理由・なし

 

「お、琉風じゃねーか」
首都の中でも特に人がひしめき合う露店通りで店を出していた史乃が、人ごみの中で見知った顔。琉風の姿を見つけて手を振った。
その声に気づいて琉風が人ごみの中できょろきょろと当たりを見回し、史乃の姿を確認すると近づいてくる。
「よー、狩場帰りか?」
「うん。これからホームに戻る所」
琉風がそう答えを返しながら邪魔にならないように史乃が露店を出している脇に屈んだ。
「そかー。そういえば頼まれてたヤツ、さっき売れたぞ?」
「本当?」
「ほれー、売り上げ金」
「あ、ちょっと待って」
史乃がゼニーの入った袋を差し出すと琉風が手にしていた荷物袋から何かを取り出す。
「はいこれ」
「ん?」
琉風にゼニーを渡したあと、代わりに手元にきた結構な数のオリデオコンを見て史乃は首を傾げた。
「露店してくれたお礼。最近結構安定してスリーパー狩れるようになったからそこのドロップで出た
 オリデオコンの原石を精錬所で塊に交換してもらってきたんだ。史乃精錬で結構使うみたいだから」
「そっかーサンキュ。すげー助かるわ」
本当に嬉しそうな顔をして受け取ったオリデオコンをカートの中に仕舞いこむ。
「こっちこそ露店売りしてくれてありがとう」
「おぉ、必要になったらまた言えよ?」
「うん」

「あっれー…。琉風、あれさーリィと四季奈じゃねー?」
「あ、本当だ」

琉風がその視線の先を追うと史乃の言った通り理と四季奈の2人
が向かい合って立っており、何か話し込んでいるのが伺えた。
「何か渡してるね」
四季奈が大きい壷らしきものを理に手渡しているのが見ながら、琉風の肩に顎を乗せて史乃がさらに目をこらす。
「酒じゃね?ひょっとしてー」
「どうなんだろう。ここからだとちょっと遠くて分からない」

「よーし。琉風行って来ーい」

史乃がそう言うと肩から顎を離して2人がいる方向を指差した。
「2人んトコ行って渡したヤツなんなのか確かめて俺に報告ー」
「え?え?」
「俺露店中で動けない。お前はホーム戻るだけ。OK?」
「史乃…あの…」
「おらおら行ってこーい」
訳も分からぬうちにぽしぽしと背中を軽く叩かれ、促されるまま琉風は立ち上がって2人の方へと向かっていった。
近づいて来る琉風の存在に理はすぐに気がついたようだが、丁度背中を向けて話している四季奈は気づいていないようだ。

「香りと味はリィ君の要望通りに…」
「こんにちは四季奈さん」
「はいはーいっこんちはーって……はきょえぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁああああああッッッ!!!!」

名前を呼ばれ笑顔で後ろを振り返った四季奈は挨拶をした琉風の顔を見るや否や
近くで露店をしていた人が一斉にこちらを向くくらいの大きな声を上げて勢いよく後ずさった。
「露店通りで大声出してんじゃねっつの」
四季奈が後ろにつんのめった先にいた理が片腕でその身体を支えると
四季奈の顔が爆発でも起こしたかのように一気に真っ赤になった。
「うほうぉぉおおおッ!!!…だめだめだめだめリィ君だめだって顔とか近い近い超近いからッ!!!」
「ダメとかいいつつナンだよそのだっらしねえ満点の笑み」
「いやもうなんていうかっリィ君ほんとゴチソウサマでございます…!!!」
「それはそれはオソマツサマで?」
「あのっ四季奈さんごめんなさい!別に驚かすつもりじゃなかったんですけど…!」
2人のやりとりを見ていた琉風がどこか足取りがおぼつかない様子の
四季奈の方へと近づき、正面から腕を取ってその顔を覗き込んだ。
「うひゃおえええええッッ!!琉風君お願いだからやめてっそんなに顔近づけないで!!
 今君ら2人に挟みうちにされたら本気で死ぬ!絶対萌え死ねるからッ!!」
「死ぬって…………四季奈さん大丈夫ですか!?」
自分が話しかけてから明らかに様子がおかしい四季奈に、腕を取ったまま心底心配した様子で琉風が見つめている。
「もぉおおお〜あたしの煩悩脳内露知らずで超心配そうにしてる琉風君がかわゆすぎるよぉ〜…」

「おい四季奈」
「ほへっ?」

琉風の腕を力なくおしのけ俯いていた四季奈が理を見上げると、琉風の頬を撫でながら理が顔を近づけた。
「……理っ…」
その意図を察したのか琉風が離れようとした時。

がくん。

丁度2人の中央にいた四季奈の膝が折れ倒れかける。
「四季奈さん!!」
琉風が叫ぶと同時崩れかけた四季奈の身体を理が両腕で支えた。
「四季奈さん?四季奈さんッ!?しっかりして下さい四季奈さんっ!!」
「はきゅぅぅ……」

