- お馬鹿フェイトが読みたい
- 414 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 02:17:53 ID:6Z1kZ4AW
- 気に入らないのがあったら読まなければいいしレスも付けなければいい。
そんな簡単なことぐらい分かれよなあ。それが出来ない連中が増えるとスレが荒れるんだぞ。
- 415 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 02:55:00 ID:dc/S6H7C
- >フェイトが、今回のなのはの危機を知ったら間違無く任務先からでも速攻で飛んでかえるだろうな、確実にw
なのはならフェイトも誘って三人でしようとか言い出しそうですよ。
>後でフエィトさんに怒られるよ。
たまには魔王も普通の女の子でいさせてあげてください。
>淫獣襲来→なのはを襲う→なのは、犯される→直後、金色の死神が闇討ち→淫獣死亡? これで決まりw
なるほど、普段の立場が逆転しているということですね。確かに。
>フェイト「ぶあああああああああああああああああああ(大量出血&幽体離脱)・・・・・
>はあはあ、か、可愛いよなのは☆だけど・・・ユーノは少し痛い目にあわさなくちゃ・・ねえ・・バルディッシュ・・」
>バルディッシュ「(汗)・・・YES Sir」フェイト「ヴィヴィオも・・・そう思うでしょ?」
>ヴィヴィオ「・・凄く思う・・(怒)」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!! はやて「(あっちはあっちで予想通りや(汗))」
あれ、ヴィヴィオまで!?なのはの男キャラはみんな大変だ・・・
>エロオのつぎは淫獣と、ここの絵は好きですが嫌いな組み合わせばかりです。おかげで次の本も買えそうにあり
>ません。
そうですか、それは残念です。
>たとえそうであったとしてもなのはさんの嫁はフェイトさんです。
OK、そこは否定しないでおきましょう
この拍手送った奴は正直に挙手せよ
- 416 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 03:16:48 ID:nTgRraZ2
- >>415
趣旨がよくわからんがその拍手に異常な憤りを感じたのは確かだ。(特に下から2段目)
- 417 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 03:18:07 ID:QwUd7AJO
- >>415
>>1を頭冷えるまで読め
- 418 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 04:01:32 ID:ESKEKRxO
- 速攻どこの拍手か分かった俺もアレだなぁ…
カップリング論争なんて得るもの無いんだからほっときゃ良いのに
原理主義を押し付けようとする奴はどのジャンルでも迷惑
- 419 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 04:21:27 ID:S1Y1q8yJ
- フェイトさんの中の人はフェイトはなのはの旦那と仰っておいででした。
- 420 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 04:29:40 ID:Xgv3RDOQ
- フェイトそんの中の人は、ユーノの中の人、というか18禁もやってる声優嫌ってるじゃん
- 421 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 04:34:01 ID:S1Y1q8yJ
- >>420
そうか?
- 422 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 04:37:53 ID:id3rt2g2
- このよくわからない空気の中で
>>410の問題を俺的に考えてみた
・結論
ナンバーズ更正組みがいる洋上隔離施設では今日も社会復帰に向けた授業が行われる。
本日のお勉強の課題は“保健「赤ちゃんの創り方」”。
題材A ギンガ・ナカジマ
題材B ラッド・カルタス
「ちょ、ちょっとだめよラッド!みんなが見、ヒィ!!や、やああああッッ〜〜」
「フフ。あいかわらずギンガの耳と太股を同時に責めると簡単にイクんだな〜。そおれ、M字開脚だ!」
「いやぁ……み、みんな見ないでぇ……」
「それじゃボクの精子がギンガの卵子に受精する瞬間を、此処にいる子たちだけじゃなくて、軌道拘置所のお姉さんたちにも生放送だ」
……最近エロ成分が足らず思わず書いてしまったorz
反省などするもいのかッッ!!
- 423 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 04:46:27 ID:wrT3yfGH
- >>419>>420
ぶっちゃけ
『 だ か ら な に ? 』としか言いようがないんだが・・・・
- 424 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 04:48:48 ID:S1Y1q8yJ
- >>423
特に何も
- 425 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 04:51:08 ID:wrT3yfGH
- さいでっか
- 426 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 04:51:10 ID:dc/S6H7C
- 水樹さんが水橋さん嫌いだから、フェイトのキャラがビッチな腐れ百合女に変わりましたってか?
GAのちとせじゃあるまいし、中の人の事情持ち込むなよ。
- 427 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 05:29:18 ID:5NtIlHLt
- おまいらレジアス中将の話でもして少しは落ち着こうぜ
- 428 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 05:31:37 ID:/pOBfCxy
- ちょ、待てよ!レジアス×グレアムだなんて…そんな
- 429 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 05:35:41 ID:ET5fgUeR
- ここは意表をついてレジアス×エリオで
- 430 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 05:48:35 ID:dc/S6H7C
- 王道のレジアス×ゼストを忘れるなんて…!
- 431 名前:( ゚Д゚):2008/02/09(土) 05:56:24 ID:zrusJaXa
- なんか読み手側として言いたいこと言ってる奴がいるので書き手側としても言いたいこと言わせて貰う。
・ユーノの相手
もともと王道よりわき道に逸れた方が好きだというのはあるが、
正直、水城発言を知って以降ユーノ×なのはというのは書き手側としては書けなくなった。
(別に読み手側として何が何でも読みたくないという意味ではないので諸氏勘違いなきよう)
3期での出番の無さもあるしユーノにはなのはとの関係は友人どまりにして、
次の恋を始めた方がいいんじゃないかというのが正直なところだ。
個人的には、自画自賛で悪いがアリサかすずかが似合ってると思ってる。
でもユーノ×フェイトは割と書けそうなんだから変な話だが。
・テンプレ10回読んで回線切って寝ろ
こんなこと書いといて自分が言うのもアレだが、「エロオもう良い」「淫獣もう良い」
なんつってる奴にはこれを徹底した方が良いと思う。
StS9話のヴィータじゃないが、相手するから図に乗るんだ。
「荒れてるときこそ投下強行」をモットーにしている俺だが、
正直淫獣ユーノな話を思いついていたがこの流れでとてもエロを書く精神状態じゃなくなった。
俺でこれだと他の職人諸氏はよっぽどじゃないかと思う。
書き手側が言うのもなんだが、SSスレは良かれ悪かれ職人で回ってるってことを忘れるな。
あ、あと、「燃え上がる〜」にレスくれてる皆様、期待裏切るような真似してすみません。
- 432 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 06:03:59 ID:tKgHuFb2
- おお、こんな朝から燃料か
きゃはははは
どこまで荒れるか見物だなあ
もともと燻ってた火種にガソリンばらまいた感じだ
いいぞ燃えろ、もっと燃えろ
- 433 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 06:40:00 ID:64Ikixhq
- 話がころころ変わってるから、みんなが何と戦ってるのかいまいちわからんが、
実際この空気では書く気が萎えても仕方ないかなとは思った。
- 434 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 07:00:05 ID:0reyKzv/
- >>360
GJ!待ってました!
ガリューかっけえええええ。そしてエリオもイイ!
頼りになる仲間もキタ!これで燃えずに何に燃えろというのだ!
次回も楽しみにしています
自分はエリオ好きだが、少し前までは1スレか2スレの中に全くエリオメインの話がなくてすごい待ち遠しかった。
だから今のエリオ主役で書いてくれる人にはすごい感謝してるし、実際満足してる状況。
てか以前にもエリオメインの話が数回続いただけでエリオはもういい、とかそんな発言があった
エリオが好きじゃない人もそりゃいると思うけど、あまりそういう発言は控えてほしいと思う・・・
- 435 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 07:09:59 ID:3FeWR0wC
- このスレスパロボ好きな奴多そうだな。
- 436 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 07:22:30 ID:fh7t/6IA
- 数レスしか読んでないんだがエリオのエロいSS書いてくればおk?
- 437 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 07:25:34 ID:17jWwZXP
- おk、出来れば>>373みたいな感じで。
- 438 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 08:19:45 ID:fh7t/6IA
- 了解、王道だが書いて来る
- 439 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 08:46:01 ID:w17+gtLz
- >>422
俺の中では食う側と食われる側が逆だ。
- 440 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 08:49:54 ID:ipiRq6pg
- >>338
エリオがヴァイスの子を妊娠するとな。
- 441 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 09:42:18 ID:nTgRraZ2
- >>422
反省しないならその電波完成させようぜ!
- 442 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 09:53:26 ID:pFoGmQPr
- >>439
つまりギンガがラッドを自慢のドリルでアッー!ってこと?
- 443 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 10:07:16 ID:QkFad3SK
- >>442
個人的に戦力増強のためにギムレットをそのままにしておいてもらいたいな。
シールド破壊効果もあるし。
- 444 名前:( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc :2008/02/09(土) 10:23:00 ID:zrusJaXa
- ボヤ程度に炎上させといてなんだが投下。
注意事項
・そろそろ捏造で大変な事になってます。
・非エロガチバトル。
・正直アリサ強杉。どこの跳躍系だ。
・あぼーんキーワードは「燃え上がる炎の魔法使い」
- 445 名前:燃え上がる炎の魔法使い 9-01/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/09(土) 10:23:32 ID:zrusJaXa
- 『Load Cartridge』
ズドンッ
CVK-695Dの尾栓部分がブローバックし、2発の空カートリッジが排莢される。コアの周
りを、余剰の魔力が魔力素の霧となって漂い、飛行に伴って後ろへと流れていく。
『Ray Lance, multi shot』
6発の、小さなオレンジ色の光の弾丸が集束し、上方にいる赤紫の騎士めがけて放たれ
る。
その後を追うように、一気に急上昇をかけつつ、両手でレイジングハートを握る。
『Fire slash』
レイジングハートのコアが瞬き、刀身が鮮やかなオレンジ色の輝きを帯びる。
「くぉのぉぉぉっ!!」
構える相手より頭ひとつ上方に突き抜け、重力による加速を伴って、振り上げたレイジ
ングハートを、上段から叩きつける。デバイスが展開したシールドに魔力斬撃がぶつかり、
激しく火花を散らす。
相手の騎士は、片刃の剣の峰を支えて、凌ぎあいながら、睨むように見据える。
「やはり来たか……バニングス!」
燃え上がる炎の魔法使い〜Lyrical Violence + A’s〜
PHASE-09:Spiralformiger Korridor(後編)
『Ray Lance, Clash mode』
凌ぎあう中、オレンジ色の魔力弾が、アリサの胸元で一気に集束し、シグナムめがけて
直接、射撃される。
ズドンッ、メキッ
「何!?」
貫通こそしなかったが、シグナムのシールドはヒビが入り、不気味な軋みを上げた。
ガシャンッ
シグナムのシールドが砕かれ、レイジングハートが振り下ろされる。
ガキィンッ
シグナムは、それをレヴァンティンで受けた。
キィイィィィン……
不気味な振動が、レヴァンティンからシグナムの手首に伝えられる。
「なんだと……レヴァンティン!」
『Patronenlast!』
レヴァンティンもカートリッジを撃発。レイジングハートとは対照的に、目に見えて炎
を纏う。
「レイジングハート!」
『Flash move』
シュッ
アリサの姿が、シグナムの目前から消える。
「何!?」
シュッ
背後に気配、だが、向きを変えていたのでは間に合わない。
『Panzerhindernis』
赤紫のクリスタルガラスのようなシールドを、全周に張り巡らせる。
ガッキィィンッ!
シールドに当たり、レイジングハートがそこからバチバチと激しく火花を散らす。
- 446 名前:燃え上がる炎の魔法使い 9-02/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/09(土) 10:23:52 ID:zrusJaXa
- 「くっ、なんて硬さなのよ!?」
シールドの出力に押し負けかけている状況に、アリサは歯を食いしばりつつ、呆れたよ
うな口調で言った。
「ふっ、近接戦闘に特化したベルカの騎士、防御も、鉄壁だっ」
「なら……」
アリサは、右手でレイジングハートを圧しつつ、左手で器用にカートリッジを装填する。
「何!?」
「鉄だろーがダイヤだろーが切り裂くまでよ! レイジングハート!!」
『Load Cartridge』
ズドンッ
シグナムが狼狽するのが早いか、レイジングハートはさらに2発のカートリッジを撃発
させる。
「もう1段!」
『Fire slash, Dual excise』
レイジングハートの刀身を、もう1段、オレンジ色の魔力光が覆う。
ミシッ
「まずい、レヴァンティン!」
『Panzerschild』
内側に、さらにシールドを展開する。クリスタル状のシールドが砕かれ、ガラスのよう
に粉々になり、霧散していく。内側のシールドとレイジングハートがぶつかり、そこでま
た、激しい火花が散る。
『Ray Lance……』
「同じ手を食うか! レヴァンティン!」
『Panzerexplosion!!』
ドンッ
「うわっ!?」
シグナムのシールドが、一瞬、輝いて瞬き、次の瞬間、アリサに向かって爆発を起こし
た。
これは以前、アリサがバリアジャケットで、レヴァンティンのシュランゲフォルムから
逃れるのに使ったものと、同種の技だ。
『Protection』
オレンジ色の光の盾が、魔力による爆砕を遮る。
「くっ」
アリサは険しい表情で、爆発の煙と魔力の残滓の霧が晴れた視界に、目を凝らす。
シグナムは、僅かに距離をとって、アリサに向かってレヴァンティンを構えている。
アリサも、構えなおす。
「やはり、こうなると手強いな、お前は」
シグナムは、しかし口元で微笑し、そう言った。
「ニヤつかれながら言われても面白くないわね」
アリサは不機嫌そうに言ってから、
「アンタこそ、騎士の誇りだの騎士としてだの、石頭かと思ってたけど、あたしの技をす
ぐに真似して返すなんて、面白いことするじゃない」
と、言って、不敵に笑う。
「騎士の誇りあればこそ、より己が強くありたいと思うのは、当然の事」
シグナムは不敵な笑みを崩さず、そう言った。
「そりゃ、そーだわ」
- 447 名前:燃え上がる炎の魔法使い 9-03/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/09(土) 10:24:18 ID:zrusJaXa
- 『Ray Lance, multi shot』
『Sturmwellen』
6発の魔力の銃弾と、魔力を伴った刃のような破砕の衝撃波が、各々の中間点ですれ違
う。
だが、その先に、既に、2人はいない。
ガキィンッ
レイジングハートと、レヴァンティンが、火花を散らしながら、交錯する。
「はっ」
だが、シグナムは凌ぎあわず、すれ違うように急軌道すると、再び間合いを取った。
「悪いが、決着を付けさせてもらうぞ……レヴァンティン!」
『Patronenlast!』
ガキンッ、レヴァンティンがカートリッジを撃発させる。
『Schlangeform』
シグナムがレヴァンティンを下段に構え、そして、振り上げる。
『Drachen leichter Schlag』
「飛龍・一閃!」
魔力で生み出された衝撃波の刃を伴いつつ、刃の蛇龍がアリサめがけて伸びる。
「くっ」
『Protection, Dual excise』
二重のシールドを眼前に生み出し、アリサは放たれる衝撃波を凌ぐ。
だが、伸びた蛇龍の剣は、アリサを締め上げんと、周囲を取り巻く。
『Chain Bind』
「何っ!?」
突然、シグナムの足元にオレンジ色の光の魔法陣が展開し、同じ色の光の鎖が、シグナ
ムの四肢を絡めとる。
「ミッドチルダ式にとって、目に見える範囲は攻撃レンジの中だってこと、忘れないでよ
ね!」
刃の蛇龍は力を失い、しなしなと垂れ下がりかけた。
「レヴァンティン!」
『Schwertform』
レヴァンティンは元の長さに引き戻され、片刃の西洋剣に戻る。
「はっ」
アリサはその時、既にシグナムめがけて、放物線を描くように上段から斬りかかってい
る。
「ふんっ」
シグナムは魔力放出でバインドを砕くと、レヴァンティンでそれを受け止めた。
その時。
カッ。
黒い閃光────おかしな表現だが、言うとすればこう表現するしかないそれが、アリ
サの背後から、照らし出す。
「な……に?」
『シャマルか?』
驚きの言葉さえ詰まらせるアリサ。シグナムは念話で問いかけるが、シャマルの返答は
ない。
- 448 名前:燃え上がる炎の魔法使い 9-03/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/09(土) 10:24:40 ID:zrusJaXa
-
──少し、時系列は前後する。
「あの、あなたは一体何者ですか!?」
シャマルが、仮面の男に詰め寄る。
だが、仮面の男は、シャマルの方を向くと、それには答えず、
「今のうちだ。結界を破れ」
と、淡々とした口調で、そう言った。
「え……?」
シャマルは、困惑した表情で、小さく声を上げた。
「ですが、この強固な結界を破るには、私の力では……」
「闇の書の力を使え。それだけに足る力は、既に蒐集できているはずだ」
シャマルの困惑の言葉に、男はそう返した。
「!?」
しかし、シャマルは、その言葉を聞いて、逆に軽く驚いたように、目を円くする。
「そんな事をしたら、完成したページが……」
「失われたページは、また後で蒐集すれば良い。それとも、このまま管理局の手に落ちる
気か?」
当惑するシャマルに、男はそう、言いきった。
「…………解り、ました」
シャマルは、覚悟を極めたかのように、息を呑みこんで頷くと、抱えていた闇の書を、
手に取り、開く。
「闇の書よ、守護騎士シャマルが命じます。眼下の敵を打ち砕く力を、今、ここに。撃っ
て、破壊の雷(いかずち)!」
『Zerstorungsdonner』
闇の書が鈍く輝いたかと思うと、天空、ドーム型の結界の天頂に、黒い稲妻が迸る。
一撃だけではない。天空にどす黒い雲が渦巻き、黒い稲光を暴れさせる。
「うくっ!?」
──ドクン。
アルフと拳を叩きつけあっていたレンに、突如、異変が起きた。
胸に手をあて、バランスを崩す。
「なっ!?」
その変貌に、アルフは、魔力光を伴った、やや下段からの右ストレートを繰り出しつつ
も、思わず、慌てる。
『Schutzfeld』
ジルベルンメタリッシュが、シールドを張り、アルフの打撃を凌ぐ。だが、レン自身は、
胸を押さえるようにしながら、飛行魔法の高度を急激に落としていく。
「どうしたんだい!?」
アルフは、相手が敵であるということも忘れ、思わず、心配げに困惑した表情で、レン
に問い質す。
「何でもあらへん、くるなぁっ!」
レンはそう叫ぶと、急機動でアルフから離れ、そのまま離脱した。
「くぅ……あかん、未完成のまま暴走が始まったら……抑えられへん……っ、はやてちゃ
んっ……!!」
レンは呻くように呟きつつ、シャマルの方へと飛んでいく。
「なっ!?」
バルディッシュとグラーフアイゼンが、何度目かの激しいぶつかり合いをしたとき、自
分たちの頭上めがけて、黒い閃光──そうとしか表現できないそれが、降り注いだ。
- 449 名前:燃え上がる炎の魔法使い 9-04/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/09(土) 10:25:07 ID:zrusJaXa
- 突然の出来事に、一瞬、フェイトとヴィータはどちらも呆然としてしまい、鎌の斬撃と
ウォーハンマーの打撃で凌ぎ合う姿勢のまま、動きを止めた。
「ぬぅ」
防戦一方、オフィスビルの屋上に追い詰められながらも、激しく抵抗するなのはと対峙
していたザフィーラは、その光景に、軽く驚いたように、声を上げた。
「どうやら此処までのようだな」
「えっ!?」
なのはが問い返すが早いか、ザフィーラは天頂方向へ向けて、高速で飛び出した。
「このぉっ」
『Load Cartridge』
ガシャッ、最後に1発だけ残しておいたカートリッジを、撃発させる。
『Axel Stinger, Shoot』
桜色の魔力光の、ひときわ巨大な槍が、ザフィーラめがけて撃ち上げられる。
だが、ザフィーラはそれを、悠々とかわす。
避けられた光の槍は、黒い稲妻とぶつかり、相互に干渉しあって、結界の破壊を加速す
る。
「バカなのは! なにやってんのよ!」
桜色の光の槍が、味方の結界の破壊を加速したのを見て、思わず、アリサは空中で地団
駄を踏む。
『シャマル、闇の書の力を使ったのか?』
『ごめんなさい、他に、方法が……』
ようやく、シグナムの呼びかけに、シャマルが答えた。
「すまん、バニングス、この勝負、ひとまず預けるぞ」
「えっ!?」
アリサが振り返ったときには、すでに、シグナムは急機動で、結界の中心とは反対側に
離脱を図っていた。
「逃げんの!? 卑怯者!」
「引き際を見極める事も、将の役目だ」
アリサの怒声に、シグナムは、既に遠方から叫び返す。
「それより、結界の中の仲間を助けてやれ」
「ぐっ……」
言われ、アリサはシグナム追撃を中止した。悔しそうに、結界の中心部と、シグナムと
を、交互に見つつ、CVK-695Dに、次の2発のカートリッジを装填する。
「レイジングハート、行くわよ!」
『O.K. Master. Axel fin』
バリアジャケットの一部であるスニーカーから生えた、鮮やかなオレンジ色に輝く光の
翼を大きく羽ばたかせ、アリサはシグナムが去った方向とは反対に、高速で飛行し、向か
う。
「ふん、この場はこれ以上はまずいみたいだな」
「そうだね」
ヴィータが不機嫌そうに言い、フェイトは同意した。お互い、得物を引く。
「鉄槌の騎士ヴィータと、鉄の伯爵グラーフアイゼン。この勝負、預けた」
漆黒の雷(いかずち)の荒れ狂う中、ヴィータは、そう言って、フェイトを、びしっ、と、
指差した。
「フェイト・テスタロッサ。この子はバルディッシュ・エクセレント」
フェイトは、それに返礼するかのように、口上を言う。
- 450 名前:燃え上がる炎の魔法使い 9-06/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/09(土) 10:25:44 ID:zrusJaXa
- 「フェイト・てすしゃろっ…………」
フェイトのフルネームを言おうとして、ヴィータは、“噛んだ”。
「でぇい、言いにくーいっ!!」
「ぎゃ、逆ギレ!?」
ヴィータが不愉快そうに声を上げると、フェイトはおろおろとして、そう言い返した。
- 451 名前:燃え上がる炎の魔法使い 9-07/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/09(土) 10:26:04 ID:zrusJaXa
-
「貴様、は……」
クロノはS2Uを構え、仮面の男と対峙する。
その背後で、シャマルが飛び上がった。純白の光、レンと、ピンクがかった赤紫の光、
シグナムが、それに合流する。
「今は退け。直に、それが正しいと解る」
男は、淡々とした口調ながら、傲慢さを感じさせてそう言うと、
