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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第32話☆

1 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 02:13:51 ID:YIHZa55B
魔法少女、続いてます。

 ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレです。


『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
  あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をしたほうが無難です。
  ・オリキャラ
  ・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
  ・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)

『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
  投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
  SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
   「1/10」「2/10」…「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。

【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
  読み手側には読む自由・読まない自由があります。
  読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶことが出来ます。
  書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけてください。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
  頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントすることが多発しています。
  読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。


リンクは>>2

2 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 02:14:31 ID:YIHZa55B
『リンク』

【前スレ】
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第31話☆
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1190799864/

【クロスものはこちらに】
リリカルなのはクロスSSその17
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1190209861/

【書き手さん向け:マナー】
 読みやすいSSを書くために
 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5301/1126975768/

【参考資料】
・Nanoha Wiki
 http://nanoha.julynet.jp/
・アリサだもんっ!
 ttp://homepage3.nifty.com/damenahito2000/
(キャラの一人称・他人への呼び方がまとめられてます)

☆魔法少女リリカルなのはエロ小説☆スレの保管庫
 ttp://red.ribbon.to/~lyrical/nanoha/index.html  (旧)
 ttp://wiki.livedoor.jp/raisingheartexcelion/d/  (wiki)

3 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 02:20:35 ID:wfP+Znhe
>>1
..__________
||              ||         【00:00】
||              ||    
||  新スレおめでとう.  ||      ー SS03発売祝賀会 ー
||              ||               
||              ||  \\        >>1乙です ッス   //     
" ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  (,`へ´,9ル<'(○∀○4'>/ (φ-‘)5)('(,´ワ`,6')(,`∀´,'W11   
  )'|(゚ - ゚)1'(   (,`、´,'3 ('(,`д´,)7)'(,`ヮ´,|2'( [,-_-,'8 ((,-_-,12'( Z'1,・_・, 0'Z >ヽ
.   / <人> ヽ   /<∞>ヽ /<∞>ヽ /<∞>ヽ /<∞>ヽ /<∞>ヽ  / <∞> ヽ ̄ ̄ ̄|
" ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


4 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 02:31:27 ID:xUiBW1yB
>>1

5 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 02:36:59 ID:fbnZc1iV
めがっさ乙にょろ!

6 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 03:00:26 ID:FwKM7f+L
>>1乙!
そして初めての一桁ゲトーだZE
ダメだったら、親子版SLB全力で受け止める!!

7 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 04:36:39 ID:KpHCu7iJ
我々にはもう 乙ることしかできない。

8 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 08:57:27 ID:WeX92u8z
>>1
乙ー
まったり行くよー

9 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 12:25:48 ID:KrghdPyk
>1
乙乙乙乙

10 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 12:45:42 ID:v6R5A0Zf
(*^ヮ^)x)スレ立て乙です♪ 

11 名前:騎士よ眠れ:2007/10/04(木) 14:33:52 ID:r9mC1ptd
前スレで続きを投稿していましたが、容量オーバーになったので
こちらに1から投稿し直させてもらいます

デバイスの設定に幾つか二次設定があります ご了承ください

12 名前:騎士よ眠れ:2007/10/04(木) 14:34:36 ID:r9mC1ptd
 今日の午前中は休暇を貰い、なのははヴィヴィオの授業参観に赴く為に家を出た。
 機動六課の解散から早くも半年程が過ぎ、ミッドチルダにも蒸した暑気に包まれ
る季節が訪れていた。
 ヴィヴィオが通う魔法学院には、なのはの他にも多くの父兄が我が子の様子を知
る為に各々の教室へと人並みを形成していた。
 正門を潜ったなのはは校舎へと進み、愛娘の下駄箱で履物を換えると、見知った
廊下を悠々と歩いていった。
 ヴィヴィオのクラスには、既に半数以上の親御が教室の奥で列を成していた。着
いたなのはは教室には入らず、出入り扉の陰でヴィヴィオの姿を捜す。
 授業の内容も上の空で、ヴィヴィオは自分の席でそわそわと後ろを振り返ったり
忙しなくしていた。なのはの姿に気付くと、彼女の不安げな表情は俄然と嬉しさで赤らんだ。
 授業参観で実施される内容は作文だった。各生徒、自由な題目で書き上げた作文
を起立して朗読している。
 なのはは他の生徒の声を聞きながら、不意に物思いに耽った。
 充実した毎日。何の憂いも無い生活。世界のあらゆる幸福よりも満たされた人生が、
今のなのはにはあった。
 しかし、何故かしらそんな彼女の心には、冗談の様にぽっかりと穴が空いた気持
ちが刻まれていた。
 余りにも順調過ぎる日々に、精神的な麻痺が起こっているのだろうか。教導官と
しての業績は申し分なく、再三繰り返される本局からの昇進の勧誘も、まだ個人的
な踏ん切りがつかずに保留を続けている。
 平穏としていて、何もかもが満足で、彼女は恵まれた楽園にも似た現在に、だか
らこそ自由を奪われていた。
 ヴィヴィオを一人の母親として育てる決心を固めた日から、何か自分の中の歯車
が噛み合わなくなった感覚が次第に強まっている。
 それは母としての務めという人生で初めての義務でもあった。
 今まで彼女が背負ってきた管理局の局員としての責任は、彼女自身が意識せずと
も何とか遂行していける類のものだった。
 しかし、今回は決定的に具合が違う。意識も無意識も無い、もっと別の次元の強
固な制約が、新たになのはを縛り付けていた。
 その事に不平不満を抱いているわけではないが、我武者羅に自分の全てをヴィヴ
ィオに捧げられる程、彼女の人生経験は今の生活に余裕を持てるだけの広さを持っていなかった。
 なのは自身、最も多感な時期に少し両親との距離が開いてしまった事もあり、見
本という見本も無い状態で手探りの試行錯誤に追われる時が多い。
 確かにヴィヴィオが日々育っていくのを見守るのは楽しくもあり充実感を得られ
るのだが、育児がそんな個人的な感情だけで完了出来る筈も無かった。
 仕事、家事、育児、それだけを一日に費やせるならばまだ気楽なものだった。社
会人である以上、彼女を取り巻く環境は否応にも避けられない行事や予定を強いてくる。
 疲労を認めたくないと思えば思うほど彼女はそんな自分を突きつけられ、ふと漏
らす物憂げな溜め息さえ最近では急激に増えてしまった気がする。

13 名前:騎士よ眠れ:2007/10/04(木) 14:35:26 ID:r9mC1ptd
 周囲の知友各位はなのはの実際的な労苦を慮っては何かと気を遣ってきてくれるが、
蓄積された日々の鬱積はそんな温かい善意さえも億劫にさせてしまう。
 一日、いや一時間だけでも、自分以外の何者も存在しない世界で慰労したいという、
厭世主義とも思える逃避的な思考がなのはの中で鎌首をもたげる。
 心の陰影を浮かべる瞼に視線を感じたなのはは、ヴィヴィオがじっと自分を見つ
めている事に気付いて反射的に微笑みを取り繕う。
 だがしかし、ヴィヴィオは何時もの様に無垢な笑顔を返してはくれなかった。顔
の向きを直す間際、明確に彼女の横顔は微かな寂しげな頬を垣間見せていた。
 これでは駄目だと心中で自分を叱咤し、なのははヴィヴィオが作文を
朗読する番まで顔を上げて静かに待った。
「では次、高町ヴィヴィオさん」
 教師の指示に従い、ヴィヴィオは緊張を隠し切れない動きで席を立つ。机の上に
広げていたノートを両手に持ち、ゆっくりと自分で書き連ねた文章を口に出していった。
「わたしのママは、時空管理局の教導官というお仕事をしています。毎日色んな人
に魔法を教えたりするお仕事です。他にも、テレビに出たり、偉い人と会ったり、
色んなお仕事をしています。わたしもママがお仕事をしているところを見に行く事
があります。お仕事をしている時のママは、とても格好よくて、わたしも何時かマ
マのような人になりたいと思っています。家に居る時のママは、優しくて、わたし
はどっちもママも大好きです。そんなママに、わたしはこの作文でありがとうと伝えたいです。
 ありがとうと、もう一つだけ伝えたい事があります。なのはママ、会いたい人が
いる時は、すぐにその人の所に行ってあげてください」
 ヴィヴィオにとっては何気無い段落だったのだろう。しかしなのはは、そのヴィ
ヴィオの言葉に暗く沈んだ胸を衝撃で穿たれた様に一瞬だけ姿勢を揺らした。
「最近のママは元気がありません。どうして元気が無いのか、わたしはわからない
けれど、わたしはママが会いたい人に会えないから元気が無いのかなと思います。
この前、電話をしている時のママは凄く辛そうでした。そんなママを見るわたしも、
何だか鼻が痛くなって、そんなママを見たくなくて、どうしていいかわかりませんでした。
 なのはママはずっと格好いいわたしのママでいて欲しいです。わたしはお空を羽
ばたいている時のママが一番好きです。だから、なのはママは何時までもわたしの
大好きななのはママでいてください。なのはママが居ない家は少し寂しいけれど、
わたしは全然平気です。空を見上げれば、なのはママが何時もそこからわたしを見
守っていてくれる気がするからです。なのはママ、会いたい人がいるなら会いに行
っていいんだよ。帰ってきたら、また楽しいお話を沢山聞かせてね」
「ヴィヴィオ……」
 作文中で取り上げられた電話──恐らくは以前に断った筈の、新発見の次元世界
の調査隊出向の件で来た電話だろう。
 あの時は就業中に教習生の不手際で少し事後処理に歩き回ったのもあり、つい語
勢を強めて厳しく応対してしまった苦い記憶がある。
 子供特有の他人の顔色に敏感な感性で、鋭く現在の精神状態を見抜かれていたのだろうか。
 なのははヴィヴィオの朗読を最後まで聞き、嘘の様に胸のしこりが抜けていくのを実感した。
 ヴィヴィオは今年が学院生の一年目だ。そしてなのはも今年で母親一年目なのだ。

14 名前:騎士よ眠れ:2007/10/04(木) 14:36:19 ID:r9mC1ptd
 何事も完璧じゃなくて当然で、この先時には親として手痛い失敗をしてしまう事
もあるだろう。
 しかし今はそんな不安もなのはは素直に肯定出来た。それらの体験を積み重ねて、
親子で一緒に学んでいけばいいだけの事だったのだ。
 なのははそっと眼を閉じ、自分が今最も何がしたいのか、何処に行きたいのかを沈思した。
 調査隊への出向要請。彼女は漠然と感じた違和感で一度はそれを拒んだ。
 先程の作文に込められたヴィヴィオの想いが、複雑な事情を覗かせるその違和感
へと一歩踏み出す勇気を与えてくれたような気がした。
 先日、一緒に視聴した教育番組でユーノがゲスト出演した時、ヴィヴィオが唐突
に漏らした「この人誰?」という反応も気懸りだ。
 なのははそんなヴィヴィオに驚いて、普段から自分と遊んでくれるユーノだと諭
したが、当のヴィヴィオはまるで画面に映るユーノが偽者のように顔を背けて「違
うもん」と膨れ面を見せた。
 当時は気の所為だと決めて深く考えないようにしたが、後々振り返ってみると確
かにあの時のユーノには所々に不思議な点があった。
 付き合いの長さから来るものだろうか、何処と無く画面で司会者と話す彼に対して、
ユーノ本人ではない感じがあった。
 消息を絶ったザフィーラ、ヴィータの異変、あの時のユーノの違和感、意図的に
情報規制で存在が沈黙している次元世界の詳細……一見全てが無関係に見える中で、
目に見えない細い因果の糸がそれらの事柄を連関させている気がしてならない。
「何か、あったんだ。ユーノ君、ザフィーラさん……フェイトちゃん……」
 揺るぎ無い想いを含んだなのはの声は、誰に聴かれる事も無く少しざわついてい
る教室の物音に掻き消された。
 授業参観が終わり、学院を去るなのはの顔には、新たな戦場に旅立つ歴戦の魔導
師の風格が備わっていた。

「聖都は既に跡形も無く消滅しているみたいですね」
 ユーノは動き易い軽装の姿で、広々とした荒野に視界を一巡させた。
 リーゼアリアの努力で、古代ベルカ世界の主要都市近辺の地理はある程度確認が
取れている。
 管理局の刺客から身を潜める一方だったザフィーラも、大人しく彼と合流して行
動を共にするようになっていた。
 ザフィーラは嘗て自分達が暮らしていた湖畔の家があった場所も寄ってみたが、
当時の面影等何一つ無い水溜りと藪があるだけだった。
「夜天の書の仕様プログラムだ。あれさえ発見出来ればヴィータを救える。現に主
の夜天の書の制御から離れている彼女に手を施すには、それしか効果的な方法は無
い。幾らその場凌ぎの処置を行ったとて、同じ事の繰り返しに過ぎん」
「えぇ……調査隊の本隊が到着する迄には、何としても仕様プログラムを見つけ出
して持ち帰らないと。もう先遣部隊は本局から出動したとロッテから連絡があったし……」
「今さっき着いたよ」
 死角から届けられた怜悧な声に、ユーノとザフィーラは咄嗟に身を翻す。

15 名前:騎士よ眠れ:2007/10/04(木) 14:37:11 ID:r9mC1ptd
 二人の視線の先に、金の長髪を持つ女性と、鮮やかな橙色の髪を背中に流している女性が立っていた。
 上空から降下してきたのか、衣服や頭髪が悠然と靡いている。
「思った以上に早かったねフェイト……久し振り」
 ユーノの朗々とした仕草を見て、フェイトの容貌が複雑な心中で渋くなる。
 フェイトから見たユーのは、自分の置かれた立場を全く考慮していない、場違い
とさえ思える能天気な態度だった。
「ユーノ、ザフィーラ、早くこんな真似は止めて一緒に帰ろう。今ならまだ間に合うから……」
 説諭の口火を切ったフェイトの傍で、先遣部隊の現地要員として同行してきたテ
ィアナも同意の意を示す。しかしユーノは沈着とした動作で首を横に振った。
「ごめんフェイト、それは出来ないんだ。たとえ管理局にとって不都合な史実が残
る世界だとしても、調査隊の好きにさせるわけにはいかない」
 フェイトは切羽詰った顔をして、反射的にユーノ達へと一歩歩み出していた。
「お願いユーノ、私と一緒に来て。そこまで言うなら調査隊の本当の目的も知って
いるんでしょ? この世界を焦土に変えるんだよ。このままこの世界に留まってい
たら、二人だって不慮の事故で片付けられてしまう……私はそんな事、絶対に見過ごせない」
「ユーノ先生、ザフィーラさん、何をそんなに執着しているのかわかりませんけど、
どの道この世界にいると危険なんです。フェイトさんの気持ちも汲んであげて……」
「断る」
 確固たる覚悟の重厚な声色が、ザフィーラの勇猛な口腔から放たれた。ティアナ
は眼の前の守護獣から感じられる迫力に気圧され、続けるべき言葉を飲み込んでしまった。
 機動六課時代では見る事の出来なかったザフィーラの明白な意思表示に、ティア
ナはその貫禄のある雰囲気で一瞬にして硬直させられた。
 今まではザフィーラ自身の印象も薄かった為に、だからこそ衝撃も一際強かった。
しかし彼女は更に思い出す。正式にランクを所有していないが、ザフィーラの魔導
師ランクは自分よりも格上の推定AAランク相当という事実を。
「時間が無いから今はまだ何も話せないけれど……大丈夫だよフェイト、僕達は何
も時空管理局に逆らおうとしているんじゃない。ただ真実を知りたいだけなんだ。
僕が所属している学会にも時空管理局の緘口令が通達されてね、仕方無く僕だけザ
フィーラの協力をしに来ているんだ」
 ユーノが毅然とした口調で述べる。しかしその説得だけでは、フェイトの職務へ
の厳格な責任感を溶かす事は叶わなかった。
「お願いユーノ、お願いだから……。こんな事していたらなのはだって悲しむよ。
これ以上問答を続けるなら、私も相応の手段を選ばなくちゃならないんだよ。そん
なの嫌だよ……だからユーノ、本当にお願い……」
 フェイトは弱々しく顔を下に伏せ、血色のいい唇に白い歯を立てる。ティアナも
同様に、上官の葛藤を肌で感じて苦しげに押し黙る。
 このまま互いに水掛け論が継続されれば、先行した二名はユーノとザフィーラに
対し強硬手段を用いなければならない。
 調査隊本隊の到着まで愚劣な問答に終始し、挙句に二人を無駄死にさせる位ならば、
実力行使も厭わずに二人を引っ張ってでも連れて帰るべきだ。
 だが、フェイトにそんな冷酷な行為が可能かどうかといえば話は違った。
 ユーノにバルディッシュを向ける自分を想像しただけで、足腰に激しい痙攣が発
生してしまう。

16 名前:騎士よ眠れ:2007/10/04(木) 14:38:00 ID:r9mC1ptd
「理解しているのなら語る言葉は不要。テスタロッサ、ティアナ、遠慮など要らん。
やるというのなら全力で相手をするまでだ」
 ザフィーラが獰猛な牙を覗かせ、敵意に濡れた双眸で二人の女性を厳然と見据える。
 フェイトは既に対話を拒絶したザフィーラから逃げる様に、幾許かの救いを求め
てユーノへ眼を移す。しかし、彼はフェイトの沈痛な心を知りながらもザフィーラ
を止めようとはしなかった。
「い、嫌ですよザフィーラさん。少し落ち着いて話を」
「黙れ」
 最早取り付く島も無いザフィーラに、ティアナは八方塞がりの現状の中で途方に
暮れるだけだった。
 本局では刻一刻と調査隊の編成が進行している。この世界の全てを攻撃魔法の猛
威で破滅させるだけの戦力が集結している事実を背にして、ティアナは一縷の望み
を託してフェイトを横目に見遣る。
「フェイトさん?」
「……」
 ティアナは突如として様子が一変したフェイトに問いかけるが、彼女は暫く身体
を不動にしたままで無反応だった。
 怪訝な顔で口を噤むティアナを余所に、フェイトの瞳の奥から不穏な煌めきが形成していく。
「そう……確かに名実共にいい機会なのかもしれない……」
「フェイトさん、どうしたんですか?」
 戸惑うティアナに向けられたフェイトの顔は、普段の心優しい彼女からデバイス
を構える時の凛々しい勇ましさを放つ彼女へと変貌していた。
「ユーノ、ザフィーラ、一日だけ猶予を与えるから。もう一度だけじっくり考えて。
……ティアナ、一度艦に戻ろう。準備があるから」
「ちょ、ちょっとフェイトさん!」
 勝手に話を決めて艦内と通信を始めたフェイトに、ティアナはこの場の流れが一
切把握出来ずに視線を右往左往させる。
 程無くしてユーノとザフィーラの前で転送魔法の魔方陣が現れ、フェイトの痩躯
を取り囲む。ティアナも慌てて彼女に続いた。
 ユーノは最早残された時間も無い事を悟り、己の中で夜明けと共に訪れる決戦に
構える気概で空を仰いだ。
 二人が消えてから少し経ち、ザフィーラは背後にある崩落した建築物の微々たる
人気に振り返る。
「シグナムか」
 彼の呼び声に呼応し、今まで物陰に姿を隠して事の成り行きを傍観していたシグ
ナムが彼等の前に現れる。
 既に彼女の鍛え抜かれた肢体は、白の外套に包まれた桃色の騎士甲冑が装着されている。
「フェイト・テスタロッサの相手はこの私がする。お前達二人は邪魔をするな」
「好きにしろ」
 落ち着き払った中にも闘志を撓めて夜明けを待ち望むシグナムへ、ザフィーラは
素っ気無く言った。しかし、彼女に背を向けたザフィーラが不意に顔の向きだけを戻す。
「……ヴィータの容態はどうだ」
 重々しい声で問われたシグナムは、彼女もまた美麗な面に悲痛な色を過ぎらせる。
「もう……後一週間といったところだろう……」
 渇いた声がシグナムの口から漏れた。驚異的な病状の進行に、ユーノも絶句して
目許を引き締める。
 ザフィーラは飽く迄他人に意中を気取られない寡黙な表情を保ったまま、残酷な
運命にも屈しない壮大な気宇を蒼い体躯から漂わせていた。

17 名前:騎士よ眠れ:2007/10/04(木) 14:38:48 ID:r9mC1ptd

 軌道衛星上に待機している艦内に一時帰還したフェイトは、一目散にデバイスの
メンテナンスルームへと急行した。
 ティアナはフェイトの決然とした雰囲気に口を挟む余地すら無く、戦々兢々とし
て後を追った。
 折り良く、メンテナンスルームにはフェイトの長年の補佐官であり、デバイス関
連の専門家であるシャリオが整備作業で部屋を使用していた。
 彼女はフェイトの中ではかなり険しい顔で入室してくるのを、半ば呆然として眺めていた。
「シャリオ、突然で悪いけどバルディッシュとクロスミラージュの調整をお願い」
「え、えぇ……」
 操作盤の席から立ち、シャリオは目線でティアナに事態の経緯を求める。しかし
返ってきたのは肩を竦めるティアナの素振りだけだった。
「私のバルディッシュには非殺傷設定用の基部を取り外して、その空いた部位に機
動性向上の部品を入れて欲しいの。後、出力面はデバイスの耐久限界ギリギリまで
引き上げて。それとゲマトリアサポートシステムを組み込んでくれると完璧だよ」
「ゲマトリアサポートシステムって……それ、本局指定の運用許可システムから削
除された奴じゃないですか。それに他の仕様変更も、そんなガッチガチの戦闘用の
調整で一体どんな戦場に行く気なんですか」
 シャリオはフェイトの異常な要請に眉を顰め、有無も言わずに承諾する事を躊躇った。
「何ですか、ゲマトリアサポートシステムって」
 ティアナが互いの想いで見詰め合う二人の横から介入し、初耳のデバイス機能の
内容を質問した。シャリオが取り敢えず疑念を置いて、ティアナへの解説に移る。
「簡単に言って、カートリッジ方式の特性を恒常的に維持するシステム。八神部隊
長がお持ちだった夜天の書の魔力蒐集機能から着想を得たもので、同じ様に大量の
魔力を記述して保存する端末を数個デバイスに組み込んで、その魔力を消費して術
士の戦力を補強するの。カートリッジは一発一発使い捨てだけど、こちらは一つの
記述用端末に保蔵出来る魔力量が段違いで、次期主力デバイスの基本機能に採用さ
れる予定……だったんだけど」
「扱いも難しいし、想定外の強化率に本局が試験データ採取直後に運用禁止の決定
を出した禁忌のシステム。それに現時点の規格だと、Sランク以下相当のデバイス
は出力に耐え切れずに破砕してしまうから……」
「そんなシステムを導入して、フェイトさん何をするつもりなんですか。まさかフ
ェイトさん……」
 フェイトの一連の行動の真意を突くティアナに、フェイトは静謐な顔付きの儘で
ティアナへ沈黙の返答を渡した。
「……クロスミラージュにはリンカーコアコネクトシステムをお願い」
 ゲマトリアサポートシステム以上の曲者の名を持ち出され、更にそれを部下のデ
バイスに追加するよう頼んでくるフェイトに、シャリオは眼鏡の奥の眼を瞠る。
「……本気ですか?」

18 名前:騎士よ眠れ:2007/10/04(木) 14:39:36 ID:r9mC1ptd
「お願い。あの三人に勝って本局に連れ戻すには、そうするしか方法は無いの。本
隊が到着した時点で全てが終わるんだ」
 自分を見つめるフェイトの瞳に、不動の決意が光沢となって潤んでいるのをシャ
リオは認めた。
 先程同様にティアナが説明を求める顔をしてきたので、シャリオは重い口を開いた。
「いい、ティアナ。リンカーコアコネクトシステムは、名前の通り魔導師のリンカ
ーコアを魔力に変換する為のデバイス機能よ。もう想像出来ると思うけど、純粋な
魔力の源泉であるリンカーコアを消費する事に大きな危険が伴うのは確か。だけど
このシステムを巧く活用すれば、魔導師は飛躍的に戦力を増強させる事が可能なの。
ティアナが作動させた場合、きっと魔導師ランクは軽くS+ランク辺りまで引き伸
ばせる筈よ。勿論、単純な魔導師としての実力じゃなくて、厳密な魔導師ランクの
定義に基づいた上でね。このシステムで、貴方は一時的にしろストライカーに匹敵
する実力を得られるの」
 ティアナは自身の実力とは程遠い魔導師ランクを耳にして、そのシステムに対す
る驚愕を隠し切れなかった。
(恐らく、シグナムはレヴァンティンにゲマトリアサポートシステムとリンカーコ
アコネクトシステムを双方組み込んだ状態で挑んでくる。それでも私は負けられない。
ううん、絶対に負けたくない……!)
 フェイトは我知らず、限界近くの握力で掌を握り締めていた。思い沈むフェイト
の横で、シャリオとティアナが打ち合わせを続けている。
「でもこっちは個人差が激しいの。確証があるのは、ミッドチルダ生まれの人間の
リンカーコアとは相性が余り良くない事。それとは逆に、ベルカ人とは本当に相性
抜群。年代を遡っていく程に適性は高くなっていく事も判明しているの。古代ベル
カ人ともなれば、数倍、数十倍のキャパシティを弾き出せる位にね。あと余談だけ
ど、最も相性がいいリンカーコアは、魔法文化の無い管理外世界の人間のものって
いうのがあるわ。たとえば、地球出身のなのはさんや八神部隊長がそれに該当する
わね」
「はぁ……」
 現実感の欠如した説明だったが、ティアナは最早自分が立つこの場所は嘗て無い
程に慄然とした状況に突入している事は察せられた。
 そして、フェイトは敵の数が三人と明瞭に言った。ユーノとザフィーラの他に、
残る一人があの荒野に潜伏していたのだろう。
 フェイトの様子が豹変したのも、その敵の存在が原因というのがティアナ個人の
推測では濃厚だった。
「シャリオさん、あたしのクロスミラージュにもフェイトさんが言った通りの調整
をお願いします」
「……わかったわ。今になって言うのもあれだけど、二人とも無茶だけはしないで
くださいね。艦長は二人の報告があるか、本隊が合流するまではここで待機を続け
るって仰っているんですし」
 シャリオは前に立つ二人の固い意志にそれ以上他言を挟まず、彼女達を信じて作業を開始した。
 フェイトはメンテナンスルームを出ると、多少和やかに崩れた顔で傍に続くティアナを見た。
「戦うのが辛いなら、ここで待っていてもいいんだよ」
 今更なフェイトの気遣いに、ティアナは怯えも無く頭を振った。
「言葉で伝わらない思いは、デバイスで伝える……それがあたし達、機動六課の流儀ですから」
 ティアナの意志を改めて確認し、フェイトも相棒を信じる思いで微笑み、ゆっくりと頷いた。

19 名前:騎士よ眠れ:2007/10/04(木) 14:40:22 ID:r9mC1ptd

 重症患者が移送される清潔だが無機質な病室で、ヴィータは生命維持装置に繋が
れて仰臥していた。
 はやてとリインフォースUは、懸命な看護も虚しく意味を成さずに疲弊を重ねる
シャマルと落ち合い、特別許可でヴィータの傍に立ち寄っていた。
 何も口を通さなくなって一週間、意識朦朧の状態が彼女の心身を侵略し始めて三
日が経過していた。
「ザフィーラに続いてシグナムまで、一体何処に行っちゃったんでしょうか……」
 リインフォースUは曇った表情ではやての肩の上に浮き、げっそりと肉が削げた
ヴィータの顔を見下ろして涙ぐんだ。
 はやてもシャマルも、精神的な負担が積み重なり、遂に一時的な出動停止の処分
を下されてしまった。
 もとよりザフィーラとシグナムといった重要な局員が抜けたままの彼女達の管轄
で、平素通りの任務を行える筈も無かった。
「シグナムも古代ベルカ世界に……きっとそこに、ヴィータちゃんを救う唯一の方
法があると思うんです。ザフィーラは一人で古代ベルカ世界に……恐らく、今回の
事で何か思い当たる節があったんだと思います」
「せやけど、私達が今ヴィータの傍を離れるわけにはいかん。見てやシャマル、ヴ
ィータこんなに痩せてしもうて……ほんまに、もうどうにもならんのかなぁ……」
 はやては様々な機器に呪縛されたヴィータの傍で膝をつくと、止め処無い涙で嫌
味の様に白い敷布を汚した。
「マイスターはやて……」
 静かに泉下への道を進んでいるヴィータに何もする事が出来ず、残された二名の
騎士も項垂れて己の無力に忸怩たる思いを痛感するだけだった。
 このまま二人まで衰弱して倒れられては困ると、シャマルははやてとリインフォ
ースUを帰した。眠れるわけも無いが、今のヴィータを近くで見つめるよりかは不
安は緩和される筈だと、藁にも縋る思いで彼女は二人の背中を押した。
 それからもずっと、シャマルは三人で会話をしていた時のヴィータの細かい様子
に気付く事も無かった。
 泣きじゃくるはやて、現実から眼を背けようとザフィーラやシグナムの行方につ
いて要領の得ない独り言を並べるシャマル、はやての傍で同じように悲しみに暮れ
るリインフォースU。
 ヴィータはほんの僅かに取り戻した意識の中で、その三人のやり取りを確かに把握していた。
 シャマルが零した調査団の凶行についても。

20 名前:騎士よ眠れ:2007/10/04(木) 14:41:13 ID:r9mC1ptd
 このままでは、ザフィーラとシグナムが調査団の一大作戦の巻き添えを喰らい、
自分よりも先に不帰の客と化してしまいかねない。
(ザフィーラ……あの、バカ野郎……っ!)
 ヴィータは殆ど五感の働かない腕に、死に物狂いで感覚を飛ばした。そんなヴィ
ータの孤独な戦いの最中、シャマルは所用で少し医務局を空けていた。
 シャマルが急いでヴィータの病室に戻るまでの空白の時間は、僅か十分足らずの事だった。
 そうだというのに、どうして寝台にヴィータの姿が無い? シャマルは疲れすぎ
て悪夢でも見ているような気分になった。
「ヴィータ、ちゃん?」
 ヴィータが眠っている筈の病室の前で立ち尽くし、掛け蒲団が床に落ちて各生命
維持装置が悉く取り外されている状態を見て我が眼を疑った。
 寝台の上に残されていた一枚を紙を指先で持ち上げ、そこに細く弱い筆致で書か
れた内容に、放心していたシャマルの心が激烈な衝撃に見舞われる。

 ザフィーラとシグナムの所に行ってくる
 はやて、シャマル、リインフォースU     ごめん

 決戦前夜、ザフィーラは陸地に突き刺さるように崩れた建造物の陰に隠れ、只管
に満天の星空を見上げている。
 シグナムは腰にレヴァンティンを休ませた体勢で、地平の彼方から朝を連れて来
る太陽を黙然と待ち侘びる。
 アギトに協力してもらい、本局の技術部で運用禁止が下された二つのデバイス機
能を追加したレヴァンティンは、夜空の淡い光を浴びて清廉な光の粒を放っていた。
(テスタロッサ、今回ばかりは手加減無用だ。私は必ずやお前を討ち、完全なる勝
利を手にしてみせよう。そして更なる高みへと何処までも昇り詰めてみせる……!)
 不気味な程の静寂に包まれた夜の闇の中で、烈火の将は煮え滾る気迫を高潮させ
て決戦の瞬間まで雑念を滅却していた。
 ザフィーラは不意に視界に広がる星屑の海の中で、嘗ての部隊で人一倍の苦悩と
努力を経てきた仲間の面影を浮かべた。
(ふっ……お前も機動六課の一年間を駆け抜けた魔導師だ。ティアナ、この数ヶ月
間のお前の成長をここで私に見せてみろ!)
 各々の心境に耽る騎士達から少し離れた場所で、ユーノは自分の体内に流れる魔力を感じていた。
 彼はついさっき新たに報告された調査団先遣部隊の増員に、ただ一言「そう」とだけ返事をした。
「君も来るんだね、なのは……」
 通常では感知さえも不可能なリンカーコア。しかし今のユーノにはその魔力の源を、
手で触れるように実感する事が出来た。
 リンカーコアコネクトシステムは、何もデバイスを介さなければならないという
絶対条件があるわけではなかった。
 彼がザフィーラとの合流に遅れた所以は全てそこに結論された。
(このシステムを作動させた僕なら、SSS+の防御魔法も発動出来る。なのはの
全力全開のエクセリオンバスターさえ、完璧に防ぎ切れる!)
 ユーノも勇敢な顔で頭上を埋める銀河へ視線を馳せた。
 互いに自分の信じるものを貫き通す為に、手を抜くといった行為はこの地に集結
する魔導師の誰一人も持ち合わせていなかった。
 運命の対決の開幕を知らせる暁の光が、ゆっくりと地平の彼方から輪郭を浮かび
上がらせていった。

21 名前:騎士よ眠れ:2007/10/04(木) 14:42:00 ID:r9mC1ptd
続きます

22 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 15:15:40 ID:Yapnh+4l
>>21
うおおおおおお、ワクテクが止まらねぇぇぇぇ!


23 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 15:37:12 ID:s5eOggRI
>>21
なんというGJ!!!
正直言おう!このSSをそのまま第4期にしてほしいぜw


あと、某ねこ屋のおかげで12番のイメージがすっかりオ○ニーっ娘になってしまって困るぜ……

24 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 15:40:54 ID:FwKM7f+L
>>21
激しくGJ!若干一名自分の欲求全開な気がしないでもないが続きが楽しみだZEw

25 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 15:47:13 ID:Yapnh+4l
>>23
俺なんか、シグナムがエリオを鍛えてるってのが、
脳内でデフォになってて困る。

本編じゃ、そんなシーン一切存在しないんだよね・・・w

26 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 15:58:36 ID:MPZAJ0cE
>>21
乙乙。
ヴィータもやばいけどオリジナルのシステム解説部分読むと、
ユーノもやばそうだよ。なのはを止めるとか以前に(ガクガク
なんとかプログラム探索に専念・・・ああ、どうなる!?

>>25
将、エリオと組み手してなかったか?

27 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 16:02:51 ID:Yapnh+4l
>>26
あ、そーだっけ? いかんあやふやになってるな・・・orz

28 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 16:13:07 ID:fbnZc1iV
>>21
ちょ、何だこの展開。wktkがとまらねぇよ。
3期で忘れられてた野郎共がこんなカッコよくなるとは・・・・・・。

この作者にはGood jobですら生ぬるい!GOD JOB!!

29 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 17:34:33 ID:wJrrYFRD
GJ!!ココのユーノは最強のサポートですね。
その内、不可視や視覚できないくらい細いバインドを360度に張り巡らせて、半径20メートルエメラルドバインド
みたいな事をしだしそうで怖い。

30 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 17:37:16 ID:BKDO2XuS
>>29
むしろ細いバインドならストーンフリーをだな……

31 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 17:44:04 ID:hNPvQcHQ
その長い髪を纏めているリボンを解いて、髪の一本一本からバインド効果のある魔力の糸を放ったり?
うんまぁ、ぶっちゃけアトラック=ナチャなんだけどさ。

32 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 18:17:24 ID:d0RL4IUd
>>28
忘れられていたといえばクロノ、アルフ、エイミィあたりもでたら楽しそうだな。
エイミィは時空管理局管制司令まで昇進してる超人だったりする。

33 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 18:47:01 ID://z3ZNAD
>>31
ヘタレだけど正義に目覚める熱い男
スーツで分からないが、脱ぐと引き締まった筋肉ある体!
腹筋も割れていて、覚醒ユーノは裸だけで女性を落とせますwww

34 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 18:51:05 ID:fbnZc1iV
むしろクロノが苦労でユーノがマスターですよ。

どっちもロリコンになる危険MAXですが。ニトロ砲バンザイ

35 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 19:02:18 ID:0FEmv7ON
はいはいユーノマンセー ユーノマンセー

36 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 19:14:11 ID:hNPvQcHQ
そんな時、恥も外聞もかなぐり捨ててやってくる俺。
厚顔無恥な俺が暴走の果てにスレ違いな場所に投下したブツを改めて投下させていただくぜ。
よりにもよってメインはユーノ。
微妙になのは×ユーノ? ノンノン。二人はあくまで友達。
タイトルが映画二つからの引用なのは気にしない方向で。 では

37 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 19:17:03 ID:hNPvQcHQ
忘れてた、エロは無です。ごめんなさい

38 名前:Home(Not)Alone:2007/10/04(木) 19:18:01 ID:hNPvQcHQ
 時刻は深夜。すっかり暗くなった管理局内でユーノ・スクライアは自宅を目指して歩いていた。
 時空管理局本局はそれ単体が一つのコロニーとして存在しており、本局内の都市部の片隅にユーノの自宅はある。
 とは言っても、彼は大抵管理局の仮眠室で寝泊まりしているので、家にはあまり帰らない。
 今日だって、5日ぶりの帰宅だ。

 ドアを開け、無言で部屋の中に入る。
 「ただいま」と言っても「おかえり」と返す者は誰もいないのだから無意味な事だ。
 掃除も余りできず、少し埃っぽい部屋。
 彼が趣味や研究で集めた本や物品で一杯の自宅。
 疲れた体を引きずり、キッチンへ向かう。
 調理器具は一切ない。ここに来てから自炊する事も無いのだから当たり前だ。
 唯一の例外は、弁当を温めるレンジが一つあるだけ。
 いつものように途中の店で買ってきた弁当をレンジに放り込み、スイッチを入れて温めている間にシャワーを浴びる。
 湯船には一度も湯を張った事がない、時間が惜しくていつもシャワーだけで済ませてしまう。
 頭から温かい湯を被って、簡単に石鹸で垢と汗を流してそれでおしまい。

 風呂からあがって、寝間着に着替えてとっくに時間が過ぎているレンジから弁当を取り出して夕食にする。
 育ち盛りの少年にしては、ずい分と少ない量の食事。
 けれども、一人の食事などそんなモノだ。一緒に買ってきたスポーツドリンクで、食事を流し込むともう家でする事はなくなってしまう。
 明日は珍しく休日で、仕事も終わったから家に帰ってきたというだけの事。本局の仮眠室はユーノの為だけにあるのでは無いのだから、仕事が圧している訳でもないのに使う訳にもいかない。
 自分の家だと言うのに、ここに帰ってくるまでの道のりはとても億劫だった。

 ……もう寝よう、もうじき今日も終わる。折角の休日を寝過してしまうのは勿体ない。

 ゴミを片づけ電気を消す。
 部屋の中が真っ暗になるけれども、さすがに寝室ぐらいは解る
 そうして、ユーノは干していないせいで少し湿気っぽいベッドに潜り込んだ。
 正直な話、仮眠室のベッドの方が清潔で寝心地も良いが贅沢は言えない。

 ふと、ベッドがギシ…と音を立てる。
 それはなんという事は無い、ユーノが身じろぎした為にベッドが揺れただけだったのだが、その虚しい音はユーノにある事を自覚させてしまった。

39 名前:Home(Not)Alone:2007/10/04(木) 19:18:53 ID:hNPvQcHQ
 自分を抱いてるモノがいる。

 この部屋には、自分一人しかいない。それは解っている。
 けれども、自分は確かにソイツの腕の中にいるのだ。
 ソイツの腕は暖かく無い、けれども冷たくも無い。
 実体が無いのだから当たり前だ。
 ただ純粋に……心が締め付けられる。
 ソイツが耳許で何かを囁いている。
 辞めろ、聞きたくない。
 これは自分で選んだ事なのだから、誰かを羨んだり後悔するのは御角違いだ。
 
 ユーノは、ソレから身を隠すように布団を頭から被る。
 眠ろう、眠ってしまおう。
 朝になって、学会に顔をだして其処で一日過ごして、明後日になればまだ仕事だ。
 部下達と目まぐるしく働いて、クロノが無茶な量を要求して。
 そうすれば、コイツの事を忘れられる。
 また出てくるだろうが、一時といえどコイツはいなくなる。

 コイツとの付き合いは永いけれど、未だに馴れる事が出来ない。
 昔は気付きもしなかった存在。
 あの頃は、部族の皆がいて。
 その後はなのはと一緒で、フェイトやアルフやはやて達と忙しく過ごしていた。
 だから、コイツは出てこれなかった。
 僕は何時になったらコイツを消せるのだろう? 何時になったら、コイツから逃れられるのだろう?
 ぴったりと、いつ何時であろうと僕の背後に付いて回るコイツ。
 ……僕は、何時までコイツから逃げ続ける事ができるのだろうか?
 もし心の底までコイツに捕まってしまったら、僕はどうなってしまうのだろう?

 ユーノは震えながら眠りの来訪を只管に待ち続ける。
 今は、眠る事だけが逃れる方法なのだ。
 不甲斐無いと、思わない事もない。
 けれども、ユーノにはこの存在に……「寂しさ」に対抗する術を見出せないでいる。
 そんな時、ユーノしかいない部屋の中で、灯りが一つだけ点滅していた。
 けれどもユーノはそれに気付かない。
 目を背け……いや、そもそもにおいて唯の暗闇より昏いこの闇の中で、目をこらしたとして気付く事が出来るのだろうか?
 今日は、彼がこの世に在る事を祝福されるべき日である事を彼自身にすら忘れさせている闇であるというのに。

40 名前:Home(Not)Alone:2007/10/04(木) 19:20:31 ID:hNPvQcHQ
 時間は無情にも過ぎてゆく。
 狼、もしくは猛犬に追い立てられるように決して止まる事は無い。
 それが今のユーノにはなによりも救いだった。
 すくなくとも、夜のあのやるせなさに比べれば朝日の中にいる方が幾分か気分も楽になる。
 幾日かぶりに部屋の窓を開け、新鮮な空気を取り入れる。
 さすがに本局コロニー内という事で爽やかな、とはいかなかったがそれでも埃っぽい空気をそのままにしておくよりは良いだろう。
 だと言うのに、口から漏れたのは呻き声。
 早く眠ろう眠ろうと考えている所為で、逆に余り眠れなかった。それも眠りが浅く、いまいち疲れが抜けきってない。
 そんな状態で、光を視るのは中々にキツイものがある。
 尤も、普段から暗い無限書庫に篭りっぱなしというのも多分にあるのだろうが。
 どの道、朝を爽やかに迎え入れる事ができなかった事に益々凹み、ユーノは鏡をみるのすら嫌になりはじめた。
 きっとこんな時の自分はとても酷い顔をしているのだろう。
 今日は、世話になっている大学で集会があるのに。
 多くの学者達が集まって行う討論は、ユーノにとってなによりの楽しみだ。
 そんな場所に、無様な姿で行く訳にもいくまい。そう考えて重たい体で洗面所に向かい……その途中で、放り出しっぱなしの携帯電話に気がついた。
 見れば、バッテリーが空になっている。一体何時からこうなっていたのか、それすらわからない。
 ……まぁ、今日は休日だし携帯が使えない事ぐらいなんという事はあるまい。
 特に何の感慨も無く、携帯電話を充電器にセットする。家を出るまでに充電は終わらないだろう。仕事以外でかかって来た事も殆ど無いから、自分と仕事をシャットアウトする意味でも良かったのかもしれない。
 単純な作業を終え、改めて洗面所に赴く。
 鏡に映った自分の姿は、予想よりもずっとみすぼらしかった。このままでは誰かからの嘲笑を受け益々みすぼらしくなるのは必至だ。
 蛇口を捻り、思いっきり水を流す。すぐに顔を洗う事はせず、俯いたままじっと目を閉じる。
 耳に入るのは単調な水の音だけ。
 それを頼りに、自分の心を落ち着ける。
 しばらくして、顔を上げればそこにはもう疲弊しきったユーノ・スクライアはいなかった。
 無限書庫で仕事を続けている内に会得した技能。
 周りを、特に地位の高い相手と相対する時の為に自分の状態を誤魔化す為のちょっとした暗示。
 それが巧くいった事を確認すると、ユーノは改めて冷たい水に手を伸ばす。
 休日だというのに、仕事の日と変わらない朝が過ぎようとしていた。

41 名前:Home(Not)Alone:2007/10/04(木) 19:21:35 ID:hNPvQcHQ


 その日の学会はユーノにとってとても有意義なものだったと言っていい。
 今でも謎に包まれているマアナ文明について、様々な意見交換が出来た。やはり本を読み解くだけでは解らない事もあるのだ。
 日が沈みかけ、すっかり茜色に染まった空の下でユーノは大きく背伸びをする。
 今度の休みは、久々に何処かに出かけてみようか。
 今日の成果のお陰で以前から目をつけていた遺跡・ラノラダの位置もある程度把握できたし、暇を見つけて無限書庫を漁ればマアナ文明の首都ペガーナについても何か解るかもしれない。
 そんな事をのんびりと考えていたユーノの前に、見慣れた人影が映る。
「ユーノ君!」
「なのは?」
 はて、何故彼女がこんな所にいるのだろうか? とユーノは首を傾げた。
 だがすぐに、この大学が考古学研究の権威である事を思い出す。
 考古学はロストロギア研究と密接な関係にあるので、なにか資料を探しに来たのかもしれない。
 無限書庫もまだまだ整理区画が少ないし、こうした所で資料を得るケースはまだまだ多いのだ。
「御苦労さま」
 最近、益々仕事熱心な彼女にユーノは労いの言葉を投げかける。
 すると、なのはは一瞬不思議そうな顔をして、ユーノの言わんとした事を理解した。
「違うよ、今日はお仕事できたんじゃないの」
「え? じゃぁ、どうして?」
「ユーノくんを迎えに来たんだよ」
「僕を?」
 何故、なのはが僕を? という疑問がユーノの頭の中で一杯になる。
 何か約束をしていただろうか?
 ユーノには休日が少ない。だから約束事があれば大抵は覚えている筈なのだが……
 だがいくら脳内を検索しても、なのはとの約束を見つけ出す事は出来なかった。
「ごめん……今日何か約束してたっけ?」
 怒られるor呆れられる、もしくはその両方を覚悟してユーノは素直になのはに聞く事にした。
 だが、ユーノが予想していた反応は無く、あったのは彼女自身も困ったような表情。
「うーんと、約束をしていたわけじゃないんだけど……メールは見てくれた?」
「メール? ううん、見てない」
 その答えに「やっぱり……」と複雑ななのは。
 ユーノとしては、なのはからメールが来るなど全くの予想外だったので、そんな事ならバッテリーが切れる前に確認しておくべきだったかと軽く後悔する。
 すると、少しの間逡巡していたなのはが、笑顔をつくるとユーノの手を取った。
「え、なのは?」
「行こう、もう皆待ってるの」
「皆?」
「うん!」
 なのはは、そのままユーノの手を引いて歩き出す。
 面喰っていたユーノだったが、この後は何も予定が無い事を思い出してとりあえず彼女について行く事にする。
「判ったから、そんなに引っ張らないでよ。なのは」
 どことなく楽しそうな彼女の笑顔に、ユーノも自然と笑みを零していた。

42 名前:Home(Not)Alone:2007/10/04(木) 19:23:49 ID:hNPvQcHQ
 そうして二人はクラナガンの街を歩いている。
 なのはが行こうと言ったのは、第97管理外世界の極東地区にある店……要するに彼女の実家である翠屋である。
 地球に行くには本局にある転送装置を使う事になる為、そこまでは歩いていく事にした。
 タクシーを拾えばあっと言う間に着くだろうが、最近は無限書庫に篭りっぱなしだったので少しは運動の足しにするのも悪く無いだろうとユーノも了承する。
「それにしても、よく僕があの大学にいるって判ったね」
「だって、ユーノくんこの前学会があるって言ってたじゃない」
「……そうだったっけ?」
 さて、そんな事を言っただろうか?
 読んだ本の内容ははっきり覚えていても、そういう所はさっぱり覚えていない。
 先程の事と言い、もしかして自分は若年健忘症にでもかかってしまったのだろうか? などと悲しい想像をしてしまった。
「ほら、この前。私が無限書庫に行ったとき」
「あぁ、あの時」
 そう言えば、4日ほど前だったか。なのはが珍しく無限書庫を訪ねてきたのを思い出す。
 確か、自分の休日について聞かれたような聞かれなかったような。
 あの時は、本当に忙しくて半分受け流すような答え方をしてしまった。
「あー……あの時は本当にごめん」
「え、何が?」
「いや、折角なのはが来てくれたのに、あんな答え方しちゃって」
「そんなこと、別にいいってば。私だって忙しい時に邪魔しちゃったし」
「そう言ってもらえると助かるよ」
 他愛の無い会話。
 そんな事だけでも、ユーノには本当に久しぶりだった。
 ここ最近は、口を開くのは仕事の時ぐらいだったので、何でもない話をする事が楽しく思える。
「ねぇ、ユーノくん。マアナ文明ってどんな文明なの?」
「え」
 唐突に、なのはの口から今日の学会のテーマが出てきた事にユーノは戸惑う。

43 名前:Home(Not)Alone:2007/10/04(木) 19:24:35 ID:hNPvQcHQ
「えへへ……実はね、学会聞かせてもらったの」
「ええぇ!?」
 夕暮れのクラナガンに響く少年の声。
 人前で発表するのは職業柄慣れているが、知り合いに聞かれるのはまた別だ。なんというか妙な気恥ずかしさがある。
「いや、ちょっ…あーっえぇぇっと」
 ……訂正しよう、気恥かしさなんてモノじゃなかった。そりゃぁもう盛大にテンパっている。
 普段の落ち着いた雰囲気からは想像も出来ない程に慌てているユーノを見て、なのはは思わず吹き出してしまった。
「ふふっ、大丈夫。ユーノくん格好良かったよ」
「え?」
「ユーノくん、お仕事の時とはまた違う真剣さで、すっごく堂々としてた」
「……その……いや、なんと言うか……ありがとう」
 夕暮れの中でもはっきりと判るぐらい顔を赤くさせているユーノ。
 そのせいで、目の前の少女も茜色の仮面の下で自分の顔を朱に染めている事を全く気付けていない。
 勿論、なのはは自分の事なのだからそれに気付いる。
 それを、気付いて欲しいような、恥ずかしいからやっぱり気付いてほしくないような。そんな曖昧な感情をユーノの手を強く握る事で顕す。
 すると、なのはに応えるようにユーノの手にも自然と力が入り、昔よりずっと大きくなった手が逆になのはの手を覆ってしまった。
「ねぇ、ユーノくん」
「ん?」
「……いつも、ありがとう」
「なにが?」
 不思議そうなユーノ。
 それを見て、なのはは哀しくなる。
 きっと、ここで自分のいわんとしている事を言っても、ユーノには届かない。
 なんでもないような振りをしていて、それでいてボロボロな彼は見ていて痛ましい。
 それでも、自分達を支えてくれている彼を、なのははとても大切に想う。
 言葉にしなければ伝わらない事もあるけれど、言葉でなくとも出来る事は沢山ある。
 彼が皆にしている事の、せめて十分の一でも彼に出来たら……
 ユーノに出来て、自分に出来ない事がなのははとてももどかしかった。
 だから、せめて、ほんの少しだけでもユーノに皆の気持ちを知ってほしい。
 この道行は、その一つ。
 きっと、ユーノも元気になってくれる。そうでなきゃ、絶対にダメだ。
「……急ごっか」
「うん、そうだね」
 日もかなり傾いてきた。翠屋で待ってる皆も待ちくたびれているかもしれない。
 そう思い、二人は少しだけ足を速めるのだった。

44 名前:Home(Not)Alone:2007/10/04(木) 19:25:45 ID:hNPvQcHQ


 翠屋に入ったとき、ユーノを迎えたのはクラッカーの派手な音と火薬の匂い。
 驚いて、茫然としていたユーノを祝福する声。
『誕生日、おめでとう!』
 誕生日? 誰の?
 明晰なはずのユーノは、その事態を理解するのに少しの時間を必要としている。
「ほら、ユーノくん」
「え、あ、うん」
 なのはに押されて、一歩前に出る。
「ごめんなーユーノ君、本当は昨日の内にやりたかっんやけど。皆の休暇合わせようとおもっとったら一日遅れになってしもうて」
 はやてが、少しバツが悪そうに謝っている。
 そこで、ようやくユーノは自分が15歳になっている事に気づいた。
「そっか、昨日、僕の誕生日だったんだ……」
「……おい、まさか忘れてたとか言うんじゃないだろうな?」
「うん、すっかり忘れてた」
 ユーノのボケっとした言葉に、その場にいた全員が溜息を吐くか苦笑いをする。
「もう、ダメだよユーノ。自分の誕生日忘れちゃ」
 苦笑していた内の一人、フェイトがやんわりとユーノを責める。
 ビックリパーティーを企画しておいて、まさかこんな反撃をくらうとは思わなかった。そのささやかな仕返しだ。
「えぇっと……」
「ユーノくん」
「なのは……」
「こんな風にいうとおかしいかな?」
 そして、限りなく優しい声で。
「おかえりなさい」
 ユーノは、まだ戸惑いながら周りを見渡す。
 フェイト・アルフ・はやて・リインフォースU・シグナム・ヴィータ・シャマル・ザフィーラ。
 クロノ・エイミィさん・リンディさん・レティさん。
 すずか・アリサ・桃子さん・士朗さん。
 皆、そこに居た。
 ここに居て、ユーノを祝福しくれている。

「ただいま……それと。皆、ありがとう」

 その一言で、一斉に笑顔の華が咲く。
 なのはが、ユーノの隣に並ぶ。
 最高の笑顔だった。
 だから、ユーノも笑顔になれて、そして思う。

 嗚呼、僕は莫迦だったんだな。
 「寂しい」だなんて、そんな事思って。対抗する術がないだなんて。
 本当に、どうしようもないバカだ。
 皆、ここに居る。
 こんな人々だから、僕もあの道を選べたのに。

 ユーノの手に、飲み物が注がれたグラスが渡され、それを受けとる。
「それじゃぁ、ユーノくんの誕生日を祝して……乾杯!」
『乾杯!』
 朗らかな声で、翠屋が一杯になる。

 もう、ユーノは背中にあの存在を感じない。
 当たり前だ。こんなに温かい背中に、寂しさなど存在するはずがない。
 だから、ユーノの15歳の夜は素晴らしく賑やかに更けてゆくのであった。

45 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 19:27:14 ID:hNPvQcHQ
以上。
ぶっちゃけ後悔も反省もしている。すまんかった。

46 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 19:29:44 ID:fbnZc1iV
ちゃんと作品を投下するその心意気やよし。

GJ

47 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 19:30:55 ID:MPZAJ0cE
ユノスレのに修正加えたのか?ID変わってると思ったら
前の奴投下したの昨日か。

GJ

48 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 19:32:34 ID:/eAcDb+x
乙。
その年にしてワーカホリックかユーノよ……。

49 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 19:59:47 ID:RG78fW2q
両作品ともGJ!
ユーノがかっこよかったり苦労人だったり最高だぜ!

50 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 21:59:18 ID:im5MrLcr
もー、新スレ開始早々いいユーノが多くて大満足です。
>>21さんも>>45さんもマジGJでした!!

51 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 22:08:41 ID:fbnZc1iV
ユーノスキーとしちゃ嬉しいがここいらで一発クロノ分やロッサ分やレジアス分が欲しいな

レジアスの格好いいssマーダー?

52 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 22:12:40 ID:V+ZTslHR
>>51
レジアス×オーリス

コレね!

53 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 22:14:43 ID:L9a8zxAc
前の人の投下から間も無いですがエロいの投下します

・プレシア×リニス(ふたなり、陵辱注意)
・一期SS02後半辺り

54 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 22:15:28 ID:L9a8zxAc
「んっ、んぐ……ちゅ……」

暗い部屋に卑猥な音が響き渡る
小さな灯りに映る影は二人分、その一部が繋がり、一つの影のように壁に映し出される
一人の女性は床に跪き、目の前の棒に貪りつくかのように咥え
一人の女性は椅子に座り、その様子を余裕の表情で見下ろしていた

「リニス」
「んむぅ……んっ、くちゅ……」

リニスと呼ばれた給仕服姿の女性は名前を呼ばれると、より強く棒を含み
時折吸い上げるように喉を鳴らした
女性には本来有ってはならない男性器のそれが、椅子に座る女性の下腹部から突き出ていて
その先端がリニスの口に埋まっていた

「どうしたのリニス、いつものように出来ないの?」

目の前で行われている淫らな行為に似合わない、冷ややかな声で話す女性――プレシア・テスタロッサ
強大な魔導師であり研究者でもある彼女は、普段は禁忌とされている研究に没頭しており
今居る己の私室に戻る事は殆ど無い
ただ一つ、進まない研究の苛立ちを開放する時にのみ、この部屋の扉は開かれる
その鬱憤の捌け口は決まって彼女の使い魔、リニスに向けられていた
自身に魔法をかけて擬似的に生やした男根に奉仕させ、苛立ちを解消させている。

「も、……無理です……止めてください……」

涙ながらに懇願するリニス、普段なら最大限に引き出せる経験が全く生かせない

四つん這いになり震えている細身の下半身に、二本の太いバイブの様な玩具が前後に挿さっていた、
魔力で駆動するそれが動いているのは後ろの一つだけであったが、そこから生み出される快感は
徐々にリニスの感覚を支配し、思考力を低下させていく

「駄目よ、あと1回、私をイかせなさい」

1回という言葉に反応し、より扱く速度を速めるリニス、
見れば、既に幾度精を放ったのだろうか、リニスの顔や体に多量の精液が付着している
滑らかなセミロングの髪や整った美麗な顔を汚す白濁した液は、それだけで普通の男なら我を忘れて
滅茶苦茶にしてしまいたくなる程に艶やかだった

「ぁむ、んんっ、ふは……んん」

自ら棒を喉まで受け入れ、深いスロートで刺激を与える
肛穴で蠢くバイブの快感に身を震わせながら、プレシアを絶頂へと押し上げていく

「くっ……そろそろ出るわよ、全部飲みなさい……!」

間も無く、大量の精子がリニスの口内に放出される
幾度も達し、射精したとは思えない程の量に思わず零しかけるが、それを手で受け止めて口へ運ぶ
何とか全てを飲み込むと、力尽きた様に床に座り込んだ
その際に後ろの穴を掻き回していた玩具が少し奥に押し込まれ、小さく声が漏れる

55 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 22:16:11 ID:L9a8zxAc
「んく、んっ……、もう、ご満足して頂けましたか……」
「リニス、次は貴方の番よ」

僅かに休息する暇も与えず、プレシアが次の言葉を続ける

「最近貴方の態度が反抗的だから、少し立場というものを分からせないといけないわね」

普通なら主人に忠実であるべき使い魔だが、リニスはリニスが世話をしている少女、フェイトに甘く接し
その子の事に関してプレシアに反抗するような態度を取る時が多い
リニスによるフェイトの為を思っての行動がプレシアには気に食わず、時折叱咤する事も有ったが効果は無い、
この様な辱めをフェイトが一人前に成るまで受け続けなくては成らないと思うと、
それだけで常時働かせなくてはならない頭に余計に血が上る

だから今ここで、矯正させるべきだと

「いい?あなたは私の命令だけ聞いていればいいの……!!」
「ひぐっ、うああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

膣を貫いていた玩具に魔力が通され、勢い良く振動し始める
その力は術者の魔力に比例するのか、最早掻き回すという表現でさえ足りない、破壊的な動きをしていた
普通の女性器ならその衝撃に壊れてしまっても可笑しくはない
しかし、獣が素体の使い魔であるリニスの身体は普通とは違う、
悲しいかな、人より頑丈な身体はその衝撃を容易く受け入れ、強烈な快楽を脳に叩き込み続けていた

「ふあっ、こ、壊れ……あぁっ!!くあぁっ!!」

四肢が突っ張り、立ち上がる事さえ出来ない
床に座り込むその体勢は玩具と床を接触させ、新たな方向から膣を蹂躙していく
小さな部屋は機械の振動と床を叩く異音、膣内の液を掻き回す卑猥な音や嬌声、性の臭いが充満していた

「ダメっ!!こんな……もうやめっ……、あぐぅっ!!」

身体を仰け反らせ、激し過ぎる絶頂を迎えるリニス、その衝撃に声が詰まる
膣からは夥しい量の愛液に混じって小水が漏れ出し、床に小さな水溜りを作り出していく

「リニス……何て汚らわしい」

その臭いに眉を顰めるプレシア、忌み嫌う言葉は虚ろな眼を空に向けているリニスには届かない
少しだけ魔力を強めると、再度声を上げて快楽に支配されるリニス

「ひゃ、うぁっ!ひぎぃっ!!!」
「まだ三割……もう一度言うわ、あなたは私の命令だけ聞いていれば良いの、余計な事はしないで頂戴」

56 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 22:17:02 ID:L9a8zxAc
三割、その単語にリニスの背筋が怖気立つ
今でさえ理性が飛びかねない威力なのに、更に引き上げられたらどうなってしまうか分からない
自分の身体はどうなっても構わない、どうせ作り物だからと諦める事は出来る
だけど、フェイトには幸せに成って欲しい、その為には自分がそばに居て、プレシアを止めなければならない
だから耐えなければ、プレシアの言い成りになってはいけない――

「むぐっ、ううぅっ!!」

半開きになっていたリニスの口に、プレシアの男性器が無理矢理押し込まれる
喉にまで届きそうな程に押し込まれ、思わず吐きそうになるが寸前で少しだけ引き抜かれた

「いいわね、リニス」

有無を言わさず髪を掴まれ、強制的に動かされる
振り回される視界と快楽に意識が飛びかけ、口を犯される不快感に眼を覚まさせられる
その間にもリニスは何度も達し、膣から吹き出る様に溢れる愛液が彼女の太股や膝、地面を淫らに染め上げる

「んぐっ、はっ、いっ!んうううううぅぅぅぅ!!!」

既に思考は働かない、再度口内に射精され、膣内を玩具に突き回され、達し、精液に塗れる
身体に力は入らず、ただ流れるままに犯され、快感に身を震わせ続けたリニスの意識が途切れるまで時間はかからなかった。


プレシアが部屋を出て行ったのはそれから大分経っての事だった
床に横たわっているリニスの上半身は精液に、下半身は自らの愛液に汚れ、服は破かれて見るに耐えない状態になっている
偶然この異臭を嗅ぎ付けたアルフが居なかったらどう成っていた事だろうか

慌ててアルフがバスタオルとココアを持って駆けて来る
取り合えず身体を拭き、ココアのカップをリニスの口に宛がうと、ゆっくりと飲み始めてくれた

リニスが事情を説明すると案の定アルフは憤慨し、今にもプレシアを殴りに行きたそうに拳を振り上げていたが
それを何とか諌めるリニス、
今はまだ不味い、という言葉を受けアルフがキョトンとした顔をするが、
リニスは大丈夫だからと言い残して、浴場へと向かって行った。

57 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 22:17:36 ID:L9a8zxAc
以上です、慣れない台詞は文を壊すと改めて痛感
思いついた事をそのまま書いたので物語的な要素なんて有りません
一応ふた要素有りという事でこちらに投下させて頂きました
多分続き有りです


それでは

58 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 22:46:29 ID:fbnZc1iV
>>57
GJ!なんというエロス。リニスとか久しぶりだなぁ。

どうでもいいがレジアスさんがビスケット・オリ○みたいな肉体で活躍するSSとか書きたいけど
需要とかはあるのだろうか・・・・・・。あの服に隠されたとてつもなく巨大な筋肉とかハァハァ。
強いオサーンスキーはいないかな。

59 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 22:49:47 ID:myC8c7hp
レジアス、魔導師じゃなかったんだよな?
だったら少なくとも前線には出ないだろうしなぁ……あのオッサン、筋肉ってよりは贅肉って感じだし……

60 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 22:54:39 ID:wJrrYFRD
魔法を筋力で超越するのか・・・ちょっと見たい。

61 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 23:00:15 ID:bodf+f+c
>>58
「オッサン、エロ無し、魔法少女無し」と注意書きは必要だな。

62 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 23:10:30 ID:MPZAJ0cE
>>60
バキみたいになったらどうする?w
オチは
「こうして質量兵器禁止法に以下の一文が追加されることとなる」
[管理局が「生物を死に至らしめる技」と認めた体術に限り、質量兵器とし使用、会得を禁ずる]
みたいな感じで。


自分でキー叩いてなんだこれとか思ったorz


63 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 23:13:10 ID:aiAWHJ5G
>>58
すごい読んでみたいけど大魔法峠しか脳裏に浮かばねえ

64 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 23:22:25 ID:6A77EnQT
>>59
エア・ギアのブッチャみたいなもんだと思えば問題ない

65 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 23:31:50 ID:NROKEQlW
魔法を筋肉で凌駕すると聞くと、某「平和主義者クラッシュ」なひげ王子を
思い出すなぁ……

66 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 23:46:00 ID:UqHrZNHs
>>65
それ、もう既にスレイヤーズってハッキリ書かないと皆に通じなくなりつつなってるよ。


67 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 23:46:38 ID:c3JKaBJT
>63
そんな貴方をこのMADをどうぞ(ニコニコですが
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm1083452

68 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 23:55:06 ID:fbnZc1iV
とりあえず勢いだけで書き上げてみた。
レジアスが反則レベルで強いです。厨設定満載です。
でも俺はあやまらない。
ドゥーエさん涙目です。投下します。

69 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 23:56:01 ID:fbnZc1iV
出オチになるかもしれんがこんな感じ

ドゥーエの中にあるのは明らかな困惑。
ドゥーエが背後から突き出した爪は、レジアス・ゲイズの体を貫き心臓を破損せしめ
そして、確実に死に至らしめるはずであった。
しかし、現実はどうだ。何なのだこの異様な手ごたえは。
間違えてもコレは人を突いた感覚ではない。これでは
まるで
恐ろしく太く恐ろしく頑強な、数千数万の時を経た大木。
見上げても、尚、頂の見えぬ巨峰。
ただ、足元に当然の如く存在する惑星・・・・・・この、大地。

「どうした小娘、わしを殺(と)るのではなかったのか。」

ぎしりと椅子を軋ませ、レジアスが立ち上がる。
ゆっくりと、緩慢な動作で。

「最も、そのような細腕でわしの肉体を穿つことはできぬがな。」

レジアスがドゥーエの腕をつかむ。
軽く掴まれただけのはずが、骨格を強化しているフレームごと握りつぶされそうな
異常なまでの握力で握り締められる。


70 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 23:57:22 ID:fbnZc1iV
布の裂ける音がした。その方向に目をやれば、レジアスの服の縫製が裂けている。

「ふむ、またやってしまったか、オーリス。今度服また仕立てに行くから予約を入れておけ。」

そんな会話も今では耳に入らない。目の前の異常な光景に目を奪われているからだ。
服の上からでも分かるほどに体形が変わっている、否、これがこの男の本来の体・・・・・・
聴いたことがあった。管理局最強の陸戦魔導師は魔法を仕えぬ魔導師だと。
放出することも形にすることも出来ない魔導師。だが・・・・・・
それでも、尚、その力は無双であると。
今まで眉唾であった。魔法も仕えぬ魔導師などあるものかと。

そんな

常時、意識して筋肉を弛緩させておかねばその筋力ゆえに己の身を押しつぶす
その魔力の全てがその肉体を保持するために存在するような魔導師など。

「戦闘機人よ、わしはお前の入室を許可した覚えはない。」
その声はもはやあまりに遠く

「わしの前からうせい。」

その体が、扉に向かいボールのように投げ飛ばされる。
水平に、扉へと一直線に投げ飛ばされるドゥーエ。

「レジアスちゅうjゲフッ!?」

その体が、入室してきた何ものかの体にぶち当たり、二人仲良く絡まりあい
そのまま十数メートルの距離を転がっていった。

「何か今、桃色っぽい髪の娘が入ってきたように見えたが。」
「何、どこぞの小娘がよこしたものだろう。気にする必要はない。存分に、語ろう。」
「我が友よ。俺に残された時間はもう少ない。互いに知ることを話しあおう。」
「ふ・・・・・・今だこのわしを友と呼んでくれるか・・・・・・」
無骨な男同士の会話。それを横から見ているオーリスの目には、涙が浮かんでいた。

一方

「うえええええ!?怖かった、怖かったよぉぉぉぉぉぉ!」
「ちょ、抱きつくな、というかお前は誰だ、私は何をしにここまできたんだ!?」
廊下では、涙目になってシグナムに抱きつくドゥーエの姿があったとか。
「ひぐ・・・・・・えぐ・・・・・・もういや、おうちに帰る、いもうとたちにあいたいよぅ・・・・・・」
「私を行かせてくれ!ここでアギトとのフラグを立てなければこのあとの出番が、出番が!」
そんな会話が繰り広げられていたとか。

ちなみにこのあとシグナムさんは何故かドゥーエフラグをゲットしました。
でもそっちのほうは書きません。あしからず

71 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 00:01:01 ID:fbnZc1iV
っと、以上です。
ちなみにレジアスは綺麗な嫁さんもらって、オーリスも物凄いパパっ子で
今でも娘から尊敬されて、夫婦仲も良好とかいうそんな感じのイメージで。

72 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 00:01:32 ID:Oe9K4Xzs
>>71
バカスwwwwwwwwwwwwwwwwwww

73 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 00:03:45 ID:A/jOcKkS
>>71
これはひどいwwwwwwwwww

いや、深夜に良い笑いをありがとう

74 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 00:04:10 ID:L+26vcmR
>>71
ワロタw
このままじゃシグナムさんどんどん日陰者にw

75 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 00:06:41 ID:bodf+f+c
>>71 GJ
バーニングはやっぱりアリサのものだな!

さあ、さっさと海鳴市に真のロードを探しに行くんだ!


76 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 00:08:19 ID:Cu7lb6su
>>71
あほすぎるwwww
なんか語り終わった後二人でゆりかご壊しに向かいそうだw

77 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 00:11:17 ID:fFCngNvs
>>71
なんという某怠惰なレジアスww
こんな中将を俺達は待っていた!

