タイトル『もう少しだけ……』
「なんだ?そんなに俺のこと見て。どうかしたのか?」
「いーなーって。それ彼女にもらったの?」
「な、んだよ。恥ずかしいから見るなっつーの!」
「お!照れている……これは見ものだぞ♪カメラカメラ……と。」
「ざけんな!恥ずかしいっていってんだろっ!それより
はどーなんだよ,彼氏とか。」
「ん?あー…いろいろ考えてる間に彼女出来ちゃって,私告白もしない内に振られちゃったみたい。」
私にそんな顔向けないで。
私が笑っていられる内にその顔彼女に向けてあげて。
私は余計辛くなってしまうから……。
ずっと好きで好きでたまらなかった。
毎日かかさず野球部の応援にいって
一番良く見える私だけの穴場でずっと見つめて
クラスにいたって目で追ってしまうんだ。
授業なんてそっちのけ。
日記に書くことだってみんなみんなあなたのこと。
それなのにいざとなると
緊張しちゃってドキドキして。
真正面できちんと捉えられない。
話し掛けられたって上手く話せない。
目が合うだけで私の中にいろんなことが渦巻くの。
好き過ぎてどうしようもない。
だけど
だけど……
受け入れてもらえなかったらどうしようとか
困らせちゃったらどうしようとか
『嫌い』なんて言われたら・・・
きっと立ち直れなくなっちゃうから
何も言えないし
だから伝えられない。
だから何も伝わらなくて
ただ葛藤を繰り返すばっかりで自己消化。
すぐ自己嫌悪に陥って馬鹿みたい。
本当に馬鹿みたい……
気づいたら彼には彼女が出来ていて
2人で仲良く学校に登校していた。
授業中だって携帯を楽しそうにいじって
時折笑ったりなんかして…
お弁当が可愛い包みに入っていた。
中身だっていかにも『手作り!』だった。
「おお!うまい。あいつのくせに」なんてびっくりしてた。
そして右の薬指に輝く
シルバーリング。
キラキラ眩しくて目も当てられない。
きっと私の光が入る隙間もないんだろうなぁと
そんな風に思う。
他人事のようにぼーっと見つめて
ただただ思うこと。
あれが私だったらなーって。
私のことを見て照れてくれたり
私の作ったお弁当を食べて『うまいじゃん』なんて微笑んでくれたり
携帯の画面を見て笑うなら,そのメールの差出人は私だったり
そのシルバーリングが私の右薬指にもあったり
そんなだったら良かったのにって思うの。
嫉妬より先にそんな風に思うの。
変なのかもしれない。
でもそれは私の勇気が足りなかった所為。
彼女だってきっと私と同じくらい悩んだんだろう。
だから悔しいけど,祝福したい。
だけど今はまだ……
もう少し待って。
そうしたらきっと友沢くんの顔に
もっときちんと向き合うことが出来ると思うから。
だから待ってて。もう少しだけ……
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最初から悲恋かよ!
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