燦々と光る太陽に熱せられた空気は、冷たい水と相反しお互いを更に際立たせる。
街から離れた山の上流。

「うわぁ・・・いい所、ですね・・・・」

目を輝かせ、周姫が足を止める。
今日はたまたま二人で同時に休みを取れたため、こうして遠出して気分転換に来ている。

「うわ」
「ほらほら、いきますよ」

澄んだ空気を思いっきりすっていると、急に水がかかった。
冷たく鋭い水。
かけた周姫は意地悪をする子供のように笑っていた。

 

 

「ふふっ、もうびしょびしょです」

微笑みながら、服の端をつまみあげる。
ただ子供のようにはしゃいでいたからか、お互いの服は水に濡れていた。
湿った服が肌に隙間なく張り付いて、妙な感覚を醸し出している。
冷たいモノと暖かいモノ。
と、周姫が気付いて笑いかけた。

「もう。なに見てるんですか」
「ああ、ごめん」

口調が尖っていても、表情は柔らかのまま。
非を咎めようとはしない。


「乾かさないといけないな。・・・っと」

一息で服を脱ぎ、しぼってから近くの木にかける。
この天気ならすぐに乾くと思うが、それはまだ未来の話。
視線を感じ振り返ると、周姫が顔を真っ赤にしながらこちらを見ている。
いや、見ている、というよりは、興味を示さないようにしようとしているが、我慢できずにどうしても見てしまう。
指と指との間から、しっかり可愛らしい瞳が覗いていた。

「ええと・・・周姫?」
「見てません。見てませんから」
「じゃなくて、その、脱がなくていいのかい?風邪ひくよ」
「あ・・・・」

そうですね、なら仕方がありませんね、と数回呟いた。
肌に張り付いた布を剥がしながら、彼女はゆっくり服を脱いでいく。
露わになる瑞々しい肌はこの世のものとは思えない。
周姫も周姫だが。
しっかりと釘付けになっている自分も自分だろう。
器用に一度失敗しただけで、服を木にかける。
服はないが、服の上に装着していた鎧は未だに着ている。


「・・・・やっぱり、戦人だな」
「え?」
「いや、ちゃんと鎧を着ている事が、さ」

ゆっくり、たっぷり自身の身体を二度見る周姫。
身体のほんの少ししか効果はない。
しかし、防御とは違う。
形のよい胸が見えて、逆に扇情的。
覗いていた時よりも更に真っ赤になって、口を開いた。

「あ、あ、の、恥ずかしいです・・・・」

胸の前で手を組み、見上げてくる。
卑怯なくらい可愛い。
彼女は分かっていないかもしれないが、これは本当のコト。

「わかるけど。もう、しちゃったんだし」
「しちゃ・・・・あううう・・・・」

爆発した。
沸点を超えてしまい、周姫がダウンする。
確かに二人は肌を重ねた事もあった。
その時は暗闇だったので、実質あまり二人とも目にしてはいない。

「で、でもぉ・・・・」

まだ決めあぐねている。
もう種明かしする時だろうか。

「・・・なんてね。さすがに女性にそんなことはできないよ」
「いいですよ。・・・・貴方が言うなら」

女神のように。
日光を背に微笑む周姫は、言葉では言い表せない。

「そのかわり、たっぷり愛してください・・・・」

そう言って、胸の中心にある鎖を解いた。


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