刺激を与えてはいけないと思ったのか身体を揺さぶることこそしなかったが、大声で何度も
四季奈の名前を呼んでも当の四季奈は奇妙な声を漏らし、琉風の声に反応が見られない。
「理どうしよう…四季奈さん起きないよ…!」
「『コレ』すら夢見るオトメには刺激が強すぎたか」
「え?」
その言葉に不思議そうな顔をしている琉風をよそに理は四季奈の身体を抱き上げる。
「琉風・ホーム前のポタ出せ。らこだったらなんとかなるだろ」
「うん、分かった…!」
ワープポータルを出すと四季奈を抱き上げた理はその中に入っていき、後からすぐに琉風が続く。
そして先に着いた理よりも早くホームの扉を勢いよく開けた。

「らこさん!らこさんいますかっ!?」
「あ、琉風おかえりぃ〜」
「お帰り琉風くん、どうしたの?」
キッチンの側にあるテーブルで莉良と一緒に野菜の皮むきをしていた桜子が手を止めて
血相を変えた様子で自分の元に走ってきた琉風を見上げる。

「あのっ四季奈さんが気を失っちゃって…理がらこさんならなんとかしてくれるって…!!」
「落ち着いて。何があったのか詳しく話してみて」

立ち上がって肩に手を置かれながら桜子にそう言われてようやく自分が動揺してきちんと状況を伝えられていなかったことに気づく。

「あのっ…」
「こういうコトだよ」

琉風が一度深呼吸してから口を開きかけた時、後から入ってきた理が四季奈を抱き上げた状態で桜子の方に近づいてきた。

「お帰り、リィくん。もしかして四季奈くんがこうなった時琉風くんと一緒にいたりした?」
「あぁ」
「そう、一緒だったんだ」
桜子がそう呟き、琉風と理を交互に見たあとうんうんと首を縦に振った。

「うん、大体把握」

「えッらこさん分かったんですか!?」
自分がほとんど説明していないにも関わらず事態を把握したという桜子に琉風は驚きの表情を隠せない。
「リィくんと琉風くん2人でいて、そして四季奈くんが倒れたんだよね。何が起きたか大体想像はついた」
「あの…四季奈さん大丈夫なんでしょうか…?」
「心配しなくても大丈夫だよ琉風くん、ちょっと刺激の強いもの見て目を回しちゃっただけだろうから。だよね?リィくん」
「あの程度でか」
「どの程度かは分からないけど、どちらにしても四季奈くんじゃ刺激が強すぎるんだよ」

「あーペロスの体液やっと落ちたーっ!」

濡れ髪をタオルでがしがしと擦りながら彩がリビングの方に入ってくる。
「四季奈来てたのかって…ん?どした?」
理の腕で目を回している四季奈を覗き込む。
「騒がしいけど何か……あれ、四季奈さん?」
居間の騒がしさに部屋にいたらしい呂揮も顔を出してくる。
「おーやっぱこっちだったかー。四季奈がなんかよれんよれんしてたけど大丈夫かー?気になったから露店たたんできちまったー」
さらに外の扉が開いて史乃も戻ってくる。
しばらくその様子を黙って窺っていた桜子が静かに口を開いた。
「リィくん、悪いけど四季奈くんのこと私の部屋まで運んでもらえるかな」
「待てよらこ。部屋連れてくのならひとまずそこのソファとかの方がよくないか?意識戻るまであんま動かさない方が…」
「だめ」
彩の提案は桜子により即効却下される。
「今日は再気絶要素多すぎるから。あと莉良くん、四季奈くんに今日買ってきた紅茶淹れて持ってきてくれる?」
「はぁーい」
莉良が野菜の皮むきを中断して棚の中から真新しい紅茶の缶を取り出し準備をし始めた。

「なぁ史乃。らこが言ってた再気絶要素ってなんだ?」

桜子と、四季奈を抱いたまま廊下を歩いていく理を見送り彩はぽりぽりと頬を掻きながらとなりに立っている史乃に尋ねる。
「恐らくはー、野郎のギルメン全員揃っていることとー彩マスが風呂上りだっつー状況とー、呂揮の今の格好なんじゃねー?」
「俺と呂揮?なんでだよ、呂揮も別に変な格好してもないし俺だって風呂上りだけど素っ裸っていうならまだしもちゃんと服は着てるし」
「あー…うん、把握」
「え、呂揮は何で分かるんだ?」
事態を飲みこめていない彩だけが史乃と、部屋着なのかチェイサーの装束よりも遥かに露出の高い薄着姿の呂揮を交互に見る。
「ええとですね…俺の今の格好とか、彩マスのその風呂上りの姿とかを奇妙なフィルターかけて見ちゃう人なんですよ。四季奈さんは」
「いや意味わからん!通りすがりの人が聞いても分かるようにきっちり説明しろっ」
「彩マスほんとわかってな〜い。女ゴコロは複雑で、超〜ボンノーなんだよぉ?」
「莉良?」
紅茶の入ったポットをのせたトレイを持って側を通りざまに言った莉良の言葉に彩はますます首を捻らせたのだった。

