夜、董白は城の自室で静かに寝ていた。
しかし、外が騒がしいために董白は目を覚ました。
董白「まったく!こんな時間に何を騒いでいる!寝られないじゃない!」
そんなことを怒鳴りながら部屋の扉を開け廊下に出ると何かが焦げるような臭いがしてきた。
董白「何?この臭いは?」
すると、廊下の向こうから慌てて兵がやってきた。
兵「董白様、敵襲です!」
董白「なんだと?数は?」
兵「こちらの三倍はいます!皆で応戦していますが奇襲を受けたためにそう長くは持ちません!早く城から脱出を!」
董白「くっ、仕方ない…お前は私の護衛につけ」
兵「はっ!ではこちらへ!」
火の手が迫る中、兵は董白を外に待たせてある馬のところまで連れていった。
兵「さぁ!敵が来ないうちに早く馬に乗ってください!」
董白は頷き、馬に乗ろうとした。
しかし、敵から放たれた無数の矢が辺りに殺到し、近くにいた兵と董白が乗ろうとしていた馬に刺さり、肉を引き裂いた。
董白「きゃっ!」
董白は馬の影になり矢に当たらなかったが、矢が刺さり暴れた馬に突き飛ばされた。
董白「痛…」
董白は足から血がでていることを確かめたあと、向こうの方から刀や槍を持った敵兵が5、6人こっちに向かって来るのが見えた。

董白「おい!お前!おい!」
董白は倒れている兵に呼びかけだが、兵はすでにこときれていた。
敵兵はみるみる近づいてくる。
董白「こ、こんなところで…痛っ!」
董白は逃げ出そうとしたが、足が痛くて立てなかった。
もう敵兵はすぐそこだった。
敵兵は剣を構えて董白に襲いかかろうとした。
董白「きゃぁぁぁ!!!」
もう駄目!
董白は死を覚悟した。
肉を裂く音がする。しかし、痛くない。
董白は恐る恐る、恐怖で閉じていた目を開ける。
すると、そこにはひとりの16、7歳ぐらいの若い男が董白に襲いかかろうとした男の腕を切断し、董白をかばうように敵兵に剣を構えていた。
敵兵A「うぁぁ!!腕が!腕がぁ!」
敵兵B「このガキぃ!やっちまえ!」
敵兵たちは一斉に男に襲いかかったが、男は素早く動き自分より大柄な5人の敵兵を風のようなはやさで斬りつけていった。
董白は自分をかばってくれた男の強さに見入って言葉が出なかった。
と、そこに若い男が近寄って来た。
男「何やってんだ!早く逃げるぞ!」
董白「あ、足が痛くて…!」
男「仕方ねぇな!」
男はそういうと左腕でひょいと董白を抱えると、勢いよく走り出した。

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