恋するウサギちゃん
『ノピティギ!!』
琉風が振り向いた時には既に紫罹が琉風の背後に回った時だった。
「あ、紫罹だったんだねこんにちは」
「………………………………」
「……えっと、どうかしたの?」
紫罹がじっと黙っているのを不思議に思い尋ねるも、やはり何も言わないまま正面を指差した。
「前…?あ、誰だろあの人」
素直にそちらを見るとやけに派手な服を身に着けた痩せている、というよりヒョロヒョロした男が近づいてくるのが見えた。
「紫罹さんまってくださ………………ひっ!!」
位置的には紫罹を背後に庇うような形で立っている琉風の姿を見たその男は怯えた顔で後ずさる。
「こんにちは、紫罹のお友達ですか?」
「ひぇぇっ!!くっ…くるなぁっひぃええええええええ!!!」
琉風はあくまで普通に話しかけたつもりだったが、その男はまるで凶悪モンスターにでも
出会ったような声を上げながら一目散に走り去って行ってしまった。
「行っちゃった。ねえさっきの人紫罹の知り合い?驚かしたつもりとかはなかったんだけど……」
「悪いな琉風、思いのほか面倒くせー奴でよ」
「えっ!?」
普段の紫罹からはとても考えられない物言いに琉風はぎょっとした顔で振り向くが、そこにいるのは間違いなく紫罹である。
「しっかしあいつもだっらしねーの。琉風であれなら強面の冒険者が本気で凄んだりしようモンなら腰ぬかしたりしてな」
両袖を口元にやりにししと笑う紫罹への違和感は、やがて琉風の中で確信へと変わった。
顔立ちは確かに紫罹そのものでも明らかに異なる雰囲気と口調、そして何より琉風の記憶では
菫色の瞳を持つ紫罹とは全く違う艶やかな朱の瞳。
「もしかして………朱罹?」
「あったりー♪やっと気づいたか!」
女性もののソウルリンカーの服を着た朱罹はにかーっと笑って親指を立てた。
* * *
「これ俺のおごりな。琉風の事ダシに使ったお詫び」
「いいよ!別にご馳走してもらうような事なんてしてないのに」
両手を振って見せた琉風の目の前には店員が運んできたオレンジをたっぷりちりばめたパンケーキと紅茶が置かれている。
「じゃあここに付き合ってくれたお礼も兼ねて!やっぱこういうカッコしてても中身が野郎の上一人じゃこの店のハードル高くてよ~」
後半の部分は小声で言いながら琉風の向かいに座っている朱罹は既に注文したストロベリーパンケーキを口に入れている。
『こだわりのふわふわパンケーキ』をはじめとしたスイーツを提供するこのカフェは圧倒的に女性客が多く、
確かに男一人だけで入るにはそれなりの勇気がいりそうだ。
「だから一緒に来てもらえて本当助かった!ほら琉風も遠慮してないで食えよ、マジで美味いから」
「ありがとう朱罹。ご馳走になるね」
若干遠慮がちではあったが軽く手を合わせると目の前のオレンジのパンケーキにフォークをさした。
「………わぁ、本当に美味しい!」
「だろ?前に紫罹が四季奈と入った店のパンケーキすっげー美味かったって話聞いて一度食ってみたくてさ」
「うん…………っ…!?」
口調は朱罹そのものなのにウイッグなのか紫罹と同じ髪型、薄くではあるが化粧を施している上
朱罹自身がかなり小柄な部類に入る事もあって男と分かっている琉風ですら一瞬戸惑ってしまう。
「ん?どうかしたか?」
琉風の視線に気づき、フォークを唇に当てながら首を傾げる仕草は可愛らしい女の子そのもので、
琉風は今更ながらの疑問を朱罹へと投げかけていた。
「それって紫罹の服だよね。どうしてそんな格好してたの?」
何の気なしに聞いたその質問に、朱罹は表情を曇らせた。
「害虫駆除だよ」
「害虫?」
「さっき琉風も見たろ?ヒョロッヒョロの害虫」
「…………………………………あ」
そこまで言われて朱罹の言う『害虫』先ほど琉風を見て逃げた男をさしているのが分かって
苦笑いしていると、不機嫌そうな顔を隠しもせずに朱罹は大きな苺にざくっとナイフを入れた。
「冒険者が一般人に暴力振るったってなると澪マスは勿論ギルドの皆に迷惑かかるから我慢したけどな。
マジで蹴飛ばしたくなるくらいのしつこさだったぜ」
「…………さっきの人と何があったの?」
「すげー簡単に言うとあいつが全くその気の無い紫罹に結婚迫ってたんだよ」
「けっ!!!」
大声を出しそうになり琉風は片手で口を塞ぐ。