* * *

「んで、結局四季奈は大丈夫だったのか?」
「うん。ちゃんと意識も戻ったし大丈夫そうだったから私の部屋から明亭前のワープポータル出してあげた」
食後の紅茶を淹れながら尋ねる彩に、その淹れたての紅茶を飲みつつ桜子が答える。
「どうせなら飯食ってけば良かったのに。ほらリィとお前の分、蜂蜜入りこっちな」
「だよね〜彩マス新作のポトフすごく美味しかった〜」
リビングのソファに座っている理へ受け取ったカップの片方を渡した莉良が、蜂蜜入りの紅茶を
飲みながら今日の夕食のことを思い出しているのか顔をほころばせている。
「だから四季奈くんにはいろいろと刺激が強すぎるんだよ。今日は特にかな」
「脳内と・実際取る行動は過激なクセにな?」
そう言った理がカップを手に立ち上がり、床に置きっぱなしになっていた四季奈から受け取った壷を持ち上げる。
「リ〜ィちゃん、俺もちょっとだけ欲しいな〜それ」
椅子の背に後頭部を乗せて椅子を斜めに倒しながら理の方をちらりと見るが、当の理は史乃に向かって無言で舌を出してみせる。
「ちぇ〜っケチー」
残念そうに史乃が椅子を戻すとグラスに残っていた酒を飲み干した。

「今日は先上がるわ」

「おうっおやすみー」
「おやすみぃ。コト」
「おやすみなさいリィさん」
「おやすみリィくん」
「おやすみー、ソレ余ったらいつでもよこせよー?」
「おやすみなさい」

それぞれかけられる声に軽く片手を上げて理がそれに応えたあと2階へと上がっていった。

「………やっぱ気になんなー」
「気になるって。リィさんが持ってたあの壷みたいなやつのこと?」
グラスに酒を注ぎつつ呟く史乃にそう返しながら呂揮が洗った最後の食器を琉風に差し出す。
「そうだ…ごめん史乃!四季奈さん倒れちゃって結局あの中身何なのか確認してない!」
それを聞いた史乃がにんまりと笑って階段を指差した。
「んじゃ琉風、今から行って確かめてくるー」
「え!?でも理寝てるかもしれないし…」
「宵っ張りのアイツが早々寝るわけねーって。それに頼まれたことは最後までやるもんだぞー?」
「……うん…分かった」

四季奈が意識を失ったということで緊急事態ではあったが史乃の約束をすっぽかしたのは事実である。
少々迷いはしたものの最終的には了承し手にした食器を片付けた後、琉風も理を追って階段を上がっていった。

「史乃、リィさんが持ってた『あれ』。多分酒じゃないと思う」
琉風もまたいなくなってしまったあと、ぽつりと口にした呂揮の言葉に史乃は自信満々に反論した。
「んなわけねーだろ。リィが大事そうに持つものなんて酒以外でなんだっつーんだよ」
「これさ、澪マスから聞いた話なんだけど…」
そこまで言って呂揮が軽く周囲をを見渡した後に素早く史乃に耳打ちする。
それを聞いた史乃の目が点になった。

「………………………マジで?」
「うん」
「だってあれすげーでかかったぞ?中に入ってんの全部『アレ』か?」
「うん、間違いない」
「あー…確かに四季奈だったらやりそーだよなー…」
「うん、あの人ならやるよ多分」

* * *

こつ・こつ。

「誰だ?」

本当に寝ていたらと思い遠慮がちのノックだったが部屋向こうの理はまだ起きていたらしくすぐに返事が返ってくる。
「あの…俺、琉風だけど」
「入れ」
少しだけドアを開けて部屋を見ると、薄明かりの部屋の中理は煙草を吸いながら短剣の手入れをしていたらしい。
「何だよ」
「えっと、あの…」
手入れの終わったであろう短剣を鞘におさめた理にそう尋ねられるもどう
切り出したらいいのか分からずに琉風は必死に言葉を探していた。

「コレの中身確かめて来いって史乃にでもさしむけられたか?」

床においてある壷に視線をやり煙草を灰皿に押し付けつつまっすぐ見据える
理を取り繕うには、琉風の挙動はあまりにも不自然だった。

「この中身が気になるって…」
素直に真実を話す琉風に向かって首を僅かに振って『来い』という仕草を見せながら理が椅子からベッドへと移動する。
「見てみろ・中身」
理が腰掛けたベッドの脇に置いてある壷を指差したので部屋の中に入り壷の側で跪くとその蓋を開けた。