78 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 00:14:53 ID:yOqCS8Ks
ゆりかごにて・・

(轟音)

なのは「何!?」
中将 「ほう、まだ片付いていないのか。」
聖王 「ハアアッ!!」

バシッ

聖王 「!?」
中将 「どうした?小娘・・・
    聖王とは、その程度か?」

こうでつか?わかりません><

79 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 00:20:10 ID:e01ic4z2
流れ切ってスマソが
俺は禁忌を考えついてしまったかもしれん…
アルフさんの真似をしてショタになったザフィーラの兄貴を妄想してしまった…あの口調でユーノやクロノみたいなショタだったら…

80 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 00:20:59 ID:SzFYSpn5
逃げてーーーヴィヴィオ逃げてーーー

81 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 00:21:36 ID:mdATJxbL
シャマルさんがどんな美ショタも場合によっては筋肉マッチョの巨漢に成長してしまう
そんな悪夢じみた現実を知り絶望します。

82 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 00:24:34 ID:gQJseAMk
むしろ幼い声で精一杯、渋くキメようとする方が

83 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 00:30:50 ID:auKoFX53
>71
バカらしくGJです

84 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 00:33:13 ID:51kgOctf
>>79
すごく……おっきいアルフに美味しくいただかれそうです……

85 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 00:33:20 ID:Y7CBIsvD
>71
なんと言う世紀末覇者。
馬鹿馬鹿しいを通り越して思わず勃ってしまった……

86 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 00:34:06 ID:mdATJxbL
ごめん、何故かこんなセリフを言いはなつレジアスを妄想してみた

「魔法だのISだの、そんなものはお前達だけで共有すればいい。」
「お前達とは?」
「わし以外の全てだ。」

何だこのオーガなレジアスは。

87 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 00:34:54 ID:xVdQNaes
>>79
前レスで同じような事をカキコしてしまった俺がいる…(゚∀゚)人(゚∀゚)ナカーマ

88 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 00:51:16 ID:JcbWUj99
>>78www
レ「貴様の砲撃とワシの筋肉、どちらが強いか! 勝負!!」
な「貴方の頭はそれだけなの・・・?」

レ「ぐぅっ……! なかなかの砲撃! だが! 貴様の全力の砲撃! 耐えきったぞ!!」
な「ええ。今のは紛れもない私の全力。100%の出力の砲撃だった……よく耐えたの」
レ「くくく、今度はこちらの番だ! 覚悟はいいか小娘!!」
な「それじゃあ次は150%なの。レイジングハート、ブラスター1リリース」
レ「!?」

なのはさん大好きっ子としてはこんな展開でも全然OK。
あれ、ウヴォーVSクラピカ風味が力押しに変わっちゃったんだぜ?

89 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 00:55:05 ID:NMBL7PIb
>71
何という中将。むしろ公式化してしまえ。

90 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 01:06:30 ID:mdATJxbL
AMF無し、全力全開のなのはさんとレジアス中将との戦闘。

『(これで倒れてくれなければ、私は・・・・・・負ける!)』
濛々と立ち込める粉塵の奥で、未だ断ち続けるレジアス。
『何で・・・・・・ふ、不死身なの?』
『それは・・・・・・わしの異名の一つでもあるな。』
なのはの背筋に走る戦慄。この男、どこまで強いのだろう。
『ふ・・・・・わしも衰えた。』
だが、レジアスの言葉はその考えを否定する。
その目がまっすぐに高町なのはを見据える。
『お美事・・・・・・高町なのはよ。お前はこのレジアス・ゲイズを確かに超えた。』
『え・・・・・・・』
『わしにはもう動く力もロクに残されておらぬ。最強の座・・・・・・貴様に譲ろう』
『レジアス中将・・・・・・』
『だが、願わくばその力・・・・・・地上を守るためにも使ってはくれまいか。』
それは、海に多くの戦力を取られながらも今まで地上を守り続けた男の願い。
そしてその思い、信念は確かに若者へと受け継がれる。

数年後、高町なのは教導官によって鍛え上げられた多くの優秀な陸士が陸の為に戦い
地上の平和、そこに暮らす多くの人々を守る戦士へなったという。
そして、高町なのはによって鍛え上げられたその陸士たちは後にこう呼ばれるようになる。

魔王軍と。

91 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 01:06:50 ID:mFCDv0Ne
「笑止。天地理念の法則を捻じ曲げた魔法ごとき小細工が、このワシに通用すると思うてか! 喝ッ!」
で、魔法を撃ち落とす中傷を幻視した。
妙にノリの軽くて、サングラスしてたけど。

92 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 01:07:48 ID:mdATJxbL
で、↑みたいな電波を出してたのは誰かな。
思わず書いちゃったじゃないか。

93 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 01:39:30 ID:sKhkaygJ
>>92
よしすぐに投下準備に移れ

94 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 02:44:49 ID:qCsdVW50
>>91
伊藤勢乙
ってか、モンコレ懐かし杉
旦那はオーバースペックもいいところだったな

95 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 04:03:51 ID:ebdXHW/u
>>81
シャマ先生はCIAの某ロリコンエージェントの女版かいw

96 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 04:07:55 ID:IvfS3nQ+
>>92
よっしゃ、投下してくれw
てか、レジアスがどんどん某師匠みたいな人外武闘家にw

97 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 04:08:42 ID:ZAC1s6t+
おいちゃんとオーガの融合体なんてどれだけ恐ろしい悪夢なんだよw

98 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 06:19:22 ID:FOqEjTuy
東西南北中央異次元ベルカミッドアルハザード不敗w

99 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 09:26:05 ID:5Dguxg77
>>71のドゥーエに萌えたのは秘密

100 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 12:07:42 ID:qaAvPdO3
シグナム×ドゥーエという本編ではありえなかったカップリングに期待している俺ガイル。

101 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 12:24:15 ID:z7bIYkX9
シグナム×ドゥーエVS鬼神中将レジアス

君は生き延びることが出来るか・・・

102 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 12:31:36 ID:aL2PV0hN
ターンA氏最近見ないなあ・・・・・
アリシアの続編見たい・・・・・・・・

103 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 13:12:50 ID:BFWSWjhr
ユーノ×クアットロの人まだー?

104 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 13:13:31 ID:e01ic4z2
俺が見たいあり得ないカップリングは久遠×ユーノ

どんだけ〜

105 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 13:51:57 ID:6YcMqIix
ティアナメインのSSを思いついたんだが、書く勇気がない
職人さん方はすごいなと今さら感動したよ

106 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 13:59:47 ID:sKhkaygJ
>>105
どんな感じの内容か気になるんだが

107 名前: ◆6BmcNJgox2 :2007/10/05(金) 14:17:10 ID:GxJ9VaPX
皆様GJです。やっと第三部が書きあがったので三部作の完結編をやろうと思います。

第一部 なのはと士郎が喧嘩した編 
第二部 今までを振り返りながら…編 
第三部 フェイトは新たな恋に生きるのだ編 ←今ここ

・なのはとユーノが結婚した事が原因でフェイトが絶望して無気力状態になる
・そのフェイトの腐った根性を叩きなおすべく立ち上がるシグナムであったが…
・百合エロ注意

108 名前:フェイトは新たな恋に生きるのだ編 1 ◆6BmcNJgox2 :2007/10/05(金) 14:18:33 ID:GxJ9VaPX
なのはとユーノがヴィヴィオを連れて新婚旅行に出かけて一日が経過した。
管理局に残った皆は今までと全く変わらぬそれぞれの仕事に付いていたのだが、
ただ一人だけは違っていた。その名はフェイト=T=ハラオウン。
「はぁ…なのは…。なのはは遠い所へ行ってしまったんだね…。」
なのはに対して親友と言う一線さえ越えてしまう程の感情を抱いていたフェイトは
なのはがユーノと結婚した時点で全てに絶望して無気力状態になっていた。
無論その体たらくで執務官の仕事など勤まるはずが無い。
故に一度解散になった元機動六課のメンバー達が召集されてフェイトを
何とかしろって事になっていたのだが…

「フェイトさん元気出してくださいよ!」
「そうですよフェイトさん! しっかりして下さい!」
まず最初に送り込まれた刺客はフェイトと最も親しい関係にある
エリオとキャロの二人だった。フェイトとエリオ&キャロはもはや親子も同然の
関係にあったからこそ何とか説得出来るのではと思われていたのであるが…
「そりゃ〜行き遅れた事は悔しいと思いますがフェイトさんならきっと素敵な相手が見付かりますよってんべ!」
エリオがフェイトを元気付けようとそう言った直後、フェイトの拳がエリオの顔面にめり込んでいた。
「フェイトさん何をするんですか! エリオ君に八つ当たりしないで下さい!
だからフェイトさんだって素敵な相手を見付けんべぁ!」
キャロも慌ててそう言うのだが、みぞおちにフェイトの拳を受けて血反吐を吐いて倒れていた。
「な…何故…。」
「黙れ…私がなのはをどれだけ想っているかも知らぬクソガキら偉そうな口を叩くな…。」
その時のフェイトの顔はまるで悪魔の様な形相になり…

「エリオとキャロがフェイトちゃんに半殺しにされて病院に運ばれたらしいわ…。」
「何――――――――――!?」
名無し局員と言う名の斥候から最前線の状況を知らされたはやては
今度は後方待機していた残りのメンバー達に報告をし、それを聞かされた全員は驚愕していた。
「そんな…エリオとキャロはフェイトさんにとって家族も同然なのに…。」
「それだけフェイトちゃんは追い詰められとる言う事や…。」
皆は忽ち青くなった。今のフェイトは明らかに危険だと。だが…
「ならば…ここは私が行くしか無いでしょう…。」
「シグナム?」
そこで立ち上がったのはシグナムだった。
「次は私が行きます。」
「そうやな、シグナムなら万が一攻撃されても自力で凌げるしな。」
シグナムが出撃志願した所で皆は安心した。シグナム自身フェイトにも負けないだけの力はあるし、
既にフェイトと何度も模擬戦を繰り返し、またかつては闇の書事件で宿敵として戦った事が
きっかけによる親交がある身であるから、説得させる事も可能だと思われたのである。
とにかく今は誰もがシグナムに希望を託した。彼女ならフェイトを立ち直らせる事が出来ると信じて。

109 名前:フェイトは新たな恋に生きるのだ編 2 ◆6BmcNJgox2 :2007/10/05(金) 14:20:08 ID:GxJ9VaPX
「は〜…なのは…。」
フェイトはなおも空を眺めながらなのはを想ってボ〜っとしていた。
やはりなのはが結婚して以来フェイトはまるで魂が抜けてしまった様に無気力になったまま。
確かにフェイトはなのはが恋しかった。しかしだからと言ってユーノを傷付けてまで
無理矢理なのはを手に入れる様な事をすればなのはが悲しみ、フェイトを憎むのは目に見えている。
なのはを大切に考えているが故にその様な事はとてもでは無いが出来るはずが無い。
この様なジレンマがフェイトを苦しめていた。
「もう何もやる気が起こらない…私は一体どうすれば良いの?」
フェイトは目に涙を浮かばせながら頭を抱えていたのだが…そこで突然背後から服の襟を引っ張られた。
「シグナム?」
フェイトの襟を掴んで引っ張ったのはシグナムだった。目に涙を浮かばせながら
無気力感丸出しの目でフェイトはシグナムを見つめるが、シグナムは鋭い目でフェイトを睨み付けていた。
「テスタロッサ少しこっちに来い…。お前に話がある…。」
「え? 話って? そんなのする気になれないよ…。」
「ならば無理矢理にでも連れて行くまで…。」
と、フェイトは力なくうな垂れたままだったが、シグナムは無理矢理にフェイトを引きずって連行した。

シグナムがフェイトを連行した先は管理局内に何故かあった剣道場だった。
そしてシグナムは道場の奥から竹刀を二本取り出し、一本をフェイトの方へ放っていた。
「構えろ…。お前のその腐った根性を私が叩き直してやる。」
シグナムは口では無く剣によって語ろうと言う魂胆だった。その方がむしろ
口であれこれ言うより効果があると考えたのであろうが…
「あ〜…そんなのいきなり言われても〜…。」
相変わらず無気力感丸出しのフェイトは竹刀を握る事さえしない。だがそんな事をしている間に
シグナムの振り下ろした竹刀が強くフェイトの脳天に打ち込まれていた。
「私は容赦はしないぞ。これ以上痛い思いをしたくなければ竹刀を握れ。構えろ。戦って見せろ。」
「痛いな〜…も〜…。」
「…………。」
フェイトは無気力状態であったが故に痛がり方も無気力丸出しであり、これにはシグナムも呆れた。
「そうか…ならばこれならどうだ?」
何を考えたかシグナムは変身魔法を発動させ、なんとなのはそっくりに姿を変えていたでは無いか。
「!!?」
「どうだ? これで少しはやる気も出ただろう?」
口調は相変わらずだが、なのはに変身したシグナムの声色はなのはと同じ物になっており、
それにはフェイトも目の色が変わった。
「なのは…なのはぁぁぁぁ!!」
フェイトは目の前のなのはを本物だと勘違いしたのか、そのまま竹刀も握らずに飛び込んで来たでは無いか。
「丸腰で来るのか!? だが私は丸腰でも容赦はしない!!」
再びシグナムは素早くフェイトの脳天目掛けて竹刀を振り下ろすが…
その太刀筋がフェイトの頭をすり抜けていた。
「何!?」
シグナムは一瞬何が起こったのか理解出来なかったが、その直後にやっと理解出来た。
つまりフェイトはあたかもシグナムの太刀筋がすり抜けてしまった様に見えてしまう程の
速度で回避していたのである。そして…

110 名前:フェイトは新たな恋に生きるのだ編 3 ◆6BmcNJgox2 :2007/10/05(金) 14:21:01 ID:GxJ9VaPX
「なのはぁぁぁぁ!! 好きぃぃぃ!!」
「んぶぅ!!?」
次の瞬間フェイトはシグナムに抱き付き、押し倒し、あろう事か唇まで奪っていたでは無いか!
「なのはぁぁぁ!! 愛してる!! もう放さない!!」
「んんんんんん!!」
なのはに変身したシグナムを本物のなのはを勘違いしたままのフェイトは己の唇を
シグナムの唇に密着させ、舌を強引に絡ませた。
「やめろテスタロッサ! 私だ! シグナムだ!」
無理矢理に唇を奪われたショックで顔を赤くさせ、目に涙を浮かばせ、そしてフェイトの唇から
唾液の糸を引かせながらも何とか離れたシグナムは涙目で変身魔法を解除して元に戻った。
これでフェイトも我を取り戻すだろうと思われたのだが…
「もう今になってはそんなの関係無い!! 私は新たな恋に生きる!!」
「何ぃ!?」
「シグナム――――!! 愛してるぅぅぅ!!」
「や…やめろぉぉぉぉ!!」
何と言う事か…フェイトは好意の対象をなのはからシグナムへ切り替えていたのである。
確かに今でもフェイトがなのはを好きだと言う気持ちは変わらない。
しかしかつてのそれと違い今のフェイトのなのはに対する感情は「LOVE」では無く「LIKE」
あくまでも友達として…友情と言う意味での好きになっていたのである。
そして今度は…シグナムへ「LOVE」と言う感情を…愛情としての好きを抱いていた。

「ほ〜らシグナム…私と良い事しよう…。」
「や…やめろ…テスタロッサ…落ち着け…たのむ…。」
剣道場の床に二人の竹刀と着ていた服が転がり、その中心部に全裸体の二人が抱き合っていた。
フェイトは不敵な笑みを浮かべてシグナムの素肌の彼方此方を嘗め回し…
シグナムは普段のクールさは一体何処に行ってしまったのか分からない程にまで泣きそうになり、
もはや烈火の将では無く、ただただ愛撫されるだけのオンナにされていた。
「ウフフフフ…シグナムのおっぱい大きい…。乳首もこんなに張らして…。」
「う! ああ!」
フェイトは己の乳房をシグナムのより大きな乳房に密着させ、さらに己の乳首で
シグナムの乳首を弄くっていた。
「やめろ…お願いだ…何故…何故私がこんな事に…。」
「だ〜め!」
シグナムはまたもフェイトに唇を奪われた。そして舌を絡まされ、シグナムの口内もろともに
フェイトに嘗め回されてしまっていた。
「フフフ…シグナムのお口の中…綺麗…。」
「やめ…やめ…おねがいだから…やめ…。」
「や〜だ!」
シグナムが涙目でどんなにお願いしてもフェイトはやめる様な事はしなかった。
そして一度唇を離すと、シグナムの乳房を揉み解しながら今度は己の股間のソレを
シグナムの股間のソレへ押し付けて来たでは無いか。
「あ! ああああ!!」
「ウフフフフ…私のオマ○コとシグナムのオ○ンコがコリコリ擦れ合ってる…。」
「あああああ!!」
フェイトも本当はなのはとこの様な事がしたかったのだろう。
しかし今となってはそんな事はどうでも良い。今のフェイトが一番愛しているのはシグナムなのだから…。

111 名前:フェイトは新たな恋に生きるのだ編 4 ◆6BmcNJgox2 :2007/10/05(金) 14:22:49 ID:GxJ9VaPX
その頃、剣道場で乱交が行われているとは知らないはやて達はその剣道場の前までやって来ていた。
「さて、今頃フェイトちゃんもシグナムに叩き直されとるやろうな。ほなちょっと見てみよか!」
と、笑いながら剣道場の戸を開くのであったが…
「な…なんだよこれ…。」
剣道場で繰り広げられていた惨状を目の当たりにし、ヴィータは思わずそう呟き、誰もが唖然としていた。
「ウフフフ…シグナムは私が幸せにしてあげる…。」
「あああああ〜…テスタロッサ…不束者だが…よろしく頼む…。」
「だ…だから何がどうなってるんだよ…。」
完全にフェイトによってガチレズに堕とされていたシグナムにヴィータは真っ青になっていた。が…
「なんや…シグナムもちゃんとフェイトちゃんを立ち直らせた様やな。これなら安心や。ほなもう行こか?」
と、はやてはヴィータの手を引っ張って剣道場を後にしようとした。これにはヴィータも慌てる。
「ちょっと待ってはやて! あれ見て何とも思わないのかって…………。」
はやての顔を見た時にヴィータは全てを理解した。はやては顔は笑っていたが、その目からは
大粒の涙を流していた。本当ならはやても大声を張り上げて泣き出したいのだろう。
しかし…大局を優先し、己の心を鬼にして…小の虫を殺して大の虫を生かす道を選んだのである。
「どうしたんや? ヴィータ…。」
「な…何でもないよ…。」
はやての心中を理解したヴィータもまたはやてに引っ張られながら剣道場を後にした。
「シグナム〜!」
「テスタロッサ…。」
「アッー!」
その後も剣道場からは二人の喘ぎ声が響き渡ったと言う。

数日後、なのはとユーノ、そしてヴィヴィオの三人が新婚旅行から帰って来た。
「ただいま〜! それにしても大変だったよ〜! 旅行先でロストロギア事件が
発生しちゃって本当大騒ぎになってたんだから〜!」
「でもヴィヴィオが予想外に役に立って、将来が楽しみだなって思ったよ。」
とか、なのはとユーノは旅行先で起こった事を色々話したりしていたのだが、
そこでフェイトが笑顔で二人の前にやって来ていた。
「おかえりなのは! でも結婚式の時は出席出来なくてごめんね?」
「でも体調悪かったんでしょ? 仕方ないよ。」
フェイトがなのはとユーノの結婚式に出席していなかったのは確かに体調が悪かった事もあるのだが、
何よりなのはが遠くに行ってしまうと言う事実に耐えられなかった事が何よりの原因だった。
しかし今のフェイトは違う。その蟠りを吹っ切っていたのである。
「それとユーノ! なのはを本当の本当に幸せに出来なかったら承知しないからね?」
「え? フェイト……う…うん…。」

112 名前:フェイトは新たな恋に生きるのだ編 5 ◆6BmcNJgox2 :2007/10/05(金) 14:23:27 ID:GxJ9VaPX
なのはとユーノが本格的に付き合い始めた頃からフェイトがちょくちょくユーノに
突っかかって来ていたと言うのに、この二人を祝福しているとも取れるフェイトの発言は
どういう風の吹き回しなのだろうかとユーノは思っていたが、突っかかって来ないだけ
マシかなとそれ以上変に詮索しなかった。
「それじゃあ私はこれから出かけるけど、今度は旅行で休んでた分もなのはが働かないとダメだよ?」
「うん! それは分かってる! けど…フェイトちゃんは何処に行くの?」
確かにその時のフェイトの服装は明らかに外出用にお洒落した物であり、フェイトは笑顔で答えた。
「フフフ…今日はデートするんだ!」
「あ…なるほど〜…。」
これでユーノも納得した。フェイトもちゃんとした相手を見付ける事が出来たのだと…。

「遅いぞテスタロッサ。」
「ごめんシグナム! それじゃあ行こう?」
「フフ…そうだな…。」
フェイトのデートの相手…それはフェイトによってガチレズに堕ちた(無論フェイト対象限定だが)
シグナムだった。そして二人は手を繋いでデートへ出かけて行く。
この二人の関係に管理局側も変に詮索させる様な事はせず、むしろ同じチームにしていた。
はやてがそう判断したように小の虫を殺して大の虫を生かしたのである。
現に愛の対象をなのはからシグナムへ移行させたフェイトはそれまでの無気力状態が
嘘の様にバリバリに仕事をして無気力期間中の体たらくさを帳消しにする程の活躍をしていたのである。

「シグナム…大好き…。」
「私もだ…。」
この二人の関係は不純な物かもしれないが…
フェイトもシグナムもとても幸せそうだった。

                  HAPPY END

113 名前: ◆6BmcNJgox2 :2007/10/05(金) 14:24:36 ID:GxJ9VaPX
私の作品的には二度目のフェイト勝利ENDになります

114 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 14:28:30 ID:BFWSWjhr
愛は強かった

115 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 14:30:31 ID:CPRTPcsA
勝利……なのか?

116 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 14:32:04 ID:Cu7lb6su
なんだろう、GJなんだけど
最後のHAPPY ENDにものっそい違和感がw

117 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 15:29:57 ID:nvB4YRDt
当人同士が幸せで終わったんなら、きっとHAPPY ENDなんだよ。
そんなことを某流浪人の敵の包帯さんも言ってたぞ。

118 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 15:30:30 ID:/sB3JHjk
本人達が幸せならそれでEんだYO!
しかし勝利しても結局ダメフェイトさんになるのか

119 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 16:06:49 ID:66tGbAQ6
ところで、

はやてが改心したナンバーズを全員引き取って新たに立ち上げた部隊「公安9課」。
主要メンバーのほとんどが戦闘機人で構成されたこの部隊を、人は「攻殻機動隊」と呼ぶ……

なんて電波送ってきたのどこのどいつだ?

120 名前:騎士よ眠れ:2007/10/05(金) 16:09:14 ID:idkzXr1T
続きです

121 名前:騎士よ眠れ:2007/10/05(金) 16:09:59 ID:idkzXr1T
 西の空を焼く太陽によって、古代ベルカ世界の地上は燦々とした陽光に照らされていた。
 寂寞とした微風が吹き荒ぶ聖都跡地で、二名の守護騎士は宿敵との対峙を神妙な面持ちで待
ち構えている。
 一方のユーノは、深更から今まで半径五〇〇キロメートル範囲に魔力流を放出させ、各方面
の魔力反応を丹念に調べていた。
 数分後、ユーノは魔力流を止めて疲れを含んだ呼気を肩から吐き出した。
 彼が詠唱の思念を止めた瞬間、足許に展開していたミッドチルダ式の魔方陣も消滅する。
「何かわかったか?」
 ザフィーラが堪え切れないといった風にユーノへ歩み寄った。振り返った若き学者は、意味
深長な表情で小さく首肯する。
「西南の方角、約二〇〇キロメートル先に魔力反応がありました。地中深くに埋まっているけど、
それは現場に向かえば何とかなると思う」
「西南、二〇〇キロメートルか……飛行魔法で急げばそう時間は掛かるまい」
 昨日から騎士甲冑を纏ったままのシグナムも二人の間に入り、視線を西南方向へと遠く馳せる。
 他の方角とは対照的に、西南地方は鬱蒼と茂る森林が広がっている。
 更にユーノ達が目指すべき二〇〇キロメートル辺りの地帯は、この聖都跡地からでも明瞭に
白く霞む峻険な山岳を望む事が出来た。
 どうやっても、陸路による踏破は不可能に近い複雑な地形だった。一様に同じ方向へ向けら
れている三人の瞳は、それぞれの想いを秘めていた。
 シグナムが初めに視線を外し、悠々と笑みを漏らす。
「だが、我々がそちらへ向かうのは邪魔者を排除してからだな」
 述べる口調は最後に至る中で強く響き、彼女の凛然とした双眸が蒼穹の空へと引き上げられる。
 シグナムに続いてザフィーラとユーノもそれに倣い、彼女達の視界には陽光を背に受けて降
下してくる二つの影があった。
 三人の前に着陸したフェイトとティアナも、シグナム同様にバリアジャケットを装着した状態で、
期限の時間通りに現れた。
「……ユーノ、ザフィーラ、シグナム……貴方達の答えを」
 万全の戦闘体勢で言うには甚だ矛盾していたが、それでもフェイトはある筈の無い望みを込
めて三人に言った。
 フェイトの一歩後ろで、ティアナは黒と赤の胴着、白と青の上着というバリアジャケットの
姿で、ザフィーラから放たれる自分への敵愾心を感じ取った。
 一晩を経た彼女は、フェイトの様に無益な問答を続ける気は毛頭無かった。毅然と顔付きを
引き締め、ザフィーラの睥睨を負けじと受け止める。
 シグナムは逸早く腰に佩していたレヴァンティンを抜き放ち、その鋒を直立不動の金の魔導
師へ突きつける。
「最早そのような質問に意味はあるまい。……さぁ、始めるぞテスタロッサ!」
 フェイトへの宣戦布告を済ませ、シグナムは遥か上空へと飛翔していった。彼女の上昇して
いく様を見上げ、フェイトもまた彼女を追うべく飛び立つ為の推進魔力を全身から発露させる。
「ティアナ、兎に角身動きが取れない程度にまで相手をするんだ。後はシャリオが艦載の転送
魔法で三人を捕捉してくれるから」

122 名前:騎士よ眠れ:2007/10/05(金) 16:10:44 ID:idkzXr1T
 すぐ背後に立つティアナへ振り返ったフェイトは、後輩の健闘を祈る眼で真っ直ぐに彼女の
顔を見つめた。
「了解です」
 安心してシグナムとの一騎打ちに出れるよう、ティアナは瞭然と返答した。大きく頷き、フ
ェイトはシグナムが待つ決戦の空へと浮上していった。
「ユーノ・スクライア」
 ザフィーラが両手に装備したクロスミラージュを構えるティアナに向かって踏み出す。
「わかりました。ランスターさんの足止めをお願いします。僕は山岳地帯へ」
 ザフィーラがティアナを見据えたまま、ユーノに気位のある沈黙を返した。直後にユーノも
聖都跡地を離れ、西南の峻嶺へと移動を開始した。
 雲の無い上空で対峙したシグナムとフェイトは、互いにデバイスをその手に構える。限界寸
前まで張り詰めた両者の無言が、激突の予感をいよいよ高めていく。
「レヴァンティン、リンカーコアコネクト!」
『Jawohl.』
 使い手の声に呼応し、炎の魔剣は鍔元から細く鋭い発光を閃かせる。直後にシグナムの胸部
から小さな輝きの粒が顕現し、それは彼女の眼前で無数の粒子となって増殖した。
 リンカーコアコネクトの起動をを完了し、膨れ上がる莫大な魔力がシグナムの身体から放射される。
 その余波に金の髪を乱すフェイトは、シャリオが語った古代ベルカ人のリンカーコアとシス
テムの相性をまざまざと思い知らされる。
 大気を激しく掻き乱す魔力の激流は、縦横無尽に逆巻いて古代ベルカ世界の天空に守護騎士
の威容を顕現させた。
「──行くよ、バルディッシュ!」
『Yes, sir!』
 威勢良く声を発した長年の愛機を両手に携え、フェイトは魔力の渦を纏う烈火の将へと先制を取った。
 前傾姿勢で疾風と化したフェイトは、その最中でバルディッシュへ形態の命令を下す。
『Haken Form.Addition 105 KB.』
 フェイトはゲマトリアサポートシステムを起動させ、内蔵された記述化魔力の端末から魔力
を抽出する。その補強を受け、バルディッシュの先端から計三本の鋭利な鉤が突出した。
 大気の壁を解き放ったシグナムが、高速で間合いを詰めてくるフェイトへレヴァンティンを
翻す。リンカーコアを魔力として転化させた彼女は、その身に無数のリンカーコア粒子を上下
左右に循環させていた。
 袈裟に振り下ろされたバルディッシュをレヴァンティンの刀身で受け止め、フェイトの突撃
を軽々と打ち払った。フェイトは予想以上の騎士の膂力に息を呑み、頬に警戒の色を強める。
 僅かに狼狽を見せたフェイトへ、今度はシグナムが至近に迫った。一瞬の接近でフェイトと
の間合い無くしたシグナムは、勇猛な叫び声を上げながら横薙ぎに魔剣を叩き付ける。
 余りの速さで回避運動に遅れたフェイトは、自身を水平に両断せんと肉迫するレヴァンティ
ンにバルディッシュを宛がう。柄でシグナムの一撃を迎え撃ったバルディッシュは、フェイト
の鼓膜に耳障りな軋む音を届けた。
「バルディッシュ──!」
 シグナムの死角からフォトンランサーを連射して相手の注意を逸らし、フェイトは即時にレ
ヴァンティンの射程から退避する。

123 名前:騎士よ眠れ:2007/10/05(金) 16:11:28 ID:idkzXr1T
『Don't worry,trust me.』
「うん……。シグナム、凄い強さだ。それに向こうも非殺傷設定を解除している。一瞬でも油
断したら首を持っていかれる……!」
 通常形態の打撃だけでデバイスの機体に恐ろしい衝撃を与えてきたシグナムへ、フェイトは
未だ嘗て無い過酷な戦力差を濃厚に気取った。
 更にフェイトが驚愕すべきだったのは、シグナムへと殺到した数十発のフォトンランサーの悉くが、
騎士甲冑に傷一つ負わせられずに消滅した事だった。
「テスタロッサ。よもや貴様、リンカーコアコネクトを渋ったと言うのか?」
 魔弾の牽制を取るに足らない小細工として容易に打ち消したシグナムは、苛立ちさえ含んだ
啖呵を飛ばした。フェイトが強張らせた顔で答えを示す。
「私のリンカーコアでは、システムを受けても精々一.五ランクの向上しか見込めない……余
計な機能を追加するよりは正しい選択です」
「成る程な。承知した──では続きを始めるぞ!」
 リンカーコア粒子に光り輝くシグナムがフェイト目掛けて突進する。彼女の残影を揺らめか
せるその軌跡は、大質量の推進魔力の衝撃波で大きく歪んでいた。
 フェイトはレヴァンティンの間合いから逃れる為、後退しつつ再び直射弾を撃ち出した。シ
グナムは視界を埋める光の弾丸をレヴァンティンで斬り飛ばし、大気を陵辱する加速でフェイ
トを斬撃の射程内へと収めた。
 フェイトは咄嗟にバルディッシュを振り被り、ハーケンフォームの鉤でレヴァンティンの猛
進を喰い止める。
「それだけの強度で受け切れるか!」
「バルディッシュ!」
『Addition 250 KB.』
 更なるゲマトリアサポートを受けてハーケンフォームの出力強度が増加し、レヴァンティン
の刀身へ超高熱の反撃を与える。一時的な攻撃力の互角にシグナムが一歩退き、フェイトが先
に踏み込んだ。
「シュベルトフォルム、紫電一閃!」
『Jawohl,Hinzu 120 KB.』
 レヴァンティンの刀身から火炎の竜巻が巻き上がり、周囲の大気を一瞬にして熱崩壊させる。
フェイトは前身に純粋な魔力を破裂させ、その反動で命からがら熱波の嵐から飛び退いた。
 最早近接魔法と呼ぶもおこがましき炎の螺旋は、大気圏をも突き抜けて鮮やかな深紅の柱を
形成する。
「燃え尽きるがいい!」
 シグナムが火炎竜巻に包まれたレヴァンティンを深く振り被り、熱波の巨剣を繰り出した。
猛る炎の竜が激しく旋回しつつフェイトの身を捕える。
 ディフェンサープラスを展開して凄絶な高熱地獄を乗り切ったフェイトは移動し、高度を増
した軌道を鋭角に折り曲げ、直下のシグナムへと急速に迫った。
「シグナム!」
 全身に風圧を浴びながら襲撃してくるフェイトへ、シグナムが激情の瞳を叩きつけた。
「この期に及んで本局に戻れと戯言をほざくか!」
「貴方が死ねば一体どれだけの人が悲しむ! 貴方の身勝手な自己犠牲で苦しむ人を忘れては
いけません! ヴィータの快復には私達も協力を惜しまない!」

124 名前:騎士よ眠れ:2007/10/05(金) 16:12:11 ID:idkzXr1T
 激突するデバイスの上で、二人の強固な意志を孕んだ瞳が交錯する。間近でフェイトを睨み
つける騎士の双眸が、憤激の荒波を漲らせた。
「貴様に騎士の絆に口出しする資格等無い! それ以上知った風な言葉を利いてみろ! その口、
我が一太刀で粉々に砕いてくれる!」
 思いがけないシグナムの拒絶の叫びに、デバイスを軋ませ合っているフェイトが僅かに押された。
「貴様に何がわかる! 貴様に私の何がわかると言うのだ!」
「わかろうと努力出来ます! シグナム! 一時の感情に惑わされないで、よく周りを見て!」
「必要無い! もう我々騎士の絆に踏み込むな!」
 拮抗する力は互いの身体を弾き飛ばした。シグナムは己の心の領域を侵され、深い敵意と不
快感を麗しい形相の上で露にした。
「そうさ、初めから無理な話だったのだ! 何が人間になる、だ! 何が生身の身体を手に入
れられる、だ……! ハハ、よく考えなくても簡単な話だったではないか、このような事はッ!」
「シグナム……?」
 自分に対するものではないシグナムの感情の倒壊に、フェイトは困惑してその場で体勢を維持する。
「所詮は愚かな夢想だ! 所詮はっ……所詮、私達ヴォルケンリッターは闇の書のプログラム
に過ぎんのだ!」
 シグナムの喚きは、まるでその手に与えられると思っていた自由を得られずに嘆く子供の様
に純粋無垢だった。だからこそ、現実に裏切られた時の傷心は想像を絶する苦しみとなって彼
女に逆流した。
「あ──が──」
 突如としてシグナムの身に起こった不可解な現象に、フェイトは我が目を疑った。
 騎士の肉体が映像処理の様に歪み、ジジジと静電気の様な現象を伴って荒く波打つ。
「シグナム、その身体は……!」
 烈火の将は何時しか顔を伏せ、奥歯を噛み砕きそうな程に歯を食い縛っていた。一度起きた
肉体の歪曲は、幾度か連続して発生した。
 生身の人間へとプログラムが更新されていた──だけ、という虚しい守護騎士プログラムの
欠陥症状は、着実にシグナムをこの世からの永久の消滅へと運命の針を刻ませていた。
「ヴィータ、お前一人で逝かせはせん。私も、きっとザフィーラとシャマルもすぐに後を追う
よ……。だが、一つだけ成すべき事を果たすまで時間をくれ。ふふ、お前は昔から寂しがり屋
だったからな。あの家に住んでいた時からそうだ……余り待たせるとまた悲しませてしまうだろう」
 蘇った無窮に達する昔日の記憶は、シグナムの唇を懐旧の述懐に誘った。
 フェイトを前に勇ましく顔を持ち上げたシグナムの瞳から、一筋の透明な雫が零れ落ちた。
「この剣に身を捧げてきた全ての時間が虚構だったとしても……! 私は冥土の土産に貴様の
首を持って行く! それがこの世界にヴォルケンリッターが烈火の将・シグナムが存在してい
たという、確固たる墓標となるのだからな!」
 狂おしいまでに宿敵との決着を渇望するシグナムは、決然と愛機を構えてゲマトリアサポー
トを大量に消費した。
 シグナムの中に充満した膨大な魔力量は、余りの凄まじさで肉体に蓄え切れずに荒れ狂う。
 行き場を求めて体外へと発散された余剰魔力が彼女の周囲で瀑布を起こし、烈々とした気迫
と共に暴風の渦を巻き上げる。
 騎士の体躯を取り囲むリンカーコア粒子が一際その輝きを強め、宛らシグナムを神話の戦女
神の如き神秘的な風貌に装飾した。

125 名前:騎士よ眠れ:2007/10/05(金) 16:12:59 ID:idkzXr1T
「シグナム! 刺し違えてでも貴方達を救ってみせる!」
 フェイトもゲマトリアサポートでバルディッシュを強化し、ザンバーフォームへと移行させ
た。出力口から逞しい幅広な両刃の刀身を射出する。
「我が生涯最期の戦場……心行くまで愉しませてくれ! テスタロッサァァァァァ!」
 金と紫の閃光が古の世界の上で熾烈な激闘を繰り返し、天空を激甚に駆け巡る。
 フェイトが全力で放つバルディッシュの一撃を、レヴァンティンが弾き返す。対する炎熱の
猛威を、フェイトが砲撃魔法で相殺させる。
 フェイトの懐に滑り込んだシグナムが、柄を握るその手を強引に腹部へ抉り込ませた。腹か
ら背中へと突き抜けた激痛に、フェイトの細い体躯が弾丸と化す。唾液を吐き散らせたフェイ
トは、数本の肋骨下部と胃の破裂を直感するが、その意識も廃墟の区画へと突入した時点で途
切れ途切れに明滅した。
 シグナムの恐るべき打撲に飛ばされたフェイトは、崩壊して積み重なっている廃墟の建造物
の数々に身体を強打し、多量の噴煙の中へ埋没した。
 すぐさま体勢を立て直したフェイトへ、頭上からシグナムが急襲する。防御魔法の魔方陣を
発生させ、レヴァンティンの渾身の太刀がミッドチルダ式の鉄壁に直撃されるが、それから先
へは攻撃を貫かせなかった。
「がはっ──」
 しかし魔方陣を維持するフェイトは、肉体への甚大な負担によって体内の血流を壊され、餌
付く様に喘いで鮮血を吐き出した。端麗な彼女の容貌が、痛ましい血の色に汚される。腹部の
損壊からくる激痛で、痛覚を処理する脳が呻吟に揺れる。
 その惨憺たる美貌を、しかしフェイトは不屈の気力で頭上の魔方陣越しに対峙するシグナム
へと仰け反らせた。
「どんなに──どんなに辛く苦しい試練が襲い掛かろうとも……! 私達は何時だって、掛け
替えの無い仲間と共に乗り越えてきた筈です! そうでしょうシグナム! これがその解答で
すか! 今まで培ってきた絆を全て擲ってまで、免れ得ないかもしれない宿命に屈してしまう
程、貴方は弱い人じゃない筈だ! レヴァンティン! 貴方もこんな戦いを本当に望んでいる
のですか! どうして、マスターの苦悩を貴方の勇敢な刃で斬り裂いてあげられなかったのですか!」
『……』
 尚も懸命に対話の糸口に拘るフェイトに、シグナムは魔方陣を斬り裂こうとレヴァンティン
を光の紋様に食い込ませ、酷烈なまでに悩ましい呼気を吐いた。デバイスと魔方陣の接触によ
る反発する力が、二人の間に目まぐるしい光の乱舞を描く。
「砕け──散れぇぇぇぇ!」
『──Hinzu 380 KB!』
「シ……グナムゥゥゥゥゥ!」
 フェイトの防御魔法の魔方陣に多数の皹が走る。そしてやがて、その光の壁は魔剣の斬圧で
無力な粒子へと破壊させられる。
 フェイトは辛うじて体勢を崩すとレヴァンティンの牙を掻い潜り、瞬時に空へと羽ばたいた。
『Addition 555 KB.』
 地面に深い亀裂を刻んだ状態のシグナムへ、フェイトはSS+級の砲撃魔法を無二無三に放
射する。大地を震撼させる強力な砲撃の数々が、廃墟の街に爆音を轟かせて次々に降り注ぐ。
砲撃が陸地に直撃する影響で、地上が広域に渡って絶え間なく激震した。

126 名前:騎士よ眠れ:2007/10/05(金) 16:13:42 ID:idkzXr1T
 容赦の無いフェイトの猛攻が止み、廃墟一帯は石粒一つ残さない焦土と化した。バルディッ
シュが排熱処理を開始し、勢い良く白煙を吹き上げる。
 地上を覆い尽くす砂塵が風に流され、リンカーコア粒子を纏うシグナムの姿をフェイトの眼
下に見せる。流石に負傷していると疑わなかったフェイトは、怒涛のSS+級砲撃魔法を幾度
と無く繰り出されても平然としているシグナムへ、古代ベルカ人が持つリンカーコアのコネク
ト適合性の優秀さに驚愕を禁じ得なかった。
「未だ……戦いは始まったばかりだぞ。テスタロッサ……!」
 不気味に透徹としたシグナムの瞳は、死を覚悟した決死の人間から感じられる悪寒をフェイ
トの背中に戦慄かせた。
/ 
 色鮮やかな赤い口腔が橙髪の魔導師の目前に迫る。ティアナは反射的に右手のクロスミラー
ジュを顔に持ち上げ、ザフィーラの牙を防いだ。
 腕を食い千切らんとする勢いでザフィーラはティアナの身体をそのまま振り回し、頚部の力
だけで投げ飛ばした。思わず悲鳴を上げたティアナは、もんどり打って地面を転げ回る。
 即座に起き上がったティアナ等意に介していないかの様に、ザフィーラは余裕綽々と佇んでいた。
 ティアナの全身にも、シグナムと同様のリンカーコア粒子が淡く発光しながら取り巻いている。
 先程までの戦闘で受けた傷が、じくじくとティアナに膿んだ痛みを与えていた。バリアジャ
ケットの上着の裾に、小さな裂け目が生じている。
 バリアジャケット自体にも破損を起こさせるザフィーラの重い攻撃は、確然とティアナを劣
勢に追い込んでいた。
(流石にぶっつけ本番の付け焼刃じゃ、シャリオさんが言っていたS+ランクまで向上出来な
い……どうすれば……)
 率直に、ティアナはザフィーラを侮っていた。機動六課在籍中も余り交流が無かったのもあ
るが、どうにもこの守護獣に戦闘能力の畏怖を感じられなかった。
 しかし、それが多大な誤算である事はこの苦戦を経て痛感する。なのはやフェイトの様に
奇抜な戦法は持たないものの、堅実に戦闘を有利にしていく百戦錬磨の実力がザフィーラにはあった。
 ティアナは一分の隙も無く自分を睨み据えているザフィーラを隈なく視察し、頬を伝ってき
た冷たい汗を掌でそっと拭った。
「どうしたティアナ、そのシステムを得てもその程度か。余り私を失望させてくれるな」
「好き勝手言ってくれて……!」
 挑発の嘲弄だと知りつつも、ティアナは歯を剥いて橙光の魔力銃弾を放った。瞬速でザフィ
ーラへと届いたそれは、不可視の防壁魔法に当たって呆気なく空気中に消える。
「このまま負けを認めて帰るのを止めはせん。言っておくが元同僚という下らん情を期待する
な。僅かな隙が、貴様がこの地で息絶えるその時だと心得るがいい」
 ザフィーラは守護騎士として数多の修羅場を潜ってきたこそ持ち得る冷酷さで、ティアナに
絶望的な状況を通告した。
 しかしそんなザフィーラの威圧感に臆した風も無く、ティアナは不敵な笑みで唇を曲げる。
「ご忠告痛み入りますよ。でも、あたしだって譲れない。シグナム副隊長も、ユーノ先生も、
そしてザフィーラさん、貴方も……あの日々の中で絆を深める事が出来た大切な人を、絶対に
調査隊の餌食になんてさせないんだから!」
 改めて両手のクロスミラージュに決意の握力を込め、ティアナは内蔵カートリッジを装填する。
デバイスの作動を介し、彼女の周辺に数十発の弾丸が出現した。

127 名前:騎士よ眠れ:2007/10/05(金) 16:14:26 ID:idkzXr1T
「ファイアッ!」
 術者の合図を受け、クロスファイアシュートは蒼き狼の血を求めて間断なく襲い掛かる。単
体への発動によって敵の退路を埋め尽くした魔力弾は、泰然と大地を踏みしめたままのザフィ
ーラへと急速に殺到する。
「無駄だ」
 ザフィーラは視界を覆う魔力弾の雨を容易く弾き返していく。正面にあったティアナの気配
が左へ逸れる。ザフィーラは未だ弾丸の一斉射撃が続く中、その場から左方へと駆け出した。
 橙光の猛襲を抜けた先に待つティアナの姿へ、ザフィーラは獰猛な牙を開いて突撃した。彼
女の頚部が、ザフィーラの顎で今度こそ肉と骨を破壊される。
 致命傷を負ったティアナの姿が、その瞬間に跡形もなく消滅した。
「貰った!」
「甘いな」
 幻影魔法を看過していたザフィーラは、一撃必殺の魔力弾丸を銃口に湛える別方向のティア
ナ本体に、結界魔法を張り巡らす。
 僅かな合間ザフィーラの行動を怪訝に思ったティアナだが、脳を鈍器で痛打された様な衝撃
と共にその罠を見破る。
 結界内に閉じ込められたティアナのクロスミラージュは、既に解除不可能な発射段階に達していた。
「駄目、クロスミラージュ──止めてぇぇぇぇぇっ!」
 必死の制止も意味を成さず、ティアナはザフィーラの結界魔法の中で自滅の爆発を発生させた。
狭く隔離された空間に、発射魔力と結界魔力の衝突による爆煙が立ち込める。
 ザフィーラは一手が足りなかったティアナの方へと、冷静な動きで振り返った。
 黒煙が視界から消え去った時、ボロボロのバリアジャケット姿で身体の節々から血を滲ませ
て呼吸を乱し、だがしっかりと足腰を踏ん張っているティアナの姿があった。
 ザフィーラは「ほう」と見上げた感想を漏らした。
「お前は四人の若造の中で最も根性があった。訓練中に高町なのはへ全力の一撃を見舞おうと
した程にな。ふっ……結局は奴に返り討ちに遭っていたが」
 ザフィーラの当時の若気の至りを揶揄する楽しげな口調に、頬を引き攣らせたティアナは満
身創痍の状態で渇いた笑い声を喉で奏でた。
「い……嫌な事思い出させないでくださいよ。結構トラウマなんですから」
 頬の小さく捲れた皮膚を手の甲で拭い取り、神経が空気に触れる刺激に少し涙を滲ませる。
露にしている両腕は、深い裂傷や熱に焼かれた細胞の苦痛に染まって感覚が稀薄になっていた。
 ティアナは身体の消耗に似合わず静かな思考で、現在の戦況を分析した。しかし、どの点か
らしても絶体絶命だった。
 唯でさえ実力に差が開いている上に、これだけの負傷を抱えたままでは如何なる戦術もまと
もに遂行出来ない。
(考えろ、考えろ……絶対に活路はある筈。絶対に……!)
『So』
 ティアナはクロスミラージュの発言に、間の抜けた顔を浮かべた。あの病的に寡黙な己のデ
バイスが、何より自分から言葉を発したのだ。
「クロスミラージュ?」
 少々気後れしながらも、ティアナは一年来の付き合いを重ねてきたデバイスへその真意を伺う。

128 名前:騎士よ眠れ:2007/10/05(金) 16:15:11 ID:idkzXr1T
 クロスミラージュは、声量を抑えてティアナへ無感情に一つの打開策を提案した。それを傾
聴するティアナの顔が、愕然と正気を疑う風に緊張を走らせた。
「本気なの、クロスミラージュっ……でも……」
『Believe oneself.Believe me please.』
 マスターを心の底から信頼しているという宣言に、ティアナは目頭の熱を感じずにはいられ
なかった。
 身近な仲間達と比べるとどうしても頭一つ才能に劣り、未だ突出した技能にも恵まれず、途
方も無い血の滲む努力を重ねても、やっとの思いでここまで駆け抜けてきた程度のティアナを
……このデバイスは如何なる時も全てを委ねる覚悟でマスターとして選んだのだ。
 クロスミラージュへの信頼に胸を打たれたティアナは、やがて呆然としたその瞳に、遥かな
夢を追いかけ続ける日々の希望に満ちた活力を漲らせていった。
「何が何でも応えなくちゃね、貴方の気持ちに……!」
「むっ……」
 ザフィーラは唐突に精悍な覇気を放ち始めたティアナへ、今までの余裕のある表情を消して
厳然と対峙する。
 ティアナは一度静かに瞼を伏せると、苦痛にぶれる精神を明鏡止水の如く清らかに鎮めてい
く。彼女のリンカーコア粒子の全身を循環する閃光が、幾らか強まったかに見えた。
 ゆっくりと胸の辺りまで持ち上げられた傷だらけの両腕は、寸分の違いも無く互いに触れ合
わされる。何処か厳粛な様相を呈し始めた戦場で、ザフィーラはティアナの最後の一大作戦を
見届けるべく体躯に気力を撓めた。
「クロスミラージュ──リンカーコアバスター、スタンバイ!」
『Yes, sir!』
 ティアナの詠唱で、クロスミラージュの内部へと彼女の周りを漂流しているリンカーコア粒
子が取り込まれていく。その濃密な魔力結晶を帯びたカートリッジが、残る全てを装填する。
「リンカーコアを弾丸にするか……その心意気や良し! 全身全霊を賭して、その一撃を放つ
がいい!」
 ザフィーラが吼え、最高強度を誇る結界魔法をその身に纏わせる。
 クロスミラージュが機体から眩い光を放ち、この戦場を照らし尽くしていく。
 ティアナは伏せていた瞼を従容に持ち上げると、デバイスから四方へ放射される光の筋で瞬
く瞳をザフィーラへと固定する。
「あたしは──あたしは負けない! こんな所で立ち止まるわけにはいかないんだ! だから
っ……リンカーコアバスター、シュ────ト!」
 喉が張り裂けんばかりに叫んだティアナは、何の躊躇いも無い動作でクロスミラージュの引
き金を引き、身体中のあらゆる力を収束させた必殺の一撃を射撃した。クロスミラージュから
撃ち出される二つの弾丸は、それに立ち向かうザフィーラにSS−級の砲撃魔法の威力を彷彿
とさせた。
「うおおおおおおおおっ!」
 結界魔法を展開した状態で、ザフィーラは自らその橙光の奔流の中へ挑んでいった。
 ザフィーラの結界魔法とティアナのリンカーコアバスターがぶつかり合い、鼓膜が破裂しそ
うな爆発音と衝撃波を拡散させる。
「あぁぁぁっ!」

129 名前:騎士よ眠れ:2007/10/05(金) 16:16:09 ID:idkzXr1T
 発砲の反動を殺し切れず、ティアナも後方へと細い身体を吹き飛ばされる。微かに開かれた
ままの瞳は、自身の魔力光一色に染まる光景を映していた。
 後方にあった朽ちた建造物の壁に背中を打ちつけたティアナは、限界を超えた心身の消耗に
耐え切れずに昏倒の闇へと落ちていった。

 ユーノは全速力で目的地へと急行していた。聖都跡地の趨勢が懸念されるが、今は自分の成
すべき事に専念しようと、努めて前方だけに意識を注ぐ。
 大陸の中央部に位置する広大で凶悪的に険しい大山脈は、もう若き学者の眼と鼻の先に迫っていた。
 正体不明の魔導が眠る地を目前に控えたユーノは、打ち付ける風圧に長髪を乱しながら、眼
鏡の奥の双眸を神妙に引き締めた。
「魔力反応は全く違う系統で二種類感知された……一体あの地中に何が……」
 一方はまるであの空へと到達せんばかりの山脈が、そっくりそのまま地下へも形成されてい
るのかと思える巨大な物量が伝達されてきた。残るもう一方は、その巨大質量の魔力反応の中
で数多くの魔力反応が『独自に動いている』ものだった。
「使い魔? そんな筈は無い。おかしいな……思い出せそうなんだけど……」
 ユーノは朧に霞んだ想像を何とか具象化しようと考え込むが、肝心の詳細が霧の中で見え隠
れしているだけだった。
 ユーノが度忘れしてしまった事の特徴と言えば、術者本人の所在地如何を問わず、使い魔に
類似する自律性能を持った魔力を安全に行使出来る能力だ。
 空の移動を続けながら記憶の発掘を行っていたユーノは、ようやくその失念の穴を埋める事
が出来た。だがしかし、それが推測の域を超えないのも確かだった。
「まさか、もう一つの魔力反応は無限の猟──」
 最後の一言を言いかけたユーノに向けて、彼の更に上空から放たれた桃色の砲撃魔法が雲を貫いた。
彼はその攻撃を待っていたかの様に軽く回避し、移動を停止する。
 眼鏡越しに上に向けられたユーノの視線の先に、純白のバリアジャケットを装着した一人の
若き女性魔導師が超然と滞空していた。
 盛んな日光を背に受けるエース・オブ・エースの表情は、逆光でユーノからは判然としなかった。
「……ようやく来たね、なのは」
 なのははその位置で停止したまま眼下に浮遊するユーノを見下ろし、ぞっとする程の無感情
な容貌で晴れ晴れとした空中に佇んでいた。
 一連の経緯は、艦船で顔を合わせたシャリオから聞かせてもらった。ザフィーラの想いも、
それに手を差し伸べたユーノの決心も、シグナムのフェイトとの因縁も。
 そして、近々編成が完了するであろう調査隊の真の目的も。
 破滅の先にある安穏を選んだ、時空管理局に対する失望は無くも無い。だがそれ以上に、調
査隊の作戦を知悉した上で、この様な危険極まり無い旅に出た彼等に、怒りさえ突破した熱狂
の胸中が滾々と沸き上がっていた。
 矢も楯も堪らずに飛び出したい程の衝動が、彼等にはあったのだろう。しかし死に直結する
無理や無茶には潔癖な戒律を抱くなのはは、今回の三名の行動は情状を酌量出来る余地が皆無だった。
 無論、出動してユーノやザフィーラ、シグナムと対立してしまうだろう事は承知の上だ。そ
こに個人的な抵抗もあったが、今こうしてユーノ本人を前にした時、そんな心の優しさは露一
つ残さずに消えた。

130 名前:騎士よ眠れ:2007/10/05(金) 16:16:56 ID:idkzXr1T
 この世界全土が焼き尽くされる瞬間が刻一刻と迫っているのに、その絶対的な危機を歯牙に
もかけないユーノの姿に、黒々とした感情が活性化していくのを嫌でも自覚する。
 なのはの中で、様々な良識的な観念が崩れ去っていく。今の彼女にあるのは、如何なる手段
を用いてもユーノ達をこの世界から脱出させるという確固不動な情念だけだった。
 更に西にある熱の恒星が雲の奥に隠れ、ユーノの瞳の中のなのはの容姿が平常の色彩へと戻る。
 突き刺さるなのはの視線は、それだけで神経を麻痺させかねない程の冷徹な光を放っていた。
そして左手に装備したレイジングハートと共に、その姿はリンカーコア粒子の瞬く光に包まれていた。
 未だ嘗て自分に向けられた事の無かった彼女の純粋な激怒に、ユーノも端正な容貌を引き締
めて彼女の気持ちを受け止める。
「どうして……? どうしてこんな危険な事をするの? わからないよ、ユーノ君……わたし、
ユーノ君の気持ち、何一つわからないよ。ヴィータちゃんが心配なのはわたしも同じだよ。だけど、
その為にユーノ君達まで死んじゃうかもしれないなんて可笑しいよ。ねぇ、わたしの言ってる
事、間違ってる? わたしの気持ち、そんなに間違ってる?」
 なのはが小声で何事かを囁いているのを、ユーノは凝然と直視していた。彼女の魔導師形態
に相応の態度で応える為に、彼はバリアジャケットの装着を完了する。
 ユーノの身体にも、即座にリンカーコア粒子の無数の光が続々と鏤められていく。
「ユーノ君……」
 微かに伏せられたなのはの顔が栗色の前髪で隠れる。
「少し、頭冷やそうか」
 無感情な声色が、何よりなのはの内心を詳らかに象徴していた。鈍重な仕草でレイジングハ
ートの先端を差し向けてきたなのはへ、ユーノは彼女の言い分を否定する強い視線を向けた。
「頭を冷やすのはなのはの方だよ。僕は止まれない。たとえなのはが、僕の敵として立ちはだ
かるのだとしてもね」
 ユーノの対抗の宣告を耳にして、なのはは厳かに顔を上げる。上空からユーノへ突き刺さる
彼女の瞳が威圧的に見開き、怒り狂った女神の如き身の毛もよだつ迫力を発揮した。ユーノとて、
ここまで激越な怒りを露にしているなのはと対面するのはこの場が初めてだった。
「片腕をもぎ取ってでも、抵抗出来ないくらい徹底的に痛めつけてでも、連れて帰るから」
 ユーノへの親愛も暴力を嫌う道徳心も何から何まで金繰り捨て、なのはは我が身に溢れる無
尽蔵の魔力で、彼を完膚なきまでに叩きのめす事だけを脳裏に想定する。
 後にどれだけ汚辱に満ちた所業と蔑まれても、どんなに冷血な悪行に身を染めても、なのは
はユーノをこの世界から脱出させる為にやって来たのだ。
 互いに交わす言葉を無くした一瞬の静寂は、リンカーコアコネクトによる狂気じみたなのは
の推進魔力の噴射によって吹き飛ぶ。
 加速も無い条件でさえも時速一八〇キロメートル超過を叩き出したなのはの突進は、瞬く間
にユーノとの距離を消失させた。
 なのはのアクセルフィンが発現した地点には、超高密度の魔力による小規模の次元震が空間
を歪め、そしてそれもすぐに霧散した。
 破滅の終局を迎える世界の中で、なのはとユーノの激しく、そしてどこか切ない決戦の火蓋
は今切って落とされた。

131 名前:騎士よ眠れ:2007/10/05(金) 16:17:38 ID:idkzXr1T
続きます

132 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 16:30:01 ID:66tGbAQ6
をををぅ!ついになのはVSユーノキター!
シグナムVSフェイトといい、ザフィーラVSティアナといい、まさに死闘!
オラワクワクしてきたぞw
GJ!

133 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 16:57:16 ID:VL6Fo04a
どんなものでも貫き通す矛と
どんな武器をも通さない盾
ではその二つをぶつければどうなるのでしょうか

134 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 17:11:19 ID:Iy+8UZTZ
>>133
ゼル伝の奴では




両方壊れる

135 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 17:16:31 ID:IvfS3nQ+
>>131
面白ええ!激しくGJ。てか、なのはが完全にラスボスチックに・・・言ってる事がテンパってきてるしw
続きが楽しみで仕方ないZEw
そういや、ザフィーラはずっと狼形態で戦ってるんすね


136 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 17:17:40 ID:Y7CBIsvD
>130
なんと言う魔王。
はたしてユーノくんで太刀打ちできるのか……

137 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 18:51:53 ID:o+Z/mO/m
キャストが絶妙だな。
胸の奥がフツフツと燃えてきた

138 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 19:07:12 ID:WDe9hqNC
はやく続き見てえ。しかし最初エロ未定って書いてたけど、この展開でどうやってエロを出そうしてたのだろうか。

139 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 19:12:00 ID:gbedr4mS
>>138
後日談でユーなのの仲直りエロを…

140 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 19:16:49 ID:Cu7lb6su
>>131
GJ!
将の感情が揺れまくりだな。
でもユーノ、というか仕様プログラムについては信じてないのか?
奇跡にはすがらないってことなのかな
なのはvsユーノも楽しみだし地下の???も気になるところだ

>>138
回想で戦争時の凌j・・・いやなんでもない。

141 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 19:18:02 ID:o/u+YbOh
両腕をもぎ取ってバインドで両足を縛り付けて騎乗位で・・・

142 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 19:25:28 ID:mdATJxbL
>>113>>130を続けて読んだらそのあまりの温度差に脳味噌がどうにかなりそうだったぜ。

>>113
なんというか、貴方の作品ではフェイトさんが幸せになると八神家の誰かがそのとばっちりを食って
フェイトさんに喰われてる気がします。ガチレズワロタw GJ!

>>130
すげぇ、なんというかすげぇ。
フェイトとシグナム、ティアナとざっふぃーの戦いカッコヨス・・・・・・。
そして、なのはさんがどう見ても狂戦士です。でも熱い。
ユーノとどう戦うのかが凄く楽しみです。コレが殺し愛なのか・・・・・・。

143 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 19:47:54 ID:0ecZhj9g
>>113
GJ
いやなんつーか、色んなスレごとに方向性が決まっていくキャラってのはいるが、どこかネジの締め方を間違ったフェイトさんはすっかり定着したのかw
いやまぁ、シグナムもいい漢ですよフェイトさん。うん

>>130
これまたGJ
毎度毎度熱いッスねー。ていうか「少し、頭冷やそうか」がネタにしか見えず思わず吹いたのは俺だけなのか
ユーノやザフィーラ、シグナムには勝って欲しい。が、そうなると死んでしまうリスクも……がああああどっち寄りの感情で見ればいいんだぁ!?

144 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 20:49:09 ID:YzaJiJ7b
なのは達は失念している。
調査隊がちょっとした事故に逢ってしまえばいいってことを。
メンバー全員が同時に全治三ヶ月とか。


あと、なのはさん。
新人達はともかく、アースラ組に対して無茶するなって言うのは貴女が言えた義理じゃない。
忠告はともかく、怒って言うのはおかしい。

145 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 20:56:36 ID:MJldFkml
勝敗の鍵はユーノのBJが半ズボンか半ズボンじゃないかに懸かっている

146 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 20:57:16 ID:mdATJxbL
生足かー!

