『燃え上がれあたしの小宇宙!』04

-PM16:15- 下校 虹浦町 虹浦中学校 校舎出入り口前  校内に残った一般生徒に下校を促すチャイムの音が、日の沈みかけた橙の空に吸い込ま れて消えた。  コスモは帰り支度を整え、待ち人が来るのを下足場を出たところで待っていた。宇宙船 に乗って宙に浮いた彼女に顔見知りの生徒たちが声をかけて、ひとり、ひとり去っていく。  そうやって挨拶を7、8人と交わした頃だろうか、 「よっ、コスモ。お待たせ」  鞄片手に木束が息を切らして現れた。慌てて走ってきたのか、前髪や編んだ毛が少し乱 れていた。それでも頭に上げた眼鏡が器用なことに落ちそうにないのが、コスモにはおか しかった。 「委員長さん、お仕事お疲れさまです」 「わりーな。球技大会の連絡会議がちょっとまとまらなかったからさ」 「私はぜんぜん気にしてませんから」 「そっか。それじゃあ帰るか」  木束が歩き出すと、その隣に寄り添うようにコスモがついてきた。少し肌寒い秋の風が ふたりの間を駆け抜ける。  校門に向かう途中で、木束が何かを思いついたのか、コスモに振り向いた。  「あのさ、帰りに若槻んちのスーパーで晩メシの材料を買いに行くけどいいか?」 「はい! ところで、今日はどんなご馳走を作るんですか?」  そう言われて、木束はとにかく思いついたものを指折り答えた。 「まずはレバニラ炒め。それに激辛麻婆豆腐だろ? とろろ芋に納豆汁。ついでにマムシ ドリンクも用意するか?」 「な、何だかものすごく鼻血がでそうなんですけど……」  次々と挙げられる精力料理の数々を聞いて、今日の夜の営みがまた一段と激しくなりそ うな予感に、コスモは頬を赤く染めた。  しばらく夕食の献立について意見し合っていると、校門の前にたどり着いたところでう しろから声をかけられた。 「木束お姉さま! コスモお姉さま!」  振り返ると、頭の上でリボンを留めた少女と小柄な体の少女がいた。梅田と乙女野だ。  声をかけてきたのは乙女野で、梅田の腕に組みついている様子がどことなく抱き人形を 思わせて可愛らしい。その見た目は入学したての1年生のようだが、実際は木束と同い年 だった。 「ふたりとも今日は部活ねーのか?」 「今日はお休みです。というより、お休みにしました。これから美弥子お姉さまと放課後 デートなんですよ!」  そう言って、乙女野が今日はどこへ行って何をするのかを大げさな身振りでまくし立て てきた。その隣にいる梅田は乙女野を止める気配もないまま、いつものポーカーフェイス で黙っている。  まばらな人通りとはいえ、矢継ぎ早に喋る乙女野にいくつか視線が集まりだすと、木束 はなだめるように声をかけた。 「わかったわかった。あんまり寄り道しすぎて帰りが遅くなるんじゃねーぞ」 「はーい。それじゃあ、お二人ともさようならー!」 「…………ほな」  さいなら、とまでは言わなかったが、梅田が挨拶をすると、言いたいことを言って満足 した乙女野に引っ張られて木束たちの前から去っていった。乙女野に気おされたのか、ふ たりの背中が見えなくなるまで、木束たちは校門のそばで立ち尽くした。  ようやくふたりの姿が通りの向こう側に消えると、コスモは思いついたことを声にする。 「梅田さんと乙女野さんって文化祭から仲がいいですよね」 「そうかあ? 乙女野の惚れっぽさは麻疹みたいなものだから、また保科んときみたいに 相手を変えるんじゃねーのか?」 「そんなことないですよ。今度は長続きするどころか、乙女野さんはずっと梅田さんのこ とが好きになったままだと思いますよ? とっても相性がよさそうですから」  人の恋愛をまるで病気扱いする木束にコスモは言い返した。いつも積極的に自分の気持 ちをぶつけて、相手のことはおかまいなく話す乙女野は、自分から喋るよりは聞き手に回 っているほうが気が楽そうな梅田と釣り合いが取れているように思えるからだ。 「それならそれでいいけどな。相手が誰でも所かまわずイチャつくのは変わらねーし」 「私たちも似たようなものだと思うんですけど」 「あたしはコスモひと筋だぜ? ずっとな!」 