「さらばだ」
と、テナントビルの屋上をクロノに背を向けて駆け出した。
「待てッ!」
クロノは、反射的に追おうとするが、ダメージを受けた身体が、よろける。転びかけ、
姿勢を立て直したときには、既に、その姿は、どこにも見えなかった。
「どうなっているんだ……?」
クロノは口惜しそうに言い、破壊される結界を見上げた。
「ごめんなさい、シグナム」
寄り添って飛行しながら、シャマルは泣きそうな声で、シグナムに向かって言う。
「いや、済んでしまった事は仕方がない。だが、これから先は、例えどんな窮地に陥ろう
とも、闇の書の力は使うな」
シグナムは、淡々とした口調で、そう言った。
「主の様子が気になる」
「防御とカムフラージュの結界を張ってきたから、大丈夫だとは思うけど……」
────そうではない。
シグナムは、そう出かかった言葉を、無理に飲み込んだ。
「ヴィータとザフィーラを回収して、すぐに戻るぞ!」
- 452 名前:燃え上がる炎の魔法使い 9-08/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/09(土) 10:27:20 ID:6cSL8cE9
-
破られた結界の天頂部めがけて、ひときわ強烈な、黒い稲妻が、撃ち下ろされる。
「フェイトちゃん!」
「なのは! 早くこっちへ」
フェイトが、なのはの元に寄る。だが、それを狙うかのように、稲妻の一部が、降り注
いでくる────
『Round guarder』
2人が思わず、身をすくめた瞬間。その上を、オレンジ色の光のバリアが覆った。
気付けば、2人の傍らに、オレンジ色に輝くレイジングハートを掲げて、アリサが立っ
ている。
黒い稲妻はしばらく、アリサのバリアを圧しながら暴れまわっていたが、やがて、それ
は終息して行く。
「はっ!」
バリアの表面を走っていた稲光が払われ、辺りには静けさが戻ってきた。
レイジングハートの圧力逃し弁が開き、余剰の圧力を水蒸気と共に排出する。
「ああ、もう……」
しばらく、軽く目を閉じ、直立不動の体勢でレイジングハートを掲げていたアリサだっ
たが、
「なにがどーなってんのよ、もう、ワケわっかんない、キーッ!」
と、レイジングハートを手に持ったまま、空中のその場で地団駄を踏んで、不機嫌そう
に癇癪を上げた。
「おおい、フェイトー、みんなー、大丈夫かー?」
アルフの声がする。アリサも一時的に落ち着きを取り戻し、3人はそろってそちらを振
り返る。
「アルフさん、クロノ君は?」
「え? クロノ?」
なのはの問いに、アルフはきた方角を振り返ると、キョロキョロと、下の方を窺がった。
『僕なら大丈夫だ……が』
クロノの念話が、その場に居る4人に届く。
『すまない、僕が不覚を取った』
『クロノ君だけのせいじゃないよ!』
クロノの謝罪に、なのはが、慌てて言う。
アリサがジト目で、フェイトは素の表情で、なのはを見る。
「え、いや、その……」
なのはは、誤魔化すようにどもりつつ、顔を少し、赤らめた。
『それに、おかしなことになり始めているみたいだ』
『おかしなこと?』
フェイトが聞き返す。
『守護騎士と闇の書の主以外にも、闇の書に関わりを持とうとしている勢力がある』
- 453 名前:燃え上がる炎の魔法使い 9-09/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/09(土) 10:27:43 ID:6cSL8cE9
-
『アースラ』スタッフ地上本部、兼ハラオウン家住居。
「クロノ君、大丈夫?」
なのはとアルフに支えられながら、クロノはよろよろとLDKの室内に入る。
「大丈夫、打撲だけだ。少し横になってれば直る」
「クロノ、駄目だよ、そんな無理しちゃ……」
顔をしかめながら言うクロノに、フェイトが、小さい子に言い聞かせるように言う。
「大丈夫だよ」
クロノは、やせ我慢で笑顔を作って、なのはとフェイトに見せる。
ドン。
「ぐぅあっ!」
アリサの手が、軽くクロノの背中を叩いた。
「フェイトは無理すんじゃないって言ってるでしょ! 怪我してるときぐらい、少しは心
配されなさい!」
うめき声を上げるクロノに、アリサは高飛車にそう言った。
「きっ、君こそっ、他人にもっと思いやりを持ってくれっ!」
アリサに向かって抗議の声を上げつつ、クロノは、ソファに身を沈めるように、座る。
展開したままのS2Uを、軽く掲げると、正面に、大型の非実体ディスプレィが現われた。
『クロノ、大丈夫?』
画面の中で、リンディが心配そうに、声をかけた。
「はい、大丈夫────」
言いかけて、クロノは背後にイヤな気配を感じた。
実際、そこには、どこから持ち出したのか巨大なハリセンを手に持ったアリサが、構え
て立っていた。
クロノは、それを振り返りはせず、
「いえ、すみません、報告が終わり次第、横にならせてもらいます」
『そう。私も、一旦そっちへ行くわ。こうなってしまった以上、艦からできることはない
ものね』
母親が息子を心配する表情のまま、リンディはそう言った。
「それで、至急、報告したかったのは……」
『解ってるわ、あの仮面の男ね』
リンディは、クロノの言葉を先取りして、そう言った。
「はい」
モニターがPnP表示にかわり、サブ画面に仮面の男の画像が表示された。
「こいつが、妨害したの?」
アリサは、ハリセンを構えたまま、睨みつけるようにそれを見て、そう言った。
「そうだ」
クロノは、短く答えた。
「はじめは守護騎士たちの仲間かと思ったが、どうも違うような気がする。少なくとも、
守護騎士の1人とは、面識がないようだった」
『そう、でもおかしいわね』
クロノが説明する。すると、リンディが、困惑気にそう言った。
「なんで? 要はさ、そいつらも、闇の書の力ってのを、狙ってるんだろ?」
アルフは、どうして疑問なのか、と、訊ねる。
「闇の書は、他のデバイスと同じ、基本的には、登録されたマスター、主人にしかその力
を発揮させる事はできない。守護騎士たちがその一部を行使することは可能だが、それは
守護騎士たちが闇の書本体に付帯する、主の忠実な代行者だからだ。外部の人間には、無
理なんだ」
- 454 名前:燃え上がる炎の魔法使い 9-10/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/09(土) 10:28:08 ID:6cSL8cE9
- 「ああ、なるほどね」
アルフは、腕を組んで、クロノに向けていた視線を、ディスプレィに戻した。
「そして、主の登録は、転生システムによって闇の書が発現したときに、既に決定されて
いて、外部から書き換える事は、まず不可能だ」
『あるいは、主自身に対して、脅迫か何か、その力を自分達の為に行使させる手段を持っ
ているか、だけど……』
リンディは、可能性のひとつを口にして、指を口元に当てる。
「はやては、すくなくともあたしの見た感じとすずかの話じゃ、そんな感じじゃなかった
わよ」
アリサが、言う。そもそもはやては、シグナム達を止めようとしていたと、彼女はまだ、
そう記憶している。
「それに、はやてを脅迫しようだなんて、シグナムが黙っちゃいないわ。今頃、頭から真
っ二つよ」
「かといって、彼女らより力を持つ魔導師が、あえて闇の書を欲しがるとは思えない」
アリサの言葉に、クロノが付け加えるように、そう言った。
『なのよねぇ』
困惑気な表情で、リンディは2人の言葉に同意する。
ディスプレィよりこちら側でも、一同が唸って首を捻る。
「とにかく、事実は2つ。闇の書にちょっかいを出そうとしている第3勢力が存在すると
いうことと、蒐集が進み、闇の書の発動の時が近付いているという事だ」
クロノが、纏める様に、そう言った。
「発動まで、あと、どれぐらいあるのかな」
フェイトが、不安そうな表情で、そう言った。
『推測だけど』
リンディに代わり、エイミィが、メインウィンドゥに表示された。リンディの映像は、
PnPのサブウィンドゥに移動する。
『過去のデータと、わかっている限りの蒐集の量を付き合わせると……』
エイミィは、光学キーボードを叩き、言う。
『3日、乃至は4日……』
「くそ、今日の失敗は、痛いな!」
クロノが珍しく、苛立った表情で、声を荒げる。
一方、アリサとなのはは、目を円くして、顔を見合わせた。
そして、2人揃って、壁に吊られていたカレンダーを見る。
「クリスマス…………」
アリサは、そう、小さく、呟いた。
- 455 名前:燃え上がる炎の魔法使い 9-11/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/09(土) 10:28:32 ID:6cSL8cE9
-
『あ、それと、私信で悪いんだけど、クロノ、フェイトさん』
「はい?」
「なんでしょう?」
思い出したように言うリンディに、フェイトとクロノが、顔を上げる。
『いえ……見当たらないようだけど、アリシアさんはまだ帰っていないのかしら?』
「あ、そう言えば……」
フェイトは口に出し、2人して思い出したように顔を上げる。
時計の針は、すでに10時……22時30分を過ぎている。
一同がキョロキョロと見渡すが、アリシアの姿はない。
アルフが、フェイトとアリシアの2段ベッドの置かれた部屋を覗き込むが、そこにも、
姿はなかった。
ヴン……
唐突に、転送ポートの術式が駆動する。此方へと転送行おうとしている。
そして、魔法陣の上に、身長差の極端な2人の人影が、現われる。
「見つけたーっ!!」
到着するなり、展開したままのブローバを抱えたアリシアが、そう叫んだ。
「アリシア!?」
思わず、フェイトが聞き返す。
アリシアは、傍らのリニスを置き去りにして、ブローバとファイルホルダーを抱え、LDK
に飛び出してくる。
「闇の書の正体! 古代ベルカで作られた────」
- 456 名前:燃え上がる炎の魔法使い 9-12/11 ◆kd.2f.1cKc :2008/02/09(土) 10:31:38 ID:6cSL8cE9
- >>445-455
今回は以上です。
レス番ミス。>>448は04/11、>>449は05/11です。
それと、>>392で指摘がありましたのでカートリッジロード時のデバイスの発言を修正しました。
保管する際は、恐れいますがPHASE-8の
『Cartridge load』
を、
『Load Cartridge』
に、修正していただけると幸いです。
- 457 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 11:19:44 ID:K8C9+oB9
- GJ!
いつも熱い戦いをありがとうございます!
アリサが強過ぎ?
いえいえ、彼女はモビルス…ゲフン魔力の大きさが、戦力の決定的差でない事を実演してるだけですよ。
ただ女性が増えたのに、男性が増えないから、余計に余り者が……
文章はここで終わっている
- 458 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 11:33:29 ID:/LGh77Wo
- >>456 おつ! しかし!
不完全燃焼……原作に近づいていけばまぁこうなるだろうけど……。
いや、逆に考えるんだ。あえて燃焼させていないと考えるんだ。
この物語の先にきっとでけぇ花火があるはず……。
フルボッコでも……まぁいいけれど………………………………どうなる?……………………。
- 459 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 11:38:10 ID:OViVarNJ
- >>431
しかし王道からわき道に逸らせた結果、クロなのって言う別の意味での
王道に辿り着いてるのがなんともはや…
- 460 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 12:11:09 ID:/Tt8sgCX
- 初めて投下させていただきます。
タイトルは『無限の悪夢〜Unlimited Nightmare〜』です。
注意事項
・ほのかにエロ?
・ユーノ主人公(酷い目にあいますけど、一応主役です)
・精神汚染の恐れがあるかもしれません
・NGワードは「無限の悪夢〜Unlimited Nightmare〜」でお願いします。
- 461 名前:無限の悪夢〜Unlimited Nightmare〜1/6:2008/02/09(土) 12:12:54 ID:/Tt8sgCX
- 暗くなった夜の公園。そこで“ユーノ・スクライア”は、天に浮かぶ満月を静かに見つめていた。
時間は深夜。本来ならば、そろそろベッドに向かっている時間であるが、今日は訳あってこの時間に外出していたのだ。
「…ユーノさん」
その声に振り向くユーノ。そこには“エリオ・モンディエル”が思い詰めた顔で立っていた。
彼がユーノをこの時間、この場所に呼び出したのだ。
「どうしたんだい? エリオ、こんな時間に呼び出したりして…」
思いつめた表情のエリオに、ユーノが心配そうに声をかける。すると―
「ごめんなさい、ユーノさん」
エリオがユーノに抱きついてきた。突然の事に驚きを禁じ得ないユーノ。
「え、ちょ…エリオ……」
「僕…ユーノさんのことが好きなんです。大好きなんです!! この想いを…もう、止められないんです!!」
困惑するユーノであったが、エリオから発せられた言葉に顔を青ざめる。
「ま! 待って!! 僕にはなのはという立派な彼女が…。それに僕達、男同士だろう!!」
いたってノーマルなユーノがそう告げるが、エリオは首を振る。
そして、服を無造作に脱ぎ捨てていった。
「ごめんなさい…僕、本当は『女の子』なの…」
服を脱ぎ捨てたその身体は、紛れも無く『女の子』の身体であった。
白い裸体が、街灯の光に照らされて…まぶしい。
「!!!!!!!!」
埴輪顔になって石化するユーノ。そして―
「ユーノさん…貴方が好きです。2号さんでも構わないの…抱いて下さい」
「う、うそだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
エリオ(女の子)に抱きつかれ、ユーノは叫びと共に崩壊した。
- 462 名前:無限の悪夢〜Unlimited Nightmare〜1/6:2008/02/09(土) 12:15:13 ID:/Tt8sgCX
- ミッドチルダ市街地にある公園。静かな時間が流れる市民の憩いのエリア。
そこに、1人の男の叫び声が木霊した。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
そこは、巨木に備え付けられたハンモック。そこから落ちるようにしてユーノが起きた。
どうやら悪夢でも見たような雰囲気だ。
「どうしたの。ユーノ」
なのはが心配そうに覗き込んでくる。
「あ、なのは。ちょっと変な夢を見てね…」
「そう?」
「うん、僕…なのはが恋人でよかったと心から―」
そこまでユーノが言うと、なのはが怪訝そうな顔で見つめ返してくる。
「え? 何?」
「何言ってんの。俺達、男同士なんだから恋人同士になるなんて、あるわけ無いじゃないか。親友の間違いだろ?」
「へっ!?」
素っ頓狂な声をあげてユーノがなのはを見つめる。言われてみると、なのはの胸はまっ平らで、下半身はスカートではなくズボンを履いている。
「う、うそ…ホモはいやだ、ホモはいやだ、ホモはいやだ、ホモはいやだ、ホモはいやだっ!」
身悶えるユーノに、なのは(男)も心底嫌そうな顔をしながら言った。
「俺だって嫌だよ。それに俺の恋人は、フェイトちゃんだぜ」
「ふぇ、フェイト………う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
それが止めとなり、ユーノは叫びをあげながらゲシュタルト崩壊を起こした。
- 463 名前:無限の悪夢〜Unlimited Nightmare〜3/6:2008/02/09(土) 12:18:55 ID:/Tt8sgCX
- 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
そこは、巨木に備え付けられたハンモック。そこから落ちるようにしてユーノが起きた。
どうやら悪夢でも見たような雰囲気だ。
「どうしたの。ユーノ」
なのはが、心配そうに覗き込んでくる。
「な、なのは!!
「な、何…」
あまりのユーノの見幕に、なのはが引き気味に答える。
「お、女の子だよね!」
あまりにも不躾な質問に、なのはが怪訝な表情を浮かべて怒る。
「何、当たり前のこと言ってるの! 頭でも打ったんじゃないの?」
「そ、そうかな…ちょっと、嫌な夢を見てさ…」
「どんなの?」
「なのはが男でさ。恋人がフェイトで、僕が恋人じゃなく…」
そこまで言うと、なのはが怪訝そうな顔で見つめ返してきた。
「何、変な夢見ているの。私達、女同士なんだから恋人同士になるなんて、あるわけ無いじゃない」
「へっ!?」
素っ頓狂な声をあげるユーノ。同時に自分の胸に違和感を感じた。
「胸…嘘ぉ…」
標準サイズよりも大きな胸だ。Dカップはあるだろう。思わずズボンの中も確認する。当然、ある筈の物がない。
「な、ない!! う、嘘ぉぉぉっ!」
「もう、さっきから何訳のわからない事言ってんの。アンタと私の恋人は、クロノ君でしょ!」
「ク、クロノ…それも僕達の…」
「私がクロノ君の2号さんで、アンタが3号さん、フェイトちゃんが正妻さんでエイミィさんが本妻さんじゃない」
2号さん、3号さんに正妻に本妻…一夫多妻か。もうすでに訳が分からない。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
またもや、ユーノは叫びをあげながらゲシュタルト崩壊を起こした。
- 464 名前:無限の悪夢〜Unlimited Nightmare〜4/6:2008/02/09(土) 12:21:47 ID:/Tt8sgCX
- 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
そこは、管理局職員用の仮眠室。そのベッドから落ちるようにしてユーノが起きた。
どうやら悪夢でも見たような雰囲気だ。
「大丈夫か? ユーノ・スクライア、大分魘されていたが」
そんなユーノを心配する声が聞こえた。
言葉遣いからしてザフィーラなのだろう。かなり近いところから声が聞こえる。
だが、目の前がふさがれていて、上手く認識できない。
枕なのだろうか、かなり触りごこちの良い何かに顔をふさがれている感じだ。…正直、もう少しこのままでいたい気がする。
「あ、すみません、ちょっと変な夢を見ちゃって…」
「そう? ならいいわ。私が忘れさせてあげる…」
「え?」
変な口調のザフィーラ(?)が抱きついてくる。なんかいつもと違う違和感がある。
ユーノは、このままでいたいと言う欲望をなんとか押さえ込んで目を明けてみる。すると、そこには見たことのない全裸の美女が、自分を優しく抱きしめてくれているではないか。
胸のサイズはEカップはあるだろうか、とても気持ちいい。どうやら、先ほどの枕みたいな物は、彼女の胸そのもので、ユーノは自分の頭を彼女の胸に埋もれさせていたようである。
だが、どう考えても、彼女はユーノの知らない女性だ。
「え? えー、あのー、どちら様で?」
「何いってるの、ザフィーネじゃない」
「へっ!? …ザフィーネさん?」
知らない名だ。だが、次の一言にユーノの思考回路は吹っ飛ぶ事となる。
「そ、あんたの新しい彼女の“ザフィーネ”よ」
すでにユーノの理解の範囲外の展開である。完全に頭が固まった。
「それに…今始まった関係じゃないでしょ」
よくみると自分も全裸だ。それに部屋の中に混じっている空気は『男と女のソレ』の後であることは、間違いない。
ユーノは自分の考えが纏まらない上に、血の気が引いていく感じがした。
「さ…もう少し、楽しみましょう」
「ちょ、ちょっと…」
ザフィーネと名乗った女性が、ユーノに迫ってきた。流石に慌てる。
だが、その展開を無視するように、入り口の扉が吹き飛んだ。そして人の気配がする。
- 465 名前:無限の悪夢〜Unlimited Nightmare〜5/6:2008/02/09(土) 12:23:10 ID:/Tt8sgCX
- 「…見つけた」
その声にユーノが視線を送ると、そこにはなのはが仁王立ちしていた。その姿は、修羅と化している。
「ユーノ君。やっぱり浮気していたね…」
「ち、違うなのは! 誤解だ!!」
だが、その言葉にザフィーネが涙目でユーノに詰め寄る。
「誤解だなんて!! ユーノ、あんた『いつも、なのはに虐められて、苦しいから助けて』って言って、あたいに甘えて…本気にさせておいて! あんた無しでは生きていけない…そんな身体にしておいて…酷い!!」
かなりとんでもない爆弾発言投下である。もう何がなんだか…ユーノの思考は、なにも考えられなくなっている。
だが、ザフィーネやユーノの様子を、なのはは白々しい物を見るように吐き捨てた。
「しおらしくしちゃって、盗人の分際で! 人の恋人奪っておいて、何様のつもりなの!」
「煩いよ、雌ガキ! アンタはユーノをいたぶって弄ぶ事しか、しないじゃないか! あたいはその点、ユーノには優しくして上げられるもの」
そういって、ユーノを抱き寄せる。顔に当たる胸の感触が気持ちいい。だが、ユーノの思考は停止したままだ。
「なんですって!!」
さらにヒートアップするなのは。美女2人のにらみ合いは、綺麗なだけに恐ろしい。
一触触発の状態に、ユーノはどうしたらいいのか分からず、2人の女性に挟まれる形で、固まって見ているしかない。そして―
「それにね! あたいのおなかの中には…ユーノの子が居るんだからね」
ザフィーネの爆弾発言に周囲の空気が一変した。
「子ども…そう、そうなんだね…ユーノ君…私の事を……完全に裏切っていたんだね…少し、頭冷やそうか」
静かに呟くなのは。もはや修羅を通り越して白き冥王と化している。
「いくよ、レイジングハート」
(Yes,Mymaster)
そう言って静かにレイジングハートを構えるなのは。既に莫大な魔力が、レイジングハートへ集まり始めている。
「な、なのはぁ! た、頼むから…落ち着いてぇ!!」
これから起こる事を察知したのか、涙目でなのはに訴えるユーノ。だが、なのはは―
「貴方達の存在を、この世界から消してあげるの!!」
聞く耳持たずと言わんばかりにそう宣言した。直後―
「スターライトブレイカー、発射!!」
膨大。そう表現するしかないほど超大量の魔力が放たれ、ユーノを飲み込んだ。
- 466 名前:無限の悪夢〜Unlimited Nightmare〜6/6:2008/02/09(土) 12:23:50 ID:/Tt8sgCX
- 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
悲鳴と共に目を覚ますユーノ。息を整えながら周りを見回すと―
「…僕の部屋?」
そこは自宅の寝室だった。どうやら、今までのは悪夢だったようだ。
「夢…なのか…よかった……本当によかった」
心底ホッとしたような声を上げるユーノ。それと同時になにやら良い匂いが鼻を擽る。と同時に―
「…なんだか、すごい声が聞こえたけど、ユーノ君大丈夫?」
部屋のドアが開き、エプロン姿のなのはが顔を出した。
「え、あ、いや…なんでもないんだ。ちょっと嫌な夢を見てね」
「そう…何か心配事とかあったら遠慮なく言ってね。私、ユーノ君の力になるから」
「ありがとう、なのは」
そんな会話を交わし、どちらとも無く笑顔になる2人。
「さて、ヴィヴィオは明日まで、アイナさんの所にお泊りだし、今日は久しぶりに2人っきりだね」
「え、あ…そう…だったね」
なのはの言葉に何とか相槌を返すユーノ。
「朝ご飯、もうすぐ出来るからね」
そう言って、キッチンに戻っていくなのは。その後姿を見送りながら、ユーノはフゥッと息を付きながら首を左右に振った。
どうやら、悪夢のせいで記憶が混乱しているようだ。早く夢の事は忘れないと…改めて決意し、ベッドから抜け出すユーノ。
ユーノは知らない。食卓にはスッポンや大蒜、鰻や山芋といった精のつく食材をふんだんに使った特製料理がテーブル一杯に並べられている事。
そして、数時間後には自らの精が根こそぎなのはに搾り取られる事を…
「今日はたっぷり搾り取ってあげるね。ユーノ君♪」
悪夢はまだ…終わらない?
続く…かも?
- 467 名前:無限の悪夢〜Unlimited Nightmare〜6/6:2008/02/09(土) 12:27:30 ID:/Tt8sgCX
- 以上です。
スレ汚し、ご容赦ください
- 468 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 12:28:05 ID:jBPHfcoW
- GJ
正妻と本妻wwwww
- 469 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 12:50:19 ID:iDjxJgu5
- ( д ) ゚ ゚
・・・何がなんだかわからない・・・俺もゲシュタルト崩壊起こしてくる・・・
GJ
とりあえずなのはさん掘ってくれ
- 470 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 12:53:30 ID:w17+gtLz
- >>467
GJ
なんという多段夢オチw
- 471 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 12:55:41 ID:XvQbq6Dz
- >>467
>「貴方達の存在を、この世界から消してあげるの!!」
BGMダークプリズン&なのグランゾン自重www
他の面子やシチュエーションもカオス過ぎて吹いたww
面白かったよGJ
- 472 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 13:01:12 ID:7gwd6QfG
- カオスwwwww
- 473 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 13:03:23 ID:v/Ner6wK
- なのはサイドって言うのが書けそうだ……
実は>>465のなのはは本物で、SLBで吹っ飛ばす事でユーノを悪夢から救ったとか。
なんにしろGJ!
- 474 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 13:06:12 ID:vZw3qe7P
- >>467
ザフィーネで吹いたw
GJなの
- 475 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 13:20:30 ID:FqqQ4PkA
- >>456
GJです。更新早いですね。レンの正体とはいったい?