147 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 20:58:57 ID:o/u+YbOh
フェレットだけに、意外と毛深い体質だったユーノ。

148 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 21:16:12 ID:e01ic4z2
そこでフェイトさんに捕まっての脱毛ネタか

149 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 21:38:31 ID:mdATJxbL
脱毛ネタのフェイトさんはなんだかんだで勝ち組。

150 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 22:49:00 ID:EW4TcPX0
しかしあのネタには一言言いたい。
ユーノは未だにツルツルなんだと、いい年してツルツルなのが恥ずかしくて長ズボンオンリーになったのだと。

151 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 22:51:41 ID:78HX9eaO
>>144
ユーノはなのはの無茶しっぱなしの日々を、それこそ一番傍で見てたからなあ。
ある意味一番言われる義務のない相手というかなんというか

152 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 23:13:07 ID:FeYOP/m7
さてまったりしたところでお伺いしたいのだが…
昨日のレジアス電波で出来た全StS入場と、エリキャロどっちから投下したらいいかなw
前者3スレ後者14スレ

153 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 23:13:35 ID:BFWSWjhr
どっちも投下汁w

154 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 23:15:49 ID:66tGbAQ6
両方かもんw 

155 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 23:16:11 ID:Cu7lb6su
StS入場をデザートにいただきたいね。

156 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 23:17:17 ID:FeYOP/m7
おk じゃあとりあえずエリキャロからw

語りたいことはSSで語れっ、とばあちゃんがいうけど、ちょっと特殊なので説明を…
単なるエリキャロの続きの予定が、途中でおもちゃ箱遊んじゃったが為にあらぬ方向にいっちゃったのでwwww
一応ここのスレ30話、80付近の続きです。でも、読んでなくても大丈夫です
クロスになっちゃってますがこれも知らなくても大丈夫(なはず)

設定はアニメ準拠で、士郎さんが生きてるのと
なのはが旧レイジングハートに出会ってない(なのクロはない)以外は
一応設定の衝突はない…と思いたい(とらハもやらんとだめか?)
それから一段落目は趣味と遊びで書いた最終話の状況説明なんでこれも読まなくて大丈夫です
ほいではー

157 名前:pure monster(上) 1/14:2007/10/05(金) 23:18:24 ID:FeYOP/m7
 東奔西走、屍山血河のジェイル・スカリエッティ事件から早1年。
機動六課に居た面々は、あの頃が嘘のような平穏の日々を過ごしていた。
隊舎の建て直しも間もない内に、それぞれがそれぞれの道へと進路を決め、六課は解散。
フォワード隊のフルバックこと元雷隊四番のキャロ・ル・ルシエ二等陸士も勿論その一人であり、
過去に放浪していた中でも六課に来る直前にお世話になった自然保護観察任務を強く希望し、
功績や能力期待値からすれば明らかに役不足な任務であったが、まだ若年ということもあり
また母親代わりのフェイト・T・ハロオウン執務官の強い働きがけもあり、体よく再び動物達との日々を過ごしていた。
そしていつもの地味な服でしっかりフードを被った、初めて出会った時そのままの彼女が森の木陰で小鳥達と戯れている様子を、
小さき白い龍と一緒に緑色の自然保護隊員制服に身を包んだ元雷隊三番のエリオ・モンディアル二等陸士も優しく見守っている。
彼もまた先の事件の功労者であり、相方以上に地上部隊、本局共に明らかに年に見合わないようなポストまで用意してくれ兼ねない
勢いで転向を再考するよう再三勧められたが、フェイトすら呆れさせる勢いで興味ないですからと言い放ち、
一緒じゃなかったら局を辞めるとまで言い出しかねない幼い2人に、さすがの首脳陣をも陥落させ、今に至ったのである。
そして訓練も戦いもない平和な日々を――といいながら、早朝の訓練だけは誰に決められたわけでもないのにお互いに起き出して、
基本と、応用初歩の確認を少しずつステップアップしていけるように、自分達でコースを作り、装置を買い、
(購入とはいえないようなありえない端金で、母親代理他甘やかしすぎる先輩達が融通してくれたのはいうまでもない)
もちろん相方に見てもらいながら、ゆっくりと確実に成長していた。
そしてのんびりとした日々がこのまま続けばいいな、と2人とも思っていたのであるが――

〜あらすじ〜
そっと触れ合って、繋がったあの日から丸1年。
平和を取り戻し、ラブラブな日々を過ごすかと自他共に思っていた二人であったが果たして現実は…?
そして、意外な出会いと、思わぬ障壁とは――
まだもうちょっとだけ続いてしまう2人の旅にお付き合い下されば幸いです。
[エリキャロ][エロは微妙かなw][おもちゃ箱クロス]

158 名前:pure monster(上) 2/14:2007/10/05(金) 23:19:32 ID:FeYOP/m7
 エリオはいつものように小鳥達と戯れているキャロの様子を自然保護隊の緑の制服で木の枝に座って上から見守っている。
「どう?調子は」
「うう〜ん、ちょっと遠い所のお話になっちゃうと、やっぱりみんなあんまり分からないみたい…」
「あはは…」
元から動物達と仲がよかったこともあるが、エリオの手伝いと、1年間叩き込まれ続けてきた技術が良くも悪くも功を奏し、
配属された付近の鳥獣調査は、驚異的な完成度にまで達していた。
「タントさんとミラさんも、もう場所変えなきゃいけないかなーとか言ってたね」
「うん…」
エリオの口から出たのは現地で自分達の面倒を見てくれている、自然を研究対象にしている自然保護隊員のお2人。
無論研究の材料も、成果も十分に期待できる状態に既になっているから、2、3年も待てばいなくなる存在ではあるのだが――
2人にとっては、というか主にキャロにとっては、ちょっとだけ切なくなってしまう原因になっているのは否めなかった。
本当に親切で大好きなお2人なのだが、当然自分達は子供扱い、まさかエリオと一緒に寝たいと言い出すわけにも行かず。
恵まれすぎた環境が、返って不幸を呼んでしまった稀有な例になってしまっていた。
あと2、3年すれば、と何度もエリオは慰めたのであるが、しょっちゅう手を繋ぎたがる彼女に
やっぱり少し寂しい想いさせてるのかなー、と考えずにはいられない。
「違うところにいくのも面白いかも」
と話題を明るい方向に誘導しようとした矢先に
「え?」
鳥達の話題に何かが混じっていたのか妙な声が返ってきた。
「うんうん…」
「どしたの?」
「え、それは大変!」
たん、と軽く地面に降りると迎えたのは心配顔。
「エリオ君、あのね、怪我してる子が居るんだって…」
「え?うーん、でもそれは…」
言うまでもないことであるが、あくまで自然というのは単なる保護観察対象であり、
然るべき生態系に手を入れていいというものではない。
前々から自然の中で怪我した動物達を助け過ぎる嫌いのあるキャロを、諫めたことも一度や二度ではなかった。
最近はさすがにあまりその手の我侭を言わないので、ついエリオは怪訝そうな顔を返してしまったのだが――
「ううん、違うの。その子、普段は森に居ない子なんだって」
「え…?」
普段いない、となると未発見かまたは迷い込んだ可能性のある希少な存在である。
人為的であろうがなかろうが、下手に凶悪なウィルスなどを持ち込まれた日には、誰も救われない森になってしまう。
それは、最低でも避けねばならない。
「ん、じゃいこっか」
「うん!フリード!」
「キュクル〜」
白い光に包まれ、ふわっとそれが大きな翼の形に変わると、本来の姿である翼竜の姿に戻った。
2人を乗せてぐっと首を大きく下げると、羽ばたきながらゆっくりと空に浮かび上がっていく。
「どっちだって?」
「ついてきてって」
数羽の鳥が羽ばたいて脇を通り過ぎるのを確認してから、フリードはその後を追い始める。

159 名前:pure monster(上) 3/14:2007/10/05(金) 23:20:32 ID:FeYOP/m7
 鳥達の案内で該当の場所に辿りついて地面に降りるや否や、
フリードから飛び降りてうずくまっている小さな黄色い毛並みの動物に駆け寄るキャロ。
「もう…」
ちょっと優しすぎる相方にいつも通りの苦笑いをしながら降りて追いつくと、その動物を腕に抱えあげた隣りから覗き込む。
「三角の耳に、尻尾の先が茶色…これなんだろう?」
「なんだろう…私もみたことがないかも。データベースじゃないとだめかな」
「そうだね。かなり弱ってるみたいだし連れて帰ろうか」
「うん」
助けられたことに気づいたのか、弱々しい瞳が抱えていてくれる人をなんとか見上げたが、再びうずくまって瞳を閉じた。

 茶色い保護隊制服のメガネのお兄さんとポニテのお姉さん、タントとミラと一緒に、画面を覗き込む。
タントがコンソールを軽くとんとん、と叩くとよく似た動物が画面に表示された。
「あ、これかも」
エリオの声に、タントも頷く。
「多分これで間違いないね。管理下の12、38とか管理外の50、97…」
「え?97番?」
「あー、うん。管理外の97番世界ではキツネって呼ばれてるみたいだね」
「狐…ですか」
表示されている、先輩達がよく使っていた文字を復唱する。
「もしかしたらフェイトさんが何か知ってるかも…」
キャロの問いに、ミラも頷くと食事の項を読み上げてくれる。
「雑食…肉からミルクまで可だってさ。これならなんとかなるね」
「はいっ!」
怪我の治療から一生懸命だったキャロは、それを聞くといそいそとミルクの準備を始める。
「もうキャロは甘いんだから…」
お姉さんでなくても呆れてしまいそうな献身振りに、男性陣に異論があろうはずがない。
「じゃあ僕はちょっとフェイトさんに聞いてみます」
「ああ、うん、回線使っていいよ」
「はい!ありがとうございます!」

 数十分後、エリオとキャロが開いた画面の向こう側にはかなり嬉しそうな表情の管理局制服の母親代わりの人、フェイトの姿があった。
「どうしたの?エリオ、キャロ」
通信自体も勿論嬉しいのであるが、それ以上に頼って貰える事がそれを何倍も増幅させている様子であった。
「あのですね、実は――」
素直にミルクを飲んで、細菌検査も全く問題ないどころか、この子毎日シャンプーされてるかも、
とか言われるほどのお嬢さんのお狐様は、キャロの腕の中でじっとしているものの、
ときどきしっかりとごそごそと動く程にまで既に回復していた。
「この子、この世界には居ない子みたいで、管理外の97番にならいるから、もしかしたらフェイトさん何かご存知ではないかなーと…」
くぅん、と小さい鳴き声が聞こえた。
「わー、可愛いキツネちゃんだね。その子がその世界に居たの?」
「はい。何か報告とかありませんか?」
「うーん、とね…ちょっとまって…」

160 名前:pure monster(上) 4/14:2007/10/05(金) 23:21:28 ID:FeYOP/m7
側の端末やら書類やらをごそごそと漁り始める。すると、すぐに思い当たる節があったのか返答があった。
「あ、そうだ。これこれ」
ぽん、と浮かび上がるある書類の画面。
「ヒドゥン報告書…?」
耳慣れない言葉についキャロが題を読み上げてしまう。
「ヒドゥンってなんですか?」
「あー、うーんとね、次元世界における嵐というか台風と言うか。要は自然災害なんだけど」
「自然災害?次元震とかの仲間ですか?」
「うーん、まあ小さい意味では正解、なんだけど、いわいる次元震とか言われるものから比べれば凄く小規模。
時空世界での、川が氾濫したー、がけ崩れが起きたー、程度と言うとわかりやすいかな」
「えっと、つまりそんなに影響はない、ということですか?」
「場合によるけどね。でも最近は余り大きなものも起きていないし、対策もしてなかったんだけどついこの間――」
書類の画面をぴっ、と切り替えると管理外の97番世界の惑星、現地名称地球の映像が映し出された。
「私達の馴染みの深い、この世界でね、実はごく小さなヒドゥンが発生したんだ」
「えっと…大丈夫だったんですか?」
「うん、発生直後にすぐ消えてね。だから報告書一枚で終わったんだけど――場所はどこだったかな」
ぴぴぴっ、と再び指を動かすフェイト。
「あ、これか」
しばらくして該当の資料が発見できたのか、ぽん、とキーを叩くと海沿いの某都市の俯瞰図が出現した。
「あれ?これどこかで見たような」
海沿いに続く道と、その脇にある小学校。
山側には小さな御社、とそこはどうみてもなのはが生まれ育った土地であった。
「…あれ?これ鳴海じゃない…。うーん、まあかなり龍脈の強い土地だからしょうがないんだけど…」
「ここってフェイトさんたちの?」
「うん。私となのはと、はやての出会った場所。エリオとキャロも一回行ってるよね」
「はい」
「そっか鳴海かー。鳴海なら確かに起きても不思議はないかなー。
しかしそうするとその子、鳴海の近くでヒドゥンに巻き込まれちゃったのかもしれないね」
「なるほど…」
「でも、どうしましょう。この子多分飼い主さんとか居ると思うんですけど」
「そうだね…どうしよっか」
「街の人に聞いて歩くしかないんでしょうか…」
「あ――」
何かを思いついたのか思わせぶりな笑顔に変わるフェイト。
「じゃ、ちょっと遊びに行ってみようか」
「え?」
「ふふふー私にまっかせなさい!」

161 名前:pure monster(上) 5/14:2007/10/05(金) 23:22:19 ID:FeYOP/m7
 果たして翌日の午前中に第97管理外世界への移動許可が下り、お昼過ぎにはフェイトに連れられて鳴海の海岸公園に転送で降り立っていた。
夏の潮風を心地よく感じながら、とりあえずの目的地に徒歩で向かう。
フェイトは長い黒のワンピース、エリオは赤いTシャツに長いズボンと2、3日は宿泊できるようにと2人分の荷物、
キャロの方はいつもの民族衣装のフードと地味な服装で、そして大分元気になったキツネさんの入ったバスケットを抱えていた。
十数分歩くと、小奇麗な喫茶店の前に辿り着く。
「喫茶店…この名前なんて読むのでしょう?」
地味な暑さにフードを降ろしたキャロは、初夏の陽に容赦なく照らされている看板の文字「翠屋」の文字を見上げた。
「みどりや、って読むんだよ。じゃいこっか」
ちりんちりん、という音と共に扉を開いて中に入る。
よく冷房の利いたひんやりとした空気と、店員と思しき若そうな茶色の長髪の奥様が、
胸に翠屋と小さく書かれた黒いエプロンでフェイト達を出迎えた。
「いらっしゃいませー…ってわぁフェイトちゃん!」
「お久しぶりです、桃子さん」
知り合いなんだ、とふたりはきょとん、と様子を見守るしかない。
「あら、この子達は後輩、かな?」
とても優しく明るい笑顔を向けられて、自然と姿勢を正す。
「エリオ・モンディアルといいます!はじめまして!」
「キャロ・ル・ルシエと申します!よろしくおねがいします!」
ぴっといつもの癖で片手に額を添える。
「ふたりともそんなに堅苦しくしなくていいんだよ」
「あっ…」
染み付いてしまった習性に2人して苦笑いを見合わせると、桃子はころころと笑った。
「あはは。エリオ君とキャロちゃんね。よろしくね。えーっと私はー…この店の店長でなのはのお母さんです!」
「えっ…」
驚きと畏怖と、やっぱり驚きとでフリーズするのも無理はない。
あのおっかない先輩のお母さんがこんなに朗らかな人だというのもあるが、それにしても若すぎである。
「お若いですね…」
「本当に、見えません…」
「あらぁ、ありがとうね!これでも一応、3人の子供のお母さんなんだけどねー」
「えっ」
驚かされてばかりで言葉が続かないのも無理はない。
「童顔って昔は悩んだけど、こうなると幸せねー。あーでも士郎さんが愛してくれるからかしら?」
「そう思います」
短くフェイトが答えて、軽く何気ない惚気をかわす。
「あ、っとごめんね。私の話ばっかりで。でー、フェイトちゃんはお仕事できたのかな?」
「あー、はい実はこの子飼い主さんを探しているのですが…」
視線を向けた先はキャロが開いたバスケットの中に見える小さなキツネ。
その子がふっと顔を上げて桃子を見ると――
「って、くーちゃんじゃないの!」
「くぅん」
とん、と飛んでフェイトの肩に飛び移ると視線の高さが桃子とぴったりになった。
「一週間もどこ行ってたの!みんな心配したんだから!」
「くぅん…」
誰の目からみてもしょげかえっているのが見て取れる。
「あーでもよかったわー!那美さんも心配してたんだから」

162 名前:pure monster(上) 6/14:2007/10/05(金) 23:23:14 ID:FeYOP/m7
「あの、この子の飼い主さん、ご存知なんですか?」
フェイトの問いに、会話の対象が戻る。
「うん、この子探してたのよ〜。どこにいたの?」
「この子達のところで行き倒れ?になってたみたいなんですけど」
「はー、フェイトちゃんたちの国に?」
「えっとまあ…そうです」
「わー、どうやっていったのかなー」
「不思議ですけど…原因不明なんです」
「なんにせよよかったー、あ、飼い主さんに電話してきていい?」
「はい、お願いします」
とっとっとと電話に向かう奥様の背中を見送りながら、肩のキツネに微笑みかけるフェイト。
「よかったね、くーちゃん」
「くぅん!」
「本当、よかったねー」
心から嬉しそうに通称くーちゃんを軽く撫でるキャロ。
「これで、事件、解決かな?ちょっと早すぎだけど」
「あはは…」
エリオは乾いた笑いを返しながら、無駄になってしまった荷物を少しだけ持ち直す。
電話を終えるのを待っていると、かちゃん、と言う音を響かせてから再びとてとてと戻ってくる桃子。
「飼い主さん、迎えに来るって。すぐ来るとは思うけど、それまでゆっくりしてってね」
「あ、はい…じゃあちょっとお茶していきます」
「はーい。なににする?」
「あ、じゃあえーっと…」

 適当にゆったりと会話しながら冷たい飲み物を飲んでいると、セミロングの茶色い髪と大人しめの顔立ちをした
若くて綺麗なお嬢さんが現れて、くーちゃんを見ると本当に安堵した表情で飛び込んできたその子をしっかりと抱きしめた。
恐縮するぐらい、何度もお礼を言われて、その後夏休みの間はこっちにいますから遊びに来てくださいね、と言い残し、
また何度もおじぎをしてから、ようやく店を去って行った。
カウンターに並んで座った3人の前に、手の開いた桃子が戻ってくる。
「本当に喜んでたね、那美ちゃん」
「はい。やっぱりちゃんと飼い主さんのところに戻るのが一番ですからね」
「心配してくれてる人のところに戻るのが一番ですね」
キャロの言葉に、大人2人は、ほとんど同時にうん、と頷きを返した。
「でー、フェイトちゃん、この後はどうするの?」
「うーん、どうしましょうか。こんなに早く見つかるとは思っていなかったので。
2、3日はかかりそうだと思って一応準備もしてきたんですけど…」
ちょっと皮肉っぽい視線で一瞬だけ足元の荷物を見る。

163 名前:pure monster(上) 7/14:2007/10/05(金) 23:24:03 ID:FeYOP/m7
「お母さんのところとかは?」
「あー、そうですね…甥っ子達の顔も見たいし。エリオとキャロも行く?」
「はい!」
「アルフさんもお元気でしょうか…」
「じゃあとりあえず母さんのところへちょっと行ってみよっか」
「はい!」
まとまりかけた話に、少しだけ桃子が口を挟む。
「あ、もしよかったら夕飯とか泊まりとかはうちに来てくれると嬉しいんだけど…」
「えっ?でもご迷惑では?」
「それがねー、旦那と息子は武者修行だーっていってなんかどっかいっちゃうし、なのははさっぱり帰ってこないし」
フォローのしようもなく、エースオブエースに対する苦情に苦笑いで答えるしかない。
「今、美由希ぐらいしかいなくて広い家がさみしいのよねー。あーもう一人いることはいるけど…どうかな?」
「うーん、私は難しいんですが、この子達ならゆっくりしていっても…」
幼い2人は帰っても特にやることもない現状もあり、なんともいえない表情になる。
「とりあえず、母さんのところへ行ってみてからでいいですか?」
「あー、うん。決まったら連絡してねー。出来るだけ早めに」
「はい、お心遣い感謝致します。じゃ、エリオ、キャロいこっか」
「はい、では失礼します!」
「おじゃましました!」
「はーい。またあとでね〜」
後ろ髪を引かれる台詞をしっかりと背中に浴びながら、静かに店を出る。
「素敵な方ですね…」
「本当…もっと厳しい方かと思ってました」
ハロオウン家に向かいながら、わかりやすい感想を述べるエリオとキャロ。
「んー、ああ見えてもかなりしっかりした人なんだけどね。なんてったってなのはのお母さんなんだから」
「はー、そうなんですか…」
「ちょっと想像がつきません…」
「ふふ、そのうちわかるよ」

 ハロオウン家に辿り付くと、リンディにエイミィにアルフに甥っ子に姪っ子に派手に歓迎されてそれはもう
けたたましいどころの勢いではなく、ただでさえ遠慮を知らない年頃のクロノjrx2の元気の良さが増幅され、
何がどうなってるのやら把握しようのない喧騒の中、あっという間に時間は過ぎ去っていく。
ひとしきり遊んだ後、宿泊のことをリンディに相談したが、ただでさえ手狭なハロオウン家、フェイトはまだしも
エリオにキャロとまでとなると寝るならソファか床かなんていう悲しい現実が待っていた。
しかたなし…と覚悟を決めて、エイミィに頼んで高町家に電話をかけてもらうと、美由希さんが迎えに来てくれることになった。
しばらくしてやってきたメガネ黒髪ポニーテールのなのはのお姉さんに、親友でもあるエイミィママは2人のことを託すと、
また今度ーと子供達と一緒に手を振って見送ってくれる。
玄関の扉が閉じると、ふあー、っと疲れはともかく耳のキンキンするようなひと時からようやく開放されたエリオとキャロに
美由希さんも微笑まずにはいられなかった。
「元気だよねー、あの子達」
「ええ…本当に」
ゆっくりと歩き出しながらキャロが答える。
「私達もあんな感じだったんでしょうか」
「うーん、いっぱい珍しい人が来たからはしゃいでたんじゃないかなー」
「あー、そうかもしれませんね」

164 名前:pure monster(上) 8/14:2007/10/05(金) 23:24:52 ID:FeYOP/m7
 だんだんと夕焼けになり始めた閑静な住宅街の道を並んで歩くと、すぐに高町家の入り口に辿り着く。
ただいまーと声をかけつつ玄関をあけると、気配を察したのか、美由希さんとよく似た薄い黒髪を顎のラインに揃えて背中にだけ細く伸ばした、
彼女より一回り程年齢を重ねた落ち着いた感じの、青いジーンズと薄手の白い長袖を纏った雰囲気のあるすらっとした女性が出迎えてくれた。
「ただいま、母さん」
「…お帰り、美由希」
母さん?と若干の疑問符を問う前に先に問いかけられる。
「この子達は?」
「あーっとねー、なのはの後輩、ね」
「ああ…」
「エリオ・モンディアルといいます」
「キャロ・ル・ルシエと申します」
先の反省からぺこり、とキャロだけがお辞儀をした。
「…御神美沙斗といいます……とりあえず、お上がり」
と静かだが良く通る声で告げられる。ただし、表情の動きはあまりなかった。
「あ、はい」
促されて美由希に続いて靴を脱ぐと、美沙斗さんの背中の綺麗な髪に先導されてリビングへと向かう。
エリオは思念通話で初対面の人の感想をキャロにだけ聞いてみる。
(物静かな人だね)
(うん、あんまり怖くはなさそうだけど…)
(みかみ、ってきいたことある?)
(うーん…ないかも。なのはさんは高町、だよね…)
リビングのソファに荷物を脇に置いて座らされると、美由希はお店に電話してくるーと去り、
美沙斗はじゃあ、私はお茶でも…と部屋から消える。
見渡してみるがごく普通の洋風のフローリングに大きめのTVに夕日の差し込む広い窓――と、
ミッドチルダでも良く見るような有体で非凡さなど欠片もなかった。
会話もなくぼーっと座っていると、綺麗な物腰でお茶を持ってきた美沙斗が2人の前にそっと置いてくれる。
「ありがとうございます」
2人そろって答えると、うん、と短く答えた。
「…隣、いいかい?」
「あ、はい!」
確認を取ってから隣り合って座るキャロの隣に、見事に音もなく体を降ろした。
そのまま穏やかな瞳でそっと見守るように見つめられて、少しだけ居心地が悪そうに何度かエリオを見遣った後、
思い切って聞いてみる。
「…あの、聞いていいかわからないのですけど…」
「…ん?」
「美沙斗さん、も美由希さんのお母さん、なんですか?」
「ああ…」
自然に笑みが零れる。
「……どうなふうに、みえるかい?」
「え、えーっと…うーんと、どっちもお母さん?かなー…変ですけど」
「……ふふ……正解」
「え、えっ?」
もう一度だけ優しく微笑むと、答えを教えてくれる。
「……私は……美由希の産みの親……なんだ」
「ふあー…」

165 名前:pure monster(上) 9/14:2007/10/05(金) 23:25:49 ID:FeYOP/m7
なんとも反応のしようのないキャロに、エリオがなんとかフォローを試みる。
「えっとじゃあ、桃子さんは、育ての親ってことですか?」
「……うん……そうだね」
「いいなぁ」
素直な感想がキャロの口から漏れる。
「……うん?……なにが……いいんだい……?」
「お母さんが2人って…」
「凄いうらやましいです…」
「……?」
押し黙ってしまった2人に声のかけようが見つからず、沈黙が部屋を支配したが――
扉と一緒に明るい雰囲気を運んできた美由希さんに救われる。
「かーさん、早めに帰ってくるってー」
「……ああ」
ちょっと沈み込んでいる2人と、ちょっと困っている感じの母親に気づいてお姉さんらしく
美沙斗のさらに隣りに座りながら原因を聞かれるキャロ。
「ん?母さんと何のお話?」
「えー、えーっと美由希さんお母さんが2人居てうらやましいなーって…」
「え?あ、ああ。びっくりした?」
「ちょっとだけ…あの、一緒に暮らしてるんですか?」
「……今は……休暇中、だから……普段は……遠いところで……働いているよ」
「そうなんですか…」
そこでまた押し黙ってしまう2人に、さすがに気になったのか美沙斗が問いかける。
「……私も……聞いていいのか……わからないけれど……ご両親……は?」
「えーっと私は…小さい頃に村を追い出されてそれっきり…」
「僕は、実験室で産まれましたから…」
「……そうか……すまない」
本当に悪いことを聞いてしまったな、とさすがに曇った表情に心配された側が慌てて主張する。
「いえ、あの、私達いまはちっとも不幸じゃないですから!」
「今はフェイトさんにも、他の先輩達にもたくさん可愛がってもらってますから、大丈夫です!」
「……うん……それなら……いいが……」
とても優しい母親の瞳で見つめられて、慣れないこそばゆさに、キャロが照れる。
「あー、なんか母さん、この子達のこと好きになった?」
「……ん……美由希も……この位の頃が……あったのかな、と……」
「ああ」
恥ずかしげに俯くキャロを見て、美由希も納得する。
「私のこの位の頃は、母さん、みてないもんね」
「……そうだね……」
さらに照れて真っ赤になっていくキャロを助けるべく、次の案が提案される。
「あー、そうだ。この家の間取りとか、教えておこっか」
「……ああ……私が……教えようか」
「うん、じゃあちょっとだけ夕飯の準備してるね」
「……じゃ……いこうか」
「は、はい!」

166 名前:pure monster(上) 10/14:2007/10/05(金) 23:26:40 ID:FeYOP/m7
 庭、廊下、階段、キッチン、トイレ、浴室、と少し広くはあるがごく普通の家庭を変わらない構成を紹介されつつ
華奢な背中についていく2人だったが、一箇所だけ、普通の家にはないところがあった。
一度靴を履いて外にでると、その施設の扉を開く。
一面の木の床張り。
奥の高い所には小さな神様が祭ってある。
完全に橙に変わった夕日が窓を区切って、綺麗な四角を床に作っていた。
「ここは…道場?」
「……そう……鍛錬の……場所」
靴を脱いで軽く一礼してからそっと床に足を運ぶ美沙斗に倣って、2人も同じ所作をしてあとに続く。
ぎし、っと響く音に若干驚きながら中を見回すと、心地よい静寂に包まれていた。
「なんか、すごく落ち着く気がする」
「うん…」
空間の心地よさに身を任せてぼーっとしている2人に、ふとよぎった疑問を問いかける美沙斗。
「……そういえば……なのはちゃんの後輩……ということは……まさか君達も……戦うのかい……?」
「あー、えーっと一応、というか普通に、そうです」
さすがにこんな幼子が?とわずかだが驚いて瞳が大きくなった。
「……まさか、銃とか……?」
「いえ、僕達はなんていいますか、不思議な力っていうか魔法っていうか…」
「……ESPや……サイコキネシス……HGSの類……か?」
「あ、はい、そのような感じです」
「……能力者、か……それでは……教えられることは……ない、か……」
少しだけ残念そうに瞳を逸らす。
「僕は一応、槍騎士で、キャロは召喚師、なんですけど…」
「……槍……?能力者が……槍を……?」
「はい、まあほとんど力任せで、型とか、無茶苦茶ですけど」
「……そうか……それなら体捌き、ぐらいなら……少し……見ようか……?」
「えっ、いいんですか!美沙斗さんってひょっとして剣術とかできるんですか?」
「……不破の……娘だからね……」
意味ありげにふわっと微笑んで、壁にかけられた2本の短い木刀を取る。
「……槍は……これしか……ないが」
美沙斗が暇を見て一応磨いていた、本当に粗く削っただけの細長い棒を丁寧にエリオに渡す。
先は尖っておらず、丸くしてあるのはこれもまた彼女の心遣いであった。
す――と促して道場のほぼ真ん中で正対する。
両の手に1本ずつ長さの違う短めの木刀を持ち、ごく自然に持っているだけだったが、その姿を目の前にしてエリオは恐怖すら覚えた。
(――すごい、この人、できる!)
「……どこからでも……かかっておいで……あまり……力を使われるのは……困るが……」
「は、はい!」
穂先をすっと下げ、じっと美沙斗を見つめてから、いつもと同じようにふっ、っと飛び込むが…
すっ、と短い方の木刀で柄を逸らされると、全く淀みのない動きでふっと踏み込まれ、長い方の木刀はぴたり、
とエリオの喉もとの手前で止まっていた。
「……確かに……なってないね……」
ふんわり、と微笑まれたが、だがエリオはこれだけでも、その迫力に額に汗を浮かべていた。
(すごい…全然無駄がない。しかも速い…)
「……少しぐらい……力……使ってみても……いいよ……」
「は、はい!では、いきます!」
全ての魔力を全身の力に変え、速度を上げて再び突きかかっていく。
――そして10分後。
「……はぁ……はぁ……」
魔力攻撃以外、速度に関して言えばほぼ全力を尽くしたにも関わらず、完璧に見切られ、槍が体に触れることすら叶わず、
挙句汗びっしょりのエリオに対して、それこそ準備運動以下といわんばかりに、涼しげな表情を浮かべたままの美沙斗。
「……とりあえず……これぐらいで……」
「は、はい……ありがとうございました……」
なんとか静かに木の槍を床に置くと、へばりこむエリオ。
「だ、大丈夫?エリオ君」
「美沙斗さんって、凄い強いんですね」
汗だくでも尊敬の念を禁じえず、自然体で佇むその人を少年らしい輝く瞳で見上げる。
「……まあ……私でよければ……教えるが……」
「是非、お願いしたいです……こういうの教えてくれる人、全然いないから」
「……うん……とりあえず……戻ろうか……お風呂も使った方が……いいね……」
「は、はい……」

167 名前:pure monster(上) 11/14:2007/10/05(金) 23:27:28 ID:FeYOP/m7
 風呂の使い方を教わって、2人とも入ってしまうといいよと言われて、一緒に?――と
キャロに突撃されかけたエリオは慌てて断って、キャロからでもいいよ、と汗だくの自分を見ながら勧めたが、
大丈夫、と割と強く否定され、素直に浴室へと向かう。
美沙斗に昔は殿方から先に入るものだったのにな、と不思議なことを呟かれて、そうなんですか?と問いかける。
「……昔はね……女性は……卑下された存在だった……からね」
「へー…」
「……さて……私達は……夕飯の手伝いでも……してようか」
「はい!」
キッチンの美由希に合流すると、程なくして桃子も帰ってきた。
すっかり暗くなって電気のつけられた台所に、女性4人が集れば当然賑やかにもなろうというもの。
風呂から戻ったエリオが会話の輪に参加できずに所在無くキッチンの入り口で立ち尽くしていたのすら
笑いの種になるのであるから、げに恐ろしきは女性陣であろう。
代わってお風呂に行ったキャロが戻ってくる頃には、すっかりと食事の準備もできあがり、
かなり豪勢になってしまった夕食を前に、全員でそっと手を合わせる。
「いただきまーす」
「はぁーい、どうぞー」
桃子の声に促され、少しずつそれぞれの皿からとりわけて食べていく。
桃子の作った皿も、美沙斗の作った皿も、かなりの出来でそれこそ手放しで褒めることができたのだが――
果たして美由希の作った皿の番になると、途端に表現が際どくなった。
「独創的といいますか――」
「不思議な?味ですね」
「ううう……」
やっぱり?とがっくりと肩を落とす美由希さん。
それに対して桃子は容赦もにべもなかった。
「まだまだ、修行不足かな?」
「うう、かーさんも母さんも上手で肩身がせまいよぅ」
「あはは…お料理、結構難しいですもんね」
「そーだよー、好きな人ができれば上手くなるっていうけど、そっちもなんかさっぱりだしぃ」
「……美由希は……ぼーっとしてる……からね……」
「あー、母さんもひどーい」
拗ねて見せる美由希さんと優しく微笑む美沙斗さんの雰囲気は、2人にはとてもうらやましく映る。
「私も、お料理覚えたいな…」
「あらー、私が教えるわよ?ついでに翠屋の手伝いもしてくれると尚嬉しいけど」
「かーさん、餌で釣りつつ勧誘してる…」
「あははは。昔はなのはも良く手伝ってくれてたんだけどねー」
「そうなんですか…」
あのおっかない先輩が喫茶店の娘でウェイトレス――はっきりいって想像ができない。
クレーマーとかいようものなら、ちょっと頭冷やそうかとか言って、飲み物の氷をぶちまけそうである。

168 名前:pure monster(上) 12/14:2007/10/05(金) 23:28:18 ID:FeYOP/m7
「僕も、もっと色々教わりたいかも」
「……ん……?」
内心しめたっと思いながら、桃子が追撃をかけるのは言うまでもない。
「なら、少しのんびりしていったら?夏休みとか取れないのかな」
「あー、えーっとどうでしょう…フェイトさんに聞いてみないとわからないですけど」
「それに、あんまり長居するのも…」
「大丈夫大丈夫、母さんだって居候なんだからー」
「そうかも、しれませんけど」
「……私も……夏の間は……居ると……思う」
「うーん…」
「じゃあ、あとでフェイトさんに聞いてみます」
キャロのそれなりの結論に納得し、この場は収まったのだが――
あとで電話をかけてきいてみると、2週間でも一ヶ月でも多分大丈夫、六課の頃の休暇も山ほどあるしーとの答え。
しばらくお世話になります、との結論を桃子に告げると、それはもう喜んでくれて、2人してさすがにちょっと気が引けるね、
っと顔を見合わせてしまうことになるのであった。

 あてがわれた和室の8畳間に表面がござのマットを敷いて、タオル状の薄い毛布を引き寄せつつ、その上に2人はようやく腰を落ち着ける。
ありきたりの照明と、扇風機の風を浴びながら、ふぅ、とキャロが疲れたため息をついた。
「なんか…凄いことになっちゃったね」
「あはは…」
縁側に面した開いた障子と、半分ほど開けられた外の窓、そこから入り込んでくる夏の匂いと時折入り込んでくる涼やかな風。
確かに夏の熱気はあったが、肌に当たる扇風機の風がひんやりとしていて、心地よかった。
「でも、平気?なんか僕のわがままに付き合せちゃったみたいで…」
「大丈夫だよ?それになんか、ここ、静かで…凄く落ち着く」
「あー、そうだね」
「私も、料理は本当に覚えたいし」
「うん…」
えへ、っと笑われて返す言葉が見つからない。
「もう、寝ちゃうかな?」
「うーん…」
ちょっとだけ視線をさまよわせて思考を巡らせるが、案外安易な結論に達する。
「じゃ、エリオ君とお話しながら、ねるー」
「あはは、いいよ。明かりは消しちゃう?」
「うん」
電灯を消すと、扇風機の回る音だけが暗闇に響き始めた。
エリオもそっと横たわると、自然とこちらを向いていた相方と視線があう。
「すごい、静かだね」
「うん…」
心地よい沈黙。
穏やかに扇風機の奏でる音だけが気持ちよく耳に響く。
「なんでだろう、初めてのとこなのに不安が全然ない…」
ごろっと転がって天井を見上げる。
「むしろ、こういうお泊りってしたことないかも」
「あー、そうだね…」
思い返してみるが、自分達の過去はといえば、管理局の施設か、部隊の相部屋ばかり。
自然保護隊の今ですら相部屋なのは(勿論男女別で)、ちょっとした神様の意地悪なんじゃないかと今更に思うのも無理はない。

169 名前:pure monster(上) 13/14:2007/10/05(金) 23:29:07 ID:FeYOP/m7
「なんかずっと旅してる感じだから…故郷ってこんな感じなのかな?」
「なのかなぁ…私もちっちゃすぎて覚えてないけど、きっとこんな感じだったかも」
「うん…」
「そういえば…美沙斗さんって強かった?私よくわからなかったけど…」
「かなり強いよ。今の僕じゃ魔法使っても負けると思う…」
「ええっ?そうなの?」
いくらなんでも生身の人間が魔導師に勝てる道理はないのであるが、彼女は数少ない例外の一人であった。
「うん。多分本気を出されたら、防御も間に合わずに切り殺されるかな…」
「えええ?そんなになんだ。シグナムさんとどっちが強いのかな?」
「うーん、さすがに魔法使われると無理だろうけど、体の動きだけなら間違いなくあの人の方が凄いよ…」
「へー」
「もっと、色々教わりたいな…そしたらもっと強くなれると思う」
「…強くなってどうするの?」
その問いに、もう一度視線を戻すと、暗がりの中の幼い恋人の瞳を真っ直ぐに見つめる。
「強くなって…キャロを守りたい」
「えへへ…ありがとう」
「うん」
彼のこういう何気ない一言がどれだけ乙女心をくすぐっているか、本人が知る良しもないのであるが、
だがしかしキャロにとっては直撃もいいところであった。
畳に落ちた手に、そっと手を重ねられる。
「エリオ君、一緒に寝ていい?」
「い、いいけど…」
了解を得ると、一緒に寝るどころかいきなり飛びついて襲い掛かられる。
「きゃきゃきゃろろろろっ!」
「あははは」
畳の上でごろごろとじゃれあいながら、キャロが上になったところで静かに見つめあう。
そのままごく自然に唇が触れ合って、抱き合っていたが、途中からキスに苦味を感じて目をあけると、
目の前の人の瞳から涙が零れていた。
「キャロ?」
「ずっと…寂しかった…もっともっとしたかった」
自然保護の任務中は2人っきりとはいえ仕事中。
生真面目な2人が任務中に行為に至るだなんて発想にすらなく、そして帰ってくれば平たくいえば監視付き。
軽く手を繋ぐだけで平気だったエリオと違って――彼女の方はそれこそ一年分、抑えに抑え、積もりに積もっていた。
「ごめんね…」
「ううんもういいの、いっぱいしよ…」
柔らかい唇に激しく求められるが、嫌がることなくエリオはそっと抱きしめる。
(あったかいよぅ甘いよう)
(キャロ…)
半ば狂気じみた欲情に多少戸惑うが、一年分と言われては否定する根拠はない。
吐息まで奪いつくされかねない勢いの深い口付けに、当然2人の体の間で硬く大きくなるものがあった
その反応に濡れた瞳の人は、妖艶さを伴った淫靡な笑顔に悦びを浮かべる。
「薬なくても…できるようになったんだ」
「う、うん…」

170 名前:pure monster(上) 14/14:2007/10/05(金) 23:30:19 ID:FeYOP/m7
そっと体を離して、どんどん大きくなっているそれを豪快に剥き出しにすると、何のためらいもなく小さな唇で貪りつく。
「きゃ、きゃろ…!」
ぐちゃぐちゃとそれは激しく濡れた音を遠慮なく響かせながら、唾液を絡ませ、暗闇に光ってもなお唇を這わせ、
何度も喉の奥まで往復させるように頭をよどみなく動かす。
「んーvんーvんーvんーv」
(エリオ君の、いっぱい、いっぱい)
(キャロ…)
壊れかけた思念が直に伝わってくるが、快感の波になだめる暇もなく、先端との境目に唾液を塗りつけられる。
「うぁ……っ!」
(ここ、いいんだ)
大好物の獲物を見つけた肉食獣もかくやというほどの悦びの浮かんだ瞳を閉じて、剥いた皮との間に舌先を滑り込ませた。
「ぐ、うあ…!」
果たして我慢どころか、理性すら半ば飛ばされつつ、再び深く咥えこまれて3度目に、若く白い液体が激しく噴き出した。
しかしそれすらも、しっかりと奥まで口に含んだその人には許容範囲もいいところで、嬉しそうに完璧に全てをごくごくと飲み込まれた挙句、
うっすらと残ったものまで舐め尽し、先端の割れた部分に舌を這わせてから、中に残っていたものまで吸い出される。
「うん、すごくよかった…」
うなされるように呟きながら、まだ大きい舐めつくしたものに軽く頬ずりをしたあと、精を吸い尽くされて動けないでいる
エリオの隣りに服を全て脱ぎ捨てて、そっと寄り添う。
「エリオ君、抱いて」
「ん…」
なんとか意識をはっきりさせて、恋人に覆いかぶさり、ゆっくりと繋がっていく。
「あはぁvvvvvvv」
ずぶ、と半分も差し込まれないうちに首を仰け反らせ、快感に酔いしれる。
「あはっ、いいっv」
「キャロ…あんまり声出すと…」
「あ…」
タオル状の毛布を自ら口に挟み、声を殺して、思念で哀願する。
(いっぱい、いっぱい動いて!)
(う、うん…)
ずっ、ずっ、と動かされるたびにんーっ、んーっ、と音にならない喘ぎを漏らしながら、涙目になるほどの快感に身を任せていく。
(いい、よすぎ、こわれる、おかしくなるっ)
「う…くっ」
ただでさえ狭いのに中の熱さも引き込み方も尋常ではなく、入ったものが溶けているのかと錯覚するほど。
「んーvんーvんーv」
ぐちゃぐちゃと繋がる音と彼の息遣いの耳から入ってくる刺激の全てを脳内の麻薬に変え、自らも腰を動かしていく。
(い、い、いいっ、えりお、えりおくん)
ずっ、ずっ、と突き入れている側も、再び弾けそうな衝動を覚えるが、まだ僕は出せるんだ、
とシニカルにまるで借り物の体のように自身の体を感じずにはいられなかった。
だが意図しようがしまいが、生殖行為の流れがとどまる事はない。
「ぐ、あ…」
ぐちゅっ、ぐちゅっ、ぐちゅ――
「んんんんんんんんんんんんんんんん!!!」
「くあっ…!」
ひときわ激しくキャロの体が震え、唇から毛布が離れるのと同時に、残っていた体液が全て中へと注ぎ込まれていく。
「はぁー……はぁー……」
汗で滑って体を支えきれなくなったエリオが倒れこむと、本当に愛おしそうにぎゅーっと抱きしめる。
「ご主人様…」
「…………え?」
「私はおまけで、いいから…ずっと側にいさせて……」
「キャロ…?」
「私の……ご主人様」
疲れ果てたエリオが、それに対する思考を巡らせることができるわけもなく、そのまま共に眠りへと堕ちていく。
このときから――いやそのずっとはるか前から――歯車が狂い始めていたのであるが、それに気づくものはまだ、誰もいなかった。

171 名前:どっかのゲリラ兵:2007/10/05(金) 23:31:33 ID:FeYOP/m7
以上です。この週末に中編とかけるといいけどな…w
ほいじゃ10分後にデザート投下しまww

172 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 23:36:12 ID:GiIKJY5b
>>33
デモベ熱が再発してる時にナンテコトを!ニトクリスの鏡も持ってけ!!
クロスネタ程々には判ってるが、無限書庫って普通にいそうなんだよな…ロリバ○ァとか最古の魔道書とか
なんだかユーノ幼少時に金髪爆乳シスター属性白天使が親代わりだったんじゃとか妄想しちまうよ

>>45
ユノスレに在った奴なのか…でも珍しくユーノ個人設定登場ホノボノGJ
実際誕生日とかどうなってるのかね? 地球のものに換算できるのか…
血液型とかは性格から予想してつけられなくはないが、やっぱそこんとこスタッフ手抜きでない?

>>131
遂に開戦か…どこのビースト○ォーズかと思ってみたり。
因みになのはは現在完全魔王だが、昔のユーノ(声)はもっと性質悪い魔王だったり

173 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 23:37:35 ID:sA5oiueF
>>171GJすら生ぬるいわ。
いままで読んだエロ有りエリキャロSSの中の最高峰だ。

>ハロオウン家
・・・出来がいいだけに気になるなあ


174 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 23:39:16 ID:66tGbAQ6
>>173
さらに言うなら「鳴海」もなw

175 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 23:41:07 ID:kvbwX2lg
フェエリ党ですが、脳汁がでるほどよかった!
ぐっじょぶっ
エロいキャロはいいものです。


176 名前:どっかのゲリラ兵:2007/10/05(金) 23:42:06 ID:FeYOP/m7
・゚・(ノ∀`)・゚・。よしちょっとnanohawikiで吊ってきます
…あああデザート置いていくよ勿論ハラオウンはなおしとくよプラーン

177 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 23:42:57 ID:FeYOP/m7
全StrikerS入場!!

魔砲少女は生きていた!! 更なる研鑚を積み人間凶器が甦った!!!
魔王!! 高町なのはだァ――――!!!

連携魔法戦闘はすでに我々が完成している!!
管理局本局提督クロノ・ハロオウンだァ――――!!!

お茶に砂糖はいれまくって飲む!!
超甘党代表 リンディ・ハロオウンだァッ!!!

AMF下の殴り合いなら我々のスキルがものを言う!!
ナンバーズの斬り込み隊 ノーヴェ・チンク・ウェンディ!!!

真の射撃を知らしめたい!! ヘリパイロット兼武装局員 ヴァイス・グランセニックだァ!!!

教会ではシスターだが空間移動ならどこでもお手のものだ!!
史上最強のお茶汲み シャッハ・ヌエラ!!!

未来予知は完璧だ!! 聖王教会 カリム・グラシア!!!!

全召喚獣のベスト・リストは私の中にある!!
召喚の神様が来たッ ルーテシア・アルピーノ!!!

女性受けなら絶対に敗けん!!
年上殺しの色気見せたる 少年隊員 エリオ・モンディアルだ!!!

捜査に監査(なんでもあり)ならこいつが怖い!!
聖王教会の007 ヴェロッサ・アコースだ!!!

管理局地上部隊から最強のお姉さんが参戦だ!! 陸士108部隊 ギンガ・ナカジマ!!!

人気のないメガネで構わないから口が悪いのだ!!
姉達と付き合うのも大変だ!!クアットロとディエチ!!!

めい土の土産にレアスキルとはよく言ったもの!!
融合(ユニゾン)の奥義が今 実戦でバクハツする!! SDキャラ筆頭 リィンフォース・ツヴァイツ空曹長だ―――!!!

盾の守護獣こそが守護騎士の代名詞だ!!
まさかこの男がきてくれるとはッッ ザフィーラ!!!

最年少だけどここまできたッ 詳細一切不明!!!!
未来の二代目エースオブエース 高町ヴィヴィオだ!!!

私たちは魔法戦最強ではないAMF戦で最強なのだ!!
寡黙な2人 トーレとセッテ!!!

融合(ユニゾン)の本場は今や地上本部にある!! あたいとユニゾンできる奴はいないのか!!
古代ベルカの純正融合機・アギトだ!!!

178 名前:どっかのゲリラ兵::2007/10/05(金) 23:43:41 ID:FeYOP/m7
出番がナァァァァァいッ説明不要!! 淫獣!!! 司書長!!!
ユーノ・スクライアだ!!!

召喚は実戦で使えてナンボのモン!!! 超実戦召喚!!
本家アルザスからキャロ・ル・ルシエとフリードリヒの登場だ!!!

打撃はあたいのもの 邪魔するやつは思いきり叩き思いきりぶん殴るだけ!!
鉄の伯爵を持つ鉄槌の騎士 ヴィータ

自分を試しにミッドへきたッ!!
若手の2人 オットーとディード!!!

偽装に更なる磨きをかけ ”瞬殺”ドゥーエが帰ってきたァ!!!



今の自分に死角はないッッ!! センターガード、ティアナ・ランスター!!!

ベルカ四千年の秘術が今ベールを脱ぐ!! 空気なんて言わせない シャマルだ!!!

なのはの前でなら私はいつでもスク水だ!!
萌える百合心 フェイト・テスタロッサ・ハラオウン ソニックフォームで登場だ!!!

レリックはどーしたッ どじっ子の属性 未だ消えずッ!!
潜るも逃げるも思いのまま!! ディープダイバー・セインだ!!!

特に理由はないッ 爆乳が強いのは当たりまえ!!
教会にはないしょだ!!! 烈火の将!
シグナムがきてくれた―――!!!

違法研究で磨いた実戦魔法!!
裏世界のデンジャラス・ドクター ジィエル・スカリエッティだ!!!

実戦だったらこの人を外せない!! 超S級魔導師 ゼスト・グランガイツ!!!

超一流魔導師の超一流の魔法だ!! 生で拝んでオドロキやがれッ
地上本部のスーパーキャリア!! 八神はやて!!!

シューティングアーツはこの漢が完成させた!!
機動六課の切り札!! スバル・ナカジマだ!!!

渋き王者が帰ってきたッ
どこへ行っていたンだッ チャンピオンッッ
俺達は君を待っていたッッッレジアス・ゲイツの登場だ――――――――ッ

179 名前:どっかのゲリラ兵:2007/10/05(金) 23:45:19 ID:FeYOP/m7
⊂´⌒つ。Д。)つあ、なおってなかったぎゃわー!3人いたのわすれてたー!
…ほいではまたノシw

180 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 23:46:26 ID:sA5oiueF
>>179
ノシ またここで。

181 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 23:49:15 ID:Cu7lb6su
>>172
ムチムチの苦手なツンデレ(ツンツン)魔王さまのことですか?w
あれ一応リアル?魔王だから宇宙船平気で破壊(ただし乗員全員無事)とかやってのけてるな

>>179
乙。中篇以降期待してるぜ

3人って、リザーバー?久々の入場だからテンプレがはっきりとは思い出せないw


182 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 00:46:01 ID:rOgHHDkL
>>179
なんというデザート、これはサッパリしてしまった

183 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 01:15:14 ID:NDBcgGj5
三袋と御供え物後編マダカナー

184 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 01:54:30 ID:BNeVmfiH
ユーノの説明に吹いたwwwwwwwwwwwwwwwww

185 名前:38 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/10/06(土) 02:16:17 ID:StsmO9Ox
書き上がったんで、第10話のエリキャロエロ投下します。

186 名前:38 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/10/06(土) 02:17:01 ID:StsmO9Ox
10th session〜想いが結んで、進みすぎた想い〜

「……ふう……」

湯船に浸かり、フィレスはほっと溜息を吐く。
と、横に使って居たエリオが、恨みを含んだような視線をフィレスに向けた。

「……何で、フェイトさん達止めてくれなかったんですか?」
「止める……って、『一緒に入ろう』の事? ……別に止めるような事じゃないからなあ……」

そう呟いたフィレスに、エリオは思わず立ち上がりかけ、
……次の瞬間、フィレスが呟いた一言に脱力した。

「……僕がエリオ君ぐらいの時、普通に姉さんと一緒に入ってたけどなあ……」

そのフィレスの一言に、あ、こう言う風な時役に立たない人なんだなと感じたエリオは大きな溜息を吐いた。
と、ふと何かに気付いたようにエリオの背筋を注視するフィレスに気付き、声をかけ、

「背中に、何かついてますか?」
「いや、やたらみみずばれがあるなあって思って」

……硬直した。
しかし、本当に何気なく投げた疑問だったのか、それ以上エリオに詰め寄る事もせず、フィレスは女湯の方を見やる。

「……3人寄れば姦しいって言うし、9人も寄ったら、当然か」

女湯の方から漏れ聞こえてくる騒ぎを聞くと話に聞きながらそう呟いたフィレスに、エリオは悪趣味ですよ、と注意しようとして……。

「エリオ君!」

突然聞こえた声、そしてぶつかってきた柔らかい感触に飛び上がった。

「キャ、キャ、キャ、キャロ!? な、何で!?」
「……エリオ君と一緒に入りたいって、思ったから……♪」

そのままぎゅっとエリオを抱き締めて嬉しそうにしているキャロを見て、フィレスは苦笑し、
……急に頭を押さえ、立ち上がった。

「……ごめん、茹だって来た……。先、上がるね」
「え!? あの」

何か言おうとしていたエリオには構わず、フィレスはそのまま浴場を出た。

187 名前:38 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/10/06(土) 02:18:07 ID:StsmO9Ox
「……あれ? フィレス?」

浴衣に着替え、フィレスが大浴場近くのベンチに座って何かをしていると、声をかけてきたのはスバル。

「何やってるの?」
「デバイス磨いてたんだ。……スバルさんもやる? 布なら余ってるけど」
「あ、うん。じゃあ……やっておこうかな」

そう言うと、スバルはフィレスからデバイス用のワックスと布切れを受け取って、フィレスのすぐ横に座った。

「きれいにしてあげるからね、マッハキャリバー」
『サンキュー』

にこにこと微笑みながらマッハキャリバーに話しかけるスバルに、フィレスは思わず見とれて、

『マスターフィレス?』

突然手が止まった事を不思議に思ったアマテラスが声をかけて、フィレスは我に返る。

「あ、ああ、ごめん、アマテラス!」
「もー……アマテラスが怒っちゃうよ?」
「あ、あはは……」

まさか君の笑顔に見とれていたから手が止まりました、と言う訳にも行かず、フィレスは笑ってごまかす。
と、スバルは1つ溜息を吐いた。

「……何か、暑いねー……」
「そりゃ、風呂上がりだから……ね……」

フィレスはそう答えて……硬直した。
目の前に男がいるにも関わらず、無防備に浴衣の胸元をぱたぱたやりだす女の子を見たら、当然と言えるが。

「……?」

首を傾げるスバル。その年不相応に発達した胸の谷間が、はだけかけた浴衣の隙間からはっきりと見えて。

「(え? 何? これって誘ってるの?)」

……フィレスだって健全な男の子、変な事を考えてしまうのは当然と言えた。

188 名前:38 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/10/06(土) 02:18:37 ID:StsmO9Ox
一方、男湯に残されたエリオとキャロは、

「んっ、んあっ、んきゅうっ!」

……場所を露天風呂に移し、実際に変な事をやっていた。

「キャロ……可愛い♪」
「んんんんん! ふううっ! くううううんっ!」

上下の突起を同時に責められ、キャロは絶叫しそうになるのを必死に堪える。

「ほら、ちゃんと声こらえないとフェイトさん達に聞こえちゃうかもよ?」
「んん、んひゅっ! んー、んーっ!」

口を手で塞ぎ、声が漏れ出るのを何とか防ぐものの、次々に襲いかかってくる快感にキャロは翻弄される。
そんなキャロを見ながら、エリオはぼそりと呟いた。

「……キャロが、いけないんだからね? ほとんど裸で僕に抱き付くから」

いくらキャロが子供とはいえ、そこは女の子。ぎゅうっと密着されれば、当然微かな膨らみがエリオに当たって。
そして温泉に服を着たままで入るような馬鹿がいる訳もなく。
タオル1枚で遮られただけのキャロの身体、そしてすこし茹って来たのか、上気した表情で見詰められて。
……エリオの理性は完全に崩壊した。

「エリ……く……んっ! んきゅっ!」

びくびくと腕の中で面白いように跳ねるキャロを見て、エリオはさらに責めを激しいものにする。
それまで弄くるだけだった上下の突起をきゅっと摘むと、キャロの身体が硬直した。

「!!!!! っ! っ!」

声も出せない程感じまくっているキャロの耳元に、エリオは唇を寄せ、囁いた。

「……大好きだよ、キャロ」
「ひ……っ! ふああああ!!!」

その瞬間、キャロは絶叫しながら身体を限界まで反らせ……崩れ落ちた。
腕の中に崩れ落ちたキャロを抱き止めて、エリオはにっこりと微笑む。

「……あーあ……フェイトさん達に聞こえちゃったかもね?」

……実際は遮音結界を張ってある訳だが。

189 名前:38 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/10/06(土) 02:19:19 ID:StsmO9Ox
「―――っ!」

しかし、その事を知らないキャロは真っ赤になる。
そのままあうあうと声にならない声を上げるキャロに、エリオは意地悪な笑みを浮かべて言った。

「……ううん、前の時より感じてたみたいだし、ひょっとしてこう言う風にされるのが好きなの?」
「……ぇ……ぁ……ぅ……」

そうエリオに言われ、キャロは真っ赤なまま口篭もり……、ぽろぽろと涙を零し始める。
その涙を見て、エリオは我に返り、慌てた。

「え、えっと……キャロ!? その、ごめん!」
「……ぐすっ」
「だ、大丈夫だから! ちゃんと結界張ってあるから!」
「……本当?」

そう涙ぐみながら聞くキャロに、エリオはこくこく頷いて……、微笑んで、言った。

「……さっき、言ったよね? 僕はキャロが大好きだって。
 ……好きな子が乱れてる声なんだよ? いくらフェイトさん達でも、聞かせたく無いって思うよ」
「はぅ……」

涙が何処かに飛んで行ってしまったかのように、一転して真っ赤になったキャロ。
そんなキャロを抱き締めて、エリオはキャロの耳元に唇を寄せ、囁いた。

「……ねえ、キャロ。……続き……いいかな?」
「……ふぇ……?」

きょとん、とするキャロ。
しかし、腹部に当たっているエリオ自身に気付くと、ただでさえ赤かったキャロの顔がさらにもう1段赤みを増す。
そんなキャロに、エリオは少し何かを堪えているかのような表情を浮かべて、言った。

「……キャロ、出来れば早めに……ね……? 僕はもう、最初の時やさっきみたいに理性が持たなくなって襲うのは嫌なんだ。
 僕はキャロが好きだから、少しでも無理矢理みたいになるのは、嫌なんだ」

……好きな人にそう言われて、嬉しくない人間がいる訳が無い。
キャロは嬉しそうに顔を綻ばせて、エリオの背中に腕を回し、言った。

「……いいよ、エリオ君の好きにして。……わ、私も……エリオ君の事が……好き……だから……」

そう赤くなりながら言ったキャロの唇を、エリオは自身の唇で塞いだ。

190 名前:38 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/10/06(土) 02:20:22 ID:StsmO9Ox
「きゃうんっ! ふあ、ふあああっ!」
「キャロ……好きだよ……!」
「エリオ……く……っ! あっ、ああああん!」

下からキャロを突き上げると、こつんこつんとキャロの最奥を叩く感触がして、キャロが激しく反応する。

「エリ、エリオ、くぅんっ! おく、おくっ……!」
「……そう……奥が……気持ちいいん……だね……っ!」
「ひああうっ! ふひゃあっ! くああぅっ!」

深くキャロの中を抉るようにすると、みるみるうちにキャロの声に甘さが増し、必死にエリオにしがみ付いて来る。
そろそろキャロが限界なのを感じ、エリオはキャロに囁いた。

「……何回でもイっていいよ、キャロ」
「ひ――っ!? ひにゃ、くあああん!」

そう言った瞬間、エリオはキャロの上下の突起を指先で転がし始める。
キャロはそれに耐え切れずに、エリオにしがみついたまま、絶頂を迎えた。

「あああああああっっっ!!! ……っは……はぁっ……」

キャロがびくびくと余韻に身体を震わせていると、

「……ごめん、キャロ」
「……ふ……え……っ!? ひああう! やああっ!」

まだ達していなかったエリオがまた腰を動かし始め、キャロはエリオに翻弄された。

「くあああああん!!! んきゅううっ! ふあああああっ!!!」

一度突き上げられる度ごとに絶頂に追い上げられるキャロ。
朦朧とする意識の中には、快感が白い雷にその姿を変えて踊るだけで。

「キャロ……キャロ……!」

一心不乱にキャロの名を呼びながら突き上げて来るエリオに答えるような余裕がキャロにある訳も無く。
と、急にキャロの中のエリオ自身がしゃくり上げ、

「キャロっ!」
「い、んあああああぁぁぁぁああぁぁぁああぁああっ!!!」

キャロの一番奥底に欲望を叩き込み、キャロはその瞬間起こった1番大きな絶頂に耐えられず、意識を飛ばした。



その後、失神したキャロを抱えたエリオは途方に暮れる事になるにだが、それはまた別のお話。

191 名前:38 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/10/06(土) 02:24:18 ID:StsmO9Ox
これで終わりです。

……無自覚受けなスバルとSっぽいエリオを書きたかったんだ、反省も後悔もしている。
正直言って次回のヴェロッサの方がSですがw(つか俺がエロ書くと大体男キャラSになるw)

>>179
これはいいデザートw

192 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 02:41:54 ID:Irz1IHsd
>>179
>>191
いっきにたくさんのエリキャロきたぁぁ!!

これは良いエリキャロな週末w
そして「祝☆レジアス祭り開催」のお知らせがあってワロタwwwww
しかし、アナウンス内容があってて吹いたw



193 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 03:34:36 ID:duSvbN2J
http://cmonet.s58.xrea.com/upload/src/up1463.jpg

194 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 04:11:50 ID:6A5N6Yoa
だれもいないよね・・・

変り種エリフェイ
勢いで書いた。反省していない。校正もしていない。

読みにくい構成になってます
全8レス

195 名前:まほろば○△ 1:2007/10/06(土) 04:13:09 ID:6A5N6Yoa
「んんっ!あ、ハァ」
僕に跨る金髪の女性は淫らに、艶かしく腰を振り続ける。
自分と、彼女の下半身から発せられる熱と快感で、僕たちは溶けてひとつになりそうだった。
なんとなしに伸ばした右手を、彼女が取って自分の胸に押し当ててくる。
「ハァハァ…ね、エリオも動いてよ。もっと気持ちよくなろ?」
僕の胸に手を付いて、赤目が僕の顔を覗き込んでくる。
返事の代わりに手をフェイトさんの腰に当て、拙い動きだけどドンドンと奥を叩くように動いてみた。
壁に、僕の男性自身がこすれて背筋をしびれるような快感が走る。
「いいよっ!その調子で、もっときて」
ハァハァと息を荒げながらフェイトさんが、僕に抱きつきいてきた。頭に血が上るのを感じながら僕は腰をもっと素早く打ちつける。
動きの早さに伴い、自身への刺激が強まって頭が溶けそうな感覚に襲われる。
溶けそうな感覚と熱に浮かされてもやもやと霞のかかった頭で、僕は今日の出来事を振り返っていた。


196 名前:まほろば○△ 2:2007/10/06(土) 04:13:40 ID:6A5N6Yoa
********************************

「どうしたの?こんなところに、こんな姿で連れてくるなんて」
「僕だって、もう一人前の男ですよ。フェイトさんをディナーに招待したかったんです。そのくらいの貫禄は付いたつもりですが」
「ふふ、ありがとう」
微笑むのは彼の保護者で、恩人で、彼の思い人。フェイト・T・ハラオウンだった。
彼―エリオは今日のディナーに勝負をかけていた。そう、今日こそは。今日こそは自分の積年の思いを伝えるつもりだ。
エリオは普段着慣れないスーツで、わずかにギクシャクとしながらも表面上は取り繕って、
彼が見たことが無い艶やかなドレスを着たフェイトをエスコートしていた。
「あの、フェイトさん…今日のドレス姿、すごく綺麗です」
「ありがとう。エリオもスーツ、決まってるよ」
「もう子供じゃないんですから、そうゆう言い方しないでくださいよ…」
すこし口を尖らせて言う。自分はもう、一人前のつもりだがその姿がフェイトには滑稽に映るのか、からかわれ、笑われてしまうのだった。
「ごめんごめん。ところで騎士エリオ、今夜ディナーに招待してくれるんじゃなかったかしら?」
「こちらです。どうぞ」
空いた左手で方向を指し示す。
フェイトはその反応がまた面白かったのか、口に手を当て笑っている。
なかなかうまくいかないものだとエリオは少々赤面しながら思った。
エリオがテンパってしまうほど、今日のフェイトは輝いていた。その姿を見たエリオは声をかけられても、反応できなかったほどだ。
短いフレアスカートから伸びる白い足、胸元が見えそうなベアトップ。フェイトの白い肌とドレスの黒のコントラストがまぶしかった。
前もって予約をしていたレストランに入る。
フロントスタッフに名前を告げると、席に案内された。
「驚いちゃった」
「何がです?」
「エリオ、本当にもう大人なんだね。スタッフとの応対がサマになっててびっくりしちゃった」
またそれか、と思った。
「だから、僕はもう一人前の男です」
「ごめんね。考えを改めさせてもらうよ」
彼は、幼い頃から落ち着いている大人びた性格だったが、容姿とのアンバランスさ故、昔から周りの人間に笑われることが多かった。
最近ようやく中身に外見が追いついたと言ったところか。今や身長はフェイトを追い越し、幼さが多少あるものの男らしい精悍な顔つきになっている。
「最近、キャロとは?」
「会ってませんね。最近はメールだけです」
彼女とは、三年間同じ地で共に働いた。その間に二人の絆は実の兄妹に近い物になったとエリオは思っている。今は一緒にいなくても大切な家族だ。
「じゃあじゃあ、ルーテシアは?」
「彼女とも会ってませんよ」
彼女も、大切な友人。今は管理局嘱託で働いているはずだ。
「エリオは彼女とか居ないのかな?」
「居ません」
「じゃあ好きな人は?」
「…居ますけど」
この人は、と思った。あなたですよ、とも言いたかったがこのタイミングではない。
「ふーん」
少しニヤニヤしながらフェイトは食前酒をぐいっと飲んだ。続いてエリオも少々イライラしながら同じようにグラスを傾ける。


197 名前:まほろば○△ 3:2007/10/06(土) 04:15:16 ID:6A5N6Yoa
「怒らないでよ、エリオ。保護者としては被保護者の交友関係は気になるんだよ」
「やっぱり、子供扱いしてませんか」
「そんなこと、無いと思うけど。してるかな」
「今日だけでもいいですから、僕を子ども扱いしないでください!」
こう子供扱いされては、伝えたいことが伝えれない。エリオは少し凄みを利かせて言った。
「う、うん、わかったよ」
エリオの剣幕に少し驚いたのか、フェイトはぽかんとしながら答えた。
丁度、なのか微妙なタイミングで前菜が来た。
サラダを突っつきながら会話を続ける。
「今更だけど」
「はい」
「首都航空隊入隊おめでとう。シグナムと同じ職場だね」
「ありがとうございます。シグナムさんにはこの前挨拶してきました」
エリオはついこの間、空士訓練校を出て、首都航空隊に配属されたばかりだ。
一人前、と言えるような立場を得ての今回のディナーだった。
「何か言われなかった?シグナムのことだからからかわれたりしたりして」
「小さかったお前が私と同じ空を飛ぶとはな、とかそんなこと言われました」
「ふふ、やっぱりね」
「同じベルカ騎士としてお前の働きに期待しているとも言われました。ちょっとキツイですね」
「責任重大だね。頑張って、エリオ」
中々いい雰囲気だ。自然と食事と会話も進む。
その雰囲気のまま、食事を終え、レストランを出た。
「次はどこに連れて行ってくれるのかな?」
「ここの屋上です。夜景がとても綺麗なんですよ」
もちろん抜かりは無い。今日のためにリサーチ済みである。
エレベータで屋上へと上がる。
エレベータの中から見える夜景でも十分見ほれるほど綺麗だった。光の点が道路に沿って並んでいる。
「わあ、綺麗」
屋上に着いた、エレベータの中からフェイトが少女のように駆け出す。
いくつかのベンチ、と樹木が植えられライトアップされたその場所は空中庭園のようだった。
駆けていったフェイトを追い、エリオもゆっくりとエレベータから降りた。勝負だ、と意気込みながら。
夜景を見ているフェイトの後ろに追いついた。エリオは右手を握って開いてを繰り返しスゥと息を吸い込んだ。
そして後ろから彼女に

198 名前:まほろば○△ 4:2007/10/06(土) 04:16:35 ID:6A5N6Yoa
********************************

抱きついた。
絡めた腕を、解きながら振り返ると彼女はフフと笑った。
「どうしたの?さっきより大胆なんだね。もう回ってきた?」
そう言いながら、彼女はエリオの頬に手を当て口付けてきた。
「ん。ちゅ」
ついばむようなバードキス。瞳が潤み、彼女も少し上気してるようだった。
「好きです…好きだ」
「ありがとう。私も、好きだよ」
そう言いながら彼女は後ろのベッドに倒れこんだ。はだけたバスローブの下の透けるような肌色に目が釘付けになる。
「触ってごらん」
そう言いながら彼女はエリオの手をはだけた所から自分の胸へと導き、押し当てた。
おそるおそる、ふくらみを揉みしだいてみる。彼の指先を未知の感触が襲う。
「んんっ」
彼女の嬌声に少し驚き、エリオはビクッと固まり手を離してしまった。
「気にしないで、少し気持ちよかったんだ。でも、もうちょっと優しくしてほしいかな」
「こ、こうですか?」
上から覆いかぶさる格好で彼女の双丘を下から包むように、感触をあじわいつつあまり力を入れないようにてのひらと指先を動かす。
「いいよ…乳首も弄って…みて」
エリオは指示を受け、次のシークエンスへと進む。手のひらを彼女の丘の上を滑らせるようにずらし、人差し指と親指で乳首をつまんでみる。
んっと呻いたのを聞き、視線を上げ彼女の表情が一瞬ぴくりと歪んだのを見、これでいいのか?と思いながら人差し指と親指で転がす。
「ああっ!んっ」
視線をまた上に戻す。苦悶の表情をした彼女と目が合った。
「そのまま、続けて」
転がす動作を続けながら彼女に口付ける。彼女の方からぬるりと唇をこじ開けて舌が入り込んできた。
エリオはハッとして目を見開いて唇を離した。
「びっくりした?大人のキスだよ。もっと、しよ?」
「は、はい」
彼女の言うがままに再び唇を押し当てた。ぬるりと感触と共に再び彼女の舌が入り込んでくる。
よくわからないけど、同じようにしればいいのかなと思いながら、エリオも彼女の口内に舌を滑り込ませた。
ツルッツルッと彼女の舌がこちらの上あごをなめてくる感触を感じ、同じように自分も彼女の上あごをなめてみる。
舌と舌が絡み合うごとに彼女との思考も絡み合うような感覚を覚えながらエリオは呼吸も忘れ、その作業に没頭する。
たまらなく彼女をいとおしく感じ、彼女を抱きしめ、キスと同じように体も絡めあう。
「ふぅっ!はぁはぁ」
息が苦しくなってようやくエリオは唇を離した。
「あはは、ちょっと盛り上がりすぎちゃったね。ね、エリオ、こっちにも準備が必要なんだ」
そういいながら、彼女は少し股を開き、股間へ先程と同じように彼の手を導いた。
エリオに指をあてがいさせながら言う。
「わかる?この割れ目が女の子の大事なところ。割れ目の始まりにあるこの豆粒みたいなのがクリトリス」
触ってみて、と言われなぞる様にその存在を確かめる。指先に当たった豆粒を弱く押してみた。
「んくっ!だ、だめだよ、エリオ。そこは一番敏感なところなんだから。もっと優しく」
「ご、ごめんなさい!力加減が良くわかんなくって」
「乳首はうまくできたんだから、そんなこと無いはずだよ。もう一回やってみて」
再び指を亀裂に運ぶ。なぞるように指先を動かし、亀裂の始めの方だけなぞる力を少し強くしてみた。
「ん、ふ、ううん。い、いいよ上手だよ」
今度は同じように右手で亀裂をなぞりながら、左手で乳房を弄ってみる。
「あ、はん。んあっ!」
「ハァッハァッ」
彼女の嬌声を聞くたびに、エリオの中でドロドロとした情動が突き動かされる。
なぞる右手の力を少しずつ強くしていく。
「あんっ、んあああっ!」
右手に彼の情動が溢れ出たようなものを感じ、右手を見てみるとトロトロとした液体で濡れていた。
「あの、これ…」
右手と彼女を交互に見ながら言う。
「うん、気持ちよくなって、濡れてきたんだ。これで、大体OKかな?エリオ、お疲れ様」
そう言うと、彼女はむくりと起き上がり、こちらに四つんばいで寄ってきた。
「あの、なにを?」
「今度はエリオの準備をするんだよ」


199 名前:まほろば○△ 5:2007/10/06(土) 04:17:31 ID:6A5N6Yoa
エリオの履いている物を脱がしにかかる。先程と丁度逆になるように覆いかぶさられた。
わ、わ、とエリオは慌てながらスラックスを抑えたが、一瞬にして膝下までずり下げられる。
下半身がトランクス一枚になったエリオの股間には太い筒状の物が浮かび上がっていた。
「あの、これは」
「興奮したんだよね」
「そうです…」
一瞬エリオが言い訳をしようか誤魔化そうかまどろんだ瞬間に彼女は言い当てて見せた。
屹立した物をトランクス越しに握りながら言う。
「パンパンになってるけど、これはまだ大きくなるよね?」
エリオは答えられずに赤面している。彼女はお構いなしに、最後の一枚もずり下ろした。
ふふ、と笑いながら屹立した物を彼女は右手で弄ぶ。
「うっ、ああ」
「エリオ、さっきのお返しだよ」
彼女は微笑みながらゴシゴシとしごき立てる。
「うっ!んあああ…」
自分の手とは違う感覚にエリオは一瞬鳥肌が立ったが、やがてその刺激の前に蕩けてしまった。
彼女が容赦なくしごき立てる度、エリオの男性自身はどんどん赤みを帯び、膨らんでゆく。
「く…あっ…」
エリオは刺激を与えられるたび、まるで女の子のように顔を真っ赤にし体をくねらせる。
「かわいいよ、エリオ」
彼女は全体を扱く運動からやがて、亀頭を中心的に環状にした指でカリをしごく、まわして擦る等の運動に切り替えていった。
「涙が出てきちゃったね」
鈴口から、カウパー氏腺液が漏れ出ていた。
彼女はそれを指ですくいとると鈴口周辺に塗りたくって鈴口を指でほじるように責めてきた。
「んうっ!ああ!」
未知の刺激に思わずエリオは叫んでしまう。
「そんなに気持ちいい?」
そう言いながら鈴口を弄る動作とカリ首を擦る動作とを同時に行い責めたてる。
エリオは刺激を受けるたびにひっ、わっ等と言いながら身を震わせている。
もうこらえきれなくなったエリオは涙目になりながら、
「も、もうやめてください…」
と懇願した。
「分かったよ。そんなになるなんて、かわいいな。エリオ」
そう言いながら彼女は手を離し―
頭を下げ口でエリオをくわえた。
彼女はそのまま息をつかせるまもなく、エリオを吸い上げる。
「な、なにをっ?」
またもや未知の刺激。暖かい彼女の口の中と頬の感触が頭をゆさぶり、嫌が応にも彼のトリガーを引き絞ろうとする。
「で、出ますっ、出ちゃいますから!やめて!」
エリオは彼女の頭を掴み、離させようとするが、彼女は吸い上げながら、頭を上下させトリガーを引いた。
どくっどくっ、とエリオは彼女の口内に白濁を放った。
「ご馳走様」
彼女はごくり、と喉に絡みつく粘液を飲み込んだ。
エリオは腰の抜けた状態で口を開けて呆けていた。
「そんなによかった?」
ティッシュで口をふきながら放心してるエリオの横から話しかける。
「凄かった…です。フェイト、さん」
朦朧とした意識でエリオは答える。
彼女は首を少し傾げてから彼の下半身の様子に気づいた。
「あれ?もう元気になってるんだ。流石〜若いね。じゃあ、本番いっちゃおうか」
そう言いながら彼女は彼の上に跨った。
エリオは虚ろな目でそれを見ていた。

200 名前:まほろば○△ 6:2007/10/06(土) 04:19:03 ID:6A5N6Yoa
********************************


霞がかった頭で思い出そうと試みたが、所々記憶が飛んでいる。
それより今は情事に身を任せようと思った。
あんなに大好きだったフェイトさんが今は自分の目の前で腰を振っているのだ。
先程より激しくフェイトさんの中をこすり、奥を叩く。
「あんっ!いいよ!エリオ大好き!」
「んうっ、ぼ、ぼくも大好きです!」
口付けながら腰を打ち合わせる。もう脳みそが焼きつきそうだ。
もう死んでもいいとさえ思った。
「ちゅ、ちゅぱ、ちゅんちゅ」
キスを重ねる。唇の離れた後には銀の橋が架かっていた。
「は、ははは。あははっ!」
どこか面白くて狂ったように笑う。
「アハ、銀の橋だね。ちょっとロマンチック」
再び唇を重ねた。フェイトさんの口の中を蹂躙する。舌を絡ませあうほど、体も溶けて絡んでひとつになりそうだった。
「ね、エリオ。おっぱいさわって」
ちゅ、と唇を離し両手を腰から離し、フェイトさんの揺れる乳を掴んだ。
さっきの記憶のように、巧みに乳房を手で包みながら、乳首を指で転がす。
「んあん、うんっ!いいよっ」
反応を聞いて、もう少し強めに乳首を押しつぶすように弄ってみた。
「んんんんあ!だめっ、だめえりお!」
嬌声と共にフェイトさんの中がキュッキュとしまる。
自分の恋焦がれていた存在の痴態に、嫌でも劣情を催す。
たまらなくなって、僕はフェイトさんを抱きしめ、思い切り突き上げた。
突き上げる物とともに射精感も高まっていく。
「で、出そうです!」
「んあ、う、あん!いいよ、出して!」
スパートをかける。下から突くとフェイトさんの顔もだらしなく揺れた。その一瞬の表情がたまらなく淫猥に感じた。
「んぐう、うっ!」
果てた。背筋を電気が走りぬける。
「はぁっはぁ…激しかったね。エリオ」
フェイトさんが僕の胸に手をついて緩みきった顔で僕を見下ろしてくる。
自分の中でぶちっとなにか切れたような感覚があった。
起き上がってフェイトさんを押し倒した。頭に血が上る。
「もう一回…する?」
僕は避妊具を取ると再びフェイトさんの中に入った。

201 名前:まほろば○△ 7:2007/10/06(土) 04:19:54 ID:6A5N6Yoa
********************************

頭が痛い…
ガンガンする…

もう少し寝ていよう


********************************

抱きついた。
フェイトの耳元で囁く。
「フェイトさん。好きです。愛してます。一生あなたの事を守っていかせてください」
フェイトは驚きながらエリオの腕を解きながら振り返った。
「え、エリオ!?な、なに言ってるの?」
「僕は本気です」
「え!?いや、だって私たち母子みたいなものだし!」
フェイトは突然の予想外の告白に取り乱す。
「そんなの、フェイトさんが保護責任者を辞めればどうとでもなります。僕は本気です。あなたのことが好きです。
あなたの力になりたくて、管理局に入りました。あなたと同じ空に上がりたいから空士訓練校に入りました。」
エリオの人生目的は、ほぼフェイトに尽くす事、と言っても過言ではなかった。
フェイトはエリオの告白を聞いてしばらく、俯いていた。
数十秒ほどして顔を上げると、
「エリオの気持ちは分かったよ。…うれしいけど、エリオとそんな風には考えれない」
冷や汗が出た。
「子供だからですか?僕はもう大人です。それに、今日は子ども扱いしないって言いましたよね」
エリオは食い下がる。
「違う!そんなのじゃない!エリオは逞しくなったよ、もう大人だと思うよ。けど、違うんだ」
だめだったか。血の気が引いていくような気がした。エリオは参ったと言わんばかりに右手を額にやった。
なんで駄目なんだろう。考える。他に好きな人がいる?まさか。あのヒトか?
「なのはさんですか?」
「え?」
フェイトの赤い目が見開かれた。
「なんで、そこでなのはが」
「フェイトさん、なのはさんのことが好きなんでしょう」
言いたくない。認めたくない。だが、これしか拒否される理由が思い当たらない。
思い返してみれば、機動六課に居たとき、フェイトがなのはに向ける眼差しは、もちろんフェイトが自分やキャロに向ける物とも違ったし、
フェイトがなのはと同じ親友のはやてに向ける物とも違った。そして、スバルとティアナの間で交わされる物ともやはり違った。
明らかになのはにたいする眼差しの温度が違った。
「女性、同士なんておかしくないですか」
フェイトは再び俯いた。
「それになのはさんだって、フェイトさんのこと同じように思ってるか…」
「うるさい…」
「僕じゃ、駄目ですか。なのはさんより強くなってみせます!フェイトさんが助けを呼べばあの人より早く駆けつけて見せます!それでも」
「うるさいんだよ!」
ぱしんと頬を叩かれた。赤い目がエリオを睨んでいた。
呆然とするエリオを尻目に、フェイトはエレベータへと駆けていった。
残されたエリオの頭の中はさっきの赤い目でいっぱいだった。

202 名前:まほろば○△ 8:2007/10/06(土) 04:20:47 ID:6A5N6Yoa
********************************

起きた。
枕元には「また遊びましょう」というメッセージと電話番号の書かれたメモが残されていた

頭にかかっていた霞はもう晴れていた。


今日あった事を思い出しながら、僕は自分が何をしたのか悔やんでいた。
フェイトさんに逃げられた後、ふらふらと盛り場の方へと歩いて行った。履きなれない革靴で足が痛かった。
いくらか歩いてるうちにぼろっちいバーに入ったんだ。
そこで確か、金髪の女の人にナンパされ、呆然自失だった僕はそのまま付いていった。
ホテルに着いて、ベッドに座って俯いていたら、
「辛い事は忘れちゃおう」
って言われて口移しで何か錠剤を飲まされた。
アッパー系と幻覚系の混合だったのか、熱に浮かされた僕はシャワーを浴びて出てきた女の人に、フェイトさんがカブって抱きついた。


酷い罪悪感にさいなまれ三十分ほど頭を抱えた後、シャワーを浴びてホテルを出た。午前25時。
これからどうしようか。あのヒトの関係する場所にはもういられない。頼れる人は、居ない。前みたいに僻地に異動希望を出そうか。
管理局を辞めるって手もあるかな、と思った。
そんなことを考えながら坂を上っていると、ぬるい水が頬をつたってコンクリートに染みを作っているのに気づいた。
このコンクリートの染みも、俺の恋も夜のしじまに消えていくのか。

203 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 04:22:27 ID:6A5N6Yoa
終わりです。
読みにくい上に厨くさくてごめんなさい。
タイトルのまほろば○△の通り新藤晴一氏作まほろば○△をモチーフにしています。

スレ汚しスマソ
それでは

204 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 10:30:43 ID:p8Oxp9nG
>>203
GJ!

