あなたからのひとつだけでいい。
「このゼロピーがMOBでガレットが自分な。MOBはこういう風に寄って来るからこっちの方に動いて
いってからこの鉄鉱石…罠設置。場所はこの辺り」
「えっと、例えば横脇きが来たら…このセルーがその追加MOBだとしますよね。
こんな感じで来た時はどう動けばいいでしょうか?」
「んーとその場合は…」
フェイヨンカプラサービス付近大木の下にある切り株を台代わりにし、その上にガレットや
ゼロピーを動かして彩が順を追ってゆっくりと説明していく。
その向かい側に座り、それらを目で追いつつ彩の話に熱心に耳を傾けていているのは一羽により
怪我を負わされたトメをハンターギルドに連れて行った少女。
「そっかそういうことですね、分かりました!…でも頭で分かってても実際やるってなったら私絶対テンパりそうだな」
「最初は移動速度の遅いMOB相手にして慣らした後でいつもの狩場に戻ればいいよ、罠はとにかく場数と経験だからな」
「そうですね…がんばりますっ」
「おうっがんばれよ由良!」
「はい、ありがとうございました」
ハンターの少女・由良はそう言って彩に対し深々と頭を下げた。
「ギルドに弓手のメンバーいなかったので彩マスさんから色々聞けてすごくためになりました」
「どっちかって言うと俺の経験談みたいなもんだけどな」
そこで話を切り、彩がふと空を仰ぐ。
「どうかしましたか?」
「もしかしてトメさんがいるから降りてこないのかな、由良のファルコン」
「あぁ、あの子のことですか?」
丁度2人がいる上空を飛び回っているファルコンを見て申し訳なさそうに言う彩に由良はふるふると首を振る。
「いつもフェイヨンに戻ってるときはああやって自由にさせてるだけなんで気にしないで下さい。
もっとも今日は綺麗な子が近くにいるから照れてるだけかもしれないですけど」
ねー、と言って由良は自分の肩で羽を休めているトメを覗き込み同意を求める仕草をした。
「綺麗な子って…トメさんのこと?」
「はい、初めて見た時からトメちゃんすごく美人だなーって思ってたんですよ。目鼻立ち整ってるし瞳も綺麗だし、
絹みたいな毛艶してるのはきっと彩マスさんがトメちゃんの普段のケアに気を使ってるからなんでしょうね。
ウチの子は男の子なんですけど肩にかかる重みとか全然軽いし。そういう所はやっぱ女の子ですよねー
……あ、えと…どうしたんですか彩マスさん」
彩が心なしか震えながらトメが止まっていない方の由良の肩に手を置いているのを
トメの羽に頬をくつけて撫でてやりながら不思議そうに首を傾げる。
「いや、トメさんの美しさを分かってくれる人がいてくれるのが嬉しくて…!」
「あ、やっぱり彩マスさんもそうなんですね。私もウチの子の身体のラインがシャープで
かっこいいんだよって言ってもみんな同じに見えるって言われることが多くて」
「そうなんだよ!顔とか全然違うのに…」
「よお由良、講習会終わったか?」
「あ、マスター!」
腰にスパナとチェインをぶら下げ、由良にマスターと呼ばれた紅色の髪のハイプリーストは2人のいる切り株の近くにしゃがみこんだ。
「はい、武器のこととかも色々教えてもらってすごく参考になりました」
嬉しそうに話す由良に小さく首を縦に振って応えた後に彩に笑いかける。
「すまなかったな。何せうちのメンバー弓手いなくてコイツに何にも教えてやれなかったんだ」
「気にするなよ、俺らの方こそ色々迷惑かけたな。色取月」
「『ツキ』でいい、色取月とかいちいち正式名で言ってたらいつか舌噛むぞ」
「私がこのギルドに加入した時の自己紹介でマスター本当に噛んでましたしね」
「由良。公衆の面前でマスターを辱めた罪で『コメカミぐりぐりの刑』にするぞテメこの」
「はーい、かっこよくて素敵なマスターは自己紹介の時に噛んでなんかいませんでしたー」
「ん、よろしい」
由良の頭をぽふぽふと撫で色取月は取り出した煙草を咥えてまぁあれだ、と話を戻す。
「どっちかってと騒動のきっかけ作ったのはむしろこっちが最初だから気にするこたない」
「騎士団…そっち行ったか?」
彩が少しだけ回りに視線をやった後やや声を潜める。火を点けた煙草の煙を吐きながら色取月は首を振った。
「いや、来てないんだなこれが。10パターンにも亘る切り返しを考えておいたのが使えなくてむしろ残念な勢いだ」
「そっか。うちのメンバーに騎士団の撹乱させてた時、蝶の羽で逃げる予定が想像以上に警備が
厚くなって強行突破させるしかなかった所だったから…ごめんな?犯罪の片棒担がせるようなことして」
「片棒?なんのことだか。俺がプロンテラブラついてて帰ろうとした時に間違ってメモった
明亭前のワープポータル出した時に偶然彩の所のギルドのチェイサーが突っ込んできただけの話だ」
「え~マスター嘘だぁ。『無関係気取ってられっか』ってわざわざ明亭前のポタメモとったり次の日彩マスさんの
所に嘘のアリバイ証言しにいくって言ってたあの子のことよしよく言ったってベタ褒めして送り出して、
何聞かれても不自然がないようにって全員で示し合わせしたりとかしたじゃないですか」
しばらく彩と色取月の話を見守っていた由良が会話に入ってくると、煙草を咥えたまま色取月がどこか怖い笑顔で見下ろす。
「おい由良、やっぱりマスター精神的陵辱の罪で『コメカミぐりぐりの刑』ご所望か?あ?」
「はーい全然ご所望じゃないでーす!!」
伸びてきた色取月の手をするりとをかわして由良が立ち上がる。
「マスター私これから罠の練習しに狩り行ってきます!」
雰囲気を察したトメが由良の肩から離れ、空を飛んでいた由良のファルコンが指笛に応じて舞い降りてくる。
「ん。今日こそ蝶の羽で戻って来いよ」
「がんばりますよっ彩マスさんありがとうございました!」
彩に会釈をした後、カプラサービスの方角へと走っていった。
「あいつ…由良な、最近変えた狩場がキツイらしくて強制セーブポイント帰還が多くてな、結構
しょげてたんだが彩と話したあと表情随分明るくなってた。ありがとな」
「話色々聞いたけど由良は伸びるよ大丈夫………あ、史乃だ」
走った方角にいた史乃の所で由良が立ち止まって何か会話をかわしている。
由良が指差したその先に居る存在を史乃は確認し、手を軽く上げて由良と別れたあと彩と色取月の居る所へ近づいてきた。
「おー、マーカーあっから誰かと思ったら彩マスだったかー。どしたー?こんなトコで」
由良と入れ替わりに来た史乃は2人のいる間にどっかと腰を下ろす。
「ここのマスターにこの間のお礼と、前の攻城戦の時にトメさんの事ハンターギルドに
連れてってくれたハンターの娘に武器とか罠の話をちょっと。史乃は?」
「俺ー?コイツに呼ばれて来たの」
史乃が指差したのはすぐ隣にいる色取月。
「ツキに?」
「いやーかなり前にスフィンクスDでソロ狩りやってた時に偶然コイツと会ってさ、非公平PT組んで
お互い支援系スキルの交換やってたんだよ。以来頻繁に御指名頂いちゃってる訳ー」
