「皆はあんた達に、あたし達よりももっとカッコイ イ友達を期待するんだ」

ルーナは唐突に意味ありげな言葉を告げた。

ネビルはうなだれてしょんぼりとしていた。

「君達はじゅうぶんカッコイイよ」

「あの子達の誰も魔法省にいなかった。誰も僕たちと一緒に戦わなかった」

「そうよ―あなた達は、あの子達が束になったって適わないほど大事な友達だわ」


ハリー、 はすかさず、まるで競い合うようにルーナ、ネビルの隠された勇気を賞賛した。



「いいこと言ってくれるわ」

それを聞いたルーナはクスッと笑って、座席に深く座り込むとまた雑誌に目を通し始めた。

ネビルも笑顔を取り戻すと、ぴょんと跳ねていなくなってしまったトレバー捕獲に

精を出し始めた。


その頃、レイブンクローのコンパートメントに戻る途中のロミルダ・ベインとその友達は

、ハリーとその取り巻きに対する批評を延々とぶちまけていた。



「全く、 ってもっと気さくな人かと思ったら、全然違うじゃない。

何よ、あの高慢な態度。それに何であんな変な人達が好きなのかしら?」

ロミルダは、納得できない顔で横の女の子にとうとうとまくしたてた。

「あなた、ハリー・ポッターが、あの人のこと好きなものだからなおさら嫌いなのよね」


ジェッシーと呼ばれる子がクスクス笑った。


ちょうどそこへ、きらりと光るグリフィンドールの監督生バッジを止めつけたロンとハーマイオニーが

通りかかった。



途端にロミルダとその仲間たちはクスクス笑いをやめ、神妙な面持ちで

赤毛と栗毛の上級生を見て側を通り過ぎた。




「よっ、お待たせ、やぁ、ネビル、ルーナもいたのかぁ。」

それから数分後、見事なまっかっかな髪を振りたてて、ロン、続いてハーマイオニーが 達のコンパートメントに

やってきた。


「ランチカートはまだかな〜腹ぺコだ〜」


ドサッとハリーの隣に座るや否や、ロンはぼやいた。


「私、伯母様が待たせてくれたバスケットがあるんだけど、よかったらどうぞ」

が待ってましたとばかりに大きな槲細工のバスケットを開けた。

「うわぁお、ショウガ入りケーキだ!」

「バターつきビスケットだわ」

「ゆで卵に、コーンビーフのサンドイッチもあるよ」


「わーっ」と歓声をあげてロンだけでなく、他の皆がバスケットの周りに集まり、「ちょうだい!」と手を伸ばしたので

たちまちバスケットの中身は空になってしまった。


ランチの予定外のお客様二人も、お腹が空いていたし、 の厚意に甘えることにした。

「君の赤毛の伯母さんってほんっとにいい人だよな。僕達のお腹のすかせ具合をよーく分かって下さって、こんなご馳走を用意してくださるんだから」


ロンが「うまい、うまい」を連発してショウガ入りケーキをほお張りながら言った。


ハリーはダーズリー家での粗末な食事のことが頭をよぎり、飢えた胃袋を満たしてやろうと

次から次へとコーンビーフのサンドイッチを口に入れていた。



さらに二つ目のバスケットの、小さなお皿に盛られたきつね色の可愛いパイは、再び皆の歓声を受けた。


伯母が彼女に沢山の友達がいることを知って、皆で分けられるように余分にこしらえてくれたのだろう。


はルーナ、ハーマイオニー、ネビルと共にゆっくりとそれを味わい、伯母の心遣いを有難く思った。





「あのさぁ、コンパートメントに来る途中で君たちのことをえらくけなしてた女の子がいたんだけど

もしかして、知り合いか?」




無事、空腹な胃袋を満たせたロンが唐突に聞いた。




「金髪の子が一人の女の子のことをロミルダって呼んでたのよ。金髪の子はレイブンクロー生だったわ」


ハーマイオニーがふと頭をかすめたことを思い浮かべながら言った。




「ロミルダ・ベインよ。さっき私たちのコンパートメントに来た人。

追い返したのよ。ルーナとネビルのことを悪く言うものだから」


がパイの最後の塊をカプッとかじり、嫌そうに説明した。


「そっか。そういうわけか。あっ、そうそうマルフォイにも会ったんだけどさ

あいつ、早くも監督生の任務を放棄したぜ」


ロンが「ビックニュース」と言わんばかりにしゃべった。


「コンパートメントに他のスリザリン生とともに座ってるの。巡回の仕事もしないでね」


ハーマイオニーがそう付け加えた。


「何でだろうね。あいつ、あんなに権力を行使するのが好きだったじゃない」


が不思議そうに言った。


「これは何かわけがあるに違いないな」


ハリーもちょっと考えて言った。



その後、ハリーと 、それにネビルは運悪く

新任のスラグホーン先生のランチに誘われてしまい、むげに断ると悪いと

思ったので、しぶしぶ満腹の胃袋を抱えたまま参加する羽目になった。



二人は飲み物のレモネードとパイだけを頂き、

雉肉や、ロールパンは丁重にパスした。





やっと他の招かれた生徒たちと共に退出した時は、夕日がうっすらとさしかかっていた。

スリザリンのザビ二・ブレーズはハリー、 を意地悪そうな目で睨みつけたあと、

意気揚々と帰っていた。


「先に帰ってて。金髪を調べてくる」


ハリーはさっとかがんで にだけ聞こえる声でささやくと

隠していた透明マントをかぶり、姿を消した。


「ちょっと、どこへ行くの?」


が理解できぬ顔で呟いた時、ハリーの足はすでにザビニ・ブレーズを追っていた。



















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