「あっ」

蓋を開けたと同時にほのかに香る正体が自分の好きなものと同じだと分かり、思わず漏らした琉風の声は心なしか嬉しそうだ。
「すごくいい匂いするね。オレンジ使ったお酒?」
「酒かどうか・触って確かめてみろ」
「お酒じゃないの?確かにオレンジの香りはするけどお酒の匂いは………っ……!?」
妙に広い口から人差し指をそっと入れ、その中身に触れたと同時に琉風の身体が固まる。
「これ…」
瓶から指を抜くと、指に着いたどろりとした液体が糸を引く。
「何か・分かったよな」
「……ローション」
「正解」


琉風と理以外のメンバーが出かけてしまった日に朱罹から預かった緋色の液体の入ったボトル。
香りや色こそ違うものの今琉風が指で触れたその感触は全くそれと変わらない。同じローションだった。
理がマッサージに使うものだと言われたのを素直に信じて身体にそれを塗りたくられ、
それは嘘で性行為に使われるものだと知った時には、ローションでぬるつく秘部を恥ずかしくなるくらい激しく音を立てて掻き回されていた。
今までにないほど身体の奥を理の雄に突き込まれ、ローションで抵抗の少なくなった
内壁を散々擦られ。誰がいつ帰ってくるかも分からない居間のソファでいいだけよがり鳴かされたことを思い出してしまう。

「えっと俺っ…史乃に違ってたって伝えてくる…!」
「おら・待て」
「わぁっ!」
がっちりと蓋を閉め、逃げるようにドアへ向かおうとする琉風の腰に理の両足が
巻きつき、体制を崩した琉風はあっさりベッドに引き込まれてしまった。
「理…待って…や…!」
がっちりと押さえ込む足から逃げようともがく琉風を他所に、理が床においてあった壷をベッドに上げ蓋を開けた。
壷の中に指を入れて引き抜くとその指先には橙色のどろりとしたものが
絡まっており、その指が琉風の開いた胸の所に来たあたりでとろりと皮膚に滴り落ちていく。
「やっ…!」
びくりと身をすくませて顔を紅くしながら琉風が首を振った。
「理…『これ』やだ…やだ…!」
「ヤダ?スキの間違いじゃねえの」
「嫌い…やだ…ん…ぁッ…」
項を舐められぞわりと全身が震える。
「んっんぁっ」
指先についたローションを乳首に塗り込められながら琉風の服は理の片手で器用に脱がされていく。
脱がされた服を床に投げ捨てられ、身体を仰向けに押し倒された琉風があわてて
起き上がろうとする前に、いつの間にか同様に裸になっていた理に上から押さえつけられていた。

「やだ…!」

嫌がる琉風の動きを難なく封じながら理がまた壷の中に手を突っ込んで先程よりも
たっぷりとその手にローションを取り、指先を通じて琉風の胸の間の皮膚に垂らしていく。
「んっ…」
どろどろと1本の線を書くように琉風の皮膚の上をまっすぐと移動させながら垂らしていき足の間あたりでぴたりと止まる。
「あ…んっッ…」
雄の部分に垂れたローションが次から次へと先端から根元へ伝い太腿へと流れる
冷たさと感触に声が出そうになった琉風が慌てて唇を引き結んだ。

「たっぷり作ってくれたみたいだからな?出し惜しみする必要もなさそうだ」
「作って…?……あぁぁっ!」

ローションが入った壷を四季奈が渡している光景を思い出し、理に投げかけようとした疑問は言葉になって理に届くことは無かった。
どろどろになるまでローションにまみれさせた琉風の雄に、理が軽く指を絡ませただけでびくりと身体を震わせる。

「少し触っただけで随分嬉しそうだな・前に『コレ』使ってブチ込まれたことでも思い出したか?」
「そんなことっ…!!!」
「スケベ汁ヌルヌル出まくってんぞ?」
ローションを指の腹で拭い、その先端からあふれ出てきている先走りを
掬ってみせられ琉風はそれから顔を反らして否定し続けている。
「ちがっちがうッ…」
「違わねえって」
「やぁぁっそこっ…!」
するりと理の指が移動した先は琉風の秘部。指先で入り口に雄から垂れたローションを丹念に塗りつけ始めた。
「指4本突っ込まれてグチャグチャにサれてんのにひんひんヨさそうに鳴いてたしな・同じようにまた掻き回してやろうか」
「だめっそんなのッ…!!!」
反らしていた首を戻した琉風の目が射抜くような理の視線と合った。
「ダメ・じゃねえだろ」
「…ッ…!!!」
理の指が秘部をぐ…と圧迫すると琉風が息を飲む。
「ものほしそうにしてんな、スグにでも指突っ込んでかき回してほしんだろ?」
入り口を指の腹でしつこくいじり、腰を震わせる琉風の様を理は楽しんでいるかのようだった。
「……やぁ…ッ…」
今の行為に焦れてきていることが分かっていてもその指を奥に進めることはせずに
ローションで濡れた入り口を弄り続ける理に琉風は目を潤ませた。
「知ってるくせに…分かってるくせにどうしてっどうしてッ…!」
「言ってみろ・どうシてほしんだ?」
「やだぁっどうしていつもそうやって恥ずかしいこと…やだ恥ずかしいッ言いたくないよやだぁッ!」
「恥ずかしがれば恥ずかしがるほどお前が感じて興奮しまくるからだろ」
「してないっ興奮してなッ…」
「モノ欲しそうにケツ穴ヒクヒクさせておいてそれはねぇんじゃねえの?」
「あぁぁッ」
指はほんの少しだけ埋め込まれたが奥までは来ない。