「史乃って前からツキと知り合いだったんだ…」
彩の声は心なしか小さくなっていた。
「一度アドレナリンラッシュの味覚えたら忘れられなくてな。もう自己支援だけの攻撃速度じゃ堪えられん」
「あのなーツキ、ナシにも慣れておけよ。今日はたまたま空いてっからいーが行けない時だってあんだからなー」
「まぁ禁断症状が出ない程度にはしとく」
吸っていた煙草を消して立ち上がりぐいっと史乃の腕を掴む。
「ちょ、もうかよー!」
「巨大な犬が俺を呼んでいる声が聞こえる。撲殺のお時間だ史乃」
「はいはい分かった分かったー。んじゃ彩マスちょっと行って――――」
「………だめっ!!」
彩が突然間に割って入り史乃の胸にすがりつく。
今にも泣き出しそうな顔をしている彩を見て色取月は掴んでいた史乃の腕を反射的に離していた。
「えーと……………すみませんでした?」
「あっ………!!」
色取月の疑問系ながらも詫びる声で彩が慌て史乃から距離を置く。
「違うだめじゃない!全然だめじゃないから行って来いよ狩り」
「ちょっと待てってー」
さらに離れようとした彩の腕を史乃が掴んで引き寄せるが彩は下を向いて顔を見せようとしない。
「俺これから矢筒作ってくるからツキと行って来いって史乃」
「こっち見ろー彩マス。話す時は相手の顔見ろってあんたが教えてくれたことだろー?」
「…………ほんとにごめん」
優しく捕らえる手を振り払い、背中を向けて行こうとする彩を追い後ろから史乃が抱きしめ捕まえようとした。
ピィィィィィーーーーーーッッ!!!
「どうぅああぁぁぁああああああああああああああッッ!!!!」
鋭い鳴き声と共にトメが史乃目掛けて突進し容赦のない体当たりをする。
勢いづいたトメの体当たりを頭部にまともに受けて史乃の身体は彩に近づく事なく派手に横倒しになり、
その間に彩は見えなくなる所まで走り去っていってしまっていた。
「てんめー…このクソトメ!!絶妙なタイミングで邪魔してんじゃねーよ!!!」
見事な体当たりを決めたトメは怒鳴る史乃へ何かを言い返しでもしているのか翼を広げて威嚇し、
ピィィィピィィと何度か鳴くと彩の行った方角であろう場所へと飛んでいってしまった。
「あんのヤロー本気でやりやがって頭ぐらぐらすんじゃねーか…ってぐおおおおぉぉ!!」
立ち上がりかけた史乃の後頭部を背後から色取月が力いっぱい殴ってまた地面に座り込む。
「おいツキ!てめーまでなんだっつんだ!!」
「可愛い彩にあんな悲しそうな顔をさせた天誅だ」
「あのなー…それ言うなら状況的にお前も同罪なんじゃねーか?」
「俺はもう全面的に史乃が悪いと言いたげだったトメさんとかいうファルコンの声無き意見に賛同しただけだ」
いっそ堂々とした色取月の理不尽な物言いに立ち上がって殴られた頭を撫でつつ史乃は深いため息をつく。
「どうした。ため息なんぞついてたら幸が逃げるぞ」
「激しく納得できねー賛同はひとまず置いといてやるー………彩マスのさっきの態度。ツキはどー思う?」
「そうだな…史乃は俺のだからお前にあげないみたいなヤキモチ的心情が見え隠れしたような?」
「……………………」
「史乃、嬉しいのは分かったからとりあえずヨダレ拭けヨダレ」
「いやかろうじて垂らしてねーし」
「狩りはまた今度でいい。とっととフォローに行って来い」
「あー、悪ぃなツキ」
「その代わり次の狩りは5時間耐久だ。覚悟しとけよ?」
いっそ爽やかな笑顔と共に最後に残した色取月の言葉を史乃は聞こえなかったことにした。
* * *
「え、彩マス来てねーの?」
「うん、来てないよ。特に会う約束もしてなかったし」
矢筒を作成してくれる発明家ゼックスの所に彩の姿はなく、確信に近いものを持って史乃は明亭の
澪の部屋に顔を出したが見事に当てが外れて史乃は軽く落胆した。
「彩がどうかした?wisとかしてみたかい?」
「いやー…ちょっとした誤解っていうか手違いっていうかなー。wisとかじゃなくてきちんと顔見て話してーって思ったから」
「もし彩がここに来たら史乃が探していた事を伝えておくよ」
「頼むわー、んじゃ俺行くな。わりーな澪マス仕事中に」
「構わないよ。お疲れ様」
ぱたん。
「と言うわけで。史乃が探していたよ、彩」
史乃の居た場所からは見えない位置でソファーで寝そべり、擦り寄るトメの頬を指で掻いてやりながら彩はむくれ顔で澪を見上げた。
「澪…なんで俺がいること黙ってたんだよ」
「もし居ると話したとして。史乃とちゃんと話が出来たのか?」
「…………」
机の上の書類を取り澪は中断していた作業を再開しながら無言でクッションに顔を埋め返答を拒否した彩に更に言葉を降らせる。
「で、史乃と何があった」
「別に何もない」
「隠すな。彩が何をする訳でもなく突然俺の所に来る時は大抵何かある時だからな」
行動パターンを読まれていた。むしろ彩もまた澪がそう返してくる事を分かっていたからこそここに来たのかもしれない。
どこかで今の気持ちを聞いてほしかった思いがあったのかクッションから顔を離してぽつぽつと話し始めていた。
「フェイヨンたまり場にしてるギルドあるだろ、俺が復帰した攻城戦でケガしたトメさんの面倒みてくれたハンターの娘がいる」
「あぁ、例の騒動の時らこが仕事を代わったっていうアコライトの子もそのギルド所属らしいね。
あそこのギルドは女性比率が高いから紫罹や四季奈がたまり場に遊びに行ったりしているみたいだけど」
「うん。そこのマスターと史乃、結構前から一緒に狩りとか行ったりとかして仲良かったみたいで」
「なるほど分かった。大体把握した」
「まだ全部話してないのにか!」
ソファから起き上がり驚いた様子で言う彩に対し澪は作業の手を止めず、表情も変わらない。
「史乃とそのマスターが仲良くしてるのを見て嫌な気持ちになって。そんな自分がもっと嫌になってここに逃げてきたって所だろう」
「うぅ~…」
唸りながらまたソファーに倒れこんだ彩は何一つ否定してこない。
「どうやら当たりらしいな」
「ギルド内だけじゃなくて他にも交流広げてくことは本当ならマスターとして喜ばなくちゃならないのに。
史乃がツキと仲良さげに話してるの見たらなんだか胸がぎゅーってなって苦しくなったんだ」
「…そこまで分かっていてどうして1つの結論にたどり着かないのか逆に不思議でたまらないんだが」
「何がだよ」
「むしろそういうものなのかな。俺も確かに最初は実感無かったし」
「…だから何なんだよ」
そこで澪は作業していた手を止め、彩を指差す。
「彩は史乃の事が好きになったんだよ。恋愛対象としてね」
「どはあぁぁああああああああああああああ!!!!」
また起き上がって背もたれに背中をくつけて叫んだ彩の顔は耳まで真っ赤だ。
「寝たり起きたりと忙しいな、その反応からすると本当に露ほどの自覚もなしか」
「好きって俺マスターだぞ?ギルドメンバーのこと皆平等に見ないといけないのに1人だけ好きになるなんて…」
