キア
あなたの手をとった時から覚悟は決めていた。
でも時々ふといわれもない不安に襲われて
震えが走る。

抱きしめて
ずっと傍にいて
僕をそこに閉じ込めて欲しい

たくさんの不安や恐れなんて
見えないように……




放さないで




「キア……。」
「お、おいどうしたんだよエドゥアルト。」

急に震えだしたかと思うとエドゥアルトはキアの手を強く握る。
恋人達の営みを終え、2人はベッドの上でしばらく休んでいたのだが
エドゥアルトは唐突にキアの名前を呼んだ。

「怖い、怖いよ……。」
こうなることをわかっていて尚
キアの手をとったのは紛れもなく自分なのに……
エドゥアルトは切なげに睫毛を揺らす。
「後悔はしてないよ、キアを選んだこと。でも……でも怖くて。いつ僕に……ううん、キアに罰でも下ったらって思うと。」

哀しそうなエドゥアルトの背中。
荷を背負うのには小さすぎるその背中は自分のことですら重すぎて
今にも崩れて見えなくなってしまいそうだった。
その背中はキアのことまで考えて。
見ているだけで辛すぎる。

「エドゥアルト……。」
キアはエドゥアルトを背中越しに抱きしめた。
「キア……?」
驚いたのかびくっと一瞬、身体を強張らせたエドゥアルトだったが
キアの腕だとわかるとすぐにその腕に縋りついた。

「キア、キア……。」
うわごとのようにエドゥアルトはキアの名前を繰り返す。
何かから逃れるように必死に首を横にふる腕の中のエドゥアルトの姿が痛々しかった。
「ねぇキア、離さないでキア!キア!……キア。」

たまらなかった。

背中を向けていたエドゥアルトを思い切り自分の方へ翻し
キアはきつく抱きしめ直し噛み付くようにキスを落とした。
「ん……んぅ。」
舌を思い切り絡ませ、その唇を貪る。
「キ……んぅ、はぁ。」
苦しくなってきた頃やっとその唇を離すと真っ赤に染まったエドゥアルトの頬がそこにあった。

「キア……」
熱っぽく囁くエドゥアルトにキアはもう余裕などなくしてしまった。
否、当になくしてしまっていたのかもしれない。
「エドゥアルト、今日は寝かせない。お前の言葉通り、放さないからな絶対に!」

「あぁキア、放さないでキアずっと……ずっと!」







―――言葉なんていらない。
あなたがいてくれるだけでいい。
あなたが抱きしめてくれるだけで
僕は強くいられるから。
たとえどんな罰が下ったとしても。


























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エドゥアルトの話を書きました、超久しぶりですねぇ…。
純愛話書こうとしてたはずなのにいつの間にか情熱的は話になってしまたよ。
たまにはいいよね。
私は余裕なくしてるキアって好きです。
エドゥアルトはキアの余裕を奪う感じのコですよね。
縛られて板ばさみに苦しんでるのがまた辛い…。


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