タイトル『待ちきれない!』


「……普通私が持っていくの待ってない?ねぇ、守くん?」
休日と重なってしまった今年のバレンタイン。
折角休みなんだし、と は家で手の込んだものを作ろうと奮闘していた。
材料も全てそろえていざ始めようとエプロンをつけていると
“守くん”はやってきた。
「だから違うって言ってるだろ!ただチョコが溶けないようにって……。」
時折口ごもりながら守は に言い訳をする。
「まだチョコなんて一言も言ってないんだけどなぁ。」
「な……ぐっ。はかったな!」
前日まで何度も何度もそろそろバレンタインだなと繰り返していながら何を今更。
はニヤけてしまう口元をぐっと堪える。
守本人は出来るだけさりげなくこの話題に触れていたつもりだったが
それでも毎日のように同じことを言うのだから
嫌でも意識していることが にはわかっていた。
「だぁいじょうぶ。ご覧の通り今作ってるからね。」
くすくすと笑う を尻目に守は頬を少しだけふくらます。
思っていることが全部読まれているようで居た堪れなかった。

「いい匂いだなぁ。」
しばらく居間にある野球関連の雑誌を手にとって見ていた守だったが
匂ってくる甘い香りに誘われるようにそっと反対側の台所に目を向けた。
するとそこには綺麗にデコレーションされたチョコレートケーキ。
「でしょ?気合入れて作ったからね!」
ふと呟いた守の独り言が聞こえていたらしく
は振り返って微笑んだ。
「でもまだ駄目。これ少しだけ冷蔵庫で冷やすともっと美味しくなるから。」
「そう……なのか?」
完成だとばかり思い込んでいた守は驚いた顔でそう言う。
「そ。……それとさっきはからかいすぎてごめんね。」
チョコレートの匂いがふわりと香る の小さな声。
「本当はね、本当は嬉しかったんだよ。」
隣に腰を下ろした の横顔にそっと守は視線を向けた。
「もちろん出来上がったら私から守くんのところあれ、渡しに行くつもりだったけどね。」
冷蔵庫を指差す
それからまたすっと向き直り尚も続ける。
「守くんが今日来てくれたのってそれだけ私のこと……気にしてたってことでしょ?」
「そ、そんなことはあ……あるけど。」

いつだって守をからかってばかりいる
珍しく赤くなった顔を覗かせる。
そんな の顔を見て守も同じように赤くなってしまった。
そんなお互いの顔を見て更に2人は顔を真っ赤に染める。

「そ、そうだ!冷蔵庫のチョコレートケーキ、そろそろ出来たかも!」
恥ずかしさに耐え切れなくなった がぱたぱたと台所へかけていく。
そしてそっと冷蔵庫の扉を開けた。
「出来てる!丁度いい冷たさ。」
は守のもとへ小さく切り分けてそれを運んでくる。
「はい、どうぞ。本当の出来立てだよ。」
「今度こそ、いいんだよな?食べても。」
少しだけ戸惑っている守。
なんだかそんな姿が可愛くて
は自分用に小さくフォークにさしたスポンジをその口に放り込んだ。
「む……んぐ!な、恥ずかしい奴だな!」
「またまた、照れちゃって!で、美味しい?」
強気にいったはいいが、少しだけ心配だったその味。
「ん、甘くて美味い。お前も、ほら。」
守も同じように に自分のケーキを食べさせる。
「うん、美味しいね。守くんが食べさせてくれたからもっとね。」
「だからそういう恥ずかしいこと言うなっつーの!」

















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良かった…間に合ったバレンタインに。
で、こういう行事にはかかせない、相手は王子、守様。
それはいいとして今年のバレンタインって普通に平日だよ…
わかってるんだよ。
…でバレンタイン、皆様はどうお過ごしになりますか?
リアルな私は自分に自分でチョコをプレゼントする予定です。


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