口でのキスが,最後の一線だった。
今思えばきっと怖かったんだろうと思う。
その線を越えてしまったら憎しみも悲しみも忘れて,
自分が何も持たない自分になってしまうような気がしていたんだ。
それを許してしまえば
もう元の自分には戻れないと思っていたから。
そしてそれは最後の僕のプライドでもあったから・・・
プライド
でも突然僕の前に現れた男,キアは
そんな僕の頑なだった心にいとも簡単に滑り込んできて
身体だけじゃない。
心も奪ってしまった。
そんな男,初めてだった。
娼館客にどれだけ身体を売ろうとも心なんて一度も売ったことはなかった。
客には僕の身体で快感を与えてやるだけ
それ以上のことなんて何もなくて…
それなのに
キアは本当にあっという間に・・・
きっとキアは男娼じゃない僕を見てくれた。
僕のことなんて何も知らないのに
強い視線で僕だけを呼んでたくましい身体で僕を抱いてくれて
少し荒々しいくらいの優しさを僕に感じさせてくれたキア。
何より男娼じゃない僕を普通に見てくれて
僕の知らなかった世界を見せてくれて・・・
そんなこんなの内にあいまいになってきた一線。
男らしいキアの中にいっぱいの優しさを感じて
いつの間にか僕がずっと拒み続けていた心の介入をも許していてしまっていた。
そして気付いたら心の中への侵入を
求めていた自分がいたんだ。
本当はこんな風にずっと誰かの助けをまっていたのかもしれない。
ずっと誰かに甘えたかったのかもしれない。
「キア」
「なぁんだよ,そんな甘えた声だして」
ニヤっと笑ってキアが僕の顔を覗いてくる。
まったくわかってるのに。
少しだけ頬をふくらませるとかなわねーな,なんてキアが笑う。
そんな今が好き。
プライドも簡単に捨てられるほどに好きな人が出来た今が好き。
気兼ねなく甘えられる人がいる今が好き。
僕にそんなたくさんのことをさせてくれて与えてくれる
――――――――キアが好き。
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やってしまった…毎度のことですが恥ずかしくて読み返せないです…。
これに関してもういうことなどないですね…。
もっと良い作品が書きたい…
そう,せめて作品と呼ぶことが出来るようなものが書きたいです…。
今更ですが題と文章アッテナイ…orz