205 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 12:23:53 ID:+oKGWIZd
>>179
長GJ!
1回戦でレジアスに瞬殺される司書長想像して吹いたw

しかも決勝はヴィヴィオ対レジアスという超展開w

206 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 13:52:44 ID:PBeJ98sP
>>203
GJ!
エリオせつねぇ……。

207 名前:お供え者と3つの袋(VSフェイト編):2007/10/06(土) 14:04:52 ID:6FFUg4Ns
こんにちは。
お供え者……の続きです。
エロ有り。グロ無し
相変わらずエロは微妙です;;
エリオ×フェイトで、エリオ君がフェイトさんを、襲ってます。
エリオ君が黒いです……
駄文です……
設定……(特に時期、時間等)におかしな所があるかも……というか、あります。
以上を踏まえた上でお読み下さい。


208 名前:お供え者と3つの袋(VSフェイト編):2007/10/06(土) 14:05:39 ID:6FFUg4Ns

(エリオ視点)
「……………」
「…………………………」
地上本部から、6課へ向かうヘリの中、僕とヴィータ副隊長は無言だった。
……ここから先は、ほんのわずかな隙も許されなかった。
少しでも隙をみせて、僕たちのやろうとしている事が、誰かに知られてしまえば、
それは、計画の失敗を意味する。
それだけは、許されなかった……

6課に戻った僕は、そのまま部屋に戻る。
本来なら、任務を終えて戻ったのだから、八神部隊長へ、報告に行かなければならない。
それに、普段の僕なら、キャロや、ティアさん達にも会いにいくはずだ。
でも……これでいい……普段の僕じゃない僕……それが、この作戦の第一段階だった……


(視点変更・ヴィータ)
「はやて……エリオを連れて戻って来た……」
私は、エリオと別れた後、直接、部隊長室へ来ていた。はやてへの、報告をするためだ……
「うん……お疲れ様。向こうの皆も、喜んでくれたみたいや……」
はやては、何事もなかったみたいに、普段通り、そう答えた。
私は、それに耐えきらず、堪らず視線を逸らし聞いてしまう。
「なあ……はやて……何時まで……こんな事続けんだ?」
「何時までも……や。私は、ここを守る為なら、なんでもする。
ここは、私の夢。そして、皆の夢を叶えるために必要な場所やからな……」
はやては、笑っていた……冷たく暗い顔で……
そんな事はさせない。……はやては……6課を守ろうとする為に、大切な事を忘れてる。
……6課を作ろうと、作ったのは何の為だったのかを……
はやてに……それを思い出して貰う。
はやては……私の事を恨むかもしれない……でも……それでも……

部隊長室を出た私を、じっと見つめる者がいた。長い金髪に黒い服……フェイトだ。
私がフェイトの方を見ると、フェイトは、視線を逸らす。
私は、フェイトに気付かなかったように、歩き出す。
フェイトの前を通り過ぎた時、呼び止められた。
「ヴィータ……エリオは……??」
私は振り返り……それでも、フェイトの顔を見ないようにして、答える。
「部屋に……戻ってる……今は……誰にも会いたく無いってよ……」
「そう……ありがとう……」
私に背を向け歩き出したフェイトの背中はは、どこか寂しげだった。
フェイトは、はやてや、なのは程、今回の話にのる気では無かったのかもしれない……
いずれにせよ、ここまでは、予定通りだった……
ここから先、しばらくはエリオに任せるしか無い……
チクっと胸が痛む……私はそれに気付かないように、小さく溜息をついた。


209 名前:お供え者と3つの袋(VSフェイト編):2007/10/06(土) 14:06:23 ID:6FFUg4Ns
(視点変更・フェイト)
ヴィータと別れた私は、エリオの部屋へと、向かっていた。
会って何を言えばいいのか、どんな顔をして会えばいいのか……何一つ解らなかったけど……
それでも、エリオが傷ついているなら、それは私のせいなのだから……

エリオの部屋の前に、疼くまっている娘がいた……
フリードが心配そうに、その周りを飛び回って……ティアナとスバルが、声をかけていた。
「キャロ……」
私の声に、反応を示したキャロは、私に気付くと、駆け寄ってきて、
私の膝にしがみつくと、鳴咽を漏らし泣いていた。
「フェイトさん……エリオく……どうしちゃった……昨日まで……」
説明を求めて、スターズの二人を見ると、ティアナが説明してくれた。
「エリオが帰って来てるって聞いて、さっき、3人で会いに来たんですけど……
エリオが部屋に閉じ篭っちゃってて……何を言っても、会いたくないの一点張りで……
キャロが心配して、粘ってたんですけど……最後には怒鳴られちゃったんですよ……
『ほっといてくれ!!』って……私達も、びっくりしたんですけど、キャロには、
それが、かなりショックだったみたいで……」

私は小さく息を呑んだ。私とエリオが初めて出会った頃ならともかく、
エリオは、他人を傷付けたり、悲しませたりする事を、極端に嫌う子だ。
その、エリオが、パートナーのキャロに……
エリオは、それだけ傷ついている……
そして……エリオをそこまで追い詰めたのは……

自分の気持ちを悟られぬ様に、出来る限りの笑顔をして、キャロの頭に手を乗せて優しく撫でる。
「キャロ……エリオは、昨日の、単独任務のせいで、少し気が立ってるんだよ。
少し休んだら、いつものエリオになってると思うから……
その時は、今の事を気にせずに、優しく迎えてくれるかな?」
キャロは、シャックリをしながら、俯いていたけど……
私の言葉に小さく頷いてくれた。
ティアナとスバルに、軽く目配せをすると、二人は解ってくれたらしく、
キャロを連れて、女性隊舎の方へと歩いていった。

私は、一度、深呼吸をすると、エリオの部屋をノックした。
「エリオ……私だけど……ドアを開けてくれないかな?」
だけど、扉の向こうから、返事は無かった。
一人にさせた方が……そんな考えをして、逃げ出してしまいそうになる……
でも……このままにしてしまったら、私は……
意を決して、ポケットの中から鍵を取り出す。
私には、自分の隊員である、シグナム、キャロ……
そして、エリオの部屋の鍵が預けられている。
隊員が犯罪……特に、ロストロギアや、薬物等に手を出している可能性がある場合……
そういう時に、部屋を検査する為に使うものだ。
だから……今回のような場合に使うのは、本来の用途とは異なる。
もしエリオから、セクハラやプライバシーの侵害で訴えられたなら、
確実に負けるケースだ。
でも……それでも……私は、エリオに会わなくちゃいけない。
エリオに、罵倒され、批難されようとも、全てを受け入れなくちゃいけない……
それが、私の犯した罪なのだから……


210 名前:お供え者と3つの袋(VSフェイト編):2007/10/06(土) 14:07:18 ID:6FFUg4Ns
カチャ……音を立てて、鍵が開いた。
「エリオ……入るよ?」
一応断りを入れてからドアを開いた。エリオは、ベットに座っていた。
そして……右手に刃物を握って……その刃先を、左手首にあてている。
「エリオ!!!」
思わず駆け寄ろうとした私は……
「くるな!!!」
エリオの怒声に足を止めてしまった。声だけじゃない……
私を撃ち抜くエリオの視線は、冷たく鋭い……それが私を凍り付かせていた。
「……リオ……落ち着いて……話を……聞いて……」
どうにか、絞り出した、声は酷く掠れてしまって、自分の声じゃないようだった。
喉がカラカラに渇いていた……

エリオは一度、私を見て……目を逸らし俯く。
「……さんは…………ですよね?」
「え…………?」
小さく呟いたエリオの言葉を、聞き取る事が出来ず、聞き返した私を、エリオが睨む。
「フェイトさんは……知っていたんですよね?」
「……………………」
何を……なんて聞く事は出来なかった……

正確に言うならば、私は今回、エリオが選ばれていた事は知らなかった。
知ったのは、昨日の夜……ある事件の調査を終え、戻ってきてからだ。
その時には全てが、終わっていた……
でも……私は……知っていた……
ユーノを……ヴィータを……送り出した時から……いつかは、こんな日が来る事を……
だから……私は……頷く事しか出来なかった。

「結局……フェイトさんも……あいつらと一緒なんですね……
フェイトさんに、とっても……僕は……取り替えのきく、使い捨ての駒だったんですね……」
エリオの視線が……言葉が……宙をただよう…………
……憎しみでも、悲しみでも無くて……絶望した者の……
それは……まるで初めて会った頃のエリオのようで……
「違う!!エリオ!!私は……エリオ……大事だよ!!大切な子だと思ってる!!」
「でも……見捨てた……フェイトさんにとって……僕はその程度の存在……」
エリオの言葉が……虚ろな瞳が……私の胸に突き刺さる。
私を責める。
「違う!!違うの!!!お願い!!信じて!!エリオ!!」
信じて貰える訳が無い。知りながらも、私は、叫び、エリオを抱きしめた……
背後で……チャリン……と金属音が響いた……
「違う??……何がですか??何も違いませんよ……フェイトさんは……いえ……
フェイトさん達は、機動6課を守るために、僕たちを人柱にした……違いますか?」
言葉に詰まる
何も言い返せなかった……
私達がやってきた事を一言で言うなら、そういう事になる……


211 名前:お供え者と3つの袋(VSフェイト編):2007/10/06(土) 14:08:24 ID:6FFUg4Ns
「……フェイトさん……僕は、フェイトさんの事……大好きですよ……
でも……だから……だからこそ……フェイトさんの事……許せません……」
「エリオ………………」
エリオを抱きしめる手に、わずかに力がこもった……
その瞬間に……エリオに両手で突き飛ばされた……
完全な拒絶……だった……
「だから……今更……偽善者ぶらないで下さい……虫酸が走ります……」
冷たく、倒れた私を見下ろすエリオは……
もう……私の知っているエリオじゃなかったのかも知れない……
「エリオ……ごめんなさい……お願い……許して……」
それでも、私は、自分に都合のいい、願いを口にすることしか出来なかった……

「………………」
エリオは黙ったまま、落としてしまっていた、ナイフを拾うと、それを私の首元へ近づける……
「エリオ……何を……」
戸惑う私に、エリオが微笑む……ただ……その笑みは酷く歪んだものだった……
「許してあげますよ……フェイトさんの……懺悔が本物なら……少し……試させて貰います……」
エリオは、ナイフを私の首元から、ゆっくりと下ろし、私の服を裂いていく……
裂かれた場所から入り込む大気が、私の肌を刺激した……
「エリオ……??」
下着を晒されてしまい、思わず手で隠す私に、エリオの声が飛ぶ。
「隠しちゃダメですよ……フェイトさんが、本当に僕に酷い事をしたと思ってるなら……
僕に、何をされても平気なはずですよね?」
「……う……ん……」
歪んでいく、エリオの急激な変化に戸惑いながら、私は下着から手を外す……
瞬間……私の顔に血液が上るのが解った。
エリオとは、何度もお風呂に入ったこともあって
裸を見せても、平気な筈なのに……でも……今は、羞恥を感じてしまう……
「くぅ!!あ……あぁ…………」
突然、快楽が私を襲う。それは、私の股に押し付けられた、エリオの手によって……
正確に言えば、エリオの手の内側にある物から、発する振動によって与えられるもの……
「あ……あ……エ……リオ……何を……?」
「フェイトさん……今から、フェイトさんに、僕が昨日どんなことをされたのか……
……したのかを教えてあげますよ。
今、フェイトさんに、あててるのは、アリサさんの家に、あったものです。
もっとも、アリサさんは、これを使う事は無かったですから、
どんな物かは僕は知らないですけど……」
楽しそうに笑うエリオがそう言う間にも、振動は私を襲い続け、私に快楽を与え続ける。
「あ……あ……ん……」
「随分……いい声を出してますけど……気に入りました?これ??」
与えられる快楽と、エリオに見られていると言う状況が私を追い詰めていた。
「あ……エリオ……ダメ…………」
快楽に理性を奪われそうになりながら、エリオにそう告げる。
私は、達しそうになりながら……でも、エリオに、そんな姿を見せたくなかった。
失格だったかもしれない……役立たずだったかもしれない……
それでも……私はエリオの親代わりでありたかった。


212 名前:お供え者と3つの袋(VSフェイト編):2007/10/06(土) 14:09:19 ID:6FFUg4Ns
「気にいって貰えたと思ったんですけど……ダメですか?……あぁ……刺激が足りないんですね??」
歪んだ笑顔の、エリオの発言に危険なモノを感じていた、
私の視界の隅に、男性のソレを模した物を、エリオが握っているのが映る。
「ん……あ……ちが……ちがう……の………ひゅうあ!!!?」
下着の横から突き入れられた、ソレは、下着の上からの振動で火がつき、
充分に潤んでいた私の中を、暴れ廻る。
「ダメ!!ダメ!!ダメーー!!!エリオ!!
とめ……止めて!!わた………ん!!?わた……あ……もう!!」
「逝きそうなんですね……存分にいって……下さい!!!」
エリオが、留めを刺すように、ソレを私に深く差し込む。
勢いよく、私の1番奥まで来たソレは、狂えと言わんばかりに、私の奥を掻き回した……
快楽を受け入れてしまう私と、否定しようとする私の想いが叫びに変わる。
「ああ!!ダメ!!だめ!!!きちゃう!!きちゃうよ!!!
エリオが………エリオが見てるのに!!!
わ……たし……イッ………クゥゥゥゥゥ!!!!!」

体中に雷が走る……快楽からくる……ソレはコントロールする事もできず……
私の身体を駆け巡り、私の意思すら焼き切ってしまった。

次に、私が気をとり戻した時、私が纏っていた衣服は、全て剥ぎ取られてしまっていた。
下腹部に感じる違和感に、下に目を向けると、仰向けになった、私の両足を持ち、
いきり立ったソレを、今まさに入れようとしている、エリオの姿が目に入った。
私から、血の気が引いていく。
もし……エリオと繋がってしまったら……私は二度と、エリオの保護者を名乗れ無い……
「エリオ!!ダメだよ!!!やめて!!!」
必死に泣き叫ぶ私を、チラリとだけ見て、エリオは、
力強く腰を叩きつけ、私へと入ってきた。

「あぁ!!あ…あぁ……はいって……エリオが……私の……中に……入って……くぅ!!?」
私の中に入って来たエリオは、私を掻き分け、押し破るように、私の奥へ奥へと侵入する。
「熱い……フェイトさんの中……熱いです……それに、凄く濡れてるし…………
嫌だ嫌だ……って言いながら感じてるんじゃ無いんですか?」
「ぃやぁ……ダメ……だよ……あぁ……エリオ…………こんなの……ぁああ」
私は……痛い程に感じていた……相手はエリオ……感じてはいけない…………
そう思えば思うほどに……それに反するように、
私の身体は敏感に、貪るように、
エリオを感じていた。
「そんな事言って……フェイトさん……気持ちいいんでしょ?素直になって下さいよ……
じゃあ……そろそろ……」
エリオの動きが、大きく、速くなる。つられるように、
私に与えられる快感も、より大きくなる……


213 名前:お供え者と3つの袋(VSフェイト編):2007/10/06(土) 14:10:19 ID:6FFUg4Ns
「ふぁ!??エリオ!!もう!!もう!!!やめて!!私……私!!!もう!!!!」
「逝きそうなんですよね?いいですよ……逝って下さい。僕も……」
エリオの言葉に残された私の理性が、危険を知らせる。
「エリオ!!ダメ!!!中は!!中はダメ!!!」
「いいじゃないですか……フェイトさん…………僕の全て……受け止めて下さい……」
ダメ!!エリオから離れなければ……そう思う私の心とは別に、
私の身体はエリオを求め続ける。
もっと感じたい……もっと快楽を……
「エリオ……エリオ!!私!!もう!!!」
「フェイトさん!!僕も!!!」
「あ!あ!い……………くぅぅぅぅぅ!!!!!!」
エリオに達してしまった私の中に、熱いモノが注がれて……
「あ……あ……あぁ……………」
中に熱いモノを感じながら……悲しみと、後悔で世界が、真暗に染まっていく。
私は……エリオと……エリオを…………
「フェイトさん……許してあげますよ……
そのかわり……
少し協力してもらいます……いいですよね??」
そんな世界に響いた、その声に頷いたのを最後に、私は意識を手放した……


(視点変更・ユーノ)
「今日??まぁ……時間はあるけど……そんな大事な話しなん??」
モニターの向こう側では、はやてが目を丸くしている。
「あぁ……だから、どうしても直接会って話したくてね。」
「解った。それやったら、また後でな」
通信が切れたのを確認して、小さく溜息をつく。
うまくいっていれば、今頃エリオ君が、フェイトをこちら側に引き込んでくれているはずだ。
「さあ……僕もいくか……」
小さく呟き部屋を後にする。友人と呼んだ人と、初恋の相手に会う為に………


214 名前:お供え者と3つの袋(VSフェイト編):2007/10/06(土) 14:11:24 ID:6FFUg4Ns
以上です。
次回は……ユーノ+ウ゛ィータ×なのはです。(微妙に、エリオ・フェイト組も絡みますが)

感想、GJを下さった皆様、この駄文を最期まで読んで下さった皆様
&こんな駄文作品を待っててくれた方!!
ありがとうございました。



215 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 14:34:48 ID:fW6qYPBW
病みエリオな流れですね

216 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 14:36:00 ID:wpjRPZXM
>>214
あんまり駄文駄文言うのはかえって逆効果なんだぜ。貰ったGJの数に自信を持つんだ!

と、いうわけでまずは投下乙&GJ!
エリオ黒いよエリオ、そしてフェイトさん脆すぎだよフェイトさん。だがそれがい(サンダァーレイジッ!
エロもさることながら『お歳暮』トリオが何を企んでいるかに非常にwktk、続き待ってます!

217 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 14:36:18 ID:cuVYcYGQ
>>214
GJ!
>ユーノ+ヴィータ×なのは
何気に珍しい絡みだな。楽しみにしてるぜ。

ところでなんでウ゛なんだ?かな入力かなにか?

218 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 14:44:09 ID:e82nXkiO
>>214
GJです!
一番はじめはバカ話っぽかったのにまさかこんな展開になるとは……

ウ゛なのはもしかして携帯で投稿してるから?

219 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 14:44:31 ID:Y4UnVj08
>>214
超GJ! 
これは実にいい黒ヤンデレエリオ。
フェイトさん弱すぎるよフェイトさん。このまま奴隷化か?

あれ?実はユーノもヤんで(ry

220 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 14:55:10 ID:6FFUg4Ns
……携帯からだと、どーしてもそうなるんですよ;;
気になる方すいません;;

221 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 14:56:43 ID:cuVYcYGQ
>>220
なる、読む分にはいいから謝らんで良いよ。

222 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 16:19:31 ID:L9e+6fnE
そら、あんな目にあったら人間不信になるのも仕方が無いなあ。
黒エリオかわいいよ黒エリオ。

次は黒ユーノを期待してるぜ。
甘っちょろいビターチョコの黒じゃない、ドス黒い人間から流れ出る血の黒さ。

223 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 16:42:22 ID:mRfGDhM7
>>220それなんてniceboat?

224 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 17:06:10 ID:MTVOMSOI
>>214
GJ!!
イイヨイイヨ〜
久しぶりの黒エリオを存分に楽しませて頂きました。
受け属性のエリオが一転して攻めに回るこのギャップがたまらん!

225 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 17:29:10 ID:T7zF8PDe
>>214
GJ
エリオや……精神攻撃から入るとかなかなかの黒化っぷり
次回はユーノ&ゲボ子のタッグ。なのはさんはユーノ一人で落とすと思ったが……次回を待て!

226 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 19:07:04 ID:foSrCcV6
>>224
フェイトそんはエリオきゅん以上の受け属性だし
攻めに転じれるのはヤンだり暴走した時だけだw

227 名前:騎士よ眠れ:2007/10/06(土) 19:26:07 ID:MYtzComI
続きです

228 名前:騎士よ眠れ:2007/10/06(土) 19:26:41 ID:MYtzComI
 峻烈に大気を掻き乱しながら、振り上げられたレイジングハートがユーノ目掛けて叩き落
される。砂色髪の青年は掌を翳して防御体制に移った。
「が──あァァァァ!」
 なのはの怒号を威力に相乗し、麗しきデバイスはユーノの小さなシールド魔法の魔方陣に
打ち込まれる。
 二人の鼓膜を閃光の火花と共に激突音が突き、凄まじい力と力で魔方陣から欠けた光芒が
二人の間に激闘の迫力を込めた光線を描く。
 なのはは狂乱した様に、何度も何度もレイジングハートを繰り出した。魔法という手段を
捨て去った修羅の如く、速度と重量を兼ね備えた白兵戦を連続する。ユーノの眼前で垣間見
えるなのはの面貌の中、揺れる前髪で見え隠れするのは、どす黒い猛獣の眼光を放つ双眸だ
った。
 ユーノはシールド魔法に局所的な高重力を受けているかの如き連打の重圧に耐え、一瞬の
隙を後退で埋めた。
「逃げるの? 意気地無しッ!」
「なのは!」
 素早く距離を開けたユーノを追い、なのはが両足のアクセルフィンを活性化させる。推進
魔法の余剰魔力の羽根を足許に飛散させ、突風をその身に纏うエース・オブ・エースは瞬き
さえ許さない速度でユーノの間合いへ突入する。
 なのはの外部へ放出されているアクセルフィンが、左脚を包む様に旋回する。彼女はその
場で胴を回転させ、アクセルフィンを武装した回し蹴りを繰り出した。
 ユーノの脇腹に直撃したアクセルフィンは、鈍い打撃の音を立てて彼を吹き飛ばす。黒い
影となったユーノが、眼下の森林へ墜落し、身体に激突させた木々を薙ぎ倒していく。
「許さないから! こんな事するユーノ君、わたし絶ッ──対に許さないから! どうして
相談してくれなかったの! どうしてユーノ君、いつも自分の事は一人で抱え込むの? 無
茶してるのはユーノ君じゃない! 一番無茶して危なっかしいのはユーノ君だよ! ちゃん
と相談してくれたらわたしだってこんな事、こんな……っ!」
 制御出来ない感情の激化に突き動かされ、なのはは涙の雫を目許に散らせながら叫び狂った。
「わたし本気で怒ってるんだよ! ユーノ君に本気の本気で怒ってるんだから!」
『Addition 1200 KB.』
 空にアクセルフィンの余剰魔力が巻き起こす烈風を残し、リンカーコア粒子に包まれたな
のははユーノのもとまで流星となる。彼女の進路上へと浮上したユーノが、自分の周囲とな
のはの背後に数枚の魔方陣を形成した。先程の蹴りは直撃こそしたものの、咄嗟に体内へシ
ールド魔法を張ったので実質的な負傷は免れていた。
 同時形成された魔方陣の隊列から、人間の腕大程の強靭なバインドが次々に射出される。
魔力転化されたリンカーコアの補強を受け、その呪縛の光はS+級の射撃魔法に匹敵する魔
法威力をも有していた。前後から迫るバインドの包囲網に、なのははその場に停止すると暗
く据わった瞳に緑光の鎖を映した。
『Master!』
「たかがバインドが……邪魔しないで! わたしはユーノ君に用があるんだ──!」

229 名前:騎士よ眠れ:2007/10/06(土) 19:27:17 ID:MYtzComI
 限界まで何の対処行動も起こさなかったマスターに痺れを切らしたレイジングハートも思
わず声を放つが、なのはは無視して瞬発的に双眸を力ませた。
 一時的にリンカーコア粒子の光度を高めたなのはの睥睨を注がれたバインド魔法の魔方陣
が、何の魔力干渉も無いまま粉々に砕け散った。続けて彼女が肩越しに後ろへ振り返り、背
後に描き出された魔方陣をも同様の末路を与える。白い魔導師に迫っていたバインドの怒涛
は無残に全てが消滅した。
「一体何が」
 流石のユーノも不可解ななのはの芸当に焦りを見せ、彼女が見せた超人的な魔法の無効化
に困惑を隠せなかった。マントをはためかせ、警戒心に濡れた眼で正面のなのはを見据える。
「恐らくリンカーコアだけで……地球人のリンカーコアは本当に化け物のようだね」
 まざまざと見せ付けられた超人の資質に、ユーノのバリアジャケットの奥で薄ら寒い汗が
滲み出る。
 コネクトシステムによって覚醒したなのはのリンカーコアは、今や視認しただけで魔法を
強制解除させるだけの潜在性能を発動している。そこに魔力的な要素は何も無く、まさに魔
法理論を根底から覆す超常現象の類に属されるものだった。
 ユーノ・スクライアの前に今、魔法世界の森羅万象を掌握する魔導の女神が君臨していた。
『Addition 5000 KB.』
 内蔵する記述化魔法端末一基の最大容量を一度に消費するレイジングハートの攻撃態勢に、
ユーノは身構えつつも体内にシールド魔法を蓄える。体内に魔方陣を形成するのは、なのは
の眼球で捕捉可能な空間では瞬時に魔法を解除されてしまう事への、彼がとれる唯一の対策
でもあった。
 なのはの足許に、半径六メートル規模の巨大な桜色の魔方陣が顕現する。魔方陣は莫大な
魔力を紋様に充填し切れないのか、表面から大量の魔力粒子を昇らせ、なのはの身体を包み
込んでいた。
『Master……Do you really attack him?』
 レイジングハートが、極大魔力を発揮する中で憂いのある電子声を呟く。しかしなのはは
小さく頭を横に振った。
「手加減なんて出来ないよレイジングハート。良く見て確かめて……ユーノ君はわたしと違
って『デバイスを持ってない』のに、あんなにも凄いんだよ? 今のままじゃ、負けないけ
ど勝つ事も出来ない。何とかしてあのSSS+級シールド、絶対無敵の防御魔法を突破しな
いと……先遣部隊の艦船がちゃんと三人を転送魔法の照準に合わせてくれているから、わた
し達も早く決着をつけなきゃ……。万が一の時が来たらわたしは──反逆罪になっても調査
隊を……だから絶対にその前にっ!」
 なのはの直下、ユーノが地中に形成した魔方陣のバインドが、地獄からの使者の如く噴出
する。しかし捕縛の大蛇はなのはの魔方陣を通過出来ずに軌道を捻じ曲げられ、空際へと消
えていった。
 詠唱段階に入ったなのはの如何なる干渉も意味を成さない状態に、ユーノは彼女の一撃に
真っ向から挑みかかる気迫を見せた。
 レイジングハートの魔力出力部をユーノに照準し、なのはは更にデバイスを励起させて魔
方陣の輝きを爆発させる。

230 名前:騎士よ眠れ:2007/10/06(土) 19:27:57 ID:MYtzComI
「レイジングハート、ゲマトリアサポート・トリプルダウンロード! リンカーコアコネク
ト・セカンドリミットアドヴァンス!」
『Yes sir.Addition 5000 KB,And addition 5000 KB.Connect system SECOND LIMIT!』
 余剰魔力の光の柱がなのはとレイジングハートを包み込み、黙示録の神々しい一場面の様
に世界を震撼させる。リボンで結われた栗色の髪が縦横に乱れ、純白のバリアジャケットも
その澎湃たる魔力流の中ではちきれそうに荒れ狂った。
 なのはから放出される魔導の範疇を超越した魔力量が、彼女の周囲に圧縮された次元震の
竜巻を幾つも激発させ、古代ベルカ世界を空前絶後の大災害に陥らせる。大陸の一部が地表
から剥がれ、次元震流の中で粉々になる。大地の亀裂から地中深部に眠っていたマグマが噴
出し、その超高温の泥が地表を侵略していった。
「ディバインバスター──シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥト!」
 なのはが発射の詠唱を叫び、レイジングハートから魔力光の彗星が撃ち出された。同時に
ユーノは、体内で万端に準備していた全力のラウンドシールドを正面に現出させる。
「ディバインバスターなら行ける!」
 ユーノが差し出した腕から更に魔力を補充させ、魔法楯の強度を可能限界まで一気に上昇
させる。不意にユーノは、一瞬だけ顔を後ろの山岳に向ける。
(巨大質量の魔力反応の中にあるのは無限の猟犬……どの筋からの指令かはわからないけど、
魔力反応の調査、頼みますよヴェロッサ・アコースさん……!)
 二つの魔力光が空中で熾烈に衝突した。桜色の彗星は緑光の鉄壁を境に、魔法楯の外縁へ
と強力過ぎる魔力の一部を横溢させる。ユーノの背後に位置する山岳地帯へと辿り着いたデ
ィバインバスターの余波は、連なる巍乎たる峰巒を塵に変えていく。
 なのははレイジングハートを構えたままで魔力の照射を加速させ、視界を埋め尽くす魔力
光の先で微かに閃く緑光の魔法楯を発見する。限界寸前に高められた魔力放射の反動で、な
のはの両腕の皮膚が引き裂かれてバリアジャケットの袖に紅い染みを広げる。全身の神経細
胞が焼き切れそうな程発熱し、脳は刃物で摩擦されるみたく激しい痛みを訴えて意識を明滅
させてくる。
「レイジングハート──わたしの想いをあの人に届けてぇぇぇぇぇ!」
 眼窩の毛細血管を切らせて両の瞳から細い鮮血の珠を散らせながら、なのはは喉をせり上
がってくる血反吐と共に絶叫した。
「な……のは──!」
 ユーノは空いた片腕を持ち上げ、魔法楯の発動を両腕で強化した。
 魔法楯を中心に核融合爆発と見紛う大爆発が発生し、二人の鬩ぎ合いの終結を知らせる眩
い閃光の嵐が世界に膨張した。
「やったの?」
 なのはが暴走する強風の中で呟き、光の渦で見えないユーノの方に視線を固定させる。
「──リフレクション!」
「はっ!」
 擾乱する空を伝ってユーノの叫びを確かに聴覚したなのはは、前方から自分が射撃した筈
のディバインバスターの接近を見た。死に物狂いで斜線上から逃れた彼女は、ユーノがラウ
ンドシールドと併合して発動していた反鏡魔法の不意打ちを、何とか回避する事に成功する。
 大気圏を突き抜けていくディバインバスターから視線を戻したなのはは、それを追うよう
に上昇してくるユーノを視認した。
 目許と口周りの血をバリアジャケットの袖で拭い取り、なのはは応戦の構えで彼を待ち受
けた。皮膚に無数の裂け目を及ぼす両腕の痛みも全身の神経の消耗も気にせず、なのはは決
死の胆力でユーノを迎え撃つ。

231 名前:騎士よ眠れ:2007/10/06(土) 19:28:36 ID:MYtzComI
「幾ら視線だけで魔方陣を解除出来ても!」
 ユーノはなのはの上下左右、空間の全方位に多量の魔方陣を形成する。なのははその半数
を睨み付けて消去出来たが、消し逃した魔方陣からバインドの大群が射出される。
 緑光の鎖がなのはの全身に絡みつこうとその身を捉えたが、先程と同じように軌道を変え
られてしまった。あるバインドは弾かれ、あるバインドは滑る様になのはの身体の輪郭を伝い、
彼女の背中に触れたバインドは更に細かく分裂してあらぬ方向へと飛散した。S+級の魔法
威力を宿したそのバインドさえも、なのはを包む不可視の衣が苦も無く無力な戯れに変える。
 通常はシステム起動を示す唯の発光現象でしかないリンカーコア粒子が、今は質量を伴っ
てなのはに魔導の法則とは異次元の性質を持つ障壁力場を与えていた。如何なる魔力干渉も
通さない地球人リンカーコア粒子の聖なる光の加護は、なのは自身の精神力に共鳴して更に
光度を深める。
 一端なのはから距離を取ったユーノは、引き締めた表情の奥で勝機を見出す為に自身が持
つ深遠な知識を総動員させる。なのは自身に一切の魔法が通じない以上、彼女をこの世界か
ら撤退させる方法はかなり限定される。
 最早人間が持ち得る魔導を超越した奇跡を、それ以上の魔力量をぶつけて停止させる事も
、決して不可能ではないだろう。
 しかしユーノの目算では、あのなのはの障壁を打ち破る為に世界中の魔導師・艦船・魔導
兵器全てを投入したとしても、成功率の引き上げは難しく思われた。
「ユーノ君、続き……やろうよ」
 冷気に満ちた囁きを紡ぎ、なのはは疾風になる。下方から捻りあげられて空を切り裂くレ
イジングハートがユーノへ喰らい付き、彼は体内の魔法楯を僅かに露出させてデバイスを受
け止めた。しかし打撃の衝撃を殺せず、大気層の彼方へとなのはの視界から消え去る。
 空中で宙返りをしたユーノは前方から襲来するなのはを認め、自身に弱規模の転送魔法を
詠唱する。空間の裏を移動し、彼はなのはの背後へと現れた。
 魔法が通じないならばと、ユーノは堅く握り締めた拳を繰り出した。異性に暴行を行う事
に多少の躊躇はあったが、背に腹はかえられない想いで、行動を抑制してくるそんなフェミ
ニズムを心の奥底に黙らせた。
「なのは、今すぐにミッドチルダへ帰るんだ!」
 ユーノの拳を右掌で拿捕したなのはは、彼の痩躯を片腕で軽々と投げ飛ばした。ユーノは
素早く体勢を回復させ、厳然と彼女を睨み据える。
「……今更そんな事言うの?」
 溜め息の様な調子で言い、なのはは掠れた一笑で口の端を微かに持ち上げた。
「僕達は大丈夫だから。きっとヴィータを救う手立てを見つけて、すぐに帰るから。調査隊
だって、事情を話せばわかってくれるかもしれないだろう? だからなのは、僕達を信じて。
何だったら今から皆で手を取り合って取り組めばいいじゃないか。そうだろう、なのは」
「……」
 本局上層部の古代ベルカ世界に対するただならない空気は、なのは、フェイト、ティアナ
各自も肌で感じている。実際なのはは、出動前に立ち寄った本局で、調査隊の任務変更を管
轄の上層部に建白していた。
 その上で彼等を連れ戻す為にこの世界に来た現状が、なのはの儚い願いの結果を物語って
いる。

232 名前:騎士よ眠れ:2007/10/06(土) 19:29:18 ID:MYtzComI
 一体この世界に如何なる執念を抱いているのかはわからないが、調査隊が今回の任務を完
遂する事に、ユーノ達の妥協を臨む姿勢を汲み取る可能性は低く思われた。たとえ彼等の声
を聞く耳が調査隊にあったとしても、三名が公務執行妨害その他の罪状で検挙される事も容
易に慮れる。
 なのはも、時空管理局が世の為人の為と慈善活動をする組織で無い事は十二分に理解して
いる。時には苦汁を飲んで、非人道的な所業を選択しなければならない状況もあるだろう。
一つの命を犠牲にして、より多くの命を救わなければならない場合もあるだろう。
 しかし、ユーノ、ザフィーラ、シグナムは自ら死の危機に突き進んでいるようにしか見え
ない。その三名に、悲しみよりも悔しさよりも、誰よりも愛しい仲間だからこその苛立ちが
渦巻いていた。
 そして何より、自分に何の相談もしてくれなかった事が、今のなのはの中で言葉にならな
い憤激が噴き上がる。
「言った筈だよ。どんな事をしてでも、皆をこの世界から連れて帰るって。調査隊への異議
申し立ては、それからでも遅くないんだよ。そんな事もわからないユーノ君じゃないよね?
 おかしいな、わたしが今闘ってるのは別の人なのかな? ユーノ君じゃないのかな? も
しそうなら……ユーノ君の姿でわたしを惑わせる貴方なんか……わたしの目の前からとっと
と消えてよ」
「なのは……」
 なのはの願いは本末転倒だ。今もヴィータを──彼女だけではない、四名のヴォルケンリ
ッターを苦しめるプログラム異常は進行している。
 十年前、闇の書の制御から切り離された事で、高度な転生機能を停止させた騎士達。彼女
達はむしろ、その事を掛け替えの無い現在を生きる為に真摯に受け止めた。
 だがその四名の決意が、この十年間で密かに悪化を続けていたプログラム異常の発症で、
最後の主と積み重ねていく未来と共に砕かれようとしている。
 ユーノにとっても、守護騎士達は十年来の付き合いを続けてきた家族同然の相手だ。彼女
達の前に立ちはだかる残酷な運命を乗り越える為に、命を捨てる覚悟を固める事に恐怖も不
安も無い。
「わかったよ、なのは。君の気が済むまで付き合う。だけど、僕も絶対に負けはしない!」
「……レイジングハート、ドライブ・イグニッション……。あの聞き分けの無いユーノ君を、
わたし達でぶちのめしてあげなきゃ……」
『……Yes sir……my master.』
 先程のディバインバスター放射によって、二人の下に広がる大地は凄まじい天変地異を引
き起こしていた。宛ら二人の死闘を、神話の神々の終末戦争にも似た壮大さで演出する。噴
出するマグマは尚も勢力を増していた。
 ユーノとなのはは、互いの譲れない想いを胸に秘め、再び魔法の輝きを発動させた。

233 名前:騎士よ眠れ:2007/10/06(土) 19:30:08 ID:MYtzComI
続きます
GJ支援ありがとうございます 本当に励みになります

234 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 19:47:30 ID:A7lWRUND
>>233
リアル更新キターーーー!!GJです。
つーか、なのはさんが本気で悪魔や冥王を通り越した存在に。一歩も弾かないユーノも漢すぎる。
大切な人を巡る強い思いがぶつかり会うこの物語……結末までつっぱしって下さい!!


235 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 19:49:47 ID:T7zF8PDe
>>233
普通になのはが怖いwGJ
睨むだけで消滅って……おいおいなのはさんや。それはフリーザとかそっち系統の技だぜ……

236 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 19:55:52 ID:270RI5Tl
>>191
今起きたんだが、なぜか夢でリアルにスバルになってて、フィレスと魔法を使わない、木登り勝負してた。
いいイチャラブ雰囲気だったのに、フィレスの顔が覚えていないorz。
何が言いたいかっていうと…
続きを期待!!
自分でもオリキャラが夢には入り込むほど、残るとは思わなかった。


>>220
GJ!次はユーノとヴィータの二人が、なのはとはやてに襲いかかるんですね!
自分は、ユーノ×ヴィータのイチャラブを見せて、興奮した二人を…
ってのを予想。
ただ本編内では『ヴ』になってるのに、あとがきだと『ヴ』になるのはなんででしょう?
ちなみに自分携帯だと、『ぶ』の変換で『ヴ』になります。


>>233
これまたGJ!
なのはさんの力は法則すらねじ曲げますか!
いやはや、流石はまおu…あれ?窓の外が明るi

237 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 19:56:48 ID:cuVYcYGQ
>>233
ああ・・・化け物だ・・・
なのはさん恐すぎだよ
アコースはどっちの人間だろう…
査察部は腐ってないよな!?

238 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 20:01:34 ID:Y4UnVj08
>>233
光の玉!光の玉はどこだ!あの魔王の闇の衣を剥ぎ取るための(ry
というか
>あのなのはの障壁を打ち破る為に世界中の魔導師・艦船・魔導
兵器全てを投入したとしても、成功率の引き上げは難しく思われた。

(( ;゚Д゚)))なのはさんどこまでいくんだあんた

239 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 20:05:49 ID:67f/JUSa
なんか描写がインフレしすぎだなあ
なのはさんも病んでるし

240 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 20:16:49 ID:rOgHHDkL
>>239
そう思うか、俺もちょっと思った。
戦闘演出を派手にするのはいいと思うけど、インフレし過ぎてて少々クドくなってる感があると思う。
この辺りは個人差もあるんだろうけど・・・ちょっと限界突破気味かな。

241 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 20:30:33 ID:UKEA+EgE
フェイエリな話を待ちながら風呂にでも入ってこよう

242 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 20:31:31 ID:67f/JUSa
フェイト×エリックさんか

243 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 20:39:24 ID:FrT3Qe5N
>>242
エリックって誰?

244 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 20:42:29 ID:aqshg0A2
>>233
投下乙、GJでした! どんどんお互い退くに退けなくなってるなぁ…ヴィータの登場が鍵か?

>>239,240
まあ、ちょっと思わなくもないな。追加システムがあまりにもピーキーだっつー前置きがあるとしても、
注ぎ込む魔力量の『数字』がインフレ的に見えてくる。
後描写もな…レッドアウト(目の毛細血管が切れて充血しまくる状態…でいいんだったか?)って
物理的に大丈夫なんかなのはさんは。後日談でしばらくまともに動けなくなる位はありそうだが。

ただそれを入れても物語の勢い的に許せちゃう雰囲気を作っちゃうのが凄い所だなと思ったり。
おかしいなぁ、ここはエロパロ板のはずなんだがw

245 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 20:48:12 ID:XOS723J1
三期にインフレを求めてた人間としては賞賛したい

246 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 20:49:14 ID:67f/JUSa
>244
避難所参照

247 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 20:50:02 ID:67f/JUSa
まちがえた
×>244
>243

248 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 20:52:39 ID:U8WX5nBr
>233
GJ。
しかし黒なのはさんとんでもなさ過ぎ。
どこぞの黒杖やスレイマンの領域だなここまで行くと。

249 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 21:08:23 ID:CUph/gev
避難所ってどこ?

250 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 22:04:23 ID:J4wusyQr
まあ、能力インフレがドラゴンボールみたいな事になってるって言っても、
本編のバトル描写に比べたら、むしろこれぐらいのことやってくれよって感じだし……
なにが言いたいかと言うと>>233GJ!


251 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 22:20:08 ID:Yfjy86Ie
>>233
GJ!
ネタの魔王なのはさんよりも強いシリアスなのはさんだなww 個人で次元震引き起こすとかどんだけー。
そして、アクセルフィンキックがシンプルだけどカッコヨス。空戦版シューティングアーツだな!

252 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 22:23:58 ID:WCSSZEYS
やべえww >>233が熱すぐるw
こんな血闘の後にほのぼの八神家投下してもおk?

253 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 22:32:58 ID:WCSSZEYS
へんじがない、ただのしかばねのようだ…
出直してきまつ
λ......

254 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 22:35:35 ID:xso3Gr+W
>>252
ちょwww1時間くらい待てよwwww

てか、他の人が投下してる最中以外なら、了承取らなくても投下して良いんだぜ?

255 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 23:03:33 ID:ujw8h3Ft
>>233
やっと追いついてきたけど、
GJ!!
凄すぎなのはさん。
だけどユーノもめちゃめちゃ強いって信じてるから。

>>252
ちょっとまってくれ〜〜〜〜

256 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 00:04:36 ID:sPQehj4D
ええと投下おk?
しばらく待ってみますね

257 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 00:08:22 ID:0xVHT21B
よっしゃ来い来い

258 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 00:10:00 ID:q24n+dZb
バッチコーイ!

259 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 00:10:40 ID:/YBkH+KK
おkですたい

260 名前:y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/10/07(日) 00:23:59 ID:sPQehj4D
ええと、んじゃそろそろ…いかせて頂ますね
では…お久しぶりですターンです、初めての人こんにちはどうぞよろしくです
以前リクもらったもの書いてみました

・ユーノ×ヴィータ (ユーノ性活の分岐話)
・今回エロ無しスマンとです(次回からアリ)全3回くらい…多分
・設定改変あり

261 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 00:24:31 ID:4ARhXqZP
おお、実に久しぶりwktk

262 名前:y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/10/07(日) 00:26:43 ID:sPQehj4D
第一章 冒頭  新妻の戦場


 夕焼けにはまだちょっと早いうっすらと赤みがかった青い空
日が傾きかけた夕飯時
 商店街の人ごみの中を赤みのかかったおさげの髪がちょこちょこと頭をのぞかせていた
キョロキョロと周りを見ながらメモを片手にぶつぶつと口ずさむ

「えっと…あとはお肉と魚か…あ、くそ、ジャマだぞオイこれ、いつも…ここ…通れねーじゃねーか…よっと」

 くりっと踵を返すと、少林寺の修行僧よろしくプルプルと腕を水平に保持、つま先立ちで移動
口がパタリ○のタマネギみたいになってるが本人はいたって真剣だ
 明らかに体のサイズに比すると大きすぎる買い物籠を注意深く障害物に当たらないように運んでいき
器用に乱雑に置かれた自転車の列地帯を抜けた
ホッと息をつき、そのままテクテクとスーパーの中へ入っていった

ガーッ

 古びた自動ドアが閉まる、中は外見とは裏腹に清潔で活気がある人が多いのは同じだが
雑踏のやや暑く淀んだ中から店内のヒンヤリした空気に触れられ、少女はやれやれと一息ついた
 小柄なその姿―は店内を見回しここがアタシの戦場だぜと言わんばかりにニヤリと不敵に笑った

少女は無い胸を張った、彼女の名はヴィータ、またの名を紅の鉄騎
誇り高きヴォルケンリッターの守護騎士の一人であり
現在は若き無限書庫、司書長、ユーノ・スクライア氏と先日結婚したばかりの新妻である

「…おし!、んじゃ残りもパパっと済ませちまうかー」
空いた方の手をTシャツの腰に当てるとカレーのコーナーの横で
  新米主婦… ヴィータは買い物籠を掲げ、勝ち誇ったように宣言した
店内でお店の幾人かが振り向き、見知った少女の到来を知って声をかけた
少女はここらではちょっとした人気者のようだ

「あら、ヴィータちゃんまたお使いかい?」
かっくりと前のめりにこけるヴィータ、ぐぐっと体を起し努めて笑顔で振り向く
「…ちょ、だからさ、ちがうったらおばちゃん、…アタシはコホン…ほら新婚ばりばり、新妻、若奥さんなんだって!」
ぼりぼりと頭を掻きながらも苦笑してヴィータ抗議を述べた、おばちゃんは気にした様子も無くカラカラ笑って応えた
「ハイハイ、それでどう?今日はコロッケ安いよ?新米奥さんなら買い物上手にならなきゃね」
まったく本気にされていない、ヴィータの外見は10歳以下、世間常識に照らせば当然であろう

 うーむ?…やっぱ、最初にシャマルに付いてきてもらったのが失敗だったのだろうか?
ヴィータは思った
 結婚前のかけこみ修行期間、ヴィータは主にシャマルとはやてに頼み込み
まったく不慣れな家事の得意分野を大急ぎで実地訓練してもらったのだった、今では特訓の甲斐もあって
カレーや肉じゃがぐらいは何とかギリギリはやてに合格の免状を頂いていた

 んで、…あの時は「お母さんですか、ヴィータちゃん可愛いねぇ〜」
などとお店の行く先々で二人セットで言われ、二人してピシリと石化してたりしたんだよな…

シャマルはそのつど怒りを笑顔のオブラートで包みごしごしあたしの頭を力強く撫でた

『い、嫌ですわ、この子はもう妹!…妹なんですよ、おほほやーね、ね…ヴィータちゃん?』
(名前のところでハンオクターブ声色がアップしてたのを報告しておくべきだろう)
コクコクと頷いたあたし
「そ、そうそう歳のかなり離れた…」
などと言ったものだ、物理的に擦られた頭皮が…大変痛かったが…

どうやらシャマルの弁明もあまり効果無かったようだ

263 名前:y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/10/07(日) 00:28:04 ID:sPQehj4D
顔を上げると
一軒向こうのお店からもおじさんの声がかかる
「おう、ヴィータちゃんか、ホント毎日偉いね〜、今日はサンマがいいよ!おぅさ
 おじちゃんヴィータちぇんのファンだからさ!サービスしちゃうぞ!」
包丁を片手におじさんはサービス、サービスと商業的にアピールした
危ないなぁ…色々な意味で、とヴィータはタハハと笑って手を振った
「あ、んじゃ後で行くからさ…ホントにサービス頼むよおっちゃん〜」
わっはっはと「おー任せとけ」と言うおっちゃんにヴィータはもう一度愛想良く手を振った
結婚前の彼女では考えられないぐらい、この辺のスキルは上達したと自負するヴィータであった

「さて…んでさ、とりあえず今日は…えーと、おばちゃん!この豚牛のあいびきと…」
ぴったりとガラスケースにはりつき
ヴィータは真剣な表情で、本人は主婦っぽいと信じているその仕草でテキパキと指示を出した
Tシャツにスパッツ、縞々ニーソではそれもあんまり期待薄だろうが
 おばさんは愛想よくガラガラとガラス戸を引き
若過ぎる奥さんの「それそれ」「そっちも」と指差すお肉の山を律儀に丁寧に取り分けていった




ユーノ君の華麗な性活、外伝(そとでん)


             ―ヴィータちゃんと新婚性活−な毎日 Uの―




2章 成長?


てくてくと帰る帰り道、買い物カゴは飛び出たネギやなんかでずっしり重い
「タハハ…やっぱ買いすぎちゃったかな…いっつもこうなっちゃうんだよなぁ」

よいしょよいしょと、それでも気分良く
人ごみを抜け、幾分商店街のはずれの方まで歩いてきた、このあたりになると人の数もぐっと減る
ある地点までくるとふいにピタリとヴィータの足が止まった

 無言で白い建物の看板を見詰める

 プアーン ガタトン…ガタトン…
遠くで電車の音が聞こえる
「……」
夕闇の迫る中、少し風が冷たくなってきていた


総合病院―たくさんの表記の中に一部彼女の目を引き止めるものがある
たった4文字の短い文字の連なり

『産婦人科』

264 名前:y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/10/07(日) 00:28:45 ID:sPQehj4D
ヴィータは買い物かごを片手にぺたんこのお腹を無言でなでた
「…やっぱ、いくらやってもデキない…んだよなぁ…あたしは…当たりまえか…」
 幾分ションボリしていつもは元気な肩を力無く落とす

ユーノは事あるごとにヴィータを求めてくる、それは今のところヴィータにとっては
それほどイヤでもない、いやむしろ求められるのは、…それほど悪い気分ではない…最近はそう思いすらする
 自分に夢中な時のユーノは確かにバカでスケベでだらしなくてスケベでバカで……あ、いや

とにかく困ったパートナーではあるがユーノは、案外可愛いくもある、ヴィータはそう思っていた
そんな風に考えれるようになった自分が大人みたいでくすぐったいような嬉しささえヴィータは感じていた

でも
苦笑しながらも照れて赤くなった顔が、ふいに寂しげになる

「やっぱさ…できればだけど………居たほうが……いいよな……あたしと…その…あのバカとの…」
そのあとを続けられず飲み込んで、またジッとその文字を見つめた
見つめたってどうこうなるわけでもないのにな…傍の電柱にコツンとおでこを当てた

 我ながら無茶な事を望んでるのはわかってる、騎士の機能それ自体が成長できないのだから…
受け入れ、産み出すその時点まで、成長する事は永遠に無い…そう自分はプログラム
…そう永遠に無いんだ

 その時、偶然病院から若い女性が出てきた、少しお腹が膨らんでいる、お腹に手を当てて幸せそうな笑顔
ズキンと小さく胸が痛んだ
「…………」
 ヴィータは立ち止まって見つめてしまっていた
「ちぇっ…」
 歩きだせばいいのに足が動かなかった

 本当に、いつまでもユーノはあたしを愛してくれるだろうか?
女の子なら誰でもいいんじゃないだろうか?いつか同じ事しかできないあたしに飽きてしまうんじゃないのか?
そしたら、…そしたらユーノはどこか別の女のところに…
何か確かな夫婦の証が欲しかった…

 あの…
ユーノの気楽な笑顔を思い浮かべる
「アイツ…スケベだけど…優しいところも…あるん…だよな…だからもっと…あたしも…」
あたしらしくもねぇよな…こんなの結婚する前から解ってたことじゃねーか…
アイツだって『今のままの君がいい』って恥ずかしいセリフ言ってさ…
自重気味に微笑した、一つため息をついて、気分を切り替え、ヴィータは歩きだそうとした、その時

「ヴィータ?」
「どぅわ!?」 
 な、何だ?ヴィータは出し抜けに背中から声をかけられ飛び上がりそうになった
 振り向くとよく見知った顔、シグナムが居た、自転車に載って片足をついている
前のカゴには大きめの背負い袋、柄が飛び出ている

「一体何をしてるんだ…そんなとこでボーっと突っ立って?」
「な、…なんでもねーよ、いや買い物帰りって言うか…シ…シグナムこそ、こんな時間、何してんだ?」
(ま、まさか…き、聞かれてた?今の…?)
ドギマギしながらピンクの髪を見つめた、怪訝そうな表情と目が合った

ん?とシグナムを首を傾げると前カゴを見た
「あぁこれか?…前やってたやつ再開して…近くの中学校で剣道を教えているんだが…家計の足しにでもと思ってな…
 ヴィータには言っていなかったか?…」
「あ…あぁ…そうだったっけ?…あ、うんそうだったよな…」
意味も無く問い返しただけだったのでヴィータはゴニョゴニョとつぶやきながら横を向いた
とりあえず恥ずかしい独白は聞かれて無かったらしい…良かった、よし、このまま去ろう、そう決めた時

265 名前:y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/10/07(日) 00:29:52 ID:sPQehj4D
あれ?
何かいつもと違う違和感を覚えてぐるりとシグナムに向き直った
もう一度、長年共に戦ってきた僚友の自転車に跨った姿を上から下までまじまじと見つめる

「アレ……?………シグナム?」
「ん?」
「あのさ…気のせいかシグナム…お前…何か縮んでねーか?大きさって言うか…全体的にこう…背」

 買い物籠をうでにかけ、両手でゼスチャーした
フムとシグナムが頷いた
後ろで髪を結んだピンクの髪の将はよくよく見るとわずかに背が縮み、高校生ぐらいの背格好になっていた
着ているものがすっぽり被る厚めのパーカーなのですぐに気がつかなかった、下もウインドブレーカーぽいが
 下に着ているのはどうやら今風の体操服らしい、行ってる学校で貰ったのだろうか、なのは達に会う前の昔からシグナムは
貧乏性と言うか何でももらって来る癖がある

 よくよくその姿を見直すと
その服の中から伸びる足も腕もいつもより幾分細く、全体的にシグナムは肉つきが薄くなった印象だった
胸など見ると一目両全だった、だが、人によっては今のシグナムを華奢だと言うかスレンダーで魅力的だと言うか意見の別れるとこだろう
いつもオッパイ魔人とからかっていたヴィータは思わずまじまじと特に胸を見つめた
…マジか?ヴィータはそんな感想を抱いた

 どこを見ているのだコイツは…という表情のシグナム
ふっと笑って説明した

「ああ…そういえばお前には言って無かったな…ごく最近と言うか2,3日前の事だ…
 我らが主がリインと組んでかねてから研究していた新しいプログラムを組みこんで下さってな…調整次第で
  我ら守護騎士は…4〜5歳程度の肉体的変化が可能になったのだ、もうシャマルあたりが伝えてると思ったのだが」
「へーそうなんだ…いや、聞いてねぇけど…   すげえ…んだよな…?」
他に言うべき言葉が見つからなく突っ立ったままヴィータは曖昧に感想を述べた
あぁまぁ、とシグナムも曖昧に頷いた

「そうだな…まぁ体を小さくする事によって魔力の消費も抑えられるしな…
 その辺りはフェイトのとこのアルフと同じ発想だ…が
  反面小さい体はその分パワーも落ちるわけだ、そこでまぁ、それを補うために…技術を磨く必要も出てくるわけだ…
 今の私で魔力無しだとそこらの高校生と大して変わらんしな、いい機会だからこの際私としては力に頼らずに技…」

 ヴィータはあーだこーだとシグナムの闘いに対する飽くなき追求を、あー、うんなどと
(シグナムも男っ気無いよなぁ…これだと)
と幾分気の毒そうに聞いていた
と、その時ヴィータは落雷に打たれたようにある事に気が付いた
「あ――!」


 ビクリとしてシグナムが説明の手を止めた、ヴィータが勢いこんでガシっとシグナムの両肩に手をかけた
その迫力に思わず身を縮める烈火の将

「シ、シグナム!」
「な、…何だ!?」
「あ、あのさ…お、おい4,5歳って言ったな?じゃ…じゃあ…あれか…逆に…+5歳もできたりするのか!?」
シグナムは左斜め上あたりに視線をさ迷わせた
「え?…あ、あぁ…そうだな多分…な、あ、しかし、主かリインに聞かねば私では正確なところはわかりかねるのだが…」
自信の無さそうに答える
「そ、そうか…そうだよなリインとはやてに…」
 すると当然、アレがこうなって…

シグナムは自分の服のすそをにぎりしめてブツブツ呟くヴィータを
気味悪そうに見つめた、肩はつかまれたままだ、とヴィータがガバッと顔を上げた
「サンキュー、ぐらっちゅシグナム!…じゃあな、あたしは用を思い出した!」

あ、あぁ…シグナムは聞こえてないであろう相手に一応小さく手を振った

266 名前:y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/10/07(日) 00:30:26 ID:sPQehj4D
 ヴィータはシグナムの肩からパッと手を離すと砂煙を上げ
全盛期のアラレちゃんもかくやと言うスピードで『バビューン』と漫画チックな効果音付きで
商店街を走り抜けて行った、おそらくは八神家へ、はやての元へ…


そして後にはまばらな人通りの商店街のはずれに目を丸くした烈火の将高校生バージョンが一人ぽつねんと残された
「…何なのだ一体?」
ヤレヤレと首を振りため息をつく

 大きくなったらなったで我らは…よけいに魔力消費が激しくなるのだがな…
…大体大きくなると、胸も大きくなるから余計に肩も凝るし戦闘にはジャマだし…
その辺りの事は解ってるんだろうかヴィータの奴は?仮にも守護騎士たる…
などと、ブツブツとかなり個人的な悩みもピックアップしてシグナムはペダルの足に力を込めた

 まぁいい、ヴィータはヴィータだ何か考えあっての事だろう
考えてみればヴィータの弱点は押し負けしがちな体格の小ささにあるからな…
 うむ、私は帰って日課の素振りでもしよう、私にとってスピードこそが…そう、いつの日か来るべき
好敵手フェイト・T・ハラオウンとの闘いの為…我の取り組むべき主たる課題…
相変わらず熱き思いが色恋に向かわず体育脳なシグナムであった

チリンチリン
ポニーテールをなびかせ
烈火の将が夕焼けに向かって人の間に消えて行った

267 名前:y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/10/07(日) 00:33:58 ID:sPQehj4D
今回ここまでです、とっかかりだけになりましたが
ではではまた

以下戯言―強スルー
口をひらくと言い訳しそうな今日このごろだったりします…
アリシア×リクオーで筆おろしもん書いてたら書けなくなってました
やっぱオリ×オリは危険ですハイ…

268 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 00:38:26 ID:/YBkH+KK
>>267
最後の三行のところの将が何か笑いをさそったw


269 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 00:39:25 ID:h5k4RXbL
>>267
GJ
なんだやっぱりヴィータは初々しいなもう!ていうか変身魔法で外見変えなさい
シャマルさんはもう、なんていうか、頑張れ

270 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 00:41:39 ID:3ojNZg2X
>>267
GJ!! 新妻ヴィータかわいすぐるwww

271 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 00:57:16 ID:4ARhXqZP
なんというGJ
久々にGJ

272 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 01:17:09 ID:mSQxoRvg
>>267
GJ久しぶりです
シグもスピードを求めたか…、A'sの頃の印象だと強い!硬い!遅い!のFEで言うところのアーマーナイト型なんだが。
んで、フェイトがソードマスター型……
うん、SS的に関係ねーですね

273 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 01:19:51 ID:t11rbb8o
>>267
GJ!
ヴィータはかわいいなあ〜〜〜

274 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 01:27:06 ID:YGrkmpx2
ヴィータ×ユーノきたwwwwwwwww

GJですw

275 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 01:44:41 ID:cDCbjn3P
>>233
乙!見事なまでのヤンデレなのはさん、こえええええw
ここまで男らしいユーノも久しぶりだな。続きが楽しみでしょうがないZE

276 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 01:57:52 ID:/Yy3CYzL
>>272
いかん、ヤマトに脳内変換される

>>267
キター!!!!!!
激しくGJ!!