「指………入れて…奥まで入れてかき回してッ…ひっあッやはぁぁぁぁぁぁああああああッッ!!!!!」

耐え切れなくなり琉風が恥ずかしそうにしながら快楽を強請ると、
焦らされ続けた秘部を押し広げぐりっと一気に奥まで指を突き入れられた。
突然与えられた刺激に背を反らして叫ぶ琉風の内壁を今度は指の腹でゆっくりと擦り上げる。
「ヒクついてんな・そんなに期待シてたのか?」
「はぁ…ぁ…やだ…言いたくないっ…」
「ソレ・期待シてたって言ってるようなもんだぞ?」
「…っ…」
顔を紅くして手の甲で顔を覆う琉風の足をさらに開かせ、内部に入れた指を動かし始めた。
最初はゆっくりと、それから徐々に激しく。

くちゅくちゅ。くちゃっぐちゅっ。

「あぁぅっあっあぁぁッや…ぁ…理ッ…音…」

秘部から聞こえ始めた湿った音が気になるのか顔を隠した手の甲を少しだけずらし、
喘ぎ混じりに訴える琉風の秘部をさらにぐちゃぐちゃとかき回していく。

「やだぁっ恥ずかしいから音やめて…!」
「ココロにもないこと言ってんなって」
「あぁぁッあぁぁぁッやぁぁぁああッッ!」

ねばつく音を立てて中で暴れる理の指に琉風が激しく首を振る。
「ナニ首振ってんだよ・指突っ込んで掻き混ぜろって強請ったクセに」
「音は…やだぁ…や…アァァァッッだめぇ音だめぇぇぇッッ!」

ぐぷぐぷっぐちゃぐちゃぬぷっぐちゅっ。

耳を塞ぎたくなるくらいに足の間から響く恥ずかしい音。
「あぁぁぁッやぁぁぁぁッッ!ふぁっんくぅんッい…ぁ…あァァァァァッッ!!!」

恥ずかしいけど気持ちいい。
いやらしく響く音は嫌だけど指でもっとナカを掻き混ぜられたい。

矛盾にも似た思考をめぐらせながらも琉風は与えられる悦楽に身を任せた。
「うぅぅッあぁぁッやはッあぁッあはぁぁッイくッイく…やぁぁぁイくぅ…!」
いいだけ卑猥な音を響かせてかき回していたが、琉風が絶頂を訴えた途端理が指の動きを突然止める。
「やぁ…理っ…」
「まだ早ぇだろ・オレがイィって言うまでイくな」
「…!!!」
「もしイったら・罰ゲームな」
「理…や…だめ…やぁぁぁッアァァァァァァァッッッ!!!!!」
琉風が返事するまえに理が動きを再開する。
既に追い詰められた琉風が耐えられるはずもなく強い快感に涙を流し秘部を
指でかき回されながら何度嫌だと言っても指の動きは止まらない。
「理やぁッやだァァァッ!できないできないッそんなのできないよぉッゆびぃッ…あぁぁっやぁぁぁッ!!!」
「出来ないじゃねえ・ヤれ」
淡々と言い放ち琉風の雄に指を巻きつける行為は琉風をさらに追い詰めていく。
「やだぁっ触ったらだめ…触ったらイく…イくからそこ触らないでッ…!」
琉風の言葉などまるで聞こえてない素振りで理が秘部に捻じ込んだ指と同時に雄を扱きはじめた。

ぐちゅぐちゅぬちゃっぐちゅっ。

「やぁぁぁッやだぁぁぁぁ!どっちもはやだどっちもはだめぇッ!やぁぁぁあああッ!!!」
「ダメだ・まだイくなよ?」
前から、後ろから。自分の指に翻弄され鳴きよがる琉風の哀願を突き放す。
「うぅぅッやだぁぁっもうむりできなッあッイくっ理やだぁぁもぉだめッだめぇッだめだめやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!」
限界まで追い詰められ、琉風は泣き叫びながら勢いよく精を飛び散らせた。

「………琉風。オレ・イィって言ったか?」
「うく…ぅんッあ…」
「言ったか?」
「あぁぁぁッッ言ってないッ言ってない…!」
達した余韻を引き摺る琉風の内部を無遠慮に指で動かされはじめて琉風ははっきり言葉にした。
「言ってないよな。でっかいスケベ声張り上げて出しやがって」
「あっアァァッ」
入れられていた指を引き抜かき快楽に泣き濡れる琉風の頬を舐めて浮かべた理の笑みは琉風からすれば嫌な予感しかしない。

