久々に会ったと思ったら何がしたいって
普通もっと可愛いこと言わねーか?
それが何でそんなことなんだよ。
いや、何でもいいなんて甘やかした俺が悪いのかもしれねーけど
俺の気持ちも察しろよ……。
いや、なんとなくわかってたけどよ
そんな、これでもかって嬉しそうな顔しやがって言うんだもんな。

「サッカー!」

だってさ。














たまにはこんなぽかぽかデート












「健全に公園でデートか……いい大人が2人で何やってんだか」
「いいじゃねーか別に!サッカー楽しいじゃん!」

こいつはどうしてこうも……小さく漏らすため息に混じり
イェンスが楽しそうにボールと戯れる姿を見ると、やっぱり笑みがこぼれた。
結局のところ、これがこいつの可愛いところでもあるんだよなぁ。

「ほら!見てるばっかりじゃなくて一緒にやろうぜ!」
ぼーっとその姿を眺めていると走ってきたイェンスに手をとられた。
身体動かさなきゃ身体がじいさんになっちまうぜ、などと
ふざけ半分の声がふってくる。

「くくっ、俺がそんなものに……なるわけないだろ」
その手を強く握り返し、そして自分の方へ強くひっぱった。
もちろんそんなこと予想の範疇になかったらしいイェンスは
よろめいてふわりと俺の胸の中に落ちてくる。

「な……騙したな!」
案の定、頬を染めてわめきだしたイェンスを
ぎゅっと抱きしめ動けないようにしてしまう。
「騙したなんて人聞きの悪いこと言うなよ、俺は何も言ってないぜ」
「……っ!」
何も言い返すことが出来ず、顔をあげて俺を睨むイェンス。
「いいだろ、たまにはこういうのも」
ふっと努めて優しく微笑むと、まるで今泣いていたこどもが笑うように
その目を泳がせて恥ずかしそうに身をよじる。
「べ、別に悪くないけど……さ」
膝をかかえて小さく身をまるめるイェンス。
そしてその頭を俺の胸にあずけるように、それとなく力を抜いて……

「キア……」
ぴんと跳ねた髪を撫でてやると気持ち良さそうな声で俺の名前を呼ぶ。
時折頬を掠める優しい風が、なんだかとても心地良い。

「気持ちいい風だな」
「あぁ、そうだな」

しばらく2人でそうしてぼーっとして芝生に座り込んでいた

んだけど……

「……あ?」
だんだんと胸板に重みが増してきたと思って
そっとその顔を覗きこむと普段の疲れがでてしまったのか
小さな寝息をたてて眠ってしまっているようだった。
「ったく、いつもこういう顔してれば可愛いのによ」
柔らかくて少し焼けた肌にそっと触れてみると、
くすぐったいのか小さく声を漏らし、寝返りをうつ。

そんな姿を見ていると俺と2人きりの時間に心底安心しているのだろう
嬉しい反面、男としてはやっぱりどこか複雑だけれど。

イェンスに視線を戻すと何の夢を見ているのか、
幸せそうな笑みを浮かべて俺の服を掴んでいた。
あろうことかこんなことまで口走ってくれて……

「好き……キア」



「……参っちまうなぁ、ったく」
なんだか自分がバカバカしくなってしまう。
俺も寝てやろう、
まだまだ夢の中のイェンスの肩をそっと抱き寄せて
優しい風に身を任す。

「たまにはこんなデートも悪くはない……か」








たまにはこんなぽかぽかデートもほら、いいでしょう?





























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060924 エロいばかりがキアじゃないということで




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