「ええい、お前らが団体で来るならこっちもだ!」
窮地に立たされたヌッペフホフは、印籠で変化した六人の忍に対して手下を繰り出してきた。
「やってしまえ!」
そのだみ声に、サスケを筆頭に皆、次々と抜刀して走っていった。
サスケは十八番の分け身の術で敵を翻弄し、鶴姫は高い崖からジャンプして切りつけ、
ジライヤはよく訓練されたボクシング選手のように、軽快なステップを踏み、
怒ったドロドロ達をぼこぼこに打ち負かしてやった。
セイカイが巨大あやかしの術で楽しんでいる横を、、サイゾウの二人組が
敵目掛けて突っ込んでいった。
サイゾウは豪快な飛び斬りで力強い二太刀をヌッペフホフに浴びせたが、
三太刀目を刀先をつかまれて殴り飛ばされてしまう。
すかさず、が忍刀を振り上げてヌッペフホフに切りかかるが、
やはり物凄い力で叩かれた上、こけてしまう。
はよろよろとつんのめり、切り立つ崖の上に飛ばされたサイゾウが
間一髪で、背後から彼女に襲いかかろうとした敵をレーザーガンで狙い撃ちにした。
だが、ヌッペフホフの表皮は思ったより固く、なかなか忍刀、手裏剣、レーザーガンが貫通しない。
は、自分を助けようとしたサイゾウをゲップ爆弾で吹き飛ばした敵目掛けて、
切り札の忍術「隠流、雹嵐!」をお見舞いした。
背後がお留守になっていたヌッペフホフは突如、足元で巻き起こった雪の嵐に捕らえられ、
慌てふためいたが、時すでに遅し。
彼はそのまま逃げる間もなく、体勢を立て直したサイゾウのブルーショット(加圧式水流銃)、必殺剣「正方の陣」を
食らい、わあわあ喚きながら溶け落ちて爆発してしまった。
彼らをさんざんてこずらせた顔泥棒も、に弱点を見破られたのが運のつきだった。
猫丸のバスミラーに久しぶりに映った精悍な顔を見て、はしゃぐサイゾウ。
どうやら盗まれた他の人々の顔も自動的に持ち主の下へ帰っていったらしい。
「俺のモテモテの顔が・・」云々強調するところをは軽く聞き流し、苦笑いしていた。
彼のナルシストぶりはあいかわらず変わってないらしい。
そして、海辺で跳ね回る六人の忍達。戦いの後の海水はことのほか気持ちよかった。
はサイゾウに派手に水をぶっかけられ、げらげらと笑っていた。
数日後、燃えるような緑の山々に囲まれた田舎道を走る猫丸の姿があった。
戦いの疲れが抜けないのかは、鶴姫の肩にもたれてうとうとしていた。
その時、どんっと何かがバスのフロントガラスに直撃した。
皆その衝撃音に慌ててバスから飛び降りた。
茶色の紙袋がするするとフロントガラスから滑り落ち、サスケが落ちてきた紙袋を拾うと中から
小さくみゃあと泣いて子猫が顔を出した。
「やだ、こんなことするなんて可愛そう〜痛かったでしょ?どこも怪我しなかった?」
サスケはこの可愛らしいアメリカンショートヘアーの子猫ににんまりとし、
鶴姫は子猫を彼の手から抱き上げ、ジライヤは「How Cute!」と頬を緩め、
たちまち人気者になった子猫は次から次へと彼らの腕に抱かれた。
「よし、そうと決まれば早くキノコ食いに行こうよ」
「松茸一杯取れるんでしょ?」
子猫を一緒に連れて行くことをジライヤの一声で決めたサイゾウとは
サスケに子供のようにねだった。
特には松茸に目がない。
ましてや、このメンバーと妖怪退治の旅に出かけてからは一度もそんな高級食材を
口にしていないのだ。
そんな彼女はサスケの「松茸、ただで食えるとこがあるんだ」の誘いに真っ先に乗ったのだった。
バスを降り、急な石段を登り、山寺へと向かった六人。
そこでは寺で修行する小僧っ子が出迎えてくれた。
何でもその小僧っ子は、サスケのいとこで名をコスケというらしい。
「いや〜ん、可愛い!食べちゃいたいくらい!」
いつになく上機嫌な鶴姫の爆弾発言に、ちょっと顔が引きつっていたサスケとであった。