部屋着が擦れ、乾いた音を立てる。
寝台の上で、文姫は殻の前面の帯を取り去った。
初めて見る彼女の身体は、家の中で活動してきたからか透き通るように白い。
生きているのか、と思わせるほどの白さに、彼は釘付けとなる。

「また大きくなったなぁ…」
「…確かに」

しみじみと呟きながら、豊かな双璧に手を置く。
彼の素直な返答の通り、見たことがなくも聳え立つ胸は圧倒的な存在感を持つ。
いつも着ていた服でさえ、アレほど持ち上げていたのだ。
脱いだら凄いのは分かりきっていた。

「じゃ、あたしが上になるから…」
「もうか?」
「いいの、いいの。もう濡れてるから…軽くだけど……たぶんね」

彼に折り重なりながら、文姫は淡い笑顔で語りかける。
天を向いている自身を掴み、秘裂へと導く。
気付かない内に心配そうな表情になっていたのだろう、彼女が距離を縮めてきた。

「大丈夫だよ〜。運動不足だって、言ったでしょ?……んっ、」

握ったまま、自身の割れ目に沿って擦った。
ほんの少ししか湿り気がない、唯の肉。
軽く揺れる身体。
止めようとはせず、彼は唯動かない。
少し文姫へと触れただけで、火傷したような熱さが襲う。
この感覚は今手放すには惜しい。

「っ、う、ん…いくよ…?」
「…」

返事を、しなかった。
暫く馴染ませるように上下してから、彼女は腰を落す。
赤い部屋着が微かに揺れた。

「つっ!ふ…ぅん…」

じりじりと距離が詰まっていく。
生暖かい粘り気のある液体に挟まれる感覚。

「…ぃ、ん、く、あぁ…」


初めて感じるなにかに、抗おうとも思わない。
彼としては、彼女からこうして行うコト自体が不思議だったのだが。
何故か、文姫に包まれている今が尊いモノのように感じられた。
明日も昨日のような日々が続くはずだったのに。
思考は、急に引き戻された。
彼女の秘裂へと突き刺さっていく自身が、妙に痛々しい。
ゆっくりと、新雪を踏む足のように。
ソレが。
途中で、何かを破いた。
縦の衝撃により、たわわな胸が揺れる。

「つっ、つ…っっ、いっ…た…」
「…?まさか」
「てへへ、いったぁい…けど、入った…よぉ……」

感覚ではない。
彼としては、確かに突き破った感触があった。
全てが捻りこまれたところで、小さな悲鳴が漏れる。
長い間考えていた悪戯がばれた人のように、やっぱりだめだったかと諦めてしまった表情を文姫は形作った。
締め付けも尋常ではなく、考えられる結論は一つ。

「破れちゃったねぇ…ぷちって……」

自身を受け入れ、膨らんだお腹を、軽く擦る文姫。
少し赤くなった頬を流れるのは、涙。
ゆっくりと動き、下へと落ちる。
彼の腹部に置いてある左手の甲に当たった。

「あ、た、し…初めてなん、だ…よ…」

悲痛な笑み。
なのに、極上の悦びが込められていたように彼からは見える。

「攫われた、ときっ…ん、もう、ダメだって…思った、もう…」
「…」
「っ、ダメって、でも、でも…っ」

文姫が浮かぶ。
比喩ではなく、腰を浮かしたのだ。
初めの異物を受け入れた内部は、排出時にも容赦なく締め付ける。
彼は歯を食いしばり放出をとめた。
現れるのは、赤くなった蜜。
どろりと垂れて結合部から流れていく。


「あ、よか…った…」

身体を震わせながら、笑みを作ろうと表情が動く。
しかし、組み伏せられている彼としては、ただ歪んでいるようにしか見えない。
あの見ているだけで和む笑顔が、歪なモノになっている。
にちり。
肉と肉が触れ合う、音。
鋭い締め付けが、再び襲う。
見れば、彼女は腰を沈め、深く繋がっていた。

「つぅぅ、うっ!やっぱ、り、まだ、だ…ね…」
「無理、するな…」
「えへへ、や〜だ。こんなに大きくして、説得力、ないよ…ぉ…」

文姫は奥深くに存在する自身を感じる。
非常に熱く、火傷してしまいそう。
小さい秘裂を押し広げているのがよくわかってしまう。
動く、動き始める。
まだ慣れたとは肉体は言わない。
精神と身体が乖離、している状態なのか。

「ひっ、いた、いたっ!ん、ちが、いたく、ない…いたくなっ、いッ!」

急に内部をかき乱し、破瓜の傷にも触れて激痛が走る。
痛みが走るごとに身体の奥が痺れ、なにかが無くなっていく。
初めての秘所は、自身をも隙なく埋めていた。

「…ぶ、ん」
「まだ、い、たいよぉ…でも…だいじょ、う、あっん!」

ただ痛みに耐えながら動く。
繰り返される単調な運動。
快感も彼女には与えていないようで、動きながら瞳を閉じたまま腰を振っている。
表情は痛みを我慢していることが伝わる険しさ。

「っ、っ、ん…、い、たっ…」

痛みを感じているのだろう。
彼は外傷はないのだが、あまりの締め付けに表情が険しくなる。
傷がないので、険しくなるくらいなら。
文姫は、更に激痛が走っているに違いない。
それでもとまらない。
何かにとりつかれたように、昔からの思いをぶつけるように。
腰を動かせる。

「…ッ」
「ひゃ、いたっ!んっ、ど、うしたの…?」
「もういいよ」


たった一言。
体のバネを使い、彼は起き上がる。
驚いた文姫の身体を抱きしめ、そのまま倒れこむ。
今度は彼に組み敷かれた形になった彼女は、不機嫌な表情を隠そうともしない。

「今度は、こっちが動くから」
「あたしが…あたしが上になるの…」
「…」
「また攫われたらイヤだもん…だから、沢山動いて記念にするのぉ…初めてなんだよ…?あたしぃ…」

心の中で。
そんな乙女心というヤツが彼女にあったコトに驚く。
毎日家に篭って本ばかり読んでいた文姫。
子供だったのは、彼自身なのかもしれない。

「やだ、やだ…やだよぉ……」

子供のような態度で泣きじゃくる。
彼としては前言を撤回したくなったが、すんでのトコロで押しとどめる。
何も言わさず、ただ唇を塞ぐ。
あれほど暴れていた文姫が動きを止め、すぐに互いを求め始めた。
絡まる舌、漏れる水音。
下になった彼女の口元から液体が流れていく。

「ん、んむ…っ、ぅ…」
「…」

繋がったまま、いつまでも繋がる。
決して動かさずに、動こうともせずに。
彼から離れる。
名残惜しそうに、文姫は軽く舌を絡めた。

「…っ、っ」
「はぁ、はぁ…ぁ……すごい、違う」
「ち、がう?」
「うん…。あたしが上の時よりも、あんまり痛くない。しっかりと入ってるのがわかるよ…」

夢うつつな笑顔。
数分前とは違う、満たされた表情。
丸い瞳は慈愛に溢れ、涙の跡は逆に胸を締め付ける。
彼としては全くそんなつもりはなかったが、よほど神妙そうな表情になっていたのだろう。
文姫が指で涙を掃う。



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