J・S・バッハ/ブランデンブルク協奏曲第1番

ヘルマン・バウマン&ヴェルナー・マイエンドルフ(1967)

CD1(DGG UCCG-5257)
CD2(DGG UCCG-5031)

バッハ/ブランデンブルク協奏曲全集
CD1
1.ブランデンブルク協奏曲第1番ヘ長調BWV1046
2.     〃        第2番ヘ長調BWV1047
3.     〃        第3番ト長調BWV1048
4.     〃        第4番ト長調BWV1049
5.     〃       第6番変ロ長調BWV1051
CD2
6.管弦楽組曲第2番ヘ長調BWV1067
7.   〃   第3番ト長調BWV1068
8.ブランデンブルク協奏曲第5番ニ長調BWV1050

 ハンスハインツ・シュネーベルガー
         (ヴァイオリン(1、2、4&8)
 マンフレート・クレメント(オーボエ)(1&2)
 ヘルマン・バウマン(ホルン)(1)
 ヴェルナー・マイエンドルフ(ホルン)(1)
 カール・コルビンガー(ファゴット)(1)
 ハンス・マルティン・リンデ(リコーダー)(2&4)
 ギュンター・ヘラー(リコーダー)(4)
 ピエール・ティボー(トランペット)(2)
 オーレル・ニコレ(フルート)(6&8)
 カール・リヒター(指揮、チェンバロ)
 ミュンヘン・バッハ管弦楽団
  録音 1967年1月(1〜5&8)
      1960年6月&
      1961年6月(6&7)

 カール・リヒター2回目のブランデンブルク協奏曲全集です。CD2には5番が収録されています。
 ブランデンブルク協奏曲第1番はヘルマン・バウマンがこの曲を吹いた初めての録音でした。リヒターのテンポは第1楽章が速めのように感じられますが、もともとテンポの指定がないので自由なのです。2本のホルンと3本のオーボエ、ヴァイオリンとファゴットの調和のとれた演奏は驚くほどきれいな響きを作っています。第2楽章のオーボエとヴァイオリンは現代の楽器の美しさをがあります。第3楽章はホルンの響きがきれいです。目立ちすぎないように抑えています。それでもバウマンのホルンはやはり素晴らしい音です。第4楽章のメヌエットは程よいテンポで演奏しています。第1トリオのオーボエとファゴットは大変きれいです。中間部のポロネーズはリズム感ゆたかで楽しそうな雰囲気があります。第2トリオのホルンとオーボエの演奏はバウマンとマイエンドルフのホルンが見事な和音を作っています。 
 ブランデンブルク協奏曲第2番はフランスのピエール・ティボーが吹くクラリーノ・トランペットとクレメントのオーボエの響きが素晴らしい。またリコーダーはハンス・マルティン・リンデが吹いておりこちらもきれいな響きの演奏です。第2楽章はヴァイオリンとオーボエ、リコーダーのトリオ・ソナタのようですが大変素晴らしい演奏です。第3楽章ではトランペットの高域の音が素晴らしい。リコーダーやヴァイオリンも良い響きです。
 ブランデンブルク協奏曲第3番は勢いのある弦楽の素晴らしいアンサンブルが聞かれます。響きが明るいです。第2楽章のアダージョにはリヒターによるチェンバロのカデンツァが入ります。第3楽章のアレグロは弦楽の緻密な演奏が素晴らしく、数ある演奏の中でも群を抜いているでしょう。
 ブランデンブルク協奏曲第4番は2本のリコーダーが美しい響きです。リヒターはフルートではなくリコーダーを使っています。これは自然なことでしょう。リンデとヘラーの作る和音は天上の響きといえましょう。ヴァイオリンの響きもまた素晴らしいものです。第2楽章の響きは冒頭の弦楽が素晴らしい。第3楽章の冒頭はフーガですが、この演奏はさすがに凄いです。
 ブランデンブルク協奏曲第6番はヴィオラ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロ、コントラバスとチェンバロだけによるいわば中低音楽器だけによる演奏です。第1楽章はヴィオラとガンバが主役でシンコペーションの主題が交錯しますが緻密で素晴らしい演奏になっています。第2楽章はガンバが抜けてヴィオラとチェロが優雅に演奏します。第3楽章は全合奏でフーガのように追いかけてゆく主題が繰り返されています。程よいテンポでこれも素晴らしい演奏です。
  管弦楽組曲第2番はフルート、弦楽と通奏低音のための作品で、バッハの代表的な作品のひとつです。序曲からオーレル・ニコレのフルートのソロが入って華やかな響きです。第2曲「ロンド」や第5曲「ポロネース」の美しい響き、第7曲「バディネリ」の素晴らしい演奏などこの曲は名曲です。
 管弦楽組曲第3番はトランペットやティンパニが入って賑やかになります。序曲の素晴らしい響きは見事です。第2曲「アリア」は弦楽のみで「G線上のアリア」としても有名です。これもバッハの代表的な作品のひとつです。
 ブランデンブルク協奏曲第5番は弦楽の爽やかな序奏とフルート、ヴァイオリン、チェンバロが演奏するバッハの代表的な協奏曲のひとつです。ニコレのフルート、シュネーベルガーのヴァイオリンとリヒターのチェンバロの素晴らしい演奏が聞かれます。後半のチェンバロのカデンツァも見事なものです。第2楽章はチェンバロとフルートとヴァイオリンのトリオ・ソナタがきれいです。チェンバロのメロディもまたきれいな響きです。第3楽章の跳ねるようなリズムはヴァイオリンとフルートの息の合った演奏が素晴らしいです。リヒターのチェンバロもきれいな演奏です。


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