「俺もマスターだけど呂揮にだけは他のメンバーとは違う特別な感情を持ってるし愛しいと思ってる。彩は俺を否定するのか?」
「何言ってんだよするわけないだろッ!嬉しかった…澪に大切な人が出来たって、澪のこと大切に想ってくれる人が
出来たことがすごく嬉しかった!否定なんてしないししたこともない!」
「同じことだよ。俺も彩にとって大切な人が出来た事がとても嬉しい」
「………………どーしよ俺………」
ソファーの背に力なく全身を預け、気づかされた自らの気持ちに戸惑いを隠せないでいる様子の彩にクゥ…と鳴いてトメがぴっとりと寄り添う。
「落ち着かないならしばらくここに居ればいい。らこには上手く話しておくから」
「うん…ありがと澪」
トメの嘴に口付け彩はそう答えたきり黙り込み、澪もまた作業を続ける。
澪が与える無言と沈黙は、今の彩にはむしろ心地よかった。
* * *
「ねえらこさん、彩マスまだ帰らないの?」
「明亭のマスター会議が長引いてるんだって。終わるのはきっと深夜だから泊りになるかもって澪が言ってた」
「ふーん…そっかぁ」
いつもこの時間になるとメンバー全員の食後のお茶の準備をしながら今日あったことを聞いてくれる
彩の姿がいないせいか返事をした莉良の声は少々寂しげだった。
史乃はいつも通り台所の椅子につき酒を飲んでいたが、酔わない程度に留めているためそのペースはいつもに比べるとはるかに緩い。
結局あれから彩に会うことが出来ず、帰ってきたら話をしようと思っていた故だったが、
桜子の口ぶりからすると正直彩が今日戻ってくるかどうかも怪しい。
彩が戻ってこない理由は会議などではない事を史乃はうすうす感じ取っていた。
話すべきか、今は話さず黙するべきか――。
そんな事を史乃が考えていた時に届いたのは澪からのwisだった。
『史乃、今話しても大丈夫か?』
『あー今ホームだから平気ー。どしたー?澪マス』
『急で悪いんだけど今すぐ明亭に来て貰えないかな。彩のことでちょっと』
『彩マスの?』
『今日マスター会議だっていうのはらこから聞いた?』
『あぁ聞いたー』
『じゃあそれが【建前】だっていうことは?』
『らこはそうは言ってねーけどまぁある程度察してるってとこだなー』
『精神的に不安定になってるらしくて取り乱してる。もしかして今日史乃が彩を探しに来たことと関係あるのか?』
『…もしかしなくてもあるかもなー』
『だったら話は早い、すぐに来てくれ。他のメンバーにはなるべく余計な心配はかけたくないから彩のことは伏せておいてほしい』
『OK分かったー』
「史乃くん出かけるの?」
空になったグラスを流しに置き、外に出ようとする史乃の背中を桜子が呼び止める。
「あーちょっと明亭行って来るわー澪マスに呼び出し喰らった」
「そっか。帰りは遅くなりそう?」
「今の時間が時間だしきっと泊まりだなー」
「分かった、行ってらっしゃい」
「おー、いってきまー」
ぱたん。
史乃が出て行ってしばらくしたあと桜子が右手を上げる。
「はい。みんな集合」
号令に応じた居間にいる全員が桜子のいる台所のテーブル付近に一斉に集まる。
1人だけ状況が分かっていない琉風は呂揮に引っ張られる形だった。
「史乃くんはああいってたけど実際の所どう思う?」
「明亭にいる彩マスに会いにだろ。修羅場か・ベッドかは史乃次第ってトコか」
桜子の問いかけに煙草の煙を吐いた後最初にそう答えたのは理。
それに呂揮がうんうんと首を縦に振って賛同する。
「彩マスが参加した攻城戦から2人の間の空気なんとなく変わりましたしね」
「あの時エンペ前で惚れてたって言われたって彩マス叫んでたけど史乃やっぱり告白してたんだぁ」
理の隣でテーブルに座って足をぶらぶらさせながら莉良が少し驚いたように言うが、
やはり琉風だけがさっぱり意味が分からずに呂揮の服をくいくいと引っ張る。
「ねえ呂揮、告白したって…史乃が彩マスに?」
「史乃って琉風がここに来る相当前から彩マスのこと好きだったんだよ」
「えぇっそうだったの! 」
「琉風、それはあとで説明するから」
「あ…ごめん…!」
呂揮に窘められ琉風は慌てて口を両手で押さえた。
「っ…くしゅっ!!」
明亭の廊下を歩いていた史乃が派手にくしゃみをする。
「くそーホームできっとあいつら俺が彩マスと初ベッドインになるかどーかとか言ってんだろーな」
言った事が概ね当たっていることなどその場にいない史乃は知る由もない。
「ひっ…く…うぅっ…」
「…………!」
澪への挨拶も早々に彩のいるという部屋に辿り着き、ドア口から微かに聞こえてきた
嗚咽にも似た彩の声にしようとしたノックも忘れて史乃がドアを開け放つ。
「ほら、こことかこーしたらどう?」
「ひゃははははッ!!本当やめろって朱罹息できねー!!ひッ…ふひゃひゃひゃッッ!」
朱罹に身体をくすぐられ、ベッドで手足をばたつかせている彩の姿を
目の当たりにした史乃は半ば呆然としてその光景を眺めていた。
「あっれー史乃じゃん。どうした?」
「史乃…?」
史乃の顔を見た途端彩から笑顔が消える。
そんな彩の様子に苦笑しつつ、彩と一緒のベッドにいる朱罹を見た。
「いやー澪マスに、彩マスが今すっげー取り乱してるって聞いて来たんだけどなー?」
「え、取り乱してはいたぜ?彩マスがなんかしょんぼりしてっからそういう時は笑ったら
いいぞって今全身俺擽ってた時にな。すごかったぞーヒーヒー笑って取り乱してさぁ」
にんまりと笑う朱罹に確信犯的なものを感じながら史乃は短い赤毛をかき上げる。
「……OKOKー。要するに俺思いっきりハメられたってことねー?」
「まぁそういう事だ。んじゃ俺はこれで退散」
「朱罹」
不安そうに呼び止める彩の身体を朱罹はぎゅうっと抱きしめる。
「明日には擽りなんかしないでもちゃんと彩マスが笑ってるとこ見せて?」
「うん分かった。ありがと…朱罹」
「いいよ。じゃな?」
彩から離れ、すれ違いざまに史乃の肩をぽんと叩いて朱罹は部屋を出て行った。
「そのー…今日はごめんな?」
ややしばらく続いた沈黙を最初に破ったのは史乃の方からだ。
それを聞いた彩がぶるぶると首を横に振る。
「謝るのは俺の方だ。変な態度とってごめん史乃」
「彩マスはー…ツキが嫌いだったのか?」
「そうじゃない…嫉妬しただけなんだ俺」
「へ?」
史乃の中では想像すらしていなかった彩の答えだった。
「ツキに嫉妬してたんだ、史乃が他のヤツと仲良く話してるの見たらもう俺のこと好きじゃなくなったのかなとか、
ツキの方が好きなのかなとか色々考えて嫌な気持ちになって逃げたんだ。史乃に好きだって言われて俺ちゃんと
返事もしてなかったのにそんなずるい事考えてた」
史乃は無言で彩のいるベッドに近づいて膝をつき、視線を合わせると彩もまた伏せていた顔を上げて史乃をまっすぐに見つめる。
「いきなりこんなこと言われて史乃もびっくりしてると思うけど、俺もよくわかんないだけど!