>>467
たとえ、夢でも羨ましいぜ、本人にとっては地獄だろうけどwww
それに現実世界でなのはさんを射止めてるようだし、なんとかなるだろ
- 476 名前:/Tt8sgCX:2008/02/09(土) 13:29:42 ID:/Tt8sgCX
- ここの住人の皆さんから確実に怒られると思い、ビクビクしながら投下しました。
でも、思っていたより面白く感じていただけてホッとしています。
私の力不足&描写不足で誤解されているようですが、実は最後の描写も悪夢の続きです。
しかも、ここからはちょっとエロ成分がやや増量、バイオレンス度&カオス度がかなり増量する予定です。
まだ書き始めたばかりなので、すぐには投下できませんが、がんばって仕上げたいと思います。
- 477 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 13:39:40 ID:FqqQ4PkA
- >>476
喜劇としてOKですよ。嗜好の差こそあれ、基本的にこれはダメというのはないと思う
- 478 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 13:41:14 ID:VojuTC/K
- >>467
クロノwww
しかし、なのはさんが2号さんて怖すg(ry
- 479 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 13:42:09 ID:vZw3qe7P
- >>476
怒られるような要素なんて特段なかったと思うがな
続きwktk
- 480 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 13:55:31 ID:HeMnNQmK
- >>479
ユーノ主人公だったからじゃないかと推理>怒られる理由
>しかも、ここからはちょっとエロ成分がやや増量、バイオレンス度&カオス度がかなり増量する予定です。
…今回のザフィーネさんみたいになのは以外の女性キャラと関係を持って、天のなのライマーにお仕置きされる展開かな?
とにかく続きをwktkして待ってるぜ
- 481 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 14:45:27 ID:lXcyp9hv
- >>467
勢いがあって面白かった。
夢オチを数回続けるオチは伝統的だが
数十回もやり続けるようなら目新しい
一番大きな問題はどこで〆るかだな。
1パラと3パラの続きを見たい俺は異端
- 482 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 14:57:37 ID:fi1Fhz1Z
- >>480
それは違うだろ。
ユーノ主人公ってだけじゃ叩かれない。
叩かれる作品は基本内容がダメだから。
- 483 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 15:28:40 ID:DjKjulLN
- 一時期、ユーノが続いて愚痴垂れた奴がいたり、淫獣嫌いがいらんことほざいたりしたことがあったからじゃね?
- 484 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 15:55:14 ID:6APD4PEs
- >>467
GJ!
なんという多段夢オチw現実はどこにあるのかw
- 485 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 16:21:12 ID:lY618+Rn
- スレ進行はやっ まだ立って4日だぞ。
- 486 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 16:23:52 ID:FqqQ4PkA
- >>485
しかも、この作品終了してから約4ヶ月も経ってるのにね。
- 487 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 16:45:50 ID:if5kf8aR
- >>467
GJ!!
男なのはさんで、何か書いてくれ〜〜〜〜〜〜!!!
- 488 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 16:48:52 ID:2ElNuOoW
- ユーノワロスwwwww
- 489 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 17:10:16 ID:etBTH/2e
- >>483
今回の発端はエリオアンチらによるものだけどなキバヤシ
- 490 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 17:14:00 ID:QkFad3SK
- >>467
GJ!テラワロスw
本妻、正妻、2号、3号ってwちょw
- 491 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 17:19:06 ID:pFoGmQPr
- >>467GJ!
いままでショタのザフィーラで妄想したことはあったけど女性化は思いつかなかったわ
是非ザフィーネさんネタでその内一本書いて欲しい所w
- 492 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 17:34:48 ID:SbEJRoGP
- >>467
GJ!
終わりが無いのが(ry
>>482
「気に入らない」「同じ主人公ばかりで飽きた」
そんな理由にもならない理由で作品をたたく輩なんてどこにでもいるじゃないか
- 493 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 17:42:08 ID:wGWg84cx
- ここの住人は、飢えというものを知らん。
例えば↓のスレなど、最後に投下されたSSが5ヶ月前。住人は
3ヶ月ほど前から、ショッカーばかりになってしまった。
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1155222334/l50
- 494 名前:ザ・シガー:2008/02/09(土) 17:57:31 ID:p3myB48G
- 俺の中のシグナム祭りはまだ始まったばかりだぜ。
という訳で18:00くらいから「烈火の将は〜」の投下行くぜ。
見直したらすぐ投下するけど、準備良いかい?
- 495 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 18:00:42 ID:WugszEF9
- wktkしながら待ってますよ!
- 496 名前:ザ・シガー:2008/02/09(土) 18:08:58 ID:p3myB48G
- そんじゃ投下します。
「烈火の将は狙撃手がお好き」の第三話です、ヴァイス×シグナムでエロあり。
>>21
朋友(ぽんよう)今日の話は君に捧げよう、よければ楽しんでくれ。
- 497 名前:ザ・シガー:2008/02/09(土) 18:09:30 ID:p3myB48G
- 烈火の将は狙撃手がお好き3
「ふい〜、腹減った〜」
ヴァイスはそう呟きながら料理を乗せたトレイを持って、食堂で空きのテーブルを探していた。
午前の仕事を終えた部隊員で賑わう機動六課隊舎の食堂は本日やけに混んでおり、中々空いた席が見つからない。
そんなところに聞き慣れた少女の声が響いた。
「ヴァイス陸曹〜」
機動六課スターズ分隊所属ティアナ・ランスターである。
ティアナは満面の笑みで手を振って、自身の座っているテーブルに手招きしてヴァイスを呼ぶ。
いつもはフォワードメンバー4人でテーブルを囲んで食事を取っているティアナだが、今日は何故か一人で食事を取っていた。
「おお、ティアナ。今日は一人か?」
「はい、皆はちょっとデバイスの調整に行ってるんです。良かったら一緒に食べませんか?」
「それじゃ、ご一緒させてもらうかね」
ヴァイスはそう返事をしてティアナの隣に腰掛ける。
元々趣味や話が合う二人は楽しそうに談笑し、和やかな食事を楽しむ。
今のヴァイスとティアナの姿は誰が客観的に見ても仲睦まじい恋人同士にしか見えなかった。
そしてもちろん、そんな姿を絶対に見てはいけない人が見ていた訳で…
ティアナと昼の食事時を楽しんでいたヴァイスはその瞬間、自信の眉間に刃を突き刺されたような錯覚を覚えた。
氷のように冷たく、研ぎ澄まされたカミソリのように鋭い刀身がヴァイスの眉間を貫くイメージが彼に襲い掛かる。
「ひいっ!」
あまりに明確な死の光景を脳裏に投影され、ヴァイスは情けない悲鳴を上げる。
ヴァイスの突然の悲鳴にティアナは驚き心配そうな顔をした。
「ど、どうしたんですか?」
「いや…今、俺の頭に…」
「別に何も付いてませんよ?」
ヴァイスの狼狽振りにティアナは不思議そうに小首を傾げる、どうやら先ほどの凄絶な殺気の投射はヴァイスだけに限定されて当てられたようだった。
ヴァイスは席に落ち着きながら周囲を見回す、すると後方10メートルに彼女はいた。
それは言うまでも無いが烈火の将シグナムその人である。
シグナムは表情こそいつもと変わりないがその眼光の鋭さは尋常ではない。
彼女がこれほどの激情を瞳に浮かべる姿を見た者がいようか? 恐らくは好敵手たるフェイトでさえ、このような彼女の眼を見た事はあるまい。
心臓の弱い人間ならショック死してもおかしくない殺気を込めた視線の暴力に晒されてヴァイスは必死に考える“一体、自分が何でこんな目に合うのか”と。
そして傍らのティアナを見てやっと事態を把握した。
(もしかして姐さん妬いてんのか?)
□
「あ、あの…シグナム姐さん?」
食事を終えたヴァイスは即座にシグナムの下に走り声をかける、だが返ってきたのは怒りを込めた視線。
シグナムはまるで視線それ自体が切れ味を持っているような鋭い眼光でヴァイスを睨む、当のヴァイスはあまりの恐怖“蛇に睨まれた蛙”の如く固まった。
「何か用か」
- 498 名前:ザ・シガー:2008/02/09(土) 18:09:55 ID:p3myB48G
- 「い、いや……その」
「用がないなら私はもう行くぞ」
シグナムはドスの効いたトーンの低い声でそっけない返答ながらプイとそっぽを向いて去っていく。
そんな彼女の後ろ姿にもう一度声をかけようとするヴァイスだがシグナムはそんな彼に背中越しで小さく呟いた。
「ティアナとでもイチャついてろ」
ヴァイス・グランセニック、身も心もただただ凍結するのみであった。
□
「という訳なんだよおおおおおっ!!!」
機動六課隊舎近くにある小さな居酒屋でヴァイスは酒に溺れながらグリフィスに愚痴をこぼしていた。
テーブルの上に散らかされた酒瓶と肴の数々がヴァイスの荒れっぷりをよく現している。
「どうすりゃ良い? このままじゃ、もう破局しちまうよぉ〜」
「死ねば助かるのに」
「そう言わずに力貸してくれよぉ〜」
ヴァイスは酒臭い息を吐きかけながらグリフィスにしがみ付いて懇願する。
彼がこんな痴情のもつれた相談を出来るのは六課でグリフィスしかいない、そしてグリフィスはこれでいて頼りになる青年なのだ。
「それじゃ、今日はヴァイス陸曹のオゴリで」
「分かった、分かったから教えてくれ……この窮地を解決する方法を!!」
「では、お教えしましょう……ずばりデートです」
「な、なんだってええぇぇ!? ど、どうしてそうなる? やっぱ謝った方が良いんじゃないか?」
「ふっ……あなたは本当に浅はかですね、この手の話はもはや話題にするのもNGなのですよ。故にいっそ方向転換して事態の改善を望むのが良策でしょう…」
こうしてグリフィスによりデートの方向性が色々と検討されていった。
□
シグナムは家に帰るなり自分の部屋のベッドに飛び込み、顔を枕に埋める。
思い出すのは自分が幼稚な嫉妬心でヴァイスに冷たくしてしまった事ばかりで、胸に満ちるのは溢れんばかりの後悔の念。
「私は……馬鹿だ……いや…大馬鹿だ」
ヴァイスにとってティアナは妹のようなもので異性として見ていない事くらい知っている、それでも彼がティアナと楽しそうに話しているところを見て溢れる憤りを我慢できなかった。
何百年という時を生き、常に冷静なベルカの騎士であるシグナムも彼が絡めばいつもの怜悧な思考が維持できない、それこそ年頃の娘のようになってしまうのだ。
「こんな女じゃ……嫌われても…しかたないな」
シグナムはそんな自分への自己嫌悪で鬱屈とした考えばかりが浮かんでしまう。
ヴァイスに愛想を尽かされたら、ヴァイスがティアナを好きになってしまったら、そんな考えが次々と鎌首をもたげて心を抉る。
気付いた時には枕は涙でびしょ濡れになっていた。
しばらく濡れた枕の冷たい感触を味わっていたシグナムだが、そんなところにメールが届いたコール音が響く。
けだるい身体を起こしてメールを開いた瞬間、眼に飛び込んできた件名にシグナムの全身が硬直した。
件名には“ヴァイスより”と書いてある。
脳裏を様々な憶測が過ぎる、今日の事に怒っているのかもしれない、酷い罵倒かもしれない、もしかしたら別れ話かもしれない。
- 499 名前:ザ・シガー:2008/02/09(土) 18:10:35 ID:p3myB48G
- 想像するだけで身も凍るような恐怖を味わうが読まなければ話は先に進まないのだ、シグナムは意を決してメールを開いた。
□
それは機動六課ライトニング分隊の次の休日、ミッドチルダの一角にある銅像前の有名な待ち合わせスポット。
そこに一人の女性がいる。
清楚な印象を与える純白のワンピースの上に紺碧を思わせるダークブルーのパーカーを羽織り、実に涼やかな色合いの服を纏っている。
だがその髪は燃えるような緋色の赤毛で、ストレートに下ろされた長く美しい彼女の髪が身に付けた服と対照的な美しさをかもし出していた。
その顔は化粧っ気に欠けていたがそれを補って余りある程に美しく整った顔立ちがこれ以上飾る事の無意味さを物語っている。
人を待っているのか、女性は頻繁に腕時計で時間を確認している。
風に流された髪をそっと手でかき上げる仕草と相まって、その少し寂し気な様子が見る者の心を惹き付けた。
この女性こそ、慣れぬおしゃれでヴァイスとのデートに挑むシグナムの姿である。
そしてもう何人もの男達が果敢にもシグナムに声をかけようとするが、彼らは声を発する前に逃げるように立ち去っていく。
無理もない、彼らは声を出そうとする刹那にシグナムの強烈な殺気と気迫そして“邪魔をするな”という意味を込められた羅刹の如き視線を受けているのだから。
まだ失禁したり、失神している者がいないだけでも昨今のミッドチルダの若者も捨てた者ではないというものだ。
そしてシグナムがその場に来て30分程経った時、ようやく彼女の待ち人であるヴァイスがやって来た。
ヴァイスはシグナムのその姿に見惚れて一瞬唖然とするがすぐさま意識を覚醒させて口を開いた。
「待ちました?」
「いや」
シグナムは満面の笑みでヴァイスに答える。その笑顔は花が咲き誇るような輝きで、見ているだけで胸の底に熱を感じる程に暖かかった。
□
「面白かったな」
「そうっすね」
ヴァイスとシグナムはそう言いながら映画館を出る、二人のデートの最初のメニューはオーソドックスに映画鑑賞と相成ったのだ。
もちろんだがシグナムと一緒で恋愛もの映画なんて見ない、二人が見たのはバリバリの時代劇だ(それもリバイバル上映の古いもの)。
シグナムに合わせて見る映画を選んだヴァイスだが、作品が良かったのか二人とも楽しめるものだった。
「これからどうします?」
映画館を出たヴァイスはおもむろに尋ねる。
一応は映画を見終わった後は服かアクセサリーでも選びにショッピングに行こうかと予定はしているが、先生(グリフィス)のアドバイスにより“とにかく相手に合わせろ”と言われているので、まずシグナムに確認を取ることにしているのだ。
するとシグナムは顎先に手を当てて何か考えるような仕草を見せると、何か思い出したような顔をする。
「それじゃあ、ちょっと付き合ってくれ。少し寄りたい店があるんだ」
「いいっすよ」
ヴァイスはシグナムの提案に二つ返事で応えた。
しばらくミッドの町を歩き、ヴァイスとシグナムはとある寂れた外観の店に訪れた。
店の看板には煤けた文字で“ウタマロ骨董品店 古代ベルカ系、多く取り扱っております”の文字が掲げられている。
- 500 名前:ザ・シガー:2008/02/09(土) 18:11:26 ID:p3myB48G
- 最初は服か何かを買うものだと思っていたヴァイスは唖然として眼を丸くした。対するシグナムは迷う事無く店のドアを開けて入ろうとしている。
「どうしたヴァイス?」
「いえ……なんでもないっすよ。でも姐さん骨董品なんて興味あったんですか?」
「物にもよる」
店に入ると店主らしき老眼鏡を掛けた髭モジャの老人がいた、老人はシグナムを見るとにやりと不敵に笑う。
「おう、姉ちゃん。久しぶりだな」
「ああ、親父。久しぶりだ」
馴染みなのか、店主の老人とシグナムはそんな会話をする。店内にはやたらと古いアームドデバイスらしき物が並んでいた。
「運が良いな姉ちゃん、最近良いのが入ってよ」
店主はそう言うとある物を取り出した、瞬間シグナムの眼が妙な輝きを見せた。
出てきたのは刀剣型らしきデバイスである。
「こ、これは…」
「どう見る姉ちゃん」
シグナムは店主から刀のデバイスを受け取ると、鞘を払い刀身を様々な角度から眺める。
そして驚愕と歓喜の混じった感嘆の声を漏らす。
「反り浅く、重ね厚く、乱れる波紋幅広し、拵えの作りと言い、何より漂うこの瘴気とでも言うべき風格。これはまさか古代ベルカに名高きアームドデバイス職人、ナガソネ・コテッチャンの作か!?」
「ふっ…流石だぜ姉ちゃん。そいつはコテッチャン作の伝説的刀型デバイス、その名もハラキリ・ブレード」
「なんと! あのハラキリ・ブレードとな!?」
「その通り、かつては巨大次元航空戦艦すら両断したというあのハラキリ・ブレードさ」
「まさかコテッチャンの本物のデバイス。それもハラキリ・ブレードをこの眼で見れるとは……よくこんな物を手に入れたな親父」
「へへっ……鑑定眼の無え金持ちが蔵の中に仕舞いこんでたのさ、それをちょいと舌先三寸で説得してな」
「相変わらずアコギな商売だな」
「お陰で飯が食える、それにこうでもしないとあんたみたいな“本物”の客に上物を回せねえぜ?」
店主の不敵な笑みにシグナムもまた不敵な笑みで返す、そして刀身を鞘に戻しながら肝心の本題へと話を戻した。
「で、幾らだ?」
「これくらいでどうだい?」
店主は指を7本立てる、だがシグナムは眉をしかめて自身の指を5本立てる。
「高すぎる、これが限度だ」
「オイオイ、それじゃあ俺が破産しちまうぜ?」
シグナムと店主の交渉は熾烈に続く。
そしてヴァイス、ただただ呆然である。
というか、ついて行けないレベルの話だ。ハラキリ・ブレードって一体何だ? ちなみに後でヴァイスは知るのだが代金の指六本等に示した額は目ん玉が飛び出るような高額だった。
そして店を去るとき店主の老人はヴァイスに声をかける。
「あんた、あの姉ちゃんの彼氏かい?」
「ええ……まあ」
「ありゃ良い子だ、大事にしてやんな」
「了解です」
店主の言葉にヴァイスは小さく返事を返す、店主はヴァイスの迷いの無い様子に安心した
- 501 名前:ザ・シガー:2008/02/09(土) 18:13:03 ID:p3myB48G
- のか豪快にガハハと笑った。
□
夕日の輝く黄昏時、ヴァイスとシグナムは公園のベンチに座っている。二人はこの日のデートの締めとして、のんびりとアイスを舐めていた。
「姐さん、今日はどうでした? 楽しめましたか?」
「ああ、でも私ばかり楽しんでしまって……なんだか悪いな」
結局あの骨董品店で潰した時間が大きくてこの日はあまり買い物など行けなかった。
自分のせいでヴァイスを振り回してしまった事に負い目を感じているのか、シグナムは少しシュンとする。
だがヴァイスはそんなシグナムに優しく微笑む。
「別に良いっすよ、姐さんが楽しければ俺も嬉しいですから」
「……ありがとう」
シグナムはヴァイスの優しい言葉に夕日の中でも分かるくらいに頬を朱に染めて、小さく感謝を漏らした。
「それじゃ、そろそろ帰りますか」
「そうだな」
アイスも食べ終えた二人は、そう言ってベンチを後にして公園を去る。
そうして二人が帰り道を歩いていると、ヴァイスは突然足を止めて道路に商品を並べた露店の前に立つ。
「姐さんちょっと」
ヴァイスはそう言うとシグナムの手を引いて露店に近づく、そして彼女の手首にあるものをかける。
シグナムの手に付けられたのは銀製のブレスレット、それは別段彫金が施されている訳でもない地味な物だったがそれ故にシグナムの飾り気の無い美しさを良く引き立てていた。
「ヴァイス……これは…」
「うんやっぱり似合いますね、これ幾ら?」
突然の事に驚くシグナムをよそに、ヴァイスはもう支払いを済ませていた。
そしてシグナムに向き直るとその手を取って尋ねる。
「気に入らなかったっすか?」
「いや、そんな事は無い…その……凄く嬉しいんだが……でも良いのか? こんな物貰ってしまって…」
「別に良いっすよ、今日の記念って事で貰ってください」
「なんの記念だ?」
「姐さんの趣味が分かったとか、ワンピース姿を初めて見た記念とかどうっすか?」
ヴァイスの言葉にシグナムは楽しそうに柔らかな微笑を浮かべる。
彼女の笑みは、その場に差し込む夕日の陽光に勝るとも劣らぬくらいに温かかった。
「ふふっ…そんなもので記念になるなら、毎日が記念日だな」
「まあ、実際そんな気分ですから、それじゃあ帰りましょう」
ヴァイスはそう言うと歩き始める、その時シグナムは思わず彼の手を握った。
決して離すまいと、しっかり力を込めて。
「シ、シグナム姐さん!?」
「手……繋いで良いか?」
- 502 名前:ザ・シガー:2008/02/09(土) 18:14:03 ID:p3myB48G
- 「えっと……はい、喜んで」
恥ずかしそうに顔を俯けて尋ねるシグナムに、ヴァイスもまた恥ずかしそうに顔を赤くして答えた。
差し込む夕日の赤い光が繋がった二人の影を映し出して、アスファルトを鮮やかに飾った。
□
その日の夜、ヴァイスは自宅寝室のベッドの上で座っている。
別にこの前のような説教を受けている訳ではない。
今日はシグナムは家に泊まっていくというので、彼女が服を脱ぐのをじっくり鑑賞中なのだ。
まあ二人がこれからする事なんて今更説明するまでもない事だが…
「ヴァイス……そんなに見るな…」
「いや! その…すいません」
シグナムは羽織っていたパーカーとワンピースを脱ぐ。
するとミルクのように白い肌を持つ、締まっていながらも女性的な柔らかさを誇る肢体が露になる。
そしてその美しい身体を隠すのは濃い紫色のレースの下着、白い肌を際立たせるそれがより一層にシグナムを艶やかに彩っている。
「ど、どうだ? 似合うか?」
シグナムは纏っている下着を少し手で隠しながら恥ずかしそうに尋ねる。
ヴァイスはシグナムの仕草の破壊力を見て、興奮のあまり悶死しそうになりながらも迷う事無く彼女に答えた。
「似合ってます、っていうか凄く綺麗っすよ」
「そうか…その……ありがとう」
「姐さんそれじゃあ、そろそろ…」
ヴァイスは立ち上がってシグナムに近づこうとしたが、シグナムはそんな彼の肩を手で押さえて制止した。
「姐さん?」
「その…いつもお前にしてもらってばかりで悪いから……今日は私がしてやる」
シグナムはそう言うとヴァイスをベッドに寝かせて、彼の纏っていた下着の合間から既に硬く隆起していた肉棒を取り出す。
そして慣れぬ手付きで扱き出した。
「どうだ?」
「うっ! ちょっと力入れすぎっすよ…もうちょい優しく」
「そうか? これならどうだ?」
「今度はちょっと…弱いっす…」
試行錯誤して強弱をつけるシグナムだが、慣れぬ手淫は中々上手くいかない。
そして意を決したシグナムは、肉棒に舌を這わせて口でしゃぶりついた。
「なっ! ちょっ! シグナム姐さん、いきなりフェラっすか!?」
「んぅ…ちゅぷ…ダメか?」
「いや…ダメじゃないっすけど……っていうか誰からこんな事聞いたんですか?」
「男はこういうのが好きだと、シャマルから聞いたんだが」
「そうっすか…やっぱシャマル先生なんだ…」
ヴァイスの言葉が終わるや否や、シグナムはまた口淫を再開する。
初めて口に男根を入れて、その大きさと青臭さにより瞳にはたっぷりと涙が溜まっているがそれでも必死でつたない舌の動きで肉棒に愛撫する。
「ぷはぁっ……まだ出ないか?」
「すんません、まだ出そうにないっす…」
- 503 名前:ザ・シガー:2008/02/09(土) 18:15:07 ID:p3myB48G
- 「そうか、それじゃあ」
シグナムはそう言うと、その“機動六課最強”との誉れの高いたわわな乳房でヴァイスの肉棒を挟みこんだ。
唾液と先走りでたっぷりと濡れた肉根は、恐ろしいまでの滑らかな肌を持つシグナムの乳房から強烈な乳淫を受ける。
「うおっ!」
「どうした? 痛かったか?」
「いえ…あんまり気持ち良かったんで……もっとしてください」
「ああ、分かった」
シグナムは両手でしっかりと側面から胸を押さえつけ、力を込めてヴァイスの肉根を乳房で扱き上げる。
その快感は壮絶と言っても過言ではなく、ヴァイスの脳に凄まじい快楽を与える。
故に絶頂はすぐさま頂点に達し、白濁が発射寸前の状態になる。
「姐さん、もう出ます! だからもう離して…」
ヴァイスはシグナムにそう叫ぶが、シグナムは構わず乳房を上下させて肉棒を扱き、トドメに亀頭を口で思い切り吸い上げた。
「くうっ!」
「んむぅ!!」
ヴァイスの肉根から精液が遂に発射され、シグナムはその粘る白濁液を残さず口で受け止める。
そして一滴たりとも零さずに喉を鳴らして飲み干した。
青臭さと複雑な味、それに絡みつく粘り気によりシグナムは涙目になって咳き込む。
「けほっ、けほっ……あまり飲みやすいものではないな」
「姐さん…別に無理して飲まなくたって良いっすよ」
「でも男はこうした方が嬉しいと聞いたぞ?」
「だからって、姐さんが無理する事ないっすよ」
ヴァイスはそう言いながらシグナムの髪をそっと撫でる、その緩やかな愛撫にシグナムは嬉しそうにうっとりと眼を細める。
「お前は、優しいんだな」
「そんな事ないっすよ、これくらい」
シグナムは未だに硬度の衰えないヴァイスの肉棒を見て、今度は彼の体の上の跨り自身の秘所の入り口にその猛りを沿えた。
「それじゃあ、今度はここで楽しんでくれ」
そう言うと同時にシグナムは腰を落として蜜壷に猛々しい肉棒を挿し込んだ。
しとどに濡れそぼり、溶けそうなくらいに熱くなったシグナムの秘所がヴァイスの肉棒に容赦なく絡みつく。
まるで男を狂わせる為にあるようなシグナムの蜜壷は、先の発射など無かったかのように一瞬で絶頂寸前の快楽をヴァイスに与える。
「ふああぁっ! すごぉっ……んぁっ!…かたぁい…」
だが対するシグナムも決定的な男根の進入により、快楽で思考の全てを蕩かせていた。
- 504 名前:ザ・シガー:2008/02/09(土) 18:15:54 ID:p3myB48G
- 今までの礼とでも言わんばかりにヴァイスは腰を突き上げてシグナムの膣壁にある弱点を擦り上げ、最奥の子宮口に亀頭を叩き付ける。
もちろん彼女の豊満な乳房の頂にある敏感な肉豆を強く摘むのも忘れない。
シグナムの蕩けるような切ない嬌声が腰をぶつけあう音と混じり淫蕩な二人の情景を淫らに彩っていく。
「ひゃあぁぁあんっ!! らめえぇ…今そんなに…はんっ!……したらぁ…」
「くうっ! 別に良いっすよ、さっきのしてくれた分だけたくさんイってください」
ヴァイスはそう言うと、摘んだ乳首を思い切り捻るのと同時に最高の力を込めて腰を突き上げる。
「ふああぁぁあっ!!!」
瞬間、甘く甲高い嬌声が部屋に響き渡る。
そのあまりの快感にシグナムの意識は絶頂の甘い電流の白く染まって行った。
二人の夜はまだまだ始まったばかりだ。
夜の闇の中、ヴァイスの部屋に耳を溶かすような女の嬌声が響き続けた。
続く。
- 505 名前:ザ・シガー:2008/02/09(土) 18:22:15 ID:p3myB48G
- 投下終了です。
姐さんが普通のデートコースを選ぶ筈が無いという発想を抱いて書いていたら変な方向に話が進んだ。
まあ、姐さんの趣味が決闘なら得物にこだわっても良いんじゃないでしょうか? 古代ベルカ式のデバイスはきっと骨董品なんだよ。
これからティアナとか絡ませようか思案中だけど、そうやって三角関係にすると「甘党艦長〜」と話がかぶりそうで恐いっす。
次回はどうしましょうか? とりあえず他のキャラも書きたいんだけどティアナ意外に思いつかねえ。
- 506 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 18:31:00 ID:GTyHHj7W
- またシャマルさんがしでかすのもw
- 507 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 18:40:56 ID:1J+xmq5j
- グリフィスがテラアカギで吹いたwwwww
つかみといい中身といいほんまいいわ……
ここであえてヴィータで突撃してみるとか言ってみる
例えばちょっと風邪気味なところをおでこを触ってみるとか……いやよくわかりませんが
- 508 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 18:40:56 ID:dnyZB0zG
- ティアナといえばラグナでしょう
中の人が……
- 509 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 18:51:09 ID:/XgBMv7k
- >>505
グリフィスwwwww
- 510 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 19:45:34 ID:5NtIlHLt
- シガーさんのSSはグリフィスがかっこよくみえるなwww
- 511 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 22:20:21 ID:nTgRraZ2
- うひょー!ザ・シガーさんのシグナムさんがきてる!つい嫉妬しちゃうシグナムさんかわいいよシグナムさん(´・ω・`)
- 512 名前:B・A:2008/02/09(土) 23:13:12 ID:lY618+Rn
- >>505
途中まで萌えて途中で笑って最後はエロかった。
だめだ、このシグナムツボ過ぎる。グリフィス・・・意外と遊んでいる?
