案の定、寄り道して帰ってきてみると猫丸のカウンターで一人接客していた

鶴姫に思いっきり怒鳴られた。

「いったいどこ行ってたのよ!仕事サボって!」

開口一番、カウンターをバシッと叩いた鶴姫の雷が落ちた。

「だからいわんこっちゃない・・」

サイゾウを小さく肘でつつきながらはまずそうに呟いた。

「おまけに買い物頼んだまで、遊びに誘うなんてどういうつもりよ!!」

彼女は腰に手を当てて、サイゾウを睨みつけるとまた怒鳴った。

「そんな怒んない、怒んない、あれ、皆は?」

「そ〜んなのとっくにいないわよ。皆勝手に遊びに行っちゃって!」

サイゾウは上手く鶴姫の怒りの矛先を交わそうとしたが、ふと

ポケットをまさぐってみて水色の財布がなくなっていることに気づいた。

「あれ、あれ、財布が、俺の財布がないっ!」

彼はパタパタと上着やジーンズのポケットを振って中身を探した。

「え〜っ!さっき買い物してた時はちゃんとあったじゃない!いったいどこで落としたの!?」

は急いで買ってきた買い物袋を鶴姫に預けると、中腰になって、猫丸の大きなタイヤあたりを手探りで

弄りながら言った。


さて、男四人、女二人の妖怪退治の旅は楽しいこともあるだろうが、決して楽なものではなかった。

猫丸での慣れない移動にテントを張っての野宿。

毎日、毎日、鶴姫と同じ女性用テントで寝袋から起き出すのである。

今日も、フライパンをお玉でガンガン目覚まし代わりに叩くのはセイカイだ。

「朝だぞ、早く起きねえと朝飯全部食っちまうぞ〜!」

鶴姫は眠い目をこすりながらしぶしぶ赤い寝袋から起き上がった。

隣の草色の寝袋にくるまっているはまだ夢の中だ。

鶴姫は昨晩はとてもいい夢を見たのか、くすっと笑うと何気なく首元に手をやった。

そこには今の自分達には決して手が届かないもの――高価なピンクダイヤの首飾りが燦然と輝いていた。

鶴姫は唖然とし、反射的に隣で寝息を立てるを見やった。

が朝が苦手でよかったわ――)

鶴姫はピンクダイヤの首飾りをブラウスの襞の間をぬぐって、目立たないよう押し込んで隠すと

ほっとため息をついた。

もし、に見られたらびっくりしてどうしたのか聞きまくるのに違いない。


「おはよう〜」

男性用テントからサイゾウが大あくびしながら出てきた。

まだ半分寝ぼけ眼のサスケも、なにやらぶつぶつ言いながら起きてきた。

セイカイは真っ白なプラスチックテーブルに手際よく皿を並べ、友人達に座るよう促した。

すでにテーブルの中央には食パンや、カリカリのベーコン、目玉焼き、リンゴ、コショウ、塩、マーガリンなどの調味料が

並んでいた。



「Good Morning 、猫丸」

ジライヤは猫丸の方へしゃんとして歩いていくと、女性用テントから一番最後に起き出してきた

さっそうと挨拶した。

「Morning〜ジライヤ〜」

はあくびをかみ殺し、「朝から何でそんな爽やかな笑顔が出来るんだ」と半ば羨ましく

思いながらイギリス英語で挨拶を返した。

実は、は寝ぼけていても律儀に英語で会話できるほどのバイリンガルなのだ。

よって、仲間内では、ほとんど日本語が喋れないアメリカ人のジライヤに

日本語を教えていたのである。

日中、彼との会話はほとんど英語であり、こうなると他の仲間は全く二人のコミュニケーションについていけなくなった。

しょっちゅうイギリス英語やアメリカ英語でくっちゃべっている為、夜中には時として日本語と英語の混じった寝言が飛び出す始末だった。












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