「い、委員長さん!」  たまに木束は聞くだけで恥ずかしくなってくる台詞を口にするから、コスモはその不意 打ちに弱かった。しかもふざけてセクハラまがいなことを言うのとは違って、真顔で言う からたちが悪い。いや、悪くはなく、コスモにとっては心を惹かせるには充分だった。  そのせいか、コスモは無性に甘えたくなる時があった。 「あの、じゃあ、ひとつお願いしてもいいですか?」 「ん? どうしたんだ?」  何が、じゃあ、なのか木束には話が繋がらないが、コスモの中では出来上がっているら しい。おもむろに宇宙船から降りて、スカートのポケットから小さな端末機を取り出して 操作し始めた。  訝しげに様子を窺う木束を尻目に、その端末機――プロポーションチェンジャーでもっ て、コスモは背の高さを乙女野と同じくらいまで伸ばしてみせた。  そのまま木束の腕に抱きつくと、コスモは上目づかいで、はにかんだ。 「今日はこうやって一緒に帰りたいんですけど、だめ……ですか?」 「別にいいけどよ。どうしたんだ急に」  単に仲睦まじく腕を組んでいた乙女野と梅田のことが羨ましかっただけだが、言わぬが 花なのかコスモはその理由を口に出さなかった。それに、お互いの体を求め合うのも恋愛 の形のひとつだが、もっとおとなしめに恋人同士として甘い行為をしてみたかったのだ。 「さあ、帰りましょう!」 「こら、あんまりくっつくなって! 歩きづれーだろ!」 「私はこうがいいんですー」  口では文句を言いながらも、木束が嬉しそうにしているのがコスモにはわかっていた。 何しろ見上げた木束の顔が赤く染まって、頬を緩ませているのだから。  見る者までが恥ずかしくなるような甘ったるい空気感に包まれて、ふたりは歩き出す。 「あ、そうだ。これからスーパーに寄って、店の中で『こうしてふたりで買い物してると、 新婚さんみたいですね』って言うの禁止な」 「先回りして言うの禁止ですよ!」  せっかくの雰囲気を台無しにした木束にツッコミを入れながらも、コスモの嬉しそうな 表情は崩れることがなかった。 -PM23:12- 就寝? 虹浦町 木束家宅 木束律子の自室  木束はコスモと一緒にベッドの中に入り、小一時間ほどお喋りを楽しんでいた。いつも なら眠っている時間だったが、家の中にふたりだけという状況がつい夜更かしをさせてし まうらしい。  友達のこと、学校のこと、将来のこと。とりとめのない話から真面目な話まで色んなこ とを会話をしているうちに、コスモが思いつめた顔をして見つめてきた。  うっすらと涙を浮かべた小さな双眸に映っている自分を見ながら、木束は尋ねた。 「コスモ、どうした?」 「あの……委員長さん」  躊躇いの表情を浮かべながらコスモが口ごもった。何か悩みごとだろうか。思い当たる ふしを木束は考えてみるが、今までずっと一緒にいるのに見当もつかない。  その間にもコスモが言いにくそうに唇をかみ締めて、どうしてか顔を赤らめていた。  次の言葉を待っていると、ぬいぐるみのように木束の腕の中に収まったコスモがさらに 身を寄せて耳元で囁いた。 「えっと、その……きょ、今日はしないんですか? えっち……」  鼻血が出た。  本当はそんな錯覚を覚えただけだが、木束はコスモの台詞の破壊力に耐えかねて思わず 顔を背けた。そのまま自然とにやけてしまう顔を見せないように手で覆って、ひとり悶絶 する。  いったい何を言い出すかと思えば、まさかコスモからセックスを求めてくるとは予想で きなかった。確かに時間的にはそういったことを始めてもおかしくはなかったし、昨晩で はもうすでに肌を重ねあっていた頃だったはずだ。  もちろん木束もこの後セックスするつもりだったが、普通のお喋りが楽しかったことも あって、まだそんな気にはなれていなかった。  だが、コスモは我慢できないようだ。それは家に帰ってから隙を見つけては性的にちょ っかいをかけたせいだろうか。それとも夕食に精力料理を食べさせたせいだろうか。とに かくコスモの体はすでに準備が整っているらしく、見ればその瞳に淫欲をたたえているが わかる。 