「罰ゲームだ。今度はお前がオレに『マッサージ』スる番な・手ェ使わないでヤってみろ」
「………?…手使わないでどうやって…」

「『ソレ』塗りたくってカラダと…『ココ』でヤんだよ」

ソレと言われて理が指さしたのはベッドの隅にあるローションの入った壷と、
ココ。と言いながら触れられたのは琉風の達したばかりの雄。
「…!!!」
そこで琉風がようやく理の『マッサージ』と言う言葉が、自分の身体と雄で理の身体を愛撫することを指していることを悟った。

「その顔だと・さらにわかりやすく説明スる必要もなさそうだな」
「やだそんなのっ…!!」
「へぇ・ヤなら別にいんだけどな」
「…え?」
拒もうとした琉風を遮った理の口から出た言葉は意外なもので、一瞬驚いた表情をして理を見上げると、
理は笑みを崩さないまま琉風が頭を乗せている枕の下に手を入れた。

「…待って!!」

枕から手を出した時に理の手に握られていたものがちらりと見えた瞬間、琉風は
『それ』を握る理の手ごと両手で枕の中に押し込んでしまう。
「なんだよ・ヤなんだろ?」
「嫌だけど…『それ』はもっとやだ…!」

ホームがハイウィザードの襲撃を退けた際、彩が大破させた壁の修復までの間一時的に明亭へと
身を寄せた時、勝手な行動をした侘びの代わりだと言って琉風は理から自慰行為を強要された。
誰かに見られながら自分の雄や秘部を弄り回すことすら恥ずかしかったというのに、
雄の形をした『異物』まで入れられ達するまで体内をかき回された恥ずかしい記憶。
その時琉風を辱めたその『異物』が枕の下から出そうとしている理の手に握られていたからだ。

「まぁこれだと罰じゃなくて褒美になっちまうかお前だと」
「あんなの絶対やだ…あんなのでもう気持ちよくなんてなりたくない…!」
「なら。今お前がどうスればいいのか・わかるよな」
「はぁっ……んっ…」
理の指先がわき腹を擽るのに身体をしならせながら起き上がり、ベッドの上にあるローションの入った壷の中に恐る恐る手を入れた。
「そんなんじゃ足りねえって」
「ひゃっ…!」
指先にまとわりつくローションの感触におっかなびっくりという様子の琉風の手を掴んで理が中まで手を突っ込ませる。
びくりとそれに逆らって手を引こうとするが、すぐにその力を緩めて素直にその手にたっぷりとローションを掬う。
理の手は枕から引き抜かれてはいたが『あれ』はまだ枕の下に入ったままだ。
自分が今これからすることに拒みの態度や意志を表せば間違いなく使われてしまうだろう。
それだけは絶対に嫌だった。


同じ恥ずかしい思いをするなら『理』がいい。


「んっ…」
ひんやりとしたローションを自分の身体に垂らして塗っていると、理も壷の中からローションを掬って同じように琉風の肌に塗りつけていく。
「んぁっあッ」
「ココはたっぷり塗っとけ?」
雄に指を巻きつけられ塗る、と言いながらぐちゅぐちゅと扱かれていた。
「ふあぁぁぁッ」
また立ち上がりかけた所で中途半端に手を離してしまいそのまま仰向けに横になる。
「来い」
「んっ…」
理の身体を跨ぎ恐る恐る理の身体に自分の身体を重ねた。
「何じっとシてんだ・動けよ」
「んあっ」
腰を撫でて急かされ、琉風は肌をぴったりと当てたまま身体をゆっくりと上下に動かし始める。
「んっふぁっ…ぁ…」
ローションのせいで抵抗もなく擦れる感触は全身を愛撫されているように琉風を錯覚させた。
硬く尖ってしまったが乳首が理の肌に擦れるたび、立ち上がってしまった雄が
理の雄に当たるたびに琉風は甘い吐息を漏らして無意識に身体をくねらせていた。
両手を投げ出して琉風にされるがままになっていた理の手がやがて琉風の背後に回り、臀部を揉み始める。

「んくっんっはぁっ…」
「腰浮かしてたら意味ねえだろ?」
「んあぁぁぁっ!」

そのまま臀部をつかんで浮いていた腰を密着させられ、丁度自分の雄に理の硬くなった雄が強く当たる体制になってしまう。
臀部を揉んでいた理の指はいつしか秘部へと移動し指先で入り口をこねくり回していた。
「や…っ…」
嫌だと言いながらも自分から腰を動かし理の雄に秘部が当たるように押し付けてしまう。

「いらねえのか?」
「…………………欲しいっ…」
「腰落せ・自分で入れろ」
「こと…わりっ…」

理が挿入しやすいように自らの雄を秘部に押し当ててきたので、浮かした腰をゆっくりと落とし飲み込んでいく。
そんな姿を満足そうに間近で眺めていた理がそっと琉風の耳に囁いた。

