J・S・バッハ/ブランデンブルク協奏曲第1番

トーマス・ミュラー&イェルク・アルマン(1988)
CD(Novalis 150035-2)2枚組

バッハ/ブランデンブルク協奏曲全集
CD1
1.ブランデンブルク協奏曲第1番ヘ長調BWV1046
2.    〃      第6番変ロ長調BWV1051
3.    〃      第2番ヘ長調BWV1047
CD2
4.ブランデンブルク協奏曲第4番ト長調BWV1049
5.    〃      第3番ト長調BWV1048
6.    〃      第5番ニ長調BWV1050

  イシュトヴァン・ケルテス(ヴァイオリン)
               (1、3、4&5)
  トーマス・ミュラー(ナチュラルホルン)(1)
  イェルク・アルマン(ナチュラルホルン)(1)
  ペーター・フランケンブルク(オーボエ)(1&3)
  パウル・ファン・デァ・リンデン(オーボエ)(1)
  カタリナ・ヴュルツル(オーボエ)(1)
  トゥルディ・ファン・デァ・ウルプ(ファゴット)(1)
  ヘルゲ・シュティーグラー(リコーダー)(3&4)
  ステファン・ケアヴィ(トランペット)(3)
  アンネマリー・ベッシュ(リコーダー)(4)
  ペーテル・シュツ(ヴァイオリン)(6)
  クリスティアン・ギュルトナー(トラヴェルソフルート)(6)
  マルティン・ハーゼルベック指揮&チェンバロ
  ウィーン・アカデミー(オリジナル楽器使用)
  録音 1988年5月5〜7日(1番&2番)
      1988年5月11&12日(6番)
      1988年11月1〜5日(3、4&5番)

 オリジナル楽器のウィーン・アカデミーによるバッハのブランデンブルク協奏曲です。
 ブランデンブルク協奏曲第1番は小編成のオーケストラの爽やかな響き、ナチュラルホルンの独特の響があります。太い響きではなくホルンらしい音です。ストップ音の金属的な響きもまたきれいな音色です。バロックオーボエとヴァイオリン(ヴァイオリーノ・ピッコロ)との調和のとれた録音になっています。第2楽章のオーボエはウィンナオーボエのようにチャーミングな響きがきれいです。第3楽章はホルンの響きが自然倍音とストップ音の交錯が面白いです。速いテンポで演奏しています。オーボエの響きがきれいです。第4楽章のメヌエットはやや速めのテンポで演奏しています。3本のオーボエの響きが素晴らしい。第1トリオのオーボエとファゴットはやわらかな響きの交錯が大変きれいです。中間部のポロネーズは弦楽が奏でるダンスのようです。跳ねるようなリズムは見事な響きです。第2トリオのホルンとオーボエの演奏は大変速いテンポで驚きます。ホルンのストップ音はきれいに響いています。大変素晴らしい演奏です。
 第6番はヴィオラ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロ、コントラバスとチェンバロだけによるいわば中低音楽器だけによる演奏です。ヴィオラとガンバだけが2人ずつの7人の演奏です。第1楽章はヴィオラとガンバが主役でシンコペーションの主題が交錯しますがテンポの速い演奏になっています。力強さを感じさせる演奏です。第2楽章はガンバが抜けてヴィオラとチェロが悠々と演奏します。個々の楽器がよくわかります。第3楽章は全合奏でフーガのように追いかけてゆく主題が繰り返されています。これも素晴らしい演奏です。
 第2番はクラリーノ・トランペットとバロック・オーボエの柔らかな響きがきれいです。またリコーダーの響きもきれいです。トランペットは中音域の響きがオーボエとからんで面白い音になります。第2楽章はヴァイオリンとオーボエ、リコーダーのトリオ・ソナタのようですがこの柔らかな響きの融合は他にはないでしょう。第3楽章ではトランペットの高域の音が金属的でないので大変きれいな音になっています。オーボエ、ヴァイオリンとリコーダーも良い響きになっています。
 第4番は2本のリコーダーが主役の名曲です。この演奏ではリコーダーのレガートが良い響きを出しています。またヴァイオリンがソロ楽器に加わりますが、このソロの流麗な演奏がまた素晴らしい。第2楽章の冒頭で響くチェンバロのアルペッジョがきれいです。そしてリコーダーと弦楽の作る響きの良さは特筆ものでしょう。第3楽章は9名の演奏者たちのバランス良い演奏がききどころでしょう。
 第3番は10人の弦楽器奏者とチェンバロによる演奏です。厚みのある弦楽の美しさがあります。第2楽章のアダージョにはヴァイオリンの短いカデンツァが入りますが2小節のみです。第3楽章のアレグロは弦楽のアンサンブルが素晴らしい。
 第5番の演奏は弦楽合奏による独特の響きで始まります。やがて歌われるトラヴェルソ・フルート、ヴァイオリン、チェンバロが対話するように絡み合う演奏が素晴らしい。またバックの弦楽の美しさが目立ちます。ハーゼルベックの長大なチェンバロ・ソロも素晴らしい演奏です。第2楽章はチェンバロのアルペッジョのあとフルートのやわらかな響きとヴァイオリンの対話がきれいです。第3楽章の跳ねるようなリズムはヴァイオリンとトラヴェルソ・フルートの息の合った演奏が聴きどころでしょう。ガット弦のあたたかい響きには癒されます。


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