投下いきまーす。
注意事項
・エリオ×ルーテシア
・非エロ
・本編改編。いわゆるIFというやつです。
・強引な展開や独自の解釈、勝手な捏造が多々含まれます
- 513 名前:Ritter von Lutecia 第14話@:2008/02/09(土) 23:16:00 ID:lY618+Rn
- 「エリオ!」
まっ先にヘリから飛び降りたフェイトがエリオを抱きしめる。
その目には涙が浮かんでいて、エリオは彼女に心配をかけせたことを酷く後悔した。
「すみません・・・勝手に病院抜け出して・・・・」
「本当だよ。これから出動って時に電話かかってきたんだよ! 仕事放ってすぐにでも探しに行きたかったんだから!」
「すみま・・・だぁぁぁっ!?」
不意に痛みがぶり返し、エリオは悲鳴を上げた。抱きしめられている右腕がとてつもなく痛い。
忘れていた、この腕折れていたんだっけ。
「あかん! シャマル!」
「はい・・・・静かなる風よ、癒しの恵みを運んで」
シャマルが呪文を唱えると、エリオの体が魔力光で包まれていく。
すると、あれほど酷かった痛みが瞬く間に引いていき、更に体力や魔力まで回復していた。
「一応、折れた腕も繋げておきました。けど、魔法で無理やり治しただけなので、
無理したらまたすぐに折れちゃうから気をつけてね」
「はい・・・すみません、シャマルさん」
力なく頭を垂れる。
そこに追い打ちをかけるように、ヘリの中からスバルたちが顔を出した。
- 514 名前:Ritter von Lutecia 第14話A:2008/02/09(土) 23:17:29 ID:lY618+Rn
- 「やっほ・・・・エリオ」
「・・・・・・・・」
目を合わせようとしないエリオに、スバルは新品同様に磨かれたリボルバーナックルを掲げて見せる。
「エリオ・・・・ほら、リボルバーナックル、修理できたんだ」
「・・えっと・・・・その・・・」
「ああっ、イライラする!!」
次の瞬間、エリオの顔面にティアナのパンチが炸裂した。
完全な不意打ちに反応することもできず、エリオはまたもやボールのように地面を転がった。
大慌ててシャマルが治療に走る。
「少し、頭冷やそうか」
「ティア、殴ってから言っても・・・・」
「うっさいわね、これでチャラよ! 散々迷惑かけたんだから、これくらいは覚悟してたでしょ!」
倒れているエリオの襟元をティアナはグイッと引っ張った。
悪鬼もかくやというほどの目つきに、一瞬エリオはたじろぐ。
「自分がしたことはわかっているわね?」
「はい」
迷うことなく、エリオは答えた。
みんなに迷惑をかけた。
死ぬかもしれない無茶をした。
ルーテシアを守りきれなかった。
数え上げればキリがない。全部自分の罪だ。
それらはハッキリと自覚している。
「なら良いわ。後は行動で示しなさい!」
そう言って、ティアナはエリオを開放した。スバルが「素直に心配してたって言えば良いのに」と茶化すと、
「うっさいわね馬鹿スバル!」といつもの掛け合いが聞こえてきて、エリオは喜んで良いのか泣いて良いのか
よくわからない複雑な気分になった。
- 515 名前:Ritter von Lutecia 第14話B:2008/02/09(土) 23:19:09 ID:lY618+Rn
- 「さてと、順番的に次は私かな」
次にタラップを降りて来た人物を見て、エリオの顔面が蒼白になる。
不屈のエース・オブ・エース高町なのはは、ニッコリと笑うとエリオのもとへと近づく。
「本当は、無茶したことを叱りたいんだけど・・・・・・」
「その・・・すみません・・・」
「わかっているならそれで良いよ。その代わり、ケガが治ったらマンツーマンで鍛えてあげるから」
「ははっ、ありがとうございます」
乾いた笑みをエリオは零す。
自分の人生はそこで終わるかもしれない。
「エリオくん・・・・」
そして、最後に降りてきたキャロがエリオの前に立った。
今までで一番気まずい空気が流れる。
いったい何を言えば良いのかエリオはわからなかった。
きっと、自分が一番傷つけてしまったのは彼女だ。彼女の信頼を裏切り、
面倒なことは全て押しつけて、自分勝手なわがままを通すために傷つけた。
それは、決して許されることじゃない。
「おっと、話は後にしぃ、キャロ」
はやての言葉が終るか終らないかという内に、ルーテシアの魔力が再び増大していく。
力場の射程からは離れているというのに、その濃密な魔力は肌で感じ取ることができた。
あまりに強すぎて、車酔いにも似た目眩を覚える。
- 516 名前:Ritter von Lutecia 第14話C:2008/02/09(土) 23:21:07 ID:lY618+Rn
- 『八神部隊長、悪い知らせです』
「なんや、グリフィス君?」
『再計算した結果、あの力場を突破することは隊長陣だけでは不可能だということが判明しました。
我々が動くのが少し遅かったようです』
「何とかならへんの?」
『フェイトさんとスバル、ティアナも含めた一斉砲撃ならば、予定通り力場に穴を空けることは可能です。ですが・・・・・』
「飛びこむ子がおらんようになるってことやね」
「あの・・・話が見えないんですけど・・・」
1人蚊帳の外だったエリオに、フェイトは手短に作戦の概要を説明した。
全員の一斉砲撃で力場に穴を空け、そこからフェイトが突入してルーテシアの体内のレリックを破壊して力場を消滅させた後、
周囲のレリックを爆発する前に封印する。だが、力場の出力が増大したせいでそれも不可能になってしまった。
それを聞いて、エリオは考えるよりも先に答えていた。
「僕がいきます!」
この中で、フェイトの次に速く動けるのは自分だけだ。瞬発力ではなのはやスバルに劣るが、
最高速ではまだ負けていない。加速するのに十分な距離を取ることができれば、フェイトの代わりをこなすことができる。
- 517 名前:Ritter von Lutecia 第14話D:2008/02/09(土) 23:22:11 ID:lY618+Rn
- 「それ、本気で言ってるんやな?」
刺のある声ではやては言う。
「なら、まず言わなあかんことあるんとちゃうか?」
言わねばならないこと。
その言葉に、エリオはハッとなる。
そうだ、ここにいる人たちに、自分はどうしても言わねばならないことがある。
フェイトに抱きつかれたりティアナに殴られたりといったゴタゴタですっかり忘れていたが、
本来ならば最初に言わねばならない言葉だ。
「みなさん・・・・ごめんなさい!」
叫ぶようにそう言って、頭を下げる。
こんなことで許されるとは思っていないが、それでもケジメはつけねばならない。
グッと奥歯を噛み締め、エリオは彼女たちからの言葉を待つ。
「・・・・で、みんなどうする?」
「当然、責任はきっちり取ってもらわねぇとな」
「あたしは、もう殴ってスッキリしましたから」
「あたしも気にしてません!」
「はやてちゃーん、みんな同じ意見だよぉ」
誰も責めなかった。
弾劾されることも覚悟していた。
なのに、彼女たちはそれをしなかった。その代わり、全員がエリオに告げる。
最後まで、自分で責任を取れと。
「みなさん・・・・ありがとうございます」
半ベソをかきながら、エリオは深く頭を垂れた。
仕切り直すように、はやては手を叩く。
- 518 名前:Ritter von Lutecia 第14話E:2008/02/09(土) 23:24:22 ID:lY618+Rn
- 「じゃあ、話が決まったところで作戦会議や。確かにエリオやったら穴が閉じる前に飛び込めるかもしらんけど、
レリックの破壊っていう問題がある。あれを爆発させずに一撃で破壊するには、Sランクの魔法が必要なんやで?」
その問いに、キャロが宙を見つめながら答えた。
「それは・・・・多分大丈夫です。わたしの補助魔法で魔力を強化すれば、一時的にでもAAAまでは
底上げすることができるはずです。そこにカートリッジを加えれば・・・・」
最低でもS−。うまくいけばS+まで持っていける。
「なら問題ねぇな。あたしらで道を開いて、エリオが突入。キャロはそのバックアップだ」
「待て」
今度はシグナムが異を唱えた。
彼女はおもむろにエリオの前に立つと、何を思ったのかレヴァンティンで斬りかかった。
その場にいた誰もがアッと声を上げる中、唯一エリオだけがそれに反応できず、右目の前にピタリと剣先を突き付けられる。
「シグナム!」
「シグナム、てめぇ何やって・・・・」
怒鳴りかけたヴィータの声が萎んでいく。彼女も気づいたのだ、エリオの右目が見えていないことを。
「その目では、小さな穴を潜り抜けることはできまい。力場にぶつかってバラバラになるのがオチだ」
「・・・いえ、何とかなります」
「ギン姉?」
「スバル、ウィングロードは足場として使う以外にも使い道があるのよ。ヒントはモノレール」
「え、えっと・・・・・」
「そうか、ウィングロードを穴まで伸ばして、その上をエリオに走らせるんですね!」
スバルに代わり、ギンガの意図を察したティアナが手短に説明する。
「いい? 今のエリオは片目が見えないせいで距離感がうまく掴めていないの。
だから、ウィングロードを目印にするのよ」
あくまで距離感が掴めないだけで、見えないわけではない。ウィングロードを目印にして突っ走れば、
力場にぶつかることなく駆け抜けることができる。
- 519 名前:Ritter von Lutecia 第14話F:2008/02/09(土) 23:26:04 ID:lY618+Rn
- 『みなさーん、議論は構いませんが、あまり時間がないのをお忘れなく!』
通信の向こうでシャーリーが悲鳴じみた声をあげる。こうしている間にも、レリックの暴走は加速度的に進行しているのだ。
あまり悠長にしていては、ルーテシアを助けることもできなくなる。
「議論は終わりや、みんな配置につき!」
「エリオ、これを」
エリオの手に、フェイトはゴツゴツしたものを握らせる。
それは、見慣れた青い腕時計だった。
「ストラーダ!?」
『一両日ぶりだな、兄弟。また随分と品のない格好をしているじゃないか』
どことなく嬉しそうに、ストラーダはディスプレイを点滅させる。
「破損が酷かったから、昨日の内にシャーリーに直してもらっていたんだ。お見舞い持って行くつもりで貰っておいて良かった」
『時間があれば、マッハキャリバーのように強化プランでも提出しようかと思ったのだが、どうも緊急事態のようだったので、
出力アップぐらいしかできなかった。構わないか?』
「そんな、文句なんてないよ・・・・君さえいてくれれば、きっと大丈夫だ」
ストラーダをいつもの定位置である右手首に巻きつける。
シャマルの治療は完璧で、動かすだけでも痛みの走った右腕は問題なく動く。
これなら今まで通りストラーダを振り回すことも可能だ。
- 520 名前:Ritter von Lutecia 第14話G:2008/02/09(土) 23:27:29 ID:lY618+Rn
- 「いけるね、ストラーダ」
『当然だ。君が進む道は私が切り開く、そう誓った』
右腕に力がこもる。
胸の奥から熱いものが込み上げてくる。
自分は1人ではない、こんなにも信頼できる仲間がいる。
それが嬉しくて、エリオは自分でも知らない内に泣いていた。
本当に、今日は泣いてばかりだ。
(ありがとう・・・・・みんな、僕をまだ信じてくれて)
みんなを傷つけた償いは必ずしよう。だから、今は自分を戦列に
加えてくれたこの人たちの期待に応え、目の前で苦しむ少女を助けよう。
自分自身の力で、全てを終わらせよう。
「ストラーダ、セットアップ!」
『Set up』
エリオを中心にベルカ式魔法陣が展開し、黄色の魔力光が彼の体をヴェールのように包みこむ。
瞬時に着ていた手術着が消し飛び、赤い上着と半ズボンへと変化した。同時に空手だった右手に重い金属の感触が伝わり、
それを通じて魔力の渦が体中を駆け巡る。まるで自分が万能にでもなったかのような高揚感、体が軽くなり、力と魔力が全身に満ちていく。
やがて光が消えると、エリオは白いコートを風になびかせ、ストラーダを一閃させる。
そのバリアジャケットには、剥ぎ取られたはずの時空管理局のエンブレムが再び輝いていた。
「いくよ、ストラーダ。これが僕たちの、機動六課での最後の仕事だ!」
『Jawohl Mein Bruder』
to be continued
- 521 名前:B・A:2008/02/09(土) 23:29:45 ID:lY618+Rn
- 以上です。
本当、可能ならストラーダをパワーアップさせたかったんですけど、たった1日じゃ無理だという結論になりました。
色々と案はあったのに・・・・・・。
後、まったく描写していませんけど、エリオの横にガリューがいます。
誰一人として突っ込みを入れていないことに書き上げてから気づきました。
- 522 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 23:29:59 ID:FCZCX0oJ
- >>467
GJです。なんだか熱い展開になってきました。次が楽しみです。
しかしギンガはいつのまにいたんでしょうか?
- 523 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 23:35:21 ID:pFoGmQPr
- >>520GJ!
いやぁ、燃えますなぁ。次がクライマックスですかね?楽しみにしています。
しかし、エリオが六課での最後の仕事って言うようにこの後捕まるのはほぼ確実でしょうね。
でもなのはさんが鍛えてあげるって言ってるのは復帰フラグかな?
>>505もGJ
次登場させるならラグナもいいですね。
まだラグナに負目を感じてるヴァイスをシグナムがどう支えるかとか
お兄ちゃんの彼女にラグナがどう評価を下すかとか、おもしろそうです
- 524 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 23:38:11 ID:QwUd7AJO
- >>521
GJ
ああアツイなあ。青臭いけどやっぱりこれは王道展開
こうでないと
あと六課メンバー食われて空気になったガリューワロス
フェイトさん、せめて貴方は…と思うと笑いがw
- 525 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 00:13:03 ID:4QDzL/be
- >>521
GJ!
熱い展開もそうだけど、何より六課のみんなの懐の深さと信頼の強さに胸が熱くなった
- 526 名前:B・A:2008/02/10(日) 01:04:08 ID:v+6kRbh0
- >>522
描写していないだけで最初からいました。時間軸ではSS04辺りなので、ギンガも退院していますから。
ただ、エリオとはそんなに交流していない(何せ、ギンガは出向してから4日で拉致られ、本編24話終了と同時に
エリオは離反しているので)と思い、特に何も言わせませんでした。
- 527 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 01:16:55 ID:3aIjjXdy
- >521 GJ!だけどこれだけは言わせてくれ……スバルも突っ込んでるけど
ティアナ、殴ってからいうんじゃないwwwwしかもその台詞wwww
そういえば何かでラグナの年齢でてたね。いくつだったっけ……
- 528 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 01:25:08 ID:XQ505j5o
- ラグナ
wikiによると本編の時点で12歳。ヴァイスが彼女の目を誤射した事件が6年前だそうな
- 529 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 01:43:22 ID:YfWVOiz5
- あれ、ヴァイスっていくつだっけ。ティアが16だよな。もしかしなくてもロr(ry
- 530 名前:アルカディア ◆vyCuygcBYc :2008/02/10(日) 01:48:06 ID:uF6Rrjv0
- そろそろ、Little Lancer 四話(JS事件後始末編)投下しても良いでしょうか?
エリオものはもうたくさん、というご意見があるようですので、邪魔なようならほとぼりが冷めるまで待ちます。
- 531 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 01:50:47 ID:DylOafcg
- >ヴァイスの年齢。
7〜8年前からシグナムと付き合いがあるって話だったから20代前半くらいでは?
しかしヴァイスもフラグ結構あるよな、ティアナ・アルト・シグナム、それと実の妹でも数に入れて良いならラグナも。
これって普通に考えてリリなの1番じゃね? さすが中身が倉等の主人公だけはある。
- 532 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 01:51:05 ID:H2rqdGlf
- >>530
とんでもない! すぐにでも読みたいッス!
- 533 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 01:51:39 ID:aCRJSiXD
- 支援・・・お気になさらずどうぞ。
- 534 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 01:51:59 ID:DylOafcg
- マジ早く投下してくれ、もう待ち切れなくてどうにかなっちまいそうだ!
- 535 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 01:53:30 ID:htO6d8Bc
- 投下するもほとぼりが冷めるまで待つも自由さ。
ご随意に。
- 536 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 01:55:38 ID:4QDzL/be
- 個人的にはすぐにでも読みたいです
- 537 名前:アルカディア ◆vyCuygcBYc :2008/02/10(日) 01:56:28 ID:uF6Rrjv0
- Little Lancer 四話です。JS事件編、後始末編です。
相変わらず、お約束通りの平凡な展開です。
注意事項
・非エロ
・原作IFもの
・エリオ主人公(一部分だけ登場)
・軽くとらは3の設定を流用
・鬱展開多し
・展開の、原作からの矛盾点などは虚数空間へスルーして下さい。
・NGワードは「Little Lancer」でお願いします。
- 538 名前:Little Lancer 四話 01/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/10(日) 01:57:29 ID:uF6Rrjv0
- その日、彼女達は罪を背負った―――
エリオ・モンディアルの葬儀は、ミッドチルダ北部の聖王教会本部で厳粛に行われた。
ミッドチルダ全土を震撼させたジェイル・スカリエッティ事件の終結から数日が経過していた。
JS事件は主犯は自殺、実行部隊であるナンバーズは行方不明となった一名を除き全員が逮捕。
最大の脅威であった『聖王のゆりかご』は、大規模災害レベルの次元振動を伴って自壊を始めたが、アルカンシェルの一斉砲撃で次元災害は未然に食い止められた。
砲撃前に生存者は全員の脱出が確認されている。
状況の検証によれば、アルカンシェルの砲撃は正に大規模次元災害の一歩手前のタイミングであり、次元振動を食い止めるために戦った少年―――
エリオ・モンディアルの一命を賭した尽力無くしては、大規模災害は免れなかったであろうと予想されている。
エリオ・モンディアル少年はその功績を讃えられ、二階級特進して『一等陸士』の階級が授与された。
荘厳な教会内に、シスター・シャッハ・ヌエラによる聖王教会聖書の朗読の声が響く。
聖王教会は、教会による聖遺物の紛失に端を発して大規模な騒乱事件が発生し、幼い少年がその収拾の為に命を落としたという件ついて、最大級の謝意と感謝を表明して教会最上級の葬儀を用意した。
ミッドチルダの為に尽力した少年のために、葬儀には多くの弔問客が訪れた。
葬儀は恙無く進行した。
……泣き続けるキャロを、元パートナーというふれ込みでマイクを持って追い回したリポーターが、シグナムに殴り倒されるなどの小さなハプニングは発生したものの……
葬儀そのものには問題なく進行し、多くの参列者が勇敢な少年の死を悼んだ。
「それでは皆さん、故人に最後のお別れを―――」
葬儀のプログラムは無事終了し、献花の時間が訪れた。
最後に棺の中の故人に花を供え、別れを告げるのだ。
最初に、機動六課部隊長の八神はやてが献花を行った。
大束の花束を抱え、淀みの無い歩調で六課部隊長としての威厳を保ちながら棺に向かい。
―――その足を止めた。
棺の中には、故人の左腕の肘から先しか入っていなかった。
故人の顔に当たる部分には遺影が置かれてある。
在りし日のエリオ・モンディアルは、照れたような顔をしてはにかんでいる―――
八神はやては、懸命に震える腕を押さえながら献花を行い、故人に別れを告げて踵を返した。
六課部隊長というはやての殻の下から、抑えられない生身のはやての感情が溢れ出した。
はやては、堪えきれずにわあわあと泣き声を上げながら席に戻った。
その後はクロノ・ハラオウンを始めとする時空管理局や教会の重鎮による献花が行われ、一般の機動六課の局員による献花の時間となった。
高町なのは教導官は、ヴィヴィオを連れて献花に訪れた。
「エリオお兄ちゃんに、バイバイして」
そういうと、ヴィヴィオは不思議そうな目をしてなのはを見上げた。
エリオを遺影を指差して不思議そうに問いかける。
「エリオお兄ちゃん、いないよ? これ、エリオお兄ちゃんの『え』だよね?
