1〜    SS  101〜
Index




半熟な月






51.シリカゲル

セイバー「シロウ。この食べられませんという警告が表記してある袋は――」
士郎「食べられないって書いてあるんだから食べるなよ。まさか、勢いに任せて口に放り込んだなんてことはないと思うけど」
セイバー「…………」
士郎「だーかーらー、なんで目を逸らすんだよー」




52.プレイング・マニュアル

 アルクェイドの部屋にあった『翡翠ちゃん反転衝動』を手にして。
志貴「そういや、この文庫本はちゃんと読み終えたのか?」
アルク「うん。たしか、メイドがご主人さまを調教する話だったっけ」
志貴「……まあ、当たらずとも遠からじって感じかな」
アルク「つまり、志貴も反転すると突発的にわたしを調教したくなるってことだよね」
志貴「なるかッ!!」
アルク「えー」
志貴「……なんでそんなに不満げなんだ?」




53.プレイ/前科

シエル「……だって、ねえ?」
アルク「ねー」




54.あるいはナス

琥珀「はぁ……最近は雨続きですねえ……」
志貴「梅雨ですからね……。それにしても、洗濯物が乾かなくて大変ですよね、この季節は。あと、じめじめするから」
琥珀「いえ、湿気が無いと元気に育たないじゃないですか」
志貴「……何が?」
琥珀「……茸さんが」




55.地獄の門番

志貴「だったら、なんでそんな暗い顔してるんです?」
琥珀「だって、裏庭の池が増水して溢れ出したら、あの子が都会のジャングルに解き放たれちゃうんですよ?」
志貴「……あの子って?」
琥珀「クロちゃんって言うんですよー。興奮するとしっぽを振って可愛いんですからー」
志貴「……いや、種別は?」
琥珀「本名は、爬虫類ワニ目のクロコダイルちゃんって言います」
志貴「秋葉ー! 翡翠ー! 至急家の門を閉ざせー!」




56.一匹みたら三十匹

 裏庭の池を覗いて――。
志貴「うぎゃー!! 一匹じゃねーッ!!」
琥珀「あはーっ」
志貴「アンタもこの状況で『やっちゃいました』みたいな顔をせんでいい!」




57.純真

志貴「おまえの部屋、よく考えたらハサミなんて必要ないよな」
アルク「なんでー?」
志貴「爪でなんでも切れるだろうが。獣からまな板まで何でもかんでも」
アルク「全部は切れないよぅ。たとえば、志貴とわたしの絆とかー」
志貴「……言ってて恥ずかしくないか?」




58.断ち切れぬ業

アルク「シエルとカレーの因果とかー」
志貴「それは、確かにな」
シエル「なんで即答するんですか」




59.トオノ大戦3/主人公蚊帳の外

秋葉「ついでに私と兄さんの縁も!」
アルク「それは簡単に――」
シエル「アルクェイド、加勢します!」
秋葉「……小賢しい……!」

志貴「……やめてー」




60.辞書/坊主憎けりゃ袈裟まで憎い

 アルクェイド宅侵入、枕の下に文庫本と辞書を発見。
志貴「辞書なんてちゃんと見てるんだな。ちょっと感心する――けど」
 ぱらぱらとめくっていると、自然とその場所に行き着いた。
志貴「……なんでカレーにバツ付けてるんだ? いや、わかるけど」




61.辞書/神言

志貴「シエル先輩は――やっぱり丸つけてるよ……」




62.辞書/言葉に罪はない

志貴「……『胸囲』にバツ、か……。でも、これって冤罪だろ?」




63.根本的

秋葉「その前になぜ私の部屋に入っているのですか?」




64.辞書/遠野家の頭脳

志貴「な……辞書そのものがない!?」
琥珀「全てわたしの頭の中に入ってますからねー」
志貴「……それで納得できてしまうから不思議だ」




65.今更

志貴「琥珀さんは、俺が部屋に入ったことを咎めないんですね」
琥珀「そうですねー。見られて困るものはここには置いていませんし」
志貴「はぁ……(やっぱりあるんだ……)」




