・・・。
まだ。
修ちゃんは、まだ帰ってこない。
・・・・・。
メールは送ってくれた。急な残業で、遅くなるって。
それから、ご飯先に食べててね、って。
それからまた、先に寝ててね、ごめんね、って。
待ってる。寝る。
・・・・・。どうしよう。
待っていたいけど。夜更かししたら、怒られちゃうかな。
ほんとは、言いたいことが、あったんだけど。あるんだけど。
言わなきゃいけない、こと。
ねぇ。眠れないよね。
朝に言ったちいさなわがままが、ずっと胸に引っかかってる。
・・・ごめんなさい。
言えたら、それで溶けるのに。まだ言えない、眠れない。
・・・・・。あんなこと、言わなきゃよかったのにね。
どう思っても、言った言葉は変わらない。
ごめんなさい。
トゥルルル、と携帯が鳴った。
「修ちゃん?」
いまから帰るよ、遅くなってごめんね、って柔らかい声。
「うん」
あたしのその返事だけで、修ちゃんはいろんなことがわかったらしい。
心配しないで、先に寝てなよ、ってふんわりした声が届く。
「祥ちゃんの気持ち、わかってるから。
こんな日に、早く帰ってあげられなくって、ごめんね」
「・・・うん。・・・ううん」
修ちゃんのせいじゃない。ちょっとほっとして、でも、やっぱり待ってるよ。
けど。
ふわっと気持ちの緩んだあたしを、すかさず睡魔が襲ってきたみたいだった。
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