277 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 02:24:16 ID:P7rqvoZi
>>267
乙っす!
いやあ、その話のなのははユーノに脈ありっぽかったけど
やっぱ愛想尽かされちゃったかw
まあヴィータ嫁にできたなら勝ち組だよなw

278 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 02:28:16 ID:XSPQXAgH
だってヴィータの方がかわいくて甲斐甲斐しくて愛があるもの……あれ、なんか窓が明るく光って(ry

279 名前:騎士よ眠れ:2007/10/07(日) 02:30:13 ID:6Fam53Kt
続きです

280 名前:騎士よ眠れ:2007/10/07(日) 02:31:57 ID:6Fam53Kt
 崩壊した建造物に背中を預けて倒れていたティアナは、深い意識喪失の底から薄々と現実
へ帰還していく。開かれた瞼は、霞んだ視界で彼女に生の実感を風景に映し出していた。
「そうだ、ザフィーラさんは……」
 極度の負担に感覚が麻痺を起こしているが、余力を振り絞って項垂れていた顔を持ち上げる。
「先程の攻撃は中々効いたぞ、ティアナ」
 出力全開のリンカーコアバスターを受けたザフィーラは、全身から損傷の白煙を上げて彼
女の前に屹立していた。口腔に溢れる血液が、彼の顎を伝って地面に紅い雫を落とす。
 騎士の威厳を具現化したかの様な蒼い毛並みは、結界魔法を貫いてきた一撃の熱量によっ
て焦げ付き、凄惨な風貌と化していた。
 ティアナは戦闘能力を失っていないザフィーラに向けて、自身も身体の隅々から体力を掻
き集め、よろめきながら起き上がる。
 あれだけ負傷したザフィーラに、艦載の転送魔法に抵抗する力が残っているとも思えなか
った。
「シャリオさん、お願いします!」
『わかったわ!』
 理知的なシャリオの顔を映す通信画面がティアナの前で束の間浮かび上がると、地面から
魔方陣が展開されザフィーラの体躯を転送開始の光で包み込む。
「……退くわけにはいかん」
 しかし窮地に陥ったザフィーラは、泰然自若として発動間近に進む転送魔法の魔方陣上に
佇んでいた。
 転送魔法が行われる瞬間、ザフィーラの体躯が白く輝いたかと思うと、騎士の身体が転送
魔法とは違う作用でその場から消滅した。
「何、どういう事!」
「消滅の時は迫ってきている。その影響かは知らんが、我々は自らの意思でプログラムを操
作出来るようになったみたいだな」
 ザフィーラの声はティアナの横手から届いた。肉体プログラムを純粋な情報体へと変換し、
恰も転送魔法の様に空間を転移したザフィーラは、未だ燃え盛る闘志を獣の瞳に宿していた。
『ティアナ!』
 シャリオは切羽詰った声を上げる。それは仲間を心配する胸中に加え、何か抜き差しなら
ない事態が新たに起こった事をも示唆していた。
「わかってますよ! ちゃんとしますから!」
 ティアナも計り知れないザフィーラの覚悟を目の当たりにして、精神を集中するとリンカ
ーコア粒子の性能を向上させる。
「やるしか──」
 気力を撓めてクロスミラージュを構えたティアナは、しかし唐突に消失したリンカーコア
粒子に毒気を抜かれた。自分の身体を見下ろし、通常の戦闘能力に戻ってしまった自分自身
に苛立った声を上げる。
『ティアナ、システムの稼動限界よ……』
「そんなっ」
 最も重要な局面に差し掛かったというのに、ティアナは予想だにしなかった障害を受けて
歯噛みする。

281 名前:騎士よ眠れ:2007/10/07(日) 02:32:48 ID:6Fam53Kt
「勝負あったな」
 ザフィーラが流血に汚れる口で確信を含んで呟き、ティアナに向かって一歩歩み出る。
 対するティアナは、今までの果敢が幻だったかの様に、自分の戦力低下に涙交じりの悔し
い呼気を吐き出した。
 今のティアナは、何時ものBランク級の魔導師以外の何者でもなかった。加え、限界ギリ
ギリの損傷に直立姿勢を保つのもやっとの状態だった。通常状態に戻ったリンカーコアは、
枯渇寸前で著しい脆弱化を訴えている。
『ティアナ、一端こっちに戻って! 今の貴方じゃどうする事も出来ないわ!』
 シャリオの指示を、ティアナは幼児の様に首を振って拒む。
「やります! やってみせます! だって、ここで逃げたら何も変えられない──きっと前
にも進めないから!」
『ティアナっ! 止めて!』
 最早シャリオの制止も聞き入れず、ティアナはカートリッジも空にした二丁のクロスミラ
ージュをザフィーラへ突き付ける。彼女のバリアジャケットの白い上着は、もう服装と呼ぶ
のも虚しい程に損壊していた。
 ザフィーラはティアナの戦意に、騎士としての礼儀を尽くす為に変身プログラムを作動さ
せる。古代ベルカ式の魔方陣がザフィーラの身体に乱舞し、そしてザフィーラを屈強な格闘
家の姿へと変身させた。
 ティアナの絶望に染まった、間の抜けた吐息が半開きの口から垂れ流れる。一世一代の必
殺攻撃で負わせたザフィーラの傷が、人間形態への変身によって完璧に治癒されていた。
「悪く思うな」
 白髪と浅黒い肌の対照的な肉体を突撃の構えに移し、ザフィーラは直後に地を蹴った。一
足だけでティアナへと肉迫したザフィーラは、筋骨隆々とした片腕を大きく振り被る。
「あ──」
 ティアナが、自分が胸部にザフィーラの拳を受けて吹き飛んだ事に気付いたのは、その衝
撃で宙を突っ切っている最中だった。続けて、地面に強打された頭部で意識が激しく混乱する。
 襤褸の様に地面を転げ回ったティアナの細い身体は、二度と立ち上がる事無くそこに倒れ
たままになった。
『ティアナ! しっかりして、ティアナっ! すぐに転送魔法を──え? どうしたの?』
 シャリオは三つの決闘を通信室から傍受していたが、緊急警報を鳴らす艦内に戸惑った。
「艦内で何が……」
『緊急事態発生、正体不明の侵入者を確認。スタッフはただちに戦闘配置につけ。侵入者の
魔法は古代ベルカ式と断定、その数十五。魔法装置区画を目指し尚も侵攻中』
 シャリオは言葉を無くし、けたたましい警報音を鳴らして点滅する室内で呆然と立ち尽く
した。
 何者かは知らないが、ここで艦載魔法の装置群が破壊されたら一巻の終わりだ。ヴォルケ
ンリッターの様に単独で世界間の転送移動を行えないティアナやフェイト、なのはは、古代ベルカ世界に取り残されてしまう。
『引き続き、古代ベルカ世界の大陸部で異変が発生。山岳地帯の地下深部から、巨大な魔力
反応が地上へ浮上中の模様』
「こ、こんな時に? もう一刻の猶予も無いのに……皆……!」

282 名前:騎士よ眠れ:2007/10/07(日) 02:33:32 ID:6Fam53Kt
 頭で正しく処理しきれない状況の急転の中で、シャリオは各人の様子を映す数枚の通信画
面を眺めるしか出来なかった。フェイトとシグナム、なのはとユーノは依然として激しい対
決の渦中にあった。
 調査隊の本隊が上層部の命令を待たず、独断で出撃したという情報はこの艦船にもついさ
っき届けられたばかりだった。

 青天の霹靂の如くに発生した大地震に、フェイトはシグナムから注意を逸らした。苛烈を
究める攻防を繰り返し、彼女のバリアジャケットの白いマントはレヴァンティンの斬撃で引
き裂かれ、彼女自身も背中に受けた深い刀傷から夥しい出血を起こしていた。
「どうしたテスタロッサ! まだ決着はついてはおらんッ!」
 頬に裂傷を刻み、ハーケンフォームの一撃を貰って抉れた右肩から更に血を噴き出しながら、
シグナムは猛烈な突撃を仕掛ける。
 既に剣を扱う事さえも無理な身体だが、彼女はそんな瑣事を躊躇わずに駆け抜ける。レヴ
ァンティンを振り被るだけで、肩の傷から噴出する惨たらしい鮮血が烈火の将の上半身を紅
く染める。
「シグナム、ユーノが向かった西南の方角で何かが起こっている!」
 背中の痛みを堪え、フェイトは叫んだ。しかしシグナムは応対の気配を見せない。
「だからどうした!」
 レヴァンティンの凶悪な閃きが、フェイトの頚部を狙って繰り出される。
『Defencer!』
 反応に遅れたマスターに代わり、バルディッシュが自らの意志で防壁魔法を展開した。
 ミッドチルダ式の金色の魔方陣が、フェイトの眼前でレヴァンティンの刀身を受け止める。
「もう私達がこんな争いをしている状況ではありません! 今は急いで地震の原因を突き止
めないと!」
「不要だ! 私はもう顧みるもの等何も無い!」
 防壁魔法でシグナムの進行を防いでいる合間に、フェイトは後方へと飛行した。シグナム
はリンカーコア粒子の煌めきを増幅させながら、雄叫びを上げて魔力の楯を破砕する。
「全て虚構だったのだ! 主はやてに付き従ったこの十年間も、騎士として戦場を潜り抜け
てきた今までも! 私達四人は、何時か誰かの手によって改変された夜天の書のまやかしに
過ぎんのだ!」
 フェイトへと間合いを詰めながら、シグナムは嗚咽と共に胸中を吐露していた。フェイト
へ迫る騎士の瞳から溢れ出す透明な光が、荒れ果てた母なる大地へと零れ落ちた。
 紫電一閃の炎熱を圧縮して纏ったレヴァンティンが、シグナムの葛藤を載せて放たれる。
ザンバーフォームで受け流したフェイトは、更に西南方向へと身体を移動させる。
「違います! 貴方はここに存在している! 確かにここに存在しています!」
「まだそのような減らず口を! 貴様も我等と同じようなものだろう! アリシア・テスタ
ロッサを模しただけの人形風情が偉そうに──我等以上に歪な存在の貴様が、分不相応に説
教を垂れるか!」
『Schlangeform,hinzu 280 KB.』
 レヴァンティンの刀身が無数の鞭となり、遠距離射程範囲に位置するフェイトへと襲い掛
かる。鋭利な牙を並べた魔剣の包囲網は、フェイトの周囲で激しく旋回して狭まる。バルデ
ィッシュを捕縛されながらも、フェイトは真っ直ぐにシグナムを凝視した。

283 名前:騎士よ眠れ:2007/10/07(日) 02:34:19 ID:6Fam53Kt
「……違いますよ、シグナム。私は誰かの代わりなんかじゃない。そしてシグナム……それ
は貴方も、貴方達も同じです」
 シグナムは追撃しようとしていた身体を停止させ、鋭敏に尖った気配を脱ぎ捨てたフェイ
トへ怪訝な顔を向ける。
 フェイトはレヴァンティンで繋がれた掛け替えの無い仲間に笑みを見せた。
 二人を繋ぐものはデバイスだけではない。
 この十年間で深めてきた至高の絆が、レヴァンティンを介してフェイトからシグナムへと伝心される。
「貴方はこのような所で終わるわけにはいかない。本当に騎士である己を棄てたと思ってい
るのですか? 本当にこの十年間が偽りでしかなかったと言うのですか? だったらそのと
めどない涙は何ですか! その涙が、悲しみが、今でも貴方がはやてや他の皆を愛している
何よりの証拠だ!」
 フェイトはバルディッシュを振り、レヴァンティンの束縛を解き放つ。シグナムは頬を涙
の跡で悲痛に照らし、レヴァンティンの刃鞭を収束させた。
 限界を超えた消耗に喘ぐシグナムの肉体が、再び消滅の予兆となる歪曲を引き起こす。
 更に、シグナムのリンカーコア粒子もシステムの稼動限界を迎え、弾け飛ぶ様に四散した。
 古代ベルカ世界の大陸を揺るがす震動は、益々深刻になる一方だった。
 遠く馳せたフェイトの視界には、険しい山々と、その奥から覗く巨大な影が空へと這い上
がっている様が明白に映っている。
(あれはまさか……そんな筈は……)
 フェイトの物思いは、下から突き上ってくる殺気によって中断させられた。ティアナを討
ち取ったザフィーラが、シグナムに加勢する為この戦場へ駆けつける。
「ティアナを連れて脱出しろ、テスタロッサ!」
「貴方達を残して出来るわけが無い!」
 ザフィーラの突進を躱し、フェイトは合流した二名の騎士に決然と対峙する。
「これで終わりにするぞ、テスタロッサ……!」
 レヴァンティンに搭載されているゲマトリアサポート端末の残量を全て消費し、シグナム
は死力をその身に滾らせる。その横で、ザフィーラも持ち得る全ての力でフェイトを討つ姿
勢に移った。
 これ以上シグナムとザフィーラの二人に響く言葉は無いと察し、フェイトもバルディッシ
ュのゲマトリアサポート端末の全容量を起動させ、次の全身全霊の一撃に投入する。
 ザンバーフォームの電光の刃が、大空を縦に貫く偉大な光の柱へと進化を遂げていく。
 シグアムが一転の曇りも無い動きで宙を蹴る。烈火の将に蒼き狼が追随した。
「テスタロッサ──消え去れぇぇぇぇぇぇぇ!」
「シグナムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
 フェイトはその場で巨剣を構え、二人の騎士へと裂帛の斬撃を振り放った。
 金と紫と蒼の光が、一点に集束する。戦場を網羅する魔力の奔流で、その場の誰もが自分
にの身に起こっている事を正しく認識出来なかった。
「何、が……まやかしだってんだ……!」
 フェイト、シグナム、ザフィーラの三人は、自分達の間に入ってそれぞれの必殺の攻撃を
受け止める紅い姿を見た。

284 名前:騎士よ眠れ:2007/10/07(日) 02:35:05 ID:6Fam53Kt
「ヴィータ……」
 フェイトは自分に背中を向けているヴィータへ、バルディッシュを放った姿勢のまま呆然
と呟いた。騎士甲冑を纏い、枯れ木のように筋肉を失ったヴィータの腕は、それでもしっか
りとフェイトのデバイスを掴んでいた。
 もう片手と幼い体躯でレヴァンティンと拳を絡め取っているヴィータは、見るからに衰弱
した痛々しい顔貌で、しかし前方の仲間達を睨む眼光は何時もの鋭さで白い歯を剥き出した。
「何がまやかしなんだ……言ってみろよシグナム。本気でそんなくだらねぇ事思ってんなら、
もういっぺんあたしの前で言ってみろよ! ザフィーラも一人で突っ走って何やってんだ!
 つまんねぇ理屈こねて勝手に何でもかんでも諦めてんじゃねぇよ! こんなふざけた事やっ
てたって何にもならない事もわかんねぇのか、このバカ野郎どもがっ……!」
 ようやく運命の地に姿を現したヴィータは、シグナム同様滂沱と流れる涙で顔を濡らし、
生気の乏しい厳しいその形相で二人の盟友を何時までも見つめていた。

 最早、聴覚を狂わせるものが大地の激震か耳鳴りかわからなかった。豹変する大地を背に、
なのははレイジングハートを足許深くに構え、上空のユーノへとアクセルフィンを加速させる。
 ユーノが体内で形成した魔方陣から多数のラウンドシールドを発生させ、それを鋭利に回
転させてなのはへと射撃する。本来防御魔法の筆頭として目されるその魔力の楯は、ユーノ
の手によって立派な射撃魔法の役目を果たしていた。
 牽制に撃ち出された緑光の円盤の殺到を、なのははレイジングハートの一閃で容易く砕く。
 上昇途中で不意に制止したなのはは、反撃とばかりに上下左右に計四枚の魔方陣を描き出
して詠唱を開始した。魔法の発動に呼応し、なのはのリンカーコア粒子が循環を速める。
「ディバインバスター・ガトリングカルテット、行って!」
『Divine buster-gatling quartet.Addition 600 KB.』
 四つの魔方陣による複装連射型ディバインバスターが、巨大な閃光を絶え間無く迸らせる。
ユーノは射線軸上から退避するが、安全地帯で停止したユーノへなのはが身体を向けると、
魔方陣の発射方位も同じ運動を見せた。
 術者の身体の向きで固定される砲撃の雨が、再びユーノのもとへと魔力の咆哮を轟かせる。
 一撃でも喰らえば致命傷必至の連射砲撃を、ユーノは最高度の防壁を駆使して耐え切るし
かなかった。魔力の楯に激突する一発一発が、ユーノに直撃にも勝る衝撃を与える。楯を維
持する為に伸ばしている腕が、繰り返し響く鈍重な刺激に神経の悲鳴を上げた。
 ディバインバスターの威力が、ある砲撃シークエンスを境に歴然と弱体化した。
「あっ──!」
 なのはのリンカーコア粒子が消滅する。システムの稼動限界を超えたリンカーコアコネク
トは、レイジングハートの多大な排熱処理の白煙を最後に機能を完全に沈黙した。
 恐れるに足らない砲撃となったディバインバスターをバインドで縛り付けたユーノは、そ
のまま砲撃の光を切断して空気中へと掻き消す。ユーノのリンカーコア粒子は依然強い輝き
を放ち、彼のバリアジャケットの周りを巡回していた。
 デバイス機能として作動させたわけではないコネクトシステムは、稼働時間が術者の精神
力で賄われていた。
 四方の魔方陣を解除したなのはへ、死角から縄状のバインドが接近する。胸元すれすれに
回避したなのはだが、軌道を反転させてきたバインドを、レイジングハートで切り裂こうと
腕を振った。

285 名前:騎士よ眠れ:2007/10/07(日) 02:35:48 ID:6Fam53Kt
 しかし、バインドは術者ではなくデバイスを獲物と定めていたのか、打撃を放ったレイジ
ングハートの紅い宝玉へと緑の光を侵入させた。
「し、しまった!」
 縄状のバインドの効能を思い出し、なのはは余裕を失った叫び声を上げた。
「僕の勝ちだ、なのは! 仕様プログラムを手に入れるまで僕は帰れない!」
 ユーノが待ち侘びた、なのはのリンカーコアコネクトシステムの稼動限界。それまで自分
を囮になのはを引き付ける裏で、戦闘当初から伝家の宝刀として地中に忍ばせていたものは、
対象の付加要素を打ち消すストラグルバインドだった。
 レイジングハートのゲマトリアサポートシステムが、ストラグルバインドによって機能停
止の症状に見舞われる。
『Master!』
「わかってるよ!」
 必死になってストラグルバインドを振り解こうとするが、なのはがどれだけ挑んでも宝玉
から忌まわしき縄を消す事は叶わなかった。
 バインドで絡められた巨木が急迫している事になのはが気付いたのは、デバイスの処置に
気を奪われた事が禍し、すぐ目前までその節くれだった樹皮が近まっていた時だった。
「あぐっ──!」
 なのはの背中を同程度の太さを持つ樹木が、彼女の身体へ容赦なく叩き付けられた。二人
の死闘で焼け野原となった山麓へ、白い魔導師が凄まじい速度で不時着する。
 肉体内外に深刻な傷害を受けたなのはは、口腔から血塊を吐き出し、痙攣しながらも果然
と立ち上がる。その瞳は、絶体絶命の劣勢に反して不屈の光でユーノを見上げていた。
「レイジングハート、スターライトブレーカーしかないみたいだね」
『OK.Master,Starlight Breaker stand by ready.』
 荒い呼吸を続け、なのははストラグルバインドに捕縛されたままの愛機を、頭上に悠然と
滞空しているユーノへと向ける。
 リンカーコアコネクトもゲマトリアサポートも無い状態だが、なのはは有りっ丈の魔力を
発揮して魔方陣を形成する。魔方陣から拡大する桜色の魔力光は、決して妥協する事の出来
ない想いで強く光り輝いた。
「一緒に帰るんだよユーノ君……それから、皆で考えればいいよ。こんな所で立ち往生する
事に意味なんて無いんだから! ──スターライト・ブレーカァァァァァァァ!」
 集束圧縮された強大な砲撃が、ユーノへと一直線に発射される。しかし、現在の彼の戦闘
力からみれば聊か威力に欠けた。
 ユーノはラウンドシールドでスターライト・ブレーカーに応戦し、呆気無くその砲撃を切
り抜ける。
 魔力の余波が二人の間から消し飛んだ時、地上のなのはが愕然と眼を見開いた。
「君は本当にわかりやすいよ、なのは。確かに君は強い。だけど、それは戦局の全容が明ら
かな場合に限られる。もっと物事の奥の奥まで見通す経験が必要だね。僕の得意とする魔法
分野を失念しているなんて……ハハ、長い付き合いだからちょっとだけ寂しいな」
「そ、そんな……どうして」
 なのはの驚愕の正体が、ユーノの両手に浮かび上がっている魔方陣の前で、集束圧縮され
た魔力の球体を充填させていた。

286 名前:騎士よ眠れ:2007/10/07(日) 02:36:34 ID:6Fam53Kt
 ユーノは先程のスターライト・ブレーカーと全く同質の魔方陣を形成し、詠唱体勢に移行
していた。
 なのはが発射したそれとの唯一の違いは、魔力光がユーノの緑色を配しているだけだった。
「君のスターライト・ブレーカー──さっきの防御でしっかりと『解読』させてもらったよ」
 ラウンドシールドの内部へ添加させていた解読魔法で、ユーノはスターライト・ブレーカ
ーを手中に収めていた。のみならず、両手をデバイス代わりに運用する彼は、同じ魔力質量の
スターライト・ブレーカーをその双腕で二発詠唱している。
 なのはは急いで二発のスターライト・ブレーカーの照準から逃れようと駆け出すが、その
身体が無数のバインドで封じられる。せめて防御魔法を唱えようとデバイスへ思念を送るが、
レイジングハートの宝玉を制圧したストラグルバインドがデバイスの運転を阻害する。
「大丈夫、すぐに転送魔法でミッドチルダへ帰してあげるから」
「ユーノ君!」
 なのはの悲鳴も意に介さず、ユーノは大質量の魔力を宿した両腕をなのはへと突き出す。
「ツインスターライト・ブレーカー!」
 リンカーコア粒子の相乗効果を配合した、極大の集束砲撃魔法がユーノの腕から放射される。
射線軸上の空間を壊滅させながら、二つのスターライト・ブレーカーは地上に向けて突き進む。
「──ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 喉が潰れそうな悲鳴を上げるなのはの姿が、光の大爆発を起こす地上の只中に飲み込まれる。
 やがて爆発が止み、ユーノが見下ろす荒野の煙が晴れ、なのはの人影を克明にさせていった。
「どう、して……どうしてなの……」
 レイジングハートを取りこぼし、両膝を地面につけ、瀕死の息遣いに胸を上下させるなの
はは、血塗れの唇に忘我の言葉を紡がせた。額がバックリと割れ、彼女の美麗な容貌を大量
の流血で染め尽くしている。その血を吸い込んだのか、左目は瞼で堅く閉じられていた。
 右胸部から二の腕辺りまでのバリアジャケットが完全に蒸発し、肩からも酷烈な紅い滝が
白皙の肌に刻み込まれていた。
「ねぇユーノ君……教えてよ。何が正しいの? わたし達、何時だって一緒だったよね。何
だって一緒に乗り越えてきたんだよね。どうしてわたし達がこんな目に遭わなきゃいけない
の? どうしてよ……わたし、ユーノ君が傍にいてくれたから今まで飛んで来れたのに、ど
うしてユーノ君はわたしに何も頼ってくれないの? わたし、そんなに頼りないの? それ
じゃあわたしは何なの……ユーノ君にとって私は何なの!
 答えてよユーノ君! ユーノ君にとって私は何なのか、今ここではっきり答えてよ……!」
「……」
「っ……はぁ、はぁ……あ、ぅ……えぐっ……」
 血塗れのなのはの顔が、涙に滲んでクシャクシャに歪む。溢れ出る言葉をわけもわからず
吐き連ね、彼女は子供のように嗚咽を漏らして泣きじゃくっていた。
「急がなきゃ……」
 疲れ果てた声で呟いたユーノは、思いの外魔力の消費が激しく、長距離転送魔法を詠唱す
る力が補填されるまで待機を選ぶ。彼は微弱になったリンカーコア粒子の循環光の先にある、
大地震の震源地へと身体ごと振り向いた。
 なのはから眼を離したユーノは、背後へ急速に近づいてきた気配に対応出来なかった。
「な、なのは!」

287 名前:騎士よ眠れ:2007/10/07(日) 02:37:20 ID:6Fam53Kt
「レイジングハート!」
 ユーノを後ろから羽交い絞めにしたなのはが指示を出し、レイジングハートは遠隔操作で
二人の正面へと浮上していく。
「なのは、一体何を!」
 ユーノはなのはの行動の真意が全くわからず、彼女の腕から逃れようともがく。しかし、
何処にそんな余力が秘められていたのか、なのははユーノの抵抗にも微動だにしない。
「レイジングハート、エクセリオンバスターをお願い! 艦船も、わたし達に転送魔法の準
備をお願いします!」
『なのはさん! 何をやっているんですか! 止めてください!』
 シャリオが衝動的に通信画面を開き、エクセリオンバスターの発動段階に入ったレイジン
グハートの射線上のなのはへ叫び声を上げる。
 しかしシャリオに向けられたなのはの表情は、自身の行いとは矛盾して晴れやかだった。
 レイジングハートがマスターの指示通り、ブラスタービットをも加えたエクセリオンバス
ターの形態へと先端部を変形させる。
「止めるんだレイジングハート! なのはも道連れにする気なのか!」
「いいからやってレイジングハート! 早く!」
『Master──』
 マスターの思惑はレイジングハートも熟知していた。たとえかなりの消耗で疲弊している
ユーノとて、リンカーコア粒子の恩恵さえあれば艦載の転送魔法程度を無効化する事は造作
も無いだろう。
 なのはに残された手段は、ユーノへ致命傷に近いダメージを与え、コネクトシステムを強
制的に止める事だけだった。
 バインド魔法での捕縛は今のユーノには通用しない。その結果の行動がこれだった。
 山岳地帯の動乱はいよいよ激しさを増し、地中に眠っていた魔力反応を露にする。
「なのは、馬鹿な真似は止めて君だけでも逃げるんだ!」
「嫌だ! わたしはここにいる! ずっとユーノ君と一緒にいる!」
 なのはが決死の力でユーノの脇に通した腕を強めた。
『Exelion buster.』
 レイジングハートが必殺の一撃を込めた光を放ち──ユーノとなのは目掛けて突撃する。
「なのはぁぁぁ!」
『なのはさん! スクライア先生! 嫌ぁぁぁぁぁぁぁ!』
 シャリオは反射的に通信画面から眼を背けた。
 物体が物体を貫通する嫌な音が響き、そして不気味な静寂が通信室を満たした。
 シャリオは恐る恐る眼鏡の奥の瞳を開き、なのはとユーノを映した通信画面を確認した。
「ひっ……」
 想像を絶する二人の凄愴な姿に、シャリオは身体を激しく痙攣させた。
 レイジングハートは重なり合うユーノとなのはの腹部を刺し貫き、二人の身体は失血死し
ても不思議ではない程の血液で下半身を紅く染め上げていた。
「な、なのはさん! スクライア先生! ブリッジ! 早く転送魔法を! 早くしてよ! 
医務室も至急準備を整えてっ!」
『駄目です! 魔法装置の区画が敵に制圧されました! 装置は既に破壊されています!』

288 名前:騎士よ眠れ:2007/10/07(日) 02:38:04 ID:6Fam53Kt
 艦内通信から渡された無慈悲な報告に、シャリオは脳に突き抜ける衝撃で数歩よろめく。
 焦点の合わなくなってしまったシャリオの目に、遂に空中へと威容を顕現させた魔力反応
が通信画面を介して照らされていた。

「な、の、は」
 ユーノは痛みさえも感じられない重傷を負い、リンカーコア粒子を失った姿で死の吐息を
漏らした。
「ユ……ぅ、ノ……く……」
 瞳から生命の輝きを喪失させたなのはが、遺言の様に呟き、カクリとその首が倒れた。
 視界が移り、空を覆う巨大な影がなのはの霞んだ瞳に映る。
「聖、王の……ゆり……か、ご……?」
 ユーノとなのはの身体が、レイジングハートと共にゆっくりと墜落していった。

289 名前:騎士よ眠れ:2007/10/07(日) 02:38:46 ID:6Fam53Kt
続きます

290 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 02:54:29 ID:cDCbjn3P
>>289
連続投下乙です。なのはさん、死なば諸共って感じで刺し違えどころじゃねえww
ユーノへの依存度が相当なもんだったのかと妄想が止まらないZE
まったりと続きを楽しみにしています

291 名前:騎士よ眠れ:2007/10/07(日) 03:00:41 ID:6Fam53Kt
過激な展開になりましたが、キャラの死亡はありません
ユーノとなのはの重傷については、物語の展開上なにとぞご了解ください

292 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 03:04:19 ID:VRA+Anel
>>289
お、おお……! なんという熱い戦い。
よもやデバイスを持たない事がアドバンテージになるとは。
つーか、この短時間でこれだけの量書けるって、あんたどんだけバケモノなんですかw
続きも楽しみにしてますぜ。GJ!

293 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 03:05:02 ID:jCU5Leyc
>>267
GJです!ユーノ性活シリーズが好きだったので期待してます!

>>291
なのはさんがなんだかニンゲンやめちゃってるような気がするけど・・・。アツイ展開に期待してます。

294 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 03:18:03 ID:Ll7UZT+O
毎度GJです



一方そのころエリオは石強盗をしていた

295 名前:ソードマスターフェイト:2007/10/07(日) 03:22:15 ID:mSQxoRvg
最終話 大根を胸に すべてを終わらせる時…! 
フェイト「チクショオオオオ!くらえセッテ!新必殺ライオットモード!」

セッテ「さあ来いフェイトオオオ!私は実は一回刺されただけで死ぬぞオオ!」

(ザン)

セッテ「グアアアア!こ このザ・クウキと呼ばれるナンバーズのセッテが…こんな小娘に…バ…バカなアアアアアア」

(ドドドドド)

セッテ「グアアアア」

セイン「セッテがやられたようだな…」

ウーノ「フフフ…奴はナンバーズの中でも最弱…」

トーレ「人間ごときに負けるとは機人の面汚しよ…」

フェイト「くらええええ!」

(ズサ)

T・V・Y「「「グアアアアアアア」」」

フェイト「やった…ついにナンバーズを倒したぞ…これでスカリエッティのいる秘密基地の扉が開かれる!!」

スカリエッティ「よく来たなソードマスターフェイト…待っていたぞ…」

(ギイイイイイイ)

フェイト「こ…ここが秘密基地だったのか…!感じる…スカリエッティの魔力を…」

スカリエッティ「フェイトよ…戦う前に一つ言っておくことがある お前は私を倒すのに『レリック』が必要だと思っているようだが…別になくても倒せる」

フェイト「な 何だって!?」

スカリエッティ「そしてヴィヴィオはディエチがかわいそうだと言っていたので最寄りの町へ解放しておいた あとは私を倒すだけだなクックック…」

(ゴゴゴゴ)

フェイト「フ…上等だ…私も一つ言っておくことがある この私とエリオ・キャロとの絆が薄い気がしていたが別にそんなことはなかったぜ!」

スカリエッティ「そうか」

フェイト「ウオオオいくぞオオオ!」

スカリエッティ「さあ来いフェイト!」

フェイトの勇気が世界を救うと信じて…! ご視聴ありがとうございました!


296 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 03:23:21 ID:YGrkmpx2
>>289
ちょwwwwwwwwww
た ぎ る !!!

297 名前:ソードマスターフェイト:2007/10/07(日) 03:26:58 ID:mSQxoRvg
>>276を見て思いついてやった。今は後悔している。
力作の後にこんなの投下して正直スミマセン
台詞は以前どこかで拾ったものの一部差し替えです

>>289
GJです!最初から最後までずっと熱い展開、ホント楽しませてもらっています

298 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 03:27:36 ID:cDCbjn3P
>>295
ちょwなんというギャグ漫画フェイトさんwwww

299 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 03:29:52 ID:5V+FX51s
>>295
いつかはやるんじゃないかと思ってたwww

300 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 03:34:05 ID:YGrkmpx2
ageごめんorz

って思った矢先にソードマスターが載せられて噴いたw

301 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 03:35:43 ID:6vp6NxAo
>>267
GJ!良かったなユーノ。ヴィータはいい嫁さんになるよ。
この作品だとなのはさんはどうなってるのかな。

>>289
GJ!  って、なのはさんが凄いヤんでる!?
シグナムさんも追い詰められてて精神的にヤバイとこまできてるし
なのはさんはなのはさんでヤバイし。なんというかヤバすぎだね!
しかしそれでも尚GJを送らざるを得ない展開に驚愕だぜ

302 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 03:46:26 ID:S0IhZflx
>>289
………なのはさんがただの聞き分けの無い子にしか見えない。
というか、シャリオたちの言葉鵜呑みにしてユーノくんとはお話さえしないんですか。
あと、システムが切れてなのはさんの無敵状態が終わったんなら、
ユーノくんは転移魔法使って強制的にミッドチルダまで飛ばせば良いのに。
でもユーノくんが強くて満足だぜ!GJ!


ああ、それとだ。
今気づいたんだが前回の投下のとき、
なのはさんはユーノくんに蹴りを入れようとしたんだよな!?
つまり、ユーノくんはなのはさんのスカートの中が見えたはず!!!
さあ、色を教えたま(ry

303 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 04:21:57 ID:tBM9Oybn
>>289
GJなの。

ただ。
>しかし、バインドは術者ではなくデバイスを獲物と定めていたのか、打撃を放ったレイジ
>ングハートの紅い宝玉へと緑の光を侵入させた。
>「し、しまった!」
>縄状のバインドの効能を思い出し、なのはは余裕を失った叫び声を上げた。

「し、しまった!」と発したなのはさんのCVがオッサンの声で脳内再生されてしまったのは困るね。


304 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 04:23:35 ID:tBM9Oybn
>>267
若シグナムに萌えが走りました。
ワールドレコードです。

305 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 06:09:19 ID:OIdTE81s
>>267
 最後の人並みに消えていくところでなぜかものっそい萌えました。
 いいなあ、シグナム。

 アリシア×リクオーはいつの日か読めることを期待しております


306 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 06:39:45 ID:sDt5ePsu
まずはGJ。
しかしフェイトの行動(ティアナになんか危ないもん持たせたり)に違和感感じても
なのはの行動と言動にはまったく違和感を感じなかった俺はよほどあのくそあまが
嫌いらしい

307 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 08:46:11 ID:IbPIWy7d
ユーノのSLBはなんだかなぁと思った。

308 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 09:31:51 ID:U61bAlU2
>>267
GJ!ヴィータ可愛いな、おい。

>>289
乙。
魔法の設定より現段階でなのは、フェイト、シグナムの行動が理解できないな。
ヴィータがザフィーラに諦めるなって言ってるのは情報が少ないが故の、と言えるけど…
なのはたちだけ知ってる情報でもあるのか?

309 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 10:07:42 ID:7YC7OqvJ
>>289
GJ!
なんだこの熱い展開は!

…なのはさんからどうもそこはかとなくヤンデレの匂いが…(笑)

ゆりかごを見たらどうか娘のことも思い出してやってください。

続きをwktkして待ってる!



310 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 10:24:27 ID:GLdF4gJB
>>309
そこはかとなくどころか
行動はともかく言ってる内容は完全に「こんなに好きなのにユーノ君のバカー」以外の
何物でもないからなw

311 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 11:32:46 ID:0iBdjtP5
やばいもう全部GJあげたいよ!!
>>214
全ては策略か。しかしエリオ、順調に堕ちていってるなあ。
次回はなのはさんの驚きに期待。まさかユーノがヴィータと付き合ってるとは思わないだろう
>>267
少しは色恋方面も考えましょうシグナムさん。相手はほら、結婚したてなんだし……
はあ…けどユノヴィは予想外にいい…自分もこれで一本書こうかな
>>289
なのはさんはユーノ君へは若干(?)ヤンデレ。ちぃ憶えた。自分の過去の行動を思い返しましょうなのはさん。貴女の方が危険行為乱舞です。

312 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 11:50:26 ID:prNWJuCp
>>307
まぁなぁ
普通解読できても同じことが出来るわけじゃないのにね

まぁ、それっぽい違うものっつーことで脳内補完した

313 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 12:03:10 ID:H2XUAYr9
>>289
GJです!熱いです!最高です!続き待ってます!このまま駆け抜けてください!

攻撃力を持ったユーノは魅力半減な気がするけれど、
正直言って気円斬は大好きです。独眼鉄じゃないよ。全然違うよ。
SLBは脳内バッファを利用した一時的な複製であって欲しいな。

攻撃魔法はユーノの素質と相反するし、個々の精度も落ちてて欲しい。
またSLBは収束砲撃という観点からすると、先に撃ったなのはの方が威力大きそう。
疲弊していたこともあって、散逸した魔力が余りにも多すぎて収束し切れなかったのかな。
なのはの本家SLBとユーノの劣化版SLB×2を同時に撃って、
魔力収束の綱引きでユーノが数で有利になり、劣化版を補強して勝利というのもありだったかも。

とか妄想が止まらないほど面白すぎる。ヤベっす。マジパねーっすよ。

314 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 12:19:13 ID:zz5/EP4r
>>289
ユーノ = 俺

・・・にそろそろ見えてきた俺は病んでるというか、疲れてるのかな。
いや、すまんかった、話し自体は好きだから最後まで頑張って欲しい。

315 名前:314:2007/10/07(日) 12:20:45 ID:zz5/EP4r
ああ、一行目は作者投影(オリキャラ)SS系、って意味でね。
なんか二箇所で「俺」使ったから紛らわしい事になってそうだから補足しとく。

316 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 12:38:30 ID:LapnfGMX
>>289
ユーノマジで熱いぜ……GJ。

3期放映前、俺の中では
「A'sで目立たなかったユーノが、
なのはたちのためにあえて6課に反逆する」
という妄想がちょっとあったので、この展開は超好み。

ときに>>ALL
関係ない話ですまないがユーノが攻撃魔法を使えない理由って、どっかで説明されてる?
ライトユーザーなので、雑誌とかまではチェックしてないのですよ。

317 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 12:49:42 ID:U61bAlU2
>>316
理由は書かれてないと思う。

ユーノがというわけではないが
はやては漫画で
「適性の低いスキルを鍛えたところで効率悪い」
って言ってるけど、これが全員に適用されるんじゃないかな

318 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 12:54:49 ID:YeNM8lgH
元々学者・探索の一族の出だから攻撃イラネ、
バインドと防御(と結界)に特化しとけばいい、的な発想だったような。
だからフェイトのサブに特化してるアルフと似たような性能になったんでない?

319 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 12:56:21 ID:VRA+Anel
>>317
まぁ、曲がりなりにも軍隊ならば適性の高い低い抜きで一定レベル以上まで鍛えなきゃいけないんだけどな。
一人一人が何でもできれば(無論、得意不得意はあっても)仲間同士の負担を軽減できるし。
悪い言い方しちゃうと誰か一人欠けてもさほど困らないし。
ただまぁ、ユーノは民間人の協力者って立ち位置だし、現場に出る必要ないからそこら辺鍛えなかったんだろうけど。
……なんか、ユノスレでも同じような事言ってるなぁ、俺。

320 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 13:03:51 ID:oRF1xp6z
ユーノは射撃というか魔力放射技術の適正が著しく低いようだから、
ツインスターライトブレイカーも砲撃ではなくゼロ距離から叩きつけるか
鎖なりハンマーなりフレイルなりに物理変換して叩きつけるほうが自然じゃね。
まあ重箱の隅だがな、文句つけてるわけじゃないよ、インフレバトルは好きだ。

321 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 13:07:03 ID:0iBdjtP5
>>320
シールドを弾丸みたいに敵に叩きつけるとか、逆に手にちっさい盾展開して殴るってのなら割と自然かも。
まあもしユーノのスキルがなのはのそれだったら、遺跡破壊しまくり確定だもんな…

322 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 13:14:56 ID:GLdF4gJB
>>319
ユーノが隠遁してる人なら効率など気にせず納得行くまで修行してもいいけど
公式で仕事に追われる身だからなw

323 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 13:20:41 ID:mwMYpiHd
たぶんSLBをクラックして送り返したのではないかと。
ツインにしたのは要するに二倍にして跳ね返す、というカウンターの王道を表現するためではないかと。
まあ自分としてはツインにしたのは蛇足だったかなあ、と思わなくはありませんが。
とはいえお見事でした、次回への興奮が抑えきれません。

ユーノの攻撃手段としては、SLBなどの砲撃魔法をクラックして転移魔法で敵の足元に転送してって
イメージが浮かびますな。あるいは防御魔法をクラックして拳や蹴りを叩き込むとか。

324 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 13:22:38 ID:oRF1xp6z
レイジングハートを昔持ってた(創った?)杵柄でハッキングして
スターライトブレイカーがなのはに向かうとか、爆発するとかでも面白いかも。

325 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 13:29:22 ID:IbPIWy7d
>>323
いや、どう読んでも、SLBをコピーして自分で新たに詠唱しているわけだが。

326 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 13:43:55 ID:E3EL0AuD
ユーノがかっこいいんだからそれでいいじゃんよ。
オリ設定有りってことわってるんだし。

327 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 14:00:22 ID:mSQxoRvg
うーん、そもそもディバインバスターは元々RHに入ってたわけだし登録したのはユーノでしょう
SLBの開発も当時魔法初心者のなのはだけじゃなくユーノも関ってるはず。なんたって先生だし
なら当然その構成も知っているはずで強化したユーノであればSLBを使えてもおかしくはない
>>286でユーノが言った『解読』の意味はなのはが入局後自分で改良してきた分を読み取ったと解すれば矛盾もない

もっとも無印のSS,小説は観てないのでいろいろ違ってるかも。
そもそも連載中の小説にツッコミを入れるのは無粋な気がする……

328 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 14:11:27 ID:wNKLcwzn
つまり俺たちはこういえばいいわけか

職人ガンガレ!

329 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 14:51:53 ID:IbPIWy7d
>>327
構成を知ってる≠使える
コードがあっても、それを走らせるだけのスペックが無ければ意味がない。
そして、ユーノは遠距離攻撃魔法が使えないと自分で言っている。
オリ設定とは言え、なのはの二次創作を名乗るなら、闇の書がSLBやファランクスを完全にはコピーできなかったことを考慮すべき。


結界内で暴発させるとかの方がユーノっぽい気がするけど、それはザフィーラでやっちゃてるんだよなぁ。

330 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 15:14:48 ID:eRCWKMdi
公式ならまだしも、所詮は素人が書いた二次元小説なんだから
ここまで真面目に議論しなくてよくね??
なんつーか、エロパロで議論しあう内容じゃないと思う。

331 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 15:25:04 ID:prNWJuCp
そーいや、攻撃用魔法の名前が同じで使用者が違うのは

なのは→闇の書の意志:SLB
フェイト→闇の書の意志:フォトンランサー・ファランクスシフト(ジェノサイドシフト)
なのは→スバル:ディバインバスター
ティアナ→なのは:クロスファイアシュート
シグナム→エリオ:紫電一閃
こんなもんか?

使用者のクセと言うか、特性で色々変化するのは間違いないよな
んで、この中で完全な意味で矢印を反転できそうなのってクロスファイアシュートくらいだと思うんだ
伝授しようと思って構成組んでたみたいだし

ザフィーラ→シャマル:鋼の軛
これは判断が難しいが…まぁ、同じ守護騎士プログラムだし?

>>330
まぁ、職人さんが投下を始めれば収まるだろ

332 名前: ◆6BmcNJgox2 :2007/10/07(日) 15:44:32 ID:4b9TZzQp
最近書き込みペースが落ちまくってる私でありますが、リハビリも兼ねて短い話を投下します。

・なのはとユーノが大喧嘩し、これに対してフェイトは…と言うお話
・非エロ

333 名前:なのはとユーノが大喧嘩 ◆6BmcNJgox2 :2007/10/07(日) 15:46:52 ID:4b9TZzQp
「ユーノ君こんな事するなんて酷いよ!!」
「酷いのはなのはの方だろ!?」
一体何が理由なのかは分からないが…ある日突然何の前触れも無くなのはとユーノが
大声を張り上げながら大喧嘩を繰り広げていた。
つい先日まで見てる側の方が目が痛くなってしまう位にバカップルぶりを
全力全開で発揮していたと言うのに何がどうしたのかと周囲の者も疑問に感じていたのだが…
「ユーノ君なんか大っ嫌いディバインバスター!!」
「僕の方こそなのはなんかもう要らないよチェーンバインド!!」
「ギャ――――――――!! そういうのは外でやれ―――――――――!!」
挙句の果てには周囲の被害を気にせずに戦闘にまで発展する程であり、
なのはの魔力砲とユーノの魔力鎖が飛び交い、その流れ弾によって
周囲にいた者達が散り散りになって逃げ惑う事態になっていたのだが
その状況に一人笑みを浮かべる者の姿があった。
「これでなのはとユーノの仲も終わりか…。私にとって都合の良い状況になって来たじゃない。」
彼女の名はフェイト=T=ハラオウン。なのはに対して親友以上の感情を抱いていた彼女が
この状況を面白いと感じないはずが無い。しかもフェイトが手を下すまでも無く
なのはとユーノの仲が勝手に崩れて行くのだから。この状況を美味く利用して
フェイトはなのはを手に入れるつもりだった。愛さえあれば性別の壁なんて関係ない。
そう考えていたフェイトであったが…
「けど…ここはあえて静観して二人が自然に別れるのを待った方が良さそうだよね…。」
と、フェイトはあえて二人の喧嘩に介入する事はしなかった。
もし今この状況でフェイトが割ってはいる様な事をすれば二人の仲を余計にこじらせる所か
逆に仲直りさせてしまうかもしれない。今までの傾向から考えてこういう事態が発生する事は
容易に想像出来た。それは何としてもフェイトにとってやりたくない事だった。
だからこそフェイトは知らない振りをしてその場から立ち去った。
元々なのはとユーノの大喧嘩は二人が勝手に始めた事なのだから、このまま放っておけば
勝手に二人の仲は破局してしまうに決まっている。そうなればなのはも男が信じられなくなって
フェイトにすがり付き、なのは×フェイトの関係は完璧な物となる。フェイトはそう考えていた。

数時間後、フェイトは食事を取る為に局内食堂にやって来ていた。
「さ〜て…今日は何を食べよう。今日は金曜日だからカツカレーあたりにしようかな?」
と、独り言を言いながらカウンターでカツカレーを注文し、出来たカツカレーをトレイに乗せて
テーブルの方へ向かっていたのだが…
「アハハハハ! もうユーノ君ったら〜!」
「そんなに面白かったかい? 僕の話!」
「え…………………。」
そこには先程大喧嘩しまくっていたのが嘘の様に笑顔で仲良く雑談しながら食事をしている
なのはとユーノの姿があり、フェイトは思わず絶句していた。
「あ…あの〜…二人とも…喧嘩してたんじゃなかったの?」
思わず目を点にしながら二人に尋ねてしまうフェイトだったが、二人は笑いながら答えた。
「ああそれならもう終わったよ! お互い大人気なかったって事で…。」
「で、結局私達って何が理由で喧嘩してたのかな?」
「そんなの今になってはどうだって良いよ!」
「そうだよね〜!」
「え………………………。」
何と言う事であろうか…フェイトがあえて無視していた数時間の間になのはとユーノは
互いに喧嘩を自己完結させ、仲直りし、あろう事か喧嘩以前より遥かに全力全開ブラスターモードな
バカップルぶりを発揮していると言う絵に描いた様な雨降って地固まるを体現していたのである。
「そ…そっか…仲直り出来て…良かったね…。」
フェイトはうな垂れながら席に付いてカツカレーを黙々と食べた。
                       おしまい

334 名前: ◆6BmcNJgox2 :2007/10/07(日) 15:48:14 ID:4b9TZzQp
>>289
なのはとユーノがレイジングハート串刺しにされた所で肝が冷えました。
一応助かるとの事ですが…どの様に助かるのかかなり気になります。

335 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 16:23:11 ID:NqJZjXIl
>>333
週のおわりの金曜日だからちょっと贅沢(=カツカレー注文)
しようっていうフェイトが何か庶民ぽくてワロタw

336 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 16:31:07 ID:W7/h0+vt
>>335
金曜といったらカレーなだけで贅沢じゃないんじゃないか?

337 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 16:32:18 ID:ZphBCEak
金曜日にカレーとか、海軍カレーかよw

338 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 16:35:53 ID:NqJZjXIl
>>336
あ、そうなの
>>337
この食堂が本局内のものなら、ある意味まさに海軍カレーw

339 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 16:50:27 ID:6vp6NxAo
あれ、ちょっとこのフェイトさんが可愛いと思ってしまったぞ
それはさておき >>333 GJ!

一人で黙々ともきゅもきゅとカツカレーを食べるフェイトさんテラカワイス(゚д゚)

340 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 17:10:56 ID:cDCbjn3P
折角のカツカレーも、しょっぱい味がしそうだなw
やっぱりフェイトさんは、迂闊なキャラがお似合いだz(略

341 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 17:29:01 ID:k5meNbzy
ユーノの攻撃描写って、一期の一話で撃ってたディバインバスターらしきものだけか?

342 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 17:32:48 ID:k5meNbzy
っと、リロードしてなかったよ、ごめん

>>333
GJ!何かフェイトそんには哀愁が似合うな。真面目でもギャグでも。

343 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 17:35:14 ID:ysOvRiXq
なんたらかんたら 封印の環に! ジュエルシード封印! ってやつのことか?
あれがユーノ君がレイジングハートを使った最初で最後だったが、
あれは封印魔法でディバインバスターじゃないんじゃいかな。

344 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 17:37:11 ID:1F+K7caG
>>341
後はA’s12話の闇の書の暴走体に対する、チェーンバインドでの
切断ぐらいの希ガス

345 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 17:44:04 ID:h5k4RXbL
>>333
フェイトさん何してもしなくてもダメなんじゃないかwアホの子の呪いは定着したのか……
ちなみに夫婦喧嘩は犬も食わないとかなんとか

346 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 17:44:12 ID:6vp6NxAo
フェイトさんが涙のカレーライスを歌ってるシーンを妄想した。
涙のカレーライス うた:みず○ なな

347 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 17:47:50 ID:1/dQNLHj
>>333
激しくフェイトさんに萌えた
かわいい……

しかし、その後にこれに出てくるフェイトさんは強烈だった
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm1071021
ニコニコで悪い

348 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 17:55:36 ID:IbPIWy7d
ヤンデレフェイトさんと申したか
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm1120685

349 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 18:33:54 ID:w5Zy/A/e
>>345
大丈夫だ
なのフェイに拘らなければ一応幸せになれるという実績があるぞ
フェイエリとかフェイユーとか

・・・・・・なのフェイの場合は最近そーゆーフェイトさんしかいないのは寂しいな

350 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 18:39:22 ID:ZphBCEak
なのフェイユーで仲睦まじくしてるのが好みな俺は少数派?

351 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 18:43:32 ID:RadESGdU
「潜入任務、ですか?」
久しぶりにはやてたちに呼び出され任務を告げられたエリオの第一声はそれだった。

「そうや、最近風のうわさでこの下着工場で怪しげな商品の生産が行われているという話や、エリオはそこへモデルとして」

手渡されたのは金髪のバインバインの女性が大胆な下着に身を包んでいるチラシだ。

「はやてさん、僕は男ですよ」

「そんなこともあろうかと思ってな、このロストロギア借りて来たんよ、名前は『TS』といって」
「だからどうして僕なんですか!、はやてさんや僕についてきたキャロのほうがどう考えても適任じゃないですか」

「いや、これはな、エリオにしかできんのよ、考えてもみい、もし潜入がばれたとして私やキャロが捕まって手篭めにされたりしたらどうするんや」
「ありえませんよ、絶対に、っていうか僕がそうなる危険性は無視ですか?」
「なるほど、・・・ところでエリオ、もうキャロとはヤったんか?」
「何がなるほどですか、やってませんよ、今はそんなの関係ないでしょう」
「いや関係ある、エリオ一応聞くけどな、初体験が女性化した自分とむさい男ってのどう思う?」

考えてみたそしてこみ上げてきた感情は

「死んでもいやです」
「だから適任なんや、エリオなら絶対ばれない様に気をつけるし、もしばれても本気で逃げ切ろうとするやろ
その点私もキャロも手加減できへんし・・・証拠のひとつも残さず灰塵に帰すかも、そしたらただの破壊魔、犯罪者やな」

馬鹿な話だ、馬鹿げていると思う、しかしエリオの手には今確かに指輪型ロストロギア『TS』が握られている
久々のミッドと言うことでついてきたキャロもはやてから借り受けたもうひとつの『TS』を指にはめ
今までなかった自分に増えた器官を先ほどから面白そうにいじくっている、

「面白いねエリオくん」

と笑顔で巨大なイチモツをいじくる姿は普段の彼女を知るエリオにとって、もはや泣くしかない

「ねえエリオくんもつけてみてよ」

先ほどから何度か言われるその言葉に空返事のエリオは「うん」とだけ答える
別に害はない、ただつけてる間だけ性別が反転するロストロギア、
古代ミッドで愛し合う二人が同性だったために作られたこれは
しかし他の誰にも存在を教えたらあかんとはやてにきつく言い渡されている、それはたとえフェイトであってもと

「よし、こうしてても仕方がない」
「エリオくんが女の子になるってどんなのかなぁ、楽しみ」

隣のキャロは相変わらず下半身丸出しだが気にしてても仕方がない、エリオは覚悟を決めると指輪をはめ

瞬間波打つ感触に襲われた次の瞬間、エリオは確かに女の子になっていた。

「これが・・・僕?胸は・・・やっぱりないか」
「普段の私ぐらいかな」

「そっか、なんか残念」
「でもかわいいよ、みてるとね、なんだか、ごめんねエリオくん、我慢できないや」

そして次の瞬間エリオはベッドに押し倒されていた。

「キャ、キャロ、駄目だよこんなの、おかしいよ」
「でもなんだか我慢できなくて・・・ごめんねエリオくん、うまく説明できないの」

・・・続かない

352 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 18:46:51 ID:IbPIWy7d
>>349
百合スレオヌヌヌ

>>350
フェイトの嫁がなのはで、なのはの嫁がユーノと言うことですね。分かりました。

353 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 18:49:52 ID:3FBNqDJY
>>351
GJ。オレはTS好きなもんで楽しかったよ。
なのはでTSはあまり見かけないけど、これから増えてくれるといいなあ。

354 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 18:58:18 ID:w5Zy/A/e
『フェイトであっても』じゃなくて
『フェイトであるからこそ』ばらしちゃいけないんだよね
このスレ的にはw

355 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 19:36:14 ID:WghI1k1Y
そんな危険な物フェイトさんに渡したら、レイパーになってしまうじゃないかw

356 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 20:13:37 ID:67W+cKAA
>352
そしてユーノの嫁がフェイトでステキな三角関係

357 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 20:19:43 ID:7LHBTqza
>>356
やっぱり男はハブられるのか>ステキな三角関係

358 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 20:42:35 ID:5+dJEdsE
>>357
なに既に三人ともぼk…提督の嫁だよ

359 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 20:45:59 ID:GLdF4gJB
>>350
いや、ここではともかく前から割と言われてるだろ
なのはさんの婿 ユーノ君
なのはさんの嫁 フェイトそん
どっちも一人しかいないから何の問題もないとw

360 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 20:51:17 ID:GLdF4gJB
>>358
「アルフ、今晩クロノ君が帰ってきたらちょっとお話しするから、子供たち連れて
お義母さんかフェイトちゃんのところに行っててもらえる?」
「う、うん(こっ、子供に見せちゃいけないよね)」

361 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 20:54:29 ID:0iBdjtP5
>>350
この三人は中でも特別だからな
あの中にある程度以上はいってけるのはアルフとクロノ、そしてヴィータくらいだと思う
多分はやてよりヴィータの方が近い

362 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 21:03:11 ID:OIdTE81s
>>351

なんで続かないんだクキェェエエエエ
キャロエリGJ!

363 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 21:07:47 ID:ZphBCEak
>>361
なのは達四人を電柱の影から寂しそうに見つめるはやてが見えた
「別にええねん。あたしはみんなが幸せなんを見るんが好きなんやから……クスン」

364 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 21:12:30 ID:67W+cKAA
まあ指揮官だしな

友達感覚じゃやってられんし

365 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 21:17:35 ID:ohGJKTQw
ひとりもんはつらいなあ
仲間内ではあとシャマルくらいか
ヴィータはその辺興味なさそうだし

366 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 21:19:29 ID:5+dJEdsE
思いきってとらハ世界に行きなさい
カメさんと見事な芸人コンビが出来るから

367 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 21:45:44 ID:iJ299hyc
>>366
そっちだとなのちゃんとクロくんがラブラブに…

368 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 21:46:14 ID:0NLzHUJY
あれは砂糖吐ける

369 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 21:51:04 ID:ohGJKTQw
やっぱむこうだとアリシア生きてるのかね

370 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 23:10:44 ID:cDCbjn3P
>>368
りりちゃのクロノ×なのははリンディさんの味覚以上に甘ったるいからなw
だが、大好物だ!

371 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 23:15:32 ID:1/dQNLHj
だれだ!?
フェイト達が絶体絶命のピンチになった時、
復活したアリシアや優しくなったプレシアが助けに来るとか電波送ってきた奴は!?

372 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 23:27:43 ID:27nEvhay
俺にゲンヤ×ギンガ・スバル・ノーヴェの電波送ってきた奴とは違う様だな

373 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 23:34:49 ID:POm4huMr
俺に『はやての公安9課』送ってきた奴とも違うみたいだな

374 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 23:51:47 ID:t11rbb8o
俺にゼストの墓前ですすり泣くチンクを送ってきた奴とも違うようだ

375 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 23:55:49 ID:Ycl3BN2P
チンク「初恋だった」

376 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 00:21:28 ID:RsvOTBE0
>>267
GJ! ユーノ×ヴィータを希望した言い出しっぺです!
ヴィータかわいいよかわいいよヴィータ。
ちっちゃな体で下腹部に手をあてる彼女に萌えました。
続き待ってます。

377 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 00:37:26 ID:CdZnRZ2D
>>374-375
お前らの所為で変な電波を受信してしまったではないか

スカから機人事件の捜査をしていた部隊の情報を教えられ、その時ゼストの顔写真を見てチンク一目惚れ
同時にメガーヌとクイントの写真も見て嫉妬、何とかゼストを手に入れる策がないかと考える
しかし現状ではフラグすら立てられないと知り、三日三晩熟考の末にまずは殺して奪うしかないと決意
スカにゼストは人造魔導師として利用出来ると予め吹き込む、但し一人だけだと怪しまれるので適当にメガーヌも推薦
運命の日、予定通りゼスト隊を全滅させ、後日ゼスト復活。メガーヌ?レリックないからしシラネ
ルーとアギトなら障害にもならんし、ゼストに余計な虫つかんように虫避けにもなると放置
そして始まるチンク姉のゼストフラグ立ての日々

どうしてくれる

378 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 00:39:05 ID:XsiEMts7
無論書くしかあるまい

379 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 00:40:08 ID:E7CrkbMi
お前らなぁ……
電波受信したのなら書こうぜ!
え、俺? 俺は今現在電波受信0だから。

380 名前:26-111:2007/10/08(月) 00:41:07 ID:myWeTT3d
>>377
そこまで書いておいて・・・後はわかるでしょう?
GJ!な執筆陣諸兄に続くのだ兄弟


さて投下予告です

・メインはザフィーラとヴィヴィオ
・タイムテーブルは6課解散後の数日経過した辺り・・・ぶっちゃけ適当
・エロ無し
・使用レス数14レス
・タイトルは、優しいオオカミさん

では、投下します

381 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 00:41:42 ID:qowpPdMT
極論書いてしまえばいいのだよ

382 名前:優しいオオカミさん:2007/10/08(月) 00:42:12 ID:myWeTT3d
機動6課隊舎、屋上へリポートに、旅装を纏ったエリオとキャロの姿。そして、それを見送る形の隊長陣の姿があった

「エリオ、キャロ。忘れ物とかしてないよね?お財布は?IDカードは?行き先はどこかとかちゃんと憶えてる?あと、ハンカチは持った?」

心配顔であれこれ世話を焼こうとするフェイトに、一同は揃って苦笑を浮かべていた
とはいえ、流石に今日ばかりはそれを冷やかそうとするものは居ない

今日は、6課隊員の別れの ――― 巣立ちの日なのだから



○優しいオオカミさん



「・・・それでは、皆さん。この1年間、本当にお世話になりました」
「なのはさん、フェイトさん、八神部隊長、ヴィータ副隊長、シグナム副隊長、シャマル先生、ザフィーラ・・・本当に、ありがとうございました」

馬鹿丁寧なお辞儀をするエリオとキャロに、一同は笑顔を見せて、その小さな背中がヘリの搭乗口に消える
小さな窓の中で二人が涙顔で手を振っているのを見て、フェイトは両手をぶんぶか降って離陸してゆく機体を見送っていた
やがて、その機影も空の彼方に霞んでゆく・・・

「・・・行っちゃったね」
「・・・うん・・・」

なのはの呟きに、フェイトは涙の湿りが残る声で返答した
フェイトの被保護者、エリオとキャロは二人とも自然保護隊に志願し、文明に汚されていない星での保護活動に従事することになっている
キャロが元々所属していた部署であり、面識のある人物の下に配属されるらしいので、さほど心配はいらない・・・その筈なのだが
フェイトは、どこか吹っ切れていない様子だ

「テスタロッサ・・・お前がそんな調子でどうする。あの二人に笑われるぞ」


383 名前:優しいオオカミさん:2007/10/08(月) 00:42:47 ID:myWeTT3d
「シグナムだって、エリオの訓練を見てあげられなくなったのが残念で仕方無い癖に・・・」
「なっ!?わ、私は、そのような事は思っていないぞ!」

言い合いを始めるライトニング分隊の隊長&副隊長を尻目に、はやては苦笑を拵えつつ小さな溜息を吐いた

「せやけど、これでフォワード勢はみんな巣立ってしもうたんやね・・・ちょっと、寂しいな」
「そうだなぁ、もう少しがっちり鍛えてやりたかったなぁ・・・スバルの奴は救助隊入りしたし、ティアナは、今は休暇だっけか?」
「うん、今は生家に戻ってご両親とお兄さんに報告してくるそうよ。それから本局入りして、フェイトちゃんの補佐官になる・・・みんな、立派になったわね」

ヴィータとシャマルの言葉に、はやても少しだけ涙を目尻に滲ませた

「ほんま言うと、めっちゃ惜しいけど・・・」
「それは私もだよ・・・あんなに教え甲斐のある子達は、そうそう居ないもの・・・もっと色んな事を教えてあげたかったな・・・戦技だけじゃなくて、色んな事を・・・」
「せやね、良ぇ生徒ばっかりやったもんね・・・あ、なのはちゃんの転居先はどうなったん?ヴィヴィオを正式に引き取ることにしたんやよね?」

ヴィヴィオ、先の事件の中で保護し、そして一時は拉致され事件に利用された少女・・・その正体は古代ベルカの“聖王”の遺伝子を用いて生み出された人造魔導師であり、
逮捕された科学者:スカリエッティの最終計画であった“聖王のゆりかご”を完全稼動させるためのキーとなる存在でもあった
だが、今は正式のなのはの養子として籍を入れており、聖王教会系列の魔法学校に通う一年生である

「うん・・・引っ越し先は色々悩んだんだけど・・・結局、ヴィヴィオの通う学校に近い物件に決めたんだ。あの子の傍に、なるべく居てあげたいしね。出勤がちょっと大変だけど」
「そっかぁ・・・でも、今までアイナさんやらフェイトママやらと一緒におった分、寂しがるんとちゃうの?」
「うん、フェイトちゃんは本局の執務官業務に戻るからね・・・代わりに、ユーノ君が後見人役を買って出てくれたんだ。
ユーノ君忙しいけど,司書っていうのはそんなに拘束されない仕事だからって・・・本当は、少し申し訳ないんだけど・・・ヴィヴィオもユーノ君には懐いてるし」
「そっかそっか・・・そんで、今日なのはちゃんの部屋も引き払う・・・っちゅう予定でオッケーやったよね?」
「うん。今日はヴィヴィオも学校がお休みだし、アイナさんにもお別れの挨拶をしなきゃならないから連れて来てるんだ」


その頃、ロビーでは・・・


「それでね、それでね、学校で色々お勉強してるの!魔法の事だけじゃないよ、絵を描いたりとか、お歌を歌ったりとか!」


384 名前:優しいオオカミさん:2007/10/08(月) 00:43:24 ID:myWeTT3d
はしゃいだ様子で、ヴィヴィオは自分の近況をアイナに報告しているところだった
アイナは同じような話を既に3回くらいは聞かされているのだが、エキサイトしているヴィヴィオはそれに気付いていない様子だ

「それにね、今は一人でお顔も洗えるし、歯も磨けるんだよ。お風呂はちょっと苦手だけど・・・ママが一緒に入ってくれるから平気!」
「そう、色々できるようになったのね。偉いわよ。ヴィヴィオ」
「えへへへー」

にっこりと笑って、アイナはヴィヴィオの頭を撫でてやった
アイナとしても、短い間ではあったがこの利発な少女の面倒を見ることができて楽しかったし、別れは少し寂しい

「それじゃぁ・・・もう、私が居なくても、ママと一緒なら安心ね」
「うん!ママはお仕事忙しいけど、ユーノパパも居てくれるんだよ。それに、ザフィーラも連れて行くから大丈夫!」
「あら、ザフィーラも?」
「うん!ザフィーラ大好きだから、ずっと一緒にいるの!」

ヴィヴィオは、ザフィーラの正体を知らない
彼女的には、ザフィーラというのは大きくて優しくてふかふかなオオカミという生き物らしい。という認識である
彼がヴォルケンリッター・・・はやての守護騎士であることや、変身すると褐色の肌をした成人男性の姿を取ることなどは全く知らないのだ
ザフィーラも、ヴィヴィオの前では“ただの狼”という姿を通していたし、喋った事も無い。はやての為の存在なのだと説明した事もない

ヴィヴィオにとっては、ザフィーラという守護騎士の存在は、ただの賢いペットという認識だったりするのである

「学校の友達にも、ザフィーラのこと自慢したいんだー。すごく賢くて優しいオオカミさんなんだって」
「そ、そうなの・・・」

アイナは、ザフィーラがただの狼ではないことは知っている
部隊長であったはやての使い魔、の様なモノ・・・という程度の認識ではあるが、少なくとも彼が早々ヴィヴィオと一緒に暮らすことができないだろうということは想像できる
しかし、アイナとしては、これほどに懐いている様子を見せるヴィヴィオをがっかりさせたくない・・・だが、それは・・・

「ねぇ、ヴィヴィオ・・・ザフィーラが、もしヴィヴィオと一緒に暮らせない。って言ったら・・・やっぱり寂しい?」
「ふぇっ!?ザフィーラ、一緒に来てくれないの・・・?そ、そんなのやだよぉっ!」

385 名前:優しいオオカミさん:2007/10/08(月) 00:43:58 ID:myWeTT3d
一瞬で涙顔に変わってしまうヴィヴィオを宥めながら、アイナははやてに連絡を取った



「さて・・・困ったもんやね」
「主・・・口調に全く困った様子が感じられないのは気のせいでしょうか」

にやにや笑いながら執務机の上で手を組むはやての姿に、狼姿のザフィーラは溜息の様な口調でそう返した
周りを見回せば、ヴィータもシグナムもシャマルも・・・リィンまでもが、ザフィーラの置かれている状況を面白がる様な顔を見せている

「・・・主はやて。我等はヴォルケンリッター。夜天の王たる貴女の為に存在する守護騎士です。主の傍を離れる事などありはしません」
「ほんなら、私がヴィヴィオと一緒に暮らせ。っちゅう命令をしたら?」

主命に逆らえるほど、ザフィーラは不忠で不義理な騎士ではない。命令とあらば、忠実にこなすのが騎士という生き物だ

「・・・ご命令と、あらば・・・」

血を吐くような口調に、はやては手をひらひら振って誤魔化すように言葉を掛けた

「じょ、冗談やよ。ザフィーラ・・・私の騎士達は、みんなウチの子やからね。しかし、ヴィヴィオを何て説得しよかなぁ・・・」

アイナから連絡を受けて、ヴィヴィオの様子は聞いている
ザフィーラが一緒に来てくれない。そう聞いた瞬間火が点いたように泣き出して、今ではなのはとフェイトの二人掛かりで宥めているのだが、一向に泣きやむ気配を見せないそうだ
仕事柄、日中は留守がちだったなのは達である。普段、傍にいてくれたザフィーラという大きくてもふもふした生き物の存在は、ヴィヴィオの中ではとても大きいようだ

「普通に説得したら良いんじゃねーの?」

ヴィータが至極真っ当な意見を挙げたが、それにははやては首を横に振った

「ヴィータ。泣いてる子供は理詰めの説得なんて聞いてくれへんのよ?」
「うげ・・・じゃぁ、いっそ高町家の番犬になるか?」

386 名前:優しいオオカミさん:2007/10/08(月) 00:44:32 ID:myWeTT3d
「・・・狼だ」
「あっさり可能性を捨てるな。幾星霜もの時を共に過ごしてきた戦友の危機だぞ」

ヴィータの投げやりな言葉を切り落としたのはシグナムである
ヴォルケンリッターの将である彼女としては、長い長い、記憶にさえ残らないほどの長い年月を共に過ごした同胞の危機を見過ごせないようだ

「じゃあ、シグナムはどんなアイデアがあんだよ?」
「むぅ・・・ザフィーラが狼ではない、守護騎士なのだという事実を見せてしまうのが手っ取り早いのでは無いでしょうか?」
「それやと・・・つまり、人間形態を見せるっちゅうことか?」
「はい。ヴィヴィオにザフィーラがただの狼では無いと知らせ、その上での説得なら通用するのではないのかと思います」

一同は想像してみた
ヴィヴィオの前で、人間形態に変身するザフィーラ・・・青い狼だった姿から、褐色の肌の大男の姿を前にしてヴィヴィオは目を丸くして・・・

『うわぁ・・・ザフィーラすごーい!!おっきーぃ!!肩車して肩車ー!!』

全員が同じ想像をしたらしい。少し引き攣った顔になっている

「ア、アカン。きっと説得以前の問題や・・・それは、下手をするとユーノ君の立場さえ無うなってしまう・・・」
「余計に懐いちまうよな・・・間違いなく」

再び黙考に入る一同の中で、今度はシャマルが小さく挙手

「それじゃあ・・・荒療治っぽいですが、いっそ嫌われてしまうというのはどうでしょうか?」
「我が、ヴィヴィオに嫌われることで、彼女の方から距離を取るように仕向ける・・・そう言うことか?シャマル」
「はい・・・具体的には・・・吠え掛かるとか、撫でに来たら威嚇する姿勢を見せるとか・・・」

一同は想像してみた
満面の笑顔で抱き付きに来るヴィヴィオに、突然威嚇するように牙を剥き出しにして唸りを上げるザフィーラ・・・きっとヴィヴィオも驚くだろう
いつも撫でさせてくれた相手がいきなり怒った様子を見せるのだ。涙顔でへたり込むくらいのことにはなるかもしれない
その泣き顔が段々大きくなってゆき・・・

387 名前:優しいオオカミさん:2007/10/08(月) 00:45:06 ID:myWeTT3d
『ザフィーラ・・・少し、頭冷やそうか・・・』

全員が同じ想像をしたらしい、血の気が引いた顔でブンブン首を横に振っている

「アカン!アカンよ!!ザフィーラならディバインバスターまではどうにか耐えるかもやけど、エクセリオンはアカン!スターライトブレイカーはやめたげてぇぇっ!!!」
「主。主はやて。どうか平静を・・・全て仮定の話です」
「ハッ!・・・ご、ごめんな。ちょっとリアルに想像してもうたんよ・・・ほら、ヴィヴィオが絡むとなのはちゃん人が変わるし」
「不吉な想像はおやめください」

はぁ、と溜息を吐く一同である。最早、万策尽きた。そんな空気が執務室の中を漂う中で、

「あ!良いこと思い付いたですよーっ!!」
「お、末っ子は流石やね。それで、どんな妙案や?」

リィンはえっへんと胸を張って一同を見下ろし、ぴっと指を立てて意見を挙げた

「ザフィーラの代わりになる、いやむしろザフィーラよりも賢くて優しくて可愛いペットをヴィヴィオにプレゼントしてしまうですよ!」
「・・・なるほど、ザフィーラへの興味を他方へ移すということか?」
「はいです!そうすれば、自然とザフィーラとも距離ができて、万事解決です!!」

おぉっ!と歓声を上げて、末っ子に拍手を送る一同である・・・が、

「でも、そのペットって・・・どんなのなんだ?」
「え゛っ!?」

ヴィータの言葉に、リィンは思わず言葉を詰まらせた
ザフィーラは見た目こそ狼という凶暴なナリをしているが、普段はとても穏やかであり、ヴィヴィオに耳を引っ張られようが尻尾を振り回されようが吠え付いたことなど一度もない
それどころか、簡単な身の回りの世話をし、出掛けるとなればひっそりと後を付いて歩き、守護獣として危険が及ばぬよう周囲に目を光らせている
ヴィヴィオとザフィーラは寝食の場を共にした場面はほとんど無いが、柔らかい腹毛に顔を埋めて昼寝を満喫していたことは一度や二度ではない・・・