「け、結婚?紫罹と?」
今度は小声で聞いてきた琉風にそう、と言いながら朱罹は紅茶のカップを手に取った。
「俺らの実家ってフェイヨンから更に奥いった辺境地みたいなとこにあんだけどさ、その地の皇帝に数百年に渡って代々仕えてた一族らしいんだ」
「数百年か……すごい歴史のある家なんだね」
「で、長年仕えたって功績?っての?そういう感じで皇帝からの賜り物っていうのが
家宝として残ってて俺と紫罹でその家宝を引き継いだんだけど…」
「けど?」
くぴっと紅茶を飲んだ朱罹が表情を更に険しくする。
「その家宝がミッドガルド辺りではものすげー価値あるものらしくてさ、どっから聞きつけたのか
たまに譲って欲しいっていうヤツが出てくるんだよ。所謂コレクターだな」
「皇帝から貰ったものなら歴史的な事を考えてもすごい価値あるんじゃないかな」
「澪マスにその事話したら数百ギガは軽く行くんじゃないかって言ってた」
「す、すうひゃく………」
最早想像も出来ないような桁に琉風が目を白黒させるが、当の所有者である朱罹は
パンケーキの皿に散りばめられたカットフルーツに今は夢中のようでフォークで一生懸命掬いつつも話を続けている。
「家宝の金銭価値には何の興味もねえけど俺たちの代までずっと引き継がれてきたものだからな、俺も紫罹も手放す気なんてねえ訳よ」
「もしかしてさっきの人も家宝目当てだったの?」
「あぁ、普通に金積んだって首を縦に振らない、かと言って金の力使った暴力手段に出ようとすれば
相手である俺らは対人に長けた攻城戦ギルド所属、『明亭の死神』っていうあいつからからすれば
いやーな後ろ盾もあって生半可な手出しもできねえしで相当気ぃ揉んでたらしいぜ」
「持ってる家宝も欲しくて、紫罹も好きになっちゃったんだ」
「そうだったらまだマシだったかもな」
「………違うの?」
「あいつは家宝が欲しいがために紫罹に結婚迫ったんだ」
「………………!」
「結婚という縁を作ることで自分に所有権を持っていく感じにしたかったんだろうな。だから紫罹自身にはこれっぽっちも興味も無い」
その人ではなく、その人の持つ財が欲しいがための偽りの結婚。
修道院にいた時、兄のように慕っていたチャンピオン・白樺が過去に結婚を約束した相手に
レアアイテムを根こそぎ盗まれた事と重なり流石の琉風も表情を暗くする。
「しかも紫罹の行くとこ行くとこに先回りして日常生活にも支障きたし始めてきてたんだよ、んでそれ欺くためにこの格好って訳」
「じゃあ今紫罹はどこにいるの?」
「明亭かららこの直ポタでブリトニアに避難中。まぁ避難つっても建前みたいなもんで今頃ブリトニアの女王含めて女子会でもやってんだろ」
言い終えた所で悪巧みでもしているような顔で朱罹が笑う。
「でもとにかくあいつウザいししつこかったんだよ!だから琉風見た瞬間のビビりようは
見ててスっとしたぜ!俺も軽く蹴飛ばすくらいはすりゃよかったかな」
「だめだめそれはだめだってば朱罹!」
琉風の本気の慌てように朱罹は声を出して笑い出した。
「分かってるってこの手は騎士団うるせぇし澪マスに迷惑はかけられねえし。偶然居合わせてくれた琉風には本当感謝だな」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーッッ!!!!!」
「!?」
会話が中断するほどの大きな声が聞こえて琉風が声のした方を見ると、なにやら驚いた顔をしたバードがこちらの方を指差している。
ただ琉風には全く面識のない顔だったので、誰か知り合いでも見つけたのだろうとテーブルに視線を戻すと朱罹の様子が明らかにおかしい。
「朱罹どうかした?」
何かから隠れるように袖で顔を覆ってしまった朱罹を覗き込んでいるとどかどかとこちらへ近づいてくる足音。
それは朱罹の丁度座っている前で止まった。先ほど大声を上げたバードだ。
「もしかしてもしかしてもしかして」
「………………………………………………………………」
朱罹が袖を隠してじっとしていると何を思ったのかそのバードは無防備とも言える朱罹の項をいきなりべろんと舐めた。
「わ……………………」
「わぁああああぁぁぁああああッ!?」
突然のバードの行動に琉風の方が驚いてしまい、最初に出した朱罹の声を掻き消すような大声を出してしまう。