66.辞書/ヒスイ日記は知っている

志貴「翡翠は、辞書とか持ってるの?」
翡翠「はい。姉さんが所有しておりませんので、小さな物を」
志貴「……なんか、気になる単語とかあった?」
翡翠「いえ、特には」
志貴「そっか。……変なこと聞いたかな。気にしなくていいよ」
翡翠「はい。…………そうですね、強いてあげれば」
志貴「ん?」
翡翠「…………(ぼそ)洗脳?
志貴「……あの、よく聞こえなかったんだけど」
翡翠「いえ、何も申しておりませんが」
志貴「そ、そうなの? なら、いいけど……」
翡翠「…………(ぼそ)暗黒?
志貴「……あの」
翡翠「何か?」
志貴「……いえ、なんでもないです……」




67.裸のままで

士郎「セイバー……。お願いだから、はは、裸で寝るのだけは勘弁してくれないか……?」
セイバー「――なぜそれを知っているのです?」
士郎「あ」




68.君だけのスペシャル

士郎「ていうか、セイバーだって『マスターを守るために一緒の部屋で寝ます』とか言ってたよな……」
セイバー「…………」
士郎「い、言ってくれれば俺だって裸に――」
セイバー「やめてください」




69.遠野は鬼の血脈です

志貴「鬼妹って……言い得て妙だよな」

 ――その後、志貴の姿を見た者は誰もいないとかなんとか。




70.猫科の

幹也「橙子さん、コンタクトするとどうなるんですか?」
橙子「あぁ……。実はな、文章に変な語尾が付くんだ」
幹也「……なんか、ぞっとしない話ですね」
橙子「そうか? 私はどうしようもない相手を無力化する最終兵器だと解釈しているんだが――試しに付けてみるか」
幹也「ごめんなさい僕が悪かったです」
橙子「……なぜ謝る?」



71.正ヒロイン

橙子「じゃあ、黒桐が眼鏡を外すと――」
幹也「あ――」
 眼鏡が、かたん、と落ちる。
幹也「な、何をするんですか!? やめてくださいよぅ……」
橙子「……ベタな」

 女口調になっていた。




72.刑事は見ていた

大輔「(キュン……)」
幹也「? どこからか、妙な視線が……」
橙子「ストーカーだろう」
幹也「当然のように言わないでください」




73.波平さん

 衛宮家に捏造された遠坂の部屋で、眼鏡装着時の遠坂に会う。
士郎「……ん? 遠坂、眼鏡なんか掛けるのか?」
遠坂「ちょっと、ね。細かい作業をするときだけは、掛けとかないと危ないのよ――と」
士郎「どうした?」
 机やベッドの上に手を置いて、何かを探している。
凛「……あれ、おかしいな……。
 メガネ、メガネはどこに行ったんだっけ……?」
士郎「……(なんてベタな……)」




74.気付かない優しさ、気付かれない屈辱

凛「……なんでツッコんでくれないのよ」
士郎「え、あれボケだったのか?」
凛「…………」




75.雑食王

士郎「藤ねえって、たまねぎダメなんだよな」
藤ねえ「うん、そうだよー。おいしくない訳じゃないんだけど、どうも生理的に受け付けないっていうか」
士郎「……(猫科だから、か……?)」
セイバー「? どうしました、士郎?」

 茶碗を手にし、とりあえず選り好みは一切しない少女を見る。

士郎「――やっぱり違うな」
セイバー「言いたいことがあるならはっきり言ってください」




76.ブレイクファースト

イリヤ「……どう? 今日も、ちょっと焼くのに失敗しちゃったみたいなんだけど……」
士郎「うん? いや、そんなことないけどな。美味しいぞ、このパン」

 と、黒焦げのパンを噛み切りながら言う。顎の筋肉を総動員している時点で、既にパンの域を越えていると言えなくもない。

イリヤ「え……本当?」
士郎「あぁ。嘘ついてもしょうがないだろ」
イリヤ「そう――だよね。……良かったぁ、シロウはちゃんと食べてくれて。こないだバーサーカーに食べさせたら、命がひとつ減っちゃって」
士郎「――え」




77.ぼくの地球を守って

士郎「……イリヤのレベルで命ひとつなら、藤ねえクラスだとどうなったんだろうな」
凛「やめてよ。それでバーサーカーが10回くらい死んでたら、藤村先生に対して抑止力が働くわよ」
士郎「……マジで?」




78.素で勘弁

 藤ねえが用意した食べ物に似たモノを目の当たりにして。

アーチャー「私にあれを食えと言うのか……」




79.虎のエフェクト

シエル「こ……これぞ、真祖を滅ぼし得る概念武装!」
士郎「たしかに、藤ねえの用意する概念は突き抜けてるからなー」




80.リターンエース

凛「ていうかなんで士郎はそれ食べて平気なのよ」
イリヤ「――あのね、リン? 冗談を冗談と受け止められないのは、心に余裕がない証拠なんだって」
凛「……うっさいわね」




