タイトル『新年の願いごと』

















「改めて……新年明けましておめでとう!」
新年のカウントダウン。
「今年もよろしくね。」
ちょっと照れたのか少しだけ顔を紅くして
俺の手をとる隣の少女。
「あぁ、こっちもな。 。」

昇り行く日を仰いで
そんなやりとりを交わす俺たちの傍には誰もいない。
初詣を済ませて戻る帰り道。

「よっし!これで俺の願い事は終わりっと。」
初日の出に向かって手を合わせて俺はまた来年もここに とこられるよう
そっと祈ってみる。
「良く知ってたね,こんな穴場。」
同じようにそっと手を合わせ瞑った目の片方を開いた彼女は
そんな俺の方を横目に見た。
「まぁな、ダテに毎日走ってるわけじゃないぜ。」
「そっか。走りこみで見つけたんだ……頑張ってるんだね!」
そう微笑むと彼女はもう一度その目を閉じ
初日の出に向けて何かを祈り始めた。
普段はおっとりしている彼女の真剣な面持ちに一瞬ドキリとする。
しばらくその横顔に吸い寄せられるように
俺はそれを見つめていた。

「これでよし!」
またふっといつもの柔らかい微笑みに戻ると彼女は俺に向かった。
「いっぱい祈ったからきっと叶うよ。」
嬉しそうにそう口にする彼女。
「……一体何をお願いしたんだ?」
俺と同じようなことを祈ってくれていたらいいと少しだけ期待しながら
俺が尋ねると,彼女からは意外な言葉が返ってきた。

「ミズくんがね,プロに入れますようにって。」

「お前……。」
先ほどから抱く小さな期待と大方自分の願い事を願ったのだろうと
思っていた俺は驚く。
驚きのあまり言葉にならない。
「あ、言っちゃったら願い叶わないんだっけ?あ〜……私の馬鹿!」
口元を抑えてもう一度必死に祈る彼女。

「お前……自分のことは?」
凄く嬉しいのに気の利いた言葉なんて一つも出てこなくて
こんなまぬけな言葉しか,今の俺には出てこなかった。
「自分のこと?私の願いはそれだけだよ?それが私の願いなんだから。」
そんなことをさらっと言ってしまう彼女。
不思議そうな顔で俺を見上げ,そして小さな声で続けた。
「本当はね,本当はその応援を私が一番近くで出来ますようにってのもあるんだけどね。」
あんまり願いごとが多いと欲張りだって願い事叶わなくなっちゃうでしょ?

「それで……そっちを優先したのか?」
「うん。」
それが1番の私の願いだと彼女は微笑む。
俺は幸せだ。
そしてやっぱり俺の願い事もはずせないと
俺は思う。











“来年だけじゃなくてずっと……に変更な!神様!”

















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久々に小説を更新しましたねー…。遅くてごめんなさい。
相手のことを思いやれる人ってすげぇなぁ…。



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