J・S・バッハ/ブランデンブルク協奏曲第1番

ルートヴィヒ・ギュトラー&マティアス・シュムツラー(1991)
CD(Berlin Classics 0300214BC)

狩猟ホルンのための協奏曲集
1.バッハ/ブランデンブルク協奏曲第1番
                 ヘ長調BWV1046
2.テレマン/3本のホルンのための協奏曲
               ニ長調TWV54:D2
3.モルター/ホルン協奏曲ニ長調
4.L・モーツァルト/室内シンフォニア ニ長調
5.ヴィヴァルディ/2つのホルンと弦楽
      のための協奏曲ヘ長調RV539
6.クヴァンツ/ホルン協奏曲第9番変ホ長調

ルートヴィヒ・ギュトラー(コルノ・ダ・カッチャ)(1〜6)
マティアス・シュムツラー(コルノ・ダ・カッチャ)(1)
エーリヒ・マルクヴァルト(コルノ・ダ・カッチャ)(2)
ハルトムート・シェルガウト(コルノ・ダ・カッチャ)(2)
ローラント・シュトラウメル(ヴァイオリン)(4)
クルト・ザンダウ(コルノ・ダ・カッチャ)(5)
 ルートヴィヒ・ギュトラー指揮
  ヴィルトゥオージ・サクソニア
   録音 1991年(1&2)
       1987〜88年(3)
       1994年5月(4)
       1986〜87年(5)
       2002年(6)

 ギュトラーは有名なトランペッターです。コルノ・ダ・カッチャを使用しての演奏です。ヴァルブ付きの楽器での演奏です。ホルンとは違い右手でヴァルブの操作をします。 
 バッハの「ブランデンブルク協奏曲第1番」はバルブ付きのコルノ・ダ・カッチャを使っていますので第1楽章は通常のホルンの響きとはかなり違います。フリューゲルホルンのような響きです。第2楽章のオーボエとヴァイオリンは大変きれいな響きです。第3楽章はコルノ・ダ・カッチャが明るく楽しそうに響きます。ヴァイオリン・ソロも素晴らしい。第4楽章は速めのテンポのメヌエットがきれいです。第1トリオは3本のオーボエとファゴットが良い響きを作っています。中間部のポロネーズはやや速めのテンポで弦楽がきれいです。後半の踊るようなリズムは素晴らしい。第2トリオは速めのテンポでコルノ・ダ・カッチャが軽やかに演奏しています。
 テレマンの「3本のホルンのための協奏曲」は3本のコルノ・ダ・カッチャで演奏しています。和音がきれいです。ハイトーンはトランペットのような響きになりますがこれは当然のことです。
 モルター(1695〜1765)の「ホルン協奏曲ニ長調」はコルノ・ダ・カッチャで吹いています。モルターは大バッハよりも10歳若い作曲家です。ドイツの宮廷作家で管楽器の協奏曲やオペラを残していました。この協奏曲は第1楽章:アレグロ・モデラート。第2楽章:ラルゴ、第3楽章:アレグロの典型的な様式で作られています。ラルゴの美しさは絶品です。第3楽章は技巧的な曲で飛び跳ねるような主題が聞かれます。
 レオポルド・モーツァルト(1719〜1787)の「室内シンフォニア ニ長調」はホルンの作品ですが、ギュトラーはコルノ・ダ・カッチャで吹いていますのでトランペットのような響きです。4つの楽章ともに大変きれいな演奏です。第1楽章ではヴァイオリン・ソロが大変きれいです。第2楽章のメヌエットはコルノ・ダ・カッチャが華やかに響きます。第3楽章のアンダンテは弦楽とともにコルノ・ダ・カッチャの美しい響きが聴かれます。第4楽章のアレグロはコルノ・ダ・カッチャのトリルで始まります。ギュトラーの演奏はアドリブを入れながら見事な演奏です。
 ヴィヴァルディの2つのホルンと弦楽のための協奏曲ヘ長調RV539はハイトーンが多い作品ですからコルノ・ダ・カッチャで演奏するのがピッタリです。ギュトラーとザンダウの息の合った演奏は素晴らしいものです。3つの楽章ともよい響きです。
 クヴァンツのホルン協奏曲第9番は美しい作品ですが、コルノ・ダ・カッチャで演奏しても変わらぬ美しさです。第3楽章の細かいフレーズはかなりの難曲ですがギュトラーは軽々と演奏しています。この作品は他にタックウェルとペーター・ダムの録音があります。


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