「アカン、泥沼や・・・下手すると、ザフィーラの引き立て役にしかならへん・・・」

388 名前:優しいオオカミさん:2007/10/08(月) 00:45:40 ID:myWeTT3d
「えっ!?え、えぇぇっ!?だ、駄目ですかぁっ?!」
「そうね・・・着眼点は良かったんだけど・・・ちょっと、ね」

シャマルの言葉に、リィンは小さな肩をがっくりと落として執務机の上に不時着した
いよいよ室内の空気は重い

「あぁ、もう!結局ザフィーラの自業自得じゃんかよ!!」
「ヴィータ!ザフィーラは一生懸命ヴィヴィオの警護をしてくれとっただけなんやで!」
「それでも!こんな事態になったのは最初に自分の素性を説明しなかったからだろ!」
「ヴィータちゃん。あの子を保護した時のことを考えてみて・・・動物形態を取れるザフィーラだったからこそ、打ち解けることができたのよ。ドッグセラピーってあるでしょ?」
「・・・狼だ」
「今更、過去の事を悔やんでも仕方がない・・・強行手段ではありますが、強引に引き離すしか無いのでしょうか・・・」
「でも、ヴィヴィオには・・・あの子にはもう二度と、辛い別れを経験させたくないですよ・・・」

別れはいつかやってくるものだ・・・だが、ヴィヴィオはまだまだ子供である。ゆりかご事件の中ではスカリエッティに拉致され、なのはから引き離されて利用された経緯もある
親しい者との強引な別れがどれほど心に傷を付けるか・・・夜天の王とヴォルケンリッターである彼女らは良く知っていた
10年前、今では闇の書事件と呼ばれる事件の渦中で、騎士達を喪ったはやてが、闇の書の主として世界を滅ぼそうとしたように・・・

重い沈黙が垂れ込める・・・それを破ったのは、ザフィーラ自身だった

「・・・ヴィータの言うように、あの子の警護を買って出て、素性を隠していた我の責任です・・・その判断の誤りがこのような事態を招いてしまいました」
「ザフィーラ・・・そうかも知れへんけど、それは・・・責任やとかそんなんとちゃうよ」
「いえ・・・我の責任です・・・我の責任である故に、我自身で決着を付けねばなりません」
「でもよぉ・・・下手すりゃなのはに頭冷やされちまうぞ?」
「テスタロッサでさえ泣きやませることができないというのに・・・大丈夫なのか?」
「私で治せる範囲で済むなら良いんだけど・・・」
「大怪我前提なんですかぁっ!?」

口々に勝手を言う守護騎士の仲間達を尻目に、ザフィーラはきっぱりと言い切った

「ヴィヴィオの事は、我がどうにか致します故・・・訓練場を野外設定で展開しておいていただきたく存じます。では」

389 名前:優しいオオカミさん:2007/10/08(月) 00:46:15 ID:myWeTT3d
それだけ告げて、ザフィーラは執務室を出て行った
ふさふさとした尻尾が見えなくなるまでその後ろ姿を見送り・・・一同は大きな溜息を吐いた


さて、ロビーである
普段ならば割と賑やかロビーも、今は課の解散に伴い事務員の姿も無く・・・その代わりに、先程から何事なのかと誰もが振り返るくらいの泣き声が轟いていた

「わあああぁぁぁぁぁぁぁん!!!!やだやだやだやだぁぁぁっ!!!!!」

言うまでもなく、ヴィヴィオである
隣に座って何とか宥めようとするなのはとフェイトだが、ヴィヴィオの機嫌は一向に直らず・・・“達人的”とも揶揄されたフェイトの子守りも今のヴィヴィオには通用しないようだ

「参ったなぁ・・・まさか、ザフィーラをこんなに気に入ってたなんて」
「ずっと、一緒だったもんね。考えてみれば、当たり前だったんだよ・・・私達は、どちらかというと留守がちだったから・・・」
「ザフィーラがいっしょじゃなきゃやだぁぁぁっ!!!!」

なのはとフェイトは、その言葉に揃って溜息を吐いた
ほとほと困り果てていると、ヴィヴィオの大泣きに混ざってカチャカチャという硬質な足音が耳に入ってきた
視線を上げると、そこにはヴィヴィオがずっと名前を呼んでいた青い狼の姿がある。好機とばかりに、なのはとフェイトは泣きじゃくるヴィヴィオの背中を撫でてやりながら言った

「ほら、ヴィヴィオ。ザフィーラが来てくれたよ」
「泣きやまないと、ザフィーラも困っちゃうよ」
「・・・ひっく・・・っく・・・ざふぃーら・・・?」

しゃくり上げながら、ヴィヴィオは眼前に座るザフィーラの姿を見て、その首筋に飛び掛かるように抱き付いた
割と遠慮無く抱き付いてきている為に、少々首が苦しいのだが・・・ザフィーラはぐっと堪えて念話で保護者に言付けた

『高町教導官、ハラオウン執務官、ご迷惑をお掛けした・・・』
『私達こそ・・・ごめんね。まさかこんなにザフィーラに懐いてたなんて思ってなくて・・・』
『我としても意外だった・・・守護としての役目も全うできなかった我が、ぐぅっ、この様に思われていたとは・・・』
『でも、どうしよう?私となのはじゃ全然泣きやんでくれなくて・・・ザフィーラ、何とかできないかな?』


390 名前:優しいオオカミさん:2007/10/08(月) 00:46:48 ID:myWeTT3d
フェイトの弱り切った顔に、ザフィーラは小さく頷いてヴィヴィオの両腕から抜け出した

『ヴィヴィオを背中に乗せてやってくれ・・・少し、散歩をして来る』
『お散歩・・・?うん、わかった』

なのはは、きょとんとしているヴィヴィオの両脇に腕を差し入れると、そのまま抱き上げてザフィーラの背中に跨らせた

「ほら、ヴィヴィオ。ザフィーラがお散歩に行こうって」
「・・・おさんぽ?」
「そうだよ。背中にしっかり掴まっててね」
「うん・・・」

その言葉に素直に従って、ヴィヴィオはザフィーラの背中の毛をぎゅっと握り締めた
正直、かなり痛い

『・・・むぅっ・・・ヴィヴィオはしっかり掴まっているだろうか?』
『うん・・・見てるこっちが痛いくらいしっかり掴んでるよ』
『では行ってくる・・・小一時間ほどで戻れると思うが、遅くとも夕刻には連れ戻る』
『了解、気を付けてね』

なのはとフェイトに見送られて、ヴィヴィオを背中に乗せたザフィーラは、正面玄関から隊舎を出て、しばらく、背のヴィヴィオの様子を確かめるように歩くと、
逞しい四肢で地面を蹴って、ヴィヴィオが悲鳴を上げるほどの加速で猛然と駆け出した


長く尾を引く悲鳴と共に、あっという間に小さくなって行く後ろ姿を見送りながら、なのはは呟いた

「だ、大丈夫なのかな・・・」
「ザフィーラのことだから、怪我をさせるようなことは無いと思うけど・・・」


こうして、大地を駆ける事が随分久しぶりのように思える


391 名前:優しいオオカミさん:2007/10/08(月) 00:47:21 ID:myWeTT3d
ヴィヴィオの悲鳴を聞きながら、ザフィーラは加速した
硬いアスファルトを蹴る感触はあまり好きではないが、鼻面を先端に風を突き破るように駆け抜けるのは、爽快の一言に尽きる
車の姿が見えない車道のど真ん中を貫くように駆け抜け、分離帯を飛び越えて、ザフィーラは走る。一散に駆け抜ける
背中のヴィヴィオは、最初こそ恐怖に悲鳴を上げていたが、今では風圧に目を細めながらも喜色満面できゃーきゃー悲鳴を上げていた
物凄い速さで周囲の風景が流れてゆく。ぎゅっとしがみついた背中の下で逞しい筋肉の躍動を感じる。あちこちに点在する植え込みを水切り石の如く飛び越える
その度に小さな尻が浮き上がるが、それでもヴィヴィオの顔に先程までの恐怖の色は無い

「わああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」

意味の無い叫びに言葉では表せない感情を乗せて、ヴィヴィオは空に向かって雄叫びを放つ
涙顔を乾かす様に風に向かって顔を上げ、ヴィヴィオは小さな握り拳を突き上げて、兎にも角にも叫び続けた
ザフィーラの四肢が、アスファルトに変わって、野外戦仕様で構築された訓練場の土を捉える
柔らかな土と下生えの草を踏むのは、硬いアスファルトよりも遙かに走り心地が良い・・・ザフィーラは更に加速した
盛り上がる木の根を飛び越え、植え込みにバリアを展開して突っ込み大穴を開けながら突き抜ける。長い身体をいっぱいに使った跳躍で小川を飛び越え、
ヴィヴィオは眼下に煌めく水の流れに目を奪われた。ザフィーラは尚も走り続ける

ザフィーラは、走って、走って、走り続けて、訓練場の隅の方。小川の傍の木陰でようやく立ち止まった
背中からずり落ちるように地面に落ちたヴィヴィオは息を切らしたままだが、仰向けにひっくり返ったその顔は笑顔一色だった
その事に、少しだけ報われた気分を得ながら、ザフィーラも木陰に寝そべった
・・・しばらく、二人の荒い息遣いだけが響く

「はぁ・・・楽しかった・・・すっごく楽しかったね」

仰向けのまま、顔だけをザフィーラの方に向けて、はしゃいだ声でそう言うヴィヴィオに、彼は無言で小さく頷いた
しばらく、木陰の中でハイな気分のヴィヴィオが投げ掛けてくる言葉を一つ一つ聞きながら、ザフィーラはじっと傍に佇んでいる
不意に、ヴィヴィオの口調が静かなものに変わった

「ねぇ、ザフィーラ・・・今日でお別れになっちゃうから・・・最期だから、遊んでくれたの?」

胸中を見透かしたようなその言葉に驚きつつも、彼は伏せた格好のまま鼻面を地面に投げ出してヴィヴィオと視線を合わせた
逆さまになった赤と緑の瞳が悲しげに揺れている。先程までのはしゃいだ様子とは一変して、泣き顔が戻りつつあった

392 名前:優しいオオカミさん:2007/10/08(月) 00:47:54 ID:myWeTT3d
「・・・ねぇ、ザフィーラ・・・ザフィーラは、私とママと一緒には、暮らせない・・・そうなんだよね」

じわっと涙が滲み出てくる。ザフィーラはただ、じっと彼女の告げる言葉を聞いている

「そんなの嫌だ・・・嫌だけど・・・我が儘言うとザフィーラにも嫌われちゃうって、ママが言ってたし・・・
ザフィーラに嫌われるのはぜったい嫌だから・・・一緒に居たいけど、我慢、するね・・・ぐすっ・・・」

折角涙の跡も乾いたのに、大きな瞳からまた涙が零れ落ちはじめた
ヴィヴィオは身を起こすと、ザフィーラの豊かな毛皮に顔を押しつけるようにして抱き付き、一つだけ、最後の我が儘を言った

「我慢、するから、だから・・・えぐっ、また、今日みたいに・・・一緒に、遊んで、ね。背中に、乗せて・・・走って貰うの、ぐすっ、すごく、楽しかったから・・・っ」

ザフィーラは抱き返す代わりに、日向の香りがするヴィヴィオの髪の毛にそっと鼻先を埋めた

「良い子で、いるから・・・っく、嫌い、に、ならないでね・・・わたしは、ザフィーラが、大好きだから・・・う、えっ、えっ・・・」

首に回された、ぎゅっとしがみついてくる細い腕。毛皮に染みこんでくる涙の熱さ。耳を聾するような泣き声と、日向の香り
ヴィヴィオの存在を我が身に刻み込むように、ザフィーラはじっとされるままに佇んでいた



10分後、泣き疲れたのだろうか、眠ってしまったヴィヴィオを腕に抱いて、ザフィーラは訓練場から飛び立った
目元を腫らしたまま寝息を立てる少女を起こさないように気を付けながら、比較的ゆっくりとした速度で隊舎を目指す

「・・・ざふぃーら・・・」
「?」

不意に名前を呼ばれた事に驚きながら視線を下ろすと、ヴィヴィオは眠ったまま・・・寝言のようだ
悲しい夢でも見ているのか。閉じた瞼の端、目尻に新たな涙の珠が湧き、風の中に消えてゆく

「・・・きらいに、ならないでね・・・いいこで、いるから・・・」

393 名前:優しいオオカミさん:2007/10/08(月) 00:48:28 ID:myWeTT3d
その寝言に、ザフィーラは苦笑のような、困った顔を浮かべて、ヴィヴィオの寝顔に小さく呟いた

「・・・嫌いになど、なりはせぬ。案ずるな・・・約束だ。ヴィヴィオ」

その言葉が聞こえたのかどうかはわからないが、彼女の寝顔は少しだけ安らかになった
ヴィヴィオのあどけない寝顔に、はやてと節する時にも感じるような暖かい気持ちで胸が満たされて、ザフィーラは何だか不思議な表情を作った
苦笑とも驚嘆とも取れる複雑な顔のまま、彼はヴィヴィオの“母親”が待つ隊舎を目指す



狼に照れなど似合う筈がない
少しだけ自嘲気味な笑顔で、ザフィーラはそう結論付け、帰路を急いだ



時刻は流れて既に夜半。高町家の一室で、ヴィヴィオは目を覚ました

「・・・ふぁ・・・あ・・・あれ?ここ・・・おうち・・・?」
「あ。起きたの?ヴィヴィオ。いつもだったらもうおねむの時間なんだよ」
「うん・・・お腹空いた・・・」
「お夕飯、食べずにいたもんね・・・サンドイッチ作ってあるから、持ってくるね」
「うん・・・ねぇ、ママ・・・ザフィーラは・・・?」
「ザフィーラは、はやてちゃんの家族だから・・・ごめんね、ヴィヴィオ。一緒に暮らせないのは寂しいと思うけど・・・」
「ううん、大丈夫。平気・・・約束したもん。また一緒に遊んでくれるって」
「約束?ザフィーラと?」
「うん!・・・でも、変だよね。ザフィーラはオオカミさんだから約束なんてできる筈ないのに・・・夢だったのかなぁ?」
「・・・きっと、夢じゃないよ。さ、ちょっと遅いけどご飯にしよう。お風呂に入って、早く寝ないと遅刻しちゃうよ?」
「はぁーい。いただきまーす」

嬉しそうな顔でサンドイッチを頬張る娘を眺めながら、なのははにっこりと笑顔を作った
きっと、強引に別れさせていたのでは、今も大泣きだっただろう・・・ヴィヴィオの笑顔を守ってくれたザフィーラに、心の中で感謝の言葉を呟くなのはであった

394 名前:優しいオオカミさん:2007/10/08(月) 00:49:03 ID:myWeTT3d
翌日、魔法学校にて・・・

「それじゃ、今日はみんなで動物の絵を描きましょう。画用紙は全員ありますね」

教師の言葉に、元気の良い返事が教室に響いた
その中には、ヴィヴィオの姿もある
各自、色鉛筆やクレヨンを手に、わいわい賑やかに騒ぎながらお絵描きが始まった

「ヴィヴィオちゃんは何の動物を描くことにしたの?私は、ネコさんを描くんだ」
「私、オオカミさんを描く!得意なんだぁ」
「えぇっ?でも、オオカミさんって・・・怖い動物なんだよ。この間読んだ絵本でも、女の子をだまして食べちゃうって・・・小さい子供なんて一呑みにしちゃうんだよ?」

絵本の展開を思い出して涙目になる友人に、ヴィヴィオは少し頬を膨らませて抗議した

「プレオちゃん。オオカミさんって確かに見た目はちょっと怖いし、絵本だと怖い動物で、いつも最後に退治されちゃうけど・・・そんなオオカミさんばっかりじゃないんだよ?」
「そうなの・・・?」
「うん!優しいオオカミさんだって居るんだから!」

ヴィヴィオはそう言って、青いクレヨンを手に取った
思い描くのは、勿論 ―――――





「ぶえくしっ」
「なんや、ザフィーラ。風邪か?」
「・・・いえ、体調不良ではありません。ご心配なく、主はやて」
「そっか?・・・はっはーん、さては誰かが噂でもしとったんとちゃうかな?」
「ご冗談を・・・ぶえくしっ」


395 名前:26-111:2007/10/08(月) 00:51:15 ID:myWeTT3d
以上です、スレ汚し失礼しました・・・

実は自分、ザフィーラネタからなのはSSに入ったもので・・・久々にザッフィをネタにできましたぜ
本編ではヴィヴィオとの絡みも全然無いし・・・サウンドステージ03では台詞があったそうですが・・・くそぅ聞きてぇ・・・

流れぶった切りで申し訳ないです・・・それでは


396 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 00:52:32 ID:BHlJ9wko
>>395
GJだ!!
すげえいい。和んだ。いいぞザッフィーお前はいい狼だ!

397 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 00:53:57 ID:E7CrkbMi
>>395
GJ
いいなぁいいなぁ、こういう確かな絆ってのがやっぱ胸に沁みるよ。
静かに、ヴィヴィオの気持ちに応えてあげるザフィーラがいいお父さんだぜ!

398 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 00:55:51 ID:kls9HNZd
ザッフィーやさしいなぁ…
>>395のおかげで今日はいい夢が見れそうだ。

あと、
>プレオちゃん
に反応する俺は車オタ\(^o^)/


399 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 00:59:02 ID:d+d4szHN
>>395
GJですよ。

犬最高。
もう4期はヴィヴィオと犬が主役のハートウォーミングストーリーで決まりだ。

400 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 01:08:25 ID:CdZnRZ2D
>>395
GJ!
やはりザフィーラは良い親父になる素質を持っている

さて、せっかく電波受信したんだし俺も書いてみようかな
人様に見せられる物になるまでどれくらい掛かるか分からんけど

401 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 01:39:36 ID:EttthuWG
>>395
GJ!
心温まるお話を読ませていただき感謝!
ザッフィーも色々報われて欲しいキャラなんだけどなぁ……SS04で少しは出番あればいいけど。

402 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 01:46:15 ID:Y4OPW7Lc
>>395
ずっと、この二人のほのぼのが見たかったんです。
自分でも書いてみようとして、納得のいくものができなくて、
誰か書いてくれないかなあと思ってました。

やっと出会えたそれが、文句のつけようが無い理想の物語…
心の底からありがとう&GJ!

403 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 01:51:39 ID:d7Y8/jkS
>>395
GJ!ザフィーラ、なんという心優しいナイスガイだ
ここ最近はザフィーラ主役の格好いい話も多くて嬉しいZEw

>>400
ガンガレ、どんな電波を受信したのか楽しみに待ってるZE

404 名前:前スレ540-545:2007/10/08(月) 01:56:00 ID:H6E7bUfy
前スレでエリオ君陵辱SSを投下させていただいた者です。
懲りもせずに第2話を書き込ませていただきます。

今回は短い上にエロも殆どありません。
そして、説明的な展開です。しかも、エリオ君がとんでもないことになります。

そんな酷い出来ですが、どうかご容赦ください。

405 名前:244(ID忘れたorz):2007/10/08(月) 01:57:01 ID:gRqYQm84
>>395
GJ!!
ほのぼのでいいですw
ああ、勝手に脳内で続きが流れる。



ヴィ「アルフお姉ちゃ〜ん!」
アルフ「あはは!元気だったかいヴぃヴぃオ?」
ヴィ「うん!……?アルフお姉ちゃんの隣にいる怖いお兄ちゃん、だれ?」
アル「あ!あ〜〜……」

アルフ(本当のこと、あたしから言っていいかいザフィーラ)
ザフィ(構わん……アレはもう、もはや昔日の思いでだ……)

アルフ「いいかいヴィヴィ。、この人がね、ザフィーラなんだよ。魔法の力で動物が人間に変身したりできるってもう学校で習ったよな?」
ヴィ「?………………ッ!!えええ!!」
ザフィ「ヴィヴィオ……俺があの狼のザフィーラだ」

 青き盾の守護獣に変身して、ヴィヴィオに自分のことを話すザフィーラ。

ヴィ「〜〜〜嘘ついたの?ヴィヴィオとお話しなっかた!しゃべってくれなかった!!」
アルフ「ち、ちがう、ちがう!ザフイーラは嘘なんてついてないよ!ただ、ザフィーラは狼の姿と、人間の姿、両方になれんから」
ヴィ「じゃ、またこれから狼さんになってくれるんだ!?」
アルフ「い、いや、そうじゃなくてな〜」
ザフィ「いや、アルフ。我が全部話そう。……ヴィヴィオよく聞いてほしい。今、アルフのお腹の中には我とアルフの子が宿っている。
    ただの魔法プログラムでしかなかった我もアルフも、新しい命を生み育むことは諦めていた。
    守護獣、使い魔、そういった我らだったが、つい最近になってアルフに身篭っていることがわかった。
    我は父親になったのだ。そして、夫として父親として、日常で狼の姿のままでは社会的に都合が悪く、今後長きにわたり人型で過ごすことになる」
ヴィ「……ザフィーラ、パパになるから、もう狼になってヴィヴィオと一緒に遊べなくなっちゃうんだね……」
ザフィ「ヴィヴィオ……」
アルフ「ヴィヴィオ〜……」
ヴィ「じゃあこれからは、生まれる赤ちゃんを変わりに、う〜んと遊んであげてね!
   ヴィヴィオは大丈夫だよ。だって、だ〜ってヴィヴィオはお姉ちゃんになるんだから♪」

(以上妄想終了!>>395氏、ありっした!!)

406 名前:前スレ540-545:2007/10/08(月) 01:58:04 ID:H6E7bUfy
 スカリエッティが生み出した最後にして最強の戦闘機人トレディとの戦いに敗れ、辱めを受けたエリオ。
 そのままトレディのアジトに拉致された彼に更なる災厄が降りかかろうとしていた。


 The Last Numbers 第2話【改造そして洗脳】


「んっ、くっ…」
 自らの四肢を縛るバインドを解こうと力を込めるエリオ。だが、がっちりと食い込んだバインドはビクともしない。それを見たトレディは―
「今のエリオ君じゃ、その戒めを解く事なんて出来ないわ。無駄な事は辞めて、大人しくなさい」
 と、エリオの行動を嘲りながら、手にした装置を操作した。直後、低く重厚な駆動音と共に床からせり出す無数のポッド。
「こ、これは!!」
 ポッドの中身を見た瞬間、驚愕するエリオ。その中には自分と同年代か少し男女が収納されていたのだから無理もない。
(ポッドの数は全部で35…間違いない…)
「4日前に起きた連続誘拐事件。その犯人も…君なの?」
 半ば確証を得ながらも、トレディに問うエリオ。
「ええ、そうよ。『ル・ルシエ』の集落を滅ぼしたのも、希少動物を惨殺したのも、魔道士を何人も殺したも、この子達をさらったのも皆私。私の力を持ってすれば、どれも簡単だったわぁ」
 エリオの問いにそう答え、楽しそうに笑うトレディ。その表情から罪の意識はまったく感じられない。

407 名前:前スレ540-545:2007/10/08(月) 02:00:44 ID:H6E7bUfy
「どうして、どうしてこんな事を! 君は自分が何をしているのか、解っているのか!」
「解っているわよ。私にはやる事がある。その為の準備をした。それだけの事」
「やる事…一体、一体何をしようと言うんだ!」
「簡単よ。この世界の全てを私の物にするの。一言で言えば、世界征服?」 
「なっ…」
 トレディの口から出た言葉に絶句するエリオ。彼にはトレディがこれまで準備と称して行なった数々の犯罪行為と、目標と称する世界征服とがどうしても結びつかなかったのだ。
 だが、その疑問もすぐに解消する事となる。
「私は最高にして最強。神にも等しい存在だけれど、最大の障害となるであろう時空管理局と1人で戦うほど自信過剰じゃないわ。もっとも…1人でやったとしても勝てるだろうけどね」
「だから、私は仲間を増やす事にしたの。最初は捕まった姉達を脱獄させて…なんて事も考えたけど、半分以上は更生の道を歩んでるって言うし、それにわざわざ私より性能の低い連中をこっちから迎えに行くのも面倒でしょう…だから、別の方法を実行するの」
「別の…方法?」
「そう、ここにいる子達を私の仲間に作り変えてしまうの。あぁ、我ながら名案だわぁ」
「誘拐した子ども達を洗脳する気なのか! そんな、そんな事が許されると思っているのか!!」
 トレディの言葉に怒りを露にするエリオ。だが、ここで更なる疑問が浮かんでくる。
「…待って、ここにいる子達が幾ら魔力資質に優れていると言っても、ランクはせいぜいCランク…それにこれだけの人数じゃ、すぐに鎮圧されるのが関の山……」
「エリオ君は頭が良いわぁ。そう、たしかにここにいる子達をただ洗脳したって、大した戦力にはならない…でも、ここにいる子達を強化できたら?」 
「強…化……」
「そう、Cランクの子を最低でもAランク、上手くすればSランクにまで強化できたとしたら、例え40人弱の集団でも相当な戦力になる」
「そんな…そんな事…」
「できる訳ない。そう言いたいんでしょうけど、そんな事が出来ちゃうの。これを使えばね」
 そう言うと怪しげな溶液が入った試験管をエリオに見せるトレディ。
「この溶液には、億単位のマイクロマシンと希少動物のDNAが入っている。これを注入された者は、マイクロマシンの働きにより、体の中から強化改造され、同時に希少動物のDNAと細胞レベルで融合」 
「最終的には、戦闘機人並のパワーとスピード、希少動物との細胞融合によって得た莫大な魔力を併せ持つ存在が出来上がる訳…ちなみに、細胞融合によって得られる力は私自身で実証済み」 
「な、なんて事を…」
 悪魔の所業としか言いようのないトレディの言葉に戦慄するエリオ。その直後―

408 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 02:02:04 ID:/+gFS7G+
なあ、誰だよ、誰なんだよ。
さっきから天井から『ナノォォォォォ!!!!』とか叫びながら降下してきたり
『なのはゼミ』とか作って不良生徒を調教したりする
そんなどっかのギャンブル漫画の教師みたいななのはさんの電波送ってきてるのは

409 名前:前スレ540-545:2007/10/08(月) 02:03:18 ID:H6E7bUfy

 ガシィ!

 無機質な金属製のアームが、バインドの上からエリオを捕え、空中でX字に固定した。
「うぅ、うぁっ!」
 アームに強烈な力で掴まれ、思わず苦痛の声を漏らすエリオ。後ろを見ると大型のガジェットが自らを捕えている。
「くっ、僕をどうするつもりなんだ!」
「フフフ、解っているくせに…さっき話したばかりじゃない」
「ま、まさか…」
 トレディの言葉に最悪の展開を予想してしまうエリオ。そして、その予想は―
「これからエリオ君の強化改造を始めるわ…融合するDNAは…そうね、特別サービスで何種類かのブレンドにしましょう」
 あっさりと肯定された。同時にエリオを捕えているガジェットから1本の管が伸び始める。
「い、嫌だ! やめ、辞めてぇ!!」
 必死に戒めから逃れようとするエリオだが、バインドに加えてガジェットのアームに捕えられていては、どうする事も出来ない。
 そして、遂に管がエリオのアナルへと挿入され、溶液が注がれ始めた。 
「あ、あぁ…お願い、すぐに抜いて…こ、こんなの嫌だ……」
 異物感に悶え、不覚にもペニスを勃起させながらも、必死に懇願するエリオ。
 その間にも注入された溶液に含まれたマイクロマシンが、腸の粘膜から体内へ広がり、少しずつエリオの体を細胞レベルで強化改造していく。
 エリオは自分の体が変わっていく感覚を味わいながら、その意識を闇へと落としていった。


 続く

410 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 02:05:25 ID:/+gFS7G+
ごめん、変な文章で割り込んだorz
少し頭冷やされてくる

なのはゼミ| λ……

411 名前:前スレ540-545:2007/10/08(月) 02:07:19 ID:H6E7bUfy
今回はここまでです。スレ汚し、失礼いたしました。
また、タイトルに訂正があります。

誤:The Last Numbers 第2話【改造そして洗脳】
正:The Last Numbers 第2話【改造】

洗脳は次回に回しましたので、ご容赦ください。


412 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 02:36:25 ID:SV+qa3Ph
>>214
『御供え物』後半、黒エリオキター!!
ていうかまさかあそこまで全てユーノの策!? 恐るべし諸葛ユーノ…。
次回ユノヴィタ×なのは…二人は如何なる性策を持って悪魔をオとすのか、待ってますYO!!

>>267
外伝でユーノ×ヴィータ…GJ!!
幼妻ヴィータカワイイよヴィータ!
ユーノ身を固めたんだから少しはマシになってる&夫婦の夜の営みの事を期待してます!!

>>289
激戦GJ!!
ユーノの砲撃がツイン○スターライフル・ファイナルシューティングみたいでマジ惚れたZE!!
その直後のなのはも別の意味で凄かった…。つかRH、幾らなんでもそこは止まってやれよ…
次回、もしかしなくても聖王再臨か!?

413 名前:244(ID忘れたorz) :2007/10/08(月) 02:47:38 ID:gRqYQm84
>>411
割り込みスマソ

続き楽しみにしています!

414 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 03:15:03 ID:vXZAL40z
なあ408で笑っちまった俺はどうしたらいいんだ?

415 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 03:31:12 ID:/+gFS7G+
>>414
ギャンブルフェレットってタイトルで一本書けばいいと思うんだ

416 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 03:37:10 ID:a/Vf+0ij
>>407の直後――
の後に>>408のなあ、誰だよ、誰なんだよ
って続くから、続きかと思った俺はどうすれば…


>>414
笑えばいいんだよ。

417 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 05:16:42 ID:P+yVArhj
>>395
ヴィヴィ×ザフィGJ!もうカプっちゃえよって感じだぜ〜
4期でこのふたりのコンビネーションが観れたら氏んでもイイかも試練・・・

418 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 06:05:54 ID:GRncqJWj
>>417
ユーノがフェレット形態固定で参戦するわけだな。






はいはいうたわれうたわれ

419 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 07:56:40 ID:kGw71Q9N
>>411
乙 次回 期待

420 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 09:06:29 ID:GzKLhIpX
前にユーノが服を脱ぐと凄い筋肉で閃いた妄想www
ユーノが仮面を装着し人々を助けるシナリオが浮かんだwww

普段は冴えない司書長…
しかし仮面を装着すれば…!!

仮面ヒーローU



病院紹介してwww

421 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 10:23:25 ID:MbhXMrbw
SSは小ネタじゃなく長編でかくよろし

422 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 10:27:47 ID:MbhXMrbw
すみません
誤爆しました

423 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 10:43:50 ID:4A2TDDBC
>>395
ザフィーラの優しさに全俺が泣いた……そうだよな、ザフィーラもヴィヴィオの
家族だもんな。ああ、自分も名犬なザフィーラ書きてえ……

体育の日だというのに体を動かす予定もないのであと10分ほどしたら投下します

424 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 10:58:00 ID:4A2TDDBC
 ヤッパダレモイナイ、トウカスルナライマノウチ…
 ということで前回レス下さった皆さん、ありがとうございました。
 前回投下した時はまだ本編終了前だったんですね……本編にJS事件という言葉が出てきてこっそり
喜んだのももう過去の話です……
 停滞加減だったフリエリですが、完全にテンパったあげくなぜか爬虫類の交尾について調べている自
分を発見してしまったので、『これはちょっとアレなんじゃね?』と思い少し頭を冷やす事にしました。
フリエリを期待してくださってる方、本当にすみません。
ということで『stepwise』の続編(本編?)を始まることにしません。


<'(○∀○4'>…アレー!?


今回の注意
・主役はチンク、お相手はちっちゃい子の扱いに定評のあるゼスト(違
・博士と愉快な姉妹達もそこそこ出番あり
・24話作画レベルのがっかりエロあり、今回は博士と秘書のターン
・時期はStS本編12年前開始〜本編終了時まで
・オリ設定あり、一部キャラの性格がかなり変わっちゃってますorz ただし物語の結末は本編に準拠
・そこそこ長い
以上がアウアウな方はオプティックハイドをお願いします。注意書き多いな……

425 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 10:58:53 ID:4A2TDDBC
0.スカリエッティのラボ チンク

 深夜、右眼に痛みを感じて飛び起きる事がある。
 そうやって目覚める時は、決まって直前に同じ夢を見る。寝巻きもベッドのシーツも汗でぐっしょり
と濡れており、着替えるためにベッドから出た途端に曖昧になっていく夢の内容ははっきりと反芻でき
なくても、きっと自分は激しく魘されていたのだろうと容易に想像できる。
 任務のため、目的のためにこの身を差し出す覚悟はできている。それが造られた命である自分の運命
だと理解しているし、逆らう事も嘆く事もしようとは思わない。それでもこうして目覚めた瞬間だけは
普段考えなくてもいい事、考えないようにしようと努めている事まで考えてしまう。動く物、音を立て
る物が何一つない、最低限の家具だけが置かれた簡素な部屋。ドクターや他の姉妹も寝静まったこの時
間帯にこうして殺風景な部屋を眺めていると、まるで自分が世界で一人きりになったような錯覚に陥る。
自分より稼動暦の短い『姉』に話せば鼻で笑われそうな他愛ない空想。だが、そんな空想は不安という
大きな魔物となって私の中を自在に闊歩し、私は内なる魔物の蹂躙から逃れるように無意識に右眼に手
を伸ばす。
 眼帯を外しそっと指を伸ばしても、其処に本来ある筈の眼球は無い。かつて私に世界の半分を伝えて
いたその器官があった場所には小さな窪みが一つ残されているだけで、其処に痛みの原因となる物など
見つかりはしない。それでも、私はこの場所に触れずにはいられない。

 其処はきっと、この魔物の産まれた場所。
 失った眼球の代わりを求めて、魔物は今も私を責め立てているのだ。

 代わりなど――見つかる筈も無いというのに。



リリカルなのはStrikerS ポエム&ドラマSS(嘘)
レターステージ01『失った光(もの) 見つけた光(もの)』


1.十二年前 始まりの記憶


『おはようチンク、私の五番目の娘。世界に生を受けた気分はどうだい?』
 
 始まりの風景は今でもはっきりと覚えている。生体ポッド越しに見た創造主の顔は酷く歪んで見えて、
それが大仰な口調や仕種に奇妙なほどマッチしていた。ポッドから養液が抜かれ自分の足で一歩を踏み
出すと彼は満足そうな表情を浮かべて私に微笑んだ。

「感謝しています」

 そう答えると、彼は隣にいた長髪の女性が私を別室へと連れ出し、体の水分を拭き取ってくれた。女
性が部屋を出て行って間もなく、今度は別の女性が青いボディスーツを手に現れた。

「着ろ」

 長身で短髪のその女性に言われるままスーツを身につける。スーツは私の体にぴったりに仕立てられ
ていて、続いて靴や手袋等を身につけると私の格好は目の前の女性と瓜二つになった。
 女性に連れられ再び創造主の元に行くと、「よく似合っているよ」と彼は笑った。
「少し小さいかと思ったがサイズは丁度のようだね。相変わらずウーノは完璧な仕事をしてくれる……
それはさておき、まずは何から説明を始めようか。なにぶん私の記憶因子を持たない姉妹は君が初めて
なのでね」
 そう言って彼―ジェイル・スカリエッティ、ドクターは話し始めた。

426 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 10:59:56 ID:4A2TDDBC

 自らの出自、目的。私が作られた理由。それらの話は全て以前から聞いた事があった気もしたが、初
めて聞いたような気もした(おそらく後者が正しいのだろう、私は今まさに稼動を開始したばかりなの
だから)。全てを話し終えた後、ドクターは私に問いかけた。

「どうだろうチンク、私の宿願を達するために、その力を貸しては貰えないだろうか」

 私に選択の余地――そもそも行動を選択するという思考さえも、私にはなかった。

「我が命は貴方の為のもの。喜んでこの身を捧げます、ドクター」

 この瞬間、ナンバーズ五番・チンクとしての私の人生は始まった。


2.スカリエッティと長姉たち


「どう思う、ウーノ?」

 宙空に浮かんだモニターとボードに向かう長髪の女性―ナンバー1・ウーノにスカリエッティが問い
かける。
「最終調整時にもバイタルに大きな問題は見られませんでした。まだ稼動を開始して数時間ですが、培
養途中で確認された成長不全以外に、作戦行動に問題を来たす要素を持つ可能性は非常に低いと思われ
ます」
「その成長不全とて彼女のISを考慮すれば大きな弱点には成りえないでしょう。私のような格闘型と
違い、同じ前線でも彼女は直接接触を伴う戦闘スタイルを取る事はないでしょうから」
 短髪の女性―ナンバー3・トーレが口を挟む。
「少し残念そうね、トーレ。自分の実戦経験をあまり彼女に生かしてやれないのが寂しい?」
「まさか。我々は各々が異なる作戦行動の為に作られた、いわば一芸特化型の存在。タイプが同じでは
数を増やす意味が半減します」
「そう悲観する事はないよ、トーレ。いずれ来る管理局との戦闘では、多数の空戦魔導師を相手にする
事になるだろう。優秀な空戦型が完成した際には、君の蓄積したデータがきっと役に立つだろう」
「いえ、未だ私など若輩の身。さらなる精進が必要です……私はこれから訓練室に向かいます」

 一礼してトーレが部屋を出て行く。ドアが完全に閉まると、スカリエッティは息をつきソファに倒れ
込んだ。

「随分と気を張っていらしたのですね。あの子ならば、貴方が弱さを垣間見せたところで忠誠心を失う
事などないでしょうに」
「なに……『娘』の前で強い『父親』を演じたい……くだらない意地さ」
「或いは、失敗を他人に悟らせたくない研究者の意地……ですか」
「まったく……君には敵わないな」

 どこまでも優秀な姉妹の最古参に、スカリエッティは苦笑いを浮かべる。

「そう、チンクは紛れも無い『失敗作』だ。確かにバイタルは良好、与える役割を考慮すれば任務を達
成するのには何ら問題はないだろう。だがそれでも彼女の身体に『成長不全』という問題が発生し、そ
の原因も問題解決の方法も全く突き止められなかったという事実に変わりはない」
 スカリエッティは自嘲気味に呟く。
「用いたのは君と同じクローン培養、素体となった人物こそ違うが行った手順に違いは何一つ無い。だ
が彼女の成長はある時期を境に止まり、その後はどんな理論を用いても、どのような操作を施しても結
果は変わらなかった……私の完敗だよ」

 ウーノがコンソールを閉じ、スカリエッティに近づく。

427 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 11:00:47 ID:woxphwCL
>>371
俺の脳内ではピンチになったはやてを救いにくる初代リインフォースとともに
すでに確定事項でしたorz

428 名前:『失った光(もの) 見つけた光(もの)』:2007/10/08(月) 11:01:00 ID:4A2TDDBC

「最高評議会の頓挫した戦闘機人の研究を継続し、機械を受け入れられるよう素体を調整する手法を確
立したのが十数年前。それからも数え切れぬ失敗と犠牲を繰り返し、ようやく三例の成功まで漕ぎ着け
た! 遠からずナンバー4も稼動する、だがっ……それもこの調子では無事成功するかどう……」

 独白から叫びに近くなっていたスカリエッティの言葉が中断する。ウーノがソファの背後に回り、覆
い被さる様にして彼を抱きしめたからだ。
「ウーノ……」
 猶も何かを言いかけようとするその唇を、ウーノは自らの唇を重ねて強引に塞ぐ。十秒ほどそうした
後、ウーノが優しく語り掛ける。

「今日はもうお休みください。根を詰め過ぎれば、浮かぶ理論も浮かばなくなります」
「本当に敵わないな、君には……今日はもう休むとしよう、だが……」
「ええ。あなたがいいと言うまで、いつまでもこうしています」


3.ウーノの独白


 ジェイル・スカリエッティ。
 管理局最高評議会が今はもう失われた世界、アルハザードの技術を使って生み出した存在。
 生命操作や生体改造のプロフェッショナルでありながら他分野でも稀有な才能を見せる、まさに天才
と呼ぶに相応しい人。
 けれど今私の隣で眠っている彼の寝顔は、世界が勝手に作り上げたその肩書きなどまるで的外れだと
思わせるほどに穏やかで、こうしていると本当にどこにでも居るただの人間に見えてくるから不思議だ。


「ウーノ……もういいよ」

 あの後、私の抱擁を解いた彼はソファから立ち上がると、強引に私の唇を奪った。
 そのまま私を侵略するかのように、彼の舌が私の口腔で暴れ回る。それはとても荒々しく、他人なら
ば到底その動きに愛を感じる事などできないだろう。でも私は知っている。これが彼にとって至上の愛
情表現であり、本当に彼が愛する人間にだけ見せる真実の姿だと。


 ――『無限の欲望』。彼を生み出した最高評議会がつけた、彼の開発コードネームだ。
 世界に生を受けた彼はその名に恥じぬ探究心を発揮し、あらゆる知識を貪欲に吸収しながら成長し続
けた。
 だが、多くの知識を得る事が必ずしも幸福を呼ぶとは限らない。どれだけ優秀であろうと、どれだけ
多くの知識を吸収できようとその処理速度には限界がある。一人の人間が海の水全てを汲み出す事が不
可能なように、次元世界の全てを彼の小さな脳に収めるには何もかもが足りなかった。それでも何も知
らず腕を動かし続けていられる間はいい。海の広さ、そして深さを知れば嫌でも自分のやっている事が
無意味な行為だと気づいてしまう。
 だけど彼は気づき、それでもなお腕を動かし続け……やがて壊れてしまった。前任者達と同じように。

 私がウーノと呼ばれる前、つまり私の素体となった人物はジェイル・スカリエッティの前の担当者で
あり、生まれたばかりの彼の世話係だった。私のIS『フローレス・セクレタリー』が持つ、高度な知能
加速・情報処理能力向上チューンといった能力は、最高評議会が私の素体を生み出す際、効率よく知識
や理論を吸収・構築するために素体の人物に付与した固有技能である。だが、この能力も知識の海の前
ではさして役に立たなかった。水を汲み出す腕が二本から三、四本になったところで、結果は何も変わ
らない。評議会もその事に気づき、素体の人物を担当者の任から降ろしたのだ。
 彼女の後を受けたスカリエッティは歴代の担当者の中でもずば抜けて優秀だったが、彼でも知識の海
を支配する事は出来なかった。評議会は新たな担当者を用意し壊れた彼は罷免、彼の世話係を努めてい
た私の素体も役目を失いその活動を停止した。

 だが、その事が思わぬ事態を引き起こす事となる。スカリエッティが突如最高評議会の目的である生
命操作技術の完成に着手し、研究を進め始めたのだ。相変わらず彼は壊れたままだったが、歴代の担当
者の中で初めて自分達の望む様に動き始めた彼を評議会は止めなかった。例え彼の本当の目的が私の素
体であり破棄された前任者――彼が愛した女性を復活させる事であった事に気づいていても。


429 名前:『失った光(もの) 見つけた光(もの)』:2007/10/08(月) 11:02:00 ID:4A2TDDBC


 彼は舌を動かし続けながら、今度は右手を私の胸に伸ばす。
 愛撫というよりは握り潰す勢いで胸を揉まれ、痛みと紙一重の快感に意識を失いそうになるのをなん
とか堪える。その姿に嗜虐心を刺激されたのか、彼は一旦私から離れ、両手で私を抱え上げる。

「ウーノ……」
「構いません。行きましょう」

 私の言葉に頷くと、彼は私を抱えたままベッドまで歩き、私の体を乱暴にマットレスに投げ落とす。
彼はそのまま間髪を入れずに私の上に覆さる。
 両手で私のスーツに手をかけ、強引に引き千切る。リボンやボタンが弾け飛び、インナーも毟り取る
と露出された乳房に彼が貪るように吸い付く。

「……ッ」
 口腔で猛威を振るった彼の舌が、今度は私の乳首に狙いを定める。始めは強く擦るように、次は優し
く愛撫するように。自由自在に弄ばれ、私の口から小さな喘ぎが漏れる。その声が引き金になったかの
ように、彼の動きは次のステップに入る。
 左手でもう片方の乳房を揉みしだきながら、右手を下半身に伸ばす。スカートの中に手を伸ばし、ス
トッキングとインナーの上から秘所を刺激する。既に私のそこは濡れぼそっていて、ちゅぷ、という湿
った音が普通の人よりも音を聞き取れる耳に入ってくる。

「ドク…ター……下を、脱ぎますっ……」
 快感の波に思考を掻き乱されながらそれだけ口にすると、彼の右手にそっと自分の右手を添える。そ
のまま彼の手を掴みゆっくり秘所から離すと、空いている左手でベルトを外しスカートとストッキング
を摺り降ろす。胸に与えられる快感に意識を乱されるのと、片手だけの動きという事で少し時間がかか
り、インナーを降ろす前に彼の手が私の手を振り解く。そのままインナーの端から指を突っ込むと私の
内部に指を侵入させ強引に動かす。

「あぁっ…ドクター……!」
 生身の人間と変わらない私のそこは、指を出し入れされる度にぐちゅぐちゅと嫌らしい音を立てる。
「ドク……あ、あッ……ゆび……私の中をっ……」

 私は嫌がる素振りを見せるが、本当は止める気などない。彼の指遣いにされるがまま、波濤のように
襲ってくる快楽に身を委ねる。

「ふああぁっ!!」

 そのまま私は一度目の絶頂を迎えた。股間から噴出した液体が私自身とドクターにかかり、顔を上げ
たドクターが狂気染みた笑みを見せた。

「もうイってしまったのかい、ウーノ? やはり君の感度は一級品だ」
「……はぁ……ド…クタ…ぁ…はぁ……」


430 名前:『失った光(もの) 見つけた光(もの)』:2007/10/08(月) 11:02:33 ID:4A2TDDBC

 満足に声を発する事ができない私の唇と、再度彼は唇を合わせる。今度は優しく、隅々までゆっくり
とねぶっていく。先ほどまでとは違う、優しい口付けは嵐の前の静けさ。このキスが終わると彼は理知
的な研究者から獣へと変貌を遂げ、目の前の獲物を喰い散らかす。それがわかっているから、私は心を
鎮めてこの後の嵐に備える。

「……ウーノ」 
「……はい。次は貴方の番です……望むまま、求めるままに」

 私を見つめる金の瞳に、僅かに浮かんだ感情は哀しみ。しかしそれもすぐに消え、その眼は獰猛な猛
禽類のものに変わる。私は彼のベルトを外し、彼はズボンを下ろす。これが二人の最後の共同作業。こ
の後始まるのは、愛があるとは言い難い、一方的な行為。

「行くよ」
「あつっ!!」
 既にぬめぬめとした液体に覆われた彼の自身が、私の中に挿入される。私も十分に濡れているとはい
え、一気に中に侵入してくるそれに裂けるような痛みを感じてしまう。だがそんな私の様子を彼は気に
かけることはなく、乱暴に腰を動かしていく。

「あっ、はっ…くうっ……は、あ、あっ!」
 膣の中を滅茶苦茶に掻き回される快感に、視界が明滅する。
「くっく、ははぁ……はあっはっはっはっはあぁっ!!」
 彼は狂ったように絶叫しながら腰を突き動かす。目の前の敵に何度も刃を振り下ろす兵士のように、
殺意すら感じさせる強さで私を壊そうと何度も突く。
「はっ、はっ、ドクタ、もうっ……!!」
 完全に体がコントロールを失う前に、両腕を伸ばして彼の体を抱き寄せる。彼もまた私の体に腕を伸
ばし、二人は一つになる。きっとこの瞬間、彼の心に私の姿は無い。けれど、せめて体だけは――
 
「だ、めっ、です、ドクター!!!」
「いいいいともっ、来たまえ、くはっ、くあはははぁっはっはああっ!!」
「はあああぁっ!!!」

 同時に絶頂を向かえ、彼の体から一瞬力が抜ける。私も刹那意識を失う。
 三十秒ほどそうして倒れ込んだ後、彼が起き上がり私に呟いた。

「さあ、続きといこうか」


 それから彼は何度も私を貫き、奪い、蹂躙し尽くした。
 意識は完全に途切れ途切れになり、何があったのか思い出そうとしても彼の笑い声や狂気に満ちた金
の瞳がフラッシュバックするだけ。嵐の海に浮かぶ小船と化した私が自分を取り戻せるのは、嵐が通り
過ぎるのを待つ以外に術は無い。
 私はもう一度彼の寝顔を見やる。何度見ても穏やかな顔で、彼が抱える一切の苦悩も難題も、この瞬
間だけは彼の頭の中から姿を消しているに違いないと思う。

 生命操作技術を完成させ、失われた最愛の人を蘇らせようとした彼は懸命に研究に打ち込み、漸く彼
女と同じ姿を持つ私という女性を完成させた。

431 名前:『失った光(もの) 見つけた光(もの)』:2007/10/08(月) 11:03:06 ID:4A2TDDBC

 けれどどれだけ外見を似せ、生前の記憶を与えても私は彼女自身にはなれない。彼もそれをわかって
いたから、私に彼女と同じ名を与える事はなかった。私も妹達も完璧な彼女が完成するまでの試作機。
ただ数字で呼ばれ、データ収集を兼ねて戦闘や実務をこなすだけの存在に過ぎない。
 これから彼が生命操作技術の研究を続け、何らかの形で本物の彼女を復活させる事ができるまで、ど
れだけこの数字は増え続けるのだろう。きっと気が遠くなるような年月が必要だ。その為の時間も場所
も資金も何もかもが足りない。いずれ評議会とも袂を分かつ事になるだろう。きっと激しい戦闘が起こ
る。それらの戦いに完全に勝利し、研究に専念できる環境を完全に整えられるまでの道程は限りなく困
難で、その事について考える彼は時々消え去ってしまいそうなほど弱々しく映る。

 だから私は彼にこの身を差し出す。快楽の中に溺れている間だけは、彼も眼前の困難や遠すぎる目標
を忘れる事が出来るから。
 貪り尽くし、全てを吐き出し尽くして疲れの中落ちる眠りの間だけは、彼の心に安らぎの時間が生ま
れるから。
 他人に見せられない弱さは、全て私に吐き出せばいい。

 私は時々考える。この気持ちは私の中に植え付けられた素体が持つ記憶のものなのか、それとも彼の
助手として研究を続けるうち、私自身の心に芽生えた感情が生んだものなのか。考えたところでこの問
題の答えが出ないのはわかっている。戦闘機人である自分が言うと皮肉にしか聞こえないかもしれない
が、人の心も人が完全に理解する事など到底出来ないものなのだから。

 私は彼を起こさないようそっとベッドを抜け出すと、彼が目覚めた時に取るであろうコーヒーと軽食
の準備をするため部屋を出た。


432 名前:ておあー…orz:2007/10/08(月) 11:05:49 ID:4A2TDDBC
 うわぁ、久々に投下したら途中まで名前とタイトル入れるの忘れてたっ
 以上です。お付き合いくださった方はありがとうございました。
 過去自投下の中で一番反応が多かった眼鏡祭り開催の要望をガン無視する俺\(^o^)/
 ……だって……カッコいい司書長は最近別の作品に溢れてるし……クアットロ? 散々眼鏡氏ねだの
腹黒だのいらない子扱いしてたじゃんかよぉ……orz ホントはゼストとチンクにときめきを感じていた
矢先にSS03が来たので、脳汁がリミットブレイクしてやらかしただけです。いろいろすみません。書い
てくうちに本編で純粋な研究馬鹿だった博士の中の人もプレシアママンになっちまうしもう/(^o^)\

 本編にあるチン姉稼動時期の12年前という数字は@クアの実務が10年あまりだから稼動はもうちょい
前Aチンクの稼動はクアより若干長い、という点から勝手に推測。後で見直したらセッテ達は最終調整
中もポッドの中で服着てたけど書き直すのが面倒なので剥きっぱなし。
 ところで博士とウーノは本編でもガチで夫婦っぽいと思うのにここではあまり取り上げられません
ね。一応親と娘になるからかしらん……需要? 何それおいしいの?

433 名前:224  ◆Nw9Ad1NFAI :2007/10/08(月) 11:20:36 ID:UAFV5y0m
>>432
GJ!!!
俺が読みたいSSそのものだぜw

>需要? 何それおいしいの?
ノシ
俺がいる。クアットロも待ってます!

434 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 11:32:10 ID:WDLbydPF
>>427
と言うことは電波を送ってきたのは貴方か。

テストが終わったらSSに起こしてみようかな……

ところで御神の剣士の話ってなのは関連で出てきたっけ?

435 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 12:03:08 ID:hXMiGK0p
>>432
GJです

>散々眼鏡氏ねだの腹黒だのいらない子扱いしてたじゃんかよぉ
世の中には天邪鬼やギャップ萌えという言葉がありまして
何が言いたいかというとクアットロの話まっています

436 名前:騎士よ眠れ:2007/10/08(月) 12:38:05 ID:WiK9e/se
続きです

437 名前:騎士よ眠れ:2007/10/08(月) 12:38:43 ID:WiK9e/se
 聖都跡西南部の山岳地帯から出現した巨大艦船に、フェイトは言葉を失って大きく眼を見
開いた。凝然と注がれるフェイトの視線の先に、あの狂気の科学者が蘇らせた聖王のゆりか
ごが再びその偉容を露にする。
「そんな、ゆりかごは私達で完全に破壊した筈……!」
「何も、建造されたゆりかごが世界で一隻だけというわけでもあるまい。あれは太古の昔、
ミッドチルダとベルカの間で起こった戦争の時代に建造された同型艦のようだ」
 ザフィーラが苦々しく言い、複雑な胸中を滲ませる面持ちで悪夢のロストロギアに振り向く。
 シグナムはヴィータが抑え込んでいたレヴァンティンを引き、ザフィーラに倣って西南方

へと涙の枯れた瞳を飛ばす。
 彼女の傍へフラフラと進んだヴィータが、遠方の光景が信じられない風に焦燥に満ちた喘
ぎを漏らした。
「んなわけあるか……! だって、アレは聖王の器が無けりゃ動かないんだろ! どうなっ
てんだよ!」
 激しく困惑するヴィータ達の周囲に転送魔法の光が立て続けに発生し、それぞれの意匠で
練り上げられた騎士甲冑を纏った戦士が次々に出現する。
 聖都跡地上空の四人は反射的に死角を補い合う様に固まり、ベルカの騎士達の陣容に戸惑
いを隠せなかった。

 勇敢なるベルカの騎士達よ

 世界に直接響き渡る男の声は、ザフィーラの敏感な反応を誘う。彼が陣形から外れ、堪ら
ずにゆりかごの方へと進み出る。
「主……主、なのか……?」
 ある筈が無いと頭で理解していても、その聞き紛わない声がザフィーラに多大な動揺を浴
びせる。
 ヴィータも封印の解かれた記憶に滾々と芽生える遥か太古の記憶に、その声の持ち主の面
影を見た。だが彼女の記憶にある声と先程の声は同一人物でありながら、人間味というもの
の有無が決定的に違っていた。
 今の声には、彼女の記憶にある優しい印象が全く欠落していた。
「パパ?」

 我々は時空管理局の横暴には屈しません。全ての者は教えにより救済され、その魂を主の
もとへと導かれるのです。
 さぁ、愛しい我が子等、主の僕達よ。今こそ武器を手に持ち立ち上がるのです。
 この聖王ヴィヴィオ十八世のもとに集い、時空管理局の侵略を阻止する為に。
 栄誉は死と共に。永劫の安寧は勝利と共に。
 苦境に立ち向かう我々を、約束の地アルハザードは必ずや勝利に微笑んでくれるでしょう。
 母なるベルカの地よ、どうか戦地に赴く我々を守り給え……。

438 名前:騎士よ眠れ:2007/10/08(月) 12:39:52 ID:WiK9e/se
 古代ベルカの地へ厳粛に響き渡る声は、続々とゆりかごから出撃する騎士達を鼓舞した。
彼等は鬨の声で大気を奮わせ、死をも恐れぬ覚悟でアームドデバイスを空高く掲げる。
「馬鹿な、父は王家の血等引いてはいない! 聖王としてゆりかごの管制を司る等、どんな
事があっても不可能の筈だ!」
 主に魔導専門の技術者であった父の記憶を掘り起こし、シグナムは身体を歪めながら矯激
に言葉を発した。
 ザフィーラは内心の乱れを帯びた濁った双眸で、一途にゆりかごを凝視していた。
「いや、それは違う……主がゆりかごを制御しているのではない。ゆりかごのシステムが強
制的に、主の意識を擬似的な管制システムとして掌握しているのだ。主は生前ゆりかごの設
計者でもあった……恐らくあのゆりかごは、聖王ではない騎士でも運用が可能な調整が施さ
れているのだろう。戦時中に急遽建造されたものだとすれば、そのような改良も不思議では
あるまい。最早アレはゆりかごの姿をしているだけでゆりかごではない、正真正銘、次元世
界殲滅用の移動要塞だ。しかし何故だ……永い間の封印でシステムに異常が起こっているの
か、主は己を聖王であると誤認しているのか……?」
「いけない……あのまま放置していたら、あの時の様に他の次元世界も危機に陥る可能性が!」
 重傷も構わずにフェイトが飛行魔法を噴射させる。徐々に包囲網を形成する騎士達の渦中
へと突貫しようとしたフェイトの前に、彼女同様すぐに気絶してもおかしくはないシグナム
が躍り出た。
「シグナム……!」
 シグナムは血に濡れた唇を強く噛み締め、狂おしい懊悩の果てにフェイトから身体を背けた。
彼女の限界近い疲労に染まった瞳に、自分達を敵と看做したらしい同胞の面々が並ぶ。
「行け、テスタロッサ! お前はスクライア司書長と高町なのはの二人と合流し、一足先に
ゆりかごの撃沈に出るのだ!」
 フェイトはようやく自分の想いが通じた事の喜びに、痛々しく負傷した形相を輝かせた。
「やはり貴様等は管理局に与する裏切り者か! おぉ、嘆かわしい! 騎士の誇りを失った
堕落者よ、今ここで我等の手による断罪を受けるがいい!」
 一人の古代ベルカ騎士がシグナムへ襲い掛かり、他の騎士達もヴィータ、ザフィーラへと
敵意を集束させた。シグナムが辛うじて斬り伏せた騎士は、刀傷から流血も見せずに細かい
粒子となって四散する。
 シグナムが思わず狼狽し、奇妙な攻撃の感触に愛剣へ視線を下ろした。
「ゆりかご独自の守護騎士プログラム? 一体どういう事なのだこれは。父さん……!」
 一瞬の包囲の揺らぎを突き、フェイトが渾身の瞬発力で敵の後方へと突破する。
「行かせはせん!」
「──仄白き雪の王、銀の翼以て、眼下の大地を白銀に染めよ。来よ、氷結の息吹!」
 西南を目指す金色の疾風へ追撃を仕掛けようとした騎士達が、しかし上空から降り注いで
きた輝く凍気の閃光に行動を抑止させられる。地上へと届いたその閃光は、古代文明の主要
都市跡を一瞬にして氷河の荒地へと変貌させる。
「この魔法は……」
「シグナム! ヴィータ! ザフィーラ!」
 色彩豊かな華美な騎士甲冑に身を包んだはやてが、シャマル、リインフォースUと共に三
人のもとへ駆け付ける。

439 名前:騎士よ眠れ:2007/10/08(月) 12:40:36 ID:WiK9e/se
 夜天の書の主が放った広域魔法の威力を目の当たりにし、臨戦態勢に移っていた古代ベル
カ騎士の軍勢は一様に周密な警戒心を漂わせて敵の様子を窺う。
 はやてと同じく既に騎士甲冑を装着しているシャマルが、三名の朋友の前で涙を湛えた双
眸を柔らかく緩める。シグナムも、ザフィーラも、ヴィータも、二人に気まずい無言を呈す
るしか出来ずにいた。
「三人共、無事だったんですね。よかった、本当にっ……。……シグナム、酷い怪我じゃな
いですかっ。急いで治癒してあげますから……」
 シャマルがその繊細な指に嵌めたクラークヴィントを閃かせ、放たれた治癒の光がシグナ
ムの見るに耐えない肉体を健常な状態へと復元していく。
 シャマルの詠唱が終わったと同時に、未だ押し黙ったままのシグナムの頬を、はやての掌
が打ち据える。更に、はやての掌が頬を打つ音はもう二度続いた。
「はやて……」
 片頬を赤く腫らし、ヴィータが呆然とはやての怒りと悲しみが綯い交ぜになった表情を見
遣った。
「何でこんな事すんの! ヴィータはちゃんと寝てやなあかんやないの! シグナムとザフ
ィーラも、仕事も放ってこんな所で何やってんの! 私達がどんだけ心配したか、もっと殴
ってわからせたろかっ!」
 論理も理屈も関係無く、はやてはただ感情の赴くままに叫んでいた。初めて主に手を出さ
れた三人は、その衝撃も合わせて痛い程に伝わるはやての切ない気持ちに、益々慙愧の念が
胸中に浮かび上がってきた。
「マイスターはやて、喧嘩は後回しにするしかないみたいですっ!」
 リインフォースUに仲裁に入られたはやては、激情の焔を灯した瞳のままで彼女の小さな
身体を見た。初めて見るはやての人相と涙に、リインフォースUは背筋の慄然を禁じ得なか
った。
 しかし小さな彼女の意見を汲む事にしたのか、はやては眉間に険しい皺を刻んだまま少し
の間瞑目する。再び開かれた彼女の瞳は、警戒を保っている古代ベルカ騎士達へと向けられた。
「主はやて……」
 はやての赫怒は烈火の将さえも圧倒し、萎縮させていた。
「許さへん。三人は絶対に許さへん……! このまま消えたりしてみぃや! 私が後を追っ
ても文句言わせへんからな! これからもずっと一緒にいてくれへんと、私は皆を絶対に許
さへんから……!」
 騎士杖と魔導書を強く握り締め、はやては声を震わせて低く呻いた。
「こっから一緒に帰るんや。早くアレを黙らせて、仕様プログラムも見つけて、皆で一緒に
帰らんとあかん!」
『その通り。はやて、一刻も早くゆりかごに向かうんだ』
 はやての正面で、魔法通信が開かれる。画面に映る緑の髪を持つ端整な容貌の局員が、滅
多に見せない真剣な顔ではやてと周りの各位を見回す。
「ロッサ! ゆりかごの調査、どうやったん?」
『あぁ、今さっき大半を終えたところだよ。それで吉報と言っていいのかわからないけど…
…動力炉に隣接する魔導装置区画で、巨大な夜天の書が駆動している。恐らく、この無限の
守護騎士達はそれで召喚されているんだろう。君の持つそれのレプリカと思って間違いは無い。
この世界が発見されてから、ずっと極秘に調査を続けていたんだが……どうやら、残された
希望はゆりかごにしか無いらしい』

440 名前:騎士よ眠れ:2007/10/08(月) 12:41:19 ID:WiK9e/se
「守護騎士の召喚が行える夜天の書……」
『君が持っている方は、長年の稼動で仕様プログラムは劣化しているのか失われているのか
しているが、ゆりかご内の夜天の書には必ず万全の状態で稼動している。どちらも同じ規格
ならば、きっとプログラム自体も共用が可能だよ』
 そして、ヴェロッサはシグナム達に温和な笑みを浮かべた。
『はやての家族ならば、僕の家族でもあると言っても過言ではない。まだ希望を棄ててはい
けない。そうだ、これが終わったら君達も一緒にお茶をしよう。いい葉を用意して待ってい
るから』
 そこでヴェロッサからの通信は途絶える。守護騎士の四人は、自らの最後の鍵を秘めるゆ
りかごへと未来を信じる姿勢で向き合った。
 尚もゆりかごから出現する古代ベルカ騎士は、はやて達の周囲だけでなく、世界各地に無
尽蔵と思える程の数が投入されていく。
「ヴィータ、お前は下がっていろ」
「何で、だよ! あたしだって戦える! あたしも行くんだ! あたしも、はやてと一緒に、
お前達と一緒にパパを止めるんだ……!」
 何もしなくてもヴィータの体力が削がれているのは、その土気色の顔色で誰の目にも明ら
かだった。シグナムの提案を、彼女は癇癪を起こした様に断固拒絶する。大声を上げた反動
か、グラーフアイゼンを構える鉄槌の騎士は血反吐でも吐くかの様に激しく喘息した。
 はやて達の四方を囲む古代ベルカ騎士は、更なる増援によって絶望的な戦力差を彼女達に
突き付ける。流石のはやての顔にも、濃厚な敗色に屈しそうな亀裂が入った。
「マイスターはやて。ヴィータちゃんもしっかり戦えるようにするですよ」
「リインフォース、でも」
 リインフォースUがはやての眼前に移動し、普段の彼女からは想像もつかない頼り甲斐に
満ち溢れた様相を見せた。末娘の作戦をそれだけで察したはやては、苦衷に胸を軋ませる。
「シグナム、ヴィータちゃん、シャマル、ザフィーラ、皆で一緒にリインとユニゾンです!」
 頓狂なリインフォースUの宣告を受けて、四名の守護騎士の視線がリインフォースUへと
一挙に集められる。
「おいリイン、本気でそんな事出来るのかよ」
 半信半疑のヴィータの疑問を、リインフォースUは揺るぎ無い自信で解消した。
「出来る、出来ないじゃありません。やるんです! 痛みも苦しみも……一人一人の心をリ
イン達で共有すれば、きっとどんな苦難だって乗り越えられます!」
「……よし、私はお前を信じるぞリイン」
 消滅の予兆を依然として深刻化させているシグナムの同調を起因にして、シャマルもザフ
ィーラも決心を固めた姿勢に移る。
 程無くして、ヴィータも一瞬だけ清々しく笑むとリインフォースUの近くへと寄った。
「皆さん、行きますよ!」
 リインフォースUを中心にして、四名の守護騎士が各々の配置につく。
「ええい、突撃だ! あの珍妙な術式を阻止しろ!」
 今まで待機を選んでいた古代ベルカ騎士の一人が痺れを切らし、はやて達へと攻勢に出る。
「私の家族をやらせへんで!」
 はやてが騎士達の前に前進すると、シュベルトクロイツを掲げて魔法を詠唱し、敵の進行
を喰い止める。彼女の背後で、五つの魔力が融合していく眩い発光が放出された。

441 名前:騎士よ眠れ:2007/10/08(月) 12:41:58 ID:WiK9e/se
『ユニゾン・イン!』
 シグナムが、ヴィータが、シャマルが、ザフィーラが、それぞれ純粋なプログラム媒体と
なってリインフォースUのもとへと集う。
 烈火の将が持つ不撓不屈の騎士の誇りが、グラーフアイゼンと結合したレヴァンティンと
なってリインフォースUに捧げられる。
 紅の鉄騎のうちに漲る仲間達への厚い絆が、如何なる攻撃も耐え得る万能強靭な騎士甲冑
をリインフォースUの身体に構築させる。
 風の癒し手から感じられる深い慈愛と労わりが、リインフォースUに高邁で気高く思慮深
い騎士道精神を具えさせる。
 青き狼による頑健な守護の結界が、各名のリンカーコアを激しく活性化させてリインフォ
ースUに沈勇な騎士の姿への進化を促す。
「──成功したんやね皆!」
 振り向いたはやての視界に、見事に守護騎士との同時融合を成し遂げたリインフォースU
の姿が閃きの中から現れる。
 通常の人間大の背丈へと成長したリインフォースUは、主と酷似した幻想的な翼をはため
かせる騎士甲冑を纏い、炎の魔剣と鉄の伯爵が結合した万能型決戦アームドデバイスをその
手に構え、神秘と奇跡の美貌で愛する主へと凛々しい眼差しを向けた。
(行くぞ皆、デバイスの操作は私に任せろ!)
 どこからともなくシグナムの威勢の良い声が響く。
(来やがれ亡霊どもが! どんな攻撃だってあたしの鎧で弾き返してやる!)
(私の補助魔法もです! だから敵を恐れないで、リインちゃん!)
 ヴィータとシャマルが、絶対不可侵の防御力を互いに相乗させる。
(……今は前だけを見据えろ。討つべき相手を見誤るな!)
 ザフィーラもリインフォースUの想いに応える為に叫んだ。
(稼動に必要な基本オペレーションはリインに任せてください! だから、皆さんも与えられた役目にだけ集中して!)
「行くで皆! 早くここを切り抜けてフェイトちゃんを追わんと! ぐずぐずしてる暇なんか無いんやしね!」
 リインフォースUははやてに並び、心服の面持ちで頷いた。
『我々は如何なる時も貴方と共に! 主はやて!』

 肌を突き刺す不可解な冷気に起こされ、ティアナはうっすらと視界を開けた。前方に広がる氷河地帯に驚嘆し、瀕死の状態も忘れて上体を持ち上げる。
「何これ……」
 咄嗟の行動で神経に響いてきた痛みに呻き、擦り剥いた肩に掌を当てる。
「ここにも居たぞ! 時空管理局の狗め!」
 弥が上にも当惑するティアナの上空で、古代ベルカ騎士の面々が殺意に満ちた姿で地上へ
着陸する。状況を正しく把握出来ないが、ティアナは自分が四面楚歌の地獄の入り口に招か
れた事だけは朧気に感じ取った。
 ティアナは這いずってでも襲撃者から逃れようとするが、古代ベルカ式のバインド魔法が
彼女の片足に突き刺さる。ティアナは苦しげに呻き、その場に縫い止められて撤退を封じら
れた。