………でも史乃が………史乃が好き…」
『なー、それってどういう好き?』
史乃が頭に描いたその言葉を発することはなかった。
聞く必要も無くなったかと彩からのキスを受けながら史乃はそんなことを考える。
「このキス…俺の恋人になるって意思表示だって思ってもいー?」
唇が離れたと同時問う史乃に対しゆっくりと彩が頷く。
「うん…いい。俺史乃の恋人になりたい」
「うっわー天然の上に直球かよー…可愛過ぎにもホドがあんだろー?」
「なんだよまた俺のこと天然みたいな言い方して!…あ。そうだ」
「?」
何かを思い出した様子で彩が史乃から離れて自らの服に手をかける。
「んーとこのくらいでいいって言ってたな」
「えーと、何シてんだー?」
彩が突然目の前で服を緩め出したので、あくまで平静を装いつつも史乃が尋ねた。
「朱罹から聞いたんだ、こうすれば史乃は素直になるって」
上の着ている服をはだけさせ、ズボンのファスナーを半分程下ろした姿の彩から史乃は咄嗟に視線を逸らしていた。
彩の気持ちを聞いたこの状況で、裸までいかなくとも彩のその格好は今の史乃にとって目の毒以外何者でもない。
「どうだ史乃、素直になったか?」
近づきそう聞いてくる無防備な彩に遂に観念したのか史乃は視線を戻す。
「あー。なったよ」
どさっ。
「自分の欲に素直に…なー?」
「ひゃ…あぁッ」
彩の身体をベッドへ押し倒し、その拍子に完全に開いて露になった胸を史乃がベッドに乗り上がりながら
大きな手で撫で回す。短い声を上げて彩が人差し指で乳首をくにくにと弄っている史乃の手に自分の手を重ねた。
「あッ史乃…んんッッ…」
「もー相当前から惚れ込んでよーやく成就して、そんな風に肌見せて誘われたら素直にならねー訳ねーって」
「何…俺がいつ誘って…んぁっ」
彩の耳に唇を押し当てられ、囁かれる史乃の低い声。
「あんたを抱きたい。あんたとSEXシたい」
「んッ…」
耳元で話されるだけでも感じてしまうのか彩の肩がぴくりと揺れる。
「でもあんたが嫌だってんならシない。前にも言ったけど傷つけてー訳じゃねーから」
耳から唇を離して間近で見つめている史乃の首に彩はしがみつく。
「嫌じゃない。史乃相手に嫌になんてならない」
「…そーゆー可愛いこと言うなってもー」
「あっあんっ…あぁッ…」
首筋に唇を滑らせて肌蹴ている服を完全に脱がせ、自らの服にも手をかけ脱いではぱさぱさとベッドの下へ滑り落としていく。
完全に露になった彩の裸体を少しだけ身体を離し眺めている史乃に彩は少しだけ恥ずかしそうに
俯いたが隠すようなことはせずにじっとしている。
ころりと引っくり返される時だけ僅かに躊躇したもののされるがままにうつ伏せになった。
「んっ…」
背中を大きく走る傷跡に指で触れ、それから唇でなぞり舌を這わせると漏れる彩の小さな吐息。
「史乃…史乃っ…史乃…しのぉ…」
目の前の枕をぎゅぅ…と抱きしめてほとんど泣きそうな声で史乃を呼んでいる
彩の声で、ちょっと困った表情で愛撫していた背中から顔を上げた。
「そんな不安そうな声で呼ぶなってー。俺ちゃんとここにいんだろー?」
「こういうの初めてだからちょっとだけ…本当にちょっとだけだぞ?えっと…怖いかな…って…」
「…………………………………………………………………………………………はい?」
あまりに長い沈黙のあとの返事だったせいか彩は抱きしめていた枕から顔を離し史乃の顔を見ながら慌てて付け加える。
「史乃が怖いとかそういうんじゃないんだぞ?だからえっとそのっ」
「いや、そういうことが言いたいんじゃなくてなー?初めてって…」
「うん、初めて」
「初めてっていうのは……えーと…」
「男相手のSEXも『される』のも初めてなんだよ!!何度も言わせるな馬鹿ぁッ!!!」
そう叫んだ後顔を紅くして枕に顔をうずめてしまった彩の背中を、史乃はぽりぽりと頭を掻いて見下ろしていた。
「悪ぃ俺てっきり『アイツ』に…」
彩を気遣ってか一羽の名前こそ出さなかったが史乃の言わんとしている事は分かったらしい。
埋めていた枕から顔を離してうつ伏せにされていた身体を自ら仰向けに戻して史乃の顔を見る。
「確かにあいつ…一羽に『こういうこと』求められた事は何度かあったんだ。でもその度にらこが
必ずどこに居ても出てきていっつもこの手前くらいで強制終了だった」
「はーはーはー…アイツがらこのことさも憎憎しげにお前超邪魔みたいな言い方してたのが今やっと分かった気がするわー」
「ひぁっ…」
彩の背中に手を回して傷跡を指でなぞり、史乃はその肌へと唇を寄せて首・鎖骨・腹部とキスを繰り返す。
胸の辺りはいっそしつこいくらい撫で舌先で尖った乳首をつつき、口に含んでちゅ、ちゅぱっ。
と音を立てて吸ってはまたぬるぬると舌で捏ねる。
「んっあッあんッあぁっあんッ」
両方の乳首が紅く色づきしこるまでたっぷりと嘗め回し彩の心と身体を高ぶらせた後、
ずるずると史乃が頭を下へ下へとおろしていく。
「あんッッ!!」
辿り着いた足の間でもう既にそそり立っていた雄をちろりと舐められ、ビクンと彩の身体が大きく跳ねた。
「あぁッはぅ…は…ぁんっ…あんっ」
急きすぎたと思ったのか史乃の舌はすぐに離れ、ふぅっと雄に熱い吐息をかけそこに近い内腿部分に
舌が移っていったことを少し物足りなく思いながらも内腿を強く吸われ開かされた膝をヒクヒクと揺らしていた。
内腿を愛撫していた唇をまた徐々に雄へと近づけ雄の根元に口付ける。
「あ…あ…あぁんっ」
先程のような過剰反応は来なかったので少しずつに慣らしていこうとしているのか
キスをしながら時折ぴちゃぴちゃと舌で舐めつつ史乃の指が彩の秘部に触れる。
「ア…ァ…アァッ…」
経験こそなかったが男同士のSEXは『どうするか』は分かっていたので
史乃の指が辿り着いた先は恥ずかしくはあったが彩に戸惑いはなかった。
