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「綺麗なネックレスだったね」
貰った礼金からきっちりと家賃分を徴収した寿也は、
一時間ほど前に部屋にあったネックレスを思い出していた。
「まぁな」
「いくらくらいなんだろ」
「さぁ…昨日、何かに書いてあったような気はするけどな」
「どうせゴシップ誌だろ」
「そう言うなよ。意外と役に立つこともあるんだぜ?」肩を竦めて上着を抜いだ吾郎は、定位置のソファにごろりと横になる。
「…いい加減、ベッド買えば?」
同居以来、何度となく繰り返した言葉を口にすると、何度となく肩を竦められてきた。
「寝られるなら、どうでもいい」
何度も聞かされてきた言葉に、寿也はため息をついた。
「あのさ…この際だからハッキリ言っておくけど」
「何だよ 」
「どうでもいいなら、僕のベッドで寝てよ」
「へ…?」
呆けたような頬をペシリと叩いて、更に言葉を綴る。
「自分がしたい時だけベッドに来るなんて、ズルくない?」
「寿…」
「だっ…大体、医者の僕と同居している君が風邪なんか引いたら、僕の評判ガタ落ちになるんだから!!」
赤くなった顔を隠すように寝室へと向かう恋人を、吾郎は笑みを浮かべて追いかけることにした。互いの服を脱がせながらベッドへと倒れ込み、
暖炉がない部屋で冷えた身体を温めるように素肌を合わせる。
「なぁ…寿」
「ん…?」
「これから一緒に寝るってことは、毎日オッケーってこと?」
「やっぱり君、ソファで寝てていいよ」
途端に調子づいた男に噛み付くように口付けると、熱い手が内股を弄ってきた。
「じゃ…抱いてもいい?って訊くのか?」
「そんなの…推理してみてよ」
「お前相手だと、全く分かんねぇから訊いてるんだけど」
「じゃ、今は?」
「…俺はしたいけど。寿は?」
「訊いたら推理にならないじゃないか」
「じゃ身体に訊く」
「もう…っ」覆い被さる身体を押し返そうとした手が、力なくシーツにパタリと倒れた。
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