当のバードはと言えば、にこーっと満面の笑みで朱罹に抱きついていた。
「その声音…やっぱり朱罹だね!どしたのそのカッコ超可愛い!趣味?ねえ趣味なの!?なにさどうしてもっと早くに教えてくれなかったの超可愛い!!!」
「…………………」
可愛いと連呼しながら抱きつき頬ずりしてくるバードに朱罹は何も言わずに黙っているが、その顔はこの上なく不機嫌である事を隠そうとしない。
「リンカ服って超可愛いよね、慎ましさの中になんかこうえろすの部分があってさぁ…あぁぁぁん可愛い可愛い超可愛いぃぃぃ♪」
「………………せ」
「ん~なになにどしたの~?」
「うるっせぇぇぇぇぁぁぁぁあああ!!!!」
ドゴ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
鈍い音と共にバードの顎に朱罹の膝蹴りが直撃する。
至近距離で受けた重い一撃だったにも関わらず、バードは一瞬ふらりとよろけただけだった。
「あぁ…スキの無い蹴りを繰り出すその姿も素敵だよ朱罹。でもせっかくならぱんつにまでこだわろうよ…僕はぴんくのストライプ柄とか好きだなぁ」
「いいから離せもういっぺん蹴飛ばすぞーーーー!!!!」
「あ…あ、えっと…」
懲りずに朱罹を抱きしめながらん~♪と唇を突き出すようにしているバードと、
ぐぎぎ・とその顔を退かそうとしている朱罹を前に琉風がオロオロしているとにゅ、と背後から手が伸びバードの首根を掴んだ。
「ナリフリ構わずセクハラしてんじゃねえ」
「はいぼくチョーシこきましたサナさんごめんなさい。だからそのヒドラ挿し武器しまってお願い!」
バードに『サナ』と呼ばれたクラウンが低い声でそう言うと、クラウンの手にする
特化武器をちらちら見ながらバードは未練タラタラという様子ながらも朱罹を離した。
「悪かったなびっくりしたろ………ってお?」
侘びの言葉と共に視線を移したクラウンは朱罹に―――否、紫罹に見覚えがあったらしい。
「誰かと思えば空即是色の紫罹か、噂は聞いてるぞ~攻城戦でお前の姿を見かけたらガーディアンに即殺覚悟しろってな」
「サナ違うよこの子はあ」
「あ?」
「うぅんなんでもない」
『余計な事言うんじゃねえぞ』と言わんばかりにいっそ恐怖すら感じる微笑を
投げかけてきた朱罹にバードはそれ以上は何も言う事は無かった。
「えっとそれからそっちは…」
クラウンが視線を移したタイミングで琉風はふかぶかと頭を下げる。
「はじめまして俺色即是空の琉風です。もしかしてギルド九曜の左内さんじゃないですか?」
「ん?そうだけど…あー色即是空、呂揮がいるとこか!」
「はい、九曜に研修に行ってた時呂揮がお世話になったクラウンの左内さんって人の愛称が『サナ』だって言ってたからもしかしてって思って」
クラウン・左内は見知った呂揮の名前を聞いた事もあってか最初の時よりも人当たりのよさそうな笑みを見せた。
「そっかーあいつ元気か?こちとらまた蘇利耶ちゃんの美貌に鼻の下伸ばした馬鹿野郎…いや、新人育成で研修以来全然顔合わせる機会なくてよ」
「サーナー、雑談してないで行こうよ~打ち合わせ始まっちゃうよ~」
にこやかな顔で世間話に花を咲かせていた左内が袖を引いてきたバードに振り返った時には周囲がびっくりするほど冷たいそれだった。
「そもそもテメーが最初に脱線させたんだろーがよ。いきなりこの店入ってアホな行動に走ったのは誰だ?」
「すみませんごめんなさいぼくがわるかったですだから特化武器しまってってば!!!!」
再び取り出したヒドラ挿し武器をおさめながらまたバードの首根っこを掴むと、琉風と朱罹の2人へ悪いなというように片手を上げる。
「驚かせて悪かったな、呂揮によろしく伝えといてくれよ……お、そうだ」
その場を離れようとした左内は思い出したように懐から取り出したチラシを琉風に差し出す。
「ギルドとは全然関係ねえけどよかったら」
「ねーねー。今度その格好でしようね♪あだっ」
朱罹へ投げキッスなどしていたバードは左内に拳で小突かれ、2人は店をあとにした。
「……………………はぁ~」
朱罹が力なく椅子に座ると店の外からも投げキスしつつ手を振ってくるバードを横目に琉風もまた腰掛けた。
「バードの知り合いっていないから分からないけど皆あんな感じなのかな…?」
「いやあいつは別格だ!」
やけに力説する朱罹に若干たじろぎながらもとけかけた付け合せのアイスクリームを口へと運ぶ。
「ねえさっきの人って朱罹の友達?」
「友達、友達…うん、まぁ友達みたいなもんか」
SEXするトモダチだけどなと後から加えて言った朱罹の言葉は琉風には聞こえなかったらしい。
そうなんだと答えながらテーブルに置いた左内から貰ったチラシへと視線を落とした。
「そういえばさっき左内さんからもらったこれって何だろう。『ミッドガルド放送局提携wis番組?』」
「琉風聞いたことないか?先週からミッドガルド放送局と提携して期間限定でのwis専用生放送やってるんだ。さっきの2人がメインパーソナリティで」
「そうだったんだ。最近狩場とホームの行き来ばっかりでその辺全然わからなくて」
「毎日違うテーマ一つ出してリスナーから投稿募集したり歌のリクエスト受けたりしてんの。バード系ゲストに呼んで生演奏もするし」
「朱罹ずいぶん詳しいんだね」
「え?あ!!う!?」
妙な声を出して心なしか頬を朱に染めた朱罹は、すっかり温くなってしまった紅茶をきゅーっと煽る。
「ま、まぁ…なんだかんだで俺1回目から聞いてるからな。アイツが聞け聞け聞けったら聞け聞いて聞いてよってしつこいから」
「アイツってさっきのバードの友達?」
「さっきみたいな感じでノリと行動がたまに理解不能だけどあいつの演奏と歌は嫌いじゃない………
ってかなんだよ琉風、未知との遭遇みたいな顔して」
パンケーキの最後の一切れを口に入れながら朱罹を見る琉風はなんとも物珍しそうな視線だった。
「あ、ごめんね。朱罹がそんな風にいろんな表情するのなんだか珍しいかなって思って」
朱罹といえば狩りは基本的にPTで、他ギルドとの交渉によって発生する狩りも澪と共に
同行することが多いせいか知り合いも多く誰にでも社交的だという印象が琉風にはあった。
それが先程のバード相手に怒ったり果ては蹴りまで繰り出す様など見たことが無かった分
朱罹が持つ素の部分を見たようなむしろ新鮮な気持ちになっているのが正直な所だった。
「琉風もさっきの見たんだから分かるだろ?ああいう調子ぶっこいてる奴は蹴り入れるくらいの接し方で丁度いいんだよ」
「あはは………」
先ほど朱罹が繰り出したスキのない重い蹴りを思い出し、琉風は乾いた笑いを返すしかない。
「まぁあいつの人間性はともかく番組自体は結構面白いと思うぞ。冒険者視点だから共感できる所多いしな」
「チラシに書いてるこの番号にwisでつなげば聞けるんだよね。夜8時からで今日のテーマは………」
* * *
「『あの人に伝えたいけどなかなか伝えれないからここで言っちゃう!』だっよね今日のテーマって」
「あぁ」
「もしかしてそれが投稿ログ?なんか多くない?」
プロンテラ城の一角、スタジオとして宛がわれた部屋の机には投稿されたものとおぼしきログデータがどっさり積み上げられていた。
「日ごとに量増えてるし来週からは当日募集でいいかもな、とりあえず放送局で振り分けしてもらったこの中からいくつか紹介していく」
山と積み上げられた紙束の隣に置かれた数10枚のログを手に取りながら言った左内の言葉はバードに聞こえているかどうか既にあやしい。
「今日も僕のラヴソングをwisに乗せて君に届けるからがっちりキャッチしてね朱罹ー!!!!!」
「今頃その朱罹って奴ひどい悪寒を感じてるだろうな」
「酷いサナ!最近ドSに磨きがかかってるね!!2週連続で女王・蘇利耶と同じPTになれなかったからって八つ当たりしないでほしいな!!」
「…………………………………………あぁ?」
「あぁぁぁああああ僕これから楽器の音あわせしてくる!!!!」
脱兎の如くバードがいなくなると大きくため息をつきながら左内はぼりぼり頭を掻いた。
「ちくしょー来週こそは同じPTで蘇利耶ちゃんの勇姿を拝みたいもんだ…ってかサナ
お願いみたいな感じでこっそり俺づてで投稿とかしてくんねえかな~最優先で紹介すんのに!」
ぶつぶつと願望じみた愚痴を零しながら左内は手元のログに目を通し始めた。
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wisネーム:通りすがりの被り系
こんにちは!