むしろ史乃の方が何か戸惑っている様子で秘部に指を当てたまま動きが一瞬止まり、
何度か指の腹で擦ってから口を開いた。
「…あれーひょっとして…濡れてる?」
「もしかして…変なことなのか…?」
「変っていうか嬉しいっていうかなー…」
何処か珍しいものでも見るような史乃の物言いに不安になり彩は恐々尋ねるも史乃は曖昧な返事しかしない。
「やっぱおかしなことなんだな!」
「あーあー落ち着けって。やらしくはあるけど変ではないと思うぞー」
「全く全然フォローになってないぞそれぇッ!!!」
「いーんじゃねえの?個性の1つだと思えばー」
「個性で片付けるなよこんなの恥ずかしいだけだ…!」
「俺は嬉しーけど。これってすげー感じてるってことだろー…俺に」
「史乃…ん…ん…ぅ………!!」
半身を起こして抗議しようとした彩の身体をベッドに倒し、唇を史乃の唇で塞がれ彩の声を奪う。
「んっんぅ…ん…!」
キスを続けたまま3本の指で円を描くようにして秘部の入り口周辺を愛撫するときゅ、とすぼまった。
くちゅくちゅくちゅくちゅっ。
「んっんぅぅっんっんんー………ッッ!」
彩自身どうしてなのか分からないが、本来受け入れる筈ではない場所を愛撫されそしてそこから
女のように蜜を溢れさせていることを秘部を抵抗少なく滑る史乃の指で、湿った音で理解する。
「あ…ンッ…史乃っ…これは…アァッあぁぁぁ史乃ぉぉぉッ!」
唇が離れ、必死に何か取り繕うとした彩はそれすら出来ずに史乃に
雄を軽く握られ高い悲鳴を上げて身体をわななかせていた。
「彩」
先端を指で軽く引っ掻きつつ彩の名前を呼ぶ史乃の声。
『彩マス』ではなく『彩』と呼ばれただけで彩自身怖くなるくらい全身がぞくりと快楽で震え上がるのが分かった。
「身体ビクビクいわせてそんなに気持ちー?」
「あぁっあんっあぅぅぅんっ気持ち…いいっ…」
「舐めてしゃぶりまわしたら今よりもっと気持ちいーぞー?」
「んあぁぁぁッ!」
「あー…さっきよりもすげー濡れてきた。しゃぶられたことでも想像しちまったー?」
「し…したっ…」
素直に気持ちを吐露する彩に史乃は軽く目を見開き息を飲む。
「指でちょっといじられただけでこんなに気持ちいいのに…舌とかで舐められたら
どんだけ気持ちよくなるんだろうって思ったら…なんか熱くなって…」
「そうくるかー…天然の煽りってマジでクんなー」
「だから天然じゃ………あッあうぅんッッ」
引っかかれていた敏感な先端に史乃の熱い吐息がかかりとろりと先走りが彩の雄を伝う。
「それならー…今から舐めてたっぷりしゃぶり回してやるなー?」
「アッアァッアう……あぁ…しの……あうぅぅぅぅぅ………!!!!」
思わせぶりにちろちろと舐め、先端を口に含んで軽く吸った直後シーツを
強く引っ張り彩は大きく身体を痙攣させて達してしまっていた。
「ちょこっと咥えただけで出ちまったなー」
咥内に吐き出されたものを飲み下し、自分の口でイって息を乱す彩を見て史乃は嬉しそうに微笑む。
「あんっあ…アァ………」
「これからたっぷり舐めっから、今度はじっくりタンノーして?」
「あんっ史乃っあ…はあぁッ…アァァァァァァァッ!!!」
ぬるりと彩の雄が今度は先端だけではなく根元まで史乃の咥内に包み込まれていく。
「すげー…さっき出したばっかなのにもう硬くなってきた」
一度離して勃起した雄を彩に見せた後また奥まで咥え込み口で扱いた。
「あぁっあんっあんっあんっ舌がぁっ史乃の舌がぁッあぁァんッッ!」
雄が咥内でぬるぬると史乃の舌が纏わりつきちゅぱちゅぱと音を立ててしゃぶられるたびに
彩はベッドから腰を浮かせて震える。泳ぐ腰の動きに合わせて追う舌は彩に快楽だけを生ませていた。
「あうぅぅあんっあぁッあぁぁぁあんんッッ!…ひ…ァ…………!!!」
秘部を擦っていた指の1本にぐぅ…と力が入って第一関節が潜り込みそこで彩は怯えからか初めて身体を強張らせた。
史乃はすぐに気がついて指をそこで止める。
「怖い?」
口を離し、立ち上がったままの雄にキスをして尋ねる史乃に目を潤ませながら彩は首を振る。
「…ちょっと…だけ…でも平気…史乃だから…」
「息吐いて、力抜いて」
「うん…」
つぷつぷと体内に侵入してくる指を力任せに締め付けるが、史乃に促され素直に息を吐いてその指を受け入れていく。
指は根元まで入れられたあとしばらく動かずにいたが、雄への舌の刺激が再開すると共にごくごくゆっくりと動き始めた。
「あ…はぁ…ぅんっ」
初めてのことで出入りを繰り返す指になんとも言えない異物感を感じていたが
やがて雄の刺激と相まって彩はそれ以外の何かを感じ始めていた。
「あんッあんっあッあん…あ…うぅぅぅ…ッッ」
強い圧迫感で指が2本に増やされたことが分かる。
ゆっくりだった指の動きは徐々にはやく、そして大胆に抜き差しされていったが彩に苦痛や不快感はない。
「きもち…いぃっ…」
「ココ…?それともーコッチ?」
「ひぁ…あんッあぁんッ」
雄と、3本に増やされていた指を飲み込まされている秘部を交互に舐められた。
「どっちも…きもちいぃっ…」
「前も後ろもぬるっぬる…すげーやらしくて…ソソる…」
「…ぁ…また…イくぅ……ああぁぁんっ」
ちゅる、ちゅっ…………。
「あぁっあんっあぁぁぁッアァァァァァ…………!!!」
きつく雄を吸い上げられまた史乃の咥内に精を放ち、喉を鳴らして史乃が自分の精を
飲み込む音を史乃の髪をやんわりと掴みながら彩は聞いていた。
最後に軽く先端を吸った後でやっと史乃は彩の雄を離すと口周りの精液を舐め取りながら
秘部の指もぐちゅりと粘着質な音を立てて引き抜いていった。
「史乃…史乃ぉ……俺…なんか変だ…変だよ俺っ…」
「何がー?」
無意識に流していた涙を腕で拭い、彩の足の間に身体を割り込ませてくる史乃の頬へと片手で触れる。