442 名前:騎士よ眠れ:2007/10/08(月) 12:42:52 ID:WiK9e/se
「嫌だな……あたし、こんな所で終わるの?」
 わけのわからない因縁に抗う事も出来ず、ティアナは余裕綽々と歩み寄ってくる古代ベル
カ騎士を虚ろな瞳で見上げた。
 ティアナの目前で足を止めた古の亡霊は、斧型のアームドデバイスを頭上高く持ち上げる。
それが全力で振り下ろされる瞬間、ティアナは俯いて両目を深く閉ざした。
 ティアナの頭を叩き潰そうと一撃を繰り出しかけた古代ベルカ騎士だが、殺害の一撃は上
空から放たれてきた射撃魔法に阻まれた。
 来るべき死の一瞬が訪れない事で、ティアナは顔を上げた。ティアナの周辺の地上が、大
空を遮る巨大な艦影に覆われる。更に見上げたティアナの視線は、急速に降下してくる一つ
の人影を発見する。
 ティアナの眼前で射撃魔法の不意打ちを回避した古代ベルカ騎士は、だが頭上からの奇襲
の拳を命中され、肉体プログラムを消滅させた。
「遅れてごめん、ティア!」
 高々度からの着地もマッハキャリバーでしっかりと成功させ、スバルは地面に腰を崩した
ままのティアナに顔だけを振り返らせる。
 これは夢かと眼の前の光景を疑うティアナだが、スバルに続いて地上へ降り立った赤髪の
少年騎士と、使役竜の背に乗って加勢に続く召喚魔導師の少女が、ティアナの現実感を確か
なものに変える。
「キャロ、ティアナさんの治療を急いで! 敵は僕とスバルさんで何とかするから!」
 仲間を討たれ、氷河と荒地の境界付近で待機していた古代ベルカ騎士達が一斉に進撃を開
始する。スバルとエリオが、数の不利も顧みず敵陣へと駆け出す。
「待っててくださいティアさん、すぐに手当てをします! フリードは二人の援護をお願い!」
 一度フリードリヒからティアナの前へ移動したキャロは、至急フィジカルヒーリングを詠
唱する。主君の命を受け、フリードリヒが雄々しい体躯を戦場へと羽ばたかせた。
 キャロの治癒魔法を受けながら、ティアナは絶望とは逆の放心でその優しい光芒を傷口に
浸透させていた。
「ど、どうして? 意味がわからないわ……どうしてスバル達が……」
「上を見てください、ティアさん」
 キャロに素直に従ったティアナは、そこに見慣れた管理局の艦船が滞空している空を双眸
に映した。
「アースラ……」
「そうですよ」
「それに、あれって」
 ティアナは数ヶ月振りに見る艦船の付近を迂回し、アースラに接近してくる古代ベルカ騎
士を、他の仲間の魔導師と共に迎撃する一機のヘリを視界に留めた。
(そっか。さっきあたしを救ってくれたのって……)
「この世界の対策委員会の一人だったリンディさんが、わたし達を集めてくれたんです。ア
コース査察官から委員会にゆりかごの情報が入って、それで調査隊の本隊が勝手に本局から
出動して……本局自体も、今凄く混乱しているみたいなんです」
「本隊はまだ到着してない。かなりの大部隊みたいだから、転送にも手間取っているんだろ
うけど……じゃあ、今のアースラの艦長は?」

443 名前:騎士よ眠れ:2007/10/08(月) 12:43:58 ID:WiK9e/se
「リンディさんですよ。わたし達も殆ど独断専行ですけど、それでもこっちに先行していた
皆さんを助けたかったから……エリオ君やスバルさん達もきっと同じ気持ちです」
 幼い顔に淑やかな笑みを灯したキャロは、ティアナへの介護を済ませて屈めた腰を正す。
ティアナも起き上がろうとしたが、バインド魔法を受けた片足が痛みを訴えて未然に終わる。
キャロが咄嗟に身体全体で彼女を支えた。
「どうして、ちゃんと治療したのに」
 ティアナのバリアジャケットは相変わらずザフィーラとの死闘の余韻を催す状態だが、そ
の肉体は傷一つ残さず完治している。強固なバインド魔法が、術者を失っても尚、ティアナ
に捕縛の呪いを与えていた。
「あははっ……あたしはもう無理みたいね。キャロ、気にしないで皆と一緒にゆりかごを目
指していいよ」
「そんなの駄目だ! ティアも一緒じゃないと駄目だ!」
 ティアナの諦念を、一時後退してきたスバルが遮る。
 エリオはフリードリヒとの巧みな連携で古代ベルカ騎士軍を翻弄し、果敢にストラーダで敵を屠っている。
「そうですよティアさん、諦めないでください!」
「でも! どうしようもないじゃない! こんな足じゃ、立ち上がる事も出来ないんだから!」
 泣き声でティアナが反論して無念の想いを吐き出し、どんな苦しみを味わっても手放さず
にいたクロスミラージュに握力を込める。
「だったら……!」
 スバルがティアナの前でしゃがみ込み、マッハキャリバーを片方、稼動形態を維持したま
まで取り外す。
「何する気よ、あんた……」
「いいからいいから。マッハキャリバー、お願い出来るよね。お前を信じるよ」
『Yes sir.』
 相棒の了承を得たスバルは、取り外したマッハキャリバーをティアナの健常な方の足へと
装着させる。スバルとティアナは両人、マスター以外の魔導師へのデバイス装着に微かな不
安があったのは確かだが、作業が終わっても何の不備も見当たらない事に安堵の吐息を肺か
ら押し出した。
 続けてスバルは、自分の額に巻かれた白いリボンを解き、ティアナと自分の腰に巻きつける。
「ねぇティア。機動六課が解散して、ティアと別々になって、でもあたしはティアの事を考
えなかった日は無かったんだよ。どんな辛い任務があったって、夢に向かって走り続けてる
ティアを思い浮かべただけで、あたしも負けてなんかいられないって思って、それだけで何
だか凄く勇気が沸いてくるんだ。だから、こんな所で立ち止まるティアなんて見たくない! 
ティアは何時だって自分を信じて走り続けてきたんだから!」
 スバルはティアの身体を抱えながら、互いの身体をリボンで固く結び付けて立ち上がる。
 マッハキャリバーを片足に通し、スバルと共に支え合うティアナは、内心の感動を悟られ
たくなくて前髪で表情を覆い隠した。
 エリオとフリードリヒの攻撃を突っ切ったベルカの軽装騎士が、卓抜した敏捷性でキャロ
へと襲い掛かる。その場の誰もが、キャロへの援護に回る事が出来なかった。
「危ない!」

444 名前:騎士よ眠れ:2007/10/08(月) 12:46:03 ID:WiK9e/se
 スバルと同型機種の四肢デバイスを装備した紫の閃光が、キャロの命の危機を砕く。
 間一髪で間に合ったギンガは、殴り飛ばした軽装騎士に何の未練も無く、残る敵軍へと戦闘態勢を整える。
 フリードリヒが低空飛行でキャロへ駆けつけ、彼女の胴体を軽く食むと背中へと乗せた。
「ギン姉? あれ、ギン姉はアースラに搭乗してなかったんじゃ……」
「うん。けど、長距離転送でここまで一っ飛び。それに、駆けつけたのは私だけじゃないよ」
 互いに助け合って立っているスバルとティアナ、ギンガの間に通信画面が開かれる。
『……こちら待機中の先遣部隊の艦船。こちらの襲撃部隊は私とアギト、ナンバーズで何と
か持ち堪えています。地上の突入部隊はゆりかごの破壊に専念してください。殲滅作戦を決
行する本隊が到着してしまう前に、早く……!』
 画面の怜悧な少女の容貌に、ティアナは面映い気持ちでそれと対面する。
「ルーテシアまで。ナンバーズって、あいつ等もなの?」
「大丈夫、彼女達は自分の意志で同行してくれているの。他の誰からの命令でもない、自分
自身の意志でね。だから皆は私達に構わずに早く! アースラと衛星軌道上の待機部隊は私
とヴァイス陸曹長達で守り抜くから!」
『Wing road.』
 スバルとティアナを支えるマッハキャリバーから、空へと伸びる蒼い帯道が伸張していく。
「行くよティア! あそこでなのはさんが待ってる!」
「ああ、もう! こうなったらあたしも最後まで付き合ってやるわよ!」
 二人は互いの肩に片腕を回し、腰を密着させ、高らかに空へと駆け出していった。ギンガ
もウイングロードを形成し、二人に立ちはだかる騎士達を薙ぎ払っていく。
「エリオ君!」
 フリードリヒは高速の体当たりで騎士達を蹴散らし、一時的に孤立してしまったエリオを
拾い上げる。
「キャロ、聞いた? ルーも来てくれているんだ。きっとガリューも彼女と一緒に戦ってる」
「うん、だからわたし達もルーちゃんの気持ちに応えないと!」
 フリードリヒも勇ましく吼え、巨大な火炎球で西南方向の騎士部隊を一網打尽に消滅させた。
 開かれた活路を突き抜け、スバル、ティアナ、エリオ、キャロは今も高度を増しているゆ
りかごへと羽ばたいていった。
「ここはまだゴールじゃない。夢に向かって走り続けるんだよ、未来のストライカー達!」
 愛する妹、そして仲間達の背中を預かり、ギンガもブリッツキャリバーを噴かせて戦いの
渦中へと挑んでいった。

 アースラのブリッジにヴェロッサが入室する。リンディは彼の帰還に安堵した顔を見せ、
淡緑髪に縁取られた美顔を和ませた。
 リンディの傍で彼女の補佐を担当しているグリフィスが、息を切らせているヴェロッサへ
「お疲れ様です」と労いの言葉をかけた。
「どうですか、状況は」
「決して望ましくはないわ、でも……。なのはさんとユーノ君の魔力反応、未だ見つけられ
ないの?」
 現在の所属からアースラへ、ロングアーチとして志願してきたアルトとルキノが、懸命に
モニターを操作するがリンディの確認に返答を向けられなかった。

445 名前:騎士よ眠れ:2007/10/08(月) 12:47:02 ID:WiK9e/se
「一体お二人に何が……」
 表情を翳らせるグリフィスの前で、リンディは指令席に立った姿勢で腕を振るう。
「諦めないで、引き続きなのはさんとユーノ君の魔力探知急いで! ゆりかご付近の騎士達
の反応に紛れ込んでいるかもしれないわ! モニター、しっかり見て!」
 Aランク程度の騎士達の魔力反応と彼女達の魔力反応を、センサーが誤認する筈も無いと
わかりきっていても、リンディは艦内の士気を保つ為にも声を発するしかなかった。
『リンディ艦長、こちらデバイスのメンテナンスルームです』
 艦内通信でブリッジのモニターに追加されたのは、現代の聖王教会騎士団に籍を置く麗し
い金髪の女性だった。
「騎士カリム……あの子の様子はどうですか?」
 不安げに問うリンディへ、カリムはその胸中を緩和させる笑みを浮かべた。
「大丈夫です、苦痛も感じていないようですし……本人の意識も明瞭のようです」
 ブリッジを映写する通信画面から後方へ振り返り、カリムはマリエルの作業を受けている
一人の少女を見遣る。
 カリムの傍で、シャッハは憂いを隠せない顔で同じ少女を見守っていた。
 マリエルの傍では、他に白衣を着た一人の男が少女の調整を手伝っている。
「……具合はどうかな、ヴィヴィオ」
 長い拘置と服役生活ですっかり痩せたスカリエッティが口を開く。
 ヴィヴィオは長い金の髪を一つに纏め、漆黒の防護服を着た成熟した女性の姿で、作業の
完了を待っていた。
「大丈夫……コネクトシステムが、わたしを守ってくれているよ」
 本来必須な筈のゆりかごからの魔力供給を、リンカーコアコネクトシステムで強制的に代
用し、ヴィヴィオは聖王としての姿に覚醒を遂げていた。
 彼女の成熟した肢体を、リンカーコア粒子が淡く優しく循環している。
 恐怖はある。この強大すぎる力を正しく扱えるかどうか……自分の力でまた大切な人を悲
しませてしまうかもしれない恐怖が、ヴィヴィオの身体を痙攣させる。
「だけど、わたしは決めたから。皆と一緒に頑張るんだって、自分でちゃんと決めたから……」
 マリエルが各部の微調整を済ませ、ゆりかご事件後、管理局によって無限書庫への保存を
兼ねた調査の為に復元された聖王の座から、ヴィヴィオが麗々しく立ち上がる。
「幾らコネクトシステムを用いたからって、完全な覚醒は不可能よ。事件の時よりもパワー
は段違いに低いし、聖王の鎧だって単なるデバイスとして復元しただけの劣悪なレプリカ……その姿でいられるのは、精々二時間程度」
「わかりました」
 ヴィヴィオはしっかりと頷き、そしてカリムとシャッハの監視を受けながら作業を行って
いたスカリエッティに身体を向けた。
「おじさん、ありがとう」
「うん?」
 思いがけないヴィヴィオの言葉に、スカリエッティは切れ長の目を訝しく細めた。彼女に
恨み言を吐かれる筋合いはあれど、感謝の念を向けられる謂れは全く無かった。
「おじさんの事、怖くて悪い人だって思ってたけど……でも今は、わたしに戦う為の力をく
れたから。だから、ありがとう、おじさん」
「ついさっき勝手に追加された刑罰の一つさ……。礼を言われる事じゃ無い」

446 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 12:47:05 ID:iF5DTUzN
>>432
数の子サイドの話キタ─(゚∀゚)─

447 名前:騎士よ眠れ:2007/10/08(月) 12:47:57 ID:WiK9e/se
 廃残の人生に膿んだ様に、スカリエッティはやさぐれて言い返した。
「ねぇおじさん、もう悪い事しないって約束してくれる? もうわたしやナンバーズのお姉
ちゃんみたいな人を作らないって、わたしと約束してくれる?」
 ヴィヴィオが怯えも無い足取りでスカリエッティへ近寄る。カリムとシャッハが即座にヴ
ィヴィオの行動を咎めようとするが、ヴィヴィオ自身の懇願を受けて二人の間から渋々一歩
だけを退いた。
「……あれだけの大事件を起こして、次に同じ事をしたら即極刑だな。流石に命は惜しい」
「じゃあ、わたしと約束」
 ヴィヴィオが片手の小指をスカリエッティに差し出す。彼はその白い小指を胡乱げに見た。
「なのはママに教えてもらったの。約束する時の、地球のおまじない」
「ふむ……」
 何だか知らないが、スカリエッティは子供の戯れだとヴィヴィオに応じた。
 スカリエッティの小指を自分の小指に絡め、ヴィヴィオは無垢な笑顔を浮かべた。
「ゆーびきーりげーんまん、うーそつーいたーらはーりせーんぼんのーます。ゆーびきった!」
 場違いに愉快なヴィヴィオの行為に、スカリエッティは思わず吹き出してしまった。彼だ
けではなく、カリム、シャッハ、マリエルも同様に笑い声が噴出してくる口許に掌を添える。
「中々面白い風習があるものだね、地球には。針千本は怖いな……これは君との約束を守ら
ざるを得なくなってしまったみたいだ」
 笑いの衝動を残しながら、スカリエッティは降参したように言った。
 やがて、ヴィヴィオはアースラの前方へと転送した。彼女の横でリンディが通信画面を開く。
『貴方はまだ子供だから、なんて言うつもりはないわ。ママ達と一緒にしっかり頑張るのよ、
ヴィヴィオ』
「はいっ!」
 接近してきた騎士を極光の魔力で容易く迎撃し、ヴィヴィオも白く霞む空に顕在している
ゆりかごへと王の体躯を振り向かせる。
 ヴィヴィオに続いてシャッハがヴィンデルシャフトを両腕に持ち、騎士甲冑の姿でアース
ラの防衛戦線に加わる。
「待ってて、なのはママ、フェイトママ……わたしもすぐにそっちに行くから。高町ヴィヴ
ィオ、リリカリマジカル、頑張ります!」
 虹色の飛行魔法の噴射魔力を発揮し、ヴィヴィオは決戦の舞台へと飛び立っていった。

448 名前:騎士よ眠れ:2007/10/08(月) 12:48:37 ID:WiK9e/se
続きます

449 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 12:55:38 ID:K1lKKcWh
ヴィヴィオ十八世に思わずフイタw


450 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 13:09:58 ID:/+gFS7G+
>>448
ノリが完全にスーパーなロボットものだw

続きに期待でGJ!!!

451 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 13:18:05 ID:JCHNxOfi
>>448
乙。
ロッサがヴォルケン側、というか独断側なのには安心したけど、
これはユーノとザッフィー涙目だなぁw

はやての一喝と、合体でシグナムの暴走は終了か?
このSSならではの管理局の腐敗ぶりに
本編の温さあわせられると流石に気持ち悪さが拭えない。
あとヴィヴィオ、シリアスな場面でその出陣はないわw

>>449
それは第一回に突っ込むことだ。


452 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 13:50:08 ID:HmJE+qDN
>>448
G・J!!
なんという和みヴィヴィオ
博士も色々な意味で大変だな
続きを期待して待っています

453 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 13:54:52 ID:woxphwCL
>>432
久々のナンバーズ物GJ
割り込んでスマソ
しかしちょっとリロードを怠るとこれだ、流れ早いなぁ

>>448
続きキータ

454 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 14:23:01 ID:WDLbydPF
>>448
ヤバイめっちゃ面白い。
続きが楽しみだ

てかみんな熱すぎ!!

455 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 14:24:34 ID:Eg4HWzXN
>>448
夜天合体ヴォルケンオー・クライマックスフォーム吹いた

456 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 14:46:56 ID:KRabC088
>>448
GJ
外堀が埋まってきた感じだ。後はユーノとなのはか……スカ博士丸いなぁw
にしてもティアナは相変わらず凡骨ロードまっしぐらさねww

457 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 15:28:29 ID:LhFABxx3
>>448
スカ博士
その約束は針千本飲まされる前に拳骨で一万回殴られるんですよww
聖王ヴィヴィオにんなことされたら余裕で死ねるwww

458 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 15:44:49 ID:vQInoj7+
>>456
だ  が  そ  れ  が  い  い

つか凡骨じゃないティアなんてティアじゃないw

>>457
だがそれでも、「嘘ついたらSLB1000発のーます」よりはマシかと思う
某が居る。

459 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 16:26:13 ID:WDLbydPF
ttp://genzu.net/sokan/
↑これに『ふぇいと』『ゆーの』といれると……

460 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 16:34:07 ID:d+d4szHN
>>459
相関図いらね。

461 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 16:41:55 ID:OnAX4pAp
>>459
「ゆーの」と「くろの」がSとMの関係か。
まあ、妥当だな。

462 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 16:52:14 ID:nzG5C4WJ
>>459
「ユーノ」と「エリオ」が関係図がさせ放題・し放題の関係とは。
これは・・・

463 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 16:59:44 ID:gJL4jiht
>459 エリキャロルーフェクロノは結構いい感じ(?)

さて肉体関係らしいから問題ないよねエリキャロの続きいくよーww 

464 名前:どっかのゲリラ兵:2007/10/08(月) 17:01:10 ID:gJL4jiht
ちっと長くなりそうなので中編割ります
今回は(中)前編になります…お許しを

相変わらずのエリキャロなのにおもちゃ箱クロスですが、続けて読んでれば大丈夫…なはずw
え?少女漫画みたい?ウルサイヨ筆者はベタベタが好きなんだよ・゚・(ノ∀`)・゚・。
ほいではー

465 名前:pure monster(中・前編) (1/11):2007/10/08(月) 17:02:12 ID:gJL4jiht
 夏の朝の光が部屋に満ちていて、既に少女の姿はなかったが赤い髪の少年だけは薄い毛布に包まったまま、まだまどろみの中を揺蕩っていた。
「ん〜………」
寝言を漏らしながら、寝返りをうつ。
と、とんとんとんとん、と小さな足音が廊下から響いてくる。
ひょっこり障子の影から顔を出した白いTシャツに黒スパッツ姿のキャロは、その体の隣りにぺったんと座ると体を揺さぶり始めた。
「えーりーおーくーん、あーさーだーよー」
「んー……」
激しい揺さぶりにさすがに意識が呼ばれたのか、ゆっくりと目を開ける。
「んー……おはよう、キャロ…」
上体も起こしたが後朝の気だるさに片手で頭を抑えていると、おもむろに唇を塞がれる。
「んっ…」
ぬくもりを確かめ合うようにしっとりと深く口付けあうと、さすがに意識がはっきりとしてくる。
ひとしきりキスしてから離れると、背から夏の朝日を逆光に浴びて綺麗に浮かび上がった、悪戯っぽく笑う恋人の顔があった。
「起きた?」
「う、うん…」
「もう朝ごはんできてるから早くきてねー」
「うん、わかった…」


〜あらすじ〜
くーちゃんをきっかけに何故か高町家で夏休みを過ごすことになったエリオとキャロ。
仕事から解放され、いい感じにラブラブかと思いきや、新たな人物の登場でさらにお話は斜め上に――
まだまだ続く2人の旅、お付き合い頂ければ幸いです。
[エリキャロ][エロは1行w][おもちゃ箱クロス]


 朝食を食べた後は、いきなり美沙斗に本当は早朝からだが、と釘を差されつつ、とりあえず初日はーと基本の型から少しずつこなすことになった。
キャロはと言えば、さっそく花嫁修行なんて副題のついたよく言えば料理の勉強、悪く言えば罠にはまった手伝いをすることになり、
美由希と一緒に翠屋へと向かう。
それからはと言えば、エリオは早朝から深夜まで体捌きと基本の練習に昼寝まで回復に使って没頭し、
キャロはキャロで桃子、美由希と過ごす時間と翠屋での仕事が殊の外楽しいらしく、また時にはくーちゃんこと久遠と遊び、
夜も交わることなく(手は繋ぎっぱなしだが)、充実した初めての子供らしい夏休みにどっぷりとはまりこんでいく。

466 名前:pure monster(中・前編) (2/11):2007/10/08(月) 17:03:06 ID:gJL4jiht
 それから十数日経った頃、ひょっこりと昼下がりの午後の翠屋にフェイトのお母さんこと、リンディ・ハラオウンが私服で訪れた。
「あら、いらっしゃい!リンディさん」
桃子がいつもの調子で明るく出迎えると、翠屋の黒いエプロンでグラスを磨いていたキャロもウェイトレスらしく応対する。
「いらっしゃいませ!」
「あらあら、すっかりここの店員さんみたいじゃない」
「あ、ありがとうございます!えっと、何かご注文はありますか?」
「あーと、じゃあね、アイスティ。ミルクとお砂糖はたーっぷりね」
「はい、かしこまりました!」
暑いですねー、ほんとですよねーなんてありきたりな会話をしてるうちに、
溶け切れてない砂糖が底に溜まっているのが見えるほどのミルクティが小さな手によって運ばれてくる。
常人であれば吐き出してしまう程の甘さであることはいうまでもないが、しかし、まがりなりにもハラオウン家を知る物として、
この砂糖の量を手抜きすることは許されないのである。
そしてそれを当然の如く、そっと一口だけ飲んでほっと一息をつく2人の孫持ちとは思えないような
若くて色白美人のおばあさまは、これまた周知の人間からすればそれでもなんの違和感もないことがこの方の愛嬌であった。
「んー、でも珍しいですね?何かありました?」
なんとなくであるが、リンディが翠屋に来る以上、何がしかの用件がなかったことがない桃子の過去の経験が、当然の発言に繋がる。
「えーっとですね、実は…」
そこまで言って、再びグラスを磨き始めたキャロの方を無言で見ると、それに気づいて、ちょうど切れていた付け合せ一式を
いきつけの八百屋につけで買ってくるように言いつけて、後姿が店外に消えるのを見送る。
「いい子でしょ?キャロちゃん」
「ええ、本当に…あの年とは思えないぐらいしっかりしてますよねー」
「そうですよねー、本当はうちで引き取ろうかっていう話もあったんですが…」
「そうなんですか…」
「一応、私が法的には後見人ってことになってますし、ご迷惑をおかけしてしまって申し訳ないと――」
「いえいえ、本当に助かってますからー。それに多すぎるぐらい食費も頂いてますし…」
義理ではなく本心から断ったにも関わらず、それでもーとハラオウン家からは半ば無理矢理宿泊料が押し付けられていた。
「うちのフェイトが保護責任者なんですが、どうにも忙しくて」
「ええ…難しいですよね」
「息子はでてますけど嫁も孫もいますし、フェイトも相当悩んだんですが、本人達が大丈夫だからとはっきりというので
今の状態になってしまっていて…」
「そうですかあ」
「かといって孤児を片っ端から引き取っていたらきりがないし、あの子達だけ特別扱い、というわけにもいきませんし」
「そうですよねー…」
しかも魔法資質のある子達ばかり――とはさすがに付け加えなかったが、
人材の為に孤児を囲い込んでいるように思われるのは勿論、リンディにとっても本意ではない。
「それでー、その大丈夫、ですか?あの子達…元気です?」
「あー」
少しだけ心配そうな成分を含むリンディの表情に、同じ母親として気づかないわけがなかった。
「大丈夫ですよ。エリオ君もキャロちゃんもとっても元気!
エリオ君なんてもう美沙斗さんと美由希と朝から晩まで基礎練漬けなのにすごい楽しそうにしてますし」
「そう、ですか…それならいいんですが…あの子達、特にキャロちゃんは自分の限界超えても気づかずに頑張ってしまうから、
フェイトがとにかく心配、心配、ってうるさくて」
「あははは。フェイトちゃん心配性ですからねー、誰に似たんでしょうか」
「ほんとに、おかしいですわねー、そんな子うちにいたかしら…」
と、そらとぼける本人がかなりの敏腕心配性なのであるが、それは不文律、言わぬが華である。
そもそも翠屋に足をちゃんと運んで、預けている子達のことを直接桃子に尋ねる事自体が、彼女らしい丁寧な気配りのひとつであった。
グラスも空き、ひとしきりお喋りを楽しんだ後でそろそろ、とリンディが切り出す。
「っとー、そろそろお買い物にいかないとエイミィが心配しちゃうかな」
「はーい、あ、御代はいいですからね?あの子達の食費と一緒みたいなものですから」
「うふふ、ではお言葉に甘えちゃおっかな」
「あー、あと、あの子達に何か伝えることとかあります?」
「っといけない、そうそう、肝心なことを忘れてたわ。
フェイトが連絡欲しがってるから今日の開いた時間でいいから、少しうちに寄ってと伝えて頂けますか?」
「はーい、ちゃーんと伝えておきますね」

467 名前:pure monster(中・前編) (3/11):2007/10/08(月) 17:04:00 ID:gJL4jiht
 夕食前にハラオウン家に立ち寄った2人は、近況の報告を済ませて納得もしてもらえたが、本命の用件はそちらの話ではなかった。
「えっ、ルーちゃんが?」
「うん、隔離解除の前準備としてちょっとした面接をしにミッドに来るけど2、3日滞在できそうなんだ。
素行もとても良くて私が見てればある程度自由にしていいってお話なんだけど…どうする?」
「いきます!」
この1年間はほぼ完全に隔離状態で通信すら許されていなかった為、キャロがふたつ返事で答える。
「わかった。でー、お休みはどうしよっか?まだやりたいこととかある?」
「うーん…僕はできたらもう少しいたいんですが、無理でしょうか」
根本的に強化の方法が異なる為、錬度を重ねる必要は小さく、要は型を応用できるぐらいに基礎が身につけば十分なのであるが、
だがしかしこの期間ではさすがにまだ少し厳しい。
「まああと2週間ぐらいは構わないんだけど…とりあえず一度戻っておいで。フリードもほったらかしなんだし」
「あー…」
自然保護隊のお2人に預けっぱなしで、かなり懐いているため全くと言っていいほど問題はないのだが、
いくら海鳴に連れて来れないとはいえ、自身のメイン戦力の竜を長期間ほったらかしにしている召喚師、というのはいささか軽率であろう。
「わかりました、一度フリードにも説明に戻ります」
「うん、じゃあ明日…できるだけ早くおいで。ルーテシアちゃんが来るのは明後日だけど、
明後日はちょっと管理外97番方面は転送機器のメンテとかあるから、自力転送になっちゃって許可取るの面倒だから」
「はい、了解しました」
「準備ができたら母さんに時間を言っておいてね。その時間にゲート開くからね」
「了解です、フェイトさん」
そして、夕食の話題に戻ることを話すと、特に美沙斗が寂しそうな顔をしたが、まだこちらに居られる事を告げると、
もう少しでものになる、と何気にちょっとだけ褒めてくれたのであった。

 ルーテシアに会うまでに空いてしまった丸一日の使い道として、遊園地のデートを企画して2人で転送してもらったのまではよかったが、
いつの間にかエリオのフードの中にいつかの狐さん――くーちゃんこと久遠が紛れ込んでいたのを、フェイトがフリードを連れてきた段階で
ようやく気づき、連れ戻すのも骨な上に、幸い身体検査も移動許可も期間中であったのをいいことに一緒に連れて行くことにした。
エリオは中に久遠の入ったカジュアルなフード付きの半そでの上着とありきたりなズボンだったが、
キャロの方は海鳴で買った結構過激な裾の長さのピンクのワンピースを纏って、嬉しそうに彼の腕にまとわりついて歩く。
目的地につくまでの間、横を飛んでいたり抱えられているフリードが若干奇異の目で見られたが、次元航行が当たり前のミッドチルダにおいては異世界生物などさほど珍しいものではなく、遊園地の入り口も地上本部発行の通行許可証でなんなく突破する。

468 名前:pure monster(中・前編) (4/11):2007/10/08(月) 17:04:39 ID:gJL4jiht
 いくつかの遊具をしっかりと遊びまわった後、定番の観覧車に乗りながら、キャロはフリード、エリオはくーちゃんを
膝の上に載せて見るミッドチルダ地上の景色は、少し感慨深いものがあった。
はるか遠くにはすっかり建て直された地上本部の尖塔が朧げに霞んでいた。
「僕達が…守ったんだよね」
「うん、隊長さんたちと、スバルさん、ティアナさん、機動六課のみんなと一緒に」
「一年前のことなのに、なんか昨日みたいな気がする」
「そうだよね…なんか夢中だったから、あんまり良く覚えてないんだけど…」
「うん、そうだね…」
懐かしそうに景色に見入っている赤い髪の人の横顔と、膝の上でしっぽをゆったりぱたぱたさせている久遠を穏やかに見守る満足げな瞳。
「それにしても、なんでくーちゃんついてきちゃったのかな」
「うーん…」
くぅん、とエリオに撫でられて小さく鳴く。
その瞳がじっとキャロの方を意味ありげに見上げた。
「私が心配だったって……?」
「あはは…」
「もー、くーちゃんにまで心配されなくても平気だよ?子供じゃないんだから…きゃっ!?」
と、突然観覧車が妙な衝撃と共に止まる。
「え…?」
故障かな、と外を見ると地上のある一点か輝いたかと思うといきなりかなりの魔力量を帯びた白い光線が放たれ、
2人と2匹の乗っていた観覧車の側を通って中央の支柱に直撃し、爆発を起こした。
幸い頑丈な作りだったのか、激しい衝撃はあったがぎぎぎぎと遊具全体から耳障りな音がしただけで、崩壊は免れる。
「魔力砲!?」
光源の主は標的を変えたのか、ジェットコースターの一部分を狙ったが、上手く当たらず宙に消えた。
「キャロ!」
「うん!」
「ストラーダ!」
「ケリュケイオン!」
セットアップ!との掛け声と共に戦闘服に変わると、扉を蹴破ったエリオに続いて空中に身を躍らせた。
落下に身を任せながら怒鳴る。
「とりあえず僕が行ってみる!キャロは上空待機!」
「うん!気をつけてね!」
「了解!」
落ちていく彼を見送りながら、空中で静止したキャロは肩に久遠を載せたままそこで魔法陣を展開した。
「蒼穹を奔る白き閃光。我が翼となり、天を翔けよ。来よ、我が竜フリードリヒ!竜魂召喚!」
膨れ上がった白い光が弾けると現れる凛々しく大きな翼を広げる若き白銀の飛竜。
キャロが飛び乗るのと同時に、ジェットコースターに向けられた2撃目が直撃し、円形コースの一部分を吹き飛ばした。
そして、狙った箇所を撃ったのか否か切れたコースに向かって凄まじいスピードでコースターが突っ込む。
「わっ、フリード急いで!」
コオオと叫び声をあげると全力でコースターに向かう。
果たして本物の絶叫と共にコースターがコースアウトして宙に投げ出されたが、その直後に全体をピンク色の光が包み込み、
ゆっくりと地面に降ろした。
たん、とその側に降り立って呆然とする人々の前に駆け寄る。
「管理局です!お怪我をされた方はいませんか!?」
返答はなく唖然とした表情で呆気にとられられ、続く言葉に困っていると――
脇の茂みから突然、縦に楕円状の思い出したくない魔導機械兵器、かなりの数のT型ガジェットドローンが出現した。
「ガジェット!?」
数発の放たれた光弾をかわしながら、フリードに迎撃させようとしたが、その直前に現れる丸型の大きなガジェットV型。
凄まじい勢いでキャロの瞳に避けようのない最悪のタイミングで2本の鋼鉄のアームが迫る。
思わず目を閉じる。
が、来るべき痛みも衝撃もなかった。
「あれ?」

469 名前:pure monster(中・前編) (5/11):2007/10/08(月) 17:05:26 ID:gJL4jiht
おそるおそる前を見ると、尖った獣の耳と後ろでひとくくりにした流れるような金髪と5本の立派な尻尾を輝かせた、
宮司のような服だが成人女性を模したその形に合わせたかのような鮮やかな紅白のトーンが、アームをへし折って弾き飛ばしていた。
「くー、ちゃん?」
振り返ってうん、と頷く。
「ここは任せて。早くエリオのところへいってあげて」
「え、えと、でも」
「いいから早く。取り返しのつかないことになる前に」
真摯な表情に、疑問を全て押し切られ、うん、と答えると、助走を始めるフリードに背中からくるっと回って飛び乗った。
「気をつけてねー!」
その声を背中に聞きながら、ガジェットと対峙する久遠。
警戒からAMFを全開にされるが、彼女にとってはそんなもの、なんの意味もなかった。
微かに薫る風に、遠く、懐かしい故郷の風を想い出す。
「懐かしい……風の匂い」
それだけ呟くと、正面の機械兵器を見据えて、ぐっと体を沈みこませた。

 地上に降り立ったエリオが見たものは、黒ずくめのスーツとサングラスの男がナンバーズの誰かが使っていたような形の、
真っ黒い砲身の魔導砲を標的に向け狙いを定めている姿だった。
存在に気づかれた直後に、ストラーダにカートリッジを飲み込ませ、そのまま地を蹴る。
「無差別破壊及び危険物所持の現行犯で貴方を――」
踏み込みと同時に砲身を薙いだが、未完成の型故か、直前でかわされて半歩届かない。
「逮捕します!」
「なんだぁ!?このくそがきやぁっ!?」
黒い砲身から、デバイスの管制音声が響く。
「Magilink Type Analyzed.Learning Complete」
短いチャージの後、放たれた白い砲弾をかわして懐に飛び込もうと試みるが――
「Entered Magilink Type. Auto Protection」
円形の魔法陣が発生し、ストラーダを止められてしまったエリオは後退を余儀なくされる。
「インテリジェントデバイス!?」
「うはははは!死ねよくそがき!」
何度も連射される砲弾をかわすが、反撃の糸口が見つからない。
砲撃自体はスーツの男が自分の意思で行っている為さほど怖くないが、厄介なのは解析済みの相手に対して自動で防御を行う、
異様に自立性の高いインテリジェントデバイスだった。
「サンダーぁっ、レイジッ」
地に雷を這わせるがそれすらもあっさりと防がれてしまう。
「くっ…」
(エリオ君!)
上空から、慌てて駆けつけて、相方の苦戦に気づいたキャロの思念通話が届いた。
「フリード!ブラストレイ――」
(あっ、だめ!キャロ!)
「ファイア!」
炎熱の幕が男に襲い掛かるが、心得があるのか、無理に迎撃しようとせずそれなりにすばやい動きでなんとか直撃を避ける。
そして再び響く、耳障りなデバイスの発声。
「Magilink Type Analyzed.Learning Complete」
再度炎熱が襲い掛かったが、今度はでかでかとデバイスが陣を展開し、いとも簡単に受けきってみせる。
「うそ…」

470 名前:pure monster(中・前編) (6/11):2007/10/08(月) 17:06:11 ID:gJL4jiht
戸惑うキャロに向けて、若干オーバー気味のチャージ時間をかけた砲身が向けられた。
そして、放たれる白い光。
「ケリュケイオン!」
「Protection Power」
一瞬、受け止めきれるかに見えたが、Sランク砲撃ですら耐えうる防御ですら、ひびをいれられ、そして破綻した。
「キャロ!」
小さく戻ってしまったフリードと共に意識を失って地上に落下する。
が、エリオが回りこむ前にケリュケイオンが先に安全装置として作動した。
「Auto Safe」
薄い桜色の光にゆっくりと地上に降ろされるのを見届けて、ほっと気を緩めるが、だがしかし目の前の敵ははっきりいって最悪の部類であった。
「くそ…」
「なんだあ?その目は?俺はな…子供が大っ嫌いなんだよ!」
その叫びと同時に、またデバイスの嫌な声が聞こえると、今度は封鎖領域が展開された。
「強装結界!?」
エリオと、キャロとフリード、そして遠巻きに野次馬をしていた数人の子供達だけが、その空間内に取り残される。
「くははははは」
そしてその無防備な子供達に向けて砲身を構える男。
放たれた白い光を何とかエリオは、子供達の直前で滑り込み防御しきったが、しかしストラーダを握る腕には血が伝っていた。
(まずい…このままじゃ…やられる…)
そして子供達を庇って動けないエリオに向けて、弄ぶように加減した砲撃を何度も繰り返す黒い砲身。
「はぁ…はぁ…」
「そろそろ死にな!」
恐怖に怯える後ろの子達をしっかりと隠しながら、ストラーダを構えなおすが次を耐え切る自信はなかった。

 倒れたまま、ふっと意識を取り戻したキャロはぼやけた視界の向こうに、黒い男と追い詰められた相方を確認したが、
体をやおら動かすことすらできない。
(みんな…殺されちゃう…私もあの子達も…エリオ君も…)
視界が滲むと思い浮かぶのは今まで一緒に過ごしてくれた大切な人たちのこと。
(フェイトさん…リンディさん…桃子さん…美沙斗さん、くーちゃん…やだ、いやだよぅ…)
もがくように少しだけ伸ばした手で、ぎゅっと地を掴もうとすると、その手に何かが当たった。
(え…?なに…これ)
透明な何か見えないケーブルのようなものがあるのか、ぐいっと掴むと確かな弾力があった。
「オプティック……ハイド…?」
その線があると思われる先に見えるのは黒い男の砲身の後ろ辺り、そして反対側に見えるのは小さく火花を散らしている遊園地の何かの施設の動力炉。
「…まさか、これ」
静かに体を起こすと、握ったそれを同じく起き上がったフリードの前に差し出す。
「フリード!」
「キュクルー!」
と、その様子に気づいた男が激しく動揺する。
「こ、こら!やめろ!」
遠慮なくフリードががぶり、と噛み付くと同時に、オプティックハイドが解け露になる真っ黒いケーブル。
そして砲身の先にまさに放たれんばかりになっていた光源が、あっという間に収縮し、結界も解ける。
にぱっ、笑うエリオとキャロに、わずかに後ずさりをしてから男は背を向けて走って逃げ出す。

471 名前:pure monster(中・前編) (7/11):2007/10/08(月) 17:06:58 ID:gJL4jiht
「フリード!ブラストフレア!」
「キュクー!」
「ファイア!」
どんっ!
放たれた炎弾は男の行く手を完全に塞ぎ、追いつめられた男は、なけなしのエネルギーを振り絞った砲身をエリオに向けた。
「くそおおおおおおおお」
「地槍」
白い光が放たれるより速く、たった一歩で踏み込んで砲身を一刀する。
「一閃!」
斜めに走った斬撃が、黒い砲身を斜めに真っ二つにし、無力化した。
「錬鉄召喚、アルケミックチェーン!」
数本の鎖が男の足元から伸び、完璧に拘束する。
完全に相手の抵抗意思が消えたのを確認すると、キャロはエリオに向かって走り出し、そのまま飛びついた。
「きゃ、キャロ」
「あう、よかった…よかったよ…」
ぎゅっと抱きついたままぼろぼろと泣くキャロの髪をそっと慰める。
「キャロ…」
よっぽど怖かったんだなと静かに抱きとめていると、しばらくして、それはもう血相を変えてとしかいいようのない、
バルディッシュを持ったインパルスフォームのフェイトが地を抉らん勢いで、実際に抉って降り立った。
「エリオ!キャロ!大丈夫!?」
「フェイトさん!」
「あ…」
安心できる声が聞こえたからか、キャロもそっと顔をあげて答える。
「はい、なんとか…」
「もう本当に、びっくりさせないで…」
「あはは…」
2人まとめて、抱きしめられてなんとか笑顔になろうとするが、心労であまりうまくいかなかった。

 フェイトに続いて、ギンガと研修中の幾人かのナンバーズが到着し、残っていたガジェットも一掃される。
事後処理を終え、すっかり日が暮れてホテルのロビーにフェイトと一緒に落ち着いた頃には、ほとんどのデータも出揃っていた。
いくつかの画面を開いて、戦闘服を解除した2人は本局制服姿に戻ったフェイトから、今回の件の説明を受ける。
「あの黒い魔導砲、スカリエッティが以前どこかの兵器会社に極秘裏に発注して完成してたみたいなんだけど…
決定的な弱点があって、結局使われなかったみたい」
「弱点って、あれですか?」
キャロが偶然とはいえ見つけた弱点、勿論それは動力を要し、さらに有線が必要な点である。
「うん、そう。結局有線であまりにも汎用性がないからって実戦には使われなかったみたいなんだけど、
レリックが組みこまれててね…」
「なるほど…」
「ガジェットはJS事件でかなり各地に散布されちゃってて、今も潰してはいるんだけど、まだまだかなりの数が存在するからね。
あ、そういえば」
一枚の新しく開かれた現地の写真の画面には、地面に置かれたコースターの隣りに、山積みともいえるガジェットの残骸が映っていた。
「これ、誰がやったかわかる…?なんか目撃者の話だと女性っぽかったって話なんだけど」
勿論心当たりはあるのであるが、とりあえず軽く流す。

472 名前:pure monster(中・前編) (8/11):2007/10/08(月) 17:07:33 ID:gJL4jiht
「え、えーっと?誰がやったんでしょうね…」
「雷撃の跡があるからエリオかなと思ったんだけど、なんか爪跡みたいなのもあるし、違うよねー」
「はい…誰か助けてくれたんでしょうか」
エリオとフェイトは真剣に悩んでいるのに申し訳ないな、とも思いつつ、キャロはあまりの面倒さに黙秘を続行する。
「うん、お礼ぐらい言いたいんだけどね。すぐ居なくなっちゃったらしいから…」
くぅん、とエリオの膝に載っていた久遠が、少しだけ誇らしげに鳴いた。
「でも、ほんとお手柄だよ。2人とも、よく頑張ったね」
「はい、ありがとうございます!」
「ありがとうございます!」
「うん。本当に良く頑張ったよ。特にキャロがコースター助けてなかったら…乗ってた人たち、ほとんど絶望的だったからね…」
「間に合ってよかったです」
「ほんと、ギンガも凄い素早い対応ですね、って驚いてたよ。非番で咄嗟にってなんだかんだいって難しいし…。
その上、突発テロなのに死者0名、怪我したのはエリオだけなんて…上出来過ぎ」
あはは、と少しだけ乾いた笑いを浮かべながら、利き腕を少しだけ庇う。
それすら軽傷で治療魔法で既にほとんど治っている。
「…あ、それで、犯人って結局何者だったんですか?」
「えーっとね、この間まで管理局の武装隊に所属してたんだって…」
「え…そうなんですか?」
また追加される一枚の写真には、先程の黒スーツが、それは実直そうな顔で管理局制服に身を包んでいた。
「勤務態度も真面目で、人間的な評価も、良かったらしいんだけど…」
「そんな風には見えなかったですけど…」
「結婚してね、子供も居たみたいなんだけど…すごい暴力振るってたって、奥さんにも子供にも。
特に子供の方はひどかったみたいで」
「……」
「それが原因で離婚して、離婚をきっかけに局内で揉めて、辞めた後、闇ルートでこの兵器を購入した――って感じみたい」
「なるほど…」
「自分の子供なのに……可愛くないんでしょうか……」
自分達の境遇からすれば、そういう人間がいること自体が俄かには信じられないのか、キャロが目を伏せる。
「うーん、世の中にはそんな人もいるってこと…悲しいことだけどね」
「はい……」
沈んでしまう2人の後ろにそっと回りこんで肩に手を載せた。
「大丈夫。その子だってちゃんと生きてるし、エリオとキャロはそんなことはしないよね」
「はい……」
「それは、勿論ですけど…」
「今日だってエリオとキャロは、ちゃんと子供達を守ったじゃない。だからもっと胸を張っていいんだよ」
「はい!」
力強く答えるエリオに続ける。
「はい、フェイトさん」
「うん、っとーさて、泊まりはどうしよっか…明日の朝もちょっと検分とかあるから、ここでいい?」
「あ、はい。お任せします」
とホテルのフロントまで歩いていったフェイトから聞こえてくる不穏な言葉。
「え、ダブルしかない?うーん…」

473 名前:pure monster(中・前編) (9/11):2007/10/08(月) 17:09:06 ID:gJL4jiht
 そして結局、ダブルベッドでも2部屋取ろうか?と何度も言うフェイトに対して、本当に大丈夫ですから、この子達もいますからと
よく分からない理由で説得して、結局同室に2人と2匹は泊まることになった。
部屋に入った瞬間、ふぅ、とため息をついた相方を、エリオはおもむろにお姫様抱っこする。
「え、エリオ君っ」
「いいからいいから」
ベッドにそっと横たわらされると、疲れた瞳でなんとかお礼を返す。
「ありがとう」
「ん」
「キュクー」
フリードもその隣りに舞い降りて、久遠もエリオの肩から飛び降りてベッドに乗ったがそこで突然――
ぼんっ、という音と共に先程と同じ胸に鈴のついた紅白の衣裳を纏った、尖った獣耳ときつねの尻尾を一本だけ生やした小さな女の子の姿に変わった。
「……大丈夫?」
「あ…ありがとうね、くーちゃん」
「……うん」
「……エリオも……大丈夫?」
と見上げられた当人は、何事かと目を丸くして完全に固まっていた。
「え、え…?」
「えーっとね、さっき助けてもらったの。さっきはもっと大きかったけど…」
「……大丈夫?死んだり……しない?」
再度問いかけられて、状況は飲み込めないが真剣な表情にとりあえず答えを返す。
「うん、大丈夫。さっきキャロにも治療してもらったしね」
「……そっか。よかった……」
起き上がったキャロが、ありがとうね、と頭を撫でると嬉しそうに尻尾を振るくーちゃん。
「んと…それで、聞きたいんだけど…」
「……?」
「くーちゃんは、人間なの?」
ふるふる、と首を振る。
「……元々……きつねなの」
「あーそうなんだ…えーっと、何歳?」
「……うーん……300歳……以上」
「……」
「……え?」
「あー、ひょっとして、昔話にでてくる長生きして魔法使えるようになった動物さん、みたいな感じかな…?」
「……うん」
「そっかあ、すごーい」
「……戻って……いい?疲れる……から」
「あー、うん。大丈夫。私わかるし」
「……うん♪」
微笑んでから、くるっと元の小さな狐の姿に戻ると、キャロの膝に飛び乗った。
「アルフみたいな感じなのかな?」
キャロに撫でられて細い目をさらに目を細めている久遠。
「うーん、そうなのかな?動物さんが長生きすると人型になれて魔力持ったり魔法使えたりっていうお話は、アルザスにもあったよ。
どちらかといえば使い魔っていうより自然霊的な性格が強いと思うけど…」
「ふーん、そっか…」
「元から動物って自然の一部みたいな感じだしね」
「なるほど…」
正直さっぱり理解不能で、ちんぷんかんぷんである。
とりあえず身近にアルフというころころと動物になったり人間になったりする良く知った知り合いがいるおかげで、
久遠の存在自体が受け入れ難い、ということはなかった。
「とにかく、人間形態になれる、ってことでいいのかな…」
「うん、そんな感じ、かな。おしゃべりもできるのはちょっとびっくりだけど」
くぅん♪と落ち着いた感じで小さく鳴いた。
キュクーと合わせて鳴いたフリードとも、どこか通じ合っているような素振りを見せる。

474 名前:pure monster(中・前編) (10/11):2007/10/08(月) 17:10:00 ID:gJL4jiht
「はぁ……とにかく疲れちゃった……」
「うん、お風呂どうしよっか?キャロからいいよ?」
「うーん、なんかすごい疲れちゃってて」
「あはは…」
「着替えてねちゃうかな…」
「あ、じゃあちょっと水とか買ってくるよ。食べ物も欲しい?」
「うーん……いいや。でも、水はちょっと欲しいかも」
「わかった。ちょっといってくるね」
「うん」

 買出しから帰ってくると、既にベッドの中で眠る態勢になっていたキャロに水を手渡すと、2、3口で再び倒れこむ。
呆れながらくーちゃんとフリードに、いくつか買ってきたそれなりの食べ物をあげてから、
軽く汗を流してエリオが浴室から出てくると、すでに一人と2匹はすやすやと眠りに落ちていた。
薄暗い明かりだけを残して、かなり大きいベッドの空いた側にぼふ、っと彼も倒れこむ。
目を閉じて真っ先に浮かぶのは、先程の学習型デバイスのへの最初の一撃。
あと半歩、届いていればキャロに怖い思いをさせることもなかったのに…と後悔せずにはいられなかったが、
とりあえず今は眠ろう、と意識を消していく。

 どさり、と鈍い音がして黒焦げになった何かの大きな体躯の獣が真っ白い部屋の床に落ちる。
その行為の主は、今より若干小さい床に立ったままの本来の姿のフリードと、その足元には怯えるようにそれにすがる
さらに小さいフードを被ったキャロであった。
(――これは、キャロの夢?)
辺りには、フリードが焦がしたと思われる様々な形の元の姿が判別できない肉の塊がいくつも横たわっている。
まだ健在な獣の何体かがぐるる、と少女と竜を見据えて唸る。
そのうちの一匹が飛び掛り、キャロの腕の一箇所を裂くと、狂ったようにフリードが炎を吐き、羽で蹴散らし、また黒い肉塊を作った。
がたがたと震える心の内が聞こえる。
――こわいよ!やめてよ!
だがその心情など伝わるはずもなく、白い部屋の一角からまた新しい獣達が現れた。
どこからか研究員と思しき乾いた声が響く。
「やっぱり、まったく制御できてないな。使い物にならんね」
「しかし大丈夫か?死んでしまったら――」
「構わんさ、この程度で死ぬようならどうせ役に立たんし……どちらにしても引き取り手もなかろう」
「ふん、まあそうだな」
そしてまた獣達が飛び掛かると暴れ始めるフリード。
――いやだ、しんじゃう、いやだ、だれか、たすけて!
恐怖で叫びながら、そして画面は切り替わって、六課配属直後の、初出動のヘリの中へと記憶は移る。
掌に広がる赤い血のイメージ、そしてさらに記憶は早まわしになり、吹き飛ばされたルーテシアの一撃、
水中からエリオを引き上げた直後の無詠唱ヴォルテール召喚、全力での最後との戦いと、時系列をごちゃごちゃにして夢は進み、
そして先程の黒いスーツ男の映像になると、視点は涙でぼやけたスーツ男の後姿と、子供達をかばっているエリオに変わった。
異様に光り輝いた黒い砲身の先の白い光がとどまることなく膨張し、そして放たれたそれが、
防御しきれなかったストラーダと主の体を貫き、噴出した血で画面が真っ赤に染まって――

475 名前:pure monster(中・前編) (11/11):2007/10/08(月) 17:10:51 ID:gJL4jiht
がば、っとそこでエリオは激しく発汗しながら起きると、ゆっくりと呼吸を落ち着ける。
辺りを見回してホテルの一室であることを確認すると、ほっと息をつく。
「夢…」
か、とふとキャロを見ると、両の瞳を開いたまま、とうとうと涙が流れていた。
「キャロ?」
「エリオ…くん?」
そっと頬に手を当てると、両の手でぎゅっとしがみつかれる。
「……ひょっとして、怖い夢…みてた?」
「うん……昔の夢と、エリオ君が、死んじゃう夢…」
「大丈夫、ちゃんとここに生きてるよ」
「うん…」
額に優しく口付けると、ようやく涙が止まる。
「大丈夫?」
若干蒼白な顔に再び問いかけると、掴んだ手にさらに力が篭った。
「うん、でも、ちょっと、側に居て…」
「ん…」
頭を抱きかかえながら添って寝ると、肩に頭を預けられ、またゆっくりと眠りへと落ちていく。

 再び浮かび上がってくるぼやっとした映像に、エリオはあー、またかとなんとなく察する。
だがしかし今度の夢はお互い全裸でキャロが上になって繋がっている夢だった。
(……え?)
それだけならまだしも、お尻の側にはヴァイス、頭の側にはグリフィスが、勿論全裸で登場していた。
ただし2人ともキャロの脳内少女補正がかかっているらしく、ひどく美形で、光源効果までプラスされかなり美化されている。
後ろの穴と口にゆっくりと大きなモノを差し込まれ、動かされながら、丁寧に全身を3人に撫で回される感触に浸って――
というところでぱちっ、と目が覚める。
キャロも目が覚めたらしく、薄暗い明かりの中でもはっきりと分かるほど恥ずかしそうにしていた。
「……みちゃった?」
「う、うん…」
お互いに激しく照れながら言葉に困る。
「エリオ君も、こういうの…ない?」
「うーん、ぼやーっとだけど、フェイトさんとキャロがでてきたことはあるかも…」
「ほ、ほら…だから、ね?」
「ひょっとしていつも、こういうの…考えてたりする?」
「ち、違うよ!こんなのときどきだし、い、いつもはアルトさんとかルキノさんとかシャマルさんだし!」
それはそれで問題である。
まさか元機動六課のオペレータ陣もキャロの妄想で勝手にいいように弄ばれていたなんて夢にも思っていないだろう。
「それはそれでひどいんじゃないかな?」
「そ、そうかな?」
くだらない話を繰り返しながら、夢写しの元凶である久遠は2人の側で知らぬ存ぜぬですやすやと眠ったまま、夜は更けていった。

476 名前:どっかのゲリラ兵:2007/10/08(月) 17:11:48 ID:gJL4jiht
今回は以上です。キャロの脳内はスゴイネw
さてさて次回はるーるーのご登場です。
ほいではまたノシ

477 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 18:52:46 ID:qwf9hSWs
何だかんだで、投下ペース途切れないね。もう419kb…。
とりあえず、朝方投下した人、騎士よ寝ろの人、ゲリラ兵
3人まとめて乙ですた

478 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 19:19:28 ID:Cn+z1RMt
キャロ自重wwwwwwwww

479 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 19:32:31 ID:K1lKKcWh
エリオ 「僕もバイスさんとグリフィスさんが出てきたことがある」
みたいなこと口走るといろいろと…

480 名前:シナイダ:2007/10/08(月) 21:03:12 ID:BHlJ9wko
投下したいッス

・短編
・ユーノ×なのは(別にラブくはない)
・エロなし
・時系列的には、闇の書事件の後でなのはが事故に遭う前なところ

481 名前:『よっかったじゃないか、いいタイミングで喧嘩出来て』:2007/10/08(月) 21:05:24 ID:BHlJ9wko
「ユーノくんなんて、だいっ嫌い!!」
「僕だって、なのはなんてもう顔も見たくない!!」

 ―――最初は耳を疑った。

 執務官試験を受けるにあたり無限書庫の資料を使って勉強をするため、フェイトが書庫に足を踏み入れた時、無限書庫内に響き渡る大声が聞こえてきた。
 慌てて飛び込むと、無限書庫の上のほうで―――二人の少年少女が言い争っている。

 一人はユーノ・スクライア。この無限書庫の司書であり、非常に大人しく、責任感の強い少年。
 もう一人は高町なのは。自分の親友であり、何時も元気で、人を気遣うことを忘れない優しい少女。

 ここにいる誰よりも早く出会い、親友同士である二人が、どうしてこんな喧嘩なんて―――?
 信じられない気持を抑えつつも、慌てて大声を張り上げる。

「っ、二人とも! どうしたの!」
「! フェイト!?」
「フェイトちゃん……」

 フェイトの姿を認めるなり、なのはもユーノもしまった、といった顔になる。
 そうしてなのはは下を向いて唇を噛むと、顔を上げ、最後とばかりにユーノに向かって叫んだ。

「とにかく! 私はもうユーノくんなんか知らないから!」
「こ、こっちだってもうなのはなんか知るもんか!」
「……〜ッ! じゃあね!」
「あ、なのは!? ねえちょっと待って! なの……っ。いいのユーノ!?」
「……知らないよ!!」

 そのまま宙へと浮かび上がると、ユーノは検索魔法を一気に走らせる。
 そんなユーノの様子を見、更になのはが去ったほうを見て、途方にくれるフェイトだけが、その場に残されていた。

482 名前:『よっかったじゃないか、いいタイミングで喧嘩出来て』:2007/10/08(月) 21:07:00 ID:BHlJ9wko
「……くっそ。なのはめ……」

 ユーノの周りを高速で本が回転している。
 彼がここに勤め始めてから既に数年。検索魔法も幾分か改良され、効率も上昇している。
 そんな魔法を何時もよりも高速に、しかし雑に操りつつ、普段の彼からは想像も出来ないような表情をしていた。

「―――ああもう! 集中出来ない!」

 周囲に集まっていた本が、空中へと散乱する。
 そんな本にも構わず、ユーノは空中を翔ると、勢いよく無限書庫の外へと飛び出した。
 すると、後ろから慌てた声が追いかけてくる。

「ゆ、ユーノさん! どこ行かれるんですか!?」
「外だよ! 気分が悪いからブラブラしてくる!」
「で、でも仕事―――」
「やっといて! もしくは休み!!」
「えええええ!? 無茶ですって! まだ皆細かいとこ慣れないし新人入ったばっかなんですから、ってユーノさーん!?」

 後ろで司書仲間が叫んでいたが、今はそれどころじゃない。
 さっきまでの出来事が頭の中で煮えくり返ってて、それどころじゃない。
 苛々する。
 こんなのは、初めてかもしれない。
 何でだか分からないけど、どうしても。

「ああ、なんなんだよもう……!!」

 歯を食いしばり、思い切り壁を殴りつけた。
 じんわりと拳に滲む痛みが、まるで彼女のさっきまでの顔に走った感情のようで。
 自然と、下を向いて―――独白していた。

「ちくしょう……―――こうなったら……」

483 名前:『よっかったじゃないか、いいタイミングで喧嘩出来て』:2007/10/08(月) 21:07:40 ID:BHlJ9wko
「―――何? なのはとユーノが?」
『そ、そうなの。お兄―――じゃなくてクロノは何か知らないかな……?』

 アースラのブリッジで、思わず腕を組むクロノ。
 自分の目の前には個人回線で入ってきたフェイトの顔が映し出されている。
 どうやら妹は先程、えらい現場を目撃してしまったようだが……。

「いや……残念ながら、僕のほうではなんともな。深刻そうだったか?」
『ちょっと。二人とも、二度と会わないとか、凄い剣幕で……』
「そうか……」

 あの仲のいい二人が喧嘩など想像の範疇外だが、実際に見たというならそうなのだろう。

 しかし、どうしてそんなことになったのか。
 先日ユーノに調査のため連絡した時には、特に何事もなく穏やかなやり取りだった。
 そして、更に一週間前になのはと廊下で遭遇したときも、これといったこともなかった。
 それに自分などよりよっぽど二人に所縁のあるフェイトが知らぬことを、自分が知っているはずもなく。

「すまないな。力になれそうにもない」
『そっか……。ごめんね、忙しいのに』
「いや、友人の一大事だ。連絡をくれたことには感謝するよ。こちらからも、何かと調べて手を回してみる」
『あ、ありがとう!』

 ああ、と答えて、ふむ、と改めて腕を組んだ。
 つまらぬいささかいなど最も起こしそうにもない二人。
 その喧嘩の原因。

 考えてみると自分は彼らが誰かと喧嘩しているところを見たことは無い。
 強いて言えばユーノのほうはこちらがからかう事で噛み付いて来たりもするが、それはお互い分かってやっていることだ。

 ……そう考えると、どうにも。
 本当に対処の仕方が分からなくなる。

 考え込んでいると、後ろから執務官補佐であり、長年の相棒である少女が肩を叩いてきた。

「―――難しい顔してるよ? クロノくん?」
「ん。あ、ああ……いや、な。聞いてたか? エイミィ」
「いちお、ね。なのはちゃんとユーノくん、どうしちゃったんだろ……」
「さてな……ん? エイミィ、何か私用回線で連絡が……ってこいつ……」
「え? ―――うわ、く、クロノくん……」
「……出るしかあるまい。―――はい、もしもし? ったく、何の用だ。フェレットもどぎ」

484 名前:『よっかったじゃないか、いいタイミングで喧嘩出来て』:2007/10/08(月) 21:08:40 ID:BHlJ9wko
「何? なのはとスクライアが?」
「そうなんですシグナム。何か心当たりとか無いでしょうか」
「ってもなぁ。一番仲のいいお前が知らないんじゃ、誰も知らねーと思うぜ?」

 本局の訓練施設。
 知り合いの二人がそこで訓練中だと聞いたフェイトは、彼らにも事情を聞くためにやってきていた。
 烈火の将シグナムと紅の鉄騎ヴィータ。
 ヴォルケンリッターの二人は、フェイトの口からなのはたちの事情を聞くと、互いに首をかしげている。

「……喧嘩、か」
「? 何か」
「ああ。そうだな、例えば―――おいヴィータ」
「あ? なんだよ急に」

 訝しげな表情のヴィータに、シグナムは半笑いの馬鹿にした顔で告げる。

「お前は本当に、何時までたってもチビで意地っ張りだな」
「―――あん?」
「しかも最近のなのはとの模擬戦の勝率も悪くなってきてるだろう。ははは、ヴォルケンリッターの一人としての心構えがイマイチなんじゃないか?」
「んだとテメエ!? おっぱいブルンブルン揺らして風呂入ってる癖に! 風呂上りのミルクの後に『ぶはーっ』っていう癖に! へっ。シャマルと同レベルだぜ!」
「―――ヴィータ、一度死ぬか?」
「おめーがなぁ……?」
「ちょ、ちょっと待って。いきなり何言ってるんですかシグナム! ヴィータもアイゼンを構えないで!」

 するとシグナムは我に返ったようにハッとするとコホン、と咳払い。
 そしてフェイトに向き直ると、真剣な瞳で。

「こういうことだ、テスタロッサ」
「意味が全然分からないんですけど……」
「てゆーかアタシは喧嘩売られ損かよ」

 疑惑の視線を投げかけてくるチビッ子二人相手に、レヴァンテインを床に突き刺したシグナムは肩をすくめる。

「今のように、ヴィータは私に喧嘩を売られればすぐに食いかかってくる。何故だか分かるか?」
「何故ってそりゃ……てめーがこっちのカンに触るようなこと言うからだ!!」
「落ち着け。論点はそこじゃない」
「つまりどういことなんですか?」
「ああ。喧嘩というのはなテスタロッサ。―――無関心の相手とは出来ぬものだ」

 無関心の相手。
 確かに、喧嘩というのは人がすれ違った時にするものだ、と昔リニスに教わったことがある。

「でも、別に知らない人とでも喧嘩したり……」
「それは喧嘩と呼ぶに足らん何かだろう。喧々囂々と言い合える相手など、大切にすべきだと私は思うがな」
「んだよ。えらく語るじゃねーか」
「ふん。なのはもスクライアも私にとっては大切な友人だ。二人とも意固地になっているかもしれんからな。取り持ってやってくれ、テスタロッサ」
「うん……ありがとうございます、シグナム」
「例には及ばん」
「んなことよりシグナムてめー。さっきの暴言の数々についてちょっと話し合おうじゃねえか」
「ああ、それは私も思っていたところだ。―――誰が『1人おっぱいキングダム』だと?」
「言ってねえよ!」

 とりあえず苦笑してコッソリとその場を離れる。
 その後、訓練上からかなり本気の立ち合いの音が聞こえてくるのを背に、フェイトは目的の人物たちを探すために管理局の廊下を走るのだった。

485 名前:桜色:2007/10/08(月) 21:08:45 ID:vhxMYuWZ
機動6課の運用期間も終わりいよいよ最後の夜を迎える事になった。
「明日の荷作りは終わったか?」
と長い桜色の女性が尋ねた。
「はい終わりました。」
と同じ桜色をしたシュートヘアーの少女は答えかえした。
女性の名はシグナム。少女の名はキャロといった。彼女達は1年近くを同じ
部屋で過ごしていた。
「1年などあっとゆうまだったな。しかし最後の模擬戦には驚いたぞ。色々
できるようになったんだな。それにまさか我らに向かって勝ちますなんて
事まで言うようになるとはな。」
と言いつつからかうような視線を向ける
「あ、あれはそのばの勢いというかなんというか。それに私なんて皆さん
 くらべるとまだまだですよ。」
「ふふふ。ま、初めてあった時と比べれば大分逞しくなったぞ」
といいつつ頭をなでる。
「あ、そうだ今キャラメルミルク入れてきます。最近フェイトさんに習った
 んですよ。」
「それならごちそうしてもらうかな。」
「すぐにいれてきますからまってて下さいね。」
そう言ってキャロは部屋を出た。
シグナムは部屋に残り少し考えていた。あの小さな後輩の事のこれからを。


486 名前:『よっかったじゃないか、いいタイミングで喧嘩出来て』:2007/10/08(月) 21:09:49 ID:BHlJ9wko
「……」

 なのはは1人、本局の廊下を歩いていた。
 肩を怒らせ、下を向いてズンズンと歩いていく姿に周囲の局員が怖れ慄き道を譲っている。

「知らないもん。ユーノくんの馬鹿。心配してあげたのに、知らないっ」

 ぶつぶつと口からこぼれる言葉は自分が意識したわけではないだろう。
 脳裏に先ほどの言い合いがよみがえる。

 半分くらい怒りに任せていたので覚えてないが―――最初の方に何を言ったかは覚えてる。

 仕事が増えてきたユーノの仕事量がどんどん大変になっているのは、なのはも伝え聞いていた。
 人員を強化したり、スクライアの一族から助っ人を呼んだりもしているそうだけれど、それでも中心人物である彼の仕事は多い。

「だから大丈夫、って聞いただけなのに。そりゃ、私だって……でも、やっぱり」

 なのははまだ幼い。
 人からどう言われようが、本来ならば小学校高学年、中学生といった立場にある年齢なのだ。

 だから、感情的になるなと言われても無理なものは無理なのだが―――
 考え続けていたらどんどん思考回路が落ち着き―――落ち込んできたらしく、次第に足取りが遅くなり、やがてその場で止まってしまう。

「……ユーノくんがやりたくてやってるのは知ってるけど……でも……」
「―――何を往来で立ち止まっている」
「うひゃっ!?」

 慌てて飛び退り、後ろを振り向くと―――1匹の蒼い大型犬が。
 よく知るその喋る犬は、流し目でなのはを見て、スタスタと横に並んでくる。

「行かないのか」
「あ、はい。ザフィーラさんはどちらまで?」
「シグナムたちに呼ばれている。訓練場だ」
「じゃあ、途中まで一緒ですね」

 といっても、元よりなのはに行き先などない。
 ただ、適当に歩いていて、普段よく利用する訓練場周辺まできていただけだ。

 ザフィーラと二人、並んで歩きながらこれからどうするか考える。
 暇が取れたのでユーノの手伝いをしようと無限書庫に行ったはいいが、こうして喧嘩してしまった以上、書庫には戻れず―――結果、手持無沙汰だ。
 はぁ、とため息をつくと、ザフィーラがちらりと視線を向けてきた。

「……悩み事か」
「あ、いえ、別にそんな大層なことじゃ……」
「……そうか」

487 名前:『よっかったじゃないか、いいタイミングで喧嘩出来て』:2007/10/08(月) 21:10:30 ID:BHlJ9wko
 それきりお互い黙ってしまう。
 普段のなのはなら、何か話題を見つけて寡黙なザフィーラとの沈黙を破っただろうが、今日は元気がないせいかそういった気も配れない。
 するとどうか。
 いつもなら容赦なく沈黙し続けるザフィーラは低く小さいが、耳に響く声で告げた。

「何かあれば、遠慮なく言うがいい。お前は我々や主の恩人だ。力になれることがあれば、なろう」
「ザフィーラさん……」

 彼からこのような言葉をかけられたことに少し感動する。
 ヴォルケンの中では一番打ち解けられていたか心配だった人物なのだ。彼から自分にこのようなことを言ってもらえるとは思わなかった。
 だが、ユーノと自分のことは改めて他人に話すのが恥ずかしかったので、少しぼやかして聞いてみることにする。

「ザフィーラさんがもし仲のいい友達と喧嘩しちゃったら、どうします?」
「……仲直りをするということか」
「はい」

 そうだ。自分は、ユーノと仲直りがしたい。
 彼と喧嘩したまんまなんて嫌だし、嫌われたりしたら……考えるだけで恐ろしい。
 それを聞いて少し考えていたザフィーラはゆっくりと答える。

