!、おい、!どこに行ったんだ?」

思いっきり彼女に頬を叩かれた彼は、人でごったがえするパーティ会場を

あとにして、行方をくらました彼女を探していた。


「悪かった、僕が悪かったよ!だから出てきてくれ!おい、!」

彼は階段を上がり、下りしながら自責の念にかられて叫び続けた。


「ああ、くそっ!何であんなことを言った?」

彼は前髪をかきあげ、グリフィンドール搭に通じる階段に座り込んでうめいた。

「ハリー君!ああ、よかった、ここにいたのね!」

彼が階段でうじうじ、うじうじしていると甲高いハイヒールの音が階段を

駆け上がってくるのが聞こえた。


「フェリシティーさん!」

彼女は顔も髪もまっかっかで、着ていた見事なドレスはしわくちゃだった。

「どうしたんですか、そんなに慌てて」

はどこにいるの?」

フェリシティーは鬼のような形相で彼の肩をつかんで尋ねた。

「わかりません、グリフィンドール搭にも帰ってないんです」

ハリーは頭を振って難色を示した。

「今、たった今、ホグズミードのミス・キムから連絡があって、吸血鬼が店に現れて

 三人の男の子を襲ったって!」

「ええっ?」

「でも、それが、何で何ですか?」

ハリーは事態を飲み込めないようだった。

「フレデリック・ロクスリーって子が、が店の中にいたって証言してるのよ!」

「ロクスリー、あのセドリック・ディゴリーのいとこですか?」

ハリーは目の前が一瞬、真っ暗になった。

「ええ、警察は来るわ、通行人や野次馬が押しかけるわで店が大変なの」

フェリシティーは酷く動揺していた。

「とにかくいっこくも早くを探しましょう。警察が彼女に事情徴収を取りたいって言ってるのよ!」




その頃、は洗面所で血にまみれた唇を洗い落とし、一人でスラグホーンのパーティ会場に向かって

歩いていた。


一時間後、ハリー、フェリシティーはあせだくになってハーマイオニーと楽しそうに語りあう彼女を見つけ出すと

彼女の耳元で「緊急の用事だ、ちょっと来てくれ」と

周りに聞こえない声で囁き、人ごみからひっぱりだして、ホグワーツ城をあとにした。



「違います。私じゃありません!」

「だけど、この男は君が現場にいたと証言している、さぁ、正直に答えるんだ」


通行人や野次馬が押しかけて、事情徴収が出来ないので

魔法警察は傷害・暴行容疑のかかったと、被害者である三人の男性をある旅籠に連れて行って尋問していた。


は警察の厳しい尋問にすっかり怯えきっていた。

ハリーやフェリシティーは彼女をかばいたい一心で必死に、自分とずっと一緒に居たと進言したが、


魔法警察の役人達はロクスリーの発言を信用しているようだった。


「知りません。私、その時はスラグホーン先生のパーティにいました」

彼女は長々と続けられる尋問にいきり立って答え、すぐ側にいたフレデリック・ロクスリーに噛み付くような視線を送った。

どうなの?もう一度、私が現場に居たと言って御覧なさいよ・・言いなさいよ。言ったら

その時は体内の血が全部なくなると思いなさいね!


彼女は表情一つ変えずに呪詛の言葉を唱え、怯えきっている三人の男に呪詛の言葉を金縛りのようにかけ続けた。

まるで彼らの精神をマインドコントールするのように。


自分に身に覚えのない行動をとうとうとまくしたてる三人の被害者に

恨みと怒りの感情が頂点に達したのだ。彼女は渾身の力をこめてロクスリーや二人の男をにらみつけた。

彼女の体からは凄いエネルギーの緑色のオーラが噴出し、それがロクスリー達の赤いオーラを威圧した。

「ちっ、違います・・ぼ、僕の勘違いでした」

数分後、空ろな目でロクスリーは呟いた。

「何だって?」

警察官は、供述を覆したロクスリーにあきれかえり、ばんっと書類を粗末な木のテーブルにたたきつけた。

「べ、ベラトリックス・レストレンジです。彼女、髪が真っ黒で背格好も彼女と似てるでしょう?僕、混乱しててだ、だから間違えたみたいです」

「おい、お前、ふざけているのか?」

恰幅のいい魔法警察の者は、ロクスリーの肩をつかんで揺さぶった。

「ち、違います!レストレンジが確かにレコード店にいたんです。か、彼女を見つけた僕らはとっつかまえようとレコード店におしいりました。そしたら、彼女が「血を頂くって」変なことを

 言い出して僕らに襲いかかって・・」

「この殴打の後も、レストレンジが全部やったって言うの?」

フェリシティーは納得のいかない顔で、ロクスリーの顔面や首にありありと残っている紫色のあざをさして尋ねた。

「は、はい・・間違いないです」

「よし、今日のところは帰ってもいい。また明日尋問する」

三人の空ろな目の男と、ハリー、フェリシティー、を納得のいかない顔で順々に

眺めると警察官は彼らを帰らせた。


ハリーに肩を支えられ、震え上がりながら帰宅の途につく

見やっていたフェリシティー伯母はその時、確かに見た。

彼女の唇が勝ち誇ったようにあざ笑うのを。














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