今回のテーマ、私がありがとうって伝えたいのは私の友達。
まぁ本人にはちゃんとありがとうって伝えたけど
なんか足りないきがするのでこの場を借りてさせてね。
私はもうこれ言うと職業バレちゃうかもだけど製薬ステってやつ。
今はまだ相棒のホムがいるからいいけど
持てなかった時代の狩りとか本当きつかった!
最初に誘われて入ったギルドでも役に立てない事ばっかり
怒られてばっかりで本当毎日のように凹んでた。
でもその友達は私の事を褒めてくれたの。
「こんなすばらしいもの私には作ることは出来ません」って。
良かったら使ってって作ったもの渡したらさ、
本当にすんごく喜んでくれてありがとうって笑ってくれたの。
今までそんな風に言われた事なんてなかったから
すごく嬉しかったの今でも覚えてる。
それから色々あって当時所属してたギルドから私が謹慎処分を受けた時も
危ないから来ちゃダメって言ったのに真っ先に来てくれた。
「友達を心配するのは当たり前です」って。
なんかね、泣きそうっていうか泣いた。もう号泣。
こんな風に心配してくれる友達がいるあたし超幸せって思った。
今はその友達のいるギルドに移籍して
やってる事は今までと全然変わらないんだけど
気持ちの持ち方は変わったと思う。
何をするにしても自分の今出来る事でどうやったら
皆の役に立てるだろうかって思いながらやるようにしてる。
そういう気持ちに変われたのも友達のおかげなんだよ。
だからもう一回言っちゃうね。
ありがとう!
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wisネーム:
私は好きな人に感謝の言葉を伝えたいです。
初めて会った時からきっとわたしはあなたを好きだったんだと思います。
でも、そのときのわたしはそれを理解できずに
あなたの事を傷つけてばかりいました。
あなたを好きなのだと理解してからも相変わらず
困らせることばかりしていましたよね。
それなのにあなたは私を責めずに自分を責めてばかり。
あなたは本当にずっと変わらない。
思えば自分にないものをもつ純粋なあなたに、
今も変わらずそれを持ち続けるあなたに嫉妬していたのかもしれません。
そして、そういう所に私はきっと強く惹かれたのでしょう。
知らなくてもいいとさえ思っていたわたしに
あなたは恋をおしえてくれました。
きっとあなた以上に誰かを好きにはなれないでしょう。
恋をおしえてくれてありがとう、
私を必要としてくれてありがとう。
どうかこれからもあなたの側にいさせてください。
大好きなあなたへ。
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wisネーム:アルデバランの魔法使いの弟子
僕がありがとうって伝えたいのはギルドメンバーのみんな。
僕は世間一般で言われる問題児っていう奴だったみたい。
最初は僕がギルドに入るのを反対してた人がいたくらいだからね。
でも、反対して当然だって後になってから気づいた。
僕が今までどれだけの人に迷惑をかけて、傷つけて、
振り回して、嫌な思いをさせてきたんだって散々思い知らされた後にね。
気づいた後はすごく哀しかった。僕は今までこんなひどい事
平然とやってきたんだって思ったら怖くなりさえした。
迷惑かけないようにギルドを出ようなんて考えたのは
もう10回20回じゃ足りないと思う。
でもその度に言われるんだ。
今まで生きてきた中で何一つ後悔しない道を歩んできた人なんていない。
昔はどうあれ今はギルドメンバーなんだから困ったら助けてもらえばいい。
もし僕が逆の立場になったら同じように助けてやればいいんだって。
最初に僕が加入するのを反対してた人も、今では同じ事言うんだ。
僕が出来ることなんてまだ全然少ないけど、
それでも僕が誰かの役に立てるんだってこのギルドの人たちが教えてくれたんだ。
でもこんな事言ったら皆冷やかしてくるから絶対に言わないけど!