「コスモ、エロくなったなぁ……」 「しみじみ言わないでくださいよ! 誰のせいだと思ってるんですか!」 「コスモだろ?」  その答えが気に食わなかったのかコスモが眉根を吊り上げて、頬を膨らませた。凄んで みせても愛らしいその表情に、木束はまた顔がにやけるのが止められず、ついつい意地悪 なことを言ってしまう。 「今日はもう疲れたからさ。このまま寝させてくれよ」  倦怠期のセックスレス夫婦のような台詞にコスモが心底泣きそうな表情を浮かべた。 「委員長さぁ〜ん」 「わかった! わかったって! そんな情けない声出すなよ」  何だかんだで木束はコスモに甘かった。  だが、きっかけとしてはちょうどいい。いささかムードにかけているような気もするが、 それも時間が解決してくれるはずだ。  木束は頬を叩いて顔を引き締めると、無意味に気合を入れた。 「よし! それじゃあエロいことすっか! ただし、今日はコスモの方から誘ってきたん だから、ちゃんとリードしてくれよ」 「は、はい」  緊張した面持ちでコスモはいったん布団から出ると、そっと木束に顔を近づけて唇を重 ねた。多少ぎこちなさの残るくすぐったいキス。 「ん……」  コスモがやりやすいように木束は瞳を閉じた。  見られてないと思うと、コスモは大胆になれるのか、木束の顔を両手で支えてさらに強 く唇を押しあててきた。そして、遠慮がちに舌先で唇をノックしてくると、木束は口を開 いて招き入れた。 「んぅ……んっ、んっ」  小さな舌に口の中をかき回され、粘膜を刺激されると、唾液が溢れてきた。木束は舌の 上にその液体を乗せて、お返しにコスモの口へ運んだ。 「んむ……んぁ」  コスモが唾液を飲み込むと、そのまま頬をすぼませて木束の舌をしごきたてた。まるで 舌全体が性感帯になったように甘い痺れを覚える。  淫らに響く水音を上げて、お互いの口の中を往復しているうちに、唾液が泡立った涎と なって枕元を濡らした。  ひとしきりキスの味を堪能して木束が瞳を開けると、コスモが唇を離した。 「はぁ……委員長さん、ひとつお願いしてもいいですか?」 「ああ、今日はコスモのしたいようにすればいいぜ」  そう言われてコスモは木束の耳元でその「お願い」を囁いた。 「……ということなんですけど」 「いいなそれ。たまにはそういうのも面白そうだ」  木束が了承の笑みを浮かべると、さっそくコスモは宇宙船を呼び寄せて、中からプロポ ーションチェンジャーに似た機械を取り出した。  いつものようにセックスしやすい身長に伸ばすつもり、ではなく、あろうことかコスモ はその機械の照射部分を木束に向けた。 「いいぜ。やってくれ」  木束が頷くと、まばゆい光が彼女を包み込んだ。見る間に木束の身長が縮んでいく。着 ていたワイシャツが急にだぶつき始め、肩からはだけてベッドの上に落ちた。  徐々に光が収束して消える頃には木束の体が二回りほど小さくなっていた。すらりと伸 びた手足も半分の長さになっている。 「はい、もういいですよ」 「スゲーな。本当に若返っちまったよ」  木束は驚きのあまり感嘆すると、その声が自分のものとは思えないくらいに幼くなって いた。よくよく縮んだ体を見てみれば下の毛が一切なくなっている。  今の木束の容姿はすっかり年齢を下げて小学校3、4年生くらいに見えた。それもすべて 対象者の年齢を操作するエイジアドジャスターによるものだ。 「それにしても、よくこんなこと考えるな」 「だって、以前おば様に昔のアルバムを見せてもらったとき、小学校の頃の委員長さんが かわいくて、いつか目の前で見てみたいって思ってたんです」  念願が叶ってコスモが嬉しそうにしていたが、木束には不満があった。 「何であたしの胸がこんな無駄にデカイままなんだよ」  小さな体に持て余すほどの乳房を両腕で支えて、木束は文句を口にする。確かに小学生 の頃から早い発育で胸の成長も著しかったが、ここまで大きくはなかった。  「だって、私だけおっぱいが大きいのは不公平ですから、そこだけ調整しておきました。 ところで、こういうのをジャンル的にはロリ巨乳属性って言うらしいですよ?」 「コ、コスモ……そんな言葉どこから覚えた」 「私もよく知りません。八重田さんから聞いただけです」  どこか既視感を覚える会話に木束は目が眩んだ。日常ではありえないその言葉をコスモ が口にしたのがよほどショックだったのか、倒れこむように枕に顔を埋めた。 「あたしのコスモが汚された!」 「お、落ち着いてくださいー! 何だかわかりませんけど、早く続きをしましょうよ」  コスモの「お願い」とは何も木束を幼くさせることだけではなく、このままふたりでセ ックスをしようというものだった。  そうと聞かされた時は、今まで経験したことのない倒錯プレイに興味を覚えて、つい了 解してしまったが、木束にはいささか不安になることがあった。 「こんな小っさい体でエロいことできるかあ?」  顔を上げると、いつの間にかコスモが身長を2倍程度に伸ばしていた。いくら木束を幼く させても、依然として背の高さが釣り合わなかったからだろう。  ついでにコスモは着ていたスーツを脱いで裸になると、 「何を言ってるんですか。私は10歳ですけど委員長さんに色んなことされて、えっちな体 になってしまったんですよ?」 「う……」 「だから大丈夫です」  力強い笑顔で迫られて、さすがの木束も拒みきれなかった。観念してコスモと真正面か ら向き合うと、仕切りなおしとばかりにもう一度キスをした。 「ん、んんっ、いいんちょうさ……んっ」 「こすもぉ……ふぁ、んぅっ……」  ついばむように唇を交わしながら、木束とコスモは左右の五指を絡ませ合い、胸と胸を 突き合わせて、お互いの鼓動が感じられるまで強く密着した。  不意にコスモが胸の間に手を挿し込んで木束の乳房を揉みたてると、苦痛めいた声が上 がった。 「つっ! コスモっ……もうちょっと優しく……はっ、あっ」  どうやらいつもの力加減で揉んでしまうと、今の木束には刺激が強すぎるようだった。 まだ二次性徴にさしかかった頃の体だけあって、その乳房に硬いしこりが残っているのか、 コスモは普段にはない感触を手の平に覚えていた。 「じゃあ、これくらいでいいですか?」 「はぁ、はぁ、いいぜ……コスモ、それでいいっ……あああっ!」  揉む力に強弱をつけて木束の反応を窺っていると、適当なところで快感を覚えたようだ。 木束が喘ぎ声を漏らして、悦楽に耐えかねるように下唇を噛む。  あどけない顔をしている木束がそんな艶めいた仕草をするのを見て、コスモは熱のこも った息を漏らした。 「委員長さん……」  たまらず木束を強引に押し倒し、その股間に顔を寄せた。剃るまでもない無毛の恥丘が 目の前に広がり、視線をずらすと指を入れる隙間もなくなった割れ目が見えた。 「ん……」  みっともなく脚を開かせて、縦スジに舌を這わせたが、木束は嫌がる素振りすら見せず に受け入れてくれた。本当に今日はしたいようにさせてくれるらしい。  コスモは今までに覚えた知識と性技を駆使して、本格的に木束を責めにかかった。  小ぶりのお尻を高く突き出すような姿勢にさせると、コスモは鼻面を股間に埋めた。唇 を柔肉に押し当てながら舌を突き出して、秘裂を舐め上げれば、木束が丸みを帯びた尻を 震わせた。  皮膚がふやけるくらいにしっかり割れ目をほぐすと、ようやく中の媚肉が見えてきた。 元の体とは違い、使い込まれて赤々としていた肉ひだが色素を薄くさせて、愛液に濡れて いる。 「きれいです。委員長さんのここ」  指先で陰唇を弄くり、露を絡ませて膣口のふちをくすぐった。刺激に弱い粘膜を擦り立 てていくうち、木束が蕩けた目でよがり声を上げた。 「うぁ、あっ、ふぁああああ!」  未成熟な体には快感が強すぎるのか、何度も何度も気を飛ばすさまを見て、コスモもま た火がついた。触れてもいないのにお腹の下にある子宮もどきがうずいて仕方がない。  自分の股間も慰めながら、執拗に木束の性器を犯した。花弁から蜜液が溢れ出しては、 コスモの口の周りを汚していく。 「もっといっぱい感じてください……」  コスモはたっぷりと愛液を指に馴染ませて木束の花弁に挿入した。 「くぅ、うううっ、いたっ……ああっ、コスモ……そんなの入らねーよ! やあぁあっ」  確かにその狭い膣道は、か細いコスモの指でさえ太すぎるようだ。さらには指先が障害 物に阻まれて進まなくなった。  木束の処女膜が邪魔をしていたのだ。  初めてセックスをした時に貫いたはずのものが再生しているのは、年齢を巻き戻したせ いだろうか。そして、それはコスモにとって嬉しい誤算だった。もういちど愛しい人の純 潔を散らすことができると思うと、例えようのない愉悦に心が躍った。  木束は再び破瓜の痛みを味わうのが怖いのか、少し怯えていた。それがまたコスモの嗜 虐心を煽り、セックス以外では見せないもうひとつの顔を覗かせた。  木束を慈しみたいという気持ちよりも、無茶苦茶に壊したいという欲求が勝る時がある。 例えばトイレでの一件のように。  そんな一途な想いに囚われると、周りのことが見えなくなる自分をわかっていたが、今 はただ胸の奥から沸き起こる衝動に身を任せたくて仕方がなかった。 「委員長さん……少し我慢してくださいね。すぐ済みますから」  その台詞とは裏腹にゆっくりと指を挿入していった。木束の反応を楽しみたくて、わざ と時間をかけているのだ。それが木束にとって拷問に近いと知っていながら。 「ひぎっ! コ、コスモっ、痛てーよ! やめっ……あぐぅぅぅっ」  所々に空隙のある膜を切開するように指先を動かすと、激痛のあまり木束の脚が跳ねた。 あまりの暴れようにコスモは木束のお腹を撫でて、気を逸らさなければならなかった。 「ん、んんんっ、はあ……はあ……」  いつしか木束の抵抗も弱まり、半ば諦めるように四肢を投げ出していた。その姿を見て 調子に乗ったコスモは、指先でさらに処女膜の感触を愉しんだ。  初めての時は無我夢中で木束の顔をまともに見られなかったが、今は余裕をもって純潔 が散華する瞬間を目にすることができそうだった。 「もう一息ですから、深呼吸して力を抜いてくださいね」 「うん! うんっ!」  もはや木束は頷くことしかできず、最後の時を痛みに耐えながら待っていた。 「それじゃあ、吸って……」  言われたとおりに木束が大きく息を吸い、無防備になった瞬間を狙って、コスモは指の 根元まで一気に挿入した。 「ぁ――――っ! ――――っ!!」  肺に溜まった空気を絶叫に変えて、木束が宙に浮きそうなほど背中を反らした。逃げ場 のない痛みにベッドのシーツを強く握り締め、苦痛の波に耐えようとする。目尻には大粒 の涙が溜まり、顔を歪ませるだけでこぼれ落ちた。  そういった仕草のひとつひとつが、コスモにとって木束を征服した証となり、満足感を 覚えさせる。  ほどなくすると、木束の割れ目から血が滴り落ちてシーツに赤い染みを作った。  コスモは指を引き抜くと、破瓜の血がまとわりついているのを見て、おもむろに口に含 んだ。 「はぁ……委員長さんの味がします」  恍惚とした表情で鮮血を一滴残さず舐め取った。    思いもかけず2度目の処女喪失を堪能できて、ひとり悦に入っているコスモをよそに、 木束は意識を失っていた。  枕元を涙で濡らし、眉根を寄せて浅い呼吸を繰り返すその姿にまたも性欲をそそられて、 コスモは呟いた。 「委員長さん……起きないなら悪戯しちゃいますよ?」  そう木束を呼びかけるが目覚める気配はない。  たまらずコスモは木束の上にのしかかると、かすかに開いた唇に吸いついた。そのまま 酸素を求めて喘ぐ木束に熱い息を送り込み、唇の周りを舌で汚した。そして、しっとりと 汗に濡れた首筋に舌を這わせ、触れるだけで壊れてしまいそうな鎖骨を甘噛みする。 「は……あ、あぁぁ……ん……」  夢心地といった様子ながらも木束は感じているのか、コスモが与える刺激に反応して、 気持ちよさそうな声を漏らした。 「はぁああ……私も委員長さんのおっぱいが当たって感じちゃいそうです」  コスモが体重をかけると、お互いの乳房が弾けそうなほど強く押し潰された。硬く尖っ た先端が擦れるたびに快感を走らせ、胸全体が火傷しそうなほど熱く感じていた。  乳房同士を擦り合わせながら、コスモは木束の割れ目に手を伸ばした。そこはすっかり 出血が止まっていたが、愛液の量も少なくなっているようだ。 「また……濡らしてあげますね」  割れ目に沿って指を動かしているうちに湿り気のある音が立ってきた。コスモの指や手 の平が粘ついた液体まみれになって汚れていく。 「んはっ! はぁああっ……んぁっ……あっ……」  コスモの指先が割れ目の中に沈むと、強い刺激に目が覚めかけているのか、木束がひと きわ大きな声を上げた。 「早く起きないと、もっとえっちなことしちゃいますよ……」  木束の耳たぶを噛みながら囁いて、コスモは木束の中を掻き混ぜる。あいかわらずの狭 さだったが、指一本程度なら動かせるようになっていた。  あまり奥に入れすぎず、膣道の浅い部分で抽送を繰り返して木束の甘い声を引き出した。 「ふぁ……ああ……は、あっんっ……」  身悶えする木束を押さえつけて、コスモは空いた手で木束のクリトリスを弄りたてた。 陰唇に溢れた愛液を塗りたくり、淫靡に濡れた幼芯を優しく摘み上げれば、ついに木束が 目を覚ました。 「ひぁああああっ! あっ、あっ、は……コスモ? 何して……ひゃ、んあああぁっ!」  覚醒と同時に快感に襲われて、木束がわけもわからず声を荒げた。  股間の異物感に思わず腰を引いて逃げようとしていたが、コスモは許さない。しっかり と腰を抱き寄せ、胸を吸いたてると、快楽で骨抜きとなった木束がなすがままにされた。 「バカコスモぉ……人が気絶してる間に、ぁっ……んんっ……何やってんだよっ……!」 「あっ……ん……好きにしていいって言ったのは委員長さんですよ……?」 「だからって、こんなっ……あっ、やめ……そこはまだ痛い……くあぁっ」  快感と痛みがないまぜになって襲いかかり、木束は髪を振り乱して腰を浮かせた。状況 をきちんと理解する間もなく、脳が悦楽に侵される。 「委員長さぁん……私にもしてください。もう、がまんできなくて……はぁ、はぁ」  コスモは木束の手を取って自分の股間にあてがい、無理やり擦りつけた。柔らかい指先 が小さくはみ出したクリトリスに当たって、形のいいお尻が震えた。 「ひゃあぁっ、すごいです……これぇ! や、やぁっ、ひんっ!」  催促するように腰を振ると、ようやく木束もその気になったのか、コスモの膣内に指を 入れて秘肉を貪るように掻きまわした。そこは指が溶けそうなほど熱を帯びて、絡みつい た肉襞に爪の先からめくり返りそうなほどだった。 「何だよコレ……コスモ、お前どれだけイヤラシイんだよ……」 「はっ、ゃっ……はうぅっ……だって、私ずっと我慢してたんですよっ! だからぁっ」  今まで耐えてきた性感が一気に昂ぶって、コスモは絶頂を極めようとしていた。それに つられて木束も達しかけているのか、全身が甘い痺れに小さく痙攣していた。  そして、最後にふたりはお互いの体をかき抱き、頂点にまで高まった感情を解き放った。  「コスモぉ! あ……んっ、やああああぁっ!」 「委員長さんっ、委員長さんっ! 私もいっちゃいます! はっ……あぁあああんっ!」  甲高い悲鳴とともにコスモは股間から飛沫を散らし、糸が切れたように力を失くして、 木束の上に倒れこんだ。   「はあ……はあ……はあ……」 「っは……あぁ……ん……はぁっ……」  満ち足りた呼吸が混じり合って、どちらのものかわからないほどだ。  ふたりとも息が整うまで会話することすらままならないのか、しばらく抱き合ったまま 静かに時間が経つのを待った。  ふとコスモが視線を外すと、部屋に置いてある大きな姿見に自分と木束が映っているの が見えた。幼い裸身が絡み合い、あられもない声を上げてまぐわうさまは、淫らで背徳的 だった。  その鏡の中で木束が身をこわばらせると、不意にお漏らしを始めた。 「ふあぁ……はぁああ……」  下腹部に熱い感触を覚えて、コスモが体をずらしてみると、確かに木束の股間から尿水 が溢れていた。 「ふふ、朝のお返しです」  コスモは小さく笑みを浮かべると、躊躇いなく尿道に口をつけて、喉を鳴らして飲尿し 始めた。 「ん……おいし」 「ばかやろぉ……」  もはや抵抗する気も起きないのか、投げやりな態度で木束は悪態をついた。 「思ったんだけどよ。実はコスモってかなりの淫乱で変態で色情魔だろ?」 「な、何てこと言うんですか! 私、そんなえっちな子じゃありません!」  唾といっしょに口の中に残った尿を飛ばすコスモに木束はさらに言い返した。 「そうかー? 人のトイレ中に襲いかかってくるし、小学生のあたしを犯して満足するし、 けっこう節操ねーぞ。コスモの星の人間ってみんなこうなのか?」 「そんなわけないですよ! 私たちの星では手と手を握ったり、見つめ合いながら、長い 時間をかけて関係を深めていくのが主流なんです」  言い終えるとコスモがそっぽを向いたのを見て、木束は合点がいった。  コスモの星のような穏やかな愛情表現に比べれば、地球のそれは過激で刺激的だ。一度 その味を知ってしまえば、色欲に溺れてしまうのも無理はないかもしれない。 「わかったわかった。コスモの言うとおりなんだろうなきっと」 「……何だか納得できないですけど」  不満げそうなコスモの手を取って、木束はなだめるように抱き寄せた。その小さな体で はいつものように腕の中にコスモが収まることができないが、同じ目線で話せてよかった。 「それよりもまたエッチしようぜ。まだ時間的にも体力的にも余裕あるだろ?」 「は……はい。あの、その前にまたお願いしたいことがあるんですけど」  今日はいつになく積極的なコスモに木束は期待感で胸が躍った。自分のやりたいように やるのもいいが、他人まかせというのも予想のつかないことが起きて面白い。  何を言い出すか待って、木束はまっすぐ見つめると、コスモは赤面した。 「どうした。今度はでっかくなってするつもりか?」 「そうじゃなくて、私たちってもう……こ、こ、恋人同士なんですから、お互いに名前で 呼び合いたいなあって思ってるんです」 「何だそんなことか。別にあたしはかまわないぜ。むしろ、遅かったぐらいだしな」  いつか木束も言おうと思っていたことだけに断る理由もなかった。もはや家でも学校で も隠すような関係ではないのに、いつまでも他人行儀に呼ばれたくはない。  コスモからそういうことを言い出したことは木束にとって嬉しいことだった。 「そうですよね! えっと、じゃあさっそく! り、り、り、律子……さん」 「コスモ」  舌を噛みながらも確かに名前を呼んでくれたコスモに対して、この時ばかりは木束も真 剣に応えた。これでまた一歩、ふたりの仲が深まった気がする。  だが、そう思ったのは木束だけで肝心のコスモはまったく満足していないようだ。憮然 とした顔で、恨みがましく睨んできた。 「……律子さんの嘘つき。何で私の名前をちゃんと呼んでくれないんですか?」 「だって、コスモはコスモだろ?」  それ以外に何があるというのか。木束には思いつかなかった。 「違いますー! 忘れたんですか! 私の本当の名前は☆&”*=%!‘@ですよ!」 「発音できるわけねーだろ!」  確かにあだ名で呼ぶことが当たり前になっていて、本名を忘れてはいたが、覚えていた ところで口にできるものでもなかった。 「もういいです。罰として、律子さんには明日いちにちそのままでいてもらいますから」 「もらいますからじゃねー!」  近所迷惑もかえりみない木束の声が大音量で夜闇に冴え渡り、コスモはと言えば布団を かぶって、ふて寝を始めた。今夜はこれで終りらしい。  興を削がれたのか、一気に疲れた顔をして木束もまた眠りについた。  翌日、小学生サイズの木束が学校でひと騒動起こすのだが、それはまた別のお話。                                      (Fin)

                                 [前へ]/[目次へ]



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