どうして『え』にバイバイっていうの?
あっ、エリオお兄ちゃんのおててがあるよ! エリオお兄ちゃん、けがしちゃったの?
ねえ、どうして?、なのはママ?」
少女は、全くの無垢な、純真な瞳で問いかける。
「なのはママ―――?」
そこで少女は、母が顔を抑えて号泣していることに気付いた。
- 539 名前:Little Lancer 四話 02/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/10(日) 01:58:22 ID:uF6Rrjv0
- エリオの直接の上官に当たり、保護責任者でもあったフェイト・T・ハラオウンは、使い魔アルフと母リンディに連れ添われて献花に訪れた。
その顔に、数日前までは多くの六課の男性局員を魅了していた美貌は無かった。
唇は割れ、肌は荒れ果て、目は落ち窪み、その美しい金髪も輝きを失っていた。
あれから、一睡もしてないのは明白であり、食事もまともに採ってないだろう事は容易に想像できた。
老女のような足取りのフェイトをアルフとリンディが引きずるように支えながら、ついにエリオの棺の前に到達した。
「ほら、フェイト、エリオに最後のお別れを言ってあげないと。頑張ったね、って褒めてあげて」
アルフは自身もボロボロと涙を流しながら、フェイトに花束を渡した。
フェイトはエリオの棺に向かい、花束を供えようとしたが―――
「エリオ、ごめ、ごめ……ごめんなさ、……うっ―――」
エリオの遺影を正視することすらできず、口許を押さえてしゃがみこんだ。
そのまま嘔吐にえずくが、胃液すら出ず地に手をつく。
仕方なくアルフがフェイトの手から花束を受け取り棺に供え、またリンディと二人でフェイトを引きずるように戻って行った。
献花は進む。
同じフォワードメンバーのスバルは馬鹿野郎、と言って泣き叫び、ティアナは拗ねたような顔でべそをかいていた。
献花は進む。
ヴォルケンリッター面々は5人で揃い、大輪の花束を供えた。
献花は進む。
果たして最後に残ったのは―――キャロだった。
「ほら、キャロ……最後のお別れ、行かないと」
涙を流しながら俯いていたキャロは、花束を手に立ち上がった。
エリオの棺に歩みより、そっと花束を供えたキャロは、じっと棺の中のエリオの左手を見つめていた。
肘から先しかない左腕は、切断部分に白布が巻かれ、防腐の魔術が掛けられていた。
キャロは回想する。
エスカレーターで躓いて、この手に抱きとめられた出会った日を。
手と手を繋いで、ヘリからリニアレールへと飛び立った初出動の日を。
この手に引かれて、遊びに出かけた初めての休日を―――
「おい、ちょっと、駄目だよ」
キャロは、無意識のうちにそれを持ち上げていた。
エリオから切り離された左手の先は、冷たく、固い、ただの肉の塊だった。
「―――っっ」
キャロは、それを自分の胸に抱きしめた。
周囲の大人達が慌ててそれを止めようとする。
キャロは、涙ながらに訴えた。
「お願いします、もう少しだけ、お願いします―――
かわいそうだから、エリオくん、かわいそうだから―――
だって、だってあんなに暖くて柔らかかったエリオくんの手が冷たくなっちゃって、固くなっちゃって―――
だって、エリオくんの手、こんなに、冷たくないから、固くないから―――
だから、ちょっとだけ、もうちょっとだけ―――」
そう言って、キャロは必死に自分の胸元に、エリオの腕を抱き締めて温めようとする。
……もう、止めようとするものはいなかった。
- 540 名前:Little Lancer 四話 03/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/10(日) 01:59:44 ID:uF6Rrjv0
- 出棺はシグナムに連れ添われて行われた。
シグナムが火葬を執り行い、エリオを騎士として荼毘に付すという意向である。
キャロは霊柩車を見送り、呆然自失としているフェイトの下に向かった。
彼女もここ数日、泣いて泣いて泣き疲れて眠り、エリオが命を落とす悪夢によって、悲鳴を上げて飛び起きるという不健康極まりない生活を送っていた。
だが、それに輪を掛けてフェイトは危険な状態にあった。
眠らず、食事も摂らず、誰かに話掛けられなければ何時までも幽鬼の如き表情で宙を見つめている。
ルームメイトでもあるなのはの手にも余り、アルフとリンディに頼んで身の回りの世話をしてもらっている状態だった。
このままでは、専門家の治療が必要となるかもしれない。
キャロはフェイトに背後から声を掛けようとしたが―――
「人殺し!」
女性の金切り声が響いた。
「この、人殺し!」
再び女性の金切り声が響いた。
それに伴って激しく頬を叩く音がし、フェイトが床に膝をついた。
果たして、Sランク魔導師のフェイトを殴り倒したのは、小柄な中年の女性だった。
女性の名はモンディアル夫人―――エリオの、実の母親に当たる。
「何が、責任を持って育てますから、よ、この大嘘吐き!
エリオを死なせてしまって―――それも、あんな酷い死なせ方をして!
こんな事になるんなら、管理局にエリオを預けるんじゃなかった……!
ああ、エリオ……っ、この、人殺し! 人殺し! 人殺し!」
モンディアル夫人は目に涙を溜めて、フェイトを詰り続ける。
「幾らなんでもそんな言い方は―――」
アルフとリンディが制止しようとするが、それをフェイト自身が押し止めた。
「いいえ、全く以って仰る通りです……
エリオは、私が、殺しました―――
もう、償うこともできません―――」
瞳に光はなく、口もとには薄笑みすら浮かんでいた。
「っっ、何をぬけぬけと、この人殺しが―――!」
尚もフェイトを殴ろうと平手を振り上げるモンディアル夫人の足に、キャロが縋りついた。
「お願いします、もう止めて下さい―――もう、フェイトさんを責めるのは、止めてあげて下さい」
キャロは大粒の涙を零しながら、モンディアル夫人の足にしがみ付いていた。
モンディアル夫人は鬱陶しいそうに足を振り払いながら叫んだ。
「放しなさいよ小娘、あんたにエリオの何が解るってのよ」
「解ります! わたしは、エリオくんのパートナーでしたから!」
キャロも負けじと叫び返す。
「エリオくん、言ってました!
フェイトさんに出会う事ができて良かったって! フェイトさんが本当のお母さんだって!
エリオくんは、エリオくんが大好きなみんなを守る為に戦ったんです。
貴方もエリオくんのお母さんなら―――フェイトさんを責めるんじゃなくて、エリオくんを褒めて上げて下さい。
エリオくんの為にも―――フェイトさんを責めるのは、もう止めにしてあげて下さい」
モンディアル夫人は、それ以上言いかえさなかった。
キャロの言葉を噛み締めるように少女の真っ直ぐな瞳を見つめていたが―――その場でしゃがみこんで、顔を覆って泣き始めた。
エリオ・モンディアルの葬儀の、静かな終わりだった。
- 541 名前:Little Lancer 四話 04/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/10(日) 02:00:23 ID:uF6Rrjv0
- エリオの葬儀から数日が経過した。
驚くべきことに、エリオの一件は尚も人々の話題に上り続けていた。
きっかけは、連日のメディアのJS事件関連の報道の中で、偶々エリオ・モンディアルの話題が取り上げられたことである。
悲劇の少年。
命を賭してミッドチルダを救った小さなヒーロー。
如何にも大衆向けの話題に迎合するようなフレーズに乗せられ、エリオの話題はメディアに流された。
都合の良いヒーロー像を被せて、面白可笑しくエリオの死に様を報道するメディアに怒りを覚える六課の局員も多かった。
だが、その大部分は、誇張されたエリオの報道を聞くたびに悲しそうに目を伏せるだけだった。
キャロも、その一人である。
(……本当のエリオくんは、そんなのじゃあ、なかったよね)
今も、覚えている。
正義感が強く、少しだけ恥ずかしがりやで、いつも優しくて、―――どこまでも真っ直ぐだった少年のことを。
右腕には、待機状態のストラーダが巻かれている。
あの日、エリオの腕を抱き締めて泣きじゃくり、放すことができないキャロになのはが渡したものだった。
なのはは、キャロからエリオの腕を受け取ると、その手首に待機状態のストラーダを巻いて言ったのだ。
『これで、ずっとエリオと一緒だよ』
と。
キャロは、右手首に仄かにエリオの体温を感じていた。
だが、六課の内部では、エリオの名は一種のタブーとなっていた。
いや、タブーと言うならもう一つ、ナンバーズの4、クアットロもである。
原因は語るまでもなく、クアットロがエリオのストラーダに乗せて、各自のデバイスに送った通信である。
シャーリーが分析して解った結果であるが、スカリエッティは六課で使用されるデバイスの分析を行っていた。
量産型のストレージデバイスではなく、個人用に開発されたインテリジェントデバイスやアームドデバイスの解析が主だった。
それらのデバイスの持ち主の間では、エリオの壮絶な散り様が小さく話題となった。
ストレージデバイス使用者や、デバイスを持たない非魔導師の局員はその内容を知りたがった。
だが、該当するデバイスの持ち主は揃って口を噤み、頑なに語ろうとはしなかった。
彼らは知りたがった。
メディアのような下種な好奇心ではなく、感謝を籠めて知りかったのだ。
自分達が、どのようにして僅か10歳の少年に救われたのかを。
彼等の多くは、シャリオらの所属する通信課に、該当する通信記録の貸し出しを申し出た。
そしてそれは受諾された。
それを目にした彼等の全ては―――見てはいけないものを見た事を、激しく後悔した。
貸し出しが始められてから、目に見えて六課の士気が低下したので、すぐに通信記録の貸し出しは禁止されたが、既にコピー品が出回った後だった。
閲覧した局員は韜晦した―――自分が幼い子供を生贄にして生き延びていることを悔やんだ。
女性局員の多くは―――隊長格でさえも、エリオの名を聞くだけで目に涙を浮かべるので、六課内でエリオの名を上げる者は絶えた。
クアットロの名も又同様だった。
ある時、六課の食堂でこんな会話が成された。
『あー、あの糞女、名前何だっけ? くあ、くあ……』
『クアットロだよ、馬鹿』
『ああ、そうだ、クアットロだったな、クアット―――』
周囲にいた、屈強なロングアーチの男性陣が一斉に席を立った。
彼は一言、『飯が不味くなる』とだけ言い残して食堂を去った。
こんな事が幾度か繰り返され、六課でエリオとクアットロの名を公衆の面前と呼ぶものは絶え、その名称は少しずつ風化していった。
だが、それらの名を決して風化できぬ者たちもいた。
機動六課部隊長、八神はやてもそんな者達の一人だった。
そんな彼女の元に、一通の召集状が送られてきた。
聖王教会の騎士、カリム・グラシアからの召集令状だった。
- 542 名前:Little Lancer 四話 05/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/10(日) 02:02:44 ID:uF6Rrjv0
- 機動六課部隊長、八神はやては円卓越しに聖王教会の騎士にして占い師、カリム・グラシアと向かいあっていた。
「それで、今回の召還は如何なる御用件でしょうか?」
時空管理局本局の執務官、クロノ・ハラオウンが答える。
「騎士カリムの今回の占いの内容が、君達機動六課に深く関わるものかもしれないんだ」
「? 騎士カリムの占い―――「預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)」は、二つの月の魔力の関係で一年に一度しか使用出来ないという話ではありませんでしたか?」
「それが、今回の次元振動の発生によって、月の魔力の干渉が変化し―――不完全ながらもスキルを使用することができたのです」
……と言っても、ほんの2ページ程度でしたが。
そう付け加えて、騎士カリムははにかむように笑った。
クロノは咳き払いをして続けた。
「これが、その問題の予言―――その意訳になるんだが―――」
そう言って、クロノは苦虫を噛み潰したような顔をした。
その予言の内容を覗き込み―――はやては、己のうなじの毛が逆立つのを感じた。
『胎に魔王を孕みし機(はたらき)の人が、時の裂け目へと落ち延びる』
『幼き槍の遣い手が、魔王の率う人でないものの軍勢に抗う先駈けとなる』
はやては唇を震わせる。
「これ、これは……」
「矢張りこの予言は不完全なようで、二番目の予言は通常の予言なのですが、一番目―――
これは、月の魔力が乱れた当日、つまり、JS事件にあった出来事を表現していると考えられます。
機動六課部隊長八神はやて、貴方はこの占いの内容を解釈することができますか?」
「これ、は……」
「その件に関しては我々がお答えします」
返答に詰まるはやてに代わって、シスター・シャッハに連れられて二人の人物が返答をした。
「ユーノ君! 、マリー!、どうして!?」
「遅れて申し訳ありません、騎士カリム。無限書庫での該当書類の検索に手間取ってしまいまして」
「いいえ、無限書庫司書長ユーノ・スクライア、ご協力を感謝します。メカニックマイスター、マリエル・アテンザも」
ユーノは一抱え程もある書類を卓上に置き、断言をした。
「『胎に魔王を孕みし機(はたらき)の人が、時の裂け目へと落ち延びる』
という予言の内容は、スカリエッティの戦闘機人のナンバー4、クアットロが胎内にスカリエッティを宿し、
次元振によって発生した虚数空間を使用して逃げ延びた件に、間違い有りません」
「詳しく説明をお願いします。まずは胎内にスカリエッティを宿しという点から。主犯スカリエッティは自殺とされていますが―――」
「その点には私がお答えします」
マリーが返答をした。
「私達はJS事件に於いて実行犯となった戦闘機人の体を徹底的に調査しました。
その結果―――子宮内部に、不可解な受精卵を発見したのです」
「不可解な受精卵?」
「受精卵というより、クローン胚と言った方が正しいでしょうか。
魔術処理を施されたそれは、ジェイル・スカリエッティと全く同じ遺伝子パターンをしていました。
それらは、スカリエッティの任意によって分裂を開始し、通常の人間の妊娠/出産とは比べ物にならない速度で成長します。
使用された魔術式は余りに高度で完全解読は不可能でしたが―――恐らく、スカリエッティの記憶を完全に転写するものと考えられます。
つまり、スカリエッティは死んでも無限に転生を繰り返すのです」
―――無限に転生を繰り返す。
そのフレーズに、はやては底知れない不快感を感じた。
それは、自分が以前関わった闇の書の自己防衛プログラムと同様の性質だったからだ。
「成る程。では、時に裂け目に落ち延びるというのは?」
「字の通りです。スカリエッティの母胎となったと推測される機人、クアットロが自ら虚数空間に飛び込んだ件を指します」
「虚数空間は一度落ち込めば二度と出られない空間では?」
今度はユーノが、暗い面持ちで続けた。
「クアットロの使用したロストロギア―――ジュエルシードを使用すれば可能です。
10年前、私が関わったPT事件でも、主犯のプレシア・テスタロッサはジュエルシードを利用して虚数空間を移動しようと試みました。
その試みは、アルハザードという有るかどうかも解らない場所を目指すナンセンスなものでしたが―――
予め行き先の時空座標を定め、それをジュエルシードに刻み込めば、虚数空間の通行は可能です。
ただ、大きな危険が伴うことは間違いありませんが」
一同の間に、嘆息が漏れた。
- 543 名前:Little Lancer 四話 06/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/10(日) 02:06:02 ID:uF6Rrjv0
- クロノが続ける。
「この予言の内容から察するに―――うまうまと逃げ延びたと考えるのが妥当だろうな」
「はい、前後の状況と、虚数空間に身を投げるまでのクアットロの発言にも一致します。
―――クアットロの人格からして、自殺の前の悪ふざけという可能性も否定できませんでしたが―――
逃げ延びたと見て、間違いは無いようです」
「まあ、……あの女があれでくたばるとは、うちも思っとらんやったけどな」
はやては語調に怒気を含めながら―――冷たい表情でそういい切った。
この場に居る全員は、エリオの散り様と、クアットロの非道を知っていた。
「はやて、エリオ君の事は本当に―――」
「いいえ、エリオ・モンディアルの死は全て私の不徳です。
機動六課部隊長の名に於いて、エリオの死は私、八神はやてが背負います」
はやては事務的な口調でそう断言した。
その瞳には、断固たる決意と悲しみがあった。
一同ははやての決意の重さを受け止め、それ以上の言及はしなかった。
「次いで、二番目の予言についてですが……」
一同は、困ったような表情をした。
皆考えていることは同じだろうが、口に出していいものかどうか解らない、そんな表情である。
「『幼き槍の遣い手が、魔王の率う人でないものの軍勢に抗う先駈けとなる』
この、『魔王の率う人でないものの軍勢』は、最初の予言からも連想できるように、スカリエッティの軍勢でほぼ間違いないでしょう。
問題は、この、『幼き槍の遣い手』が誰かという点についてのですが―――」
「エリオ・モンディアルでは有り得ないでしょう」
誰よりも信じたいはやては、その可能性を真っ先に切って捨てた。
- 544 名前:Little Lancer 四話 06の2/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/10(日) 02:08:14 ID:uF6Rrjv0
- 「状況的にエリオ・モンディアルを連想させられますが、現場の影響と、状況を合せて考慮した場合―――
……生存の可能性は、ほぼ、ゼロです。
出血量も致死量に達しており、その後心臓へのナイフの一撃。
その上虚数空間に投げ捨てられてとあっては―――勿論エリオはジュエルシードを所持していませんでした。
借りに船内に居残っていたとしても、あのアルカンシェルの一斉射撃では―――
どう考えても、エリオ・モンディアルでは有り得ません」
その言葉を全員ははやての決意の証として受け入れた。
誰よりも、喩え一万分の一の確立だろうとエリオの生存を信じたいはやては、率先してその可能性を否定した。
その、優しさによって。
はやては、有るかどうかも解らない可能性に期待を持たせることの、残酷さを知っていた。
フェイトの―――廃人のようになってしまった、親友の姿が目に浮かぶ。
エリオの生存の可能性を伝えれば、フェイトは立ち直るかも知れない。
キャロも、再び笑顔を見せるかも知れない。
だが。
エリオの生存の可能性を知った彼女達は、エリオを待つだろう。ずっとずっと待つだろう。
彼女達は、あの新暦75年9月19日に留まって、ずっとずっとエリオの帰還を待っているのだろう。
―――そんなことは、出来なかった。
彼女達の人生を、前に進めてやらなければならないのだ。
自分は、機動六課の、部隊長なのだから。
そんなはやての想いを正確に汲んだのか、カリムは一度だけ大きく頷いた。
「はやて。貴方にはこの『幼き槍の遣い手』が誰かということを調べてもらいたいの。
勿論、予言なんてあやふやなものだから、片手間な調査で構わないわ。
もし誰か判ったら―――その可能性を発見したら、報告をよろしくね」
カリムはそう締めくくり、その日の会合は終了となった。
はやては六課へと帰還し、鬱屈した気分を晴らすために、周囲への散歩で出かけた。
そして訓練場の傍を通りがかった時、奇妙なものを見つけた。
槍を持った少女だった。
エリオのデバイス・ストラーダを発動させたキャロが、足元をふらつかせながら突きを繰り返していたのだ。
「……そんな筈、あらへんわな」
自分こそが信じたかった、エリオ生存の可能性が完全に潰えたのを感じた。
枯れ果てたと思っていた涙が一筋だけ流れた。
その後、はやてはカリムへと一通の報告書を送った。
曰く、
『幼き槍の遣い手は、キャロ・ル・ルシエの可能性有り』
機動六課は一年で解散となる予定の実験部隊だったが、JS事件の実績と―――
表には出なかったが、この日の会合の内容の考慮の結果、運用期間の延長が決定された。
- 545 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 02:09:58 ID:aCRJSiXD
- 支援
- 546 名前:Little Lancer 四話 07/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/10(日) 02:10:21 ID:uF6Rrjv0
- カリムからの召集の次の日、八神はやては自室にてヴォルケンリッターの全員を招集した。
そして、クアットロの生存と、近い将来に於けるスカリエッティの逆襲を告げた。
シグナムが神妙な顔で頷いた。
「仰る通りです。主はやて。身を投げた時のクアットロの顔は、死にに行くものの表情ではなかった。
奴らは必ずや―――再び我らに牙を剥くでしょう」
はやては頷いて続けた。
「そこで皆に頼みがあるんや。
機動六課部隊長としての頼みやない。夜天の書の主、八神はやてとしての頼みや。
……聞いて、くれるか?」
「何なりと」
「今更だな、おい。さっさと命じろよ、はやて」
「私達は、みんなはやてちゃんの味方ですう」
はやては暫く俯いていたが、きっと顔を上げてヴォルケンリッターの面々を見渡した。
「あの女―――クアットロは、遠からず現れる。
あの女が再び現れたら、あの女を……討ってほしい」
静寂。
ヴィータが呆れたような顔をして立ち上がった。
「安心したぜ。あの糞女を生け捕りにしろなんて言われたら、命を破る羽目になってたぜ。
あの馬鹿―――あたしの手伝いに向かおうとした所を、バッサリやられたんだってな。
あたしは―――また、守れなかった訳だ。
せめて仇でも討たないと―――このあたしの気がすまない」
ヴィータはそういい残して踵を返した。
「私もヴィータに同感です。必ずはあの外道はこの手で―――」
そう言って、シグナムも去った。
ザフィーラもシャマルも同様の意志を残して去った。
部屋には、はやてとリインUだけが残った。
「やっぱり、みんな怒ってるですぅ。
もちろん、リインも怒ってるですぅ。
だって、だってあんなの酷すぎるですぅ!
あれじゃ、エリオ君あんまりにもかわいそうですぅ!」
そう言って、リインUははやての胸元に飛び込んでぐずぐずと泣いた。
はやては、リインの背中を撫でながらぼんやり宙を見つめていた。
法を守る六課の部隊長で有りながら、配下に殺人を依頼するという言語道断の行為。
だが、そうでもしなければこの胸に燻る思いを抑えることができなかったのだ。
シグナムは、アギトを連れて無言で廊下を歩く。
あの日のクアットロの不快な笑い声は、今も耳の奥に染み付いている。
『わたしは仇討ちなんてしません。……きっと、エリオくんが喜ばないから。
でも、これだけは言っておきます。
―――あなたは、人間じゃ、ない』
そして、あの日のキャロの言葉。
キャロは、自分より遥かに純粋で高潔な魂を持っていると知った。
そして、自分がキャロになれないことも。
キャロが―――喩えエリオ自身がクアットロを許そうとも、自分は決してクアットロを許せない。
あの皮肉げな笑い顔を、叩き割らなければ気が済まない。
「アギト、済まないな。今の私は正義の騎士でも何でも無い。―――只の復讐鬼だ。
あのクアットロを討ち次第―――私を焼き殺してくれ」
アギトは口を尖らせた。
「馬鹿か、お前? あの外道を討つことが正義じゃないなら、この世にどんな正義があるんだ?
