「黒騎士、やってることが無茶苦茶過ぎるぞ!」
「お前、海賊さえ倒せばあとはどうでもいいっていうのかよ!?」
をハヤテが助け起こした後、リョウマやヒカルは一般人を巻き添えにしてまで砂爆盗を倒したかった
彼に不平不満をぶっつけていた。
「彼をあまり責めないで・・彼は・・彼なりの戦い方があると思うから」
「・・お前、何言ってるんだ?」
ハヤテは彼女の意外な言葉に耳を疑った。
「ハヤテ、お願いだから彼のことはほっといてあげて。そっとしといてあげて・・」
は心から切なそうに言った。
「あの人は悪い人じゃない。そう、憎しみで我を忘れているだけだから・・」
「お前、いったい黒騎士と何を話したんだ?」
「リョウマに聞いてみれば?」
はがっしりと両肩をつかんで、語りかけるハヤテから逃れると、
黒騎士と何やら話しこんでいるリョウマの側をすり抜けて立ち去ってしまった。
「の奴、何だか様子が変だ」
どこかへ風のように消えてしまった彼女を見送って、仲間の下にやってきたハヤテはつぶやいた。
「黒騎士のことをやけに庇うんだ」
「そんな・・あれだけ何の関係もない人達を巻き込んで無茶苦茶やった奴のことをか?」
ヒカルは納得いかずに唸った。
「彼女は・・何か俺達に隠してるような気がする」
リョウマもいつもらしくない真面目な顔で言った。
「えっ?何かって・・いったい何をあの娘が隠してるっていうの?」
サヤも首をひねるばかりだった。
「。今日はいつもの君らしくないね。何か私にでも話せないことがあるのかな?」
「見抜かれちゃったか・・あの五人はごまかせても精霊や樹霊同士はごまかせないか・・」
知恵の木が植わっている秘密の地下室で、は木の実の精らと向かい合っていた。
「でも、今は話せない。どんなことがあっても・・」
彼女は頑なに口を閉ざした。
「君は困った子だね。一人で問題を抱え込む癖がある。どうしたらよいものか・・」
「僕にも話せないの?」
氷の精に懐いているちっちゃな木の実の精もやってきて、肩に止まったが、
彼女は表情一つ変えなかった。
「う〜ん・・じゃ、ボックは大好きな食べ物で誘惑されてもハヤテやリョウマに話さない自信ある?」
「ない・・」
氷の精はちょっとだけ表情を緩めて、この可愛い木の実の精に質問してみた。
だが、木の実の精は口が軽く、誰にでも喋ってしまう癖があったので返答に困ってしまう有様である。
「じゃ、だめ」
「とにかく今は待って・・」
木の実の精と樹霊に背を向けるとはさっさと背を向けて出て行った。
数時間後。見晴らしのいい公園ではもう一つ、太陽をかたどったモニュメントがあるというモークの情報網を
たよりにやってきたリョウマ達が砂爆盗と水兵達と格闘していた。