J・S・バッハ/ホルン作品集

ホルン協奏曲集/ラデク・バボラーク(2020)
CD(hanssler CLASSIC HC21000)

J.S.バッハ/ホルン協奏曲集
1.ホルン、弦楽と通奏低音のための協奏曲
            変ホ長調 BWV.1053
2.ホルン、弦楽と通奏低音のための協奏曲ニ短調
  BWV.1059R(BWV.974、BWV.35からの再構築版)
3.ホルン、弦楽と通奏低音のための協奏曲
         変ロ長調 BWV.1055R

ラデク・バボラーク(ホルン)
ベルリン・バロック・ゾリステン
マルティン・フンダ(第1ヴァイオリン)
ドリアン・ジョジ(第1ヴァイオリン)
ハンデ・コデン(第1ヴァイオリン)
ヘレーナ・オッテンリップス(第1ヴァイオリン)
ライマー・オルロフスキー(第2ヴァイオリン)
アンナ・ルイーザ・メーリン(第2ヴァイオリン)
クリストフ・シュトロイリ(第2ヴァイオリン)
ヴァルター・キュスナー(ヴィオラ)
マシュー・ハンター(ヴィオラ)
クリスティン・フォン・デル・ゴルツ(チェロ)
ジョアン・バシュ(チェロ)
ウルリヒ・ヴォルフ(ヴィオローネ)
ラファエル・アルパーマン(チェンバロ)
録音 2020年10月17〜19日
ベルリン、シャルロッテンブルク、
   ブラックバード音楽スタジオ

 バボラークのバッハは無伴奏チェロ組曲のホルン版に始まって、このホルンのためでない、チェンバロのための協奏曲をホルンのために編曲そして再構築したものを演奏しています。
 ホルン、弦楽と通奏低音のための協奏曲変ホ長調BWV1053は3つの楽章で構成されています。第1楽章「アレグロ」は快いテンポでホルンのソロが歌われます。ここでは強弱は極端には使いませんので大変きれいな響きのホルンです。バボラークのホルンがよく合います。新しいホルン協奏曲が生まれたようです。ホルンと弦楽ですからよい響きです。第2楽章「シチリアーノ」は美しい主題をホルンが歌います。バッハの作品の中でも美しいメロディのひとつになりそうです。バボラークが気持ちよさそうに演奏しています。第3楽章「アレグロ」は快適なテンポのホルン協奏曲です。バッハの無伴奏チェロ組曲を彷彿させるものです。
 ホルン、弦楽と通奏低音のための協奏曲ニ短調 BWV.1059Rは断片からの再構築です。カンタータ第35番とマルチェルロのオーボエ協奏曲から編曲したBWV.974から第2楽章を使います。3つの楽章で構成されています。第1楽章「アレグロ」はシンフォニアに始まるバッハらしい作品です。チェンバロ協奏曲としても良い作品です。それをホルンで楽しそうに演奏するバボラークは満足しているでしょう。弦楽の伴奏と共に素晴らしい演奏です。第2楽章「アダージョ」はマルチェルロのオーボエ協奏曲ハ短調の第2楽章です。あの美しいメロディをホルンで聴くのもいいものです。第3楽章「プレスト」はバッハの作品の明るさがあります。素晴らしい演奏です。
 ホルン、弦楽と通奏低音のための協奏曲変ロ長調 BWV.1055Rはオーボエ・ダモーレ協奏曲からの編曲です。3つの楽章で構成されています。第1楽章「アレグロ」は快適なテンポでホルンが歌います。ここではホルンが力強く演奏しています。ホルン協奏曲としても良い作品です。3つの作品の中でも完成度の高い作品です。第2楽章「ラルゲット」は序奏のあとにホルンが穏やかに美しい主題を歌います。ここではハイトーンも使いますので感動的な演奏です。
第3楽章「アレグロ・マ・ノン・タント」は細やかなフレーズが続きます。オーボエ・ダモーレ協奏曲が原曲ですからよくわかります。むしろ、バボラークにとってはこのような主題を演奏することが喜びでしょうから、演奏に力が入ります。素晴らしい演奏です。新しいホルン協奏曲の誕生といってもよい演奏です。


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