81.いろいろと豊満な感じの悲劇

志貴「翡翠さ――。ハタキとかフライパンとかで戦うのは、まあいいよ。でも、さすがに椅子で殴り付けるのは、メイドである以前に人間としてどうかと思う。痛いし」

 かくいう志貴も後頭部を長椅子で2hitされたままうつ伏せている。

翡翠「ですが、こうでもしなければアルクェイドさまやシエルさまを撃退することは不可能です」
志貴「……あー、うん。そうかもしれないけどさ。翡翠には、もう少し穏和なやり方で対応してもらいたいんだ。あんまり、大切な人が傷付くのは見たくないからね」
翡翠「志貴さまがそう仰るのでしたら……わかりました。次回から、あのお二方には脂肪吸引機でお相手いたします」
志貴「……えー、それはどういう意味かな?」




82.Aの悲劇

翡翠「しかし、秋葉さまを脂肪吸引機でお迎えする方がより危険だと思われますが」
志貴「――やめろ、翡翠! この屋敷には盗聴器が幾つも仕掛けてあると言っただろう!」




83.視殺

士郎「――あれ。ビデオなんか弄くり回して、どうしたんだ?」
凛「ん……NHKの、アレを録画しようと思って……ね。でも、これで結構忙しいから……えいっと、予約でもしとこうかな、なんて……あれ?」

 バツン、とビデオの電源が落ちる。凛の目はリモコンとデッキの間を行ったり来たりする。

士郎「それをなぜ俺んちのビデオでやろうとするのかは聞かないが、それ、予約されてないぞ」
凛「……やっぱり? おかしいわね、これで合ってる筈なんだけど」

 と、手元にある薄っぺらい紙を見る。

士郎「なんだ、説明書読んでもわかんないのか?」
凛「わかるわよ。わかるけど、うまくいかないの。でも、諦めるのは悔しいじゃない」
士郎「その気持ちはわからんでもないけど――そっか、遠坂にも弱点みたいなのがあるんじゃないか」
凛「……な、何よ。こんなの出来ても出来なくても困らないでしょ。いわば心の贅肉よ、贅肉」
士郎「まぁ、認めたくないならそれでもいいけど。でも、ビデオの録画予約が出来ないなんて、遠坂もオバサンくさいところが――ひぃぃぃぃ!?」

 あんなオソロシイ眼を見るのは、後にも先にも一度しかないと思います(18以上:E宮さん)




84.それっぽい魔剣

志貴「本当に今更だけど、琥珀さんって銃刀法に違反してませんか? 申告してなさそうですよね、たぶん」
琥珀「大丈夫ですよ。志貴さんの心配には及びません。だって、コレは刀であって刀ではありませんから」
志貴「……あんまり聞きたくないけど、刀じゃないなら何なの?」
琥珀「ふふ、それはですね。……直接、この子に聞いてみてくださいな」
志貴「――え? あの、ちょっ……琥珀さん!? 俺と抜き身の刀を置き去りにして、一体……ガチャ、てなんで外側から鍵を閉めるんですか!? こは、琥珀さ――」

『――フィ――は――』

志貴「うわぁぁぁ! 後ろから何かしら声が聞こえるんですけどぉぉぉ!」




84.ヤクルトスワローズ

キャスター「……貴方、いつの間にそんなもの飲むような身分になったの?」
アサシン「いや、な。なんでも、この国の飛脚が言うには、この乳分を多分に含んだ水は燕に深く関係しているとのことでな。これも何かの縁と思い、ひとつ拝借したという訳よ」
キャスター「はぁ……」




85.ドラフト会議

キャスター「けれど、たしか貴方はその燕をことごとく切り落として来たのではなくて?」
アサシン「…………」

 彼は何も言わず、プラスチックの容器を静かに傾ける。

アサシン「……きっと私は、かの球団には指名されぬだろうな」
キャスター「最初から無理でしょう。というか自信があったのですか貴方」




86.一目瞭然

士郎「はあ……」
セイバー「シロウ? ため息など吐いて、どうしたのです?」
士郎「……あぁ、ちょっとばかり衝撃を受けてたんだ……」
セイバー「それは――家計簿、ですね。それも、かなり赤い」
士郎「うん、そう。……かなり、遠坂の気持ちが理解できてきた」
セイバー「……一体、何が原因なのでしょう?」
士郎「おまえだろ」




