翌日は朝から多忙を極めた。

都市部の近代美術館に宇宙海賊が現れたというのでリョウマ達は厩舎での

馬の手入れもそこそこに駆けつけていった。

辺りは海賊の一人、砂爆盗がところかまわず発射する砂煙が充満し、

入場客達が悲鳴をあげて逃げ惑っていた。

赤いどてかぼちゃのような盗人はズタ袋を振り回し、美術館前のブロンズの

太陽をかたどったモニュメントをぶっ壊そうとしたが、それはどこからともなく飛んできた

投げナイフに遮られた。

砂爆盗は、驚いて手に突き刺さった小型ナイフを引き抜き、やったのはどこのどいつだと辺りを見回した。

それは黒騎士で、彼は黒ビロードのマントを翻し、ブロンズ像とその前の噴水を

はさんで立ちはだかるように降り立った。

「銀河の光は私が貰う」

「あいにくてめえと遊んでる暇はないんだがな」

大柄な盗人はどてっ腹をどんと叩くと手下の水兵を向かわせた。

黒騎士は一刀両断の元、水兵の一人を難なく叩き切った。

そんな時、黒騎士に遅れを取ること数分、ようやく武装した銀河の守護戦士達が駆けつけてきた。

今、彼は周囲を蟻のはいでる隙間もないほど水兵と砂爆盗に囲まれていた。

「もうおっぱじめてるぜ!」

「どうする?」

ヒカル、リョウマ達が木立の立ち並ぶ離れた場所で囁きあっている間に、黒騎士は

並み居る水兵たちと既に睨み合っていた。

次の瞬間、黒騎士の長剣、ブルライアットがばさりばさりと奮われ、水兵の肩や胸を切り裂いていた。

いつの間にか、いくつもの植え込みを飛び越え、もやってきてこの戦闘に参加していた。

!今日は随分早いな・・」

レイピアーのように細い氷柱の剣を斜めに構え、くるりくるりと身をかわしながら

水兵の肩や喉を一突きにする彼女を見とめてハヤテはつぶやいた。

「何ボーッと見てるんだ?敵は海賊だ。俺たちも黒騎士に加勢するに決まってるだろ!」

リョウマの即決でワーッと皆は星獣剣を構えて、油断していた砂爆盗に襲いかかった。

「銀河の守護戦士、余計な手出しはするな!」

一人の水兵を羽交い絞めにしながら黒騎士はいらだって叫んだ。


「もう見てられん。こいつらを頼む!」

黒騎士は羽交い絞めにしていた水兵を乱暴に突き放すと彼女に命じた。

は氷柱の長剣を振り上げると、流されてきた水兵をばっさりと切り裂き、

ささっと駆け出した黒騎士を追おうとした水兵達の前に立ちはだかった。

砂爆盗はなかなか手ごわい相手だ。

獣撃棒からの七色の弾丸を全て巨大な首切り刀で打ち返し、リョウマ達を苦しめていた。

黒騎士の決断は正しかった。

女の精霊一人でも残された水兵ではとても歯が立たない。

あっという間に、細い氷柱の長剣の餌食になり、ばたばたと倒れていった。


砂爆盗は砂の爆風に苦しむリョウマ達に捨て台詞をはき、意気揚々と銀河の光が

隠されているモニュメントに近づいた。

黒騎士は素早くモニュメントの前に降り立つと、力のみなぎる指でブルライアットの引き金を引いた。

バンバンと弾け飛ぶ閃光。

砂爆盗は俊敏な身のこなしで、地面を転がってよけたが、黒騎士はひるまずに二度引き金を引いた。

その威力があまりにすごい為、背後の駐車場に避難していた一般人まで巻き込まれる始末である。

「黒騎士、よせ、あの人達を巻き込むな!」

「黙れ、退け!」

リョウマが慌てて止めに入ったが、黒騎士は彼を強く突き飛ばすと、三度引き金を引いた。

激しい爆発が起き、駐車場の屋根ががらがらと崩れて降ってきた。

砂爆盗はもうもうとわきあがる硝煙の中、こそこそと逃げの姿勢を図ったが、

黒騎士にあっさりと追いつかれた上、背後からは氷柱の長剣を斜めに構えた氷の精がせまった。

砂爆盗はちらちらと前後を振り返って焦った。

「黒騎士、やめろ!」

だが、三者のすぐ後ろを逃げ惑う一般人に気づいたハヤテとゴウキが二人がかりで

黒騎士をおさえにかかり、砂爆盗は唖然としていたに「隙あり!」とずた袋をどんと叩いて、砂の爆風を大量に吹きかけて

軽く吹っ飛ばした。

それからブロンズの太陽を砂の爆風で粉々に砕いた。



黒騎士は一握りの砂を足下に投げつけて、姿を消した砂爆盗のいた場所に

駆け寄ったが、すでに敵は砂の忍術で姿をくらましたあとだった。

!大丈夫か?」

すぐさま、ハヤテが駆け寄り、派手に吹っ飛ばされて後ろの植え込みの中に落っこちた彼女を助け起こした。

「ごめんなさい、油断した・・」

酷く痛そうに起き上がる氷の精の声に、黒騎士は一瞬、後ろめたそうに振り返ったが、「黒騎士!正気か?」

のリョウマの怒声に、すぐにいつもの冷たい仮面のような顔を取り戻した。


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