「史乃の触った所全部気持ちいい…俺本当に初めてなのにっ…あァァァッッ…!」
秘部に当てられた熱いモノが史乃の雄だと分かると逃げはしなかったが喉を逸らして両足で史乃の身体を挟め込んだ。
「なぁ、『コレ』で触っても気持ちー?」
雄を上下に動かして彩の秘部を擦るとくちゃくちゃと音が漏れ史乃の先端を蜜で濡らす。
「気持ちよく…してっ…」
「彩…さっきみたいに力抜いて?」
「うん…史乃…しの…史乃ぉっ…」
名前を呼ぶ彩に誘われるまま史乃は身体を進め押し当てた雄を彩の中へと沈めていく。
指ではない段違いの大きさの雄に彩は苦しそうな表情を浮かべるが指を飲み込んだ時と
同じように息を吐き、史乃を受け入れようとする。
「ん…あ…あんっ…あァ…くんッ…」
ゆっくりと時間をかけてやっと彩の中に全てをおさめ、史乃は焦がれた人と漸く1つになれた幸福感と共に、
頭をもたげた思うまま目の前の存在を貪りたいという獣じみた情欲をなんとか押し殺し彩に優しい口付けを落としていた。
「痛い?」
「大丈夫…」
そう言いながらきつく抱きついてくる様子は些か苦しそうで、すぐには動かず彩を抱きしめたままでいる。
「史乃…俺平気だから…動いて…」
「んー…」
せめて苦痛が少しでも和らぐようにと彩の雄を扱きつつゆっくりと前後に動く。
きつさはあるようだが快楽を消すほどの痛みはないようで、扱く史乃の指に従順に反応して雄は立ち始めていた。
「ひゃ…あ…あうぅぅぅんッ!!」
動いていた史乃の雄の先端がある箇所に触れた瞬間彩が過剰なまでに乱れ悶える。
「ひ…ぁ…なんかソコ…」
「ココ?」
「あうぅぅぅぅうううッッ!!!」
その場所をくいくいと何度か雄で押せば僅かな動きだけでも感じてしまうらしく彩の嬌声は高くなった。
「うわ…ここ突いたらすっげー締まった。彩のイイトコみっけー」
「ソコっ…史乃のでぐりってされたら…なんか身体がヘンになりそうなくらい気持ちいいッ…」
「だからあんま煽んなってー…優しくしてーんだから…」
「だって…本当に気持ちぃッ…あぁっあっあうぅぅぅんッッ」
「突けば突くほどヌルヌルして絡み付いてくる…マジでたまんねー…」
「あうゥゥっあんあんッあぁぁんッあぁぁぁッあァァァァんッ!!」
彩が気持ちいいと言った部分を雄で突いてやると先ほどまでの
苦痛の表情を忘れさせるほどの歓喜の悲鳴を上げて彩は乱れた。
その姿に欲情し、彩の包み込むような秘部の感触に酔い史乃も高みへと近づいていく。
「史乃っあっもぉっあぁんっあッあんッ史乃ぉぉッあァァァァッッ」
組みしくその下で雄を出し入れさせられよがるその姿に最後には彩が初めてだと言うことも忘れ
史乃は乱暴に動き彩の体内を蹂躙していた。
「あぁッあんっあんっあんあんあんあんあうぅぅぅぅぅ…………ッッ!!」
ぱたぱたと彩は腹部に精を散らし、無意識なのか体内の史乃の雄をきつく締め上げる。
達する瞬間史乃は彩の秘部から雄を引き抜き彩の精が散っているその腹部に自らもまた撒き散らした。
「…は…ッ………」
吐き出し終えると史乃は大きく息を吐き両肘をベッドに着いて彩の身体に自分の身体をそっと重ね、
史乃の身体にすがってくる彩に唇を重ねた。
「悪ぃ…後半ちょっと乱暴にシすぎた…キツかったかー?」
「入れられた時はやっぱりちょっと苦しかったけど…でも…気持ちよかった…」
「そっかー…ならよかったー…」
乱れた彩の前髪をそっとかき上げ今度は額にキスをし史乃が起き上がる。
「シャワー、先行って来ていーぞー」
「…………」
彩は起き上がるがそのまま動く気配が無いのでおどけた口調で史乃が顔を近づける。
「どしたー、もしかして一緒に風呂入りたいとかかー?」
「お前さ、まだ満足してないだろ」
「おわっ…!!」
史乃の股間に彩の手が伸びたかと思うとぎゅむっと雄を握られ、まさか彩が
そのような行動に出るとは思わず流石に慌てて手首を掴んで引き離した。
「そうなんだろ?史乃」
真っ直ぐに見つめる彩のアクアマリンの瞳を前にごまかしや嘘は絶対に通じない。
今さっき出来たばかりの恋人の関係ではなく、長年のギルドメンバーとしての史乃の経験と確信だった。
「あーもー言うまで俺の気持ち全っ然分からなかったクセにどーしてそーゆーとこはカンがいーかなー…」
掴んでいた彩の手を離し、ベッドに両手をついて天井を仰いだ史乃は深いため息をついた。
「やっぱりまだ満足してなかったんだろ」
「ぶっちゃけシ足りなくはあった…なー」
歯切れの悪い口調でにじり寄ってくる彩の裸体から視線を逸らしつつ本音を吐く。
やっと想いを遂げることが出来た愛しい人。本当なら彩が意識を手放すまで―――否、意識を飛ばしても離したくない。
「だったら満足するまで俺のこと抱いてくれよ。俺なら大丈夫だ」
「あのなー、大丈夫なわけねーだろ…初めてのアンタにそんなことしたらきっと壊しちまう。
言ったろー?大事にしたいって、だから今はヤらねー」
「なんで史乃ばっかり我慢しなきゃならないんだよ、そんなのおかしいだろ…!」
「…っ…」
抱きつかれ彩からのキスを受ける。ぴたりとくつけられたその肌と唇の感触は
史乃の抑え込もうとしていた欲を表に出すには十分すぎるほどだった。
「我慢なんてするなよ史乃、本当はどうしたい?」
唇をほんの少しだけ離して誘惑してくる恋人の甘い声。
『俺はアンタを大切にしたい』
頭に浮かんだ言葉とは裏腹に、気がつくと史乃はすがっていた彩の身体をベッドに押し付けていた。
「あ…ひッ……あァァァァァァァッッ!!」
腰を捕まれ当てられた史乃の雄がいつの間にか猛っていた事に驚く間もなくそれは彩の秘部に突き入れられる。
「アンタさり気にひっでー人だなー…優しくしてーって言ってんのに
挑発することばっか言って…マジでアンタのこと壊しちまうかもしれねーぞ…?」