87.赤字×賠償金×報復行為

士郎「つまるところ、ウチの一員として、セイバーにも崩壊しつつある財政を支えてもらいたい」
セイバー「いえ、しかし、私はシロウの身を護るという使命を帯びておりますし」
士郎「このままだと、護るべき対象が心労で死に至る可能性も否定しきれんのだが」
セイバー「ぐ……やむを得ませんね。ご要望とあらば、大河の事務所で何らかの業務を請け負いましょう」
士郎「ま、それが妥当な線かな。目の届く範囲で働いててくれた方が安心するし」
セイバー「そうですね。では早速、敵対する事務所を殲滅しに向かいます」
士郎「……えーと、俺を別の意味で殺す気か?」




88.剣よりむしろ(何でも収める)鞘

セイバー「でしたら、ココに向かうしかありませんね」
士郎「30分で巨大ギョーザ30個食えたら1万円か……。なまじ成功しそうなだけに、君の存在意義を改めて問いたいな」




89.下/前から言いたかったんだが

士郎「おまえブリーフ派だろ」
慎二「断定かよ!?」




90.下/ブーメラン

言峰「私はビキニ派だが」
士郎「聞いてねえよ」




91.下/不発

ランサー「一応、オレもそうなんだが」
士郎「ふぅん……」
凛「別に、全身タイツに比べたら意外性も何も……ねぇ?」
ランサー「……(なんだこの空気)」




92.下/羞恥心

藤ねえ「わたしはねぇ……」
士郎「聞いてもないし予想つくからわざわざ言うなよ」




93.下/日常の象徴

桜「…………」

 勝負用の黒い下着を手にして。




94.下/詠唱

凛「そういう士郎は……あ、言いたくないなら別に言わなくても」
士郎「――あぁ。俺は何も履いてない」
凛「うそ!?」
士郎「本当だ」

 ――故に、この生涯に下は要らず。

凛「要るわよバカ」
士郎「そんな冷静に言わんでも……」
言峰「貴様が許すなら、私のブーメランを寄与しても」
士郎「死んでもいらん」




95.主従関係

 桜トゥルー後。
士郎「そういや、ライダーって馬飼ってるんだよな」
ライダー「……その言い方にはやや語弊がありますが、おおむね正しい見解です」
士郎「ふぅん。だったら、名前とか付けてるのか?」
ライダー「はい、一応は」
士郎「へえ、ライダーって結構放任主義みたいな感じがするんだけど、実は世話好きなんだな」

 彼女はその馬たちを思い浮かべて、指折り数えてみる。

ライダー「右から『一郎』『二郎』『三郎』『五郎』『六郎』と続きます」
士郎「(雑……)……え、なんで四郎だけ無いんだ?」
ライダー「シロウなら……ここにいるではありませんか(くす)」
士郎「え、俺? いや違うじゃん。人だし」
ライダー「いえ、種馬です」
士郎「尊厳無視ですか?」




96.弓道/弦が耳に当たると泣ける

凛「――弓道、ね」
士郎「なんだ、やりたいのか?」
凛「興味はあるけど。生憎と時間がそれを許してくれないのよね……主に、金策とか」
士郎「あぁ……それは、よくわかる」
凛「でも、まあ――士郎がいるなら、いつでも手ほどきくらいは受けられるしね」
士郎「そう――だな。でも、遠坂がやるんなら、胸当ては必要ないだろうひぃぃぃぃ!!」

 なぜ、人は同じ過ちを犯してしまうんでしょうか(18以上:E宮さん)



97.弓道/聞き逃さない

士郎「……その意味じゃ、セイバーだって(しゅぃん!)うわぁぁぁ!?」




98.弓道/未来視を超える

志貴「秋葉ー(ぼぼぼぼぼ)って何も言ってないじゃん!」




99.弓道/姉を超える

桜「……勝った……!」

 胸当てを与えられている人。




100.弓道/仇敵を超える

 同じく胸当てを――。

美綴「……えーと、素直に喜べないぞ」
慎二「そんなに大きい訳でもないしな」
美綴「だよなぁ、あはは、あははははは(ぎぎぎぎぎ)」
慎二「ちょっ、おい! こんな至近距離で弓を引くなんて非常識(しゅっ!)ぎゃあぁぁぁ!」

 注:美綴さんは83。







戻る  SS  進む
Index

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル