J・S・バッハ/ブランデンブルク協奏曲第1番
サー・ネヴィル・マリナー/アカデミー室内管弦楽団(1971) |
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CD1(PHILIPS 426 088-2)
CD2(PHILIPS 426 089-2)
バッハ/ブランデンブルク協奏曲集(ダート版)
CD1
1.ブランデンブルク協奏曲第1番ヘ長調BWV1046
2. 〃 第2番ヘ長調BWV1047
3. 〃 第6番変ロ長調BWV1051
CD2
4.ブランデンブルク協奏曲第4番ト長調BWV1049
5. 〃 第3番ト長調BWV1048
6. 〃 第5番ニ長調BWV1050
アラン・ラヴディ(ヴァイオリン)(1&4)
アイオナ・ブラウン(ヴァイオリン)(2、4&6)
バリー・タックウェル(ホルン)(2)
デイヴィッド・マンロウ(リコーダー)(2&4)
ジョン・ターナー(リコーダー)(4)
ニール・ブラック(オーボエ)(2)
コリン・ティルネイ(チェンバロ)(1)
〃 (オルガン)(3)
クロード・モントゥ(フルート)(6)
フィリップ・レッジャー(チェンバロ)(1)
サーストン・ダート(チェンバロ)(2、4&5)
レイモンド・レッパード(チェンバロ)(2&4)
ジョージ・マルコム(チェンバロ)(6)
サー・ネヴィル・マリナー指揮
アカデミー室内管弦楽団
録音 1971年1月30日〜2月12日
マリナーはブランデンブルク協奏曲全集を3度録音していますがこの第1回目の録音はチェンバロ奏者サーストン・ダートの版を使用しています。第1番と第2番が通常の版とは大きな違いがあって面白いです。
ブランデンブルク協奏曲第1番は第3楽章のアレグロがメヌエットのあとに演奏されたり、ヴァイオリンがヴァイオリン・ピッコリーノを使わないので第2楽章でオクターブ低い音で演奏するなど大きな違いがあります。第1楽章は軽やかなテンポで明るい演奏になっています。なお、2本のホルン、3本のオーボエ、ファゴットの演奏者は不明です。第2番でタックウェルがホルンを吹いていますが、この第1番ではタックウェルのホルンは聞こえません。第2楽章冒頭のオーボエソロはニール・ブラックと思われますがはっきりしません。第3楽章はメヌエット、第1トリオ(通常版の)メヌエット、第2トリオ、メヌエットになっていますが、第2トリオが2本のホルンと弦楽だけで演奏されていてオーボエが入りません。ここは大きな違いです。第4楽章はアレグロで順序が変わっています。またホルンのパートに違いがあります。オーボエやヴァイオリンにも違いがみられます。面白いです。ヴァイオリンがオクターブ低いですから目立ちます。第5楽章はポロネーズで通常版の第4楽章では中間に弦楽だけで演奏される部分です。そして第2トリオが2本のホルンと3本のオーボエでいつものように演奏されます。大変得をしたような版です。最後にポロネーズが再度演奏されます。
ブランデンブルク協奏曲第2番はピッコロ・トランペットを使わずにそのパートをホルンが吹いています。バリー・タックウェルが見事な演奏で、まるでホルン協奏曲を吹いているかのように朗々と吹いていますので楽しくなります。またここでディヴィッド・マンロウがリコーダーを吹くのですがオクターブ低い音で吹きますので目立ちません。もったいないです。タックウェルはまるでテレマンの協奏曲を吹くかのようにバッハを吹いています。なお、ここでチェンバロを弾いているのは第1楽章ではサーストン・ダートですが第2楽章ではレイモンド・レッパードが弾いています。ダートが第1楽章を録音したあと体調を崩したということです。第2楽章ではマンロウのリコーダー、アイオナ・ブラウンのヴァイオリン、ニール・ブラックのオーボエが優雅に歌います。第3楽章はタックウェルのホルンが大変きれいです。このホルンがオクターブ低いのでリコーダーもヴァイオリンも低いのでしょう。まったく別の曲を聞いているかのようです。この録音だけでしか聞かれないのがもったいないです。
ブランデンブルク協奏曲第6番はヴィオラ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロと通奏低音によりますがここでは珍しくオルガンを通奏低音に使いますので響きが穏やかでやさしく響きます。
ブランデンブルク協奏曲第4番は2本のソプラニーノ・リコーダーで演奏しています。オクターブ高いピッコロのような音に驚きます。ヴァイオリンは2本使うようで響きは大変きれいです。リコーダーの響きは実に面白いものです。第2楽章は冒頭の弦楽がよい響きです。リコーダーとヴァイオリンも良い響きを出しています。ここもハイトーンのリコーダーです。第3楽章の冒頭はフーガですが、この演奏はさすがに素晴らしいものになっています。リコーダーのハイトーンも自然に聞こえてきます。ヴァイオリンも見事な演奏です。
ブランデンブルク協奏曲第3番は弦楽の美しさがあります。第2楽章のアダージョにはヴァイオリンとチェロとダートの演奏によるチェンバロの長いカデンツァが入ります。第3楽章のアレグロは緻密な演奏の弦楽が素晴らしいです。
ブランデンブルク協奏曲第5番は弦楽の爽やかな序奏とフルート、ヴァイオリン、チェンバロが演奏するバッハの代表的な協奏曲のひとつです。モントゥのフルート、アイオナ・ブラウンのヴァイオリンとジョージ・マルコムのチェンバロの見事な掛け合いが聞かれます。後半のチェンバロ・ソロもきれいですが、かなりのカットがあります。通常よりも短いです。第2楽章はチェンバロとフルートのやわらかな響きとヴァイオリンの対話がきれいです。チェンバロと通奏低音のチェロもきれいな響きです。第3楽章の跳ねるようなリズムはヴァイオリンとフルートの息の合った演奏が聴きどころでしょう。チェンバロの響きもきれいで、これは見事な演奏です。 |
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