脅しにも似た言葉を吐く史乃の背中に腕を回し、すがりついてくる彩の肌からは少しの恐怖も拒絶も感じられない。
「俺全部ちゃんと史乃のこと受け止めるから…だから史乃っ…もぉ…我慢しないで…」
「………………」
「んっ………」
史乃が揺すっていた身体を急にゆっくりとした動きに変え寄り添う彩に頬擦りする。
気持ちよさそうに目を閉じて彩もそれを頬擦りで応え抱き締めていた史乃の背中にごくごく弱くだが爪を立てた。
「あっ…ぅんっ…史乃の…が…」
「んー…俺のがー…?」
「なんか…史乃の…中で大きくなった…あぁッ」
「あんたが可愛いコト言って擦り寄ってくっからだろー……彩」
「あっあぁっ…あうゥゥゥゥゥんッッ!!!……アァッ…あ…あぁんッ…」
何度も浅く抜き差しを繰り返していた雄を突然深く挿入して奥を攻め、彩が高い鳴き声を上げれば
ギリギリまで引き抜きイイ場所とは全く違う部分に思わせぶりに雄を擦り付ける。
いつくるか分からない悦の波に彩は翻弄され、その期待からか蜜は増し
史乃と繋がった部分からしとどに溢れ流れ落ちていった。
「あんッあんッ…あッアァァァァァァァッッ!!!」
緩い動きを繰り返していた所をベッドがぎしぎしと軋むくらい激しく動かれ、
そればかりではなく雄を握られ扱かれ最奥を探る史乃の雄を締め付ける。
その締め付けで体内にある熱い怒張を生々しく感じながら彩は史乃の雄を奥に咥えたままで精を吐き出していた。
「イク時ヒクヒクッて締まってすげー気持ちよかった。ずっとこーしててーな…」
「あっあぅぅ…史乃ぉ…あぁぁぁッ」
彩が何か言う前に膝裏に史乃の手がかかり左右に広げ、イったばかりの雄も史乃の雄を咥えこんだ
秘部も精を散らした胸も腹部も全てを見られ、そして見える格好にさせられた。
「彩。手ーどけて」
恥ずかしいのか手の甲で顔を覆ってしまった彩のその手に史乃の唇が触れた。
「史乃…しの…」
「あんたの顔が…目が見たい」
「………」
僅かに躊躇った後、顔を覆っていた手をそろそろとどけると史乃は震える彩の唇を啄ばんだ。
「彩の恥ずかしー所もヤラシー所も全部見せて、全部見たい」
「し…のぉ…」
「俺に触られていっぱいヤラシー気持ちになって、彩」
「おれ…だけじゃなくて史乃もっ…アァァァァァッッ!!」
抱えていた片足を解いて行った史乃の指先は彩の胸。胸全体を掌で愛撫し先端でぷつりと尖る乳首を
交互に指先で弄れば頭の枕を両手で掴んで淫りがましく身を捩らせる。
「史乃ぉ…あァァッ…あうぅぅッ史乃ぉッ俺…おれぇ…アァァァ史乃ぉぉぉッッ!!」
乳首を弄りながら史乃が彩の上に覆いかぶさりそのまま密着すればどちらかも分からぬ体液でぬめり、にちゃりという音が立つ。
鍛えられた史乃の腹部が達した彩の雄を擦り、内壁を史乃の雄が擦る。気持ちのいいこと
ばかりをされて彩は唾液を飲みこむ余裕もないほど嬌声を上げ続けていた。
「アァァッあんっあぅぅんッあんッッ!!!史乃ぉ史乃ぉぉっアァッあァァっまたっ…あうぅぅぅぅッッ………!!!」
悲鳴と共に達した彩の精が腹部を滴りシーツに流れ落ちていく。
「2回目…このままでもっかいイかせたらこーゆーのも抜かずの3発になんのかー?」
「馬鹿ぁッ…あッあんんッッ」
伝った精液を拭って舐めてみせる史乃に対して毒づくも、止まっていた
腰を動かされればそれはすぐに言葉を失い鳴き声に変わってしまう。
「…俺ばっかりじゃなくてっ…史乃もぉ…史乃もイって…いっぱい…あァッあぁぁぁァァッ」
「悪ぃー今日はあんたの言う事聞けそうにねーわ」
「あぁんっあんッあうぅぅッあうぅぅぅぅッッ」
雄を飲み込む彩の秘部はあとからあとから蜜を溢れさせ、史乃が突き上げてくる度に
繋がった部分からぐぷぐぷと卑猥な音を立てて流れいつしかシーツに大きなシミを作っていた。
「彩のヨガってイってる所見まくりてー。俺ので感じてる彩イッパイ見せて」
「あぁっ史乃ぉっあんっあうあうあうあうあうぅぅぅぅッ」
「いっぱい鳴いて名前呼んで…俺に夢オチなんかじゃねーってちゃんと自覚させてー?」
受け入れている様がもっとよく見えるように彩の足をさらに開き、史乃の名を呼んで快楽に泣き、
そして鳴いている彩の姿を恍惚とした表情で見つめながらもその動きは激しさを増す。
「あぁっあんっあんッ…夢…じゃないっ…俺お前のそばにちゃんといる…から…」
枕にしがみついていた両腕を史乃の首に回してきゅ。と彩が抱きつき、しっとりと吸い付くような
彩のその肌で史乃は更に欲情する。そして頬を擽る史乃の赤毛に口付け紡がれた彩の囁きは
史乃の一欠片ながらも残っていた理性を削ぎ落とす呪文のようなものだった。
「愛してる…史乃」
「彩……………今ので完全にブっとんだわ俺」
「え…何…?…あッ…史乃…史乃ッ………あァ……アァァッアあゥゥッアァァァァーーーーーッッッ!!!」
彩の身体を貫く熱い感触と強い悦。
今までの激しい行為ですら優しかったと思わせるほど史乃は彩の秘部を自らの雄で滅茶苦茶に打ち付けていた。
「あぁんッあぁぁんッあんッあんッそこ強いッ…アァァァあうぅぅッあうあうあウゥゥゥゥッッ!!!」
「最後まで優しく抱いてやりたかったけどもー無理……アンタを根こそぎ喰らい尽くすまで離さねー…」
彩の背中をかき抱き荒々しく身体を揺さぶる史乃は正に獣のそれだ。そんな史乃を拒むどころか
雄をそそり立たせる様は史乃の行為に応えてさえいるようだった。
「また勃ってんなー彩…あんたもしかして絶倫?」
「だって史乃の…気持ちいぃっあぁんいぃっいぃぃぃッあァァァんッッ!!」
からかい口調で言っても戻ってくるのは史乃の情欲を煽る言葉と嬌声ばかり。
「言葉で煽ってグッチャグチャに濡らしたココで煽ってイィイィって鳴いて…
もう本気で離してやらねーから覚悟しとけよー?………彩…」
秘部が濡れている事を言われるとそれは恥ずかしいのか顔こそ赤らめるが、ぐちょぐちょといやらしい音を