「―――どちらに非があるのかは分からん。だが、それならばまず謝るといい」
「謝る……」
「ああ。喧嘩をした場合、どちらも意固地に、頭が固くなっているだろう。お前もそうかも知れんが、相手もお前の前では素直になれまい」
「……」
「なら、まず謝ってやれ。仲のいい友人同士なら、それで片がつくだろう」
「ザフィーラさん……ありがとうございます!」

 立ち止まり、頭を膝小僧まで下げてお礼を言う。

488 名前:『よっかったじゃないか、いいタイミングで喧嘩出来て』:2007/10/08(月) 21:11:17 ID:BHlJ9wko
 確かにそうだ。話をしなきゃ何も解決しない。
 まずは、謝ろう。それで、お話ししよう。
 ユーノくんだってちゃんと説明すれば、自分が働きすぎなこと分かってくれる。

 そう考えると、なのはは大分心が楽になった。
 ザフィーラはそんな彼女を横目で見て、再びスタスタと歩きだす。

「力になれたなら、何よりだ」
「はいっ」
「あ、なのは見つけた!」

 と。
 前から金髪の少女―――フェイトが走って駆け寄ってくる。
 どうやら走り続けていたらしく、息をきらしてなのはの前に立つと、しばらくはぜーはーと呼吸を整えていた。

「だ、大丈夫フェイトちゃん?」
「う、うん。あの、そのねなのは……さっきのことなんだけど……」
「それなら平気! もう、やることが……やらなきゃいけないこと、分かったから」
「……え。あ、そ、そうなの? ……ザフィーラ、何かあった?」
「……さてな」

 苦笑したような雰囲気で答える蒼狼。それを見て不思議そうに首を傾げるフェイト。
 するとなのはは気合いを入れたようにフェイトへと向き直った。

「フェイトちゃん、ユーノくんの居場所知らないかな?」
「え、えと、さあ分からないけど……。クロノなら分かるかも……」
「ほんと? じゃあ聞いてみ、」


『―――なのは、聞こえる?』


 耳に聞こえてきた声は、彼のものそのもの。
 だが、それはなのはだけに届いていたわけではないらしく。

「……これ、ユーノ?」
「奴は何をしてるんだ?」

 ザフィーラとフェイトも同時に首を傾げている。
 どうやらユーノは念話のチャンネルを適当に、本局内に向けてばら撒いているらしい。
 そのくせ通信の対象はなのはだけのようで、その後も彼女に向ってユーノは真剣な声で呼びかけている。
 恐らく彼女がどこにいるのか特定出来なかったために、手当たり次第念話のチャンネルを開いているのだろう。

 ただ、その声質は。
 ―――あまり、穏やかでない色を含んでいるが。


『聞こえてたら第六訓練場にきて。―――話がある』


「第六……?」
「……俺が今から行こうとしていたのも、第六訓練場だ」
「あ、私が来たのもそこだ」
「じゃ、じゃあつまりヴィータちゃんたちがいる場所ってことかな?」

 何故彼がそんなところに自分を呼び出すのか分からない。
 さっきまでお互いの念話のチャンネルを切り合っていたので、無差別に念話を飛ばしたのだろうが―――それにしても、彼らしくもない行動だ。
 一抹の不安を胸に抱えつつ、なのはたちは顔を見合せて頷き合うと、そのまま訓練場へと足を急ぐのだった。

489 名前:『よっかったじゃないか、いいタイミングで喧嘩出来て』:2007/10/08(月) 21:12:16 ID:BHlJ9wko
 訓練室に行きついたなのはを待っていたのは―――三人の知っている人物たち。

「や。意外と早かったね、なのは」
「ユーノ君……」

 睨むようにしてユーノがこちらを見ている。
 それだけで身体が委縮してしまったなのはは、訓練上の入り口付近で立ち止まってしまった。

 訓練場の中央にはバリアジャケットに換装したユーノが立っており、その隣には……呆れたように腕を組むシグナムと、肩をすくめたヴィータの姿がある。
 フェイトは二人の姿を認めると、彼らに向けて念話を飛ばす。

『シグナム、これは一体?』
『テスタロッサ……やはり一緒だったか。いや何、スクライアを見かけたので説得しようとしたのだが―――逆効果だった。すまん』
『こいつ見かけによらずスゲー石頭だな。シグナム並だぞ』
『ヴィータ、私は聞き分けが悪いわけじゃないぞ』
『なんでぇ。自分の分のアイス食われたらマジギレするじゃねえか』
『貴様が一言断れば私も文句は言わん。だが、無断で私の氷小豆を―――』

 何やら話の方向が変な方に向かっていたので、それ以上二人のじゃれ合いを聞くのは止めることにする。

 訓練上の中では強い意志でなのはを睨むユーノと、その視線に怯えてしまって動けないでいるなのはが対峙している。
全く状況が理解出来ない。
 そう思ったフェイトは慌ててなのはの前に立ち、ユーノを問い詰める。

「ゆ、ユーノ。これは何? どうしようっていうの?」
「フェイト。邪魔しないで。それに、さっきクロノの許可は取ったから」
「じゃ、邪魔って……」
「い、いいよフェイトちゃん。ユーノくんとは私がお話しなきゃいけないんだ」
「なのは……」

 その言葉には逆らえない。確かにこれは最初からなのはとユーノの問題だから。
 だけど―――それでも、二人には怪我も何もして欲しくない。

490 名前:『よっかったじゃないか、いいタイミングで喧嘩出来て』:2007/10/08(月) 21:13:20 ID:BHlJ9wko
 フェイトが渋々といった感じで下がり、シグナムたちのところに戻ると、ユーノは覚悟を決めるように、一語一語しっかりとなのはに宣戦布告した。

「なのは。レイジングハートとバリアジャケットをセットアップして」

 驚き目を見開くなのは。
 慌てた彼女は思わず彼に聞き返していた。

「え……ま、まさかユーノくんと模擬戦やるの!?」
「そうだよ。それとも僕みたいな弱い奴が相手じゃ戦えない?」
「そんなっ! 私、ユーノくんと戦う理由が無い!」
「僕にはある。―――なのは、君を認めさせなきゃいけない」
「認め……? 何言ってるのユーノくん?」

 ユーノの足もとに緑色の魔法陣が展開する。
 それを見たシグナムとヴィータがやれやれ、といった風に溜息をつき、訳の分からないフェイトは更にオロオロと彼らの様子を見つめるしかない。

「し、シグナムっ。これは、どういう!?」
「……見ての通りだ。まぁ、スクライアなりに筋を通そうとした結果だろう。黙って見守ってやれ」
「で、でも……」
「それにユーノの奴は攻撃系の魔法使えねーからなのはは怪我しねーよ。安心しろ」
「そういうことじゃなくてっ! それに私はユーノが傷つくのだって見たくないよ!」

 フェイトの反論を聞いたザフィーラが口を開く。

「―――奴も男だ。何かと己のプライドに変えられないものがあったのだろう」
「プライドって……」
「色々あんだよ男には。いいから黙って見てろ」
「うう……」

 何やら悟りきったようなヴォルケンリッターの面々に閉口する。
 考えてみれば彼らは自分より遥かに多い人生経験の持ち主たちなわけで。
 あの箱庭での人生が殆どだった自分よりも頼りになるのかもしれないけど……。

 不安げな表情のまま、フェイトは中央で対峙する二人の親友を見る。

「ユーノ……なのは……」

 出来れば、どちらも大した怪我をすることもなく。
 元通りの関係に戻ってくれればいいと、そう思った。

491 名前:『よっかったじゃないか、いいタイミングで喧嘩出来て』:2007/10/08(月) 21:14:02 ID:BHlJ9wko
「なのは。僕にバスターを撃って。全力全開、今君が出来る手加減抜きの攻撃で」
「ええ!? そ、そんなの危ないよ!」
「危なくないよ。僕が止めるから」
「ユーノ君の盾が堅いのは知ってるけど、それでも―――」
「君の全力は防げないって?」

 ユーノの目が細まる。
 その視線。
 その視線に、なのはは今までのように怯えるのではなく―――何か。
 何か、熱いもの胸の奥に感じた。

「馬鹿にしないで。確かに君の魔力は強いけど、砲撃の威力は高いけど。それでも、僕が防ぎきれないとでも思った?」
「……! ユーノくん! それだけじゃない。ユーノくん、ここのところ無限書庫で働き詰めだったもん。疲れてるでしょ!? 魔法だってずっと使ってたでしょ!?」
「君ほどじゃないよ」
「私なんか! ユーノくんの意地っ張り!」
「なのは―――君はなんにもわかっちゃいない」

 そうして、ユーノは右手を前に、左手でそれの手首を掴む。
 前方に展開される魔法はラウンドシールド・パワード。恐らく彼が使える魔法の中では最硬の、盾。

 ―――彼は本気だ。
 なのははそう直感し、思わずレイジングハートとバリアジャケットを起動させる。
 そして杖をバスターモードへと移行させると、構えを取る。
 意識を高ぶらせる。魔力の唸りを肌で感じ取る。
 やるしかない。覚悟をしなければ、彼の意志は貫けない。

「……エクセリオンは調整中で使用許可が出てないから、バスターで行くよ」
「いいよ。どっちでも」
「―――レイジングハート。カートリッジロード」

 ガシャコ、と激しい機械音が鳴り響き、3発の薬莢が吐き出される。
 片や結界魔導師の少年と。片やAAAランクの魔力を持ち、カートリッジシステムでその魔力を飛躍的に上昇させる砲撃魔導師。
 二人の距離は二十メートル程度で。
 その距離を埋めるようになのはが一歩だけ前に足を踏み出し、ユーノは膝を屈めて耐える姿勢を取る。

「ディバイン―――」
「―――シールド、……」

 恐ろしい緊張感。
 いや、それだけではなく……この場には急激に上昇した魔力流、二人の人物の感情、軋みを上げる訓練場。
 軋轢の全てが“彼女”へと収束し、また“彼女”から放出されている余波である。
 それら全てのうねりがこの状況の混沌さを表し。

 そして。

 高町なのはが、一呼吸息を吸って―――叫んだ。

「バスタァァァァァァァァァァァァァァァァアアアァァァアアアアァアアアアァアアアアア!!」

492 名前:『よっかったじゃないか、いいタイミングで喧嘩出来て』:2007/10/08(月) 21:14:39 ID:BHlJ9wko
「う、」

 桜色の魔力。
 その砲撃の奔流が―――新緑の盾へと直撃する!
 魔力の流れだけじゃない。それによって出来た暴風さえもがユーノのジャケットを揺らし、体を後ろへと吹き飛ばそうとする。
 凄まじい。凄まじく激しい衝撃。
 ユーノの右手の手袋は、非殺傷設定の魔法相手だというのに衝撃に耐えきれず裂け、破れ、少しずつ弾けている。

「う、ぐぐ、」

 カートリッジの魔力により強化された砲撃が剛い。
 頬を掠める風が痛い。
 右手に走る鉛のような衝撃が重い。
 堅く練りこまれた勢いが強い。
 一撃に込められた想いが硬い。
 踏みしめながら、少しずつ後ろへとずり下がる足腰がキツい。

「う、ぐぐ、ぐ――――――、でも」

 そうだ。でも。
 でも!

「この程度か……なのはぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
「―――!!」

 光が強く輝き。
 少年を一人巻き込んで、爆砕した。

493 名前:『よっかったじゃないか、いいタイミングで喧嘩出来て』:2007/10/08(月) 21:15:40 ID:BHlJ9wko
「う―――」

 目が覚めた時……彼女は何やら高い天井を見上げていた。
 地面は固く、金属のような感触がする。
 なんだろうか―――誰かが―――自分を呼んでいるような―――

「なのはッ!」
「……フェイトちゃん?」
「ったく驚かせんじゃねーよ馬鹿!」
「ヴィータちゃんも……」

 なのはは己の身体を起こすと、少しくらりとふらつく。
 何やらかなり眩暈がし―――なんで自分がこんなところで寝ていたのかを、混乱した頭で思い出そうとして……。

「あ、ユーノくんは!?」
「そっちで伸びてるって。ま、お前の砲撃を防いだのは大したもんだ。……最後は盾ごと相殺して吹っ飛んでたけどな」

 ヴィータの示した方に視線を移すと、そこには大の字になって倒れているユーノがいた。
 なのはは膝に力を込めてなんとか立ち上がろうとして、そのまま崩れて地面に手を付いてしまう。
 顔をしかめながらユーノの元へと向かおうとするなのはを、慌ててフェイトが横から支える。

「だ、ダメだよなのは。魔力を放出しすぎて気絶してたんだよ? しばらくは安静にしてないと。もう少しでシャマルさんが来るから―――」
「ユーノくん……」
「……起きてるよ」

 と、なのはの弱々しい声に、意外としっかりした返答があった。
 皆の視線が寝転がっているユーノへと集中し、それを感じたらしいユーノが上半身を起こす。
 彼は頭の後頭部をさすりながら、目を瞑ったまま下を向いて大きくため息をついた。

「……やっぱりね」
「な、何がやっぱりなの……? そ、それよりユーノくん、手!」

 そこまでフラフラとしていたなのはが、地面を這うようにしてユーノへと近づき、その横にペタリと座り込む。
 そうして彼の手を握ると、ボロボロになってしまったそれを自分の額につけて―――泣きそうな声で謝った。

「ごめんね……こんな……怪我……」
「そんな……僕がけしかけたんだから、なのはが謝ることじゃないよ……僕こそごめん。色々と」

 申し訳なさそうな顔で、もう片方の手で彼女の頭を優しく撫でる。
 そして顔を上げたなのはに向かって真剣な顔で。
 けど、とユーノは前置きする。

「……なのはにちゃんと認めさせなきゃと思ったから……自分の身体のこと」

494 名前:『よっかったじゃないか、いいタイミングで喧嘩出来て』:2007/10/08(月) 21:16:49 ID:BHlJ9wko
「身体……私、本当に平気だよ?」
「平気じゃないよ。今、君の攻撃を受けて分かったんだ。……なのはが万全の状態なら、僕の盾なんて一瞬で貫かれてる」
「い、一瞬なんて無理だよ!? ユーノくんの凄く硬いんだから!」
「ううん。君は今、最初に出会った時より強くなった。ずっとずっと。
 ―――でもね、だから忘れないで欲しいんだ。君のその力は、きっと身体に凄く負担をかけてるから」
「それは……うん……でも」
「―――まあ、僕が言いたかったのはそれだけなんだ。その、なのはが自分のことを棚に上げて僕の体なんか心配するから、カッとなっちゃって、つい、その……」

 視線を逸らしてごにょごにょと言い訳するユーノ。
 と、今度はそんな彼をなのはがキッと睨みつける。

「ユーノくんの身体なんか、じゃないよ! ユーノくんだって、自分の体調管理しないで働き詰めて!」
「だ、だから僕の場合は無限書庫でもちゃんと休む時は休んでるし、書庫だって今は発掘時期で大変で、もう少し経てば整理も一段落つくし、」
「だーめ! 栄養バランス健康食品とかでご飯すませてたら必ず倒れるよ! それに休むって、あの死体みたいにふわふわ浮いてるやつのこと!?」

 勢い込んで反論されたユーノはどもりつつも言い訳を試みる。

「あ、あれはなんていうか、便利だし、それにその、パッケージにカロリー調整したり緊急の食事用にって、シャマルさんの一押しでもある―――って死体って何さ!」
「だって最初死んでるかと思ったもん! ご飯だってそんなのよりちゃんと食べた方がいいに決まってるでしょー!」
「おいこらお前ら。そろそろいいか」

 何!? と、二人で視線を横に移すと。

 呆れたような顔でヴィータがこちらを見下ろしており。
 その後ろで微笑ましいものでも見るような顔をして口元を押さえたシャマルが、おほほほほ、と言いながら音もなく擦り寄ってきた。

 皆に見られてる前で、フェイトに続きまたもや恥ずかしい喧嘩を見られたと悟った2人。
 顔を真っ赤にする子供たちを見て、シャマルは再び笑う。

「うふふ、初々しくていいわね〜。けど、診察のお時間ですよ二人ともー」
「う、初々しいって!」
「別にそんなんじゃないですっ!」
「いえいえ。小学生のうちの痴話喧嘩はそれくらいがいいのよ二人とも」
「シャマルさーん!」

 違うんですー! と叫ぶユーノをあやしつつ、範囲結界型の治療魔法で二人同時にシャマルはヒーリングをかける。

 そんな彼らを眺める残りの面子。
 フェイトはどうやら仲直りしたらしい2人にほっとし、シグナムは肩をすくめて唇の端を持ち上げた。
 寝そべって状況を観察していたザフィーラが、興味も無さそうに呟く。

「……人騒がせだな」
「そう言ってやるなザフィーラ。スクライアも、なよなよしていると思ったが……ふふん。骨があるところも見せるじゃないか」
「シグナムにとっての“骨”って正面からかち合うかどうかですよね……」

 横で何やら満足げに頷いている烈火の騎士を半目で睨んでから、フェイトは訓練上の中央で身体を寄せ合う2人に視線を移す。
 でも、二人とも無事に仲直り出来たみたいで、本当によかった。
 そう思うと思わずはぁ、とため息をつくフェイト。

495 名前:『よっかったじゃないか、いいタイミングで喧嘩出来て』:2007/10/08(月) 21:18:10 ID:BHlJ9wko
 胸を撫で下ろす彼女を見下ろしながら、シグナムが己の疑問をぶつける。

「奴らは本気で喧嘩するような相手がいなかったのか?」
「え? それは……えっと、なのははアリサとよく言い争ったりしてました」
「スクライアはどうなんだ?」

 その問いにフェイトは脳内のユーノの交友関係をひっくり返して思い出そうとする。

「……ユーノは……部族のほうだったら、多分……」
「そうか……じゃあスクライアは特に最近、欝憤の一つでも溜まっていたのか知れないな。よかったじゃないか、いいタイミングで喧嘩出来て」
「そう、ですか……?」

 喧嘩とかをあまりしたいと思わないフェイトには、その理論はよく分らなかった。
 無論、普段の模擬戦はあくまで真剣勝負であり、例え挑発されて始まったとしても喧嘩ではない。断じて。

「お前とて、奴らならどうせすぐに仲直りすることくらい見て取れただろう」
「ま、まあ確かに。2人とも、優しいですから」

 今回の喧嘩の原因だって、二人の優しさがすれ違った結果だ。
 お互いがお互いを心配し合って、自分を蔑ろにする相手に腹が立った。
 そんな、振り返ってみれば優しい喧嘩。

「……だがな、テスタロッサ」

 真剣な雰囲気にフェイトが顔を上げる。
 一件落着といった和んだムードの中、彼女たちの間だけに微妙な緊張感が走る。

「スクライアの言っていたことは事実でもあるし―――お前にも言えることだ」
「……私は……はい」
「お前たちはまだ幼い。身体もまだまだ成長段階だ。あまり、無理をして……一生をダメにするようなことが無い程度に鍛錬しろ」
「ふふ。ありがとう、シグナム」

 花びらのように柔らかく、嬉しそうに微笑むフェイト。
 それを受けたシグナムが、ニヒルな顔をして視線を逸らす。

「ま、“それなり”に将来有望なライバルがいなくなるとつまらんからな」
「なっ。将来有望なだけじゃなくて今だってライバルですっ!」
「はっはっは。では折角だ、今からやるか? さっきまでヴィータとやっていたから、こちらの体は温まっているぞ」
「上等です。―――バルディッシュもいけるね?」
《Yes,sir》

 2人がやる気満々で訓練場の中央へと移動する。
 それを見たなのはたちは苦笑しながら場所を譲り、紫炎と金雷の舞闘を外から観戦する。

496 名前:『よっかったじゃないか、いいタイミングで喧嘩出来て』:2007/10/08(月) 21:18:56 ID:BHlJ9wko
「ねえ、ユーノくん」

「何? なのは」

「今度さ、二人でお休みとって―――どこか遊びに行かない?」

「え、……ああ。それはいいかもね、……うん。凄くいい考えだ」

「でしょっ? えへへ。楽しみにしてるからね!」

「僕も。誰かと遊びに行くなんて久しぶりだし……なのは」

「うん?」

「……ごめんね」

「私も、ごめんね」


 そうして、お互いに笑って。
 優しい子どもたちは、崩さぬように大切に、時間の積み木を積んでいく。

 その後。
 彼女があのような怪我をするまで、真っ直ぐに。

497 名前:シナイダ:2007/10/08(月) 21:21:16 ID:BHlJ9wko
以上でした
読んでくれた方、ありがとうございます

498 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 21:34:11 ID:myWeTT3d
GJ!

しかし、ユーノはなのはが倒れたとき・・・きっと後悔したんだろうなぁ。自分と出会った事を・・・
ともあれGJ!でしたっ!

499 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 21:36:34 ID:MP7r1mT3
>>497
GJです!こんな、ほのぼの(?)としたユーなのって久しぶりかも・・・・

500 名前:桜色2:2007/10/08(月) 21:36:34 ID:vhxMYuWZ
彼女は自然保護団体にまた戻ると聞いた時は正直嬉しいと思いつつ
どこか残念と思った。もともと彼女は戦いには向いてる性格ではないし
元いた所に戻るだけなのだから一番いい事なのかもしれない。そう考え
てると
「シグナムさんできましたよ。」といいつつカップを2つ持ってきた
笑顔の少女が部屋に戻ってきた。
「おいしそうだな。いただくとするか。」
「どうぞ。」といいつつ2人のお茶会が始まった。
「そういえば覚えてるか?最初に2人が一緒の部屋になった日を。」
「ええ覚えてます。」といいつつキャロはばつのわるそうな顔をする
「最初に入った時お前が挨拶し終えた後ずっと部屋の隅のほうで正座して
 た時はこちらもどうすればよいか困ったものだったよ。」
「あの時はちょっと緊張してたんですよ。それにシグナムさん怖そう
 な人と思ったんですよ。」
「そうだったのか?まあその後一緒に風呂に入りにいったんだよな。」
「はい。それでシグナムさんに髪を洗ってもらったんですよね。それで
シグナムさんが私と一緒でおそろいの髪の色だなとか言ってましたとね。」
「そうだな。よく覚えてるな。それはそうとまだ私の事怖い人とか思ってる
のか?」
「いいえ今はぜんぜんそんな事ないですよ。今はかっこいいおねえさん
と思ってます。」
「嬉しい事を言ってくれるな。」

501 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 21:46:58 ID:d+d4szHN
>>497GJ

>>484
>シャマルと同レベルだぜ!
これは酷い暴言ですね><



502 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 21:47:25 ID:YJW6zZGl
>>500
十分経ったから割り込んじゃった。ゴメンなさい。

>>395
遅いレスですみません! GJです!
ザフィーラかっこいい。寡黙な男の面目躍如。
無言を貫いてヴィヴィオを説得しきるなんて素敵すぎるだろ!!
優しい別れに涙を禁じえなかったです。

>>448
GJです! 相変わらず熱くてたまりません。
一気にオールキャストで畳み掛けてきましたね。超絶合体も素敵。
とことんやっちゃう所が好きです。聖王Ver.のヴィヴィオも頑張れ。
ユーノとザフィーラは結局勇み足っぽいですね。それもまたよし!
なのはとユーノに期待です。

>>497
久々のリアルタイム更新でした。GJです。
話自体も登場キャラみんな良かったけど、おろおろしながらみんなのために走り回って、
それが徒労に終わっても終わりが良ければ気にしない優しいフェイトさんが超絶にツボでした。
色々なSS読んで忘れてたけど、そういえば底抜けに優しいんだったと思い出しました。

良作のSS、ありがとうございました。

503 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 21:51:20 ID:hWDAJaxu
>>497
GJ!!本当に面白かったです。
久しぶりに小学生のなのはに会えて良かったです。
ワーカーホーリックな二人だからこそもう少し
身体に気を使ってほしいですね。

504 名前:桜色3:2007/10/08(月) 21:52:02 ID:vhxMYuWZ
「明日の朝も早いしもうそろそろ寝るか。」
「そうですね」キャラメルミルクも2人ともいつの間にか飲み終えてしまった
らしい。
「私洗ってきますね。」
「いや自分の分は自分で洗うさ。一緒に行こう。」
こうして2人は一緒に急騰室へと向かった。洗い終わった後少しキャロの異変
にシグナムはきずいた。
「どうした今にも泣き出しそうになって。」
「すいません。けどもう明日にはこんな事もないのかと思うと。」
「ふっ馬鹿だな。別に今生の別れではないのだぞ。それにお前は私と同じ髪の
 色をしてるんだからこれ位でないてはいかん。私のように強くならなくては
 な。」
「はい。」といいうかんでた涙をふいた。
「いい子だ。それじゃ今日は寝る前にベルカの昔話で勇気の出る話をしてやる
 ぞ。」
「ありがとうございます。いつも聞かせてくれるベルカの昔話私好きなんです」
その会話をきいた窓の外にいた小さな2人のゆうじんは
「今日は外で久しぶりにねてやるか。いくぞフリード」
「きゅるくー」

505 名前:桜色4:2007/10/08(月) 22:11:36 ID:vhxMYuWZ
次の日の朝が来た。
「あれ?シグナムさんいない。」
キャロはいそいでいつでも6課を出れる準備をしていろいろな人に
あいさつ周りをすると供にシグナムを探した。
しかし何処にも彼女の姿は見当たらなかった。
そしてとうとう出発の時間が来た。
「結局シグナムさんはみつからなかったな。」とても悲しい思いを感じ
ながら6課を見送っていた。するとふとフードのポケットに何か入って
る事に気がついたシグナムからの手紙だ。さっそく中を明けて読んで
みる事にした。
親愛なるキャロルルシエさま
私との1年間はどうでしたか?私はあなたと会えて色々な物を頂ました。
あなたとの1年間は私にとっては宝物です。
もしミッドにくる時があるなら是非私を訪ねてきて下さい。今度は私が美味しい
緑茶をいれますので。
最後ですがこれは私からのお願いです今回得られた絆はこれからも大切にして下さい
どんなものよりも大切な物になりますから。それではお元気で。
追伸フェイトに相談できないような事があれば私に相談して下さいね。
キャロは大粒の涙がとまらなかった。
「なあキャロに直接お別れいわなくて良かったのか?」
「かまわんさそれに言いたい事は全てあの手紙にたくしたしな。」
一陣の風が吹いた。
「つめて。なんで水が?」
そこには風で桜色の髪と少しの涙が流れていた。
(残念と思っていた理由が今さらながら分かってきたよキャロ)

506 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 22:13:46 ID:3rL5IWOB
>>432
GJ。ナンバーズ大好きなのでクア姉ものも期待してます。

ところで呼称一覧は>>2のサイトよりこっちの方が詳しい。(3期部屋参照)
ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/top.html

507 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 22:13:46 ID:K3SuPdEh
>>ID:vhxMYuWZ
おまいさん書きながら貼っていってるのか?
正直それはやめた方がいいぞ、あとレスするときリロードしろ。
職人同士が気にすることはないだろうが全体で見ると迷惑。

508 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 22:15:19 ID:vhxMYuWZ
桜色書いたんですがどうでしょうか?
あまり本編でからんでなかったんでかってに相部屋と妄想して作って
みましたが皆さんのクオリティには全く勝てませんね。
良かったら見てくださいね。
そして感想お願いします

509 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 22:16:49 ID:Pgeu3GcJ
もう色々割り込み入ってるようなので、自分も横レス失礼。

>>497
GJ!シグナムとヴィータの喧嘩は微笑ましかったw

>>485は一瞬、>497の作品の一部かと勘違いしたぞ
内容以前に、割り込みしてるのといい、投下の遅さといい、ちいっとなぁ…
とりあえずリロードしたら割り込みにに一言詫び入れたほうが

510 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 22:19:44 ID:F6GhuYcj
>>508
うん、まずsageようか。
書きながらの投下はやめた方がいい。しかも割り込み過ぎ。
内容以前の問題。まずは>>1を読もうか。

511 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 22:27:00 ID:vhxMYuWZ
やばいすいません
リロードすんのわすれてました。
気がついたら大変な事に。
読んでたみなさん497さんすいません

512 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 22:38:14 ID:LhFABxx3
携帯か?
初投下なんだろうけどちょっとやりすぎかな
もしかしてsage方わからないとか?
E-mail (省略可) ってとこにsageって入れるだけだよ
後は>>1を熟読

反省したなら次は失敗しないようにね
ティアナみたいに頭冷やされるぞww

513 名前:サイヒ:2007/10/08(月) 22:56:40 ID:byOsBhmo
1スレに一本ペースで投下するのが現在の目標な遅筆男ですこんばんは。
ユーなのでエロを一本いかせてもらいます。
前提条件は以下の通り。

・本編終了後の約一年後。
・ユーノとなのはが結婚。なのはは一児を出産。
・あんまり関係ないがクロフェ時空の話。
・出る方のおっぱいが少々。


ではどうぞ。

514 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 22:59:02 ID:uwRGXEma
ユーなのJr.が出てくるのって見たことないなあ支援

515 名前:三人目の子供:2007/10/08(月) 22:59:13 ID:byOsBhmo
 車の窓からのぞけば、空が青い。
 晴れていて雲が無ければ当たり前のことを、なのはは新鮮に感じていた。
 数ヶ月前まで、自分があの蒼穹の中を縦横無尽に飛んでいたのが嘘のようだ。記憶に残る澄んだ空気と、
激しい風を懐かしむ。
 しかし、まだしばらくはあそこに戻れない。
 空を舞い、そこで多くの生徒を教えるのは大切な仕事だが、それ以上に大切にしなければならない者が、
先日出来た。
 その存在が、なのはの腕の中で身じろぎした。
 視線を落とせば、最前まで眠っていた娘が、まん丸な眼をぱちくりさせて母親を見つめていた。
「おはよう、ユーナ」
「あー」
 声帯を震わせているだけの声で、娘はおはようの挨拶をする。
 小さな手をにぎにぎさせているので指を一本差し出してやると、歯の生えていない口に運びチュパチュ
パとすする。
 あまりむずがることがなく、手間のかからない娘であった。
 一度抱き直し、窓の外に視線を戻しながらなのはは思った。
(それにしても、どうしてこんなに安全運転なのかな?)
 病院から乗ったタクシーのことである。
 信号は数十メートル手前からスピードを落とし、横道があれば必ず一旦停止して人も車も来ないのを確
認してから進む。たまたま交通量が少ないからいいものの、普通ならクラクションのブーイングを喰らっ
ている運転である。
(ユーナが寝てたから気を使わせちゃったのかな)
 赤ちゃんを起こさないようにする運転にしても、度を過ぎているが。
 それでもタクシーは確実に進んではおり、普通に走るった場合の三倍以上かかって目的地に到着した。
「ありがとうございました」
 料金を払う時に礼を言うと、運転手は何故かびしっと敬礼を返してきた。
「いえ、こちらこそ高町なのはさんをお客様とすることができて感無量でありました!」
 その言葉でなんとなく事情が分かり、なのはは苦笑した。
 一年前のJS事件の後、しばらくなのはは時の人となった。事件平定の英雄としてテレビや雑誌に引っ
張りだことなり、CMやドラマ出演のオファーまで来た。街に出る時は変装しないと、サインや握手をね
だる人にたかられたものだ。
 友人の執務官も似たような目に遭い二人で愚痴っていると、もう一人の友人に「なんで総隊長の私は声
かけられへんねん」と恨みがましい目で睨まれたこともあった。
 流石に今ではそういうことは減ってきたが、時たま覚えている人がいてこのような態度を取ってくる。
 運転が慎重だったのは、有名人とその子供を万が一にも事故死させてはならないという緊張からだろう。

516 名前:三人目の子供:2007/10/08(月) 23:00:57 ID:byOsBhmo
 こういう人が、次に取る行動については予測がつく。
 案の定、運転手はポケットからハンカチを取り出し、頭を下げながら差し出した。
「……それで不躾だとは思いますが、ここにサインをお願いしてもよろしいでしょうか」
 昔はサインをなるべく断るようにしていたなのはだが、べつに一人ぐらいなら構わない。これまた運転
手が出したサインペンを受け取る。
「名前だけでいいですか?」
「はい、高町なのは、と書いていただければけっこうです」
 その言葉を聞いて、なのはの心にちょっとしたいたずら心が芽生えた。
「……それだとちょっと無理です」
「え?」
「私はもう高町なのはじゃないので」
 唖然とする運転手にいたずらっぽく笑いかけ、なのははハンカチに名前を書いた。アイドルのように崩
したサインなど出来ないので、丁寧に自分の名前を綴る。一年前から名乗りだした、まだどこかくすぐっ
たさを感じる名前を。
『なのは・T・スクライア』
 それが、ユーノと待望の結婚を遂げたなのはの今の姓名だった。


     三人目の子供


「ただいま〜」
「おかえり、なのは」
「おかえりなさい、ママ!」
 車の止まった音で帰宅を察していたのか、ユーノとヴィヴィオが玄関で出迎えてくれた。
 靴を脱ぐために、なのはは娘をユーノに渡す。
「ユーナもお帰り。パパだよ、分かるかな?」
「あー」
「ヴィヴィオにも抱かせて!」
「はいはい」
 せがむ娘に、夫はユーナを譲ってやる。小学生のヴィヴィオに赤ちゃんは少し重たいのではないかと思っ
たが、ヴィヴィオきちんと受け取った。
「ユーナ、お帰りなさい」
「……」
「今日からここで一緒に暮らすんだよ」
「……ふぇっ」
 次々と違う人に抱かれてきょとんとしていたユーナの顔が、くしゃりと歪む。
「ふぇぇぇん!!」

517 名前:三人目の子供:2007/10/08(月) 23:03:19 ID:byOsBhmo
「わわっ!」
 慌てるヴィヴィオ。こちらも泣きそうな顔で、なのはを見上げる。
「……ママ、ヴィヴィオなにか変なことしちゃったの?」
「違うよ。……はい、よしよし」
 なのはが抱っこしてやると、すぐに泣き止んだ。
「まだ、パパとお姉ちゃんだって分かってないんだね」
 病院にいる時に何度もユーノとヴィヴィオは来ていたが、それでもまだユーナにとっては知らない人そ
の四と五ぐらいだろう。明確に認識されてるのは母親のなのはだけだ。
「……まだお姉ちゃんだと思われてないの?」
 なのはの言葉を別な意味で取ったのか、ヴィヴィオの泣き顔が不安そうなものになる。
「しかたないよ。ユーナは生まれたばっかりで、何にも知らないんだから。お姉ちゃんっていうのが、ど
んなものかも分からないんだから。すぐにヴィヴィオのことを覚えて笑ってくれるようになるよ」
「……」
「だから、そんな顔しないの。ヴィヴィオはこの世でたった一人の、ユーナのお姉ちゃんなんだから」
「……うん。ヴィヴィオ、がんばってユーナのお姉ちゃんになる」
 まだ少し分かっていないようだが、これ以上はちょっと難しい話になる。それにこの程度の問題は、家
族の時間がすぐに解決してくれるはずだ。
 なのはは一つ頭を撫でてやった。
「玄関にずっといるのも変だし、上がろうか」
 横でずっと黙って見ていたユーノの一言で、四人はやっと部屋に入った。


 三週間ぶりに見る我が家は、きれいなものだった。
 ゴミはちゃんと出されており、床にほこりは落ちておらず、部屋の隅に本が山積みになっていることも
ない。
「へえ、ちゃんと片付けてたんだユーノ君」
 昔はとにかく出しっぱなしの放りっぱなしだったユーノであった。結婚後はなのはが掃除を担当してお
り、入院してなのはがいない間に散らかし放題になっていないかと心配していたが、どうやらちゃんとやっ
ていたらしい。

518 名前:三人目の子供:2007/10/08(月) 23:04:31 ID:byOsBhmo
「うん、まあ、僕でもこれぐらいは……」
「ユーノパパ、嘘はよくないよ」
 元気を取り戻しつつあったヴィヴィオが、ユーノの言葉を遮った。
「ヴィヴィオが言ってもちっとも片付けなくて、ママの退院が決まってから慌てて掃除したんだよ。間に
合わなくてアルフにまで手伝ってもらってたし」
「……ユーノ君」
 なのははため息をついて夫を叱った。
「もう二人の子供の父親なんだから、ちゃんとしてくれないと二人が真似しちゃうじゃないの」
「……うん、ごめん」
「ヴィヴィオの方がしっかりしてるぐらいだよ」
 昔はとにかく甘えん坊だったヴィヴィオも、JS事件を乗り越えてからはずいぶんとしっかりした女の
子になった。学校に通って、同年代の子供と触れ合うようになったのも大きかもしれない。
「また私がお仕事するようになったら泊り込むこともあるんだから、きちんと掃除してくれないとお家が
ゴミ捨て場みたいになっちゃうよ」
「ゴミ捨て場って……そこまでは」
「ママが忙しいなら、ヴィヴィオがやるよ?」
「だーめ。そうやって甘やかしてると、パパがどんどんものぐさになっちゃうから。それにヴィヴィオは
パパの面倒を見る前に、学校の勉強とかやらなきゃならないことが……」
 説教の矛先が娘に向かいかけたところで、なのはは我に返った。久しぶりの我が家で、帰ってきて早々
に説教三昧はなかろう。
「……次からはユーノ君はちゃんとしてね、いい?」
「分かったよ。きちんと整理整頓するように心がける」
 ユーノの謝罪で切り上げて、なのはは時計を見ればもう昼である。
「よし、それじゃあ反省したところで、退院祝いにごちそう作ろうか」
「自分の退院祝いを自分で作るって変じゃないかな? ……まあいいか。僕も手伝うよ」
「だったらヴィヴィオもお皿並べる!」

 なのはが帰ってきて十分足らず。すっかりいつもどおりのスクライア家の空気だった。

519 名前:三人目の子供:2007/10/08(月) 23:06:38 ID:byOsBhmo
 その日の夜。なのはの部屋。
「ねんねん〜ころ〜りよ〜。おこ〜ろ〜りよ〜」
 なのはは故郷の子守唄を歌いながら、一定の調子でユーナの身体を弱くぽんぽんと叩いてやっていた。
寝息が聞こえ出すと優しく抱き上げてベビーベッドに運んでやり、自分のベッドに戻って彼を待つ。
 さほど時間をおかず、ドアが開いてユーノが入ってきた。
「ヴィヴィオは眠った?」
「ああ、なのはと一緒に寝たがってたけど、今晩はユーナに譲ってあげるってさ」
「そっか。だったら明日は三人で寝てあげないと」
 しっかり者に育ちつつあるヴィヴィオも、寝る時だけは誰かと一緒でないと寝つけないのだ。
 二人並んでベッドに腰掛け、ぽつりぽつりと語り合う。
「久しぶりに一日動いてたけど、体調は大丈夫?」
「ちょっと疲れてるかな。ここ半年で、すっかり体力落ちちゃったなぁ」
 少しお腹の辺りに肉がついた気もするが、そこは黙っておく。
「仕事に戻るまでには鍛え直さないと、教導官失格になっちゃう。フェイトちゃんは、もう復帰に向けて
ちょっとずつ訓練してるらしいし」
「フェイトといえば、この間クロノとしゃべったんだが」
 ユーノの声が、にわかに不機嫌になる。
「もうちょっと名前は考えろって言われたよ」
「にゃはは……」
 なのはとユーノの子供だからユーナ。知人達はみんな口ではいい名前だとかなんとか言っていたが、額
の辺りに「それは安直すぎるだろ」と書いてある表情をしたものである。直に言ったのはクロノが初めて
だが。
 たしかに自分達もそう思わないでもない。だが、こうすれば二人の娘だということがはっきりと実感で
きて、なのははいい名前だと思う。
 それにこの名前にした理由はもう一つある。これなら、日本にあってもおかしくない名前なのだ。
 なのはとユーノ、それにヴィヴィオの三人だけが知っているもう一つの娘の名前は「優奈」。優しい子
供に育って欲しいという願いが込められた名前。
「あいつも、クロードとかいう自分と似たような名前つけたくせして……」
 そのあたりの事情は他人にしゃべっていないので知らなくて当然だが、それでも名前にケチをつけられ
たのが腹立たしいのかユーノはぶつぶつと文句を垂れている。
「あれは絶対に、自分が笑われたのの意趣返しだ」
 一足先に出産があったハラオウン家では陣痛が予測よりだいぶ早く始まってしまい、夫がパニックを起
こして「病院の電話番号は何番だ!?」と八神家に訊いて笑いものになった。
 同じくその場におり、輪をかけて混乱していた使い魔の方は、薬局にカチコミかけて「あるだけの痛み
止め持ってきて!」とやらかしていた。
 幸いにして手遅れにはならず、母子共に健康な出産となったが。

520 名前:三人目の子供:2007/10/08(月) 23:08:01 ID:byOsBhmo
「救急車の番号忘れるって、どれだけ慌ててたんだよクロノは」
「まあ、最初はみんなそんなものだと思うよ。ユーノ君はびっくりしなかった?」
「うーん、なのはが病院に運ばれたって聞いたのは仕事場だったから、タクシーで向ってる間に気を落ち
着けたかな。聞いた瞬間は心臓止まるかと思ったけど、心配よりも嬉しかったかな。新しい家族が出来る
んだって」
 背中に手が回され、ユーノの胸に抱かれる。
「僕の子供を産んでくれてありがとう、なのは」
 ボディソープの香りの奥に、彼の匂いがした。鼻腔から入ってくる香りが、心を落ち着かせてくれる。
 顔を上げれば、柔らかな緑の眼が微笑んでいる。
 自然に顔が近づく。
 二人の唇がまさに重なろうとした瞬間だった。
「……うう」
 ユーナのぐずる声がした。それはすぐに、泣き声へと変化する。
「うううう。ああぁぁん!」
 一瞬で甘い雰囲気が壊れたが、相手が娘では文句を言うわけにもいかない。慌ててなのはは立ち上がり、
ベビーベッドへ向かう。
「よしよし、ほら泣かない泣かない」
 抱き上げて揺らしてみるが、泣き止まない。
 お尻に手を当ててみるが、冷たさはない。だったらこちらか、とパジャマのボタンを外して胸を出して
やると、喜んで吸いついてきた。
「……けぷっ」
 飲むだけ飲んでおくびを一つすると、ユーナはまたすやすやと眠ってしまった。
 赤ちゃんの夜泣きの大変さについては母や周りの出産経験者からずいぶんと聞かされたが、ユーナはい
つもこんな感じで一時間も二時間も泣いていたことはまだない。本当に手間がかからない子供である。
 ほっとして振り向いたなのはの目に映ったのは、微妙な表情をしているユーノであった。
 目線が、なのはの胸元に固定されている。胸に見とれているというより、羨ましさのようなものを多分
に含んだ眼の色と顔。
「……ユーノ君も吸いたいの?」
「えっと……」
 一瞬、視線が宙を迷ったが、すぐにユーノはこくりと頷いた。こういうことはやたら自分に正直な夫で
あった。
「ふふ、いいよ」
 しまいかけていた服の前を再度開ける。
「ユーナはあんまり吸わないから、おっぱいが張っちゃって少し痛いの。余った分は、ユーノ君にあげる」
 ゆっくりと、誘蛾灯に誘われる虫のようにユーノの口が胸に近づく。唇が、触れた。
 ユーナはそれこそ力一杯遠慮なく吸うが、ユーノは恐る恐るという感じで吸っている。呼吸よりやや強
い程度。
「いつもみたいに、強く吸ってくれたらいいよ? そうしないと出ないから」
 アドバイスしてあげると、すぐに吸う力が強くなった。続いて、ユーノの喉がごくりと鳴る。その音は、
三回連続してから止んだ。

521 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:10:14 ID:uwRGXEma
おっぱいフェレット支援

522 名前:三人目の子供:2007/10/08(月) 23:10:14 ID:byOsBhmo
 ユーノが胸から離れる。
「おいしかった?」
「うん、なんだか、すごく甘かった」
「そうなんだ」
 実は、なのはは自分の母乳の味を知っている。入院中にふと気になって、こっそり少量口に含んでみた
のだ。
 水っぽさと脂っぽさが入り混じった味で、甘さなどは感じなかった。しかしユーノが嘘を言ったわけで
はなく、本当にそう感じたのだろう。
(私がユーノ君のアレをおいしいって思うのと一緒かな)
 熱くてどろりとしたあの味を思い出し、喉が渇いた。
 胸にあるユーノへの愛情が、優しい甘さから生々しさへと急速に変わっていく。
 妊娠が判明してから、直接的な交情は一度もしていない。手や口で性欲処理をしたりされたりすること
はあったが、それすらもお腹が目立ちだしてからは止めていた。
 数ヶ月に渡って抑圧されてきた性欲。若さ故に燻り続けてきたそれが、精液の記憶で一気に燃え上がっ
た。
 はしたないな、と一応は思った。だが脳は、欲望に従うことを承認してしまった。
 なのはは口に残る母乳の余韻を楽しんでいるユーノの唇を、強引に奪った。
「んっ……!?」
 驚くユーノの瞳を見つめたまま唇を貪り、押し倒しながら露出したままの乳房をユーノの胸板に擦りつ
ける。双丘が押し潰れる痛みと快感で、背筋が痺れた。
 彼のズボンに手を伸ばす。まだ縮こまったままであるものを、衣の上から出鱈目に撫で回した。
 するがままにされていたユーノも、欲求を抑え続けていたのは同じで、すぐに負けじとなのはの舌を蹂
躙してくる。下の方も、ズボンを押し上げテントが出来ている。
 すぐにでも熱くて硬いそれを胎内に収めたい衝動に駆られる。
 だが今は、身体よりも喉がひりつくように渇いていた。
「……ぷはぁっ」
 長い口づけを終えてなのはが口淫に移ろうと身体を離した時に、窓から入る月明かりがユーノの服で光っ
ているのに気づいた。
 ユーノの服が濡れている。抱きついて胸がへしゃげた時に、母乳が出て汚したのだろう。
 それを見て、なのはに思いつくことがあった。
 股間に向かうのをやめて、ユーノの隣に寝転びベッドと背中の間に枕を押し込んで中途半端に身体を起
こした状態にする。
「ユーノ君、今日は胸でしてあげる」

523 名前:三人目の子供:2007/10/08(月) 23:12:28 ID:byOsBhmo
 そこそこ大きいなのはの胸だが胸で奉仕するにはわずかに足らず、一度やってみたら挟むと擦りつける
の中間のようなことしか出来なかった。もっとも、顔に似合わず巨大な逸物を備えているユーノにも一因
はあるが。
 だが今は、中が母乳で満たされていることで一回りサイズが大きくなっている。これならきっと、彼を
満足させることができる。
「……お願いするよ、なのは」
 なのはの提案にユーノはすぐに飛びついた。膝立ち状態でなのはを跨ぎ、ズボンから出した男根を胸の
谷間に着地させた。
 血がみなぎって、身体のどこよりも温度が高まっている場所。当たった部分が火傷するかと思うほど、
熱かった。
 先走りの液はまだ出ていない。唾で濡らさないと、このまま擦り上げても痛いだけだ。
 だが、なのはは口に含もうとも舌を伸ばそうともしなかった。
「……なのは?」
 動きの無い妻をいぶかしむユーノの声。
「せっかくだから、今しか出来ないことしてあげるね」
 淫卑に笑い返し、なのはは自分の左右の胸に手を当てた。横から先端に向けて柔らかく絞るように揉め
ば、突起からぴゅっと母乳が噴き出た。
 男のものとは違う白濁液は、胸の曲面を流れ落ちてひくひくと細かく動く男根を濡らしていく。
 母乳で濡らすのも唾で濡らすのもなにも違いはないだろうが、シチュエーション作りの問題だ。
 現に、ユーノは食い入るようにして垂れる母乳とそれに浸される自分のモノを凝視している。
 一分もすると、男根がてらてらと光るほどの母乳が胸から腹へと流れ落ちていた。
 もういいだろうと判断し、指の力を緩め代わりに手の平で押すように胸を寄せる。むにゅりと、ユーノ
の分身は完全に肉に埋もれた。
 胸でするのは実質初めてと言っていいので、慎重にゆっくりと胸を上下させる。寝そべった体勢では少
しやりにくい。
 焦れたのか、ユーノの腰が動き出した。肉と肉が摩擦して熱さが増す。その熱はなのはの身体に伝染し
て肌を紅潮させる。
「もうちょっと、強めに挟んで」
「うん……こんな感じかな」
 だんだん慣れてきて、なのはとユーノの動きが噛み合い始める。
 それにつれて余裕が出てきて、なのはは胸を左右に捏ねる動きを加えてみたりする。

524 名前:三人目の子供:2007/10/08(月) 23:14:06 ID:byOsBhmo
 胸を無理やりひねって亀頭を乳首でいじれば、くぅっと押し殺した声がする。なのはも神経が集まって
いる胸の先端への刺激に叫びそうになる。
「ユーノ君の……暴れてるよ。私の胸の中で。……下でしてるみたいに」
 やるまで分からなかったが、手や口での奉仕と違い胸はしている側にも快感を与えてくれる。
 もっと快感が欲しくて、胸を支える手に力が入る。
 手と男根に圧迫されて、また母乳が流れ出た。
「気持ちいい。気持ちいいよなのはっ!」
 本番でも見せないような耐える顔で、ユーノは喘ぐ。
 ユーノも限界だろうが、なのはもこれ以上我慢できそうになかった。母乳を洗い落とすほどに垂れ流さ
れる先走りの液の匂いが、飢餓感を猛らせる。
 欲しい。今すぐ欲しい。一秒も辛抱できない。あの熱く生臭く甘美な液体を飲みたい。
 もうやもたてもたまらず、なのはは白い果肉の間から出てきた先端に、噛みつくようにしゃぶりついた。
 同時に舌で尿道をほじくりかえし、片手で陰嚢を強く握った。
「くはっ!!」
 先端と根元への同時攻撃は、予想以上の効果を上げた。
「んむぅ!?」
 一瞬、なのはは亀頭が喉に押し入ってきたのだと間違えた。
 それほど大量ですごい勢いの精液が、咽頭を直撃した。
 むせる暇もなく、射精の勢いは止まらない。飲むのではなく、胃まで一気に流し込まれる。
 驚いた胃が吐いてくれと脳に電気信号を送るが、胃以外の全ての器官がそれを拒否した。
 なのはは喉を激しく鳴らして、一滴残らずユーノの精液を飲みきった。
 胡乱な頭が数十分に錯覚するほど長い時間が流れ、やっと射精が止まった。
 尿管に残ったものまで全部吸い取ってから、ようやくなのはは息をついた。それでも名残惜しくて、ちゅ
っと鈴口にキスをする。
「はぁ…………」
 開放されたユーノは、どさりと腰を落とした。
「気持ちよかった。……腰が抜けたかと思ったよ」
「ずいぶん溜まってたからね」

525 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:14:39 ID:uwRGXEma
母乳プレイ支援

526 名前:三人目の子供:2007/10/08(月) 23:16:05 ID:byOsBhmo
 口中に残る粘ついた精液を、唾液をためて一緒に飲み込む。記憶にあるものより、だいぶ青臭くて濃厚
な味がする。
 それだけユーノが気持ちよかったのだと思えば、喜ばせてあげれた嬉しさで胸が一杯になる。
 だが心が満足しても、身体はまだ満ち足りていない。
 次は、自分の番だ。
「……まだできるよね」
 返事は聞くまでもない。ユーノの陰茎はあれほどの射精にもかかわらず、全く萎えることなく天を衝く
勢いでそそり立っている。
 まだユーノは動く気になれないようなので、自分で寝巻きを脱ぐ。全裸になったところで、違和感を感
じた。
 隠すものが無くなった股間を通る空気が、ずいぶんと冷たい。
 触らなくても分かる。なのはの女陰は、まるで絶頂直後のように濡れそぼっている。
 ユーノの喘ぐ顔と先走りの液の匂い、そして飲み込んだ彼の精液がきついアルコールのようになのはを
酔わせて発情させていたのだ。
 一刻も早く繋がりたい身体としては、都合がいい。
 座り込んだままのユーノににじりより、膝立ち状態になって自分の股間の真下に亀頭が来るように調整
する。
「いきなり挿入れるなんて……」
 慌てるユーノの手を股間に導いてやる。湿った花弁に着地した指が一度止まる。それから濡れ具合を確
かめるように二、三度スジの上を往復し、納得したのか指は引かれた。
「いくよ……」
 切なげな息を吐きながら、なのははゆっくりと腰を落としていく。
 準備は十分すぎるほどに出来ていた。だが半年振りに男を受け入れる身体は、わずかな痛みを覚える。
 それでも腰を落とす速度は緩めず、完全に入りきるまでにいくばくの時間もかからなかった。
「はぁっ……ユーノ君だぁ……」
 しばらく動かず、男根が自分の膣を押し広げる感触を楽しむ。ユーノも似たような思いなのか、性急に
進めようとはしない。
 下だけではなく上でも重なり合いたくて、唇を求める。
「ん……ふぁ…………ぁむ………」
 舌同士の動きが早まるにつれ、腰から下も連動して動き出す。
 まずは揺らす程度の小刻みな動き。くちゅりという水音が段々大きくなってこれば、左右から上下に動
きをが変わる。それも少しずつ高く、高く。
「あっ……ぅあ……くぅっ……ユーノ君も、動いて……」
 久しぶりの性交は予想以上に、くる。力が膝から抜けていき、腰を上に持ち上げるのも困難になる。
 それでも、もっと高みに逝きたい。あの空が落ちてくるような破裂する快感に辿り着きたい。
 なんとか力を入れようとしていた腰が、いきなり掴まれた。

527 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:16:18 ID:B/n8244K
>>511
リロードとメール欄に「sage」
そしてスレ返信には数字の前に「>>」と入れると判りやすい



……ドミナントとの約束だ

528 名前:三人目の子供:2007/10/08(月) 23:18:07 ID:byOsBhmo
 それはあまりに急激なものだった。一気に持ち上げられ、同じ速度で落とされる。
 雁首が膣壁を削り落とすように擦り下ろし、全く同じ場所を逆に擦り上げる。
「あああぁぁ!?」
 三段飛ばしの刺激に、なのはは思わず腹の底から声を上げてしまう。
 その声が止むのを待っていたかのように、ユーノ声がした。
「静かにしないと、ユーナが起きちゃうよ」
「!?」
 なのはは思わず、口を自分の手で塞いだ。
 つい忘れてしまっていたが、この部屋にはもう一人いたのだ。起きてしまったところで、情操教育云々
の段階ではないので見られてまずいということはない。だがそれでも、娘にセックスを見られるというの
は決してあってはならない。
 なんとか声を押し殺し呼吸を整えようとするなのはの耳に、もう一度ユーノは囁いた。
「なのははもっと気持ちよくなりたいみたいだし、少し激しくいくよ?」
「待って……!」
 抗議は無視された。
 さっき以上の速度で下から突き上げられる。
「んっ! ん〜〜!!」
 奥歯を噛み締め必死で声を出さないようにするが、どうしても声が漏れてしまう。
 もう少し弱くと言いたいが、口を開けようものなら何か言うより先に叫んでしまう。
 胸での奉仕で始まった今晩の性交は、ここまではなのはが主導権を握り気味で進めてきた。だがここに
きて、完全にユーノのペースとなった。
 膣を抉る刺激に必死で耐えるなのは。だが、攻められる場所が一ヶ所増えた。
 対面座位のため、ちょうどユーノの目の前で揺れるなのはの胸。それをユーノが見逃してくれるはずが
なかった。
「きゃぅっ!!」
 乳首に吸いつかれた。
 さっきのように弱くではなく、ユーナがするように全力での吸引。だが成人男性と赤ん坊では吸う力が
違う。母乳どころから、乳腺まで吸い尽くされそうな勢い。
「強すぎるっ……やめてやめてよぅ……んんっ!」
 例えではなく、胸の中身が根こそぎ吸い取られる。

529 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:19:08 ID:uwRGXEma
フェレット自重支援

530 名前:三人目の子供:2007/10/08(月) 23:20:10 ID:byOsBhmo
「お願いだから、胸やめて……声、出ちゃうっ!!」
 ようやくなのはの声が届いたのか、ユーノの唇が胸から離れた。
 ほっとしたのも束の間だった。反対側の乳首が噛まれた。
「ひんっ!」
 同じくこちらも強く吸われる。
「だからもうっ……!」
 念話を使えば胸を吸いながらでも会話が可能なはずだが、ちっともユーノは答えようとしない。
 それどころか、止まっていた腰の動きまでも再開した。
 視界がぐらぐら揺れる。身体が揺れているからではなく、意識が飛びかけている。
「やめてっ……やめてっ」
 もうなのはの声帯は、その言葉しか出せなくなっている。
 結局声を出しており、それに意味があるかないかの差ではないかということまで頭が回らない。
 ようやく、ユーノが口を開いた。
「……そろそろ、射精すよ」
 なのはの目から歓喜の涙が落ちる。
 それは、この拷問じみた性交がようやく終わるという喜びか、自分が待ち望んだ絶頂に至れるという悦
びなのか。それは本人にも分からない。
 叩きつけるように、腰と腰がぶつかりあう。
 逞しい男根がさらに膨張して、爆ぜた。
 その瞬間、隣で寝ているユーナのことも、別室のヴィヴィオにも聞こえてしまうかもしれないという考
えも、なのはの頭から完全に消し飛んだ。
「いっ、うぅ、あああぁぁ――っっ!!!」
 胎内に放たれた新たなる生命の素。その熱さに、なのはは身も世もなく絶叫して、果てた。 

531 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:21:14 ID:d+d4szHN
>手や口での奉仕と違い胸はしている側にも快感を与えてくれる。>>524
キャロと見間違えたのは俺だけだろう。

支援sage

532 名前:三人目の子供:2007/10/08(月) 23:22:17 ID:byOsBhmo

 次の日のスクライア家は、早朝から大騒ぎだった。
「ワアアアアァァァァァァァン!!!」
 三軒先まで届きそうな声で泣いているのは娘のユーナ。なのはが必死であやすが、泣き声はどんどんボ
リュームを増していく。
「ああ、よしよし。もう少し待ってね。……ユーノ君、粉ミルクまだ出来ないの!?」
「も、もうちょっと! 人肌ってこれくらいかな?」
「う〜ん、もうちょっと冷ました方がいいと思う」
 ユーノとヴィヴィオは、台所で大急ぎで粉ミルクを溶かしている。
 この騒ぎの原因は一つ。なのはの母乳が出なくなったのだ。十中八九、昨夜のご乱行で出尽くしたから
だろう。
 お腹を空かせたユーナに、せめて気休めにと乳首を含ませてみるが出ないものは出ない。すぐに口から
出されて、前以上の大声で泣き出す始末だった。
 なんとかミルクが出来てユーナが泣き止んだ時には、一家全員疲れきってしまった。
 朝ごはん作らなきゃ、とは思えど気力が湧かないなのはに、ヴィヴィオが不思議そうに訊ねた。
「なのはママ、どうしておっぱい出なくなったのかな?」
「それはね、パパがいっぱい吸っちゃったからだよ」
 なのはの言葉と同時に、ユーノが後片付けをやってる台所の方でどんがらがっしゃんと鍋をひっくり返
したような音がした。
「なななな、なのは! ヴィヴィオにそんなこと……」
「事実だからしかたないでしょ」
 やめてといくら言ってもやめてくれなかったユーノに、なのはは少しご立腹だった。
「ユーノパパ、赤ちゃんじゃないのにおっぱい吸ったの?」
「それはその……」
「パパは甘えん坊だね」
 今度はバタリと、人間が倒れる音が台所でした。娘の一言が止めになったらしい。
 これに懲りて、次はあんまり胸を吸わなければいいが。
 しかしなのはの母乳が出る期間はまだ続く。
 そのうちまた昨夜みたいなプレイをやるんだろうなと思い、なのはは腕の中の娘に苦笑してみせた。
「本当に、大きくて甘えん坊な子供がいると大変だね? ユーナ」


       終わり

533 名前:サイヒ:2007/10/08(月) 23:24:13 ID:byOsBhmo
以上です。
初めての搾乳はいまいち加減が分からないんでかなり温め。どちらかというと吸ってる方が多い。
あと、俺は孕みネタというのは妊娠直後〜出産間もなくまでの期間を指していると思ってたんですが、
どうも世間ではそうではないらしい。
期待されてたものとずれてたらごめんなさい。

子供たちに関しては、特にこれ以上出す予定はなし。出たとしても超脇役レベルかと。
出産後のフェイトの話はいつか書きたいとは思ってますが。

そろそろクロフェ時空を一回離れなければとは思うんですが、チンク姉の陵辱がちっとも進まない……。
スカとメガネは陵辱担当としては一級品のはずなんだが。やっぱりあれか、愛故に汚せないというやつか。

534 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:26:39 ID:K1lKKcWh
いや、あと3ヶ月で第3子が確認される勢いw
もう、橋本弁護士とか超越するぐらい子供作っちゃえw


GJ

>>527
あんたもなw

535 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:26:39 ID:hN8i8vqZ
>>533



黙ってみてればいいのに支援とか言って途中で割り込んでいるヤツは何なんだ

536 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:27:22 ID:Lo9bOPSe
>>533
GJでございました〜
なんという淫獣wwwwラブラブだからいいですがwww

現状で1スレ1本は遅筆じゃないですぜ!

537 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:28:31 ID:uwRGXEma
GJ!
エロフェレット娘のミルク取るなw

538 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:28:53 ID:gQm4zE9E
>>533
GJ!
ユーノ溜まってたんだろうなw
>孕みネタ
確かにエロゲなんかじゃ孕ませた後、
経過の時はシーンなし、
経過すっ飛ばして臨月時のセックス
ってのが多いかもね。



539 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:29:03 ID:d+d4szHN
>>533
GJ。
なにょはさんの母性に何かが来ますた。
胸までかと思ったらまさか本番に以降するだなんて。
>孕みネタというのは妊娠直後〜出産間もなくまでの期間

「いやらめ妊娠しちゃう」から「腹ぽて」までかなあ?
定義が難しいのでHRスレを覗くのが吉かと。


540 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:29:19 ID:Pgeu3GcJ
>>533
GJと言わざるをえない!
こういう幸せななのユー見てるとニヤニヤが止まらん

>「なんで総隊長の私は声 かけられへんねん」と恨みがましい目で睨まれたこともあった。
凄くありそうなシチュでワロタw 管理職はこういうとき損だな

541 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:31:41 ID:gQm4zE9E
>>535
1レス1レスの間隔が長いから規制引っかかったのかと思っただけだろ
SS投下されるスレじゃ普通だろ、このスレではあまりないが。
別のSSが割り込んだわけじゃないのに目くじら立てるな。

542 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:33:10 ID:K1lKKcWh
さて、もう次スレの季節か…加速してきてないか?

543 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:33:20 ID:EjR7kD88
>>533GJ!

容量的にそろそろヤバイがホスト規制で次スレ無理だったよ・・・orz

544 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:33:20 ID:AjQQ+x1X
>>533
リアルタイムGJ!
タイトルで3人目を仕込むネタかと思ったけど
これはこれでご褒美なのでよし!

545 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:33:28 ID:B/n8244K
>>533
これは素晴らしい!
そして実にエロイ!!


あと自分でリロードしろと言っておいて割り込んでしまい、本当にスミマセンでしたo.....rz

546 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:34:01 ID:uwRGXEma
ここは支援いらなかったのか

邪魔してスマヌ

547 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:39:21 ID:AjQQ+x1X
スレ立て出来ない様なら
自分がやりましょうか?

テンプレは前スレとクロススレ直すだけでいいのかな

548 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:40:37 ID:Pgeu3GcJ
>>546
いや、彼は単に支援レスってのが連投規制対策のためだって知らなかっただけかと

>>547
おk。頼む

549 名前:騎士よ眠れ:2007/10/08(月) 23:41:50 ID:WiK9e/se
>>547
投稿の準備を整えつつお願いします

550 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:44:23 ID:AjQQ+x1X
スレ立て完了

☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第33話☆
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1191854533/l50

なんの面白みも無いスレ立てですまんorz

551 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:45:45 ID:gQm4zE9E
>>550
おつかれ、スレの中身が面白ければ良いのさ。

552 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:47:57 ID:Lo9bOPSe
>>550
 ≪−≪−≪−≪−≪、
             __ノ
             ┐!
           __/
          ┐!
       __/
       ┐!
     __/
    ┐!
  __/
  ┐!
. /                      ,.)
.,!、                     ( (    )
个                      ヽ`》'´⌒`彡
 ヽ                      ミミ∝ノノ)))))
  ≪−≪−≪−≪−≪−≪−≪−Θ=⊂(l!・ωノ|l彡
                         ノ 、  , ィ' 、
                        (´_,ノ⌒i,_j 、_)


553 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:58:30 ID:p6jHx/FK
             )     >>550乙! 
         ,'`》'´⌒`彡 
         ノ,ィ∝ノノ))))) -=ニ_- 
        ( ( ゝ(l!゚(フノ|l      三-    ヽ(゚A゚:)ノ 
 ∠ニニニニニニ[i⊂^!、 yソ    __.- ―      / / 
      '´ ,く '/".rヽ  -二. ―       / > 
        !,ン''"´'-' 


        ) 
    ,'`》'´⌒`彡 \  >>550乙! 
    ノ,ィ∝ノノ))))) \\ 
   ( ( ゝ(l!゚(フノ|l⊃  .) ) 
    ノ)_(^) yノ    // 
   '´/.(_ノヽ,ゝ ;”;: 
    〈//_〉し' / `:`”:_ 
    / / //”;:('A`:)ノ 
.   / /彡      / / 
   |./ 

        )     >>550乙ーーーーーー!!! 
    ,'`》'´⌒`彡|ヽ 
   ノ,ィ∝ノノ))))) |ノし, 
  ( ( ゝ(^(⊃゚(フ≡d (      ─ -=≡→   (;゚;;) 
  ノ)  ヾ、yソノ.i |W^`                ('A`ill) 
  '´  /./|j|jヾ. | / バシュッ!!             (三) 
     〈/'ノ 〉_〉 '                    ( っ 


554 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 23:59:19 ID:Cn+z1RMt
だから子供の安直な名前自重しろとwwwwwww

555 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/09(火) 00:00:53 ID:p6jHx/FK

                  ___    ____ 
            ─=ニ二__   ̄ ̄ ̄ 
                      ̄ ̄ ̄"""'''''''''── 
__ 
    ̄ ̄ ̄二二ニ=- 
'''''""" ̄ ̄            もう次スレか… 
           -=ニニニニ=- 
                ハァ…世の中の流れは早いなぁ… 
                         ( 
                        ミ´⌒`《`ヽ 
                       (((((ハヽ∝八_,,-''" 
                       _ l|ω・/^),-''";  ;, ' 
                      / ,_O_,,-''"'; ', :' ;; ;, '' 
                     (.゙ー'''", ;,; ' ; ;;  ':  ,  ' 
                   _,,-','", ;: ' ; :, ': ,:    :' 
                _,,-','", ;: ' ; :, ': ,:    :' 



556 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/09(火) 00:02:03 ID:BHlJ9wko
>>533
ひゃっほう!GJです!
やはりあれですね。エロはマニアック路線がいいですよね色々
ヴィヴィオもやっぱ成長しますよね内面的に。いいものを読ませていただきました

>>550
乙ッス

557 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/09(火) 00:02:55 ID:Lo9bOPSe
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.::.:.:.:.:.:. . . . . . . .    . 。        .   。   .  .゚     +    . .   .
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         ,  <,ィ∝ノノ)))))>:.:....:.:.:.;,;,;,;,:.:   .:,;,;,;,;.:.:       ,'            .      .   ゚
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.           '., ノ)  / wk\        ....:.:..:.:.. .:.:.:.:.:.:.:..:.  /              .   .
  ミ三 ̄ ̄ ̄\__/ /∪∪〉________  .:.:.:.:.   ,.'        .     *         。  .
.  彡三___/ ̄ く_/_,ルノノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ .:.:.:.:.:.:..../           .     .          .
              \      ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ,. '        ゚             +  .
                ' ,          ....:.:.:.:.:.:.:.:.. , '゙
                   ゙   、 ,,,,,_____,,,,...  ''"
木曜にたって、月曜に消費か。
おそろしや

558 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/09(火) 00:05:25 ID:Pgeu3GcJ
                 /_/: : :`: : : : : : \ヘ
               r</´: :: :l l: : l: :: :: :ヽ: :\_
               /j: : : :|: :jl ト、 l -‐ト、: :\ト-<          ,イ
              〈ノ: : : :j-ハj ヽ>ー¬Tー―'       /ノ___
              / j: : ル―-、_{    jヘ ヽ\     /: : : : : : <`
             /イノ イ{     j ! ヽ、_ノlノー-- `>― j>、: : : : : : ト、ヽ
              // <ヽ、_ノr‐┐   ノ___: :-―''´/  \ lヽ ヽV
   ト、         ノ/__ヽ__ `ー'   /,イ: : : : :__/     リ |ノ
   >`ー―-、  _ノ〈―<-ニニニ-,\.__/( レ'///フ__
   フ: :: :: :: :: :ノ三Z   ヽヽヽ  `ヽ、\  7        フ
   /イ: :/: :/  \Z   ヽ__/`v  Y_ /        _> うっふふのふー
    | /l: :/    / レ"フ  >、    |/ヽヘ  i    ゝ
    レ V   /      r‐/弋ニ¬/ / ハ ノw、l`T   
         /_      | |\ `ヽj>   | Y    ! みなさん次スレで
          ト、 \   /l   \/l    .|  |    |
         Y \. \/ ノ    /     \     | 会いましょ


☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第33話☆
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1191854533/l50


559 名前:名無しさん@ピンキー:2007/10/09(火) 00:08:02 ID:3sqVpmEE
. ヽ    |-、      !/_,/゙ ヽ___  \\,
  `ー- ! , -\    _, -.!   ヽ   `ヽ \\_
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