「お前鍵締めて来なかったろ。開けられたら丸見えだな・お前の恥っずかしいトコ」

「……!!!」
それを聞いた瞬間、琉風が目を見開き身体をこわばらせる。
「待っ…や…ぁ…あァァァァァァッッッッ!!!」
琉風が何かを言い出そうとする前に理は琉風の腰を掴み半分ほど挿入された雄を一気に奥まで飲み込ませた。
「くうぅんッ…!…あぁッことわ…りぃッ…待って…鍵ッ…やっヤあぁぁぁぁぁぁッッ!!!」
理の雄を引き抜こうとする琉風の身体をそのままベッドに横倒しにし、さらに奥へと突き入れてしまう。
「オレがお前と『こういうこと』シてることなんざもう既に知られてるコトなんだ・見られた所でどうってことねえだろ」
「やだやだやだやだ恥ずかしいよッ見られたくない恥ずかしいッ…!!…やぁぁぁぁだめぇぇぇぇッそこ突いたらだめ突かないでぇッ!!!」
奥まで雄を入れ込んだ理が琉風の内部を探りはじめると身体をよじってそれから逃げようとしていた。
まだ起きてるかもしれない誰かが何かの用事でここの扉を開けない保証などどこにもない。
こんな姿を見られたらと考えただけで、恥ずかしさで顔どころか体中が熱くなってしまう。

「だめっ…お願い待って…やッあッやぁぁッ…やはぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!」
理が片足を抱え雄を飲み込む琉風の秘部をドア口に向けて晒すような格好にさせると
その哀願を聞き入れぬまま琉風の最も感じる場所に雄を強く押しつけ動き出す。
「…………ッ………ふッ………んぅぅ………ッッ!!!」
シーツを手繰り寄せそれを口に含むことで声を押し殺し、片手で結合部を隠しながら
首を振り嫌だと訴える琉風の姿を自らの唇を舐めながら視線で犯す。

「よかれと思ってヤってるコトがただエロく見せてるだけだってわからねえ?」

「ふ…ん…んぅ…んぅ…………!!!!」
ローションまみれにされた下半身は理が動くたびにぬぷぬぷ音が立ち、身を震わせるその様は拒否ではなく紛れもない歓喜。
それでもシーツを口に咥えたまま首を振り続ける琉風の姿を眺めていた理がふと動くのをやめ雄を引き抜き始める。
「んっ…」
鍵をかけてこいということなのだと思った琉風がシーツから口を離した時だ。
理の手が琉風の顎に絡み顔を無理矢理上げさせる。
「や…ァ…………!!!」
「おら・声出せ。いつもみたいに大声で泣き喚いてみろ」
「いっあッ…あぁっ…んぁ…あぁぁぁぁぁだめぇぇッやぁぁぁぁぁぁッッ!!!!」
顔を上げさせられた所で理がまた深く奥を突き、堪えられない嬌声を上げて琉風が体内で暴れる理の雄をきつく締め上げた。
申し訳程度に足の間を隠している琉風の手の上に自分の手を重ねその上から乱暴に扱く。
激しく突き揺すられ、強すぎる快楽と恥ずかしさで琉風は子供のように泣きじゃくっていた。
「あうぅぅっやだぁっやぁぁぁぁッッあぁぁッ…ひどいよっ…どうしてこんな…んあぁぁっひあっんあぁぁぁぁッッ」
「そのヒドイことサれて感じまくってんのはどいつだよ」
きつい締め付けすら心地よさげに最奥にまで突き上げられた理の雄が琉風の
弱い部分に当たった時、身体をくねらせて必死にそこを避けようとする。
「駄目ッそこはいやだぁぁぁっ!気持ちいいの止まらなくなるッ気持ちいいのがっあぁッやぁぁッ理ッ理ぃッあぁぁぁやあァァァァッッ!!!!」

「前にも言ったろ・止まる必要なんてねえって」

「あぁッあぁぁぁぁッだめだめやだぁぁぁッ!そこはやだやだッ理お願いお願い
 やだぁぁッ!!!あぁぁぁやぁぁぁッヤァァァァァァーーーーーッッッ!!!!!!」
容赦なくその場所を雄で打ちつけられ、シーツの上に琉風の放った精が飛び散り染みを
作っても理は動きを中断せずじゅぷじゅぷと音を立てて琉風の体内に雄を突き込み続けた。
「もうイったのか。相変わらず堪え性がねえな」
「あうッあうぅぅッあぁうぅぅうッ」
壷の中からたっぷりとローションを取り琉風の放ったばかりの雄に垂らして扱くとさらに擦れるように琉風も腰を動かし始めていた。
「あっあうぅぅッとまらないよぉッ気持ちいぃの止まらなくなっちゃったよぉっ…理…理ぃ………!」
羞恥を分かっていながら曝け出された欲を押さえ込むことも出来ず、自らの雄で悦び腰を振って乱れる琉風を満足げに理は見下ろす。
「分かってるのにっ恥ずかしいのに…止まらなっ………気持ちいぃ…ッ…」
理が琉風の雄を扱いていた指を唇に当てて来たので無意識にそれを舌で舐める。
「んくっぁ…ふぅ…ん」
「安心シろ?ちゃんと満足スるまで突きまくってやるから」
オレンジとほろ苦い味が口の中に広がるのを感じながら、理の言葉にごくごく小さくだが頷いて琉風がそれに応えた。