立てさせて身体を揺すられても史乃にぴったりとくっつき離れようとしない。
「史乃っ史乃ぉっアァン史乃ぉっ…愛して…るっ……あんっあぁんっ史乃ぉぉッ」
「…彩…彩……あ…やッ…………」
大事にしたい壊したくないと口先ばかりで獣の如く本能のまま身体を喰らう自分に自嘲しつつも、
どこまでも受け入れ愛を囁く彩にこみ上げてくるどうしようもない程の愛しさ。
「彩…すっげ愛してる」
長い間秘めていた想いを吐き出し、史乃はすがる恋人に口付けその身体をしっかりと抱きしめた。
* * *
「あ、史乃くんだっおーはよっ」
「よー、おはよー四季奈」
四季奈が厨房を通った時、そこにいる史乃の姿を見つけて声をかける。
「メシ食おうと思ったんだけどなんかあっかー?ないならテキトーに厨房のモン拝借すっけどー」
「確か澪マスが昨日朝食の確認とってた時にいつもより多くカウントしてたから多分どこかにあるはずだよ」
「あー、あったあったこれかー」
「あれ、どっか持ってって食べるの?」
「部屋になー。多分歩くどころか起きるのもつれーだろうし」
用意してあった2人分の食事をトレイに乗せている史乃をさり気なく
手伝ってやっていた四季奈がそれを聞いてものすごい勢いで見上げる。
「起きれないって………もしかしてもしかしなくても彩マス?」
「そー。もしかしなくても彩マス」
「ちょっ…ちょっとやめてよ史乃くん!朝っぱらからテンション上がるようなこと言うの!!!」
「そのニヤけた顔じゃちっともやめてじゃないってーの」
「おはよ四季奈」
「あっはいはーいおはようございますーってはきょえああああああああああああああああああああああッッ!!!」
ふと後ろから聞こえた声に笑顔で振り返り挨拶した四季奈だが、その相手が彩だったという事が
分かるや否や厨房に振動が起こるかと思われるくらいの声を上げて
後方に退く姿はシーフ系スキルのバックステップの如く鮮やかだ。
「なんだよ四季奈!人のこと化け物か何かに会ったみたいな悲鳴上げて!」
「だって…だって彩マスがっ…!」
「もしかして何で俺が明亭にいるのかってことか?それは色々事情っていうかなんていうか…」
「違うのそういうことじゃなくって!!彩マスが女の子からオトナの女になったみたいな顔してるんだもん!!
…やっぱりそうなんだ、そうなんだね彩マス!!!」
「なにがそうなんだねだよ意味わかんねえし!しかも女って何だッ!!!俺は正真正銘男だぞ!
セクハラになるから見せないけどちゃんとちゃんと男だからな!」
「ごめんなさいごめんなさいむしろ見せてくださいひょっとしたら内腿あたりとかにキスマークとか
あったりしてぇとか思ってごめんなさいごめんなさあああああいいいいぃぃいい!!!!」
「なっ…なんでお前がそれ知ってるんだよ!!」
びきり。とそれを聞いた四季奈の身体が固まり動かなくなる。
あーあーあー。と史乃は言いはするが笑いを浮かべたその顔はむしろこの後の展開と行く末を楽しんでいるようにも見えた。
「…四季奈…どした?」
不自然に固まってしまった四季奈を彩が覗き込むととたんにふるふると首を左右に振って悶え出した。
「はきゃぁあああああ本当につけられてた本当につけられてたんだ!!悔しい同じ建物に居て
気づかなかったなんて!!彩マスの開通式が行われていたなんてええええええ!!!」
「開通式じゃなくてSEXだっ!!ってか開通式とか女の子がそんな破廉恥な事口走るな通りすがりの人が
コッソリ聞き耳とか立ててたらどうすんだああぁあああああぁあああ!!!」
「はきゃあああはきゃあああやっぱりそうだったんだ!史乃君と結ばれてせっくすしてたんだッ!!!」
「なっ…なんで俺のSEXの相手が史乃だって分かったんだよ四季奈!!」
「いやぁぁぁあああもうだめもうムリもうだめえぇぇぇぇぇぇええッ!!!!!!!!」
そういい残しハキャーと悲鳴を上げながら四季奈はそのまま走り去っていった。
「なんつーか。朝からあのテンションは恐れ入るなー」
「おい史乃聞いたか今の!!女の子が口走る言動じゃないだろ通りすがりの人が
すぐ側に立ってたりとかしたらどうするつもりなんだあいつ!!!ってかこっちが言ってもないこと
ズバズバ言い当てて実はエスパーなんじゃないのか!?」
「ってかなー、あんたの口走ったことも相当だと思うぞー?」
「…俺?何がだよ」
「まーココにキスマークつけられてー俺とSEXシたっていうのは
変なことって言うよりも本当のことではあるけどなー」
「………………………あ」
そろりと史乃に内腿のキスマークをつけられた辺りの場所を撫でられ、彩がやっと今になって
自分の言動が恥ずかしいものだったという事に気づいたらしい。
「もー気づくのおせーって」
「ちょ…俺四季奈にちゃんと話してくる!」
「いーっていーって。どーせ遅かれ早かれ知られることだろー?」
「う~…」
厨房を出ようとした彩の腕を掴み、史乃の言うとおりだと思いつつも些か
不服であるのか小さく唸っている彩をそのままひょいと抱き上げた。
「……史乃……?」
「部屋。俺飯持ってきてやっから待ってろー」
「…別にいいって史乃歩ける…!」
立とうとして足を揺らす彩の身体を抱えなおす史乃は下ろそうと言う気はさらさらないらしい。
「うそつけー歩いてた時ふらふらだった癖にー」
「でもちょっとこれは恥ずかしいって言うか…!」
「ホーム戻ったらちゃんといつも通りにすっからー戻るまでは…」
近づいてきた史乃の唇を彩は拒まずに受け、それから史乃の首に腕を巻きつける。
「戻るまで…な」
「んー、分かった」
了承を得たとばかりに史乃はもう一度口付け、それから彩を抱いたまま部屋への階段を上っていった。
PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル