J・S・バッハ/ブランデンブルク協奏曲第1番

エーリヒ・ペンツェル&ゲルト・ザイフェルト(1966〜67)
LP(harmonia mundi ULS-3124〜5-H)2枚組

バッハ/ブランデンブルク協奏曲全集
LP1
1.ブランデンブルク協奏曲第1番ヘ長調BWV1046
2.      〃       第3番ト長調BWV1048
3.      〃       第4番ト長調BWV1049
LP2
4.ブランデンブルク協奏曲第5番ニ長調BWV1050
5.      〃       第2番ヘ長調BWV1047
6.      〃      第6番変ロ長調BWV1051

フランツヨーゼフ・マイアー(ヴァイオリン)(1、3、4&5)
ヘルムート・フッケ(バロックオーボエ)(1&5)
アルフレッド・ソウス(バロックオーボエ)(1)
インゴ・ゴリツキ(バロックオーボエ)(1)
エーリヒ・ペンツェル(ナチュラルホルン)(1)
ゲルト・ザイフェルト(ナチュラルホルン)(1)
ウェルナー・マウルシャット(バロックファゴット)(1)
ハンス・マルティン・リンデ(ブロックフレーテ)(3&5)
         〃       (トラベルソフルート)(4)
ギュンター・ヘラー(ブロックフレーテ)(3)
エドワード・ハンキンズ・ター(クラリーノトランペット)(5)
グスタフ・レオンハルト(チェンバロ)(1〜6)
コレギウム・アウレウム合奏団
  録音 1966〜1967年
  キルヒハイム・フッガー城/糸杉の間

 1960年代の代表的な古楽器オーケストラによるバッハのブランデンブルク協奏曲全集です。全曲にわたりグスタフ・レオンハルトのチェンバロが聞かれます。
 第1番でナチュラルホルンを吹いているのは名手エーリヒ・ペンツェルとベルリン・フィルの首席に就任したばかりのゲルト・ザイフェルトです。2人ともにナチュラルホルンの演奏は珍しいので大変貴重な録音ですし、ザイフェルトが2番ホルンを吹いているのもこれまた貴重な録音です。2人のホルンは大変素晴らしく音色も似ていますし、タンギングの鮮やかさもモダンホルンのようです。ホルンの響きもモダンホルンのようにきれいです。ゲシュトップの音がきれいです。第3楽章のホルンも見事な響きで大物が吹くホルンの凄さがあります。また第3オーボエにインゴ・ゴリツキの名があります。バロック・オーボエを勉強した27歳当時の演奏でした。第4楽章のメヌエットではホルンとオーボエが大活躍しますが、ホルンのうまさは抜群です。
 第3番は弦楽合奏とチェンバロだけの演奏で明るさと奥深い響きが素晴らしい。なお第2楽章の冒頭にヴァイオリンが短いカデンツァを挿入しています。チェンバロのカデンツァが多い中で珍しい録音です。
 第4番は2本の縦笛(ブロックフレーテ)が華やかに響く名曲です。ヴァイオリンがソロ楽器に加わりますが、やはり主役はブロックフレーテでしょう。この4番は現代のフルートよりもブロックフレーテのほうが味わい深いです。バロックの響きはこれでしょう。
 第5番はフルート、ヴァイオリンとチェンバロがソロ楽器になります。原曲では横笛(トラベルソフルート)で演奏します。ここでもリンデはトラベルソフルートを吹いています。木管のやわらかな響きがきれいです。またマイヤーのヴァイオリンがからんで良い響きになります。そしてチェンバロが大活躍する第1楽章は後半では長いカデンツァがチェンバロだけで演奏されますが、レオンハルトのチェンバロの見事な演奏には聞き惚れてしまいます。ブランデンブルク協奏曲ではこの第5番が単独で最も多く演奏されるでしょう。
 第2番はトランペットが華やかに演奏します。バロック時代にはバルブもピストンもない自然倍音だけで吹いていますのでハイトーンになります。LP時代にはモーリス・アンドレでよく聞いたものでした。この2番ではヴァイオリンとオーボエ、ブロックフレーテもソロ楽器になります。
 第6番は風変わりな作品で、ヴィオラ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロ、コントラバスとチェンバロだけによるいわば中低音楽器だけによる演奏です。第1楽章はヴィオラとガンバが主役でシンコペーションの主題が交錯します。第2楽章はガンバが抜けてヴィオラとチェロが悠々と演奏します。第3楽章は全合奏でフーガのように追いかけてゆく主題が繰り返されています。その響きは耳障りの良いものです。


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