ダンブルドアが殺害された。その悲しきニュースはあっという間に巷を駆け巡り、
ホグワーツでは、授業の中止、試験は無期延期された。
偉大な庇護者の去ったホグワーツでは、危機感に駆られた親達が
次々と我が子を連れ出しにかかった。
ザカリアス・スミス、パチル姉妹、と顔なじみの生徒達もその中に含まれていた。
さらに張本人もフェリシティー、ルーピンによって、ダンブルドアの葬儀後、
ホグワーツを去り、実家に避難することを決定され、告げられていた。
魔法省関係者、ダンブルドアの友人達、同僚、職員らが慌しく
城に出たり、入ったりする中、無事、解熱剤で熱も下がり、退院したは
ハリー、ハーマイオニー、ロンと別れ、フェリシティーと共にディアヌ・クラウン・レコード
店へ向かう為に馬車に乗り込んだ。
「二人だけで話をなさい。病棟では人が多すぎて、個人的な話がしたくてもお互いに出来なかったでしょう?」
フェリシティー伯母はディアヌレコードの事務室にを招きいれ、あらかじめ
待たせておいたルーピンに声をかけた。
「ここなら誰も聞いていないし、積もる話もあるだろうし」
生クリームたっぷりのウィンナコーヒーを、てきぱきと真っ白なテーブルに置きながら
フェリシティーは気前よく言った。
「じゃ、ごゆっくり」
コツコツとハイヒールの音が遠ざかってしまうと、はテーブルの上に
やおら腕を伸ばし、ルーピンの細く長い手に自分の手を重ねた。
「あの・・ごめんなさい、リーマス。私の記憶が早く戻っていれば・・こんなに苦労させなかったのに」
は目に涙を一杯溜めて、彼に頭を下げた。
「つらかったでしょう?」
彼女はおずおずと尋ねた。
「いや、そんなことはない。私は君が無事に帰ってくれただけで嬉しいよ」
ルーピンはふっと微笑んだ。心は春の日のように躍っていた。