だからここでお礼を言わせてよ。
白樺へ。会った時から今までずっと変わらずに接してくれてありがとう。
椚へ。身代わりにしてるって分かってていつも優しくしてくれてありがとう。
リンへ。ありがとうって言ってくれてありがとう。
山茶花へ。いっしょにごめんなさいって言ってくれてありがとう。
楠へ。女の子のプリ系職が嫌いじゃなくさせてくれてありがとう。
菫ちゃんへ。いっぱい狩りに誘ってくれてありがとう。
栴檀へ。嫌いじゃないっていってくれてありがとう。
御形姉へ。いっぱい相談にのってくれてありがとう。
そして…黒松へ。魔法を教えてくれて、ギルドに加入させてくれて、そして沢山沢山
迷惑かけたのにギルドにおいてくれてありがとう。まだまだ問題児の僕だけど、
これからもよろしくお願いします。
大好きだよ、僕のもう一人のお父様。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
「言わないけどとか言いながら名前でもうどこのどなたかばればれじゃねーか…こっちで適当にごまかすか」
最後のメッセージを読み終えた左内はそう言って苦笑いしていると、音あわせに出て行ったバードが丁度戻ってきた。
「ただいまー、サナ番組で紹介するの決まった?」
「今のところこの3件。あとは投稿されたヤツから随時だな」
「んー…」
差し出されたログにざっと目を通し終えたバードは難しい顔をした。
「中身は全然悪くないと思うんだけどテーマがテーマだけに全体的に文章長いね。
今日の生演奏ゲスト2組入ってるけど時間大丈夫かなぁ」
「あぁ、だから9時からのお前の演奏3分短縮な」
「ちょ、サナひどい!僕の華麗な生演奏をぶつ切りにするつもり!?」
「切れとは言ってない、演奏速くして3分短くしてしろって言ってんだ」
「やっぱりサナひどい!演奏はリズムが大事なのに!!」
「お前だったら出来るだろ。お前は既に音を自在に操れる、だから未転生でも九曜同盟ギルドに、
転生後には九曜への椅子が用意されてんだろ」
「まぁそうですけどね~えっへへへへ~さっすがサナ分かってるね~」
身体をくねくねさせながら照れ笑いしているバードに左内は乾いた笑いを寄越した。
「楽器壊されたお前がエンペリウムを打楽器代わりべっちんべっちん叩いて歌いだした時は
ナイス臨機応変言うまえに腹よじれるほど大笑いしたけどな。馬鹿と天才紙一重とは言ったもんだ」
「ちょ、笑わないでよあの時僕すっごく真面目にやってたんだから!そのお陰で防衛のたて直しできたんだよ!」
「それ以上言うな、オンエア中にお前の顔見ただけできっと噴く」
「先にサナが話ふってきたんじゃん!」
手にしたログを左内に押し付けるとあ、と思い出したようにその中の一枚を抜き取った。
「そういえばこれ気になったんだけどさ、これこれ」
バードが指差したログには内容は書いてあるが名前の箇所は空白で何も記されていない。
「あぁそれな、別に匿名希望とかでいいだろ」
「えー匿名なんてつまんないよ、俺が代わりに名前つけてあげる!『恋するウサギちゃん』とかどう!?」
「……………………………はぁ?」
「なにがは?さ。なんかこの文章って初恋をしたばかりの女の子って感じするじゃない。似合ってない?『恋するウサギちゃん』!」
「そうかぁ?俺は恋愛軽んじてたのがマジ惚れしちまったいい体格した男ってイメージだけどな」
「げっなにそれサナ全然分かってないなぁもう。僕書き換えちゃうからね!
こ・い・す・る・う・さ・ぎ・ちゃ・ん。と」
「おい待て馬鹿!」
「大丈夫だって!きっと投稿してくれた人も可愛くてステキな名前つけてくれてありがとうって思うよきっと!」
「そんなモン悪寒しか感じねえよ!!!」
「もぉサナは脱線大好きだね。そろそろ放送局にwis同期処理やってもらわないと、放送時間に間に合わなくなるよ」
「おめーがコイスルウサギチャンとかさっむいネタ振ってくっからだろ!!!!!」
一方、その『恋するウサギちゃん』は、丁度その時柄にもなくくしゃみなどして周囲を驚かせたとか、心配させたとか。
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