なんだかんだ言ってキアって……
俺を使って遊んでるようにも見えるし
ふざけてる時もあると思うけど
最後にはやっぱりピシッと決めてくれて
なんだか悔しいけど
やっぱりいい男……だよなって思った。

そんな何度目かの誕生日。

















誕生日祝いは…?
















「え?マジで?」
「この俺様が嘘なんてつくわけないだろ。」
キアがまさか誕生日覚えてくれてただなんて……
イェンスの胸はそれだけでいっぱいだった。
それだけで充分だったのに
まさかプレゼントまでくれるなんてもちろん思ってもいなかったから
だからとにかく,嬉しくて嬉しくて。
「俺もいろいろ考えたんだけどさ,難しくて…結局服になっちまったんだけど。」
キアは気が利かなくてわりぃなと少しだけ頭を掻いて笑う。
「そんな……ことねーよ。す……すぐ着てキアに見せてやるよ!」

「……くくっ。楽しみだぜ。」

俺,何か変なこと言ったかな?
イェンスはそのキアの不思議な笑みに首をひねる。
だがその笑みの理由など考えるまもなく答えはすぐに出た。

「な…んだよこの服……。」
思わず後ずさる。
そして今さっき言ったことを悔やみ切れない程
イェンスは後悔することになってしまった。

「何ってお前見てわかんねーのか?」
わかんねーのかじゃない!わかるけど…わかるけどこれって可笑しいだろ!
あっけらかんとするキアにイェンスも言葉を失う。

「これはナース服だな,それとこれはメイド服,それからこれはウサ耳に……。」
キアの声と共に次々と大きな袋から出されるたくさんの服。
まさかとは思うけど……

「なぁ,これじゃないよな。俺に買ってきた服って。これは冗談だよな。」
イェンスは祈るような気持ちで問うた。
頼む……頼むから違うって言ってくれよ……。
もうそれこそ,藁にも縋る思いで。

「は?そっちこそお前何冗談言ってるんだ?全部お前に着てもらうため。決まってんだろ。」

やっぱりそうか……。
イェンスの思いは見事に玉砕してしまった。
「キア!!!」
思わず叫んでしまったイェンスにキアは何の悪びれもなくさらりと言ってのける。
「ほぅお前,男が一度言ったことを取り消すって言うのか?」
「ぐ……っ。」
それだけで心がかなり揺らいでいるのに
キアはもう勝ち誇ったような顔で更に追い討ちをかけた。
「まっさかイェンスがそんな男だと思わなかったぜ,はぁ残念だなぁ。」
「わかった!」
キアの言葉にイェンスの中の漢が疼いてつい叫んでしまった。
そんなつもりなかったのになぁ。
ため息をついてももう遅い。

「わかった着るってば。どれから着ればいいんだ!?」
もうこうなったらどうにでもなれ!
イェンスはやけくそ半分にキアに尋ねた。
「じゃあまずはこれだ!チャイナドレス。」
「わぁったよ!スリットがやたら長くないか?」
文句をたれつつ着替えようとするイェンスだったが……

「な…に見てんだよ!後ろ向けっての!」
キアが一向に後ろを向かず,着替えるに着替えられない。
「なんだよ,いつも裸見せあってる仲だろ。」
「……っそれとこれとは違うんだ!ちゃんと着替えんだからそれくらい譲ってもらうからな!」
なんでそういう恥ずかしいことを平気で言うかな,キアはもう。
意味もなく恥ずかしくなってイェンスは顔を背けた。
「あ,わかったぞ!お前…着替えの時間は焦らして俺に驚かせようとしてんだな。」
「違うっての!」
見当違いなことを言うキアにまた恥ずかしさといろんな気持ちがあいまう。
「照れなくてもいいって。まぁそれもありかもな,へへっ。」
鼻の下が伸びてデレっとしたキアの顔がそっと後ろを向く。

「もう……そんな顔されたら嫌じゃなくなる……って何考えてんだよ俺!」











「なかなか可愛いじゃねーか。そそるぜイェンス。」
「う…うるせーっ!恥ずかしいんだからな!」
「じゃあ次はこのメイド服着て見せろよ。このピンク色,探すの大変だったんだぜ。」
「そんなもん探してる暇あったらもっとほかにすることあるだろっ!」
「似合うぜ…そのふわふわしたスカートから見える生足がエロいな。」
「う……っ,触るなよ恥ずかしいな!」

そんなこんなを続けて……











「最後はこれだ。」
そう言って1つだけ別にあった袋からキアが取り出した服は……
「サッカーの練習にでも使えるかなと思ってさ。」
綺麗なマリンブルーのシャツだった。
しかもなかなか手に入らないことでも有名なスポーツブランドのもの。
「キア……これ……!」
「あ,悪い。気に入らなかったか?」
驚いて言葉につまってしまったイェンスにキアは心配そうに声をかける。
「違う違う違うって!ずっと欲しかったけど俺,貧乏だし見るのも初めてだし,スッゲ嬉しくて!」
興奮のあまり早口になってしまうイェンス。
それがキアにはどんな服を着ているより可愛く見えた。
そう,メイド服よりナース服よりチャイナドレスより
なによりも……

「やっぱりお前はそういうが一番似合うな。」
キアはくすりと笑ってもう一度嬉しそうにはしゃぐイェンスを見つめた。
「弟妹にも早くそういう服買ってやれるように,頑張れよイェンス。」
「キア……ありがとう!俺,この服着て頑張るよ!」






誕生日おめでとう,イェンス。
















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えーっと……私の趣味モロバレですね。
だからイラストが描ければなぁといつも思うんですよ…。
キャラのコスプレ自体はあまり好きではありませんが
嫌がりながらしぶしぶ着る,そのこと自体は大好きです!
言い訳はしません。でもレイプネタを使った時くらい心配ではあります。
それでもアップはします…はははは…(死)

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