董白「ち、ちょっと!もっと丁寧に運びなさいよ!」
男「うるさい!落とされたいのか!」
董白「無礼者!誰に口を聞いてるのかわかってるのか?!」
男「董卓様のワガママな孫娘の董白だろ?」
その言葉に董白は今の自分の状況を忘れて、男に怒った。
董白「この無礼者!城に着いたら、あんたのことをおじいさまに言いつけてやるッ!」
男「舌かむぞ。」
董白がへ?と思った瞬間、正面から敵兵が二人きりかかってきた。
男は董白を抱えたまま一人の剣を受け流し、もう一人に斬りつけて勢いを止めずに敵兵の横を走り去った。
董白「つ!…唇切ちゃったじゃない!」
男「我慢しろ!」
男は繋がれている馬を見つけて、しめた!と呟いて馬の方に向きを変えた。
董白「く…あんた、さっきから何様のつもり?名を名乗れ!」
涼翔「俺は涼翔だ。そんなことより早く馬に乗れ」
董白は怒ったように馬に乗った。
涼翔「俺にしっかり捕まってろよな。行くぞ」
馬は背中に涼翔と、その後ろにいる董白を乗せて暗い夜道を走り出した。

涼翔「そろそろ大丈夫だな。」
しばらく走って涼翔は馬を止めさせた。
董白「何故こんなとこで止まる?早く私を城に連れて行け」
涼翔「夜は視界が利かないし危険がいっぱいだ。それに、お前の足を治療しなきゃだしな」
董白はお前呼ばわりされたことに腹がたったが、自分の足のことを思い出してしぶしぶ馬から降りた。
董白「で?こんなとこで何しようっていうの?」
涼翔「あそこに野宿するのに丁度いい洞窟がある。」
洞窟の方に指を指す涼翔。
董白「あんなとこで野宿?」
涼翔「仕方ないだろう?ケガ人が文句言うな。」
涼翔はそう言いながら董白をお姫様抱っこした。
董白「きゃ!ち、ちょっと!」
涼翔「お前歩けないんだろ?」
董白「私をお前って呼ぶな!」
涼翔「じゃ董白。」
董白「董白様でしょ?!」
涼翔「自分より年下の子供を様呼ばわりできるか」
董白はこの一言でキレた。
董白「こ、この!あんたなんて城に着いたら死刑にしてやるんだから!!」
涼翔「命の恩人にそんなことする気か?」
董白「べ、別にあんたなんかに助けられたかったわけじゃ…」
少し赤くなって董白は顔をそらした。
涼翔「そうかよ。ま、目の前の女の子が殺されるのを放っておくわけにはいかなかったから助けたんだけどな」
そんなことを言い合っている間に二人は洞窟に着いた。

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