あの腐れ女、あたしが消し炭になるまで焦がしてやるよ」
シグナムは一度だけ立ち止まると、「済まない」と言って、再び長い廊下を歩いて行った。
- 547 名前:Little Lancer 四話 08/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/10(日) 02:13:06 ID:uF6Rrjv0
- ティアナ・ランスターは、ルームメイトのスバル・ナカジマが、夜になると何処かへ外出していくことを知っていた。
あの熱血馬鹿のこと、どうせ秘密の特訓でもしているのだろう。
そう思って、数日間寝て過ごした。
彼女は他人に対して必要以上の干渉をすることを嫌うのだ。
―――だけどまあ。
なのは教導官へ目にもの見せるために秘密の特訓してた時、手伝ってもらった借りもあるし。
あの秘密の特訓の結果はほろ苦いものに終わったけど、借りは借り―――
ティアナは忌々しげに首を振って飛び起きた。
「そう、借りを返すだけなんだからね! あんたの事なんて、これっっっぽっちも心配じゃないんだからね!」
猛りながら、そう言って上着を羽織って外に出た。
ティアナの予想の通り、スバルは訓練場に居た。
「何やってんの? って聞くまでもないか? 何の練習?」
「ティア……」
振り返ったスバルの顔を見て、ぞくり、と、した。
何処か、尋常ではない。
「うん、必殺技の練習」
「必殺技ねぇ〜?」
軽口で聞き返すが、喉が震える。スバルの表情は、どうみても、尋常ではない。
「あたしの必殺技。―――見ていて」
リボルバーナックルが唸りを上げる右拳が、虫の羽音のような響きを上げて突き出された。
「あたしの必殺技。振動拳っていうの。戦闘機人を壊す為の、必殺技」
瞳を金色に爛と輝かせるとスバルの姿は、普段の彼女の明るい姿は連想もできなかった。
「あんた、この技は―――」
「うん、あたしの戦闘機人としての先天固有能力、振動粉砕。
この能力はね、戦闘機人を壊すのに、最も適した能力なの」
「あんた、こんな技を練習して、何を壊すつもりなの?」
「あたし」
ティアナは、息を呑んだ。
- 548 名前:Little Lancer 四話 08の2/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/10(日) 02:13:52 ID:uF6Rrjv0
- 「ティアも見たでしょ。あのクアットロっていう戦闘機人。
あたしね、あれを見て思ったんだ。ああ、あたしもあんなのと同じ存在なんだって……
そう思ったら、途端に自分が汚らしいものに思えてきて止められなくて―――
それで、どうしようもなくて、自分を壊せる技を練習してたの」
瞬間、ティアナがスバルを殴り飛ばした。
「この馬鹿スバル! 馬鹿だ馬鹿だとは思ってたけど、ここまで馬鹿だとは思わなかったわ!
あんたがあれと同じ? 笑わせんじゃないわよ!
あのねえ、あんな人間とは思えない外道の大半はね、普通の人間の中にいるの!
あんたは偶々それを自分に近い生まれの存在の中に見つけただけじゃない!
今度はあんたがなのはさんに頭冷やしてもらいなさい!」
ティアナに怒鳴りつけられたスバルはぽかんとしていたが、照れたように頭を掻いて、
「それはちょっと遠慮したいな」
と言った。それは、ティアナの知っているスバルの姿だった。
ティアナはスバルの肩を掴んでなおも続ける。
「聞いて。腐ったやつなんてどこにでもいるんだから。
エリオのお葬式でね、あたし、聞いたの。
『殺されて取り逃がしたんじゃ、役立たずの餓鬼じゃないか』
って言ってるのをね」
スバルは一瞬で激怒した。
「どこのどいつよ!? 教えて、あたし今からブン殴ってくる!」
「……止めときなさい。義理で出席してただけの、陸上本部の偉いさんよ。殴る価値も無いわ。
エリオがどれだけ頑張って戦ったのかは、あたしたちが知ってればいい。
でもね、あたしも本当に悔しかった。―――ちょっと、お兄ちゃんのこと、思い出しちゃってね」
「あ……」
「あたしはね、あたしだけじゃなくて、あたしの身の回りの連中も含めてね、役立たずなんて言わせない。
もちろん、あんたも。
自分を壊す特訓なんてしてるあんたは、最高に役立たずよ。
もっと建設的な特訓になさい。それならちょっとぐらいはつきあってあげるから」
スバルはしゅんとうなだれた。
「ごめんティア、あたし馬鹿だった」
「解れば良し。振動拳、技のコンセプトはいいんだから使い方を工夫してみましょ。
たとえばバリア崩しとか―――」
その瞬間、空を金色の魔力の輝きが翔けた。
「え……あれって……」
「なのはさんの、エクセリオンバスタ〜???」
- 549 名前:Little Lancer 四話 09/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/10(日) 02:14:36 ID:uF6Rrjv0
- 高町なのはは、独り宙に浮かんでいた。
その掌の中には、彼女の悔い―――使い残した、カートリッジマガジンが収まっている。
このマガジンを見るたび、彼女は自責と悔恨に襲われる。
エリオ・モンディアルは死んだ。それは、誰の罪?
―――問うまでもない。それは、自分の罪だ。
あの日、なのははクアットロの居場所の特定に成功していた。
あの日、ブラスターシステムを極限まで使用すれば、玉座の間から制御室を直に狙うことが出来た。
そう、自分のエクセリオンバスターなら、それができたのだ!
確かに、それが危険な手段だったことは否めない。
ブラスターシステムをあれ以上使用すれば命の危険も伴うし、壁抜きでの攻撃はエリオを巻き添えにする可能性が高い。
更に、あの時、エリオの戦いに気を取られていた自分はヴィヴィオの攻撃で大ダメージを受けていた。
危険な賭けは、避けるべきだったと。
あの時、壁抜きを使用しなかったのは正しかったと、今でも思う。
それでも、もし使えば。
もしも使っていれば、あのクアットロの凶行を止め、エリオを救うことが出来たかもしれないのだ!
だが、もう、遅い。
消えた命は戻らない。
なのはは思う。愛娘のことを。廃人のようになってしまった友人のことを。残された生徒達のことを。
自分は、あの時秤にかけてはいけないものを秤にかけ、エリオよりヴィヴィオを取ったのだ。
今の自分にできることは、エリオを思うことではない。
愛娘ヴィヴィオをエリオの分まで愛情を掛けて育て、エリオも愛したであろう友フェイトを救い、フォワードメンバーのエリオの抜けた穴を塞ぐのだ!
それでも。
それでも、あの時、自分が、エクセリオンバスターを使っていたならば―――
『Blaster 2nd.』
悔恨を振り払うように、レイジングハート・エクセリオンを機動する。
ブラスターシステムを起動し、カートリッジをチャージする。シャマルに見つかったら、大目玉だ。
それでも、この一発であの日の悔恨を振り払えるように。
何時も通りの自分であれるように。
『Excellion Buster』
あの日撃てなかった一撃を、空に向かって撃ち上げた。
- 550 名前:Little Lancer 四話 10/10 ◆vyCuygcBYc :2008/02/10(日) 02:15:18 ID:uF6Rrjv0
- 女は、空を見上げていた。
女は、子を孕んでいた。
その腹は尋常の妊婦とは異なり、成人男性一人が入るほどまで腫れ上がり、熟しきっていた。
ヒトガタを掛け離れた異形の妊婦―――
「もうすぐですわね、ドクター」
女は愛しげに腹を撫でる。
人には見えぬその姿は、どこか、産卵の為に特化した女王蟻の姿にも似ていた。
「ナンバーズもゆりかごも、ドクターが用意したもの。
―――ドクターさえ居れば、何度でもやり直せる」
女は、自分がいたぶり殺した少年のことを思った。
頬が上気し、恍惚とした吐息が漏れた。
「あの子―――最高だったわ。また、逢えるかしら? あんな子に―――」
そう言って、竜召還師の少女の最後の一言を回想した。
『あなたは、人間じゃ、ない』
回想し、くすくすと押さえ切れない笑みを漏らした。
「そう、そうそうそう、あの娘がいたわね。可愛い可愛いキャロ・ル・ルシエちゃん。
ああ、なんて健気で、純粋無垢で、可愛らしいのかしら。
青い果実って、どうしてあんなに美味しそうなのかしら―――」
ああ、と淫靡な喘ぎごえを漏らす。
「この私、ナンバーズ4のクアットロは、偉大なるジェイル・スカリエッティの娘であり母となり妻となる―――」
何と眩い未来だろう―――
但し、小さな気掛かりが一つだけ。
次元移動に使用したジュエルシードは時空管理局に悟られぬよう、封印処理を施して胎内に隠してある。
それが―――
「ん〜、どうも、一個だけ足りないのよね〜。
ゆりかごの中に落っことして来ちゃったのかしら。
でも、もう今頃アルカンシェルで木っ端微塵になってる筈だし、ま〜いいか」
女は目を細めて空を見上げる。
第97管理外世界の夜は、中々に心地良いのだ。
- 551 名前:アルカディア ◆vyCuygcBYc :2008/02/10(日) 02:16:46 ID:uF6Rrjv0
- 四話はここまで。今回は戦闘は抜きの群像劇を目指してみました。
次回は、過去編の最終回(予定)です。
鬱鬱とした話が続いていますが、そろそろ好転……すればいいな。
次回*「キャロちゃん槍を持つ」の巻き
- 552 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 02:17:33 ID:Jg2+t/8N
- >>551
おつ
続きを楽しみに待ってます
- 553 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 02:17:57 ID:OLc/zhye
- >>551
GJ
葬儀のところで涙出たわ・・・・・b
- 554 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 02:18:42 ID:4QDzL/be
- >>551
GJ
相変わらず重い…しかし続きが楽しみだ
- 555 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 02:22:22 ID:ctx37Cvw
- >>551
いいね、内容が濃い濃い。
GJ!
そして、とても評価したいのはエリオママをしっかり出してくれた事と、 や っ ぱ り 地 球 だ よ な ! と言う事。
- 556 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 02:24:08 ID:6g+yIo4u
- 乙
しかしエリオの母親の発言と言うか状況についてちょい疑問があるが他の人が突っ込む・・・かな・・・?
とりあえず・・・文句言える立場とは思えませんがね<モンディアルの親御さん
まぁ、葬式の時だけ親戚面するのは良くある事かwwwwwリアルだ・・・
- 557 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 02:25:07 ID:htO6d8Bc
- >>551
胸が痛くなる所も多かったけど、引き込まれる文章だGJ。
つーかクアットロ、よりにもよって地球にいるのかよう…。
- 558 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 02:26:08 ID:aCRJSiXD
- GJ!!です。
よりにもよって地球か・・・。
クアットロの邪悪さに凄みを感じたw
- 559 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 02:30:52 ID:DylOafcg
- 最高としか良い様が無い、マジでGJだぜ。
この心の底に刺さって抜けない、ささくれの何と心地良いことか……痛いのがこんなに気持ち良いなんて知らなかったよ。
六課の皆々が心砕けて泣き喚きのた打ち回る様なんて、苦痛で悲惨で陰鬱でなんとも重くそして例えようが無いくらいに甘美だ。
できればこの空気を最後まで失わずに進んで欲しいと思いつつも奇跡や救いが欲しくもある矛盾で胸が一杯です。
- 560 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 02:42:51 ID:htO6d8Bc
- そしてもう442kbじゃないか
このスレの命も長くはないな
- 561 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 02:48:48 ID:v+6kRbh0
- >>551
GJです。
モンディアル母。それだけ言える気概があるならエリオ手放すなよ! フェイトさん・・・この人は幸せになるか病んでしまうかの両極端なSSしかない気が・・・。
そして、クアットロの描写を読んだ瞬間、映画「エイリアン」を思い出しました。個人的には、腹を突き破って生まれてきて欲しいですね。
誤字
×:振動粉砕→○:振動破砕 (8/10)
- 562 名前:アルカディア ◆vyCuygcBYc :2008/02/10(日) 02:51:34 ID:uF6Rrjv0
- >>556
仰る通りです。『あんた、どう考えても口出しできる筋合いじゃないよね』
ってところで茶々入れてくる親戚のオバサンをイメージしてみました。
>>559
お褒め戴いておきながらこんな事を申し上げるのは心苦しいのですが……
その……、このテの嗜好には余り深嵌りしない方がいいです。本当に。(経験者談)
- 563 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 03:04:12 ID:vEsthJZo
- >>521
GJ!
王道的展開だが、実に熱い!!!読んでてテンション上がりまくった。
仲間ってのは大切にしないとな。
本当に6課メンバー全員イイ人がそろってるよなあ
個人的にはもっと続けて欲しいぞ
>>551
GJ!!
こちらの話で一気に欝になった。眼鏡くたばれ
シナリオがよくできてるから余計に欝になる。でも続きが気になるというもどかしさ
個人的にはやはり最後には奇跡が起こって欲しい!
それと>>489の通り、一部のアンチの仕業だから気にせず続けて欲しい。
つかここで止められるのは辛すぎる
- 564 名前:y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2008/02/10(日) 03:08:32 ID:dJo2gFMa
- >>551
言葉のチョイスとらしさがスゴイいいですね
一読者として最後まで楽しみにしてます
でこっそり少し投下します
・エリオ隊長の続き(またエリオです、すんません、しかも間空いたry)
・イフ世界、フェイトさん亡き後、エリオ主人公、嫁ティアナ
・エロ無し(次回は少し入る、かも)
- 565 名前:y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2008/02/10(日) 03:09:53 ID:dJo2gFMa
- エリオ達の未来
@終わりの始まり
…―ベルゴ共和国へのお乗りのお客様3番ゲートにお急ぎ下さい、なおこの便は途中―
空港の雑踏の中を行く小さな影、少女があった
コツコツとやや急ぎ足で人波を縫って行く
その瞳には僅かに険があった、またその眼は少女と言うには少々鋭すぎたかもしれない
冷ややかな眼差しは獲物を仕留める熟練のハンター、捕食者のようだった
か細いとさえ思われる肩は、しかし堂々と風を切るようで
思わず正面に立っていた中年男性はその圧力に身を引いて道を開けてしまったほどだ
何やら殺気じみたようなものさえ感じられた
「………」
それに気がつく様子もなく、もしくは関心も無く無言で足を進める少女
そんな些事はどうでもよかった、それどころでは無いのだ、さまざまな、色々な事を考えていた
ここまでの長き月日の事、待った時間、無駄にした時間、考えた時間、闘って、闘って…
これまでの行動、今朝の行動、これから、不安、期待、懐かしさ、そして…気がかりな事…
(気がかり…?……いや)
違う、小さくチンクは否定した
わたしはいつもと変わらなかったはずだ、何も、そう、いつもどうりだった
歩をさらに早める
部下達に指示を出してその足でここまできた、そういつものままだ
もともと私物などほとんど無かったし、普段他人との交流も無い、休日にやっていた事と言えば部屋で読書
ただそれだけだった、付き合いなど赤い頭のバカ者とその嫁、もしくは青い頭のおせっかい焼き、そのぐらいだ
(あとはアリシアぐらいか…)
そうだ、借りていた本もなんとか言う保育施設の門の前に置いてきた
あれは青…スバルから紹介されたのだったか、あそこの園長…何と言ったか、たしか6課の元…
(だが気取られるようなほどのものは無かったはずだ…)
色とりどりの頭が行きかう中、それでもたいそう良く目立つ、白く流れる髪
少女は明らかに普段より不機嫌だった、自分ではその理由が解らなかったが
無意識に考えようとしない原因によって、それでも潜在意識が形を形成して口元がボソボソと呟いた
(…アリシアは…指揮を任せるには…あと3年はかかるだろうな…)
エリオと同じ髪の色の娘の事が頭を掠めた、血縁関係は無いのにな
性格は全然違うのになぜか妹のノーヴェを思い出した
なぜだろうなー
そしてふいに少女はピタリ歩みを止め顔を上げた
独眼―少女―チンクは搭乗口に向かうエスカレーターの手前で立ち止まっていた
その視線の先に一人の若い男が佇んでいた
「…何だ貴様は…」
男は静かに一礼した、白を基調とした制服に身を包んでいる、明らかに空港の職員のものではない
「チンク―特別強襲機動隊、隊長―でいらっしゃいますね?」
「………」
それは質問では無く確認だった、男はにこやかに人懐こい笑みを浮かべながら歩み寄った
肯定と受け取ったらしい
若そうに見えるが物腰が落ち着いているな…見た目より案外歳がいっているのかもしれない
チンクはそう男を値踏みして、心中身構えた
- 566 名前:y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2008/02/10(日) 03:10:20 ID:dJo2gFMa
- 柔らかそうな薄いパープルの髪と同じ色のこちらも柔らかな眼差しがチンクを見つめた
(管理局の制服か―しかし『現場組』…ではないな)
スマートで背は高いが戦闘向きとは思えない
「失礼ですが、少々お時間よろしいでしょうか?」
男は切り出した
「いや…悪いがこちらも急いでいる、そもそも貴官の名前も知らないのでな失礼して―」
不機嫌そうに横を向いたチンクに素早く男は頭を下げた
「これは失礼しました」
男は頭を軽く掻くとカツンと踵を合わせてチンクに敬礼した
「………」
チンクも仕方なしに踏み出しかけた足をとめた、チラリと発着の電光板を眺めた、もうあまり時間が無い
「自分は…グリフィス・ロウラン、現在は技術将校を勤めさせて頂いています」
今後お見しり置きを…そう続けまた頭をちょっと下げチンクを見た
チンクは無言でその柔和な瞳を見返した
「…悪いが先にも言ったように急いでいる、用件があるなら隊の方に回しておいてくれ
グリフィス…あぁ…」
チンクはめんどくさそうに手を振った
「…一等陸佐であります」
「…グリフィス一等陸佐、ではそういうわけだ急ぐので失礼する」
そう言って手を挙げ、通りすぎようとするチンクの前に再度グリフィスは素早く回り込んだ
表情は笑顔のままだが、通すつもりはまるでないとその顔と体全体の態度が言っている
「おまえ…」
「…失礼ですが本局にはチンク隊長がこちらにいらっしゃるご予定があるとは聞いておりませんが…?」
口調は丁寧だが尋問調だ
ちっ、チンクは内心舌打ちした、がすぐに気を取り直して冷静を装った
「…あぁ…極秘任務…だ、が、そちらでも捜査内容を知っているものは一部だけでな…そういうわけだ任務ご苦労…通してもらおうか」
チンクはややイラっとして再度その傍らを通り過ぎようと足を踏み出した、その手をつかまれた
「まぁまぁ…そうおっしゃらずに、どうですか?とりあえず、そちらのカフェで落ち着いてお話を…」
バッ
チンクは力を込めつかまれた手を振り解こうとした、しかしその手はしっかりと握られたままだった
我慢の限界が喫水線に近かった、その時搭乗予定の機のアナウンスが流れ
チンクはあっさりと平和的手段を放棄して強硬手段に訴えることにした
「ほぅ、これは陸佐…なかなか良い趣味をしているな…」
そう言ってずいとグリフィスに近づくと自分の腕をつかんでいる男の腕時計を軽くひたりと触れた
ついで「何を…」と言いかける男をいきなり突き飛ばした
少女の細腕とはいえ、不意を突かれヨロヨロと後退したグリフィスに冷然と言い放つ
「そうか…なら私の事は…よぉく知っているだろう、話は早い…その時計爆発すれば貴様の腕など簡単に吹き飛ぶ…」
「な、何をチンク…隊長」
男はさすがに驚いているようだ、さっと表情が青ざめた、そこまでの反応は予想外だったのだろう
それはそうだろう、自分もここまでするつもりはなかった
あちらに着くまでは『元』特機隊長チンクとして大人しくしているつもりだった
…スバル達にも必要以上に迷惑もかけたくなかった、だが元々、それにもう私は…チンクは自嘲気味に微笑んだ
男には危険な微笑に見えただろう、その表情にもふいに可笑しさを感じた
呆然としている男にふいと近づくと冷然と微笑み、その顔を優しく撫でた、男はビクリとした
「オマケだ、そのメガネも無い方がいい男じゃないのか?…いいか、顔を吹き飛ばされたくなければ
…私の姿が消えるまでここを動くなよ…」
- 567 名前:y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2008/02/10(日) 03:10:41 ID:dJo2gFMa
- 機が飛び立ってしまえばあとは国境の向こうだ、広大なミッドチルダ世界では、周辺地域は統治体制がまるで違う
管理局といえど中立地帯まではうかうかと人員を配備できない、また局の常として人員も未だ不足していた
「…では命が惜しくば彫像のようにそこで固まっていることだ陸佐、いいか?わたしは離れていても好きな時にそれを起爆できるからな…」
じっとしていれば危害は加えない、わたしが見えなくなったら好きにするがいい
そう言い残すとチンクは立ちすくんでいるように見える男に踵を返しエスカレーターに向かい歩み去ろうとした
「待ちなさいチンク」
ピクリと不機嫌なチンクの表情がくるりと男の方を振り向いた、その視線がむしろ冷ややかなものになっているのが
彼女のいらだちが危険水域に達して、さらに転化された事を物語っていた
チンクだと?
「ほぅ…貴様は…そうか、脅しだと思ったのか?どうやら…だったら…本当に痛い目に合わないと解らんらしいな」
一つ一つ区切るように言った
メガネの金属部分を吹き飛ばす程度の爆発なら、顔を少々焦がす程度で済むだろう
失明したところで―ふん、調子に乗った、自業自得だ、ちょうどいい、その騒ぎの間にここから離れて―
チンクの右手が男の方に差し出され着火の合図を送るべく男に見せ付けるようにゆっくりと握り込まれた
男がやや後退したように見えた、だがもう遅い、相手の危険性を見抜けなかった報いを受けるべきだろう
「ISランブル…」
その時二人の間を大型の旅行バッグを引いた者が通り過ぎた、通り過ぎる前透けるように薄い紫だった男の髪は
再びチンクの前に晒された時、チンクの金色の目が驚愕に見開かれた、それは深いパープルのものに変わっていた
発動しかけた腕がゆるゆると下がった、口が無意識に言葉を紡いでいた
「…バカな……そんなはず…」
変わったのは容姿だけではなかった、声も、それにその声は今までとうってかわって余裕を湛えていた
「やれやれ、久しぶりに会ったというのに…我が娘は随分と気性が激しくなったものですね…」
「き、貴様…いや…あなたは…」
そんなハズは無い、数少ない探していた、最も会いたかった人物との会話を思い出す
ウーノ姉は…言ったではないか―かの地にあの人は居ると、だから―だからこそわたしは―
「久しぶりだねチンク」
白い時空管理局、技術将校の制服に身を包んだ男は面白そうに微笑を浮かべ、その長髪を揺らした
柔らかな笑みは先ほどまでとは異質なものに変化していた
男はかつて世界を震撼させた事件の名を持つ者だった
「ドクター……ジェイル、スカリエッティ…」
呆然として佇むチンクの頭上で彼女が乗り込むはずだった機が
離陸した事を告げる放送が流れていた
機体は飛び立った、載せ損ねた運命の岐路と共に
- 568 名前:y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2008/02/10(日) 03:13:45 ID:dJo2gFMa
- 今回これにて、全体で何回になるか解らないのでとりあえず
プロローグ部分です、間に合えば明日また投下…できたらいいなぁ…
ではまた
- 569 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 05:51:24 ID:RewVJCBp
- >>521
今回もおもしろかった!
いやあ、まさかティアナにそのセリフを
言わせるとはw そして、スバルにちょっと惚れました。
- 570 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 06:32:58 ID:RewVJCBp
- >>551
GJ!
クアットロの悪の描き方がいいなあ。そして、ひとつフラグが立ちましたね。
個人的には、フェイトの復活にも期待したいです。
彼女の優しさは、
悲しみを知るが故の強い優しさだと思うので。
- 571 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 07:24:58 ID:vEsthJZo
- >>ターンA氏
待ってましたアアアアアアア!
氏のおかげでティアエリというカプにどっぷり浸かってしまった者です
前回気になる終わり方をしてからずっっっっと続きが気になってたんですよ!!
続き楽しみにしています!
- 572 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 08:16:10 ID:Y1KYh1t8
- >>551
GJ!!
欝展開を引っ張ってきたクアットロ超悪だな、とか思いました。
あえて言おう!今までのリリカルなのははあくタイプの敵が不足していたと!!
しかも海鳴が部隊!? 眼が離せねええええ!!
ところで、今戦闘機人も人間だっつー事で、
スバティアの短編書いてるんですけど、どうでしょうか?
大丈夫なら、今日中には書き上がる予定です。
- 573 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 08:20:01 ID:8yfeix/m
- >>531
いやいや、クロノ君をなめるな。
なのは、フェイト、はやての三人娘全員にフラグ立てた男だぞ。
認めたくないがエイミィも。
ちょっと苦しいがヴォルケンズにも手が届く。
- 574 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 08:36:11 ID:se0Y2yLL
- まあな。
渡り鳥と言われたり中の人がなのはを好きだと思ってたと言うのも
別に根も葉もないと言うわけでもない。
唯一にして最大の不幸は作品の進むベクトルと折り合いが悪くなったことで、
臭いだけは持ってたんだよなあ…。
- 575 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 08:54:26 ID:P7Zo1Igj
- >>572
スバティアぜひとも読みたいです
がんばってくれ!!!!
- 576 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 09:13:52 ID:GvAcUk7L
- y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA 氏乙!!
チンク姉え裏切るのか!?なんでまた!?
続きはどうなる?
>>559
しかしこういう作品は俺の場合は、心身ともに健康でないととても読めんな。
だいぶ慣れたと思っても、これはかなりきつい。
- 577 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 10:29:24 ID:xmA79o32
- >>572
戦闘機人が人間かどうかですか。
決まった答えはないような気がします。
書き手が思う解釈でよいのではないかと。
- 578 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 10:32:12 ID:rvzIoA5n
- >>531
GJ!!
なんかエリオ復活フラグがさりげなく立ってたみたいな・・・・・
続きに期待です!
- 579 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 10:34:31 ID:rvzIoA5n
- ↑スマン!
551の間違いだったorz
- 580 名前:名無しさん@ピンキー :2008/02/10(日) 10:56:08 ID:8s0kYSGa
- >>572
サイボーグのようなものと考えれば、十分人間だと思います。
「人間と同じ知性・感性があれば、外見や中身は関係なく人間扱いすべき」という考え方もあります。
- 581 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 12:03:30 ID:E9spUdXx
- >>551GJ!
不覚にも少し泣きそうになりました。
かわいそすぎるよエリオ……
しかし鬱って言うよりも悲しいお話と言うべきかもしれませんね
>>568
まってましたよ!これからどうなるか楽しみです!
チンク姐に盛大な裏切りフラグが・・・・・・
次を見るのがある意味怖いですな
- 582 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 12:30:04 ID:DylOafcg
- >>573
いや、クロノははやてとはフラグのフの字も無えじゃん。
クロノでフラグつったら一期でのなのは相手かエイミィとフェイトくらいっしょ?
守護騎士に至っては論外だと思うんだが。
- 583 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 12:49:09 ID:H0YVCSOe
- 何をもってフラグとするかにもよるが……
クロノは八神家の面々と個人的に顔を合わせてる場面は本編ではなかったしな。
こうしてみると八神家連中とのフラグ自体が意外と少ないよな。
シグナムとヴァイス、はやてとヴェロッサ、くらいか。シグナムはエリオもいけそうだけども。そいや、淫獣も八神家とは本編上の縁はないな。
- 584 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 12:57:10 ID:se0Y2yLL
- 顔を会わせてる場面は三期以外じゃ漫画版だけだな。
保有設定ははやてと接点だらけだけど。
- 585 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 12:57:16 ID:rzTIOc/S
- >>580
まぁ「人間らしさ」という意味ではそれでいいんだろうけど。
戦闘機人連中はそもそもどこまで機械なんだかさっぱり分からん…
スバルやギンガには子供時代はあったようだが…成長するのか?
- 586 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 13:07:06 ID:xHtWIhqb
- サイボーグって身体の部位を人工物で代用してるの全般を指すから
ぶっちゃけ差し歯してる奴だってサイボーグの内に入る。
>スバルやギンガには子供時代はあったようだが…成長するのか?
キン肉マンの機械超人みたいなもんじゃないかな?
機械部分も何故か生身部分に合わせて成長してる。
ウォーズマンとか普通に子供時代あったし。
ただ、一定まで成長すると機械部分の影響で老けなくなるけど。
実際ウォーズマンは同年代の超人に比べて若々しくて未だ現役だし
キン肉マンの数百年後(?)を描いた物語でも普通に若々しいまま。
と言う事は…皆が老けてもなお若々しいスバギン
- 587 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 13:10:55 ID:PuOvmz4c
- ……行く末はビリー・龍かしろがねか。辛いなあ。
- 588 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 13:13:01 ID:+MqhNxTF
- えーと、つまりは脳〜脊椎以外は全身擬体すか
- 589 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 13:15:33 ID:xHtWIhqb
- うろ覚えでスマソけどギンガが操られてた時にスバルが「AIが書き換えられてる?」
とか言ってなかったけ?記憶が曖昧だから本当は無かったかもしれんけど
仮にこの発言がマジあったとしたら…脳まで機械化されてるって事じゃない?
鋼鉄ジーグのマシンファーザーみたいに人格をAIに移し変えられてるとか
- 590 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 13:17:00 ID:PuOvmz4c
- 脳も機械じゃないと限界が来るな。外見年齢が変わらないとむしろ悲惨か。
神経系は機械化してなかったっけ?
- 591 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 13:17:59 ID:rzTIOc/S
- >>586
なるほど。
しかし…もし老けないとしたらそれはそれで辛いもんだな…
仲間が寿命で死んでいくのを全部看取って行かなければならんってことだし…
- 592 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 13:17:59 ID:22vRRl7C
- >>589
もしかしたらギンガのデバイスのほうでねぇの?<AI
- 593 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 13:18:26 ID:P7Zo1Igj
- >>586
もしそうだったらなかなか面白いな
数十年後・数百年後、ひとりまたひとりと老いて亡くなっていくかつての戦友や先輩・後輩たち
そして時の流れに身をゆだねることができず、取り残されていくナカジマ姉妹
なんかひとエピソードかけそうだな
- 594 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 13:20:58 ID:liAbwrn+
- >>551全俺が泣いた。
そしてクアットロがジュエルシードを落としたって信じていいんだよな!
- 595 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 13:25:15 ID:xLFmfV79
- >>593
大丈夫、ヴォルケンやレイハさん達と慎ましく管理局の要職についてる筈
- 596 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 13:37:34 ID:rzTIOc/S
- >>595
ヴォルケン連中ってプログラムの劣化か何かでいずれは消えるんじゃなかったっけ?
- 597 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 13:37:35 ID:VjkjssbZ
- >>595
ヴォルケンってはやてと一緒に死んでしまうんじゃなかったっけ?
- 598 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 13:40:50 ID:se0Y2yLL
- ヴォルケンはリイン消滅時にはやてと切り離されてるのではやての
死亡に巻き込まれることは無いらしい。
あとプログラム劣化は今のところ再生機構が無くなっただけで
長期的に見てどうかとかはまだ何ともいえない段階だそうな。
- 599 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 14:02:48 ID:6rOPwdUu
- 大丈夫大丈夫MUGENSHOKOがあるからw
- 600 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 14:15:45 ID:DylOafcg
- サイボーグっつったって全身の表皮組織全部が人工物じゃあるめえし、戦闘機人も生体パーツはそれなりに多いみたいだから老いは来るだろ。
老いがないのはヴィータ・チンク・リィン・アギトで十分、っていうかスバルが成長するところ見たいし。
それと、そろそろ次スレの季節。
- 601 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 14:44:50 ID:vS2ddf01
- >>600
いつも悩むんだけど何kb超えれば次スレ立てればいいんだろう?
もう行っちゃっていいのかな?
- 602 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 14:52:01 ID:5cV/KSnb
- 皆様の投下されるたくさんの作品、いつも楽しく拝見させていただいてます。
スレの皆様にちょっと質問です。
ここは他の方が書いた作品のスピンオフを書く事はOKですか?
実はアルカディア ◆vyCuygcBYcさんのLittle Lancerでエリオ君の葬儀を分岐点としたifシナリオみたいな物を考えてしまいました。
もしも皆さんにお許し頂けるなら、粗筋を投下させていただきたいのですが、如何でしょうか?
- 603 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 14:58:18 ID:aCRJSiXD
- 作者の方が許可を出せばいいのではないでしょうか。
- 604 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 14:59:57 ID:Tmz24Fn4
- 許可は読者より作者に求めるべきだが、しかしそうなると、期待と責任を背負わざるを得ない作者が
意思自立的主体的で自由な選択を提示できるとは思えないから、所謂三次創作は余り好まれるものではない
- 605 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 15:00:13 ID:LV47RP32
- 粗筋だけ書なんてくやつは最後まで書く根性もなくて
ただ職人ごっこしたいだけの甘ったれ野郎
それをわざわざ誘い受けまでするんじゃ程度が知れてる。
つまりいらん。荒れる。
- 606 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 15:00:25 ID:6rOPwdUu
- >>602
取りあえず許可貰うのはアルカディア ◆vyCuygcBYc氏の方が先じゃ?
あと粗筋投下するより本編として完成品投下した方がいい希ガス
- 607 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 15:02:29 ID:IBPKK6BI
- >>602
スレの皆さんというよりアルカディア氏の返答次第かな。
ただLittle Lancer事態のクオリティが高いんで、
下手なもん書いたらかなり叩かれる覚悟だけはしといた方がいいと思うが。
- 608 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 15:02:29 ID:6rOPwdUu
- >>606
自己レス。「本編として」はいらない。予測変換の馬鹿orz
- 609 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 15:08:41 ID:XQ505j5o
- >>602
著者本人の許可を得ることは絶対条件として、完結するまで待ってからの方がベターじゃないかとも思う
- 610 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 15:10:38 ID:XQ505j5o
- 次スレ建てたよ
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第51話☆
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202623807/l50
- 611 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 15:19:57 ID:uiAth4aM
- >>610
乙なの
>>602
ここは初めてか?
とりあえず、粗筋はやめたほうがいいぜ?やるなら完成品を。
- 612 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 15:29:23 ID:CcbQvzZv
- >>589
そりゃギンガのブリッツキャリバーのAIが書き換えられてるって話だよ。
ところでナカジマ姉妹はスカリエッティの技術をベースとしているがその
生みの親は不明とされているけど「成長する」というのがタイプゼロ素体
の肝だったんじゃないかと思う。その謎の技術者の目的というのも方法は
非合法でも完璧な代替品となりうる人口の肉体を作りたかったんじゃない
かと。
実際、成長期の子供の義手や義足ってしょちゅう調整したり作り替えたり
しないとならないらしいしね。
- 613 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 15:42:48 ID:FRXT0+HJ
- >>598
あれ?でも魔力配給ははやてから出てるから、はやてが死んだら配給がなくなって
そのまま死ぬんじゃなかったっけ?
- 614 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 15:52:53 ID:Seoz/nDn
- >>612
×人口→○人工
- 615 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 16:10:13 ID:fKJ+qesw
- >>613
A'sのSS03でヴィータが
「はやて見送ったら、あとは好きなときに眠って・・・」
みたいな事を言ってたハズだから、はやてが死んだらすぐ死ぬって訳じゃないんでないの?
- 616 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 16:17:20 ID:uiAth4aM
- >>613
>あれ?でも魔力配給ははやてから出てるから
だから>>598が「ヴォルケンはリイン消滅時にはやてと切り離されてる」って言ってるジャマイカ
アニ2の本スレのテンプレのQAにもあったはずだから見て来い
- 617 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 16:25:54 ID:FAH1kIJK
- >>602
まぁなんだ、氏の作品が完結してからまたおいで
- 618 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 16:34:11 ID:kaii24UI
- >>613
リンカーコアは独立して存在してるので大丈夫
- 619 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 17:03:23 ID:sYLAc1tf
- 『スバルがなのはを助ける』って展開描きたくて機人設定こしらえたんじゃないかって気がしてる。
つまり(なのはが魔法使えない条件下にある)⇒
(スバルをその条件下で活躍できる、魔法以外の力を使える設定にすればよい) こんな感じ。
- 620 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 17:10:11 ID:PuOvmz4c
- ……結局、原作者の描写力では陸士<(超えられない壁)<空士なんだろうなあ。そこから推測するに。
- 621 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 17:10:31 ID:DylOafcg
- 深読みしすぎじゃね? “サイボーグっ子出したいから”以外に深い考えがあって出した設定とは思えん。
- 622 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 17:17:26 ID:Te7rpo+V
- 作中での扱いが飛べない空士だからな>陸士
たとえば狭い室内で空士を圧倒するとかそういう描写があればよかったんだが
- 623 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 17:20:42 ID:PuOvmz4c
- それやるとなのはが完全無欠じゃなくなるからじゃね?
- 624 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 17:23:03 ID:rFcdGppR
- >>622
17話で屋内だとなのはよりスバルの方が速いってのはあったがな。
- 625 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 17:34:01 ID:4QDzL/be
- まあ空が飛べるって言うスキルがあるかないかで分けられちゃってるからな
屋外での空中戦中心だから、そりゃ飛べないよりは飛べた方がいい。
屋内戦とかがもっとあれば「飛べるのってあんま意味ねーな」な状況が出てきたと思うけど
- 626 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 17:35:14 ID:/O0o8rFC
- 下水道の戦いや敵要塞に突入とかがいっぱいあればよかったな。
- 627 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 17:35:27 ID:/dOOwC/Y
- ちょい質問。エリオとキャロって相部屋だった?
別々だとしたら、どれくらい離れてるんだろう。
寮は性別で別々の建物なのだろうか。うーむ。
エリオの部屋であれこれするのって、どれくらい現実的なんだろう。
- 628 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 17:40:10 ID:O43+IYHt
- 相部屋かどうか本編を見る限り不明。
ただ、4話だったか朝のシーンを見てると、男子寮女子寮と分かれてるように見える。
- 629 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 17:45:10 ID:IQL/DnYh
- けっこう相部屋設定の二次は見るなぁ……まぁ公式設定無いなら、そこは作者の書きやすいようにしたら良いんじゃね?
- 630 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 17:50:39 ID:/dOOwC/Y
- >>628、>>629
情報ありがとうございます。
できるだけ別寮で考えて、辛かったら相部屋にしようかと思います。
ありがとうございました。
- 631 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 18:17:58 ID:ouAHad3F
- そういえば、フェイトがサウンドステージか何かで
「なのはが一人で私がエリオとキャロと三人の相部屋でも良かった」
とか言っていたっけ?
- 632 名前:魔法世界ならこういう需要はあるのだろうか? 1/2:2008/02/10(日) 18:25:47 ID:/O0o8rFC
- 想像通りの何か、あるいは動物、そして人物。それらに変化する魔法をひっくるめて
トランスフォームと総称します。一般にもよく知られた夢のある魔法ですが、自分以外
の特定個人に変身する事は犯罪行為であり、またみだりに外観を偽装する事も管理局法
によって禁じられております。
何故か、と考えを巡らせれば容易くわかることでございますが、悪用する人間が後を
断たないからでございます。また達人の変身魔法ともなりますと強制的に解除する方法
も限られているため、管理局が徹底して変身魔法の魔法式が流出しないように腐心して
いるのが現状です。
また魔法使いになりたい、魔導の素養があると認められた人間も、大半が天空を自在
に舞い、蒼穹の元を矢のように駆け巡り、輝く閃光で悪を撃ち抜く。といった姿を夢見
るものでありますから、地味な補助魔法を進んで極めようと修練するものは大変少ない
ありさまでございます。付け加えますと戦闘魔法の方が管理局では出世しやすいのです。
では変身魔法は全く使われていないかと問われれば、そんなことはありません。
時空管理局を例にとりますと、ある捜査官は潜入捜査のため、ある執務官は管理外世界
での魔力の回復や消費を抑えるため、またリンカーコアが世界と馴染まない時の緊急避
難としての側面もあります。
そして私のような、自分自身を偽ることを生業とするような犯罪者たち。
断っておきますが、私は何も犯罪を行うために習得したのではありません。
恥ずかしながら、若い頃に惚れた人に好かれるために覚えた小細工です。決して人様
に迷惑をかけるために身につけたのではありませんとも。
まあ、未熟に過ぎてあっさりと変身が解け、陰惨な事件に発展してしまったのですが、
それはまた別の話です。
その後、犯罪者として管理局に捕まり、協力する代わりに、すなわち嘱託魔導師とな
ことで免罪を勝ち取ったわけなのですが、結局管理局に馴染むことができませんでした。
ストレスを溜め込んでいた私は、安全な人間であると認定された途端に退職すること
にしました。
人生とは解らないものでして、その数ヵ月後には複雑な事情で、大変不本意な形で
トランスフォームに手を出すことになりました。誓って申しますが人助けだったのです。
その変身はまたも露見いたしました。再犯罪、しかも元管理局員となれば重犯罪人と
なります。
私は特別頑張った訳でもないのですが、補助が主任務にも関わらず総合A+の認定を
受けておりました。その私の捜査は危険と判断したのでしょう、大仰なことに海側から
ニ分隊も投入され、追い掛け回されたときは生きた心地がしませんでした。
管理局の隠蔽体質はまことに徹底したものでありますから、マスコミに知られるもの
かとそれはそれは必死な様子でした。
撹乱と変身を主とした補助魔法、そのほか飛翔魔法、転移魔法を駆使いたしまして、
大逃走に次ぐ大闘争、疾走を重ねて大失踪、そして数奇なめぐり合わせによって、今の
ような親に顔向けできないような職業で生活することと相成ったのでございます。
- 633 名前:魔法世界ならこういう需要はあるのだろうか? 2/2:2008/02/10(日) 18:27:50 ID:/O0o8rFC
- そうそう、申し遅れました。私の職業ですが、身体をひさぐことです。
そうです。変身した姿でお客をとる高級娼婦、ある時は高級男娼となります。
性別? さてさて、変身しない日がありませんので、どちらか自分の性別か最近は自
分でも判らなくなってきました。時々鏡に映る素顔に驚く有様ですから自分でも笑って
しまいます。まあ、さして困る問題でもありませんし、商売柄その方が都合がよいのです。
私は管理局に捕まり、表向きは百年弱の幽閉刑を受けている最中ということになって
おります。その実質は紹介の通り公娼制度の一端を担っております。一種の司法取引な
らぬ裏取引ということになりましょうか、私の優れた変身魔法技術、幽閉して腐らせる
よりは何らかの形で社会に還元したいと考えるのは、管理局としては突飛なことでは
ありませんでした。
理想的な模範囚ですので聖王教会の祭日で与えられる恩赦の筆頭になっている。
といいですね。
優れた文明を自称するミッドチルダでありますが、食欲、睡眠欲、性欲を克服した
わけではございません。あらゆる文明で発生したように娼婦、男娼といったものはこの
世界でも消えておりません。
ただし、管理局、というよりその上役が自ら斡旋するのは私のような存在だけです。
一般的な風俗産業には関知しておりませんし、むしろ悪質な店は摘発に躍起となっています。
ただの性処理で変身魔法を使う理由はありません。もちろん特殊な性癖を持った方々
も多いわけでして、触手をもった海辺の生物を巨大化したモノ、スライムのような軟体
生物、その他動物に対する獣姦の需要は少なからずありますが、私どもは管轄外です。
なお、そういった嗜好のお客様は動物虐待として管理局法で禁止されておりますので
通報いたします。
私たちが専らお相手させていただいているのは、共にいられなかった人達、失ってしま
った大切な人。それらの、記憶にのみ残る人々達と幻でも空想でも良いから一時過ごしたい。
そう願う心に隙間の空いてしまったお客様です、実際に性処理を行う人は3割ほどでしょうか。
具体例に挙げますと、死に別れた夫や妻、大好きだった祖父母、自分の失敗で死なせ
てしまった部下や仲間、病気で亡くなった子供、憧れのあの人、自分を振った彼氏や彼女、
自分が振ってしまってから惜しくなった彼氏や彼女、幼女への禁断の性欲などが頻繁に
見られるケースです。
稀なケースとしては、輝いていた頃の自分、未来を見据えていた頃の自分、自分の奥
さんの若い頃、自分の奥さんの結婚する前、太る前の旦那さんなど。
もっともっと稀、というよりお断りすることもあるケースとして、面接や商談の練習
をしたいから化けてくれ、腹立つ上司に変身して殴られてくれ。といったこちらの身が
傷つく依頼もございます。
今日の予定は……レジアス・ゲイズ様ですね、奥様が亡くなられてから3年後より
ご贔屓にさせてもらっています。今日も、今は亡き奥様のデータを引っ張り出しながら
リリカルマジカルと変身する私でした。
- 634 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 18:38:31 ID:IQL/DnYh
- なんか良いなぁ……擦れた感じが良い……GJ
- 635 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 18:47:05 ID:AGDDamLb
- >>631
言ってないと思う。
- 636 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 18:49:45 ID:O43+IYHt
- いや、あったよ。
6課の部屋割りのさい、フェイト、エリオ、キャロの三人部屋にする案もあった。
ていう内容の話をしてたはず。
それはさすがに、ってエリオとキャロが言うシーンだったかな。
- 637 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 18:56:59 ID:RGPFlmAU
- >>636
言ってるのはStSSS02 トラック7だな。
- 638 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 18:59:19 ID:UQYBwzNv
- >>632-633
GJ。面白い発想だな
レジアスや他の本編キャラとの絡みも読んでみたいと思った
- 639 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 19:55:51 ID:8yfeix/m
- >>582
正直はやてとの設定はそれだけでフラグ並だと思ったんだ。
あとヴァイスとシグナムのフラグも付き合いが長いってだけだと思ったから、それならさらに長いクロノもありかな、と思ったんだ。
- 640 名前:名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 20:25:30 ID:se0Y2yLL
- >>636
何気にSSだと実はエリキャロ>なのはさんな過保護フェイトさんだったりする。
>>639
まあソースは十二分に溜まってたからな。
細い橋一本かけたら一気になだれ込めるくらいには。
- 641 名前:鬼火 ◆RAM/mCfEUE :2008/02/10(日) 20:36:56 ID:VWvQ8Ifl
- 副題に深い意味はないぜゴルァ…
毎回語り手が変わる一話完結型。埋めSSとして、ひっそりと投下。
ネタSSってどうやって書くんだっけな?もう忘れちまったよ、ブラザー。
- 642 名前:なの教(TAKE2)〜面接者殺し編〜:2008/02/10(日) 20:37:47 ID:VWvQ8Ifl
- 「はぁ……」
これで何百回目でしょうか?
こぼれたため息は、虚空の中に消えてしまいました。
公園は、年若い男女や家族連れで賑わっております。春ですわね。
そんな中、ひとりぽつんと公園のベンチにぼぅっと座っているわたくし…。
一言で言うと、鬱ですわ。
「はやく、お仕事を探さなくては…」
わたくしの家は破産してしまい、一家は離散。
いまや文無しになってしまったのですから…。
寝床は公園のベンチ。もう春とはいえ、やはり寒いですわ。
新聞紙って体に巻きつけると、意外と暖かいんですわね…。
嗚呼、天蓋付きベッドが恋しいですわ。
「ふぅ…」
こんな風にため息ばかりついていても仕方ありませんわね。
まずは、先ほどもらってきたばかりの無料求人誌、
『ダウンワーク』を見てみることに致しましょう。
ああ、でも手がかじかんで、ページがうまくめくれませんわ…。
どれどれ…。
【ア】誰にでもできる簡単な操縦
【資格】未経験可
【給与】1勤務 5000000ミッド
最初に目に付くのは、給与。
桁がかなり多いですわね。
景気の良いこと。
羨ましいですわ。
一、十、百、千、万、十万、百万…
「五百万ミッド!」
よろしくってよ!よろしくってよ!
これなら借金もいっぺんに返せそうですわ!
