J・S・バッハ/ブランデンブルク協奏曲第1番

ゴットフリード・ランゲンシュタイン&ジークフリート・ハンマー(1972)

CD1(LONDON 443 847-2)
CD2(LONDON POCL-5082)

CD1/バッハ/ブランデンブルク協奏曲集
1.ブランデンブルク協奏曲第1番ヘ長調BWV1046
2.      〃       第2番ヘ長調BWV1047
3.      〃       第3番ト長調BWV1048
4.チェンバロ協奏曲第1番ニ短調BWV1052

  ストイカ・ミラノヴァ(ヴァイオリン)(1&2)
  ハンス=ペーター・ウェーバー(オーボエ)(1)
  ヘルムート・ヴィンシャーマン(オーボエ)(1&2)
  宮本 文昭(オーボエ)(1)
  ゴットフリード・ランゲンシュタイン(ホルン)(1)
  ジークフリート・ハンマー(ホルン)(1)
  ベルナール・ガベル(トランペット)(2)
  オーレル・ニコレ(フルート)(2)
  イーゴル・キプニス(チェンバロ)(1〜3)
  ジョージ・マルコム(チェンバロ)(4)
  カール・ミュンヒンガー指揮
   シュトゥットガルト室内管弦楽団
    録音 1972年7月&9月(1〜3)
        1963年10月(4)
CD2/バッハ/ブランデンブルク協奏曲集
1.ブランデンブルク協奏曲第3番ト長調BWV1048
2.      〃       第4番ト長調BWV1049
3.      〃       第5番ニ長調BWV1050
4.      〃      第6番変ロ長調BWV1051
  ストイカ・ミラノヴァ(ヴァイオリン)(2&3)
  オーレル・ニコレ(フルート)(2&3)
  ペーター・ライデマイスター(フルート)(2)
  イーゴル・キプニス(チェンバロ)(1&3)
  カール・ミュンヒンガー指揮
   シュトゥットガルト室内管弦楽団
    録音 1972年7月&9月(1〜4)

 カール・ミュンヒンガーブランデンブルク協奏曲全集を3回録音しており、この1972年の録音は3回目です。ヴァイオリン・ソロには1970年のカール・フレッシュコンクール優勝者ストイカ・ミラノヴァを起用していました。オーボエには御大ヴィンシャーマンの他に宮本文昭も参加しています。またフルートはオーレル・ニコレがソロを吹くという名手揃いの録音です。またホールの残響が豊かでよい響きになっています。
 ブランデンブルク協奏曲第1番は2本のホルンがきれいな演奏ですが、それよりもヴィンシャーマンのオーボエが目立つ演奏です。全体の響きとしては調和のとれた素晴らしい演奏と思います。第2楽章のオーボエ・ソロはヴィンシャーマンのようです。ミラノヴァのヴァイオリンもきれいです。第3楽章はホルンが目立つことなく調和のとれたきれいな響きになりました。第4楽章は良いテンポですすんでいます。第1トリオのオーボエ三重奏は聴きものです。この楽章では中間に弦楽合奏だけのポロネーズが入りますが大変感動的です。第2トリオのホルンとオーボエの華やかな演奏は大変きれいに響きます。
 第2番ではガベルのクラリーノ・トランペットがきれいな演奏ですが、そこにニコレとヴィンシャーマンのフルートとオーボエが絡んできます。主役は隠れてフルートが目立つかもしれません。音量の大きいトランペットを抑えた録音が面白いです。第3楽章はトランペットが主役になっていますが、それにしてもフルート、オーボエ、トランペットが同一の音域を吹くと面白い響きになります。
 第3番は弦楽合奏による演奏です。シュトゥットガルト室内の弦楽セクションの整然とした演奏は見事です。アダージョの前にチェンバロのカデンツァが入ります。第3楽章:アレグロはフーガのように始まりますが爽やかな演奏です。
 チェンバロ協奏曲第1番はジョージ・マルコムのチェンバロ独奏です。録音年代に9年の差があるのですが、違いは感じられません。大変クリアな音質で聞かれます。こちらはチェンバロが主役でソロを引き立てる伴奏が見事です。第2楽章:アダージョの弦楽が大変きれいです。バッハはどれを聴いても名曲と思います。第3楽章はニ短調でありながらも活気のある響きが素晴らしい。
 第4番は2本のフルートで演奏されていて、そのソリストが名手オーレル・ニコレとライデマイスターですからその響きの良さは抜群です。ミラノヴァのヴァイオリン・ソロの響きもまたきれいなものです。第2楽章の透明感のあるフルートの響きは見事で弦楽の美しさもまた絶品。第3楽章の弦楽は厚みのある演奏でフーガも華やかで響きも素晴らしい。
 ブランデンブルク協奏曲第5番はオーレル・ニコレのフルート、ミラノヴァのヴァイオリン、イーゴル・キプニスのチェンバロによる演奏です。第1楽章は冒頭の弦楽の演奏が素晴らしい。申し分のない演奏でバッハを聞く醍醐味があります。キプニスの長大なカデンツァは聞きどころです。第2楽章はフルートのやわらかな響きとヴァイオリンの対話がきれいです。第3楽章の跳ねるようなリズムは遅めのテンポですが、ヴァイオリンとフルートの息の合った演奏が聴きどころです。
 第6番は2つのヴィオラ、2つのヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロ、コントラバスとチェンバロだけによるいわば中低音楽器だけによる演奏です。第1楽章はヴィオラとガンバが主役でシンコペーションの主題が交錯しますがテンポの速い演奏になっています。第2楽章はガンバが抜けてヴィオラとチェロが悠々と演奏します。第3楽章は全合奏でフーガのように追いかけてゆく主題が繰り返されています。これも素晴らしい演奏です。


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