まっかなりんごについて


「それでだな、悟空さはりんごをくれただよ」
 まるで少女のように、チチは頬を染めながらうっとりと話す。何度目になるか分からない、悟空との『デート』の話だ。
「りんごですか。ぼくも、ピッコロさんからもらったんですよ。…ピッコロさん、ものを食べないから、すっぱかったけど」
「あんれまあ、ピッコロさがだか?」
「ふふ、だいぶ前のことだけど、ピッコロさん、りんごをくれてやったことなどない!って、まだ否定してるの」
「ピッコロさらしいだなぁ」
 お茶のおかわりを注ぎながら、今度はチチが悟飯の話の聞き手になる。桃饅頭を頬張りながら、にこにこと嬉しそうにピッコロとの思い出を話す悟飯に、何度目かも知れない溜息を心の中で吐きながら。



(悟飯ちゃん、まるでおらと同じで恋してるみたいだべ)
 悟天が昼寝をしている間の、秘密のティータイム。





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