バレンタインかぁ……
でもそれって女が男にあげるものだし
俺がキアにあげるなんておかしいよなぁ。
何度も頭の中を駆け巡っても
出てくるのはため息ばかり。
「本当、なんで俺こんなことで悩んでんだろうな……。」
















2人のバレンタインデー















1年前のバレンタインも2年前のバレンタインも
思えば悩むことなんてひとつもなかった。
たくさんの女の子たちに囲まれてたくさんのチョコを持ち帰る。
その時の悩みといえばチョコの量があり過ぎて一度じゃ持ち帰れなかったことくらいで。

「あぁ〜……もうっ!」
頭をくしゃくしゃとかきむしる。
何をしても結局答えは固まらず気づけばもう夕暮れ。
「そろそろ買い物に行くけど何か必要なものある?」
丁度良く奥から母親の声が聞こえてくる。
「あ、母ちゃん!えっとその……俺も行く!に、荷物持ちいるだろ!」
とりあえず買ってきてから決めればいいよな。

結局小さなチョコの詰め合わせを1つ買う。
そして綺麗にラッピングされたそのチョコの袋を
俺はそっと使い古されたスポーツバッグにしまった。
渡すかどうかはまたその時決めればいいよな。








―――翌日。
サッカーの練習の帰り道、女の子たちからそっと身を隠すように
いつもの場所へ向かう。
そこにはやっぱり良く知っている人物が見えた。
昨日の悩みの種といってもいいあいつの姿。

「よっ!元気にしてたか?」
「お、おう!」
思わず目を泳がせてしまう俺。
どうしようかとそっとチョコの袋に触れてまた手を戻す。
するとキアがごそごそと手元のかばんから何かを取り出した。
「ほら、今日バレンタインだろ。お前にもチョコ、やるよ。」
くすくすと笑ってキアが手渡してくれたのは大きいサッカーボール型チョコ。
「驚いてんな!けど俺は大切だと思ってるやつにしかやんねぇよ。」
ぽんぽんと頭を撫でて触れるだけのキス。
「な……んでキアはそうやって格好良く渡せんだよ!ずるいっての!」
嬉しくて自然とニヤけてしまいそうになるのを我慢して平静を装いながら
俺はそっと自分のかばんの中をまさぐり、綺麗にラッピングされたチョコを取り出した。

「俺も……これ。キアがくれたのに比べると全然小さいけど……。」
キアの手をとってそれをぎゅっと握らせる。
「ありがとな、イェンス。」
「べ、別にいいって。」

するとどこからともなく女の子たちの声が聞こえてきた。
「イェンス〜どこ〜?」
「チョコ持ってきたのよ〜!」
段々とその声が近くなってくる。

「やべっ!逃げるぞ!」
2人は互いに手をとって走り出した。
なんだか悩んでいたのが馬鹿みたいだけれど,br> やっぱり買って良かったな。
「キア……ありがと。」

このあと向かうところはもちろん……?




















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もうバレンタインですねぇ…早い早い。
今回は両方男なんだからどっちがもらったっていいだろうという私の勝手な考えからできたネタです…。
お互いにあげて、もらってで仲良くバレンタインもありかな〜…と。
つかそもそもドイツのバレンタインってチョコでいいの?
発売からもう2ヶ月で1年になりますね、でも未だにこのこが可愛くて可愛くて仕方ありません♪
もっとデレツンデレツン!

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