しばらくして大勢の足音が病室になだれ込んできた。

二人が禁じられた森で発見され、医務室へ担ぎ込まれたという

知らせを聞いて駆けつけてきたのだ。

ロン、ハーマイオニー、ジニー、トンクス、ルーナ、ウィーズリー夫妻の面々は口々に

ベッドから起き上がった、ハリーに大丈夫かと声をかけた。

「ハーマイオニー、ルーナ」

は二人の女友達と代わる代わる抱き合い、お互いの無事を確かめ合った。

「酷い熱だね、あんた・・こんなになるまでいったい何があったの?」

ルーナはいたたまれない様子で、の手を握った。

「ハリーを助けに駆けつけたフェリシティー伯母様の話じゃ、

 スネイプはマルフォイとあなたを連れて逃げようとしたそうだけど、でも、なぜ

 あなたを?」

ハーマイオニーも今にも泣き出しそうな顔だった。

「スネイプは私をヴォルデモートに差し出す気だったの」

が彼への敬称抜きで呼んだことを、ハーマイオニーは驚いていた。

「何だって?」

ルーピン、隣のカーテンが開けられたベッドで寝ていたハリーは酷く狼狽していた。

「スネイプが、私を殴って気絶させた時、朦朧とする意識の中でこんなことを言ったの。」

「私に手荒なことをしたくなかった、闇の帝王の元へ素直についてきて欲しかった。

 スリザリンにいれば良かったと。それから、もうじき全てが終わる。

 そうすれば全てを理解できるだろうって・・」


ルーピンは同僚の策略に気づくことが出来ず、彼女を危険な目に合わせてしまったことに

くやしそうに、腹の中で呪った。

ハリーは、やはり自分の想像していた恐ろしいことが起こってしまったことに

がっくりと肩を落としていた。

「うすうすおかしいとは思ってたよ・・スネイプが、グリフィンドールの生徒を邪険に扱うのに

 どうして、だけを可愛がるのかって」

ロンがぽつりと呟いた。

「でも、これでやっと分かったわ。スネイプがに近づいたのは、彼女を油断させて

 最終的には闇の帝王の指揮下に加えようとした計画の為にね」

ハーマイオニーが何ともやりきれない顔で言った。


「だけど、私・・どうやって、スネイプの手から逃れたのか覚えてないの」

はぼんやりと言った。

「ハリーが助けに来てくれて、気絶したとこまでは覚えてるんだけど・・直後の記憶がないの」

「もしかして、ルーピン先生、フェリシティー伯母さんが助けにきてくれた?」

「いや、私たちがついたときにはスネイプやデスイーターはいなかった」

「私達は、デスイーターに足止めされててね、なかなか戦闘から離脱できなかったんだ」

「フェリシティーが爆薬を使って、城の一部を破壊し、私達はデスイーターの連中を殺して、ここへ来ることが出来た」

「その後、グレイバッグに襲われているハリーを助けて、君とマルフォイがさらわれたことを聞いた。

グレイバッグはハリーを突き放して逃げたので、私とフェリシティー、それにハリーと共に奴らを追った。

途中の分かれ道でハリーとはぐれてしまい、気づいたらシシーと共に倒れている彼を見つけたんだ」

ルーピンが即座に状況を説明して、スネイプから二人を助けたのは自分じゃないと否定した。

「じゃ、誰が?だってあの状況じゃスネイプは確実に私を連れ去ってたわ」

は納得の行かない顔で詰め寄った。

「私は気絶して倒れてたから、出来るはずないし」

「僕も、スネイプにもう少しで殺されるところだった。だけど、目が覚めたらここにいた」

ハリーも不思議そうに付け加えた。


「スネイプ・・」

「私達全員が怪しんでいました。ですが、校長は頑なに信じていました。いつも・・信じられません。

 そんなに信じた者に殺されるなど・・」

マグゴナガル先生がそっと病室に入ってきて、話し始めた。

「ドラコ・マルフォイが彼に連れ去られたようです」

「運が悪ければ、ここにいるも彼の二の舞に、ポッターは殺されていたでしょう」

マグゴナガルは黒のローンのドレスに身を包み、ハンカチを目頭に当て、激しく泣きだした。





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