あぁ、淑女がこんなに興奮してはいけませんわね。
いつもばあやが言ってましたわ。
「安い餃子には毒がある」って。
まずは、冷静に、冷静に。
- 643 名前:なの教(TAKE2)〜面接者殺し編〜:2008/02/10(日) 20:38:39 ID:VWvQ8Ifl
- なになに……。
「巨大ロボットを意のままに操縦できます。
あなたも最新鋭の機体『ジアース』に乗ってみませんか?
特別な操縦技能は不要!先着15名様限定!おはやめに!」
特別な技術が不要ならば、わたくしにもできるのかしら…?
しかし、この報酬の高額さには、危険な匂いを感じますわね…。
まぁ、これは保留にしておいて、他の求人も見てみましょう。
【契】IT管理者
【時間】深夜12時ごろ
【給与】退職時に無料で貴方の恨みを晴らします
【応募先】地獄通信(株)
残念ながら機械オンチなんですのよ、わたくし。
身の回りのことは、セバスチャンが全部やってくれていたんですもの。
それに時間帯も深夜みたいですし、お肌に悪そうですわ。
それに給与欄の「恨みを晴らします」というのは、ジョークなのかしら?
【助】ポケモンブリーダー見習い
【資格】老若男女不問
【給与】応相談
【面接担当】ヒロシ
【他】めざせ!憧れのポケモンマスター!
問い合わせのみも歓迎!気軽に電話してね!
「ポケモン」というのは何ですの?
……ポケット・モンキーの略かしら?
きっと、お猿さんをお世話する仕事ですのね。
お猿さんに何か芸を仕込んで、巡業でもするのかしら?
【正】社員(@企画 A営業 B運営)
【資格】エンターティメント産業に関心のある方
【給与】初任給18万ミッド〜
【待遇】交通費支給、社保完備、寮完備
【応募先】海馬コーポレーション
【他】当社はチャリティ活動にも精力的に従事しています。
恵まれない子供達が無料で自由に遊べることが出来る
遊園地を次元世界中に作ってみませんか?
チャリティ精神に溢れているというのは、素晴らしいですわ。
きっと、ここの社長様は慈悲に溢れた高潔な精神の持ち主なんでしょうね。
- 644 名前:なの教(TAKE2)〜面接者殺し編〜:2008/02/10(日) 20:39:28 ID:VWvQ8Ifl
- 【契】調理スタッフ(急募)
【資格】「チキュウ」料理がつくれる方
【給与】月給25〜40万(経験・能力による)
【勤務地】時空管理局遺失物管理部機動六課隊舎
【待遇】エプロン貸与/各種保険完備/寮有
【面接担当】八神
【他】電話の上、履歴書(写貼)持参下さい。
「チキュウ」料理!
ばあやの家系が第97管理外世界の出身でしたので、
よく我が家の食卓に並んでいたわねぇ…。
ショウユラーメンにミソラーメン、トンコツラーメンにシオラーメン。
「チキュウ」料理、懐かしいですわ。
【正】営業
【面接地】バー「魔の巣」
【採用担当】喪黒
【他】委細面談。人の役に立つお仕事です。
…これしか書いてありませんわね?
一体どんなお仕事をするのかしら?
委細面談と書いてありますけれど…。
人の役に立つお仕事…謎ですわ。
判断がつかないので、これはパスということにしましょう。
【パ】研究室助手(理系)
【資格】修士または博士号保持者、もしくはそれに相当する学識者。
分野は特に問わない。魔導工学、生命科学専攻は特に歓迎。
【給与】月給50万ミッド〜
【応募先】スカリエッティ総合科学研究所
【採用担当】ウーノ
【他】知識は喜び――歴史が変わる瞬間を一緒に見ませんか?
面接の際は履歴書と共に主要論文をご持参下さい。
月給50万ミッドは魅力的ですけれど、
わたくし学士までしか持っておりませんものね。
「知識は喜び」――非常に高尚そうなお仕事ですわ。
技術の発展を、人々の幸福に役立てることが出来たら、
それは、どんなに素晴らしいことでしょう!
- 645 名前:なの教(TAKE2)〜面接者殺し編〜:2008/02/10(日) 20:40:26 ID:VWvQ8Ifl
- 【ア】伝統行事のお手伝い
【時間】短期1ヶ月間
【勤務地】雛見沢村(第97管理外世界)
【給与】時給1564エン(まかないつき)
【他】あなたも「綿流し」に参加してみませんか?
エンって何処の通貨の単位ですの?
あぁ、これも第97管理外世界関連のお仕事ですのね?
「綿流し」…とてもおいしそうな響きですわね。
おっと、いけませんわ。ばあやの作ってくれたあれは「ワタアメ」でしたわね。
【ア】除霊事務所助手
【資格】不問
【時間】仕事のある日
【給与】時給301ミッド〜
【採用】令子
【他】GS資格取りたい方歓迎
時給301ミッド。
ありえませんわ…。
労働基準法違反ではないこと?
【契】嘱託魔導師(警備のお仕事です *急募!)
【資格】要魔導師ランクC以上 未経験者歓迎
【時間】シフトによる,短期・長期共に歓迎
【給与】時給3000ミッド〜(経験・能力による)
【待遇】交通費支給/保険完備/危険手当・報奨金有
【面接地】時空管理局武装隊第5基地
【他】面接地にて毎日午後2時より説明会開催中。
能力次第で正規職員への道も。事務員も同時募集。
時給3000ミッド!
先ほどの求人とは段違いですわ!
警備のお仕事は大変そうですけれど、
この高給はあまりにも魅力的ですわ。
幸いな事に、わたくし条件を満たしておりますわ。
学生時代、ハイル・ヒトラー魔法女学校に通っていた時に、
お父様に内緒でCランク試験を受けておいて大正解でしたわ。
まぁ、取得してから10年近く経っているのですけれど。
公園の時計を見ると、現在時刻は十時のようです。
善は急げ、と申しますし、さっそく今日、
面接会場へ行ってみることにしましょう。
- 646 名前:なの教(TAKE2)〜面接者殺し編〜:2008/02/10(日) 20:41:17 ID:VWvQ8Ifl
- □■□■□■
「ごきげんよう」
わたくしが面接会場の個人ブースに入って、そう挨拶をしますと、
相手の方はびっくりしたような顔をされました。
わたくし何かおかしいこと言ったかしら?
「ふぅーむ…」
管理局の制服を着た壮年の男性が、
わたくしの履歴書を見ながら唸っています。
やはり、緊張しますわね。
「9年前に、13歳でCランク資格を取得なさったと…。
なかなか優秀ですな。しかしィ……その後はァ、あー、
何か魔法関係のお仕事をされた経験は全然ない?」
「残念ながらありませんわ。実家が少々厳しかったものですから」
「失礼かもしれませんが、ご実家は相当裕福?」
「ええ。言ってしまえば、そうです。今はもう違いますけれど」
「ふぅーむ…」
わたくしの面談相手の男性は履歴書片手に、
わたくしを時々チラチラと見ながら、なおも唸り続けています。
やはり、ブランクありますし、駄目でしょうか?
「うーん。警備は結構体力要りますよ?事務のお仕事の方も
いま募集しているのですが、そちらはァ、どうでしょうかねェ?」
確かに、事務のほうが危険も少なく、体力的にも楽なんでしょう。
でも、事務のほうは時給900ミッドなんですよね…。
それに寮がついてませんし。
もうベンチで寝るのは遠慮したいですわ。寝床プリーズ。
やはり、わたくしとしては、嘱託魔導師のお仕事のほうが…。
わたくしが悶々と悩んでいると、見かねたのか、
面談の男性が一冊のパンフレットを取り出して、
わたくしに手渡してくれました。
もらったパンフレットの表紙には、
『武装隊一日体験入隊プログラム――ブートキャンプのご案内』
と書かれてあります。
「やっぱりねェ。少し、どうかなァと思うんですよ。危険の多い仕事ですし。
ブランクもありますし。勘を取り戻す意味でも、それに参加されてみる
ことをお奨めします。その後に決められても遅くはないと思いますなァ」
- 647 名前:なの教(TAKE2)〜面接者殺し編〜:2008/02/10(日) 20:42:12 ID:VWvQ8Ifl
- 男性の勧めにより、まずは、武装隊一日体験入隊プログラムに
参加してみることにしました。申込用紙に記入っと…。
このプログラムも色々と選べるようです。
A.ナノハズ・ブートキャンプ (これであなたも固定砲台!)
B.ケンイチズ・ブートキャンプ (肉弾戦が俺たちを呼んでいる!)
C.ケロロズ・ブートキャンプ (次元を駆ける現役の軍曹!)
D.テツコノ・オヘヤ (これであなたの口も機関銃!)
E.スイギントウズ・ブートキャンプ (萌えるトレーニング!※ヤクルト持参のこと)
F.ハートマンズ・ブートキャンプ (魔力0でも大歓迎!※銃の持込禁止)
G.ユウイチズ・ブートキャンプ (※女性限定)
H.タカカズズ・ブートキャンプ (※男性限定)
どれにしようかしらん…?
まぁ、あまりこういったことには詳しくないので、
オーソドックスに一番上に丸をつけましょうか。
記入した申込用紙を見て、面談役の男性が、
何やら微妙な表情をしていたのが気になりますけれど、
宿舎と食事つきですし、ちょっとワクワクしますわ。
□■□■□■
武装隊体験一日入隊プログラムに参加することにした
わたくしはいま、南部のエルセア基地にいます。
自然が多く、空気が美味しいです。ちょっとした小旅行ですわね。
このプログラムには総勢30名ほどの参加者がいるようです。
こうして整列していると、やはり、学生時代を思い出しますわね。
「私が今回のブートキャンプの教官役を
務めることになりました高町なのは一等空尉です」
あら?
わたくしとあまり歳が変わらない方のようですが…?
一等空尉って結構、上のほうの階級ですわよね?
それと、そこかしこから、男女問わず、
黄色い歓声があがっているのは何故かしら?
隣の男の方なんて、泣きながら卒倒してしまったわ。
あらあら、タカマチ一等空尉、お顔が引き攣っていますわよ。
折角、きれいなお顔なんですから、
そう青筋をお立てになってはいけませんわ。
「Aグループはパンフレットの説明にあったように
砲撃魔法を主体とした訓練プログラムです」
あら、そうでしたの。
そういえば、あのパンフレットの中身はあまり読んでなかったわ。
だって、なんとかゲイズ中将とかいう方の論説が、
20ページに渡って書かれていたんですもの。
最初の6ページほどは真面目に読んだのですけれど、よく分からない
用語が多すぎて、途中で読むのを止めてしまいましたわ。
- 648 名前:なの教(TAKE2)〜面接者殺し編〜:2008/02/10(日) 20:43:05 ID:VWvQ8Ifl
- それにしても凄い歓声ですわね。
タカマチさんはよっぽど人気のある方なのね。
《キャッホゥ―!砲撃!砲撃!砲撃!》
皆、叫びながら、拳を突き上げては、
斜め下に袈裟懸けに振り下ろしていますわね。
楽しそうなので、わたくしもやってみますわ。
《砲撃!砲撃!砲撃!おっぱい!砲撃!砲撃!おっぱい!》
あらら……?
「少し、黙ろうか…?」
壇上のタカマチ教官から発せられた
地獄の奥深くから這い上がってくるような声音に、
わたくしたちは震え上がってしまいました。
あぁ、タカマチさんの背後に鬼のような角が生えた
お面が一瞬見えたような気がしましたけれど、気のせいですわよね?
□■□■□■
「では、そろそろ実弾砲撃訓練に移りたいので、各自、
デバイスを起動して、バリアジャケット、又は騎士服を装着してください」
準備体操と軽いランニングを終えて、
タカマチ教官がそう言ったので、
わたくしたちはそれぞれ、デバイスとBJを身につけました。
ちなみに私のデバイスとBJは、
ハイル・ヒトラー魔法女学校時代の標準装備を
そのまま使っていたりします。高性能ですもの。
デバイスはテオドール31式型の漆黒の長杖。
黒い上下の服に左腕には、赤字に黒の鍵十字の腕章が特徴的なBJ。
でも、なぜか、タカマチ教導官は、私のバリアジャケットを見るなり、
顔を引き攣らせてしまわれたわ。
どうなさったのかしら?
しかし、すぐにタカマチ教官もBJに換装。
純白のBJですわね。
色もそうですが、形も何だか珍しいですわね。
おや、先ほど卒倒した男の方が地に伏せたまま
手に何かを持って一心不乱に、タカマチ教官に匍匐前進で
にじりよってますわね。あれは…ビデオ型デバイス?
と、その時、クルリと高町教官が男性の方に向き直りました。
まぁ、あれだけハァハァ息を荒くしていたら、誰でも気づきますわね。
やるならば、気配を絶ちながらしませんと…。
- 649 名前:なの教(TAKE2)〜面接者殺し編〜:2008/02/10(日) 20:44:02 ID:VWvQ8Ifl
- 「君さぁ。少し…頭、冷やそうか…」
「ふでべぇぇぐべへぇあばばばぶぅごぁああああぁ――!?」
桃色の魔力弾がタカマチ教官の周囲に無数に発生したかと思うと、
それらは全て、あの哀れな若い男性のもとへ…。
その間、わずかコンマ0.5秒。
《おぉぉぉぉぉ〜!》
《これが噂のフルボッコか》
《アイツ、死んだな》
《ムチャしやがって…》
周囲からどよめきが起こります。
速さ・威力・コントロール。
全てにおいて卓越していますわ…。
魔法女学校の先生方だって、あんな芸当はできません。
この方、もしかして、とんでもない実力者だったりするのかしら?
それにしても、被弾した男性の方。
鼻血を出しながらも、幸せそうな顔で眠っていますわね。
あらあら、うふふ。
「見えた…見えたぜ!」と寝言をいってますわ。
面白い方ですわね。
とりあえず、鼻血で真っ赤に染まったお顔が痛々しかったので、
わたくし、白いハンカチーフを広げてお顔にかけて差し上げましたわ。
□■□■□■
わたくしたちは演習場の端にある丘陵の上に行き、
好きな場所に陣取ると、各々のデバイスの調子を見ます。
演習場だだっ広い荒野で、これなら思いっきり撃っても大丈夫そうですわね。
実社会では、攻撃魔法の制限がありますし、
砲撃魔法が使えるほどの広い土地も市街地にはないので、
このプログラムは結構、いわゆる砲撃マニアの方には人気じゃないのかしら。
「撃ちかたぁー、よおぉーい!」
タカマチ教官の大声で、わたくしたちはデバイスを構えました。
当然、ファイアリングロックは解除されています。
砲身を肩に乗せる人、腰だめに構える人、地面に大型デバイスを設置する人、
それぞれさまざまなやり方で構え、魔力を充填させていきます。
まずは、目標設定。あそこの大岩にしましょう…。タリホータリホー。
「撃ちかたぁー、はじめぇぇぇーッ!!」
《ファイア!》
《バスター!》
わたくしたちの獲物から一斉に色とりどりの魔力塊が飛び出します。
- 650 名前:なの教(TAKE2)〜面接者殺し編〜:2008/02/10(日) 20:44:58 ID:VWvQ8Ifl
- 十分に充填した魔力がどぅっと砲身から射出され、轟音があたりを埋め尽くしました。
久しぶりだったせいか、撃った反動で後ろによろめいてしまいましたわ。
そのうえ、わたくし、少し照準が甘かったようで、
ターゲットの大岩の左側に穴を開けてしまいましたわ。
腕が鈍ってますわね。
もう一度…ロック。…ファイア!
……ブルズアイ!!
今度はやりましたわ!
ふふふ、御覧なさいまし。
あの悠然とそびえていた大岩が、今やまるでゴミのようですわ。
それにしても、ドカドカと大威力砲撃を撃つのは、
魔力が削られますが、結構気持ちいいものですわね。
わたくし段々ハイテンションになってまいりましたわ。
オーッホッホホホホ!
折角なので、カートリッジもどんどん使ってしまいますわ!
どうせ管理局からの支給品ですし。
カートリッジ・フル・ロード!ドライブ!
ファイア、ファイア、ファイアァァァー!!
「撃ち方やめーぃ!」
シース・ファイアの合図で、わたくしたちは砲撃を止めました。
いつの間にか、周囲に人がいなくなっておりますわね?
なぜあの殿方たちは、わたくしを遠巻きにして見つめているのかしら?
ちなみにタカマチ教官からは、「思いっきりがよくて結構なの」と、
笑顔でお褒めの言葉を頂きましたわ。
□■□■□■
お昼ごはんを食べたら、午後は砲撃の術式や戦術、デバイスに関する講義でした。
でもタカマチ教官の話や、一部の方々の質疑応答が
あまりにマニアックすぎて、ついていけませんでした。
講義のあとは、学んだことを生かすために、
もう一度、野外に出て砲撃の練習をします。
しかし、もう魔力が尽き掛けて参りましたわ。
- 651 名前:なの教(TAKE2)〜面接者殺し編〜:2008/02/10(日) 20:45:54 ID:VWvQ8Ifl
- ところで、タカマチ教官はわたくしたちへのご指導だけで、
自分自身では砲撃魔法を撃たれないのでしょうか?
魔力弾のコントロールといい、講義の時の熱っぽさといい、
結構な腕前の持ち主のように感ぜられますので興味がありますわ。
もうすぐ、プログラムも終了ですし実演して見せてくださらないかしら?
そう思っていると、他の方々も同じ事を思ってらしたようで、
「あの、タカマチ一等空尉は撃たないんすか?」
勇気あるひとりの青年が教官にそう話しかけた。
よくってよ!よくってよ!
けれど、タカマチ教官は少々渋っている様子。
すると、他の生徒達からも援護射撃が飛びます。
《えー。楽しみにしてたのにー》
《砲撃!砲撃!砲撃!》
《見たいなぁ〜》
《是非、実演を!》
よくってよ!よくってよ!
わたくしも交じって「興味ありますわ」と呟いてみましたり。
「う〜ん。じゃ、じゃあ、リクエストにお応えしてちょっとだけ…」
タカマチ教官は頬を掻きながらそう言うと、
赤い玉を取り出して杖型デバイスに変えました。
講義ではあれだけマニアックなデバイス論議をされていたのに、
結構、平凡といいますか標準的なデバイスを使ってらっしゃるのね…。
《エセルア基地といえばAHS-TK/N003式でしょ》
《『月間デバイスマガジン』に載ってたやつが見てぇ〜》
《『デバマガ』のAHS-TK/N003式〜》
《『デバマガ』でなのはタンがテストしてたやつ見てぇ》
《小型アルカンシェルキボンヌ》
何の話をしておりますの?
アルカンシェルってアレですか?
あの着弾地点を中心に半径百数十キロが消し飛ぶという…。
「いや、あれはアルカンシェルじゃないから…」
ああ。やっぱり違いますのね。
びっくりしましたわ。
結局、ギャラリーの熱狂的なリクエストと、
本局の偉い方が許可したこともあって、
タカマチ教官は自らのデバイスではなく、
AHS-TK/N003式という試験装備で砲撃を行うみたいです。
タカマチ教官のデバイスの赤玉さんはとっても不満そうでしたけどね。
- 652 名前:なの教(TAKE2)〜面接者殺し編〜:2008/02/10(日) 20:46:55 ID:VWvQ8Ifl
- □■□■□■
例のAHS-TK/N003式なるものを見て、
わたくし、絶句いたしました。
どう形容したらよろしいのか…。
大型バイク並みの大きさの大砲みたいなライフル、
と申せばおわかりいただけるかしら?
衝撃波と音が凄まじいらしいので、わたくしたちは全員、
耳当て付きヘルメットとゴーグルを装着しております。
あの何とも形容しがたい装備を起動させると、
タカマチ教官は赤い玉を、装備にはめ込みました。
AHS-TK/N003式は、威力は申し分ないのですが、
起動させるまでに少々時間がかかるのが難点なのだそうですわ。
無論、これは試験品なので、これからさらに改良されていくのでしょうが。
ちなみにカートリッジは何とタンクでした。
タンクと言っても、戦車じゃありませんことよ?
液体を保存、運搬、貯蔵するために使われるあのタンクです。
持ち運びについても、もっと改良が必要なのではないかしら?
「そろそろ、撃ちまーす!」
準備ができ、いよいよタカマチ教官と試験装備のデバイス
の砲撃が見られそうです。固唾を呑んで見守ります。
スリー、トゥー、ワン……ズィロゥ!
鮮やかな桜色の閃光が、地平線に向かってぐんぐん伸びていきます。
そして遠くで水柱が上がっているのが見えます。
あら……ここから海までは確か、軽く20kmほどあったような?
そして、遅れて衝撃波が私たちを襲います。
バリアジャケット越しでも伝わるこの威力。
どうみても大量破壊兵器じゃありませんこと?
余波がおさまって、撃った方角を見てみると、
――地が裂けておりました。
ええ、比喩ではなく。本当に…。
深い深いクレバスが出来ておりますわ。
ここまで壮観だと、観光名所になるんじゃなくって?
- 653 名前:なの教(TAKE2)〜面接者殺し編〜:2008/02/10(日) 20:47:45 ID:VWvQ8Ifl
- □■□■□■
その後、わたくしたちは全員で集合写真をとったあと、
基地で夕食を共にして親睦を深めました。
「カレエ」という料理で、タカマチ教官の出身世界の料理なのだそうです。
どことなく、ばあやの味にも似ていたので、聞いてみると、
なんとばあやとタカマチ教官は同じ世界の出身でびっくり致しました。
二人でお話していた際、話の流れで、わたくしの家が破産してしまい、
今、職探しの途中であることを申しますと、タカマチ教官はおもむろに
ペンを取り出して、ブートキャンプ参加記念にもらった帽子に、
さらさらと何かを書き付けて、わたくしに手渡してくださいました。
「他の子達には内緒だからね。結構、高く売れますよ」
そうして、私たちは帰路に着きました。
基地から空港までのバスの中でも、色々な方とお話いたしました。
わたくしがハンカチーフをかけてあげました、あのビデオ型デバイスを
持参していた若い男性が語ってくれたところによりますと、
彼女は巷でもかなり有名な凄腕の砲撃魔導師なのだそうです。
一般人のみならず、次元犯罪者にさえ人気で、
彼女のプロマイドは高額で取引されているのだとか…。
ちなみに彼女のサインはいくらぐらいで売れるのかしら、と尋ねてみました。
「有名になっちゃってからはサインのおねだりが凄くなって、
いまはねぇ〜、もう頼んでもサインとかしてくれないんだよね〜。
ボクも頼んでみたけど、笑顔で断られちゃったよ。あっはっは。
まぁ、オークションに出したら最低10万ミッドぐらいは…いや希少だし、
サインをもってないマニアが見たならもっといくかも知れませんね。
ボクですか? ボクなら半年分の給料をフイにしたって買いますね」
- 654 名前:なの教(TAKE2)〜面接者殺し編〜:2008/02/10(日) 20:48:39 ID:VWvQ8Ifl
- □■□■□■
首都、クラナガンの空港に無事に到着し、
わたくしがエントランスのほうに向かいますと、
途中、何とも目のやり場に困る光景に遭遇致しました。
最近の男の子は早熟ですのね…。本当にびっくり致しました。
人並みに押されて、すぐに現場を通り過ぎてしまったのですが、
やはり、これは通報するべきでしょうかね?
と、そう思っていたその時、前方から歩いてくる方々のうちの
お一人に、ふと目を惹かれました。背筋がピンと伸びていて、
眼差しが、何といいましょうか、騎士の如き鋭さを感じさせます。
観察してみると、コートの下に茶色の陸士制服が見えます。
管理局の人でしょうか?
「ごめん遊ばせ、管理局の方ですわよね?」
「あぁ、そうだが?」
「実は、その…痴漢を見てしまったようですの」
「なんだと!どこだ!?」
「あそこですわ」
「このような公衆の場でなんと破廉恥な!いくぞ、レヴァンティン!」
『ヤポー』
そういってピンク色の髪をした女性士官は、
ハヤブサのように駆けて行ってしまわれました。
ミッドチルダは今日も平和ですわ。
〜面接者殺し編〜終り
【次スレ】
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第51話☆
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