* * *

寝ているであろうメンバーを気づかい足音を極力立てないように静かに
居間に入った琉風はキッチンから上がっている湯気に気づいて近づく。
「?」
湯気が出ているのはキッチン側のテーブルの上にあるマグカップからで、その中には温めたばかりであろうミルクが入っていた。
「誰か淹れたの忘れて寝ちゃったのかな…」

「今宵はお楽しみでー?」

「うわあぁッッ!………んむッ…」
背後から突然かけられた声に驚き振り向きざまに大声を出した琉風の口を話しかけた史乃が塞ぐ。
「はいはい静かーにね。もうみんな寝ちまってるからー」
口を塞がれたまま琉風がこくこくと首を縦に振るのを確認して史乃がそっと口を離した。
「で、どしたー?風呂だったらついさっきリィが入れてたから必要ないと思うけどー…」
「えぇえええッッ!」
「はいはい、だからしずかーに」
「ご…ごめん…」
まるで琉風が今まで何をしていたか分かっているような史乃の口調に顔から火が出る思いだったが、
頼まれていた壷の中身のことだけは伝えようと視線を合わせないようにしつつ話しはじめた。

「えっと、あの…史乃、あの壷の中身ことなんだけど…」
「ローションだったんだろー?アレ」
「ど……………んむっ」

どうして知ってるの?

と、また大声を出しそうになり今度は自らの手で口を塞ぐ。
「琉風が部屋行っちまったあとかな?まぁ分かったからいいってwisして良かったんだけどさー、
 お楽しみタイムであろー時にそれは流石に野暮ってもんだろー?」
「お楽しみって…そんなんじゃ…」
「んじゃ。壷の中身のこと聞きにいっただけなのに何時間も長ーい間リィの部屋でなーにしてたんだー?」
「えっとあのそれはっ…………!」
「はいはいわかったわかったー。これやるからもう飲んで寝ろー?」
口調もしどろもどろな琉風の頭をぽふぽふと撫でホットミルクの入ったマグカップを差し出す。
「………うん……」
か細い声で返事をしてマグカップを受け取ると、羞恥が既に限界だったのだろう、琉風は足早に階段をかけ上がって行った。

「あっためてたミルク、琉風に渡しといたぞー。あいつのために用意しといたんだろ?リィ」

ほぼ入れ違いで風呂から出てきた理が、濡れ髪をかき上げながら椅子に座った史乃と向かいあうように腰掛ける。
「あぁ」
「ったくいちいち反応してかーわいったらねーよなー」
「多分これからもずっとあんな感じなんじゃねぇの・身体だけはどんどん従順でスケベになってきてんだけどな」
「へーえ。たとえ方変かもしれねーけどショシンを忘れずってやつー?」
「ヒトのことどうこう言ってるお前はどうなんだよ」
史乃が理の前に置いたグラスに酒を注いでやりつつ、少しだけ恨みがましい表情でじろりと睨む。
「おっまえなー、さり気に今俺のココロを激しくへこませたぞー…っつかなー?お前と琉風、
 絶対おかしいから!無理矢理から始まったっつーお前らが今は一つ屋根の下で蜜月生活送ってるとか普通ありえねーだろ!」
「なんだよ・お前もこういう段階踏みてぇのか?」
「バーカ。あの人相手にそんなこと出来るわけねーだろーがー…」
湧きあがった感情を振り払うように史乃はグラスの中身を一気に飲み干す。

「あの人さ、こえーんだよ。抱きしめたらその途端壊れそうで」

理のグラスを傾けていた手がふと止まる。

「聞いたのか。『アイツ』のこと」
「ん。やっぱお前も知ってたかー…澪マスからかなり前に聞いてはいたんだけどよー。少し前に偶然『傷』見ちまってなー」
「アノ人・普段から無意識に隠そうとする所あるからな」
「実際アレ見たらなー、やっぱ感情に任せてなんてできねーわ」
「で・どうしようもないソノ欲求を酒で紛らわせてんのか」
「そりゃー俺もオトコだし?口先だけでどーこー言ってもこーやってムラムラする時があんのは仕方ねー訳よ」

自嘲じみた笑いを浮かべる史乃の前に理が新しい酒瓶をテーブルの上に置いた。

「付き合ってやるよ・どうせ今日は眠れねんだろ?」
「うわーどうしたのリィちゃんなんか超やさしー。明日はきっと雨ねー」
やや大げさにおどける史乃の口調に口元だけで笑って理がそれを返して史乃の空になったグラスに酒を注いだ。


 

 

 

 

 

 

 

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