守ってあげたい 24話 〜人に言えない夜の過ち〜千石side
毎日がつまらなくて堪らなかった。
何をしても、誰と居ても……。どんなにいい女を抱いても、美味いモノを食べてもあんなに大切だったテニスでさえ俺を熱くさせることが出来なくなっていた。
ただ、毎日海を漂う漂流者のように当てもなく適当に女の間を渡り歩くだけ……。
俺は、どうやら年下趣味の年上のお姉さまには堪らない存在らしくてその気になってにこっと微笑めば女は、簡単に手に入った。
愛した子に振られただけ……。
軽く言えばそれだけなのかもしれない。
だが、現実には彼女は転校してしまい。消えた命は戻ってこない。
笑顔の可愛い子だった。
丁度俺がジュニア選抜に選ばれた時期で、俺は何も知らずにその事実に浮かれていた。
そんな俺に、言いづらかったのだろう……。一人で悩んで一人で決断してそして、俺の前から永遠に姿を消してしまった。
居場所を知りたいと言う俺に周囲の大人は冷たかった。
お互いの為に忘れた方がいいと言われ、誰に聞いても彼女の消息は分からなかった。
学校始まって以来の不祥事、これを先生や大人たちが表に出すことは無かった。
でも確実に周囲の俺を見る目が変わって、それでも俺は普通の顔をし続けた。
いつもどおりの明るい態度を取り続けテニスに打ち込んだ。俺自身も彼女を忘れる為に、必死だった。
だが、あるときこんな声を耳にした。
『千石君って冷たいよね。あの子があんな事になって、転校して行ったのに。笑っているなんて許せない』
そんな言葉や、噂を幾つも聞いて心が冷えた。
心から笑っているわけでは無かった。出来るなら泣き叫んでしまいたい思いを心にずっと抱いていたけど、つらいのは彼女の方だからその気持ちをずっと押し殺していた。
誰も、俺の事を分かってくれない。そう思った時に、俺はいつしかすべてを見下していた。
―――モウダレモシンジラレナイ。
俺が、笑って話しかければ明るく話をしてくれる子まで俺の陰口を言っていた。
だから、人の外見だけうわっつらだけを見て近づいてくる女を嫌悪していた。
その女達を笑顔で、騙して適当に遊んで捨てる。これを繰り返していた。
その日も、2、3度遊んだことのある女とたまに行くショットBARで飲んでいた。
連れの女がレストルームに行ったはいいが、かなり長い間帰ってこなかったので目が合った女の子と少し話していると。
戻ってきた女がそれを見て、いきなりキレだした。
もとよりどうでもいい女だったので、適当に対応していると見事にキレて音ばっかり大きい平手打ちをして出て行った。
流石に大きなため息が出てしまう。
周りを見ると、見事に視線が集まっていて気まずい事この上ない。特に女の目線はちょっと厳しい。
ふと、カウンター席を見ると今時珍しい長いストレートの黒髪の女と目が合った。
小柄だけど、上等な部類に入る女に見えて俺の事を嫌悪するでもなく、興味無さそうに見詰めていた。
俺は次のターゲットをこの女に決めて、楽しくも無いのに微笑みを浮かべて近づいていった。
自己紹介をすると25歳のOLだという、はかなり性格的にもさっぱりしていてかなり好みだった。
だからだろうか、の失恋話につられて自分の中でまだ癒えていない生々しい恋の話をしてしまった。
そんな話をしてもきっと女の子が可哀想とか、そういう言葉が帰ってくると思っていた。だけど、予想とは違って。
「そうか……。置いて行かれたのね可哀想ね」
出てきたのはそんな言葉だった。
嬉しかった。俺の何を知っているわけでもないのに、俺の気持ちを分かってくれたそう思った。
久しぶりに、心許せる人間に出合ったそう思ってとても嬉しくて堪らなかった。
「ねぇ、のこと信じてもいい?」
「信じる?出合ったばかりの私の事を?」
「うん」
「人を信じる事って、どれだけ自分が相手のことを疑わないでいられるかよ。
だから、出会って間もない私を信じられるかどうかはキヨ次第よ」
かりそめの関係である俺にでも、適当な言葉を返すでもない真摯な言葉をくれる。
「人を信じる事って、自分を信じる事と同じって訳?」
「そうかもしれないわね。どうしたの急に、キヨは私の事信じたくなったの?」
「そうかもね」
光栄だわそう言って微笑うの表情が綺麗で、瞬間瞳を奪われる。
話すたびに惹かれて行った。
一目惚れ、ううんそうじゃない。話していくうちにどんどん惹かれて行って、どうしてもこの目の前の女を放したくない。
縁を切れなくしたい。俺という人間をその心と体に刻んで忘れられなくしてやりたい、そう思った。
ザルと言われるほど、酒に強い俺はにさりげなく強い酒を勧めて煽るように俺自身も酒を飲み、梯子酒をした最後のBARでがトイレへと席を外した隙に、コンタクト用にいつも持ち歩いている目薬を数滴たらしてみた。
どんなに酒に強い人でも目薬入りの酒を飲むと覿面に酒が回るらしい。
何も知らないは帰ってきて、そのグラスを飲み干すとますます酔いが深くなってしまったようだった。
そして、俺自身もこんな手を平気で使えるほどには酔ってしまっている様だった。
後から激しくこの事を後悔するのだけどそんな事そのときの俺は知っちゃいなかった。
「、大丈夫?良かったら休んでく?」
「え?うん。休むというか、休みたい」
ふらふら歩く体を肩をささえ歩かしていた。わざとだけど、そういう一角に入ってに聞いてみることにする。
「ねぇ。ここ、入ってもいい?」
「んー。いいよぉ」
は、舌ったらずの声で許しをくれた。
酔いで桜色に上気した頬も、潤んだその瞳も最中を思わせてとても色っぽい。
ごくん、思わず喉が鳴る。
許しを得て、今度は完全に肩を抱いてラブホテルの一室に入って行った。
一般的な、ラブホテルの部屋で大きなダブルベットが一つとテレビとソファと浴室があるだけのやるためだけの部屋。
は入った途端に。
「お風呂入る」
そう言うと浴室に消えて行った。今の状態で、風呂に入るとなると酔いが進んでとんでもないことが想像出来る。
だが、流石に初対面でだまし討ちのように連れてきてしまって、それなのにいきなりお風呂に入っていくわけにもいけなくて20分ほど外でウロウロしながら待ってしまった。
意を決して、外から。
「。大丈夫?」
と呼びかけても返事が無い。仕方なく扉を開けて、中を見てみると。
はお風呂場の中で寝てしまっているようだった。男の悲しい性なのか、バッチリその体を観察しつつ。やさしく揺り起こそうとすると。
いきなりバッっと飛び掛ってきた。
「ふふっ、ひっかかったわね」
そう言って、いきなりタイルに押し倒された。
圧し掛かってくる水に濡れたその髪も桜色に上気した頬を流れ落ちる雫も、悩殺的に色っぽい。
「俺が来るまで、ずっと待ってた訳?」
「んー。ホントはちょっと寝ちゃってたけど。外から呼ばれて起きてイタズラしちゃった。あー水浸しになっちゃったね」
「別にいいや。それより、もっと違う所にイタズラしてくれないの?」
目線を下に向けて言うと。ベロリと舌なめずりしては「いいよ」というと、濡れてぬぎにくくなった俺のズボンと下着を脱がしてくれた。
若さゆえか、もう俺のそこはエレクトしていた。
「わー元気」
天辺にちゅっと口付けて、ゆっくり先端部分を飲み込んできゅっと舌で締め付けるように吸い上げられてあまりの良さに。
「くっ」
とかみ殺しきれない声が零れる。俺を含んで、奉仕するしての綺麗な顔が苦しげに歪んでそれにも煽られて仕方ない。
にも愛撫を施したくて、肩をたたいて促して俗に言うシックスナインの体制になった。
全然使い込まれていない綺麗な、ピンク色の花弁が見て取れてでも俺への奉仕をしているうちに感じてきてしまったのか少しもうすでに潤んでいた。
躊躇いも無くそこをベロリと舐めあげると、ピンクとの体が震えて俺への奉仕も止まった。
2、3度舐め上げるとはっきりと、花芯が尖ってきてそこを重点的に舐めて目の前にある秘烈を指でなぞると。
「っ…あぁっ」
とはっきりとした嬌声を聞いた。その声を聞いて、俺はますます煽られて舌での愛撫を強くしていくとの俺への奉仕は完全に止まってしまった。
「あれ、止めちゃったの?駄目だよ続けてくれなきゃ」
「ゃ…だって……」
「しょうがないな、ならからキスしてくれたら許してあげる」
タイルの床に仰臥していたのを体を起こして壁に凭れてそう言うと、のこのろと体を起こして膝立ちになって俺自身を含んだ大胆さは何処へ行ったのかと思うほど。恥ずかしげに、口づけてきた。
やはりというか、奉仕でも思ったのだけど。はキスもかなり上手くて、油断すると主導権握られそうになってしまう。
それを阻止するべく、まだ愛撫を施していなかった、淡いピンク色の胸の飾りをクリクリと弄ると唇の動きが鈍くなった。
可愛くて堪らない。色事に長けた大人の女を、自らが自由にしている。
ちょと前まで一緒にいた女と同じ年上の女。でも、自らが望んで欲しいと思うだけでこんなにも感じ方が違う。
左手で、完全に主張して来た胸の飾りを弄り右手をさっきまで俺が舐めていた、花芯をなぞるとはキスを中断して俺の耳元で。
「ぁ・・・」
と切ない熱いため息を吐いた。花芯から秘烈をなぞると、口付けと胸への愛撫で感じていたのかもうヌルヌルだった。
「スゴイ、感じてるみたいだね。中にも欲しいんじゃない?」
そう言って入り口を指の腹でなぞる様に、愛撫を施すとしがみついて来た。
でも、は俺の耳元でこんな事を言った。
「…逆でしょ?キヨが私をほしい…んでしょ?」
そう言って、苦しいほどに猛っている俺自身を手で刷り上げてくる。
「ふっ」
不意打ちをくって、思わず声が出そうになた。
確かにの言うとおりで、思わず笑いが出た。俺がを欲しくて堪らなくてここに連れてきたのだ。
クルクルと入り口をなぞっていた中指を1本ゆっくりと突き入れると、信じられないほど強くぎゅっと締め付けてくる。
「。もしかして、かなり久しぶり?」
「あっ…うん…そう…かな?」
動かすのもキツイ締め付けの中、問いかけると要領の得ない答えが帰って来た。これだけ硬くなってるなら、久しぶりだろうと勝手に結論づけて。
ならたっぷり慣らしてあげなきゃねとそう思っていた。
どうでもいい女なら愛撫もおざなりだけれど、はゆっくり時間をかけて愛してやりたいとそう思ったので。
「ね、ここもいいけどベット行こう」
そう言うと、承諾の声も聞かないうちに俗に言うお姫様だっこというヤツでベットまで運んでいた。
俺もも水浸しだったけどそんなのは気にもならなかった。
トンとベットに降ろすと、しょうがないわねと笑ってはまた口付けてくれた。
口付けながら、俺は下肢への愛撫を再開してきつかった中に指が2本程はいるようになるまでにすることは出来た。
もっと愛撫をほどこしてやりたいそう思うけど、今度は俺の方が限界だった。
キツイほどの中を味わうことを想像すると、何もしていないのに俺自身からも蜜がしたたる思いだった。
すでに探し当てていた、肉壁のいい所を巧みに刺激しながら。
「ね。、もいい?」
そう聞くと、自身もイキそうなのかガクンガクンを首を振るだけだった。
ごめんね。イカせてあげたいけどもう限界。そう思って、枕元にあるスキンを俺自身にかぶせてそこに宛がいゆっくりと突き入れ始めた。
キツイ肉壁を貫こうとする感覚に、ふっと違和感を感じてを見ると苦痛の表情を浮かべ、ぎゅっとシーツを握り締めていた。
「ッ…あっ…イタッ…」
もしかして、と思う。
痛いほどの締め付けに、ひさしぶりとかいうレベルじゃない抵抗感を感じる。だが、ここで後退できるような事態でももうなくて。
には悪いと思うけど、長引かせるよりかはと思ってぐっっと力を込めて奥まで突き入れると。
「あぁっ…ヤいたぁいっ」
とはっきりとした苦痛の悲鳴を上げた。
結合部に目をやると、紅い破瓜の血が見て取れてやはりと思ってしまう。
「はじめて、だったの?」
そう問いかけると幼いしぐさで、コクンと頷くのをみて後悔の嵐が吹き荒れた。
キスも俺に対する奉仕すら、すべてに慣れて見えたので全然気付いてあげられなかった。
好きになってしまって強引にここに連れてきて、強引に奪ってしまった。初めてだと知っていたらこんな風には抱かなかった。
「…やだ、後悔してるの?」
「え?」
「それ、どっちにしてももう遅いってだってもう繋がってるしねぇ…」
クスクスと微笑んでそう言われて、俺の落ち込んだ気分をさっして言ってくれているのが分かった。
だって、眉間が痛みに顰められたままだったからね。
「そりゃそうだ。だったら、俺が感じる体にしてやるよ」
そう嘯いて、ゆっくり腰を使い始めた。
シーツを握り締めていた手をはずして俺の背に回させる。
ぎゅっとしがみついてくるその手の強さも、痛みを堪える為に顰められた眉もそのすべてが愛しく感じられて仕方が無い。
暖かく包まれた肉壁が、その痛みを耐えようとして力を込めるしぐさで余計に閉まり俺にこのうえない快楽を与えてくれる。
このまま、おもうさま突き上げたいその衝動を何とかこらえてゆっくりと、腰を使う。
白い喉がそりあがりそのラインがあまりに綺麗で、キツイ体制なのに無理をしてその喉元に口づけきつく吸い上げた。
その刺激にもは反応して、さらに締め上げられてしまい。
「ぅっ…」
と思わず小さなうめき声を上げてしまった。
「キヨ。可愛い」
自分もかなりの痛みを感じているはずなのに、はそんな事を言う。
愛しくてたまらない。
だから、俺はどうしてもを感じさせたくて、さっき指での愛撫で見つけていたのいい場所を目掛けて腰をやさしく腰を使い続けた。
何度目かの律動で、ソコにヒットするとあからさまに中の反応が変わってきた。
痛みで閉まるというよりは肉壁が絡みついてくるような反応になってきて、が感じてきたのが良く分かった。
「やっ…ソコ…やっ……んっ…オカシクなるっ…」
いい所ばかり突くと、だんだんの声が切羽詰ってきてそれに連れて俺自身も締めつけられてしまいイッテしまいそうになるのを耐えながら腰を使い続けると。
だんだん、の中がヒクヒクしてきて。
「あっああっ…あ…あ」
ぎゅーっと締め付けられ丁度がイクのと同じくらいに俺もイッテしまった。
ふと、見るとはイッタのと同じく気を失ってしまったようで。1度きりの開放ではおさまりきらない熱を抱えてしまった俺は呆然としてしまった。
仕方なく一人で処理した後に、が眠る横に一緒に眠りについた。
翌朝目覚めた時に、見事に隣はもぬけの殻だったけど。
それもある程度予想済みだったので、寝ている隙にの携帯電話を盗み見て電話番号とアドレスはゲットしていた。
ついでに、俺の携帯の電話番号をの携帯電話に登録してみた。
当初の、俺という人間をその心と体に刻むという目的は間違いなく達成されていると思えた。
だってよく言うじゃん、誰でも初めての人は忘れないって。
「俺って、やっぱりラッキー千石だね」
そんな独り言が一人漏れた。
絶対を捕まえて俺のモノにしてみせる、そう俺は一人心に誓っていた。
のアドレスが入った携帯電話を片手に、俺は上機嫌だった。
2005.11.29UP