第三十六章
「カオスの渦」
(記:ミサイル研究所さん)
こんな言葉がある。
「全てはカオスの渦の中心へ向かい進んでゆく」
ある数学者が残した言葉である。
二十世紀に行われた絶滅種復活計画へ呼ばれた数学者の。
今回のカオスを「アルティメットシイング」とするならば、
そのカオスへついているものは先進国、
渦の中心は独逸にいた少佐が言っていた戦争であろう。
全ては戦争へ進んでいるのだ。
一心不乱の大戦争の第三次世界大戦へと。
大統領が病院の視察を終えたあと、病院の院長は
自室のデスクへ座り、煙草をふかした。
「まったく、大統領はわかっておられない。
あれを兵器化するのはほぼ不可能というのに。」
と一人愚痴をこぼしていた。
確かに彼の風貌からも少しではあるが苦労は垣間見えている。
髪はぼさぼさであり、顔にはしわがいくつも刻まれている。
「しかも、ただ唯一の手段であるあの方法は使っては駄目だと。
どうすればいいというのだ。」
彼はそう言い煙草を灰皿に押しつけた。
そのときであった、訪問者が来たのは。